JP6182757B2 - めっき材の製造方法及びめっき材 - Google Patents

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本発明はニッケル系基材への銀めっき方法及び当該銀めっき方法により得られるめっき材に関し、より具体的には、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有し、かつ、経時的なめっき材の変色及び接触抵抗の上昇を抑制するのに好適なニッケル系基材への銀めっき方法及び当該方法にて得られるめっき材に関する。
銀めっきは電導性、低接触抵抗性及び耐熱性等に優れた特性を有し、各種接点、端子、コネクタ、スイッチ等の電気・電子部品に広く利用されている(例えば、特許文献1(特開2001−3194号公報)参照)。
しかしながら、基材がニッケルめっきを施した金属基材やニッケル系合金等の場合、基材と銀めっき層との密着性が十分に確保されず、銀めっき層が基材から容易に剥離してしまうという問題がある。
これに対し、基材と銀めっき層との間に銅ストライクめっき層を形成し、基材と銀めっき層との密着性を改善する手法が存在する。例えば、特許文献2(特許第3889718号公報)においては、ステンレス鋼などの素材に銀めっきを施した銀めっき材として、ステンレス鋼からなる薄板状基板の表面に厚さ0.1〜0.3μmのニッケルめっき層が形成され、その上に厚さ0.1〜0.5μmの銅めっき層が形成され、その上に厚さ1μmの銀めっき層が形成された電気接点用金属板が提案されている。
上記特許文献2に記載の銀めっき材においては、銀めっき層の剥離が効果的に抑制されるとしているが、銀めっき層の下地として銅めっき層を用いた場合、高温環境下での使用により銅が銀めっき層中に拡散し、銀めっき層の変色や接触抵抗の上昇を導いてしまう。
特開2001−3194号公報 特許第3889718号公報
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有し、かつ、経時的なめっき材の変色及び接触抵抗の上昇を抑制するのに好適なニッケル系基材への銀めっき方法及び当該方法にて得られるめっき材を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、ニッケル系基材に銀めっき層を形成させる方法について鋭意研究を重ねた結果、銀めっきの予備処理として、ニッケル系基材の表面に金ストライクめっき層を形成させることが極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
ニッケル系基材の表面に銀めっき層を形成させるめっき材の製造方法であって、
前記ニッケル系基材の少なくとも一部に金ストライクめっき処理を施す第一工程と、
前記金ストライクめっき処理を施した領域の少なくとも一部に銀めっき処理を施す第二工程と、を含むこと、
を特徴とするめっき材の製造方法を提供する。
本発明のめっき材の製造方法においては、前記第一工程によって形成される金ストライクめっき層の厚さを0.1nm〜0.2μmとすること、が好ましい。加えて、前記金ストライクめっき層のビッカース硬度を10〜250HVとすること、が好ましい。
ここで、第一工程によって形成される金ストライクめっき層は、連続する膜形状であることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。また、金ストライクめっき層は金合金ストライクめっき層を含む概念であり、金合金としては、本発明の効果を損なわない範囲で金以外の金属等を含む金合金であってよく、かかる金合金としては従来公知の種々の金合金を用いることができる(以下、同様)。
また、本発明のめっき材の製造方法においては、ニッケルめっき層を形成させた金属基材をニッケル系基材として用いることができる。ニッケルめっき方法は特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の種々のニッケルめっき方法を用いることができる。
また、本発明のめっき材の製造方法においては、前記第二工程によって形成させる銀めっき層の厚さ及びビッカース硬度をそれぞれ0.1〜50μm及び10〜250HVとすること、が好ましい。
また、本発明は、
ニッケル系基材の表面に形成された金ストライクめっき層と、
前記金ストライクめっき層の上に形成された銀めっき層と、を有し、
前記金ストライクめっき層は前記ニッケル系基材に対して冶金的に接合され、
前記銀めっき層は前記金ストライクめっき層に対して冶金的に接合されていること、
を特徴とするめっき材を提供する。
本発明のめっき材においては、前記金ストライクめっき層の厚さ及びビッカース硬度がそれぞれ0.1nm〜0.2μm及び10〜250HVであり、前記銀めっき層の厚さ及びビッカース硬度がそれぞれ0.1〜50μm及び10〜250HVであること、が好ましい。
