JP5283323B2 - 燃料電池用インターコネクタ及びセルスタック - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池,特に固体電解質型燃料電池に使用される燃料電池用インターコネクタ及びこれを使用した燃料電池用セルスタックに関する。
代表的な燃料電池の一つとして、固体酸化物型燃料電池〔SOFC(Solid Oxide Fuel Cells)〕がある。この燃料電池では、通常、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの焼結体からなる薄く脆い固体電解質層の一方の表面に燃料電極層を形成し、他方の表面に空気電極層を形成した3層構造の積層体が、単電池セルとして使用される。燃料電極としてはNiとYSZのサーメット、空気電極としてはランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などが使用される。いずれも多孔質の焼結体である。
この単電池セルは、起電力が1V以下と低いために、通常は複数枚を厚み方向へ積層し、直列に接続して使用される。より具体的には、単電池セルの両面側に反応空間が形成されるように、単電池セルを間に挟みながらインターコネクタを板厚方向へ積層することにより、セルスタックが構成される。セルスタックは炉内に収容され、800〜1000℃という高温で運転される。
インターコネクタは、電池セルを電気的に直列接続する導電板であると共に、燃料ガスと酸化ガスを分離するセパレータ板であり、優れた電気伝導性及び耐熱性を求められる。これらの観点から、インターコネクタの材質にはFe−Cr合金、特に耐熱性が高く熱膨張係数が比較的小さいフェライト系ステンレス鋼が多用されており、両表面には隣接する単電池セルとの間に反応空間を形成するためのガス分配溝が形成されている。
燃料電池の運転では、炉内を運転温度に予熱後、炉内のセルスタックの中心部に水素リッチの燃料ガスと空気などの酸化ガスを供給する。セルスタック内に供給された燃料ガスは、単電池セルの一面側に形成された燃料電極側の反応空間を中心部から外周部へ流通する。また酸化ガスは、単電池セルの他面側に形成された空気電極側の反応空間を中心部から外周部へ流通する。こうして各単電池セルを挟んで両ガスが中心部から外周部へ流通することにより、各単電池セルで発電が行なわれる。運転温度は前述したとおり800〜1000℃である。
このような構成になる従来の燃料電池では、そのセルスタックのインターコネクタに起因して次のような問題がある。
セルスタックのインターコネクタがフェライト系ステンレス鋼等のFe−Cr合金であると、電池セルの空気電極側の反応空間を高温の加湿空気が流通することから、インターコネクタの空気電極側の表面に酸化スケール〔主にクロミア(Cr2 3 )〕が形成される。この酸化スケールは優れた耐熱性を有し、インターコネクタを高温から保護すると共に、電気伝導度も比較的高く、電池セルの電気的な接続を阻害しない。酸化スケールの電気導電性が高いことも、Fe−Cr合金がインターコネクタに使用される大きな理由の一つである。
しかしながら、その酸化スケールの主体をなすクロミア(Cr2 3 )からCrO3 、CrO2 (OH)2 などのクロム化合物からなるクロム蒸気が発生する。これらのクロム蒸気〔CrO3 (g)、CrO2 (OH)2 (g)〕は、空気電極層の側に高抵抗のSrCrO4 等として析出し、徐々に電池特性を低下させる原因になる。クロム蒸気による電池性能の低下はクロム被毒と呼ばれており、インターコネクタにFe−Cr合金を用いる場合に解決しなければならない問題の一つである。
この問題を解決するために、フェライト系ステンレス鋼等のFe−Cr合金からなるインターコネクタの表面に各種の化合物をコーティングすることは広く一般に行われている。Fe−Cr合金母材の表面に緻密なコーティング層が形成されれば、母材からのクロム蒸気の発生を効果的に抑制することができる。
そして、そのコーティング技術の一つとして、ペロブスカイト型複合酸化物の緻密層をFe−Cr合金母材の表面に形成することは、例えば特許文献1により公知である。また、運転環境下で(Mn,Cr)3 4 などのスピネル型複合酸化物の被覆層を表面に形成するFe−Cr合金(SUS430など)も開発されている。更に又、(Mn,Co)3 4 などのCrを含まないスピネル型複合酸化物をFe−Cr合金母材の表面にコーティングする対策も知られている。
特開2004−281105号公報
これらの従来対策を比較した場合、スピネル型複合酸化物の被覆層は、酸化雰囲気中での母材加熱や金属コーティング後の酸化雰囲気中での加熱により、容易に形成することができる。また、電気伝導度も良好で、クロミア(Cr2 3 )より高いものさえある。しかし、母材がクロムを含む限り、使用過程で母材と被覆層の界面にクロミア(Cr2 3 )が生成し、クロム被毒による電池性能の低下が避けられない。
