JP5170878B2 - 永久磁石回転機の回転子 - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒等を圧縮する冷凍機や空調機等の圧縮機に搭載される永久磁石回転機の回転子のバランス調整に関する。
従来、一般的に使用される密閉圧縮機内の電動機の回転子としては図13に示した特許文献1(特開2000−116080号公報)がある。この回転子71は薄板電磁鋼板をプレス等で打ち抜き複数積層した積層鉄心11で構成されている。この積層鉄心11の中央には軸方向に貫通した回転子軸孔91が設けられ、前記回転子軸孔91と直交する径方向に永久磁石21を収容する磁石収容孔31と、カシメピン51を挿通するカシメピン孔41が設けられている。この積層鉄心11の両端部には磁石収容孔31から永久磁石21が飛び出ないようにするための端板61a、61bが取り付けられ、複数のカシメピン51により一体固着している。
図13の特許文献1には圧縮機構部で発生するアンバランス量を補正するために回転子71にアンバランス量を補正する為のバランスウェイト100が取り付けられている。回転子71に取り付けたバランスウェイト100は、図13で示されているように回転子71の軸方向端部の端板61aの上にカシメピン51で取り付けられている。このバランスウェイト100は非磁性材料の薄板鉄板をプレス機などにより打ち抜き、複数の薄板鉄板に設けた突起部をからませて一体に積層化したバランスウェイト100を使用している。
また、同様に図14の特許文献2(特開平5―304751号公報)に示されている回転子72は、薄板電磁鋼板をプレス等で打ち抜き複数積層した積層鉄心12で構成されている。この積層鉄心12の中央には軸方向に貫通した回転子軸孔92が設けられ、前記回転子軸孔92と直交する径方向の積層鉄心12の外径82に永久磁石22を張り付けている。永久磁石22の上からは、永久磁石22が飛び出たり、破損しないように非磁性の管200で覆っている。また、積層鉄心12にはカシメピン52を挿通するカシメピン孔42が設けられ、この積層鉄心12の両端部には回転子72の軸方向から永久磁石22が飛び出ないようにするための端板62a、62bが取り付けられ、複数のカシメピン52により一体固着している。この回転子72の鉄心内部にはバランス調整用の風孔300を設けてバランス量を調整している。
特開2000−116080号公報 特開平5−304751号公報
しかしながら、図13に示した回転子71のバランスウェイ100は、別部材であるため部品点数が増加することにより材料費が上がり、バランスウェイト100を取り付けるための工数の増加や金型費などかかってしまう。尚、回転子71の端部に装着されたバランスウェイト100はカシメピン51で支持されている関係上、バランスウェイト100の重量が重い場合や、高さが高い場合はカシメピン51の耐遠心力強度が不足してしまう。また、図14に示した回転子72のバランス調整は、回転子72の鉄心内部にバランス調整用の風孔300を設けていることにより、図13に示した問題点は解決されるものの密閉圧縮機内の潤滑油が複数枚積層された薄板鉄板の間から回転子72の鉄心内部に設けられたバランス調整用の風孔300に入り込み内部に滞留してしまう。これにより設計上想定しているバランス量が変わってしまう。
本発明は、固定子と回転子を備えた電動機であってプレスなどで打ち抜かれた薄板電磁鋼板を回転子軸方向に積層した積層鉄心であって、積層鉄心の中央には軸方向に貫通した回転子軸孔が設けられ、前記回転子軸孔と直交する径方向に永久磁石を収容する複数の磁石収容孔と、カシメピンを挿通する複数のカシメピン孔を設け、この積層鉄心の両端部には磁石収容孔から永久磁石が飛び出ないようにするための端板が取り付けられ、複数のカシメピンにより一体固着した回転子において、
前記回転子の複数のカシメピンの比重が、少なくとも1本異ならせた永久磁石回転機の回転子とする。
更に、比重が異なった前記カシメピンの直径を少なくとも1本、他のカシメピンの直径とは異ならせた永久磁石回転機の回転子とする。
