JP2014237883A - めっき積層体の製造方法及びめっき積層体 - Google Patents

めっき積層体の製造方法及びめっき積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有する錫めっき/銀めっき積層体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属基材の表面に形成された錫めっき層の上に銀めっき層を形成させるめっき積層体の製造方法であって、錫めっき層の表面の任意の領域に銀ストライクめっき処理を施す第一工程と、銀ストライクめっき処理を施した後の領域の少なくとも一部に銀めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、を特徴とするめっき積層体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はめっき積層体の製造方法及びその製造方法により得られるめっき積層体に関し、より具体的には、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有する錫めっき/銀めっき積層体及びその製造方法に関する。
銀めっきは電導性、低接触抵抗性及び耐熱性等に優れた特性を有し、各種接点、端子、コネクタ、スイッチ等の電気・電子部品に広く利用されている(例えば、特許文献1(特開2001−3194号公報)参照)。
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド車等の普及が進んでおり、それに伴って家庭用充電装置及び急速充電装置等の充電装置の普及も進んでいる。自動車と充電装置とを連結する充電コネクタの端子は、高電圧及び高電流下での使用に加え、数万回にも及ぶ抜き差し動作に耐えなければならない。
ここで、上述の電気・電子部品の端子には、銅基板の上に錫めっきやリフロー錫めっきを施した材料が用いられることが多く、当該材料の表面に良好な銀めっきを施すことができれば、端子に優れた耐摩耗性と電導性を付与することができると思われる。
しかしながら、卑な金属である錫の上に貴な金属である銀をめっきすることは極めて困難であり、錫と銀との電位差により錫と銀との置換が発生し(互いに拡散し合い)、銀めっきの剥離等が生じてしまう。このような理由から、錫めっきの上に良好な銀めっきを積層させる技術は存在しないのが現状である。
この点、例えば特許文献2(特開平8−176883号公報)においては、銅または銅合金からなる母材表面の少なくとも一部にSnめっき層を設け、該Snめっき層の上に、Cu、In、Ag、Zn、Sbのうち、1種または2種以上を多層めっきする工程を含むめっき材の製造方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献2に記載の製造方法はSn合金めっき材を製造することが目的であり、上述の工程で得られる多層めっきを非酸化性雰囲気中で加熱することにより、母材表面の少なくとも一部に、Sn80〜99%を含むSn合金めっき層(但し、めっき層中のCu、Zn、Sbの合計量は10%以下とする)を形成することを特徴とするものである。当該手法は加熱によって錫と銀とを合金化させるものであり、錫めっきと銀めっきとの乏しい密着性は深刻な問題とはならない(即ち、錫めっきの上に良好な銀めっきを積層させる技術ではない。)。
特開2001−3194号公報 特開平8−176883号公報
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有する錫めっき/銀めっき積層体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、錫めっき上に銀めっきを積層させる方法について鋭意研究を重ねた結果、錫と銀との置換を抑制し、密着性に優れた錫めっき/銀めっき積層体を得るためには、銀めっきの予備処理として、錫めっきに対して銀ストライクめっきを施すことが極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属基材の表面に形成された錫めっき層の上に銀めっき層を形成させるめっき積層体の製造方法であって、
前記錫めっき層の表面の任意の領域(即ち、所望する所定の領域)に銀ストライクめっき処理を施す第一工程と、
前記銀ストライクめっき処理を施した後の前記領域の少なくとも一部に銀めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、
を特徴とするめっき積層体の製造方法を提供する。
ここで、第一工程の銀ストライクめっき処理によって形成される銀ストライクめっき層は、連続する膜形状であっても、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。なお、第二工程の銀めっき処理によって、銀ストライクめっき層の上に銀めっき層が形成され、概略的には単一の銀めっき層が得られる。銀ストライクめっき層の厚さは0.01〜0.5μmであることが好ましい。
