JP2015187303A - 接続部品用導電部材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有し、嵌合部の摩擦係数が低く、挿入時の負荷を小さくすることができると共に、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点を十分に確保できる接続部品用導電部材及びその簡便な製造方法を提供する。【解決手段】金属基材の少なくとも一部に粗化ニッケルめっき処理を施し、金属基材の表面に凹凸形状を有する粗状ニッケルめっき層を形成させる第一工程と、粗状ニッケルめっき層の少なくとも一部に錫めっき処理、銀めっき処理又は金めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、を特徴とする接続部品用導電部材の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は接続部品用導電部材及びその製造方法に関し、より具体的には、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有すると共に、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点を十分に確保できる接続部品用導電部材及びその簡便な製造方法に関する。
近年、自動車、産業機器及び各種民生機器における電装化が急速に進んでおり、電装部品同士を繋ぐ接続部品(コネクタ)の数が増加している。ここで、電装部品を組み込む空間は限られていることから、当該電装部品に関する接続部品(例えば、コネクタ用端子等)についても小型軽量化が求められている。
しかしながら、接続部品の小型化は接続部において電導性に寄与する有効な接触面積を低減させる。例えば、オス端子とメス端子の組み合わせからなる嵌合型端子においては、オス端子とメス端子の接触面積が減少し、接続部品としての性能低下(接触抵抗の上昇)が生じることとなる。
ここで、例えば電気接点同士を押しつける接圧力を大きくすることで、接触抵抗を減少させることが考えられるが、当該接圧力の増加は端子を挿入する際の変形抵抗やせん断抵抗を増加させる。この結果、接続部品に求められる挿入力が増加し、接続部品を使用した組立作業の効率を低下させたり、嵌合ミスによる電気的接続劣化が生じたりする原因となる。
これに対し、例えば特許文献1(特開2006−183068号公報)においては、Cu板条からなる母材の表面に、Cu含有量が20〜70at%で平均の厚さが0.2〜3.0μmのCu−Sn合金被覆層と平均の厚さが0.2〜5.0μmのSn被覆層がこの順に形成され、その材料表面はリフロー処理されていて、少なくとも一方向における算術平均粗さRaが0.10μm以上で、全ての方向における算術平均粗さRaが3.0μm以下であり、前記Sn被覆層の表面に前記Cu−Sn合金被覆層の一部が露出して形成され、前記Cu−Sn合金被覆層の材料表面露出面積率が3〜75%であることを特徴とする接続部品用導電材料が提案されている。
上記特許文献1に記載の接続部品用導電材料においては、特に嵌合型端子用として、摩擦係数を低く抑えることができるので、例えば自動車等において多極コネクタに使用した場合、オス、メス端子の嵌合時の挿入力が低く、組立作業を効率よく行うことができる。また、高温雰囲気下で長時間保持されても、腐食環境下においても、あるいは振動環境下においても電気的信頼性(低接触抵抗)を維持できる、としている。
特開2006−183068号公報
近年の電気自動車やプラグインハイブリッド車等の普及に伴い、家庭用充電装置及び急速充電装置等の充電装置の普及も進んでいる。自動車と充電装置とを連結する充電コネクタの端子は、高電圧及び高電流下での使用に加え、数万回にも及ぶ抜き差し動作に耐えなければならない。
ここで、上記特許文献1に記載の接続部品用導電材料は、基本的に銅基板の上に錫めっきを施したものであり、耐摩耗性及び導電性が十分でないことが想定される。加えて、特定の表面粗さを有する銅基板に対してめっき等の処理をする必要があるため、適用の汎用性に乏しい。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有し、嵌合部の摩擦係数が低く、挿入時の負荷を小さくすることができると共に、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点を十分に確保できる接続部品用導電部材及びその簡便な製造方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、接続部品用導電部材及びその製造方法について鋭意研究を重ねた結果、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有すると共に、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点を十分に確保できる接続部品用導電部材を得るには、凹凸形状を有する粗状ニッケルめっき層に対して銀めっき処理又は金めっき処理を施すことが極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
金属基材の少なくとも一部に粗化ニッケルめっき処理を施し、前記金属基材の表面に凹凸形状を有する粗状ニッケルめっき層を形成させる第一工程と、
前記粗状ニッケルめっき層の少なくとも一部に錫めっき処理、銀めっき処理又は金めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、
を特徴とする接続部品用導電部材の製造方法を提供する。
本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、前記粗状ニッケルめっき層の表面の算術平均粗さRaが0.10μm以上であること、が好ましい。粗状ニッケルめっき層のRaを0.10以上とすることで、接続部品用導電部材の最表面が粗状となる。この結果、接続部品用導電部材を使用する際の押しつけ荷重に偏りが生じた場合でも、十分な電気接点を確保することができる。
本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、粗状ニッケルめっき処理によって接続部品用導電部材の表面形状を制御することができるため、当該目的のために金属基材の表面粗さを調整する必要がない。この結果、種々の金属基材を用いることができ、極めて簡便に接続部品用導電部材を製造することができる。
また、本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、前記金属基材に銅又は銅合金を用い、前記第一工程の予備処理として、前記金属基材の少なくとも一部に、銀ストライクめっき、銅ストライクめっき、金ストライクめっき、パラジウムストライクめっき、ニッケルストライクめっきの群から選ばれる1または2以上のストライクめっきを施すこと、が好ましい。
上記各種ストライクめっき処理によって形成されるストライクめっき層は、連続する膜形状であっても、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。ストライクめっき層の厚さは0.01〜0.5μmであることが好ましい。なお、第一工程の粗化ニッケルめっき処理によって、極めて薄いストライクめっき層の上に粗状ニッケルめっき層が形成され、概略的には単一の粗状ニッケルめっき層が得られる。
また、本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、前記金属基材にアルミニウム又はアルミニウム合金を用い、前記第一工程の予備処理として、前記金属基材の少なくとも一部に、一次ジンケート処理と、亜鉛剥離処理と、二次ジンケート処理と、を施すこと、が好ましい。
ジンケート処理とは、アルミニウム基材にめっき処理を施す際の前処理として、アルミニウム基材をジンケート液に浸せきして亜鉛を置換析出(亜鉛置換)させる処理である。アルミニウム基材の表面には強固な酸化被膜が存在しており、基本的にはめっき層を形成させることが困難であるが、ジンケート処理を施して表面に亜鉛を置換析出(亜鉛置換)させることで、第一工程によって良好な粗状ニッケルめっき層を形成させることができる。ここで、ジンケート処理を2回施すことで(ダブルジンケート処理)、より良好な粗状ニッケルめっき層を形成させることができる。