また、回転子の回転子軸孔の中心を軸中心とし、軸中心から複数のカシメピン孔中心までの径方向の距離を少なくとも1カ所異ならせた永久磁石回転機の回転子とする。
或いは、固定子と回転子を備え、回転子は軸方向に複数の電磁鋼板を積層して構成された積層鉄心であって、前記積層鉄心の軸方向には回転子軸孔が設けられ、前記回転子軸孔と直交する径方向に永久磁石を収容する複数の磁石収容孔と、カシメピンを挿通する複数のカシメピン孔を設け、前記積層鉄心の両端部には磁石収容孔から永久磁石が飛び出ないようにするための端板が取り付けられ、前記カシメピンにより一体固着した回転子であって、
前記回転子の複数のカシメピンの本数が、カシメピン孔の数より少なくした永久磁石回転機の回転子とする。
更に、前記回転子のカシメピンの比重が、少なくとも1本異なっている永久磁石回転機の回転子とする。
また、前記カシメピンの直径を少なくとも1本、他のカシメピンの直径とは異ならせた永久磁石回転機の回転子とする。
また、回転子の回転子軸孔の中心を軸中心とし、軸中心から複数のカシメピン孔中心までの径方向の距離を少なくとも1カ所異ならせた永久磁石回転機の回転子とする。
本発明は、微小のバランス量を調整しなければならない回転子において別部材のバランスウェイトを取り付ける必要もなくなり材料費、取り付け工数を低減することができる。尚、カシメピンの耐遠心力の関係から重量が重いバランスウェイトや高さの高いバランスウェイトを取り付けた回転子によっては最高回転数を低くしなければならなかったが、バランスウェイトの重量や高さを抑制することができるので最高回転数を上げることができ電動機の性能を上げることができる。
また、回転子の鉄心内部に設けるバランス調整用等の空洞部がないので密閉圧縮機内の潤滑油が滞留することもなくなる。
本発明は冷媒等を圧縮する冷凍機や空調機等の圧縮機に搭載される永久磁石回転機の回転子に用いることができる。本発明を、図を用いて説明する。図1は本発明の回転子である。図1には薄板電磁鋼板をプレス等で略円形状に打ち抜き隣り合う略円形状の薄板電磁鋼板同士に設けた切り起こし突起をからませながら所定の厚さに積み上げて一体化した周知のオートクランプ方式によって積層した回転子7である。
図1の回転子7は、前記に説明した回転子7を回転子軸孔9と直交する断面図で示している。前記回転子7には積層鉄心1の内部にプレス等で打ち抜かれた回転子軸孔9と、永久磁石2a〜2dを収容する磁石収容孔3a〜3dと、カシメピン5a〜5dを挿入して一体固着させる為のカシメピン孔4a〜4dが設けられている。従って、これらの複数の薄板電磁鋼板を積層してオートクランプにより一体化した積層鉄心1の磁石収容孔3a〜3dに永久磁石2a〜2dを挿入し、積層鉄心1の磁石収容孔3a〜3dから永久磁石2a〜2dが飛び出さないように積層鉄心1の両端部を非磁性の端板6a、6bで塞ぎ、積層鉄心1のカシメピン孔4a〜4dにカシメピン5a〜5dを挿入して一体固着した永久磁石埋め込み型回転子(以後、回転子と称す)であります。
尚、回転子7の磁石収容孔3a〜3dの形状は、略円弧形状の回転子外径8に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられている。この磁石収容孔3a〜3dは回転子7の円周方向の隣り合う極が異極となるように交互に配置されている。また、カシメピン5a〜5dを挿通させるカシメピン孔4a〜4dは、各極の隣り合う磁石収容孔3a〜3dとの間の極間部に回転子軸方向に貫通して設けられている。
図2は図1に示した回転子7のa−bの縦断面図である。積層鉄心1の磁石収容孔3a、3b(3c、3d)に永久磁石2a、2b(2c、2d)が挿入され、積層鉄心1の両端部には、この永久磁石2a、2b(2c、2d)が回転子7の磁石収容孔3a、3b(3c、3d)から飛び出ない様に端板6a、6bによって塞がれている様子を示している。この端板6a、6bの材質は非磁性材を用いている。これにより回転子7の軸方向からの磁束の短絡をなくしている。そして、回転子7の軸方向に貫通したカシメピン孔4a〜4dにカシメピン5a〜5dを挿入し一体にかしめた回転子7を構成している。図1および図2に示した回転子7は4極を形成しています。
