以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
<画像形成装置>
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機、デジタル複写機、プリンタ等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。
図1は、複合機の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台103近傍に供えられた操作部200に対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
即ち、図1に示すように、本実施の形態の複合機100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
自動原稿給紙装置104は、プラテンカバー102の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー102の内部に備えられたピックアップローラ106や搬送ローラ107A、107B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台105から、本体101に設けられた読取部110にて読み取りが行なわれる読取位置Pを経由して、排紙台109に通じる原稿の搬送路である。
自動原稿給紙装置104は、載置台105に載置された原稿1枚ずつをピックアップローラ106で原稿搬送路内108に引き出し、搬送ローラ107A、107B等によって引き出した原稿を、読取位置Pを通過させて排紙台109に排紙する。読取位置Pを通過する時に原稿は読取部110にて読み取られる。
上記読取部110は、原稿台103の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
また、読取部110は、自動原稿給紙装置104で搬送される原稿だけでなく、原稿台103に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ112は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
撮像素子115は、自動原稿給紙装置104に搬送された原稿のときと同様に、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成する。
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、複合機100に接続された通信ケーブル201を介して、ネットワーク202から画像形成の指示とともに送信される場合もある。
さらに、複合機100は、上記通信ケーブル201を介して、ネットワーク202に接続された勤務管理装置と通信可能であり、複合機100は当該勤務管理装置に記憶された情報を取得することが可能である。
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
なお、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
可視像が印刷される用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
以上が、複合機100における基本的なコピーサービスの処理である。なお、複合機100は、上述した各部(自動原稿給送装置104、読取部110、印刷部120)を適宜協働的に動作することによって、他の機能、例えば、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、スキャン機能、後処理機能、メモリ機能等をユーザに提供する。
これらの機能を提供する手段を総じて機能提供手段とし、ユーザが操作部200に対して行った印刷等の指示(命令、要求)や通信ケーブル201を介して受信した印刷等の指示を受け付ける手段を条件受付手段とし、複合機100において機能提供を行うことが可能な状態である使用可能状態から待機時の電力を抑えた状態である省電力状態に移行させる状態移行手段とする(後述する)。
次に、図3を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図3は、複合機100における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、通信インターフェイス305、各駆動部に対応するドライバ306を内部バス307によって接続している。上記CPU301は、例えば、RAM303を作業領域として利用し、上記ROM302、HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ306と図示しない操作部200からのデータ、指示を授受し、上記図1乃至図2に示した各駆動部等の動作を制御する。また、上記駆動部以外についても、上記CPU301がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM302、HDD304等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