更に、本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、前記第二工程の予備処理として、前記粗状ニッケルめっき層にニッケルめっきを施すこと、が好ましい。粗状ニッケルめっき層にニッケルめっきを施すことによって、粗状ニッケルめっき層の粗度を調整することができると共に、はんだ濡れ性等の電気的特性以外の特性を向上させることができる。
本発明の接続部品用導電部材は、
金属基材と、粗状ニッケルめっき層と、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層と、をそれぞれ有する接続部品用導電部材であって、
前記銀めっき層又は前記金めっき層は、前記粗状ニッケルめっき層を介して前記金属基材の表面に形成され、
前記粗状ニッケルめっき層の表面の算術平均粗さRaが0.10μm以上であること、
を特徴とする、接続部品用導電部材を提供する。
本発明の金属基材に用いる金属は、電導性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電導性・熱伝導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましく、軽量であるという理由から、アルミニウム及びアルミニウム合金を用いることが好ましい。
上記粗状ニッケルめっき層の厚さは、0.5〜10μmであること、が好ましい。10μm超であると、曲げ加工時やプレス加工時にクラックが発生しやすくなり、また生産性が悪くなる。0.5μm未満であると、Ra0.10μm以上の十分な粗度を得られない。
粗状ニッケルめっき層の粗度を調整及びはんだ濡れ性等の電気的特性以外の特性を向上させることを目的として、粗状ニッケルめっき層にニッケルめっき層を形成させることができるが、当該ニッケルめっき層の厚さは10μm未満とすることが好ましい。ニッケルめっき層の厚さを10μm未満とすることで、曲げ加工時のクラック発生を抑制することができる。
上記銀めっき層の厚さは、0.1〜50μmであること、が好ましい。50μm超であると銀の使用量が増えて経済的ではなく、生産性も悪くなり、0.1μm未満であると、銀の電気的特性を十分に得られない。
銀めっき層は基本的に一定の厚さを有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に薄くなっていたり厚くなっていたりしてもよい。また、銀めっき層のビッカース硬度は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、10HV〜250HVであることが好ましい。
上記金めっき層の厚さは、0.05〜5μmであること、が好ましい。5μm超であると金の使用量が増えて経済的ではなく、生産性も悪くなる。0.05μm未満であると、金の電気的特性を十分に得られない。
金めっき層は基本的に一定の厚さを有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に薄くなっていたり厚くなっていたりしてもよい。また、金めっき層のビッカース硬度は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、60HV〜250HVであることが好ましい。
ここで、上記の金ストライクめっき層は、金合金ストライクめっき層を含む概念である。金合金としては本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の金合金を用いることができ、例えば、Au−Ni合金、Au−Co合金、Au−Ni−W合金、Ni−Pd−Au合金、Au−Cu合金、Au−As合金、Au−Ag合金、Au−Sn合金、Au−In合金、Au−Fe合金、Au−Zn合金、Au−Mn合金、Au−Pb合金、Au−P合金、Au−Pd合金、Au−Cr合金、Au−Cd合金、Au−Ga合金、Au−Si合金、Au−Ge合金、Au−Pt合金、Au−Cu−Ni合金、Au−Co−W合金、Au−Ag−Sb合金、Au−Ag−Zn合金、Au−Ag−Pd−Pt合金等を挙げることができる。
本発明の接続部品用導電部材においては、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層は粗状ニッケルめっき層又はニッケルめっき層に対して冶金的に接合され、粗状ニッケルめっき層は金属基材に対して冶金的に接合されていることが好ましい。冶金的な接合とは、アンカー効果等の機械的接合や接着剤等の異種接合層を介して接合されているのではなく、お互いの金属同士が直接接合されていることを意味する。冶金的な接合とは結晶学的整合(エピタキシー)による接合を当然に含む概念であり、本発明において、銀めっき層又は金めっき層と粗状ニッケルめっき層又はニッケルめっき層、及び、粗状ニッケルめっき層と金属基材とは、互いに結晶学的整合(エピタキシー)による接合が達成されていることが好ましい。
また、本発明の接続部品用導電部材においては、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層と金属基材との間にニッケルめっき層及び/又は粗状ニッケルめっき層が存在するため、金属基材(例えば銅又は銅合金)から錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層への金属基材に起因する金属(例えば銅)の拡散(乃至は置換)が抑えられ、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層の経時変化を抑制することができる。
また、本発明の接続部品用導電部材においては、粗状ニッケルめっき層のRaを0.10以上とすることで、接続部品用導電部材の最表面が粗状となる。この結果、接続部品用導電部材を使用する際の押しつけ荷重に偏りが生じた場合でも、十分な電気接点を確保することができる。
更に、本発明の接続部品用導電部材においては、最表面が錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層となっており、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を発現することができる。
なお、本発明の接続部品用導電部材は、上記本発明の接続部品用導電部材の製造方法によって好適に製造することができる。
本発明の接続部品用導電部材及びその製造方法によれば、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有し、嵌合部の摩擦係数が低く、挿入時の負荷を小さくすることができると共に、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点(マルチコンタクト)を十分に確保できる接続部品用導電部材及びその簡便な製造方法を提供することができる。
本発明の接続部品用導電部材の製造方法の工程図である。 本発明の接続部品用導電部材の一例を示す概略断面図である。 実施例1及び比較例1で得られた接続部品用導電部材の表面粗さ測定結果を示す線図である。 実施例1で得られた接続部品用導電部材表面の電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた接続部品用導電部材表面の電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた接続部品用導電部材表面の電子顕微鏡写真である。 比較例2で得られた接続部品用導電部材表面の電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた接続部品用導電部材の接触抵抗値の測定結果である。 実施例2で得られた接続部品用導電部材の接触抵抗値の測定結果である。 比較例1で得られた接続部品用導電部材表面の接触抵抗値の測定結果である。 比較例2で得られた接続部品用導電部材表面の接触抵抗値の測定結果である。 実施例3で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真である。 比較例3で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真である。 比較例4で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られた接続部品用導電部材表面の接触抵抗測定結果である。 比較例3で得られた接続部品用導電部材表面の接触抵抗測定結果である。