尚、永久磁石2a、2b(2c、2d)を磁石収容孔3a、3b(3c、3d)に挿入する方法としては、磁石収容孔3a、3b(3c、3d)と同じ大きさ、もしくはそれより若干大きい形状の永久磁石2a、2b(2c、2d)を挿入する「圧入」方式や、磁石収容孔3a、3b(3c、3d)より若干小さい大きさの永久磁石2a、2b(2c、2d)を挿入する「隙間入れ」方式が主に用いられている。同様に、カシメピン5a、5c(5b、5d)をカシメピン孔4a、4c(4b、4d)に挿入する方法としては、カシメピン孔4a、4c(4b、4d)と同じ直径、もしくはそれより若干大きい直径のカシメピン5a、5c(5b、5d)を挿入する「圧入」方式や、カシメピン孔4a、4c(4b、4d)の直径より若干小さい直径のカシメピン5a、5c(5b、5d)を挿入する「隙間入れ」方式が主に用いられている。
図1及び図2の積層鉄心1には、バランス調整するための回転子構造を備えている。
図1及び図2の積層鉄心1の内部にはカシメピン5a〜5dを挿入するカシメピン孔4a〜4dが4カ所設けられている。カシメピン孔4a〜4dは、回転子7の各磁極間に各々1箇所づつ設けられている。積層鉄心1の内部に設けられたカシメピン孔4a〜4dは回転子軸孔9の中心を軸中心として4カ所共、同一半径の円周上に配置されている。
図1及び図2では、回転子7を一体にかしめたカシメピン5a〜5dの4本の内の1本の比重を変えた材質のものでかしめている。カシメピンの材質としては、磁性材である鉄系や、非磁性材の真鍮系、アルミニウム系等を用いることができる。
これにより、回転子のバランスを意識的にずらすことができる。図1及び図2の実施形態ではカシメピン孔4a、4b、4dには同一比重の材質のカシメピン5a、5b、5dを挿入し、カシメピン孔4cにはカシメピン5a、5b、5dより比重が重いカシメピン5cを挿入している。これによって回転子のバランスの重心の位置がカシメピン5c側にずれることにより圧縮機などに用いられる回転子7のバランス量を調整することができる。
また、圧縮機等の圧縮機構でのアンバランス量が図1及び図2で取り切れない場合は、図3及び図4に示した方法でバランスを調整することができる。図3は、図1と同様に回転子70を回転子軸孔90と直交する断面図で示している。前記回転子70は積層鉄心10の内部にプレス等で打ち抜かれた回転子軸孔90と、永久磁石20a〜20dを収容する磁石収容孔30a〜30dと、カシメピン50a〜50dを挿入して一体固着させる為のカシメピン孔40a〜40dが設けられている。従って、これらの複数の薄板電磁鋼板を積層してオートクランプにより一体化した積層鉄心10の磁石収容孔30a〜30dに永久磁石20a〜20dを挿入し、積層鉄心10の磁石収容孔30a〜30dから永久磁石20a〜20dが飛び出さないように積層鉄心10の両端部を非磁性の端板60a、60bで塞ぎ、積層鉄心10のカシメピン孔40a〜40dにカシメピン50a〜50dを挿入して一体固着した回転子であります。
尚、回転子70の磁石収容孔30a〜30dは、略円弧形状の回転子外径80に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられている。この磁石収容孔30a〜30dは回転子70の円周方向の隣り合う極が異極となるように交互に配置されている。また、カシメピン50a〜50dを挿通させるカシメピン孔40a〜40dは、各極の隣り合う磁石収容孔30a〜30dとの間の極間部に回転子軸方向に貫通して設けられている。
図4は図3に示した回転子7のc−dの縦断面図である。積層鉄心10の磁石収容孔30a、30b(30c、30d)に永久磁石20a、20b(20c、20d)が挿入され、積層鉄心10の両端部には、この永久磁石20a、20b(20c、20d)が回転子70の磁石収容孔30a、30b(30c、30d)から飛び出ない様に端板60a、60bによって塞がれている様子を示している。この端板60a、60bの材質は非磁性材を用いている。これにより回転子70の軸方向からの磁束の短絡をなくしている。そして、回転子70の軸方向に貫通したカシメピン孔40a〜40dにカシメピン50a〜50dを挿入し一体かしめして回転子70を構成している。図3および図4に示した回転子70は4極を形成しています。また、積層鉄心10の内部に設けられたカシメピン孔40a〜40dは回転子軸孔90の中心を軸中心として4カ所共、同一半径の円周上に配置されている。