本発明のめっき材の製造方法によれば、優れた耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有し、かつ、経時的なめっき材の変色及び接触抵抗の上昇を抑制するのに好適なニッケル系基材への銀めっき方法及び当該方法にて得られるめっき材を提供することができる。
本発明のめっき積層体の製造方法の工程図である。 本発明のめっき材の第一実施形態の概略断面図である。 本発明のめっき材の第二実施形態の概略断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明のめっき材の製造方法及びめっき材について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
≪めっき材の製造方法≫
図1は、本発明のめっき材の製造方法の工程図である。本発明のめっき材の製造方法は、ニッケル系基材に銀めっき層を形成させるめっき材の製造方法であって、ニッケル系基材の表面の任意の領域に金ストライクめっき層を形成させる第一工程(S01)と、金ストライクめっき層の任意の領域に銀めっき層を形成させる第二工程(S02)と、を含んでいる。
また、金ストライクめっき層を形成させる第一工程(S01)の予備処理として、ニッケルめっき層を形成させる前工程(S00)を施してもよい。前工程(S00)は任意の工程であるが、金属基材がニッケル系基材ではない場合に好適に用いることができ、ニッケルめっき層を形成させた金属基材をニッケル系基材として扱うことができる。
金属基材に用いる金属は、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の金属を用いることができ、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金、ニッケル及びニッケル系合金等を挙げることができるが、ニッケル及びニッケル系合金を用いることが好ましい。ニッケル系合金としては、白銅、オーステナイト系ステンレス鋼、コバール、及び42アロイ等を例示することができる。
前工程(S00)で金属基材にニッケルめっきを施したもの(金属基材がニッケル系基材の場合は省略することができる)に対し、第一工程(S01)及び第二工程(S02)を経てめっき材を得ることができる。以下、各処理について詳細に説明する。
(1)洗浄処理
洗浄工程は、任意の工程であり、図1には示していないが、金属基材の表面を洗浄する工程である。ここでは、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の洗浄処理液及び処理条件を用いることができる。
洗浄処理液には一般的な浸漬脱脂溶液や電解脱脂溶液を使用することができる。具体的には、第三リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム又はオルトケイ酸ナトリウム等10〜50g/Lを水溶した浴(例えば弱アルカリ性)に界面活性剤0.1〜10g/Lを加えた浴で浴温20〜70℃、10〜60秒間浸漬する。又は陽極にステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いて、陰極電流密度2〜5A/dm2で陰極電解脱脂を行ってもよい。
上記洗浄処理の後、塩酸及び硫酸等の一般的な非酸化性酸を用いて金属基材の表面を酸処理することが好ましい。酸処理により、金属基材の表面におけるスケール、酸化皮膜、不動態皮膜、錆等を除去することで、金属基材の表面に形成されるニッケルめっき層や金ストライクめっき層の密着性を向上させることができる。
(2)ニッケルめっき処理(前工程(S00))
ニッケルめっき処理は、ニッケル系基材以外の金属基材に対し、表面にニッケルめっき層を形成させるための処理である。金属基材の表面をニッケルめっき層とすることで、当該金属基材をニッケル系基材と同様に扱うことができる。なお、ニッケル系基材に対してニッケルめっき処理を施してもよい。
ニッケルめっき浴としては、例えば、ワット浴やスルファミン酸浴を用いることができるが、電着応力の低いスルファミン酸浴を用いることが好ましい。なお、強酸性のウッドストライク浴は避ける方が好ましい。ニッケルめっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々のニッケルめっき手法を用いることができる。例えば、ニッケルめっき浴は硫酸ニッケル・スルファミン酸ニッケル・塩化ニッケル等のニッケル塩と、塩化ニッケル等の陽極溶解剤と、ホウ酸・酢酸・クエン酸等のpH緩衝剤とで構成された液に、添加剤として少量の光沢剤やレベリング剤、ピット防止剤等を添加したものを用いることができる。各構成要素の好適な使用量は、ニッケル塩:100〜600g/L、陽極溶解剤:0〜50g/L、pH緩衝剤:20〜50g/L、添加剤:〜5000ppmである。
