JP5170815B2 - 固体電解質型燃料電池ユニット及びスタック - Google Patents

固体電解質型燃料電池ユニット及びスタック Download PDF

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Description

本発明は、例えば、固体酸化物のような固体電解質を電解質として用いた燃料電池に係わり、さらに詳しくはセルを支持したセル板とガスの隔壁としてのセパレータの双方に金属の薄板を使用することによって、高強度化、軽量・コンパクト化、熱容量の低減を図った固体電解質型燃料電池ユニットと、このような電池ユニットを積層して成る固体電解質型燃料電池スタックに関するものである。
一般に、セルと金属製セパレータとを交互に積層するタイプの燃料電池スタックにおいて、金属セパレータには、電流パスとしての導電性と共に、セルと接触するためセルの熱膨張係数の整合性という2つの機能が求められる。
例えば、電解質としてYSZ(イットリア安定化ジルコニア)のような固体酸化物を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)の場合には、セルの熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有するフェライト系ステンレス鋼が多用されるが、フェライト系ステンレス鋼は、反面耐酸化性に乏しく、表面の酸化が進行して、スケール剥離や電気抵抗の増加が生じるという問題がある。
一方、オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食性、耐酸化性に優れるものの、熱膨張係数の相違によってセルの破損を来たすことがある。
そこで、例えば、特許文献1には、フェライト系ステンレス鋼から成るセパレータのカソード側表面に、オーステナイト系耐熱合金から成る第1の保護膜と、La−Sr系複合酸化物から成る第2の保護膜を形成することが記載されている。
特開平10−92446号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなセパレータにおいては、フェライト系ステンレス鋼にオーステナイト系材料を直接成膜するようにしているので、両者の熱膨張差によって剥離や変形が発生することになる。また、変形を抑制するにはフェライト系ステンレス鋼基板を厚板化する必要があり、スタックの重量や熱容量の増加に繋がることになる。
本発明は、セパレータやセルの支持基板となるセル板に金属板材を用いた固体電解質型燃料電池における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金属製のセパレータやセル板の耐酸化性や電気伝導性を高めたり、熱膨張係数を調整したりすることにより、耐久性や出力性能の向上を図ることができる固体電解質型燃料電池ユニットと、このような電池ユニットから成る燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的の達成に向けて、鋭意検討を重ねた結果、要求される機能に応じてセパレータ及びセル板を構成する金属材料をそれぞれ別な種類の材料としたり、セパレータに表面処理を施したりすることによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の固体電解質型燃料電池ユニットは、セルを支持して成る金属製のセル板と、該セル板と対向する金属製セパレータ板を備えた燃料電池ユニットにおいて、上記セパレータ板の少なくとも一部の表面に、動作温度において導電性を有する酸化物及び窒化物、貴金属、貴金属を含む合金材料、銅、若しくはクロムを含む合金材料による被覆、又はこれらの2種以上の混合材料から成る被覆形成されていると共に、上記セル板の熱膨張係数が、セパレータ板の熱膨張係数よりもセルの熱膨張係数に近いことを特徴とする。
そして、本発明の燃料電池ユニットにおいて、上記セパレータ板表面の導電性が、少なくとも当該セルの作動温度において上記セル板の導電性よりも高いものとしたり、上記セル板及びセパレータ板の結晶構造が互いに異なるものとしたりすることができる。また、上記被覆層をITOから成るものとすることができる。
さらに、本発明の固体電解質型燃料電池スタックは、本発明の上記燃料電池ユニットを複数個積層して成るものであることを特徴としている。