図3及び図4では、回転子70を一体にかしめたカシメピン50a〜50dの4本の内の1本の直径を変えている。これにより、回転子のバランスを意識的にずらしている。図3及び図4の実施形態では、カシメピン孔40a、40b、40dには同一直径のカシメピン5a、5b、5dを挿入し、カシメピン孔4cにはカシメピン5a、5b、5dより直径の大きなカシメピン5cを挿入している。これによって回転子のバランスの重心の位置がカシメピン5c側にずれることにより圧縮機などに用いられる回転子7のバランス量を調整することができる。図1及び図2に記載のカシメピンの比重を変えた材質を用いる手法と併用することによりバランス調整機能を向上できる。
また同様に、図5及び図6には、更にバランス調整機能を向上させる実施形態を示す。
図5は、回転子73を回転子軸孔93と直交する断面図で示している。前記回転子73は積層鉄心13の内部にプレス等で打ち抜かれた回転子軸孔93と、永久磁石23a〜23dを収容する磁石収容孔33a〜33dと、カシメピン53a〜53dを挿入して一体固着させる為のカシメピン孔43a〜43dが設けられている。従って、これらの複数の薄板電磁鋼板を積層してオートクランプにより一体化した積層鉄心13の磁石収容孔33a〜33dに永久磁石23a〜23dを挿入し、積層鉄心13の磁石収容孔33a〜33dから永久磁石23a〜23dが飛び出さないように積層鉄心13の両端部を非磁性の端板63a、63bで塞ぎ、積層鉄心13のカシメピン孔43a〜43dにカシメピン53a〜53dを挿入して一体固着した回転子であります。
尚、回転子73の磁石収容孔33a〜33dは、略円弧形状の回転子外径83に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられている。この磁石収容孔33a〜33dは回転子73の円周方向の隣り合う極が異極となるように交互に配置されている。また、カシメピン53a〜53dを挿通させるカシメピン孔43a〜43dは、各極の隣り合う磁石収容孔33a〜33dとの間の極間部に回転子軸方向に貫通して設けられている。
図6は図5に示した回転子73のe−fの縦断面図である。積層鉄心13の磁石収容孔33a、33b(33c、33d)に永久磁石23a、23b(23c、23d)が挿入され、積層鉄心13の両端部には、この永久磁石23a、23b(23c、23d)が回転子73の磁石収容孔33a、33b(33c、33d)から飛び出ない様に端板63a、63bによって塞がれている様子を示している。この端板63a、63bの材質は非磁性材を用いている。これにより回転子73の軸方向からの磁束の短絡をなくしている。そして、回転子73の軸方向に貫通したカシメピン孔43a〜43dにカシメピン53a〜53dを挿入し一体かしめして回転子73を構成している。図5および図6に示した回転子73は4極を形成しています。
図5及び図6の積層鉄心13の内部にはカシメピン53a〜53dを挿入するカシメピン孔43a〜43dが4カ所設けられている。カシメピン孔43a〜43dは、回転子73の各磁極間に各々1箇所づつ設けられている。積層鉄心13の内部に設けられたカシメピン孔43a〜43dは回転子軸孔93の中心を軸中心として4カ所の内の3カ所を同一半径の円周上に配置し残りの1カ所を前記3カ所が設けられている同一半径より外側に配置している。
図5及び図6では同一半径の円周上に配置した3カ所のカシメピン孔43a、43b、43dの中心までの半径をXとした場合、残り1カ所のカシメピン孔43cの中心までの半径Y1とした場合の関係はX<Y1となる。これによって回転子のバランスの重心の位置がカシメピン53c側にずれることにより圧縮機などに用いられる回転子73のバランス量を調整することができる。図1〜図4に記載の実施形態を合わせて併用することによりバランス調整機能を向上できる。