さらに、通信インターフェイス305は、通信ケーブル201を介して、ネットワーク202と接続されている。ネットワーク202には、複合機100とは別の装置として、勤務管理装置308、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等が接続されている。上記CPU301は、この通信インターフェイス305を通じて、勤務管理装置308とデータや指示を授受し、各駆動部の動作を制御する。
勤務管理装置308の制御回路は、CPU309、ROM310、RAM311、HDD312、各駆動部に対応するドライバ313、通信インターフェイス314を内部バス315によって接続している。上記CPU309は、上記と同様に、上記RAM311を作業領域として利用し、上記ROM310等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ313とデータや指示を授受し、図示しないカードリーダが読み取った識別情報等を授受し、特定エリア内に入退出するユーザ数を算出したり、ユーザ数を管理したりする制御をする。通信インターフェイス314により、複合機100とデータや指示が授受される。勤務管理装置308は、例えば、パーソナルコンピュータ、これに準ずる管理装置であっても構わない。
<第一の実施形態>
次に図4乃至図5を参照しながら、第一の実施形態の画像形成装置が、特定エリアのユーザ数に応じて移行時間を変更する手順について説明する。図4は、本発明の第一の実施形態に係る複合機と勤務管理装置の機能ブロック図である。なお、本発明の第一の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略している。図5は、本発明の第一の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
まず、ユーザの入退出の管理対象である特定エリア(例えば、ビルの一室、工場等)に備えられた出入口である通用門(図4に図示せず)に、勤務管理装置308に接続されたカードリーダ(図4に図示せず)が設置されている。勤務管理装置308の設置箇所は、カードリーダの近傍でも、特定エリア内でも構わない。
ユーザが通用門を通過する際に、自己が所有するユーザIDカードをカードリーダに通過させると、ユーザID検知手段401が、ユーザIDカードに記憶されたユーザの識別情報を取得する。
ユーザID検知手段401は、取得したユーザの識別情報と、ユーザID記憶手段402とに基づいて、特定エリア(例えば、ビルの一室)の現時点の在席人数(ユーザ数)を算出する(図5:S101)。
例えば、ユーザID検知手段401がユーザID記憶手段402を参照し、取得したユーザの識別情報がユーザID記憶手段402に未だ記憶されていない場合は、識別情報に係るユーザが出勤したと判別し、当該識別情報をユーザID記憶手段402に一時記憶する。さらに、ユーザID検知手段401は、ユーザID記憶手段402に一時記憶されていた特定エリア内のユーザ数に一人加算する。なお、識別情報を一時記憶する場合、例えば、ユーザID検知手段401が始業時刻を当該識別情報と関連付けて記憶しても構わない。
一方、取得したユーザの識別情報がユーザID記憶手段402に既に記憶されている場合は、ユーザID検知手段401が、識別情報に係るユーザが退社したと判別し、当該識別情報をユーザID記憶手段402から消去する。さらに、ユーザID検知手段401は、ユーザID記憶手段402に一時記憶されていた特定エリア内のユーザ数を一人減算する。なお、識別情報を消去する場合、例えば、ユーザID検知手段401が終業時刻を当該識別情報と関連付けて記憶しても構わない。
上記手順により、例えば、ユーザID検知手段401が、ユーザの退出(退社)を検知し、特定エリア内のユーザ数「11人」を「10人」に減算したとする。
ネットワーク202を介して、予めユーザID記憶手段402を監視していた複合機100に係るユーザ数取得手段403が、ユーザID記憶手段402に記憶されたユーザ数(「10人」)を取得する(図5:S102)。なお、ユーザID検知手段401がユーザ数を減算(算出)した際に、そのユーザ数をネットワーク202を介してユーザ数取得手段403に送信するよう構成しても構わない。
ユーザ数取得手段403がユーザ数を取得すると、そのユーザ数を移行時間変更手段404に送信する。移行時間変更手段404は、ユーザ数を受信すると、移行時間記憶手段406に記憶された人数−移行時間テーブル600を参照し、受信したユーザ数に対応する移行時間を取得する(図5:S103)。
人数−移行時間テーブル600には、図6Aに示すように、所定の範囲毎に区分されたユーザ数601と、節電状態に係る移行時間602と、スリープ状態に係る移行時間602とが関連付けて記憶されている。
節電状態とは、定着装置127に係る加熱ローラ128の温度を、即時に定着可能な温度(スタンバイ温度ともいう)から熱量の供給を抑えた時の温度(常温に近い温度)まで下降させた待機状態である。その節電状態で、ユーザから機能提供に関する要求が送られると、加熱ローラ128に熱量が与えられて、所定の時間(復帰時間という)を要して画像形成可能な状態に復帰する。