以下、図面を参照しながら本発明の接続部品用導電部材及びその製造方法の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
≪接続部品用導電部材の製造方法≫
図1は、本発明の接続部品用導電部材の製造方法の工程図である。本発明の接続部品用導電部材の製造方法は、金属基材の少なくとも一部に粗化ニッケルめっき処理を施し、金属基材の表面に凹凸形状を有する粗状ニッケルめっき層を形成させる第一工程(S01)と、当該粗状ニッケルめっき層の少なくとも一部に錫めっき処理、銀めっき処理又は金めっき処理を施す第二工程(S02)と、を含んでいる。
また、本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、第一工程(S01)の予備処理として、金属基材が銅又は銅合金の場合はストライクめっき処理を施すことが好ましく、金属基材がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合はジンケート処理を施すことが好ましい。
更に、本発明の接続部品用導電部材の製造方法においては、第一工程(S01)の後処理として、第一工程(S01)で形成させた粗状ニッケルめっき層に対してニッケルめっき処理を施すことが好ましい。
金属基材に用いる金属は、電導性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電導性・熱伝導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましく、軽量であることからアルミニウム及びアルミニウム合金を用いることが好ましい。
洗浄処理及び酸処理等の前処理を施した金属基材に対して、第一工程(S01)の予備処理であるストライクめっき処理又はジンケート処理を施し、当該予備処理後の金属基材に対して第一工程(S01)で粗化ニッケルめっき処理を施し、当該粗化ニッケルめっき処理で形成させた粗状ニッケルめっき層に対して必要に応じて更にニッケルめっき処理を施し、その後、第二工程(S02)で錫めっき処理、銀めっき処理又は金めっき処理を施すことによって、接続部品用導電部材を得ることができる。以下、各処理について詳細に説明する。
(1)洗浄処理
洗浄工程は、任意の工程であり、図1には示していないが、金属基材の表面を洗浄する工程である。ここでは、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の洗浄処理液及び処理条件を用いることができる。
洗浄処理液には一般的な浸漬脱脂溶液や電解脱脂溶液を使用することができ、例えば、アルカリ塩及び界面活性剤等で構成される浴を用いて洗浄処理を施すことができる。
具体的には、シアン化アルカリ塩:10〜100g/L、アルカリ塩:10〜50g/L、界面活性剤:0.1〜10g/L、キレート剤:5〜50g/Lで構成される浴を用い、浴温を20〜70℃として、金属基材を10〜60秒間浸漬する。陽極にはステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いて、陰極電流密度2〜5A/dmで陰極電解脱脂を行うことができる。
なお、アルカリ塩としては、例えば、第三リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムまたはオルトケイ酸ナトリウム等を用いることができる。
(2)酸処理
酸処理は、任意の工程であり、図1には示していないが、金属基材の表面を洗浄する工程である。酸処理には、硫酸、塩酸、及び硝酸等の非酸化性の酸を用いることができ、非酸化性の酸を3〜50%に希釈した一般的な酸洗浄液を好適に用いることができる。
(3)粗化ニッケルめっき処理(第一工程(S01))の予備処理
粗化ニッケルめっき処理(第一工程(S01))の予備処理として、金属基材が銅又は銅合金の場合はストライクめっき処理を施すことが好ましく、金属基材がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合はジンケート処理を施すことが好ましい。
(3−1)ストライクめっき処理
ストライクめっき処理は、金属基材と粗状ニッケルめっき層との密着性を改善するために施される処理であり、金属基材の少なくとも一部に、銀ストライクめっき、銅ストライクめっき、金ストライクめっき、パラジウムストライクめっき、ニッケルストライクめっきの群から選ばれる1または2以上のストライクめっきを施すものである。
(A)銀ストライクめっき
銀ストライクめっき浴としては、例えば、シアン化銀及びシアン化銀カリウム等の銀塩と、シアン化カリウム及び塩化カリウム等の電導塩と、を含むものを用いることができる。
銀ストライクめっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の銀めっき手法を用いることができるが、通常の銀めっきと比較して、めっき浴中の銀塩の濃度を低く、電導塩の濃度を高くすることが好ましい。
銀ストライクめっき処理に好適に用いることができる銀ストライクめっき浴は、銀塩と、シアン化アルカリ塩と、電導塩と、により構成され、必要に応じて添加剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、銀塩:1〜10g/L、シアン化アルカリ塩:80〜200g/L、電導塩:0〜100g/L、添加剤:0〜1000ppmである。
銀塩としては、例えば、シアン化銀、ヨウ化銀、酸化銀、硫酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられ、電導塩としては、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
添加剤としては金属添加剤及び/又は有機添加剤を用いることができる。また、金属添加剤としては、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、テルル(Te)等を例示でき、有機添加剤としては、ベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸系化合物、メルカプタン類等を例示することができる。
銀ストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等の銀ストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、可溶性陽極や、ステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:15〜50℃、電流密度:0.5〜5A/dm、処理時間:5〜60秒を例示することができる。
なお、銀ストライクめっきは金属基材の全面に施してもよく、第一工程(S01)において粗状ニッケルめっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
(B)銅ストライクめっき
銅ストライクめっき浴には、酸性浴とアルカリ性浴のどちらを用いてもよい。
酸性浴は銅塩及び酸により構成され、添加剤が添加されてもよい。銅塩には、例えば、硫酸銅及びスルファミン酸銅等を用いることができる。酸には、例えば、硫酸及びスルファミン酸等を用いることができる。添加剤には、例えば、硫黄化合物(チオ尿素、ジスルホン塩、メルカプトベンゾチアゾール等)、有機化合物(ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコール等)、及びセレン化合物等を用いることができる。