また、同様の手法ではあるが、図5及び図6で示した実施形態のバランス調整方法とは逆の調整方法もある。図7及び図8で説明する。図7の回転子74は回転子軸孔94と直交する断面図で示している。前記回転子74は積層鉄心14の内部にプレス等で打ち抜かれた回転子軸孔94と、永久磁石24a〜24dを収容する磁石収容孔34a〜34dと、カシメピン54a〜54dを挿入して一体固着させる為のカシメピン孔44a〜44dが設けられている。従って、これらの複数の薄板電磁鋼板を積層してオートクランプにより一体化した積層鉄心14の磁石収容孔34a〜34dに永久磁石24a〜24dを挿入し、積層鉄心14の磁石収容孔34a〜34dから永久磁石24a〜24dが飛び出さないように積層鉄心14の両端部を非磁性の端板64a、64bで塞ぎ、積層鉄心14のカシメピン孔44a〜44dにカシメピン54a〜54dを挿入して一体固着した回転子であります。
尚、回転子74の磁石収容孔34a〜34dは、略円弧形状の回転子外径84に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられている。この磁石収容孔34a〜34dは回転子74の円周方向の隣り合う極が異極となるように交互に配置されている。また、カシメピン54a〜54dを挿通させるカシメピン孔44a〜44dは、各極の隣り合う磁石収容孔34a〜34dとの間の極間部に回転子軸方向に貫通して設けられている。
図8は図7に示した回転子74のg−hの縦断面図である。積層鉄心14の磁石収容孔34a、34b(34c、34d)に永久磁石24a、24b(24c、24d)が挿入され、積層鉄心14の両端部には、この永久磁石24a、24b(24c、24d)が回転子74の磁石収容孔34a、34b(34c、34d)から飛び出ない様に端板64a、64bによって塞がれている様子を示している。この端板64a、64bの材質は非磁性材を用いている。これにより回転子74の軸方向からの磁束の短絡をなくしている。そして、回転子74の軸方向に貫通したカシメピン孔44a〜44dにカシメピン54a〜54dを挿入し一体かしめして回転子74を構成している。図7および図8に示した回転子74は4極を形成しています。
図7及び図8の積層鉄心14の内部にはカシメピン54a〜54dを挿入するカシメピン孔44a〜44dが4カ所設けられている。カシメピン孔44a〜44dは、回転子74の各磁極間に各々1箇所づつ設けられている。積層鉄心14の内部に設けられたカシメピン孔44a〜44dは回転子軸孔94の中心を軸中心として4カ所の内の3カ所を同一半径の円周上に配置し残りの1カ所を前記3カ所が設けられている同一半径より内側に配置している。
図7及び図8では同一半径の円周上に配置した3カ所のカシメピン孔44a、44b、44dの中心までの半径をXとした場合、残り1カ所のカシメピン孔44cの中心までの半径Y2とした場合の関係はX>Y2となる。これによって回転子のバランスの重心の位置がカシメピン54a側にずれることにより圧縮機などに用いられる回転子74のバランス量を調整することができる。図1〜図4に記載の実施形態を合わせて併用することによりバランス調整機能を向上できる。
更に、別の実施形態を図9及び図10を用いて説明する。
図9は、回転子75の回転子軸孔95を直交した断面図で示している。
回転子75を回転子軸孔95と直交する断面図で示している。前記回転子75は積層鉄心15の内部にプレス等で打ち抜かれた回転子軸孔95と、永久磁石25a〜25dを収容する磁石収容孔35a〜35dと、カシメピン55a〜55dを挿入して一体固着させる為のカシメピン孔45a〜45dが設けられている。従って、これらの複数の薄板電磁鋼板を積層してオートクランプにより一体化した積層鉄心15の磁石収容孔35a〜35dに永久磁石25a〜25dを挿入し、積層鉄心15の磁石収容孔35a〜35dから永久磁石25a〜25dが飛び出さないように積層鉄心15の両端部を非磁性の端板65a、65bで塞ぎ、積層鉄心15のカシメピン孔45a〜45dにカシメピン55a〜55dを挿入して一体固着した回転子であります。