本発明によれば、セルを支持した金属製のセル板と、該セル板に相対向して配置された金属製セパレータ板を備えた固体電解質型燃料電池ユニットにおいて、上記金属製セパレータ板の表面の少なくとも一部に、上記のような材料による被覆を施したことから、高温環境下におけるセパレータ板の導電性を向上させることができ、電池の内部抵抗を低減して、出力の向上を図ることができる。また、セルを支持する金属製セル板の熱膨張係数を、金属製セパレータ板の熱膨張係数よりもセルの熱膨張係数に近いものとしたことから、熱応力によるセルの破損を防止することができ、電池の耐久性を向上させることができる。
本発明によれば、上記構造を備えた燃料電池ユニットにおいて、少なくともセルの作動温度における金属製セパレータ板の表面の導電性をセルを支持する金属製セル板の導電性よりも高くしたことから、当該ユニットを積層した際のユニット間の接触抵抗を低減することができ、燃料電池スタックの抵抗を低減して、スタックとしての出力性能を向上することができる。
さらにまた、セルを支持する金属製セル板と金属製セパレータ板の結晶構造を異なるものとしたことから、セルの熱膨張係数に近い結晶構造の材料をセル板に適用することによって、電池の耐久性を向上させることができる。
そして、本発明によれば、上記燃料電池ユニットの複数を積層して固体電解質型燃料電池スタックとしたことから、耐久性に優れると共に、内部抵抗が少なく、出力性能に優れたものとなる。
以下、本発明の固体電解質型燃料電池ユニットと、当該ユニットから成る燃料電池スタックについて、図面を参照して、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明の固体電解質型燃料電池ユニット及びスタックの基本構造を示すものであって、本発明の固体電解質型燃料電池ユニット1は、図1(a)及び(b)に示すように、金属の薄板からプレス成形され、セル2cを支持するセル板2と、同じく金属薄板のプレス成形品であって、このセル板2に相対向して配置されたセパレータ板3を備えている。
これらセル板2及びセパレータ板3の中心部には、燃料ガス又は空気を導入及び排気するための流入口4a及び排出口4b(図2参照)を備えた流路部品4が配置される一方、これらセル板2及びセパレータ板3の外周部を、例えばレーザ溶接によって接合することによって、これらの間に形成された閉空間が上記ガスの流路として機能するようになっている。
なお、これらセル板2とセパレータ板3の間には、繊維状あるいはスポンジ状をなしガス透過性を備えた導電性物質から成る集電体5が挟持されている。
また、上記セル板2には、図1(a)に示すように、複数のセル(単セル)2cを支持させることも、図1(b)に示すように、ドーナツ盤状のセル2cを1個だけ支持するようになすこともできる。
このような燃料電池ユニット1を複数個(図では5個)積層し、フランジ6,6によって固定することによって、図1(c)に示すように、固体電解質型燃料電池スタック10が得られる。
図2は、上記燃料電池スタック10の縦断面図であって、積層された各ユニット間には、同じくガス透過性を備えた導電性物質から成る集電体7が介在し、ユニット間の通電路として機能するようになっている。
このような構造を備えた燃料電池スタック10を所定のケースに収納し、所定のセルの作動温度に昇温した状態で、流路部品4のガスの流入口4aから、例えば燃料ガスを供給し、ケース内に空気を供給すると、燃料ガスが各燃料電池ユニット1の内部、すなわちセル板2とセパレータ板3の間を流れて、各セル2cの燃料極(アノード)に供給される一方、空気が各燃料電池ユニット1の外側から、各セル2cの空気極(カソード)に供給されることによって、発電が開始される。
本発明において、セル2cとして、代表的には、電解質として固体酸化物を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)を用いることができる。この場合、電解質としては、例えばYSZ、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープトセリア)、GDC(ガリウムドープトセリア)、LSGM(ランタンガレート)などを用いることができる。これらは酸素イオン伝導体であるが、プロトンを伝導体とする燐酸水素セシウムや硫酸水素セシウム、錫燐酸などの電解質材料も使用可能である。
そして、燃料極材料としては、Niや、Ni−YSZ、Ni−SSZ、Ni−SDC、Ni−GDC、Co−YSZ、Co−SSZ、Co−SDC、Co−GDCなどのサーメットを使用することができ、空気極材料としては、LSC(La1−XSrCoO)、SSC(Sm1−XSrCoO)などのコバルト系酸化物や、LSM(La1−XSrMnO)、LCM(La1−XCaMnO)などのランタンマンガン系酸化物等を用いることができる。これらの電極材料は、動作温度、使用燃料、電解質材料などによって最適化する必要があり、上述の材料に限定されるものではない。