銅ストライクめっき処理に好適に用いることができる酸性浴の各構成要素の好適な使用量は、銅塩:60〜200g/L、酸:30〜200g/L、添加剤:0〜100ppmである。
アルカリ性浴にはシアン系浴を用いることができ、シアン系浴は銅塩、シアン化アルカリ塩及び電導塩により構成され、添加剤が添加されてもよい。銅塩には、例えば、シアン化銅等を用いることができる。シアン化アルカリ塩には、例えば、シアン化カリウム及びシアン化ナトリウム等を用いることができる。電導塩には、例えば、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウム等を用いることができる。添加剤には、例えば、ロッシェル塩、亜セレン酸カリウム、亜セレン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、酢酸鉛、酒石酸鉛等を用いることができる。
銅ストライクめっき処理に好適に用いることができるシアン系浴の各構成要素の好適な使用量は、銅塩:10〜80g/L、シアン化アルカリ酸:20〜50g/L、電導塩:10〜50g/L、添加剤:0〜60g/Lである。
銅ストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等の銅ストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、電解銅等の可溶性陽極、及び/又は、ステンレス鋼、チタン白金板、酸化イリジウム等の不溶性陽極等を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:25〜70℃、電流密度:0.1〜6.0A/dm、処理時間:5〜60秒を例示することができる。
なお、銅ストライクめっきは金属基材の全面に施してもよく、第一工程(S01)において粗状ニッケルめっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
(C)金ストライクめっき
金ストライクめっき浴としては、例えば、金塩、電導塩、キレート剤及び結晶成長剤を含むものを用いることができる。また、金ストライクめっき浴には光沢剤が添加されていてもよい。
金塩には、例えば、シアン化金、シアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウム、亜硫酸金ナトリウム及びチオ硫酸金ナトリウム等を用いることができる。電導塩には、例えば、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム及びチオ硫酸カリウム等を用いることができる。キレート剤には、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びメチレンホスホン酸等を用いることができる。結晶成長剤には、例えば、コバルト、ニッケル、タリウム、銀、パラジウム、錫、亜鉛、銅、ビスマス、インジウム、ヒ素及びカドミウム等を用いることができる。なお、pH調整剤として、例えば、ポリリン酸、クエン酸、酒石酸、水酸化カリウム及び塩酸等を添加してもよい。
金ストライクめっき処理に好適に用いることができる金ストライクめっき浴の各構成要素の好適な使用量は、金塩:1〜10g/L、電導塩:0〜200g/L、キレート剤:0〜30g/L、結晶成長剤:0〜30g/Lである。
金ストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等の金ストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、チタン白金板及び酸化イリジウム等の不溶性陽極等を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜40℃、電流密度:0.5〜5.0A/dm、処理時間:5〜60秒、pH:0.5〜7.0を例示することができる。
なお、金ストライクめっきは金属基材の全面に施してもよく、第一工程(S01)において粗状ニッケルめっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
(D)パラジウムストライクめっき
パラジウムストライクめっき浴としては、例えば、パラジウム塩及び電導塩を含むものを用いることができる。また、パラジウムストライクめっき浴には光沢剤が添加されていてもよい。
上記のパラジウム塩には、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、ジクロロテトラアンミンパラジウム、ジアミノジクロロパラジウム等を用いることができる。電導塩には、例えば、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、クエン酸カリウム等を用いることができる。キレート剤には、例えば、エチレンジアミン四酢酸及びメチレンホスホン酸等を用いることができる。
光沢剤としては、サッカリンナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホミド、ブチンジオール、ベンゾアルデヒドスルホン酸ナトリウム等を例示することができる。
パラジウムストライクめっき処理に好適に用いることができるパラジウムストライクめっき浴の各構成要素の好適な使用量は、パラジウム塩:0.5〜20g/L、電導塩:50〜200g/L、光沢剤:0〜50g/Lである。
パラジウムストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のパラジウムストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、チタン白金板及び酸化イリジウム等の不溶性陽極等を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜50℃、電流密度:0.1〜5.0A/dm、処理時間:1〜60秒を例示することができる。
なお、パラジウムストライクめっきは金属基材の全面に施してもよく、第一工程(S01)において粗化ニッケルめっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
(E)ニッケルストライクめっき
ニッケルストライクめっき浴としては、例えば、ニッケル塩、陽極溶解促進剤及びpH緩衝剤を含むものを用いることができる。また、ニッケルストライクめっき浴には添加剤が添加されていてもよい。
ニッケル塩には、例えば、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル及び塩化ニッケル等を用いることができる。陽極溶解促進剤には、例えば、塩化ニッケル及び塩酸等を用いることができる。pH緩衝剤には、例えば、ホウ酸、酢酸ニッケル及びクエン酸等を用いることができる。添加剤には、例えば、1次光沢剤(サッカリン、ベンゼン、ナフタレン(ジ、トリ)、スルホン酸ナトリウム、スルホンアミド、スルフィン酸等)、2次光沢剤(有機化合物:ブチンジオール、クマリン、アリルアルデヒドスルホン酸等、金属塩:コバルト、鉛、亜鉛等)及びピット防止剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等を用いることができる。
ニッケルストライクめっき処理に好適に用いることができるニッケルストライクめっき浴の各構成要素の好適な使用量は、ニッケル塩:200〜600g/L、陽極溶解促進剤:0〜300g/L、pH緩衝剤:0〜50g/L、添加剤:0〜20g/Lである。
ニッケルストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のニッケルストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、電解ニッケル、カーボナイズドニッケル、デポライズドニッケル、サルファニッケル等の可溶性陽極等を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜70℃、電流密度:0.1〜15.0A/dm、処理時間:5〜60秒、pH:0.5〜4.5を例示することができる。