尚、回転子75の磁石収容孔35a〜35dは、略円弧形状の回転子外径85に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられている。この磁石収容孔35a〜35dは回転子75の円周方向の隣り合う極が異極となるように交互に配置されている。また、カシメピン55a〜55dを挿通させるカシメピン孔45a〜45dは、各極の隣り合う磁石収容孔35a〜35dとの間の極間部に回転子軸方向に貫通して設けられている。
図10は図9に示した回転子75のj−kの縦断面図である。積層鉄心15の磁石収容孔35a、35b(35c、35d)に永久磁石25a、25b(25c、25d)が挿入され、積層鉄心15の両端部には、この永久磁石25a、25b(25c、25d)が回転子75の磁石収容孔35a、35b(35c、35d)から飛び出ない様に端板65a、65bによって塞がれている様子を示している。この端板65a、65bの材質は非磁性材を用いている。これにより回転子75の軸方向からの磁束の短絡をなくしている。そして、回転子75の軸方向に貫通したカシメピン孔45a〜45dにカシメピン55a〜55dを挿入し一体かしめして回転子75を構成している。図9および図10に示した回転子75は4極を形成しています。
図9及び図10の積層鉄心15の内部にはカシメピン孔45a〜45dが同一半径上に4カ所設けられている。カシメピン孔45a〜45dの4カ所の内、カシメピン孔45a、45b、45dの3カ所にはカシメピン55a、55b、55dが挿入されている。一方、カシメピン孔45cにはカシメピンが挿入されていない。これによって回転子のバランスの重心の位置がカシメピン55a側にずれることにより圧縮機などに用いられる回転子75のバランス量を調整することができる。
また、同様の実施形態を図11で説明する。図11は、回転子76を回転子軸孔96で直交した断面図を示している。
前記回転子76は積層鉄心16の内部にプレス等で打ち抜かれた回転子軸孔96と、永久磁石26a〜26dを収容する磁石収容孔36a〜36dと、カシメピン56a〜56dを挿入して一体固着させる為のカシメピン孔46a〜46dが設けられている。従って、これらの複数の薄板電磁鋼板を積層してオートクランプにより一体化した積層鉄心16の磁石収容孔36a〜36dに永久磁石26a〜26dを挿入し、積層鉄心16の磁石収容孔36a〜36dから永久磁石26a〜26dが飛び出さないように積層鉄心16の両端部を非磁性の端板66a、66bで塞ぎ、積層鉄心16のカシメピン孔46a〜46dにカシメピン56a〜56dを挿入して一体固着した回転子であります。
尚、回転子76の磁石収容孔36a〜36dは、略円弧形状の回転子外径86に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられている。この磁石収容孔36a〜36dは回転子76の円周方向の隣り合う極が異極となるように交互に配置されている。また、カシメピン56a〜56dを挿通させるカシメピン孔46a〜46dは、各極の隣り合う磁石収容孔36a〜36dとの間の極間部に回転子軸方向に貫通して設けられている。
図11は図12に示した回転子75のn−mの縦断面図である。積層鉄心16の磁石収容孔36a、36b(36c、36d)に永久磁石26a、26b(26c、26d)が挿入され、積層鉄心16の両端部には、この永久磁石26a、26b(26c、26d)が回転子76の磁石収容孔36a、36b(36c、36d)から飛び出ない様に端板66a、66bによって塞がれている様子を示している。この端板66a、66bの材質は非磁性材を用いている。これにより回転子76の軸方向からの磁束の短絡をなくしている。そして、回転子76の軸方向に貫通したカシメピン孔46a〜46dにカシメピン56a〜56dを挿入し一体かしめして回転子76を構成している。図11および図12に示した回転子76は4極を形成しています。