前工程のニッケルめっき処理によって形成されるニッケルめっき層は、連続する膜形状であることが好ましく、当該ニッケルめっき層の厚さは0.05μm〜10μmであることが好ましい。0.05μm未満であると層の連続性やバリア効果に乏しく、10μm以上であると曲げ加工時にクラックが発生しやすくなる。なお、ニッケルめっき層は、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。
(3)金ストライクめっき処理(第一工程(S01))
金ストライクめっき処理は、ニッケル系基材又は前工程(S00)によって形成されたニッケルめっき層と、銀めっき層との密着性を改善するために施される処理である。銀めっき層のストライクめっき層として金めっき層を用いることで、銅ストライクめっき層を用いた場合に生じるような銀めっき層の変色や接触抵抗の上昇を防止することができる。
金ストライクめっき浴は、例えば、金塩と、電導塩と、キレート剤と、結晶成長剤と、により構成され、必要に応じて光沢剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、金塩:1〜10g/L、電導塩:0〜200g/L、キレート剤:0〜30g/L、結晶成長剤:0〜30g/Lである。
金塩としては、例えば、シアン化金、シアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウム、亜硫酸金ナトリウム、チオ硫酸金ナトリウム等を挙げることができる。また、電導塩としては、例えば、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、チオ硫酸カリウム等を挙げることができる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、メチレンホスホン酸等を挙げることができる。また、結晶成長剤としては、例えば、コバルト、ニッケル、タリウム、銀、パラジウム、錫、亜鉛、銅、ビスマス、インジウム、ヒ素、カドミウム等を挙げることができる。
金ストライクめっき浴のpHは0.5〜7.0とすることが好ましく、pH調整剤としては、例えば、ポリリン酸、クエン酸、酒石酸、水酸化カリウム、塩酸等を用いることができる。
金ストライクめっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等の金ストライクめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、チタン白金板及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜40℃、電流密度:0.1〜5A/dm2、処理時間:1〜60秒を例示することができる。
なお、金ストライクめっきはニッケル系基材又はニッケルめっき層の全面に施してもよく、第二工程(S02)において銀めっきを形成させたい領域のみに施してもよい。
金ストライクめっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の金めっき手法を用いることができるが、形成される金ストライクめっき層の厚さ及びビッカース硬度をそれぞれ0.1nm〜0.2μm及び10〜250HVとすることが好ましい。
金ストライクめっき層の厚さが0.1nm以上であれば銀めっき層とニッケル系基材との密着性を十分に向上させることができ、金ストライクめっき層の厚さが0.2μm以下であれば高価な金の使用量を抑制することができる。加えて、金ストライクめっき層のビッカース硬度が10HV以上であれば銀めっき層とニッケル系基材との接合層として十分な接合強度を発揮することができ、250HV以下であれば脆性的な界面剥離を抑制することができる。
なお、上述のとおり、本発明における金ストライクめっき層とは、金合金ストライクめっき層を含む概念である。即ち、本発明の効果を損なわない範囲で金以外の金属等を含む金合金であってよい。かかる金合金としては従来公知の種々の金合金を用いることができる。
例えば、Au−Ni合金、Au−Co合金、Au−Ni−W合金、Ni−Pd−Au合金、Au−Cu合金、Au−As合金、Au−Ag合金、Au−Sn合金、Au−In合金、Au−Fe合金、Au−Zn合金、Au−Mn合金、Au−Pb合金、Au−P合金、Au−Pd合金、Au−Cr合金、Au−Cd合金、Au−Ga合金、Au−Si合金、Au−Ge合金、Au−Pt合金、Au−Cu−Ni合金、Au−Co−W合金、Au−Ag−Sb合金、Au−Ag−Zn合金、Au−Ag−Pd−Pt合金等を挙げることができる。
(4)銀めっき処理(第二工程(S02))