また、本発明のめっき積層体の製造方法においては、上記第二工程の銀めっき処理を経て得られる上記単一の銀めっき層の厚さが0.1μm〜50μmであること、が好ましい。なお、当該厚さは銀ストライクめっき層と銀めっき層とを合わせた値である。
第二工程の銀めっき処理を経て得られる上記単一の銀めっき層は基本的に一定の厚さを有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に薄くなっていたり厚くなっていたりしてもよい。また、上記銀めっき層のビッカース硬度が10HV〜250HVであることが好ましい。
なお、本発明における錫めっき層とは、電着後そのままの錫めっき層と、電着後リフロー処理を施したリフロー錫めっき層とを含む概念である。なお、リフロー錫めっき層とは、電着した錫めっき層を加熱して一旦溶融し、急冷する処理を施された錫めっき層を意味する(以下、同様)。
また、本発明は、上記のめっき積層体の製造方法により得られるめっき積層体も提供するものであり、当該めっき積層体は、
金属基材の表面に形成された錫めっき層と、
前記錫めっき層の上に形成された銀めっき層と、を有し、
前記銀めっき層は前記錫めっき層に対して冶金的に接合されていること、
を特徴とする。
冶金的な接合とは、錫めっき層と銀めっき層とがアンカー効果等の機械的接合や接着剤等の異種接合層を介して接合されているのではなく、お互いの金属同士が直接接合されていることを意味する。冶金的な接合とは結晶学的整合(エピタキシー)による接合を当然に含む概念であり、本発明において、錫めっき層と銀めっき層とは結晶学的整合(エピタキシー)による接合が達成されていることが好ましい。
また、本発明は上記本発明のめっき積層体を含む接続端子にも関し、当該接続端子は、雄端子及び/又は雌端子が上記の本発明のめっき積層体で構成されている。
上記の本発明の接続端子においては、耐摩耗性が要求される嵌合部の最表面を錫めっき層とし、電導性が要求される接点部の最表面を銀めっき層とすること、が好ましい。
本発明のめっき積層体の製造方法によれば、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有する錫めっき/銀めっき積層体及びその製造方法を提供することができる。また、本発明の錫めっき/銀めっき積層体は、優れた耐摩耗特性と電導性とを必要とする接続端子用の材料として好適に用いることができ、優れた耐摩耗性と電導性、及び嵌合性を兼ね備えた接続端子を提供することができる。
本発明のめっき積層体の製造方法の工程図である。 本発明の銀めっき積層体の第一実施形態の概略断面図である。 本発明の銀めっき積層体の第二実施形態の概略断面図である。 本発明の銀めっき積層体の第三実施形態の概略断面図である。 本発明の接続端子の一例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明のめっき積層体の製造方法、めっき積層体、及び接続端子の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
≪めっき積層体の製造方法≫
図1は、本発明のめっき積層体の製造方法の工程図である。本発明のめっき積層体の製造方法は、金属基材の表面に形成された錫めっき層の上に銀めっき層を形成させるめっき積層体の製造方法であって、錫めっき層の任意の領域に銀ストライクめっき処理を施す第一工程(S01)と、銀ストライクめっき処理の後に銀めっき処理を施す第二工程(S02)と、を含んでいる。
金属基材に用いる金属は、電導性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電導性・熱電導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましい。
金属基材に錫めっきを施したものに対し、洗浄処理を行い、第一工程(S01)及び第二工程(S02)を経てめっき積層体を得ることができる。以下、各処理について詳細に説明する。
(1)錫めっき処理
金属基材に錫めっきを施した材料については市販のものを使用することができる。また、錫めっきには、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の錫めっき手法を用いることができる。
なお、錫めっきへのリフローは時間の経過に伴うウィスカー(針状金属結晶)の成長を抑制するための処理であり、一般的には電着した錫めっき層を加熱して一旦溶融し、急冷する方法が用いられている。錫めっき層を溶融することによって、めっき時の応力(歪み)を除去し、金属基材との拡散層を形成することで経時的な変化を低減することができる。
錫めっき浴としては、酸性浴、中性浴、アルカリ性浴があり、いずれの浴も使用出来る。酸性浴としては硫酸浴や有機スルホン酸浴、中性浴はピロリン酸浴やグルコン酸浴、アルカリ性浴としてはスズ酸カリウム浴やスズ酸ナトリウム浴が一般的である。