図11及び図12の回転子76には、前記同様積層鉄心16の内部にはカシメピン孔46a〜46dの4カ所設けられています。カシメピン孔46a〜46dの4カ所の内のカシメピン孔46b、46dは同一半径上に2カ所設けられ、カシメピン孔46a、46cの2カ所は、各々カシメピン孔46b、46dの半径より回転子外周86側に設けられている。カシメピン孔46aにはカシメピン56aを挿入し、一方、カシメピン孔46cにはカシメピンが挿入されていない。これによりカシメピン孔46a側のバランス量が増え、回転子76におけるバランス調整量が多い場合でも取り切ることができる。
また、図9及び図10との相違点は、カシメピン孔46aに挿入するカシメピン56aのカシメピンの直径はカシメピン46b、46dのカシメピンの直径よりも大きくしている。これにより前記同様、バランス調整量が多い場合でもバランスを取ることができる。更に、好ましくはカシメピンが挿入されていないカシメピン孔46cの直径を他のカシメピン孔の直径よりも大きく取ることによりバランス調整機能を向上することができる。実施形態では、回転子76の回転軸孔96の中心を回転子の軸中心として同一半径に、図11で示した前記軸中心を通るn−m線に対して相対的に設けられたカシメピン孔46b、46dには同一直径のカシメピン56b、56dを挿入している。一方、カシメピン孔46a、46cは、図11で示した前記軸中心を通るn−m線と直行する線に対して相対的に設けられている。カシメピン孔46aには、前記カシメピン孔46b、46dより外周側に位置し、カシメピン56b、56dより大きい直径のカシメピン56aを挿入し、カシメピン46cには、カシメピンが挿入されないカシメピン孔46b、46dより大きい直径のカシメピン孔46cが設けられている。効果を最大に得る場合は、製造、特性上の制約が許す限りカシメピン孔46cの配置は極力回転子の外周86側に近い位置で、直径を大きく取ることにより、バランスの重心がカシメピン56a側に大きくずれ最大の効果を得る。
尚、図1〜図12の実施形態では、回転子のカシメピン及びカシメピン孔の4カ所の内、1カ所のみカシメピンの比重、配置、直径、及びカシメピン孔に対するカシメピンの本数等が異なっているが、回転子の構造によってはカシメピン孔及びカシメピンの数を4カ所の内の2カ所の比重、配置、直径、また、カシメピン孔に対するカシメピンの数を変更できる。
また、本実施形態の回転子はカシメピン孔及びカシメピンを4カ所用いているが4カ所に限定するものでもなく、回転子の構造に合わせカシメピン孔の数、配置、直径等を変えることによりバランス調整することが可能であり、それに伴いカシメピンの比重、本数、配置、直径等を変えることができる。また、図9〜図12の実施形態で説明したカシメピンの本数は、カシメピン孔の数より少なくすればよく、カシメピン孔をNとした場合、カシメピンの数(N−1)以下とすればよい。
また、本実施形態の回転子のバランス量が前記記載の実施形態の構造で取りきれない場合、それぞれの実施形態を追加、削除して使用することが可能であり回転子のカシメピンの径を太くしたり、或いは細くすることや、カシメピン孔の孔径を大きくしたり、小さくすること、或いは夫々の配置や数などを実施仕様に合わせて変更することができる。また本実施形態をそれぞれ単独に用いても効果はある。カシメピンの材質としては、磁性材である鉄系や、非磁性材の真鍮系、アルミニウム系等を用いることができる。
また、各実施形態の磁石収容孔は、略円弧形状の回転子外径に対して弦状に形成した磁石収容孔が各磁極に設けられた形態を示したが、この形状に限定するものではない。特にV字形、凹字形、U字形等の磁石収容孔の形状においては、回転子外径と磁石収容孔との間の回転子外周側部分に電磁鋼板が占める割合が多いため、この部分に前記のカシメピンの本数より多いカシメピン孔を設けることによりバランス調整の効果を向上できる。