なお、ニッケルストライクめっきは金属基材の全面に施してもよく、第一工程(S01)において粗状ニッケルめっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
上記各種ストライクめっきは1種類のみを施しても、複数のストライクめっきを積層させてもよい。また、金属基材の表面状態により、ストライクめっき処理なしでも粗状ニッケルめっきの密着状況が良好となる場合は、当該ストライクめっき処理を省略することができる。
(3−2)ジンケート処理
上述の通り、ジンケート処理とは、アルミニウム基材にめっき処理を施す際の前処理として、アルミニウム基材をジンケート液に浸せきして亜鉛を置換析出(亜鉛置換)させる処理である。アルミニウム基材の表面には強固な酸化被膜が存在しており、基本的にはめっき層を形成させることが困難であるが、ジンケート処理を施して表面に亜鉛を置換析出(亜鉛置換)させることで、第一工程によって良好な粗状ニッケルめっき層を形成させることができる。ここで、ジンケート処理を2回施すことで(ダブルジンケート処理)、より良好な粗状ニッケルめっき層を形成させることができる。
ジンケート処理に用いる処理液としては、例えば、水酸化ナトリウムと酸化亜鉛を含むものを用いることができる。また、粗状ニッケルめっき層の密着性を強化するために、ニッケルや鉄を、ロッシェル塩を錯化剤として添加してもよい。
ジンケート処理に好適に用いることができる処理液の各構成要素の好適な使用量は、酸化亜鉛:5〜50g/L、水酸化ナトリウム:30〜500g/Lである。また、好適に用いることができる処理条件は、処理液温度:15〜25℃、処理時間:10〜60秒である。
一次ジンケート処理を施した後に亜鉛剥離処理を施し、その後、二次ジンケート処理を施すことによってより良好な粗状ニッケルめっき層を形成させることができる。亜鉛剥離処理には、例えば、100〜500ml/Lの硝酸希釈液等の亜鉛剥離液を用いることができ、液温:15〜30℃、処理時間:10〜60秒の処理条件を用いることができる。なお、金属基材の表面状態により、ジンケート処理なしでも粗状ニッケルめっきの密着状況が良好となる場合は、当該ジンケート処理を省略することができる。
(4)粗化ニッケルめっき処理(第一工程(S01))
粗化ニッケルめっき処理は、接続部品用導電部材の表面に凹凸を付与することを目的とし、金属基材と錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層との間において、算術平均粗さRaが0.10μm以上である粗状ニッケルめっき層を形成させる処理である。加えて、粗状ニッケルめっき層は、金属基材と錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層との間において、金属基材を構成する元素と銀又は金との拡散及び反応を防止するバリア層として機能する。金属基材と錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層との間に粗状ニッケルめっき層が存在することで、金属基材を構成する元素と銀又は金との拡散及び反応に伴う金属間化合物の形成による、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層の脆化を抑制することができる。
粗化ニッケルめっき浴としては、例えば、ニッケル金属塩、陽極溶解促進剤、pH緩衝剤、及び塩化物を含むものを用いることができる。ここで、塩化物を多く含むことが粗化ニッケルめっき浴の特徴である。また、粗化ニッケルめっき浴には添加剤が添加されていてもよい。
ニッケル金属塩には、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル等を用いることができる。陽極溶解促進剤には、例えば、塩化ニッケル及び塩酸等を用いることができる。pH緩衝剤には、例えば、ホウ酸、酢酸ニッケル及びクエン酸等を用いることができる。添加剤には、例えば、1次光沢剤(サッカリン、ベンゼン、ナフタレン(ジ、トリ)スルホン酸ナトリウム、スルホンアミド、スルフィン酸等)、2次光沢剤(有機化合物:ブチンジオール、クマリン、アリルアルデヒドスルホン酸等、金属塩:コバルト、鉛、亜鉛等)、及びピット防止剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等を用いることができる。
粗化ニッケルめっき処理に好適に用いることができる粗化ニッケルめっき浴の各構成要素の好適な使用量は、ニッケル金属塩:240〜600g/L、陽極溶解促進剤:0〜300g/L、pH緩衝剤:20〜40g/L、塩化物:50〜300g/L、添加剤:0〜5g/Lである。
粗化ニッケルめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等の粗化ニッケルめっき条件は、用いる粗化めっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、電解ニッケル、カーボナイズドニッケル、デポライズドニッケル、サルファニッケル等の可溶性陽極及びステンレス板、チタン白金板、酸化イリジウム板等の不溶性陽極を用いることができる。また、好適なめっき条件としては、浴温:30〜60℃、電流密度:0.5〜5.0A/dm2、処理時間:5〜1000秒、pH:0.5〜4.5を例示することができる。pH範囲はニッケルめっき処理と同じでよい。
なお、粗化ニッケルめっき処理によって形成される粗状ニッケルめっき層は、連続する膜形状であることが好ましく、当該粗状ニッケルめっき層の厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。0.5μm未満であるとバリア効果に乏しく、10μmより厚いと曲げ加工時にクラックが発生しやすくなる。なお、粗状ニッケルめっき層は、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。
(5)ニッケルめっき処理
ニッケルめっき処理は、第一工程(S01)によって形成された粗状ニッケルめっき層に対して施す処理であり、粗状ニッケルめっき層の粗度の調整及びはんだ濡れ性等の電気的特性以外の特性を向上させることが目的である。粗状ニッケルめっき層の表面に形成させるニッケルめっき層の厚さは、10μm未満とすることが好ましい。ニッケルめっき層の厚さを10μm未満とすることで、曲げ加工時のクラック発生を抑制することができる。
ニッケルめっき浴としては、例えば、ニッケル塩、陽極溶解促進剤及びpH緩衝剤を含むものを用いることができる。また、ニッケルめっき浴には添加剤が添加されていてもよい。
ニッケル塩には、例えば、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル及び塩化ニッケル等を用いることができる。陽極溶解促進剤には、例えば、塩化ニッケル及び塩酸等を用いることができる。pH緩衝剤には、例えば、ホウ酸、酢酸ニッケル及びクエン酸等を用いることができる。添加剤には、例えば、1次光沢剤(サッカリン、ベンゼン、ナフタレン(ジ、トリ)スルホン酸ナトリウム、スルホンアミド、スルフィン酸等)、2次光沢剤(有機化合物:ブチンジオール、クマリン、アリルアルデヒドスルホン酸等、金属塩:コバルト、鉛、亜鉛等)、及びピット防止剤(ラウリル硫酸ナトリウム等)等を用いることができる。
ニッケルめっき処理に好適に用いることができるニッケルめっき浴の各構成要素の好適な使用量は、ニッケル塩:200〜600g/L、陽極溶解促進剤:0〜300g/L、pH緩衝剤:20〜50g/L、添加剤:0〜20g/Lである。
ニッケルめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のニッケルめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、電解ニッケル、カーボナイズドニッケル、デポライズドニッケル、サルファニッケル等の可溶性陽極等を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜70℃、電流密度:0.1〜15.0A/dm、処理時間:10〜50000秒、pH:0.5〜4.5を例示することができる。