リフロー処理は、金属基材表面の一部又は全体に施された錫めっき層を錫の融点以上に加熱して溶融させればよい。錫めっき層の内部応力を緩和するために、好ましい処理温度は250〜600℃であり、より好ましくは300〜500℃、更に好ましくは350〜450℃である。また、めっき外観をよくするために、好ましい処理時間は3〜40秒間であり、より好ましくは5〜30秒間、更に好ましくは5〜20秒間である。その他、加熱処理は還元雰囲気または不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
(2)洗浄処理
洗浄工程は、任意の工程であり、図1には示していないが、錫めっき層を有する金属基材のうちの少なくとも錫めっき層の表面を洗浄する工程である。ここでは、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の洗浄処理液及び処理条件を用いることができる。
洗浄処理液には一般的な非鉄金属用の浸漬脱脂溶液や電解脱脂溶液を使用することができるが、両性金属である錫の腐食を防止するため、pHが2超11未満の洗浄処理溶液を使用することが好ましく、pHが2以下の強酸浴やpHが11以上の強アルカリ浴の使用は避けることが好ましい。
具体的には、第三リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムまたはオルトケイ酸ナトリウム等10〜50g/Lを水溶した弱アルカリ性の浴に界面活性剤0.1〜10g/Lを加えた浴で浴温20〜70℃、10〜60秒間浸漬する。または陽極にステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いて、陰極電流密度2〜5A/dmで陰極電解脱脂を行ってもよい。
(3)銀ストライクめっき処理(第一工程(S01))
銀ストライクめっき処理は、金属基材上の錫めっき層と銀めっきとの密着性を改善するために施される処理である。銀ストライクめっき浴としては、例えば、シアン化銀及びシアン化銀カリウム等の銀塩と、シアン化カリウム及び塩化カリウム等の電導塩と、を含むものを用いることができる。
銀ストライクめっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の銀めっき手法を用いることができるが、通常の銀めっきと比較して、めっき浴中の銀塩の濃度を低く、電導塩の濃度を高くすることが好ましい。
銀ストライクめっき処理に好適に用いることができる銀ストライクめっき浴は、銀塩と、シアン化アルカリ塩と、電導塩と、により構成され、必要に応じて光沢剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、銀塩:1〜10g/L、シアン化アルカリ塩:80〜200g/L、電導塩:0〜100g/L、光沢剤:〜1000ppmである。
銀塩としては、例えば、シアン化銀、ヨウ化銀、酸化銀、硫酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられ、電導塩としては、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
光沢剤としては金属光沢剤及び/又は有機光沢剤を用いることができる。また、金属光沢剤としては、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、テルル(Te)等を例示でき、有機光沢剤としては、芳香族スルホン酸系化合物、メルカプタン類等を例示することができる。
銀ストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等の銀ストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、可溶性陽極や、ステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:15〜50℃、電流密度:0.5〜5A/dm、処理時間:5〜60秒を例示することができる。また、より好ましい条件は、浴温:25〜50℃、電流密度:1〜2A/dm、処理時間:5〜15秒である。
なお、銀ストライクめっきは金属基材の全面に施してもよく、第二工程(S02)において銀めっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
(4)銀めっき処理(第二工程(S02))
銀めっき処理は第一工程(S01)において銀ストライクめっきされた領域のうちの少なくとも一部に、概略的には単一のより厚い銀めっき層を形成させるための処理である。
銀めっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の銀めっき手法を用いることができるが、通常の銀ストライクめっきと比較して、めっき浴中の銀塩の濃度を高く、電導塩の濃度を低くすることが好ましい。
銀めっき処理に好適に用いることができる銀めっき浴は、銀塩と、シアン化アルカリ塩と、電導塩と、により構成され、必要に応じて光沢剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、銀塩:30〜50g/L、シアン化アルカリ塩:15〜160g/L、電導塩:50〜200g/L、光沢剤:〜1000ppmである。