銀めっき処理は第一工程(S01)において金ストライクめっきされた領域のうちの少なくとも一部に、概略的には単一のより厚い銀めっき層を形成させるための処理である。
銀めっき処理には、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の銀めっき手法を用いることができる。銀めっき処理に好適に用いることができる銀めっき浴は、銀塩と、シアン化アルカリ塩と、電導塩と、により構成され、必要に応じて光沢剤が添加されていてもよい。各構成要素の好適な使用量は、銀塩:30〜50g/L、シアン化アルカリ塩:15〜160g/L、電導塩:50〜200g/L、光沢剤:〜1000ppmである。
銀塩としては、例えば、シアン化銀、ヨウ化銀、酸化銀、硫酸銀、硝酸銀、塩化銀等が挙げられ、電導塩としては、例えば、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヨウ化カリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
光沢剤としては金属光沢剤及び/又は有機光沢剤を用いることができる。また、金属光沢剤としては、アンチモン(Sb)、セレン(Se)、テルル(Te)等を例示でき、有機光沢剤としては、芳香族スルホン酸化合物、メルカプタン類等を例示することができる。
めっき浴の浴温度、陽極材料、電流密度等のめっき条件は、用いるめっき浴及び必要とするめっき厚さ等に応じて適宜設定することができる。例えば、陽極材料には、可溶性陽極、ステンレス鋼、チタン白金板、及び酸化イリジウム等の不溶性陽極を用いることが好ましい。また、好適なめっき条件としては、浴温:20〜60℃、電流密度:0.5〜15A/dm2、処理時間:0.5〜10000秒を例示することができる。
銀めっき層の厚さ及びビッカース硬度はそれぞれ0.1〜50μm及び10〜250HVとすること、が好ましい。銀めっき層の厚さが0.1μm以上あれば耐摩耗性、電導性、摺動性及び低摩擦性を有する連続的な銀めっき層を形成させることができ、50μm以下であれば高価な銀の使用量の観点から経済的である。加えて、銀めっき層のビッカース硬度が10HV以上であれば銀めっき層の摺動性等を利用することができ、250HV以下であれば銀めっき層に必要な靱性等を担保できる。また、銀めっきは金属基材の全面に施してもよく、第一工程(S01)において金ストライクめっきを形成させた領域のみに施してもよい。
≪めっき材≫
(1)第一実施形態
図2は、本発明のめっき材の第一実施形態の概略断面図である。めっき材1は、ニッケル系基材2の表面に金ストライクめっき層4が形成され、金ストライクめっき層4の表面に銀めっき層6が形成されている。
ニッケル系基材2は、主要成分としてニッケルを含んでいる限り特に限定されず、ニッケルや各種ニッケル系合金等を用いることができる。ニッケル系合金としては、例えば、白銅、オーステナイト系ステンレス鋼、コバール、及び42アロイ等を例示することができる。
金ストライクめっき層4は、連続する膜形状であることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、粒状や島状の不連続な膜形状であってもよい。後者の場合、粒状及び島状部分が部分的に連続していてもよい。また、上述のとおり、金ストライクめっき層4は金合金ストライクめっき層を含む概念であり、金合金としては、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の種々の金合金を用いることができる。
金ストライクめっき層4の厚さ及びビッカース硬度はそれぞれ0.1nm〜0.2μm及び10〜250HVであること、が好ましい。なお、金ストライクめっき条件によっては、金ストライクめっき層4の識別が困難な場合も存在する。
金ストライクめっき層4の表面には、銀めっき層6が形成されている。銀めっき層6の厚さは0.1〜50μmであることが好ましく、ビッカース硬度は10〜250HVであることが好ましい。0.1μm未満では銀めっき層6の耐摩耗性を利用することができず、50μmより厚い場合は銀の使用量が増加するため経済的でない。
金ストライクめっき層4はニッケル系基材2に対して冶金的に接合され、銀めっき層6は金ストライクめっき層4に対して冶金的に接合されている。ここで、冶金的な接合とは、アンカー効果等の機械的接合や接着剤等の異種接合層を介した接合ではなく、お互いの金属同士が直接接合されていることを意味する。なお、冶金的な接合とは結晶学的整合(エピタキシー)による接合を当然に含む概念である。
(2)第二実施形態
図3は、本発明のめっき材の第二実施形態の概略断面図である。めっき積層体1は、金属基材8の表面にニッケルめっき層10が形成され、ニッケルめっき層10の表面に金ストライクめっき層4が形成されている。更に、金ストライクめっき層4の表面に銀めっき層6が形成されている。