なお、図1においては、燃料電池ユニット1として円盤状のものを例示したが、本発明の燃料電池ユニットの形状はこのような形状に限定される訳ではなく、四角形や、それ以上の多角形であっても、外周部を接合し、ユニット内でガスの流入、排出ができれば、特に差支えはない。
ただし、機能的には変わらないものの、円盤型の場合には応力集中が発生し難く、熱ショックに強い構造となるという利点がある。
本発明の固体電解質型燃料電池ユニットにおいては、上記2枚の金属板2,3のうち、セパレータ板3の表面の少なくとも一部に、スタックの動作温度において導電性を有する酸化物又は窒化物、貴金属、貴金属を含む合金材料、銅、又はクロムを含む合金材料、あるいはこれらの混合材料から成る群より選ばれた少なくとも1種による被覆を施すことによって耐熱性が向上し、高温環境下での導電性の劣化を防止することができ、電池の内部抵抗が減少して、出力性能の向上を図ることができる。
このとき、上記材料による被覆は、全面に施すことによって上記セパレータ板3の耐熱性を大幅に向上させることができるが、必ずしも全面に施す必要はなく、少なくとも積層時の電気伝導に寄与する部分、つまり集電体5、7との接触部分に被覆層が形成されていれば、一応の効果が得られる。
被覆材料として、具体的には、例えばランタンクロマイト、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、窒化チタン、窒化クロム、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、Fe−Cr合金などを挙げることができ、導電性や耐酸化性を付与するために、これらの物質にTiAlN、ITO、Ga添加ZnOなどを添加することもできる。
なお、セパレータ板3の表面を上記材料によって被覆するに際しては、乾式成膜としては、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法、CVD法、AD法(エアロゾルデポジション法)、PLD法(パルスレーザデポジション)等を適用することができる。また、湿式成膜としては、スプレー法やスクリーン印刷法なども使用可能であり、メッキなどの電気化学的手法でも成膜が可能である。
図3(a)〜(d)は、上記のような材料によるセパレータ板3への被覆例を示すものであって、図3(a)に示すように、セパレータ板3の外側全面に被覆層Cを形成したり、図3(b)に示すように、その内面側の全面に形成したりすることができる。
また、図3(c)のようにセパレータ板3の外面側における集電体7との当接面に被覆層Cを形成したり、図3(d)に示すように、セパレータ板3の内面側の集電体5との当接面に被覆層Cを形成したりすることができる。
なお、上記において、セル2cとして、SOFCを用いた場合には、セル板2及びセパレータ板3ともに、セル2cと熱膨張係数が近似したフェライト系ステンレス鋼を用いることが望ましく、これによってセル2cの熱応力による破損と共に、セル板2及びセパレータ板3の熱変形を防止することが可能となる。
また、本発明の固体電解質型燃料電池ユニットにおいては、上記セル板2を構成する金属材料を、セパレータ板3を構成する金属材料の熱膨張係数よりもセル2cの熱膨張係数に近似した熱膨張係数を備えた材料とすることによって、昇温・降温に伴う熱膨張の相違に基づくセル2cの破損を抑制することができる。
すなわち、本発明の燃料電池ユニット1においては、セパレータ板3は隣接するユニットとの導電パスとなり、セル板2はセル2cを保持する役割を担うこととなり、これら2枚の金属板は機能が異なるものであり、それぞれの機能に応じた異種材料を使用することができる。
セルが固定されているセル板2は、昇降温時などの熱膨張差によるセル2cの破損を防ぐため、セル2cと熱膨張係数が近いことが望ましい。一方、セパレータ板3については、セル2cと直接接することはなく、その熱膨張係数がセル2cと一致させる必要は必ずしもない。
なお、ここで、セル2cの熱膨張係数としては、一般には電解質材料、例えばSOFCの場合には、YSZやSSZ、SDCなどの固体酸化物の熱膨張係数が支配的なものとなるが、電極支持型セルのように電極の体積が大きい場合には、電極材料の熱膨張係数が支配的なものとなることから、支持基板となる電極材料の熱膨張により近い金属材料をセル板2の材料として使用することが必要となる。