銀塩としては、例えば、シアン化銀、ヨウ化銀、酸化銀、硫酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられ、電導塩としては、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
光沢剤としては金属光沢剤及び/又は有機光沢剤を用いることができる。また、金属光沢剤としては、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、テルル(Te)等を例示でき、有機光沢剤としては、ベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸系化合物、メルカプタン類等を例示することができる。
めっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、銀、ステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜60℃、電流密度:0.5〜15A/dmを例示することができる。
なお、銀めっきは金属基材及び錫めっき層の全面に施してもよく、第一工程(S01)において銀ストライクめっきを形成させた領域のみに施してもよい。
≪めっき積層体≫
(1)第一実施形態
図2は、本発明のめっき積層体の第一実施形態の概略断面図である。めっき積層体1は、金属基材2の表面に錫めっき層4が形成され、錫めっき層4の表面全体に銀ストライクめっき層6が形成されている。更に、銀ストライクめっき層6の表面全体に銀めっき層8が形成されている。
金属基材2の金属は、電導性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電導性・熱電導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましい。
錫めっき層4は電着後そのままの場合と、電着後にリフロー処理が施されている場合が存在するが、リフロー処理が施されている場合は金属基材2と錫めっき層4との界面近傍に拡散層が形成されている。
錫めっき層4の表面には銀ストライクめっき層6が形成されているが、銀ストライクめっき層6は連続する膜形状であっても、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。なお、銀ストライクめっき条件によっては、銀ストライクめっき層6の識別が困難な場合も存在する。
銀ストライクめっき層6の表面には、銀めっき層8が形成されている。銀めっき層8の厚さは0.1μm〜50μmであることが好ましく、ビッカース硬度は10HV〜250HVであることが好ましい。0.1μm未満では銀めっき層8の耐摩耗性を利用することができず、50μmより厚い場合は銀の使用量が増加するため経済的でない。
(2)第二実施形態
図3は、本発明のめっき積層体の第二実施形態の概略断面図である。めっき積層体1は、金属基材2の表面に錫めっき層4が形成され、錫めっき層4の表面の一部に銀ストライクめっき層6が形成されている。更に、銀ストライクめっき層6の表面全体に銀めっき層8が形成されている。なお、銀ストライクめっき層6及び銀めっき層が形成されている場所以外は第一実施形態と同様である。
(3)第三実施形態
図4は、本発明のめっき積層体の第三実施形態の概略断面図である。めっき積層体1は、金属基材2の表面に錫めっき層4が形成され、錫めっき層4の表面全体に銀ストライクめっき層6が形成されている。更に、銀ストライクめっき層6の表面の一部に銀めっき層8が形成されている。なお、銀めっき層が形成されている場所以外は第一実施形態と同様である。また、第一実施形態〜第三実施形態においては錫めっき層4が金属基材2の全面に形成されているが、錫めっき層4は金属基材2の一部に形成されていてもよい。
≪接続端子≫
本発明のめっき積層体は、各種接続端子に好適に用いることができる。具体的には、耐摩耗性が要求される嵌合部の最表面を錫めっき層4とし、電導性が要求される接点部の最表面を銀めっき層8とすることで、安価で高性能な接続端子を製造することができる。ここでいう嵌合部とは、屈曲やカシメ等により他の部材を挟む等して、他の部材と接続される部分のことである。
図5は、本発明の接続端子の一例を示す(透視)概略図である。図5に示されている接続端子10は高圧端子であるが、接続端子10において電導性が要求される接点部分12の最表面は銀めっき層8となっており、耐摩耗性を要求されるハーネスとの接続部分14は最表面が錫めっき層4となっている。
従来、接続端子には軸受性及び加工性に優れたリフロー錫めっきが多く用いられてきたが、耐摩耗性に乏しい、電気抵抗が高い、といった問題が存在した。これに対し、最表面を銀めっき層8とすることで、銀めっき層8が有する優れた耐摩耗性、低い電気抵抗、及び良好な耐熱性を利用することができる。