金属基材8には本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の金属材を用いることができ、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金、ニッケル及びニッケル系合金等を挙げることができる。
ニッケルめっき層10は連続する膜形状であることが好ましく、ニッケルめっき層10の厚さは0.05〜10μmであることが好ましい。なお、金属基材8の表面にニッケルめっき層10が形成されたものをニッケル系基材2として用いている以外は、第一実施形態と同様である。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例1≫
市販の銅板(厚さ0.5mm、めっき面積0.56dm2)に以下の工程で厚さ4μmの銀めっき層を形成させた。
シアン化ナトリウム30g/L、水酸化ナトリウム30g/L、キレート剤20g/Lを含む浴を用い、陽極材料をステンレス板、陰極材料を銅材とし、浴温室温、電圧3Vで30秒間、陰極電解脱脂処理を施した(洗浄処理)。次に、洗浄処理後の銅板を室温の5%硫酸に5秒間浸漬した(酸処理)。
次に、硫酸ニッケル・6水和物300g/L、塩化ニッケル・6水和物50g/L、ホウ酸40g/L、を含むニッケルめっき浴を用い、陽極材料をサルファニッケル板、陰極材料を上記洗浄処理及び酸処理を施した銅板として、浴温50℃、電流密度4A/dm2の条件で2分間処理を施して、厚さ1μmのニッケルめっき層を形成させた(前工程(S00))。
次に、シアン化金カリウム2g/L、クエン酸カリウム100g/L、キレート剤5g/L、硫酸コバルト2g/Lを含む金ストライクめっき液を用い、陽極材料をチタン白金板、陰極材料を上記前工程(S00)後の銅板として、浴温40℃、電流密度0.1A/dm2で10秒間処理を施して、厚さ0.1nmの金ストライクめっき層を形成させた(第一工程(S01))。
次に、シアン化銀40g/L、シアン化カリウム25g/L、ピロリン酸カリウム150g/L、キレート剤5g/Lを含む銀めっき浴を用い、陽極材料をチタン白金、陰極材料を上記第一工程(S01)後の銅板として、浴温45℃、電流密度2.5A/dm2、で3分間処理を施して、厚さ4μmの銀めっき層を形成させた(第二工程(S02))。
[評価]
(1)密着性評価
上記のようにして作製しためっき積層体について密着性の評価を行った。セロハンテープ(ニチバン株式会社製の#405)を指圧にて銀めっき層に押し付け、当該セロハンテープを引き剥がした後に銀めっき層の剥がれや膨れが発生しなかった場合は○、発生した場合は×とし、得られた結果を表1に示した。また、150℃の大気中で100時間保持しためっき材と350℃の大気中で3分間保持しためっき材についても同様の評価を行い、得られた結果も表1に示した。
(2)加熱による銀めっき層の膨れ
上記のようにして作製しためっき材について、加熱処理後に銀めっき層に膨れが生じるか否かを確認した。具体的には、150℃の大気中で100時間保持しためっき材と350℃の大気中で3分間保持しためっき材につき、銀めっき層の膨れの有無を光学顕微鏡で観察した。膨れが認められなかった場合は○、膨れが認められた場合は×とし、得られた結果を表1に示した。
(3)銅の黒色発生
上記のようにして作製しためっき材について、加熱処理をしない場合及び加熱処理をした場合に、銅の黒色が発生するか否かを確認した。具体的には、室温に放置しためっき材と、加熱処理(低温条件:150℃の大気中で100時間保持、高温条件:350℃の大気中で3分間保持)しためっき材につき、黒色発生の有無を光学顕微鏡で観察した。黒色が認められなかった場合は○、黒色が認められた場合は×とし、得られた結果を表1に示した。
≪実施例2≫
第一工程(S01)における電流密度を0.5A/dm2、処理時間を6秒間とした以外は、実施例1と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。なお、金ストライクめっき層の厚さは5.0nmであった。
≪実施例3≫
第一工程(S01)における電流密度を3A/dm2、処理時間を6秒間とした以外は、実施例1と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。なお、金ストライクめっき層の厚さは0.2μmであった。
≪実施例4≫
金属基材を市販のコバール材(厚さ0.4mm、めっき面積0.06dm2)とし、第二工程(S02)における浴温を40℃、電流密度を3A/dm2とした以外は、実施例1と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。なお、金ストライクめっき層の厚さは0.1nmであった。
≪実施例5≫