セル2cを支持するセル板用材料として、具体的には、SUS430に代表されるフェライト系ステンレス鋼を挙げることができ、セパレータ板用材料としては、SUS316L、SUS310Sなどに代表される耐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼やインコネル600、718、750(JIS G 4902 NCF600、NCF718、NCF750)などに代表されるNi基合金などを挙げることができる。
セパレータ板用材料としてのオーステナイト系ステンレス鋼には、LaやCeを添加することによって、緻密な酸化膜層を形成し、酸化を抑制することが可能で、耐久性の向上を図ることができる。さらにまた、セパレータに用いる材料は、SUS430やSUS316LやZMGやFeCrSiやFeCrWなどのFe−Cr系合金が望ましい。インコネル750やインコネル718などのNi−Cr系合金も採用することができる。
さらにまた、軽量化を図るうえでセパレータの肉厚を0.05〜0.5mmとすることが望ましい。セパレータの肉厚が薄過ぎるとセパレータ自体の強度が低下する一方、セパレータの肉厚が大きすぎると、熱容量の増加、加工性の悪化、重量の増加、パッキング密度の低下などが懸念される。最適板厚は、材料にもよるが、SUS430の場合は、0.1mm程度であると考える。
また、セル板用材料としては、YSZに熱膨張係数が近いFe−Cr−W合金(Fe−25Cr−7Wや、Fe−18Cr−7W)を利用することができる。
当該合金は、加工性がさほど良くないため、スタックとして積層するための中心段差や、後述する応力緩和用溝などのプレス加工をセル板2の側に施すことが難しいことから、このような加工はセパレータ板3の側に集中的に実施することが望ましく、これによって製造コスト低減も可能となる。
本発明の固体電解質型燃料電池ユニットにおいては、少なくともセルの作動温度におけるセパレータ板3の表面の導電性をセル板2の導電性よりも高くすることによって、当該ユニットを積層した際のユニット間の接触抵抗が低減し、燃料電池スタックとしての出力向上を図ることができる。
すなわち、本発明の燃料電池ユニット1においては、上記したように、セパレータ板3は電気伝導に寄与することから、導電性が高いことが望ましく、特に表面の接触により積層されたユニットとの接続をとる場合は、表面の導電性が高いことが望まれる。一方、セル板2については、隣接するユニットとの電気的接続がセル電極部でなされることから、セル板自体の導電性が高い必要はない。
したがって、セル板2については、積極的に酸化物を形成することにより酸化膜の成長を抑制し、耐熱性を向上させる観点から、Al及びSiのうちの多い方の含有量について、セパレータ板3よりもセル板2の方が多くなるようにすることが望ましく、これによって耐久性の向上を図ることができる。
具体的には、例えば、セパレータ板用金属材料として、導電性を有するCr酸化物を形成するSUS310S、SUS316L、SUS430、インコネルなどの高Cr合金を使用し、セル板用金属材料としては、AlやSiを含有し、導電性は低いが安定な酸化物を形成するSUS430A、SUS430Bなどを用いることができる。
さらに、本発明の固体電解質型燃料電池ユニットにおいては、上記セル板2及びセパレータ板3を構成する金属材料の結晶構造がそれぞれ異なるものを使用し、機能に合わせた最適の材料を採用すること、例えばセル板2をフェライト系合金から成るものとする一方、セパレータ板3をオーステナイト系合金から成るものとすることによって、耐久性や電池性能を向上させることができる。
すなわち、セル2cがSOFCの場合には、セル板2に用いる材料として、セル2cに熱膨張係数が近いフェライト系合金材料を用い、セパレータ板3に用いる材料として、耐酸化性、耐食性に優れたオーステナイト系合金材料を使用することにより、当該燃料電池ユニット1の耐久性と出力の向上を図ることができる。
セル2cがSOFCの場合、代表的な電解質材料であるYSZの熱膨張係数が10.2×10−6/Kであるのに対して、オーステナイト系合金であるSUS310Sの熱膨張係数は、15.9×10−6/K、フェライト系合金であるSUS430の熱膨張係数については、10.4×10−6/Kであることから、フェライト系合金SUS430の方がセル2cを固定するためのセル板2の材料としてふさわしいことになる。