実施形態は永久磁石回転機の回転子の横断面図。 図1における永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 実施形態は永久磁石回転機の回転子の横断面図。 図3における永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 実施形態は永久磁石回転機の回転子の横断面図。 図5における永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 実施形態は永久磁石回転機の回転子の横断面図。 図7における永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 実施形態は永久磁石回転機の回転子の横断面図。 図9における永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 実施形態は永久磁石回転機の回転子の横断面図。 図11における永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 従来の永久磁石回転機の回転子の縦断面図。 従来の永久磁石回転機の回転子の縦断面図。
符号の説明
1〜16・・・積層鉄心
2a、20a〜26a、2b、20b〜26b、2c、20c〜26c、2d、20d〜26d、21、22・・・永久磁石
3a、30a〜36a、3b、30b〜36b、3c、30c〜36c、3d、30d〜36d、31、32・・・永久磁石収容孔
4a、40a〜46a、4b、40b〜46b、4c、40c〜46c、4d、40d〜46d、41、42・・・カシメピン孔
5a、50a〜56a、5b、50b〜56b、5c、50c〜56c、5d、50d〜56d、51、52・・・カシメピン
6a、6b、60a〜66a、60b〜66b・・・端板
7、70〜76・・・回転子
8、80〜86・・・回転子外径
9、90〜96・・・回転子軸孔
100・・・バランスウェイト
200・・・非磁性の管
300・・・バランス調整用の風孔
X、Y1、Y2・・・回転子軸中心からカシメピン孔中心までの距離

Claims (7)

  1. 固定子と回転子を備え、回転子は軸方向に複数の電磁鋼板を積層して構成された積層鉄心であって、前記積層鉄心の軸方向には回転子軸孔が設けられ、前記回転子軸孔と直交する径方向に永久磁石を収容する複数の磁石収容孔と、カシメピンを挿通する複数のカシメピン孔を設け、前記積層鉄心の両端部には磁石収容孔から永久磁石が飛び出ないようにするための端板が取り付けられ、前記カシメピンにより一体固着した回転子であって、
    前記回転子の複数のカシメピンの比重が、少なくとも1本異なっていることを特徴とする永久磁石回転機の回転子。
  2. 前記回転子において、前記カシメピンの直径が、少なくとも1本異なっていることを特徴とする請求項1項記載の永久磁石回転機の回転子。
  3. 前記回転子において、前記回転子軸孔の中心を軸中心とし、前記軸中心から複数のカシメピン孔中心までの径方向の距離が、少なくとも1カ所異なっていることを特徴とする請求項1項または2項に記載の永久磁石回転機の回転子。
  4. 固定子と回転子を備え、回転子は軸方向に複数の電磁鋼板を積層して構成された積層鉄心であって、前記積層鉄心の軸方向には回転子軸孔が設けられ、前記回転子軸孔と直交する径方向に永久磁石を収容する複数の磁石収容孔と、カシメピンを挿通する複数のカシメピン孔を設け、前記積層鉄心の両端部には磁石収容孔から永久磁石が飛び出ないようにするための端板が取り付けられ、前記カシメピンにより一体固着した回転子であって、
    前記回転子の複数のカシメピンの本数が、カシメピン孔の数より少なくしたことを特徴とする永久磁石回転機の回転子。
  5. 前記回転子において、前記カシメピンの比重が、少なくとも1本異なっていることを特徴とする請求項4項記載の永久磁石回転機の回転子。
  6. 前記回転子において、前記カシメピンの直径が、少なくとも1本異なっていることを特徴とする請求項4項または請求項5項に記載の永久磁石回転機の回転子。
  7. 前記回転子の回転子軸孔の中心を軸中心とし、前記軸中心から複数のカシメピン孔中心までの径方向の距離が、少なくとも1カ所異なっていることを特徴とする請求項4項〜6項のいずれかに記載の永久磁石回転機の回転子。
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