スリープ状態とは、駆動部への電源供給を停止させ、主に制御部の駆動のみを行い、ネットワーク202から送られたデータ等を受信することが可能な待機状態である。節電状態と比較すると、スリープ状態は、電力の消費が著しい定着装置127、ユーザからの要求を受け付ける表示部等に電力を与えない状態であるため、スリープ状態の通電量は、節電状態の通電量よりも抑えられた量となる。一度、スリープ状態へ移行すると、そのスリープ状態から使用可能状態に移行するまでには、節電状態の復帰時間よりも長い復帰時間を要する。
省電力状態を二種類設けることによって、ユーザの様々な要求に応じて、待機時の無駄な電力を削減することができ、ユーザの利便性を損なうことなく、複合機100の省電力機能を十分に作用させることが可能となる。
通常、スリープ状態よりも節電状態の方が、ユーザの即時の要求に対して複合機100が応答し易いことから、複合機100をスリープ状態へ移行するよりも前に節電状態へ移行させるために、節電状態に係る移行時間は、スリープ状態に係る移行時間よりも短く設定される。
例えば、人数−移行時間テーブル600のユーザ数「6〜10」において、節電状態に係る移行時間が「5分」であれば、スリープ状態に係る移行時間が「10分」と設定される。なお、上記設定は、製造業者等が予め調査したデータ、複合機100の品種等に基づいて設定される。
人数−移行時間テーブル600では、ユーザ数が少ないほど、短い移行時間(節電状態に係る移行時間、スリープ状態に係る移行時間)が関連付けて記憶され、特定エリア内のユーザ数が少ない場合はユーザの使用頻度が低くなるという傾向を適切に活用可能となるよう構成している。
例えば、ユーザ数「11〜20人」には、節電状態に係る移行時間「10分」とスリープ状態に係る移行時間「20分」が関連付けて記憶され、ユーザ数「6〜10人」には、節電状態に係る移行時間「5分」とスリープ状態に係る移行時間「10分」が関連付けて記憶される。なお、ユーザ数を区分する人数幅や移行時間の間隔は、複合機の品種等に応じて適宜変更される。
移行時間変更手段404が、ユーザ数「10人」を受信すると、人数−移行時間テーブル600に記憶されたユーザ数「6〜10人」604に対応する移行時間(節電状態に係る移行時間「5分」605、スリープ状態に係る移行時間「10分」606)を取得する。
移行時間変更手段404が、状態移行実行記憶手段407に記憶された実行テーブルの移行時間を、取得した移行時間に変更する(図5:S104)。
状態移行実行記憶手段407の実行テーブルは、後述する状態移行手段405が省電力機能を実現する際に用いられるテーブルであり、当該実行テーブルに記憶された移行時間を利用して、状態移行手段405が、複合機の使用可能状態から省電力状態へ移行させる。
例えば、図6B1に示すように、移行時間が変更される前のユーザ数「11人」に対応して、実行テーブル607に記憶された節電状態に係る移行時間が「10分」であり、スリープ状態に係る移行時間が「20分」である場合、移行時間変更手段404が、図6B2に示すように、当該「10分」を、取得した節電状態に係る移行時間「5分」605に、当該「20分」を、スリープ状態に係る移行時間「10分」606に変更する。
これにより、特定エリア内のユーザ数に応じて、移行時間が増減されたことになる。
次に、状態移行手段405が、変更された実行テーブル607に基づいて、使用可能状態から節電状態へ移行する手順と、節電状態からスリープ状態へ移行する手順について説明する。
状態移行手段405は、計時する計時手段405aと、計時手段405aが計時している時間が実行テーブル607に記憶された移行時間を超過することを検知する検知手段405bと、複合機100を使用可能状態から節電状態へ移行させる節電状態移行手段405cと、節電状態からスリープ状態へ移行させるスリープ状態移行手段405dとから構成される。なお、節電状態移行手段405cは、節電状態を解除し、その節電状態から使用可能状態へ移行させることも可能である。スリープ状態移行手段405dは、スリープ状態を解除し、スリープ状態から使用可能状態へ移行させることも可能である。
例えば、機能提供手段408がユーザから要求された機能の提供を終了すると、機能提供手段408を監視していた計時手段405aが、終了時点から計時を開始する。なお、計時手段405aが条件受付手段409を監視し、その条件受付手段409がユーザから最後に所定の命令を受け付けた時点から計時を開始するよう構成しても構わない。
検知手段405bは、状態移行実行記憶手段407に記憶された実行テーブル607から移行時間を取得し、計時手段405aが計時している時間が移行時間を超過するか否かを監視する。上述した移行時間変更手段404の変更により、検知手段405bが取得する移行時間は、節電状態に係る移行時間「5分」605と、スリープ状態に係る移行時間「10分」606となる。
計時手段405aが計時している時間が節電状態に係る移行時間「5分」605を超過すると、検知手段405bは、節電状態移行手段405cに、複合機100の使用可能状態を節電状態に移行させる旨の信号を送信する。節電状態移行手段405cは、上記信号を受信して、複合機100の使用可能状態を節電状態に移行させる。移行させる方法は、例えば、節電状態移行手段405cが、定着装置127に供給している電源の電力を停止または低減する方法等である。