なお、SOFC以外の固体電解質(例えば、固体酸など)を電解質として使用したタイプのセルにおいては、セルの熱膨張係数に近い材料が必ずしもフェライト系合金とは限らないことから、セルの種類に応じて材料選択を検討することが必要となる。
そして、本発明の固体電解質型燃料電池ユニットは、上記したように、セル板2及びセパレータ板3の略中心部にガスの流入口4a、排出口4bを有する流路部品4を配置し、上記セル板2及びセパレータ板3の外周部を溶接、ろう付け、拡散接合及び接着のいずれかの方法によって接合し、当該セル板2及びセパレータ板3の間に閉じたガス流路を形成することによって、セラミックスなど非金属材料からなるセパレータやセル支持体を備えた燃料電池に較べて、軽量、高強度、コンパクトなものとなり、熱容量が低減して、耐熱衝撃性に優れ、急速起動・停止が可能な燃料電池ユニットが得られる。
図4(a)〜(h)は、上記セル板2及びセパレータ板3の形状例を示すそれぞれ断面図であって、これらセル板2及びセパレータ板3は、いずれも金属薄板をプレス成形したものであり、特にセル板2とセパレータ板3の材料金属の結晶構造や組織が相違する場合には、図4(b)及び(c)に示すようにセパレータ板3に凹凸状の応力緩和溝3gを設けたり、図4(f)及び(g)に示すようにセル板2の側に同様の応力緩和溝2gを形成したりすることによって、両者の熱膨張や歪を吸収できるようにすることが燃料電池ユニットの変形を防止し、耐用寿命を向上する観点から望ましい。
さらに、本発明の上記燃料電池ユニット1を複数個積層することによって、図1(c)及び図2に示したような固体電解質型燃料電池スタック10を得ることができ、上記したようなセル板2及びセパレータ板3の材料選択によって、耐久性に優れ、内部抵抗が少なく、出力性能に優れた燃料電池スタックを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
(実施例1)
まず、0.1mmの肉厚を有するSUS430(フェライト系ステンレス鋼)から成る圧延板を使用し、この圧延板を超硬及びSKD11から成る金型を装備したプレス装置にセットして、80トンの荷重でプレス成形することによって、図3に示したような断面形状のセル板2と、セパレータ板3を得た。なお、これらセル板2及びセパレータ板3の外径寸法は、それぞれ120mmとした。
次に、セル板2には、その燃料極が内側(図中上方)となるように、SOFCタイプのセル2cを所定部位に固定する一方、セパレータ板3には、図3(c)及び(d)に示すように、その内外両面の集電体5及び7との接触面に、スパッタ法によって、酸化インジウム(ITO)から成る被覆層Cを1μmの厚さに、ドーナツ形に形成した。
このようにITO皮膜を介在させることでITO皮膜が持つ耐酸化性により長期間にわたり安定した発電性能を発揮させることができ、また低抵抗を維持してスタック出力の向上および出力安定化を図ることができる。
上記集電部の低抵抗化に関しては、例えばSOFCにおいて代表的な空気極材料であるLa0.5Sr0.5Coの抵抗率が600℃で1×10−1Ωcm程度であることから、集電体の被覆の抵抗はそれよりも低く、1×10−1Ωcm以下であることが望まれる。この抵抗値が要求される温度域としては、SOFCでは500〜800℃、プロトン導電体でも300〜500℃である。また、燃料電池スタックを自動車に搭載した場合は頻繁に昇降温が発生し、昇温途中の温度でも発電させ、起動性を高めるためには広い温度範囲で抵抗率が一定値以下であることが望まれる。これに対して、前記ITO皮膜は幅広い温度範囲で十分に低い抵抗率を示し、燃料電池の出力向上に貢献する。
そして、上記セル板2とセパレータ板3の間に、金属製メッシュから成る集電体5を挟持すると共に、中央部にガス(この場合は燃料ガス)の流入口4a、排出口4bを備えた流路部品4を配置したのち、セル板2及びセパレータ板3の外周部をレーザ溶接によって接合することによって、固体電解質型燃料電池ユニット1を完成させた。
このような燃料電池ユニット1においては、セル板2とセパレータ板3のいずれもがフェライト系ステンレス鋼から成るものであることから、セル2cの破損や、セル板2及びセパレータ板3の熱変形が防止される一方、セパレータ板3の表面が上記被覆層Cによって保護されでいるので、その導電性が長期に亘って維持され、当該ユニット及びこれらユニットから成る燃料電池スタックの耐久性及び出力性能を大幅に向上させることができる。
なお、表1は、上記によってITO皮膜を形成したSUS430(フェライト系ステンレス鋼)製のセパレータ板3を高温酸化性雰囲気中(850℃空気中)に、長時間(50時間)放置した場合における単位面積当たりの重量増加をITO皮膜のない場合と比較したものであって、ITO皮膜を施すことによって、セパレータ板の耐酸化性が改善されることが判る。