なお、ニッケルめっき層は、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。
(6)錫めっき処理、銀めっき処理又は金めっき処理(第二工程(S02))
本発明の接続部品用導電部材の最表面は錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層であり、粗状ニッケルめっき層又はニッケルめっき層の表面に錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層が形成される。なお、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層は、粗状ニッケルめっき層又はニッケルめっき層の全面に形成させてもよく、任意の一部分に形成させてもよい。
(6−1)錫めっき処理
錫めっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の錫めっき手法を用いることができる。
錫めっき処理に用いることができるめっき浴には酸性浴、中性浴及びアルカリ性浴が存在するが、いずれの浴も好適に用いることができる。酸性浴としては硫酸浴及び有機スルホン酸浴、中性浴としてはピロリン酸浴及びグルコン酸浴、アルカリ性浴としてはスズ酸カリウム浴及びスズ酸ナトリウム浴を例示することができる。好適な使用量は、金属スズ:20〜70g/L、遊離酸:50〜300g/Lである。
めっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、錫やチタン白金板・酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いることができる。また、好適なめっき条件としては、浴温:15〜55℃、電流密度:0.5〜30.0A/dm、pH:0〜12を例示することができ、0.01〜50μmの厚さを有する錫めっき層を形成させることが好ましい。
(6−2)銀めっき処理
銀めっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の銀めっき手法を用いることができるが、銀ストライクめっきと比較して、めっき浴中の銀塩の濃度を高く、電導塩の濃度を低くすることが好ましい。
銀めっき処理に好適に用いることができる銀めっき浴は、銀塩と、シアン化アルカリ塩と、電導塩と、により構成され、必要に応じて添加剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、銀塩:30〜120g/L、シアン化アルカリ塩:1〜150g/L、電導塩:0〜200g/L、添加剤:0〜1000ppmである。
銀塩としては、例えば、シアン化銀、シアン化銀カリウム、ヨウ化銀、酸化銀、硫酸銀、硝酸銀、塩化銀等を用いることができる。シアン化アルカリ塩としては、例えば、シアン化カリウム及びシアン化ナトリウム等を用いることができる。電導塩としては、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム等を用いることができる。
添加剤としては、例えば、金属添加剤(アンチモン、セレン、テルル等)及び有機添加剤(芳香族スルホン酸系化合物、芳香族イミド系化合物等)を用いることができる。
めっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、銀、ステンレス鋼、チタン白金板、酸化イリジウム等の不溶性陽極及び銀板(可溶性陽極)を用いることができる。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜60℃、電流密度:0.5〜5.0A/dm、処理時間:5〜60秒を例示することができ、0.1〜50μmの厚さを有する銀めっき層を形成させることが好ましい。
(6−3)金めっき処理
金めっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の金めっき手法を用いることができるが、金ストライクめっきと比較して、めっき浴中の金塩の濃度を高く、電導塩の濃度を低くすることが好ましい。
金めっき処理に好適に用いることができる金めっき浴は、金塩と、電導塩と、錯化剤とにより構成され、必要に応じて光沢剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、金塩:0.5〜10g/L、電導塩:50〜200g/L、錯化剤:10〜100g/L、光沢剤:0.1〜5ppmである。
金塩としては、例えば、シアン化金、塩化金、ヨウ化金、臭化金等を用いることができる。電導塩としては、例えば、クエン酸カリウム、リン酸カリウム等を用いることができる。
錯化剤としては、例えば、ロッシェル塩、EDTA等を用いることができる。光沢剤としては、例えば、金属添加剤(アンチモン、セレン、テルル等)及び有機添加剤(芳香族スルホン酸系化合物、芳香族イミド系化合物等)を用いることができる。
めっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、ステンレス鋼、チタン白金板、酸化イリジウム板等の不溶性陽極を用いることができる。また、好適なめっき条件としては、浴温:30〜50℃、電流密度:0.1〜5.0A/dm、処理時間:5〜200秒を例示することができ、0.05〜5μmの厚さを有する金めっき層を形成させることが好ましい。
≪接続部品用導電部材≫
図2は、本発明の接続部品用導電部材の実施形態の一例における概略断面図である。接続部品用導電部材1は、金属基材2の表面に粗状ニッケルめっき層4を介して銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10が形成されている。
金属基材2と粗状ニッケルめっき層4との密着性を改善するために、金属基材2に銀ストライクめっき、銅ストライクめっき、金ストライクめっき、パラジウムストライクめっき、ニッケルストライクめっきの群から選ばれる1または2以上のストライクめっきを施し、ストライクめっき層(図示せず)を形成させる場合がある。当該ストライクめっき層は連続する膜形状であっても、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。なお、ストライクめっき条件によっては、ストライクめっき層の識別が困難な場合も存在する。ストライクめっき層の厚さは0.01〜0.5μmであることが好ましい。
金属基材2がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合、金属基材2と粗状ニッケルめっき層4との密着性を改善するために、金属基材2にジンケート処理を施す場合がある。なお、ジンケート処理領域(図示せず)については認識が困難な場合も存在する。
金属基材2の金属は、電導性を有している限り特に限定されず、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電導性・熱伝導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましく、軽量であるという理由から、アルミニウム及びアルミニウム合金を用いることが好ましい。
粗状ニッケルめっき層4の表面の算術平均粗さRaは0.10μm以上であること、が好ましい。粗状ニッケルめっき層のRaが0.10以上であることで、接続部品用導電部材1の最表面が粗状となる。この結果、接続部品用導電部材1を使用する際の押しつけ荷重に偏りが生じた場合でも、十分な電気接点を確保することができる。また、粗状ニッケルめっき層4の最大高さRz1.0μm以上であればよい。なお、Ra及びRzはJIS B0601:2001準拠であり、それらの上限については、製品組立工程に差障りの無い範囲(例えば半田付け工程などがある場合はRa1μm未満等)で設定可能である。