さらに、検知手段405bは、節電状態移行手段405cへ上記信号を送信した後でも、計時手段405aが継続して計時している時間がスリープ状態に係る移行時間「10分」606を超過するか否かを監視する。
複合機100が節電状態に移行してから、さらに、条件受付手段409(例えば、ファクシミリ受信機能であれば、機能提供手段408)にユーザからの新たな要求(命令)が与えられない状態が継続し、計時手段405aが計時している時間がスリープ状態に係る移行時間「10分」606を超過すると、検知手段405bは、スリープ状態移行手段405dに、複合機100の節電状態をスリープ状態に移行させる旨の信号を送信する。スリープ状態移行手段405dは、上記信号を受信して、複合機100の節電状態をスリープ状態に移行させる。移行させる方法は、例えば、スリープ状態移行手段405dが、操作部200や駆動部に供給している電源の電力を停止または低減し、制御部にのみ電力を供給する方法等である。
スリープ状態への移行が完了すると、計時手段405aと検知手段405bとがその動作を停止する。
なお、複合機100が省電力状態(節電状態またはスリープ状態)において、ユーザからの機能提供に関する要求が与えられた場合、予め条件受付手段409(例えば、ファクシミリ受信機能であれば、機能提供手段408)を監視していた節電状態移行手段405cまたはスリープ状態移行手段405dが、条件受付手段409がその要求を受信した時点で、省電力状態(節電状態またはスリープ状態)から使用可能状態へ移行させる。移行させる方法は、例えば、節電状態移行手段405cまたはスリープ状態移行手段405dが、停止(低減)していた電力供給を再度開始させる方法等である。
以上の手順によって、状態移行手段405が、変更された実行テーブル607に基づいて、使用可能状態から節電状態へ移行し、節電状態からスリープ状態へ移行する。
このように、上記勤務管理装置からユーザの現時点の在席人数を取得するユーザ数取得手段と、取得したユーザ数に応じて、上記移行時間を増減する移行時間変更手段とを備えるよう構成している。
これにより、従来は、特定エリア内でのユーザの在席人数が増減して、複合機に対するユーザの使用頻度が変動しても、一度記憶(設定)された移行時間は常に一定であったが、取得したユーザ数に応じて、その移行時間が機動的に増減させることとなる。そのため、ユーザ数に対応する移行時間、即ち、ユーザの使用頻度に適合した移行時間で、複合機の省電力機能を作用させることが可能となる。その結果、ユーザの利便性を損なうことなく、省電力機能を十分に作用させて、複合機の待機時に消費される無駄な電力を効率よく削減することが可能となる。
さらに、ユーザ数が少ないほど、短い移行時間が関連付けて記憶される移行時間記憶手段を備え、上記移行時間変更手段が、予め設定された移行時間を、取得したユーザ数に関連付けられた移行時間に変更するよう構成することができる。
これにより、特定エリア内のユーザ数が少ない場合はユーザの使用頻度が低くなるという傾向を適切に利用して、複合機の省電力機能を十分に作用させることが可能となる。その結果、ユーザの利便性を損なうことなく、複合機の待機時に消費される無駄な電力を効率よく削減することが可能となる。
さらに、省電力状態において、ユーザから機能提供に関する要求が与えられると、省電力状態に移行させた時から上記要求により当該省電力状態を解除した時までの時間である実測移行時間を算出する実測移行時間算出手段と、上記ユーザ数取得手段が取得したユーザ数に関連付けて記憶された移行時間と上記実測移行時間とを平均した時間である平均移行時間を算出する平均移行時間算出手段と、上記移行時間記憶手段に記憶された上記ユーザ数に対応する移行時間を、上記平均移行時間に変更する平均移行時間変更手段とを備えるよう構成することができる。
これにより、複合機の省電力状態が解除される毎に、ユーザ数に対応するユーザの使用頻度を反映させた実測移行時間が移行時間に加味されることとなる。そのため、複合機の使用期間が長くなる毎に、複合機に記憶される移行時間が、その複合機が設置された特定エリア内でのユーザの在席人数に適した移行時間へ近づいていくこととなり、設置環境に最適な移行時間へ変更させることが可能となる。その結果、ユーザの利便性を向上させながら、複合機の省電力機能を十分に作用させて、複合機の待機時に消費される無駄な電力を効率よく削減することが可能となる。
<第二の実施形態>
次に図7乃至図8を参照しながら、第二の実施形態の画像形成装置が、特定エリアのユーザ数に応じて移行時間を変更する手順について説明する。第一の実施形態と比較して、第二の実施の形態の異なる点は、省電力状態において、ユーザから機能提供に関する要求が与えられると、省電力状態に移行させた時から上記要求により当該省電力状態を解除した時までの時間である実測移行時間を算出する実測移行時間算出手段と、上記ユーザ数取得手段が取得したユーザ数に関連付けて記憶された移行時間と上記実測移行時間とを平均した時間である平均移行時間を算出する平均移行時間算出手段と、上記移行時間記憶手段に記憶された上記ユーザ数に対応する移行時間を、上記平均移行時間に変更する平均移行時間変更手段とを備えるよう構成した点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第二の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略する。また、第一の実施形態と同一符号であるものについても説明は省略する。