第一工程(S01)における電流密度を1A/dm2、処理時間を6秒間とした以外は、実施例4と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。なお、金ストライクめっき層の厚さは5nmであった。
≪実施例6≫
第一工程(S01)における電流密度を3A/dm2、処理時間を6秒間とした以外は、実施例4と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。なお、金ストライクめっき層の厚さは0.2μmであった。
≪比較例1≫
第一工程(S01)における金ストライクめっき処理の代わりに、以下の銅ストライクめっき処理を施した以外は、実施例1と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。銅ストライクめっき処理としては、シアン化第一銅20g/L、シアン化カリウム30g/L、を含むめっき浴を用い、陽極材料をチタン白金、陰極材料を前工程(S00)後の銅板として、浴温40℃、電流密度2.6A/dm2の条件で施した。なお、銅ストライクめっきの厚さは0.2μmであった。
≪比較例2≫
金属基材を市販のコバール材(厚さ0.4mm、めっき面積0.06dm2)とし、前工程(S00)を施さず(ニッケルめっき層を形成させず)、第二工程(S02)における浴温を40℃、電流密度を3A/dm2とした以外は、比較例1と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。なお、銅ストライクめっきの厚さは0.2μmであった。
≪比較例3≫
銅ストライクめっき層を形成させない以外は、比較例2と同様にしてめっき材を作製し、各種評価を行った。得られた結果を表1に示した。
表1に示す結果から、本発明の実施例で得られためっき材は全て、銀めっき層と金属基材とが良好な密着性を有するとともに、黒色発生が認められないことが確認できる。これに対し、ストライクめっきを有さないめっき材(比較例3)では、十分な銀めっき層の密着性が得られていない。
また、表1に示す結果から、本発明の実施例で得られためっき材は全て、150℃又は350℃の加熱処理後も銀めっき層と金属基材とが良好な密着性を維持している。加えて、加熱処理後も銀めっき層に膨れ及び黒色発生は認められなかった。これに対し、金ストライクめっき層の代わりに銅ストライクめっき層を形成させためっき材(比較例1及び比較例2)は、加熱処理後の銀めっき層と金属基材との密着性は維持されているが、銀めっき層に黒色発生が認められた。ストライクめっき層を有さないめっき材(比較例3)については、十分な銀めっき層の密着性が得られていない。
1・・・めっき材、
2・・・ニッケル系基材、
4・・・金ストライクめっき層、
6・・・銀めっき層、
8・・・金属基材、
10・・・ニッケルめっき層。

Claims (4)

  1. ニッケル系基材の表面に銀めっき層を形成させるめっき材の製造方法であって、
    前記ニッケル系基材の少なくとも一部に金ストライクめっき処理を施す第一工程と、
    前記金ストライクめっき処理を施した領域の少なくとも一部に銀めっき処理を施す第二工程と、を含み、
    前記ニッケル系基材が、ニッケル基材、ニッケル系合金基材、及び厚さが0.05μm〜10μmのニッケルめっき層を形成させた金属基材のうちのいずれかであり、
    前記第一工程によって形成される金ストライクめっき層の厚さが0.1nm〜0.2μmであり、
    前記金ストライクめっき層のビッカース硬度が10〜250HVであること、
    を特徴とするめっき材の製造方法。
  2. 前記第二工程によって形成させる銀めっき層の厚さ及びビッカース硬度をそれぞれ0.1〜50μm及び10〜250HVとすること、
    を特徴とする請求項に記載のめっき材の製造方法。
  3. ニッケル系基材の表面に形成された金ストライクめっき層と、
    前記金ストライクめっき層の上に形成された銀めっき層と、を有し、
    前記ニッケル系基材が、ニッケル基材、ニッケル系合金基材、及び厚さが0.05μm〜10μmのニッケルめっき層を形成させた金属基材のうちのいずれかであり、
    前記金ストライクめっき層の厚さが0.1nm〜0.2μmであり、
    前記金ストライクめっき層のビッカース硬度が10〜250HVであり、
    前記金ストライクめっき層は前記ニッケル系基材に対して冶金的に接合され、
    前記銀めっき層は前記金ストライクめっき層に対して冶金的に接合されていること、
    を特徴とするめっき材。
  4. 前記銀めっき層の厚さ及びビッカース硬度がそれぞれ0.1〜50μm及び10〜250HVであること、
    を特徴とする請求項に記載のめっき材。
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