本発明のめっき積層体1では銀めっき層8と金属基材2との間に錫めっき層4が存在し、加えて、錫めっき層4がリフロー錫めっき層の場合は拡散層及び/又は反応層も存在するため、金属基材2(例えば銅又は銅合金)から銀めっき層8への金属基材2に起因する金属(例えば銅)の拡散(乃至は置換)が抑えられ、めっき積層体1の経時変化を抑制することができる。
更に、摺動摩耗が顕著な領域の最表面を銀めっき層8とすることで、摺動摩耗によって飛散した錫めっき層4の破片を原因とする、発火及び感電等の重大な事故を防止することができる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例1≫
市販の錫めっき材(厚さ0.6mmの銅合金材へ錫めっきを施し、リフローを施したもの)に以下の工程で0.1μmの銀めっき層を形成させた。キザイ株式会社製のマックスクリーンNG−30を40g/L含有する50℃の洗浄処理液に、上記錫めっき材を60秒間浸漬させることで、錫めっき層の表面に洗浄処理を施した。
次に、3g/Lのシアン化銀、150g/Lのシアン化カリウム、及び15g/Lの炭酸カリウムを含む銀ストライクめっき浴を用い、陽極材料をチタン白金板、陰極材料を洗浄処理後の錫めっき材として、浴温:室温、電流密度:2A/dmの条件で10秒間の銀ストライクめっき処理を施した(第一工程)。
次に、40g/Lのシアン化銀、30g/Lのシアン化カリウム、及び30g/Lの炭酸カリウムを含む銀めっき浴を用い、陽極材料をチタン白金板、陰極材料を銀ストライクめっき処理後の錫めっき材として、浴温:30℃、電流密度:4A/dmの条件で3秒間の処理を施し、0.1μmの単一の銀めっき層を形成させた(第二工程)。
[評価]
上記のようにして作製しためっき積層体について密着性の評価を行った。セロハンテープ(ニチバン株式会社製の#405)を指圧にて銀めっき層に押し付け、当該セロハンテープを引き剥がした後に銀めっき層の剥がれや膨れが発生しなかった場合は○、発生した場合は×とし、得られた結果を表1に示した。
≪実施例2≫
銀めっき処理の時間を130秒間とし、厚さ5μmの銀めっき層を形成させた以外は、実施例1と同様にしてめっき積層体を作製し、密着性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
≪実施例3≫
銀めっき処理の時間を1300秒間とし、厚さ50μmの銀めっき層を形成させた以外は、実施例1と同様にしてめっき積層体を作製し、密着性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
≪比較例1≫
銀ストライクめっき処理を施さない以外は、実施例1と同様にして厚さ0.1μmの銀めっき層を有するめっき積層体を作製し、密着性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
≪比較例2≫
銀めっき処理の時間を130秒間とし、厚さ5μmの銀めっき層を形成させた以外は、比較例1と同様にしてめっき積層体を作製し、密着性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 2014237883
表1に示す結果から、本発明の実施例に関しては、銀めっき層の厚さに係らず、銀めっき層と錫めっき層とが良好に接合されていることが分かる。これに対し、銀ストライクめっきを施さない場合は、銀めっき層の厚さが0.1μmと極めて薄い場合でも、銀めっき層と錫めっき層とが良好に接合されていないことが確認される。
1・・・めっき積層体、
2・・・金属基材、
4・・・錫めっき層、
6・・・銀ストライクめっき層、
8・・・銀めっき層、
10・・・接続端子、
12・・・接点部分、
14・・・接続部分。

Claims (5)

  1. 金属基材の表面に形成された錫めっき層の上に銀めっき層を形成させるめっき積層体の製造方法であって、
    前記錫めっき層の表面の任意の領域に銀ストライクめっき処理を施す第一工程と、
    前記銀ストライクめっき処理を施した後の前記領域の少なくとも一部に銀めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、
    を特徴とするめっき積層体の製造方法。
  2. 前記銀めっき層の厚さが0.1μm〜50μmであること、
    を特徴とする請求項1に記載のめっき積層体の製造方法。
  3. 金属基材の表面に形成された錫めっき層と、
    前記錫めっき層の上に形成された銀めっき層と、を有し、
    前記銀めっき層は前記錫めっき層に対して冶金的に接合されていること、
    を特徴とするめっき積層体。
  4. 請求項3に記載のめっき積層体を有すること、
    を特徴とする接続端子。
  5. 耐摩耗性が要求される嵌合部の最表面を錫めっき層とし、
    電導性が要求される接点部の最表面を銀めっき層とすること、
    を特徴とする請求項4に記載の接続端子。
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