図7は、本発明の第二の実施形態に係る複合機100と勤務管理装置308の機能ブロック図である。なお、本発明の第二の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略している。図8は、本発明の第二の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
例えば、特定エリア内のユーザ数が「15人」であり、その「15人」に対応する移行時間(節電状態に係る移行時間「10分」、スリープ状態に係る移行時間「20分」)が状態移行実行記憶手段407の実行テーブル607に記憶されていることを前提とする。
複合機100が使用可能状態に移行してから、条件受付手段409(例えば、ファクシミリ受信機能であれば、機能提供手段408)にユーザからの新たな要求(命令)が与えられない状態が継続し、計時手段405aが計時している時間が、節電状態に係る移行時間「10分」を超過すると、検知手段405bが、節電状態移行手段405cに、複合機100の使用可能状態を節電状態に移行させる旨の信号を送信する。
節電状態移行手段405cは、上記信号を受信して、複合機100の使用可能状態を節電状態に移行させると、条件受付手段409(機能提供手段408)を予め監視していた実測移行時間算出手段701が、節電状態に移行させた時から、時間の計時を開始する(図8:S201)。
節電状態が移行時間、継続して、例えば、ユーザが複合機100の操作部200(条件受付手段409)を介して機能提供に関する条件を入力すると、条件受付手段409を監視していた節電状態移行手段405cが、ユーザの要求があった旨を検知する。
この時点で、節電状態が解除される(図8:S202)。条件受付手段409(機能提供手段408)を予め監視していた実測移行時間算出手段701が、節電状態が解除された時点を検知し、時間の計時を終了し、節電状態に移行した時点からその節電状態を解除した時点までの時間である実測移行時間(節電状態に係る実測移行時間)を算出する(図8:S203)。
例えば、節電状態に移行した時刻(時点)が「9:00」であり、節電状態を解除した時刻(時点)が「9:08」であれば、実測移行時間算出手段701は、節電状態に係る実測移行時間を「8分」と算出する。
次に、実測移行時間算出手段701が、節電状態に係る実測移行時間「8分」を平均移行時間算出手段702に送信すると、平均移行時間算出手段702は、ユーザ数取得手段403と通信し、現時点におけるユーザ数「15人」を取得する。
さらに、平均移行時間算出手段702は、移行時間記憶手段406に記憶された人数−移行時間テーブル600を参照し、取得したユーザ数に関連付けられた移行時間を取得する(図8:S204)。
平均移行時間算出手段702が取得する移行時間は、実測移行時間が節電状態に係る移行時間であるため、当該実測移行時間と対応させて、節電状態に係る移行時間となる。具体的には、平均移行時間算出手段702は、取得したユーザ数「15人」に対応する節電状態に係る移行時間「10分」を取得する。
次に、平均移行時間算出手段702は、取得した節電状態に係る移行時間と、節電状態に係る実測移行時間とに基づいて、平均移行時間を算出する(図8:S205)。
平均移行時間の算出方法は、例えば、節電状態に係る移行時間「10分」と節電状態に係る実測移行時間「8分」とを単純に平均し、その平均値である「9分」を平均移行時間とする方法が採用されるが、平均移行時間に実測移行時間が反映される算出方法であれば、どのような算出方法でも構わない。
例えば、実測移行時間は、特定エリア内に滞在するユーザの特性(役職、業務内容、分野、部署等)に大きく影響するため、実測移行時間が平均移行時間に寄与する割合を示す寄与率を実測移行時間に掛ける補正を行なってから、平均移行時間を算出するよう構成しても構わない。上記構成により、実測移行時間の大小によって、平均移行時間が著しく変動することを防止し、ユーザ数に適した平均移行時間を随時算出することが可能となる。
平均移行時間が算出されると、平均移行時間算出手段702は、その平均移行時間を平均移行時間変更手段703に送信する。平均移行時間変更手段703は、受信した平均移行時間を、現時点のユーザ数において最適な移行時間であるとみなして、移行時間記憶手段406の人数−移行時間テーブル600を参照し、人数−移行時間テーブル600に記憶されている節電状態に係る移行時間、即ち、現時点のユーザ数「15人」に対応する節電状態に係る移行時間「10分」を平均移行時間「9分」に変更する(図8:S206)。
これにより、ユーザ数が変動した場合であっても、先ほど算出した平均移行時間が反映された人数−移行時間テーブル600に基づいて、移行時間変更手段404が、移行時間を変更することとなる。
さらに、平均移行時間算出手段702は、状態移行実行記憶手段407の実行テーブル607を参照し、実行テーブル607に記憶されている節電状態に係る移行時間、即ち、現時点、検知手段405bが参照している節電状態に係る移行時間「10分」を平均移行時間「9分」に変更する。