粗状ニッケルめっき層4の表面に、更にニッケルめっき層(図示せず)が形成されていてもよい。粗状ニッケルめっき層4にニッケルめっきを施すことによって、粗状ニッケルめっき層4の粗度を調整することができると共に、はんだ濡れ性等の電気的特性以外の特性を向上させることができる。
粗状ニッケルめっき層4の表面(粗状ニッケルめっき層4にニッケルめっき処理を施す場合はニッケルめっき層の表面)には、銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10が形成されている。
銀めっき層6の厚さは、0.1〜50μmであること、が好ましい。50μm超であると銀の使用量が増えて経済的ではなく、生産性も悪くなり、0.1μm未満であると、銀の電気的特性を十分に得られない。銀めっき層6は基本的に一定の厚さを有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に薄くなっていたり厚くなっていたりしてもよい。また、銀めっき層6のビッカース硬度は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、10HV〜250HVであることが好ましい。
金めっき層8の厚さは、0.05〜5μmであること、が好ましい。5μm超であると金の使用量が増えて経済的ではなく、生産性も悪くなる。0.05μm未満であると、金の電気的特性を十分に得られない。金めっき層8は基本的に一定の厚さを有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に薄くなっていたり厚くなっていたりしてもよい。また、金めっき層8のビッカース硬度は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、60HV〜250HVであることが好ましい。
錫めっき層10の厚さは、0.01〜50μmであること、が好ましい。50μm超であると生産性が悪くなり、0.01μm未満であると、錫の電気的特性を十分に得られない。錫めっき層10は基本的に一定の厚さを有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に薄くなっていたり厚くなっていたりしてもよい。
接続部品用導電部材1においては、銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10と金属基材2との間に粗状ニッケルめっき層4が存在するため、金属基材2を構成する元素と銀又は金との拡散及び、反応に伴う金属間化合物の形成による銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10の脆化を極めて効果的に抑制することができる。
従来、接続端子には軸受性及び加工性に優れたリフロー錫めっきが多く用いられてきたが、耐摩耗性に乏しい、電気抵抗が高い、といった問題が存在した。これに対し、接続部品用導電部材1においては、最表面が銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10となっており、銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10が有する優れた耐摩耗性、低い電気抵抗、及び良好な耐熱性等を利用することができる。
更に、摺動摩耗が顕著な領域の最表面を銀めっき層6、金めっき層8又は錫めっき層10とすることで、例えば、摺動摩耗によって飛散したリフロー錫めっき層の破片を原因とする、発火及び感電等の重大な事故を防止することができる。接続部品用導電部材1の最表層は、Ra0.10μm以上で、Rz1.0μm以上であるのが好ましい。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例1≫
金属基板として市販の銅板(厚さ0.5mm、めっき面積0.1dm)を用い、以下の工程で各種めっき層を形成させた。
シアン化ナトリウム30g/L、水酸化ナトリウム30g/L、キレート剤20g/Lを含む浴を用い、陽極材料をステンレス板、陰極材料を銅材とし、浴温室温、電圧3Vで30秒間、陰極電解脱脂処理を施した(洗浄処理)。次に、洗浄処理後の銅板を室温の5%硫酸に5秒間浸漬した(酸処理)。
次に、300g/Lのスルファミン酸ニッケル、90g/Lの塩化ニッケル・6水和物、100g/Lの塩化カリウム、10g/Lのホウ酸、及び0.2g/Lのラウリル硫酸ナトリウムを含む粗化ニッケルめっき浴を用い、陽極材料をサルファニッケル板、陰極材料を洗浄処理後の銅板として、浴温:50℃、4A/dmの条件で2分間処理を施して、厚さ1μmのニッケルめっき層を形成させた(粗化ニッケル処理(第一工程))。
次に、シアン化銀40g/L、シアン化カリウム30g/L、炭酸カリウム30g/L、水酸化カリウム30g/L、酒石酸アンチモニルカリウム三水和物2.5g/Lの浴で、陽極材料としてチタン白金板、陰極材料として粗化ニッケルめっきを施した銅板を用いて、浴温30℃、電流密度4A/dmの条件で50秒間の処理を施し、厚さ2μmの硬質銀めっきを形成させた(銀めっき処理(第二工程))。
[評価]
・ 表面粗さ測定
上記粗化ニッケルめっき処理後の試料について、表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定した。なお、当該測定にはオリンパス株式会社製の走査型共焦点レーザ顕微鏡(OLS3100)を使用した。得られたデータ及びRaの値を図3に示した。
(2)表面形状の観察
上記のようにして作製した接続部品用導電部材について、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査電子顕微鏡SU1510を用いて表面形状を観察した。
(3)接触抵抗の測定
上記のようにして作製した接続部品用導電部材について、接触抵抗を測定した。測定条件は、使用プローブ:SK材+ニッケル下地金めっき、測定開始荷重:0.5N、測定終了荷重:40N、測定回数:10回である。
≪実施例2≫
上記粗化ニッケルめっき処理の後、40g/Lのシアン化銀、30g/Lのシアン化カリウム、30g/Lの炭酸カリウムを含む銀めっき浴を用い、陽極材料としてチタン白金板、陰極材料として粗化ニッケルめっきを施した銅板を用いて、浴温30℃、電流密度4A/dmの条件で50秒間の処理を施し、厚さ2μmの軟質銀めっき層を形成させた(軟質銀めっき処理)以外は、実施例1と同様にして接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。
≪実施例3≫
上記粗化ニッケルめっき処理の時間を調整して厚さ約3μmのニッケルめっき層を形成させた後、30g/Lの硫酸錫、50g/Lの硫酸、30g/Lのクレゾールスルホン酸を含む光沢錫めっき液を用い、陽極材料に錫板、陰極材料を粗化ニッケルめっき処理後の材料として、浴温:20℃、電流密度:1A/dmの条件で60秒間の錫めっき処理を施し、1μmの錫めっき層を形成させた以外は、実施例1と同様にして接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。得られたRaの値及び動摩擦係数を表1に示す。なお、動摩擦係数は新東科学(株)製摩擦摩耗試験機HEIDON−14を用い、荷重50gf、移動速度60mm/分、移動距離10mmの条件にて計測した。
≪実施例4≫
上記粗化ニッケルめっき処理の後、40g/Lのシアン化銀、30g/Lのシアン化カリウム、及び30g/Lの炭酸カリウムを含む銀めっき浴を用い、陽極材料をチタン白金板、陰極材料を銀ストライクめっき処理後めっき材として、浴温:30℃、電流密度:1A/dmの条件で30秒間の処理を施し、0.5μmの銀めっき層を形成させた以外は、実施例1と同様にして接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。得られたRaの値及び動摩擦係数を表1に示す。なお、動摩擦係数は新東科学(株)製摩擦摩耗試験機HEIDON−14を用い、荷重50gf、移動速度60mm/分、移動距離10mmの条件にて計測した。
≪比較例1≫