Figure 0005170815
(実施例2)
セル板2及びセパレータ板3をプレス成形するに際し、セル板2については、上記実施例1で使用した肉厚0.1mmのSUS430から成る圧延板を使用する一方、セパレータ板3については、0.1mmの肉厚を有するSUS310S(オーステナイト系ステンレス鋼)から成る圧延板を使用し、同様のプレス装置により、同様の外径寸法を有するセル板2及びセパレータ板3をそれぞれ成形した。
なお、オーステナイト系ステンレス鋼から成るセパレータ板3については、図4(b)に示したような応力緩和溝3gを設け、これによってセル板2との熱膨張差による熱変形を吸収するようにした。
次に、得られたセル板2及びセパレータ板3を用いて、上記実施例1と同様に、集電体5や流路部品4を配置し、さらにセル板2及びセパレータ板3の外周部をレーザ溶接することによって、本例の固体電解質型燃料電池ユニット1を得た。
このようにして得られた本例の燃料電池ユニット1においては、セル板2がフェライト系ステンレス鋼から成るものとしたことによって、セル2cの破損が防止される一方、セパレータ板3がオーステナイト系ステンレス鋼から成るものであるから、耐食性、耐酸化性に優れ、その導電性が長期に亘って維持され、当該ユニット及びこれらユニットから成る燃料電池スタックの耐久性及び出力性能を大幅に向上させることができる。
なお、セル2cとセパレータ板3の熱膨張差による変形は、セパレータ板3に形成した応力緩和溝3gによって吸収される。
表2は、上記によって得られたSUS310S(オーステナイト系ステンレス鋼)製のセパレータ板3と、SUS430(フェライト系ステンレス鋼)製のセル板2をそれぞれ高温酸化性雰囲気中(850℃空気中)に、長時間(50時間)放置した場合における単位面積当たりの重量増加を同様に調査したものであって、オーステナイト系ステンレス鋼の耐酸化性がフェライト系ステンレス鋼に較べて大幅に優れることが確認された。
Figure 0005170815
本発明の固体電解質型燃料電池ユニットの構造を示す断面図(a)(b)及び当該ユニットを用いた燃料電池スタックの構造を示す斜視図(c)である。 図1(c)に示した固体電解質型燃料電池スタックの断面図である。 (a)〜(d)は本発明の固体電解質型燃料電池ユニットにおける被覆層位置の実施形態を示す断面図である。 (a)〜(h)は本発明の固体電解質型燃料電池ユニットにおけるセル板及びセパレータ板形状の実施形態を示す断面図である。
1 固体電解質型燃料電池ユニット
2 セル板
2c セル
3 セパレータ板
4 流路部品
4a 流入口
4b 排出口
10 固体電解質型燃料電池スタック
C 被覆層

Claims (6)

  1. セルを支持して成る金属製のセル板と、該セル板と対向する金属製セパレータ板を備え、上記セパレータ板の少なくとも一部の表面に、動作温度において導電性を有する酸化物及び窒化物、貴金属、貴金属を含む合金材料、銅、及びクロムを含む合金材料から成る群より選ばれた少なくとも1種による被覆形成されていると共に、上記セル板の熱膨張係数が、セパレータ板の熱膨張係数よりもセルの熱膨張係数に近いことを特徴とする固体電解質型燃料電池ユニット。
  2. 上記セパレータ板表面の導電性が、少なくとも当該セルの作動温度において上記セル板の導電性よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の固体電解質型形燃料電池ユニット。
  3. 上記セル板及びセパレータ板の結晶構造が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質型燃料電池ユニット。
  4. 上記被覆層がITOから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体電解質型燃料電池ユニット。
  5. 上記セル板がフェライト系合金から成り、上記セパレータ板がオーステナイト系合金から成ることを特徴とする請求項に記載の固体電解質型燃料電池ユニット。
  6. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の固体電解質型燃料電池ユニットを複数積層して成ることを特徴とする固体電解質型燃料電池スタック。
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