これにより、節電状態が解除された後、直ちに算出された平均移行時間を状態移行手段405(節電状態移行手段405c、スリープ状態移行手段405d)に利用させることが可能となる。
なお、上記では、節電状態において、その節電状態が解除された場合の手順を説明したが、節電状態からスリープ状態へ移行した後にスリープ状態が解除された場合も同様である。
その場合では、実測移行時間算出手段701が、スリープ状態に係る実測移行時間を算出し、平均移行時間算出手段702が、その実測移行時間と、人数−移行時間テーブル600に記憶されたスリープ状態に係る移行時間とに基づいて、スリープ状態に係る平均移行時間を算出し、平均移行時間変更手段703が、その平均移行時間に基づいて、人数−移行時間テーブル600と実行テーブル607とに記憶されたそれぞれのスリープ状態に係る移行時間を変更することとなる。
このように、省電力状態において、ユーザから機能提供に関する要求が与えられると、省電力状態に移行させた時から上記要求により当該省電力状態を解除した時までの時間である実測移行時間を算出する実測移行時間算出手段と、上記ユーザ数取得手段が取得したユーザ数に関連付けて記憶された移行時間と上記実測移行時間とを平均した時間である平均移行時間を算出する平均移行時間算出手段と、上記移行時間記憶手段に記憶された上記ユーザ数に対応する移行時間を、上記平均移行時間に変更する平均移行時間変更手段とを備えるよう構成することができる。
これにより、複合機の省電力状態が解除される毎に、ユーザ数に対応するユーザの使用頻度を反映させた実測移行時間が移行時間に加味されることとなる。そのため、複合機の使用期間が長くなる毎に、複合機に記憶される移行時間が、その複合機が設置された特定エリア内でのユーザの在席人数に適した移行時間へ近づいていくこととなり、設置環境に最適な移行時間へ変更させることが可能となる。その結果、ユーザの利便性を向上させながら、複合機の省電力機能を十分に作用させて、複合機の待機時に消費される無駄な電力を効率よく削減することが可能となる。
なお、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、移行時間記憶手段が記憶する人数―移行時間テーブルと状態移行実行記憶手段が記憶する実行テーブルとを別個独立に備えるよう構成したが、例えば、状態移行手段が、ユーザ数取得手段から取得したユーザ数と、移行時間記憶手段が記憶する人数―移行時間テーブルとに基づいて、省電力機能を作用するよう構成しても構わない。上記構成とすると、状態移行実行記憶手段が記憶する実行テーブルを省略することが可能となる。
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態のユーザID検知手段は、ユーザ数を算出するよう構成したが、さらに、予め特定エリア内に勤務するユーザの識別情報を勤務ユーザテーブルとしてユーザID記憶手段に記憶させておき、ユーザID検知手段が、カードリーダから取得した識別情報と、勤務ユーザテーブルに記憶された識別情報とを比較し、認証可能とするよう構成しても構わない。例えば、認証が適正であれば、ユーザID検知手段が通用門の施錠を解除し、認証が不適正であれば、施錠を解除しないで、例えば、警告音を鳴らしたり、カードリーダに備えられた表示部等に「ユーザIDカードによる認証が出来ませんでした」等のメッセージを表示させ、再度、ユーザに適正なユーザIDカードをカードリーダに通過させるよう促しても構わない。
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態の状態移行手段は、節電状態移行手段とスリープ状態移行手段とを備えるよう構成したが、どちらか一方を備えるよう構成しても構わない。
また、第二の実施形態の平均移行時間算出手段は、記憶された移行時間と実測移行時間とを単純に平均し、その平均値を平均移行時間としたが、例えば、実測した実測移行時間を常に記憶手段等に記憶させておいて、平均移行時間を算出する際に、記憶された実測移行時間を全部または一部から統計値を算出し、その統計値と、記憶された移行時間とを平均しても構わない。上記構成とすると、複数の実測移行時間を反映させた平均移行時間が算出されるため、よりユーザ数に対応した移行時間で省電力機能を作用させることが可能となる。
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、特定エリア内のユーザ数を算出する方法として、ユーザID検知手段401が、ユーザID記憶手段に、所定の識別情報を一時記憶したり、消去したりして判別する方法を採用しているが、他の方法を採用しても構わない。
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、複合機が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、コピー機能との処理に関して採用したが、例えば、スキャン機能、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、ネットワークスキャン機能、後処理機能、メモリ機能等の処理にでも採用できる。