実施例1に記載の洗浄処理及び酸処理の後、粗化ニッケルめっき処理ではなく一般的なニッケルめっき処理を施した。具体的には、300g/Lのスルファミン酸ニッケル、5g/Lの塩化ニッケル・6水和物、10g/Lのホウ酸、及び0.2g/Lのラウリル硫酸ナトリウムを含むニッケルめっき浴を用い、陽極材料をサルファニッケル板、陰極材料を酸処理後の銅板として、浴温:50℃、4A/dmの条件で2分間の処理を施して、厚さ1μmのニッケルめっき層を形成させた。ここで、実施例1と同様に、ニッケルめっき層を形成させた試料の表面粗さを測定した。得られたデータ及びRaの値を図3に示した。
次に、シアン化銀40g/L、シアン化カリウム30g/L、炭酸カリウム30g/L、水酸化カリウム30g/L、酒石酸アンチモニルカリウム三水和物2.5g/Lの浴で、陽極材料としてチタン白金板、陰極材料として粗化ニッケルめっきを施した銅板を用いて、浴温30℃、電流密度4A/dm2の条件で50秒間の処理を施し、厚さ2μmの硬質銀めっきを形成させて(銀めっき処理)、接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。得られた算術平均粗さRaを表1に示す。
≪比較例2≫
比較例1に記載のニッケルめっき処理の後、40g/Lのシアン化銀、30g/Lのシアン化カリウム、30g/Lの炭酸カリウムを含む銀めっき浴を用い、陽極材料としてチタン白金板、陰極材料として粗化ニッケルめっきを施した銅板を用いて、浴温30℃、電流密度4V/dm2の条件で50秒間の処理を施し、厚さ2μmの軟質銀めっき層を形成させた(軟質銀めっき処理)以外は、比較例1と同様にして接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。
≪比較例3≫
比較例1に記載のニッケルめっき処理の後、実施例3と同様にして接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。得られたRaの値及び動摩擦係数を表1に示す。なお、動摩擦係数は新東科学(株)製摩擦摩耗試験機HEIDON−14を用い、荷重50gf、移動速度60mm/分、移動距離10mmの条件にて計測した。
≪比較例4≫
比較例1に記載のニッケルめっき処理の後、実施例4と同様にして接続部品用導電部材を作製し、各種評価を行った。得られたRaの値及び動摩擦係数を表1に示す。なお、動摩擦係数は新東科学(株)製摩擦摩耗試験機HEIDON−14を用い、荷重50gf、移動速度60mm/分、移動距離10mmの条件にて計測した。
表1に示す結果から、最表面に同種のめっき層を有する実施例と比較例を比較すると、本発明の実施例は表面粗さが大きく、低い動摩擦係数を有していることが分かる。
また、図3に示す結果から、本発明の実施例に関しては、金属基材の表面に形成させるニッケルめっき層のRaは0.1775μmと、0.10μm以上の範囲に含まれており、表面が適度に荒れていることが分かる。一方で、通常のニッケルめっき処理を施して得られた比較例1のニッケルめっき層のRaは0.0478μmと小さく、平滑な表面となっている。
図4〜図7に、実施例1、2及び比較例1、2で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。粗化ニッケルめっき処理を施した実施例1及び2で得られた接続部品用導電部材の表面には顕著な凹凸が観察されるのに対し、一般的なニッケルめっき処理を施した比較例1及び2で得られた接続部品用導電部材の表面は平滑な状態となっている。
図8〜図11に、実施例1、2及び比較例1、2で得られた接続部品用導電部材表面の接触抵抗測定結果をそれぞれ示す。各図において、横軸にはプローブの押付け荷重を、縦軸には接触抵抗値をそれぞれ示している。
本発明の実施例1及び2で得られた接続部品用導電部材においては、押付け荷重が低い場合でも接触抵抗の値がそれ程大きくなっていない。これに対し、比較例1及び比較例2で得られた接続部品用導電部材においては、押付け荷重の低下に伴って接触抵抗値が急激に増加している。当該結果は、本発明の接続部品用導電部材に関して、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点を十分に確保できるということを示している。
図12及び図13に、実施例3及び比較例3で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。粗化ニッケルめっき処理を施した実施例3で得られた接続部品用導電部材の表面には顕著な凹凸が観察されるのに対し、一般的なニッケルめっき処理を施した比較例3で得られた接続部品用導電部材の表面は平滑な状態となっている。
図14及び図15に、実施例4及び比較例4で得られた接続部品用導電部材表面の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。粗化ニッケルめっき処理を施した実施例4で得られた接続部品用導電部材の表面には顕著な凹凸が観察されるのに対し、一般的なニッケルめっき処理を施した比較例4で得られた接続部品用導電部材の表面は平滑な状態となっている。
図16及び図17に、実施例3及び比較例3で得られた接続部品用導電部材表面の接触抵抗測定結果をそれぞれ示す。各図において、横軸にはプローブの押付け荷重を、縦軸には接触抵抗値をそれぞれ示している。
本発明の実施例3で得られた接続部品用導電部材においては、押付け荷重が低い場合でも接触抵抗の値がそれ程大きくなっていない。これに対し、比較例3で得られた接続部品用導電部材においては、押付け荷重の低下に伴って接触抵抗値が急激に増加している。当該結果は、本発明の接続部品用導電部材に関して、接続部品同士を押しつける接圧力が小さい場合においても電気接点を十分に確保できるということを示している。
1・・・接続部品用導電部材、
2・・・金属基材、
4・・・粗状ニッケルめっき層、
6・・・銀めっき層、
8・・・金めっき層、
10・・・錫めっき層。

Claims (6)

  1. 金属基材の少なくとも一部に粗化ニッケルめっき処理を施し、前記金属基材の表面に凹凸形状を有する粗状ニッケルめっき層を形成させる第一工程と、
    前記粗状ニッケルめっき層の少なくとも一部に錫めっき処理、銀めっき処理又は金めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、
    を特徴とする接続部品用導電部材の製造方法。
  2. 前記粗状ニッケルめっき層の表面の算術平均粗さRaが0.10μm以上であること、
    を特徴とする請求項1に記載の接続部品用導電部材の製造方法。
  3. 前記金属基材に銅又は銅合金を用い、
    前記第一工程の予備処理として、前記金属基材の少なくとも一部に、銀ストライクめっき、銅ストライクめっき、金ストライクめっき、パラジウムストライクめっき、ニッケルストライクめっきの群から選ばれる1または2以上のストライクめっきを施すこと、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の接続部品用導電部材の製造方法。
  4. 前記金属基材にアルミニウム又はアルミニウム合金を用い、
    前記第一工程の予備処理として、前記金属基材の少なくとも一部に、一次ジンケート処理と、亜鉛剥離処理と、二次ジンケート処理と、を施すこと、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の接続部品用導電部材の製造方法。
  5. 前記第二工程の予備処理として、前記粗状ニッケルめっき層にニッケルめっきを施すこと、
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接続部品用導電部材の製造方法。
  6. 金属基材と、粗状ニッケルめっき層と、錫めっき層、銀めっき層又は金めっき層と、をそれぞれ有する接続部品用導電部材であって、
    前記銀めっき層又は前記金めっき層は、前記粗状ニッケルめっき層を介して前記金属基材の表面に形成され、
    前記粗状ニッケルめっき層の表面の算術平均粗さRaが0.10μm以上であること、
    を特徴とする接続部品用導電部材。
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