一方、ペロブスカイト型複合酸化物は、スピネル型複合酸化物と比べると結晶構造において隙間が多く、イオンが拡散しやすいために、電気伝導度が良好であり、固体電解質型燃料電池における電極材料として多用されている。しかし、インターコネクタの母材表面に緻密な被覆層を形成するためには、電子ビーム蒸着、プラズマ溶射等による特別な成膜操作が必要であり、被覆層形成コストが嵩む。また膜厚を大きくするのが困難であり、使用過程で被覆層の剥離が生じ、クロム被毒が発生する問題がある。また、被覆層の剥離が生じずとも、母材がクロムを含む限り、使用過程で母材と被覆層の界面にクロミア(Cr2 3 )が生成する危険性があり、剥離の有無に関係なくクロム被毒の問題は依然として残る。クロム被毒の問題は、スピネル型複合酸化物と比べて結晶密度が低く、隙間が多いため、より顕著である。
本発明の目的は、固体電解質型燃料電池におけるクロム被毒を、長期間安定して抑制できる燃料電池用インターコネクタ、及びそのインターコネクタを使用することにより長期間安定した電池性能を発揮できる燃料電池用セルスタックを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者は固体電解質型燃料電池におけるインターコネクタの材質として純Ni、Ni基合金及びFe−Ni合金に着目した。これらのNi系金属材料は、耐熱性に優れることから一部ではインターコネクタの材質として考えられている。しかし、実際にはインターコネクタに使用されていない。それは、Ni母材の表面に形成される酸化スケールの電気導電性が低く、インターコネクタとしての基本性能が欠如する(セル電圧が定格に達しない)ことによる。この酸化スケールは、主に酸化ニッケル(NiO)である。
しかしながら、Ni系金属は、Crを含まなくても優れた耐熱性を発揮することができるのは事実である。また、Crが排除されることにより、クロム被毒の問題を根幹から解決することができる。このような可能性を重視して、本発明者はCrを含まない純NiやNi基合金、Fe−Ni合金をインターコネクタの母材とし、その母材で問題となる酸化スケールの電気導電性の低さをコーティング技術で解決することを企画し、様々な方面から多角的に実験、検討を行った。その結果、Crを含まないNi系金属からなる母材表面に特定のスピネル型複合酸化物を被覆層として形成するのが有効ことを、本発明者は知見した。
本発明の燃料電池用インターコネクタは、かかる知見を基礎として完成されたものであり、固体電解質型燃料電池に使用されるインターコネクタであって、純Ni若しくはCrを含まないNi基合金又はFe−Ni合金を母材とし、当該母材の表面、好ましくは単電池セルの燃料電極層との対向面及び空気電極層との対向面に、金属元素としてCo、Cu、Mnの少なくとも1種、及びNiを含みCrを含まないスピネル型複合酸化物からなる被覆層を有する。
また、本発明の燃料電池用セルスタックは、固体電解質層の一方の表面に燃料電極層が形成され、他方の表面に空気電極層が形成された単電池セルを間に挟みながら、前記インターコネクタを板厚方向へ積層することにより形成されている。
Co、Cu、Mnの少なくとも1種、及びNiを含むスピネル型複合酸化物からなる被覆層は、第1に、例えば母材表面にCo、Cu、Mnの少なくとも1種からなる金属を電解メッキ、無電解メッキ等により被覆し、酸化性雰囲気中で加熱処理することにより簡単に形成することができる。第2に、金属の電解メッキ、無電解メッキ等によると、その層厚を簡単に厚くすることができ、耐久性を高めることができる。
第3に、そのスピネル型複合酸化物はp型半導体の特性を示し、特に複数の原子価をもつ遷移金属のスピネル型複合酸化物となるため、ホッピング伝導機構により高い電気伝導性を示し、ペロブスカイト型複合酸化物と比べてイオンが拡散しにくいとはいえ、NiOと比べると格段に高い電気電導性を示す。第4に、スピネル型複合酸化物は又、結晶構造が酸素の最密充填構造で、密度的に極めて緻密な結晶構造であるため、ペロブスカイト型複合酸化物と比べて酸化物イオン(酸素イオン)、Niイオン、Coイオンが拡散しにくい。このため母材との反応性が低く、界面におけるNi系酸化スケールの生成が抑制される。しかも、この界面に形成される酸化スケールは、p型半導体の特性を示すスピネル型酸化物となるため、NiOより電気伝導度が良好である。これらのため、前記スピネル型複合酸化物は、インターコネクタの被覆層に適用して単電池セルの電気的接続を阻害しない。
第5に、被覆層の耐熱性に優れ、燃料電池の過酷な運転環境から母材を保護する。そして第6に、母材及び被覆層の双方がCrを含まないことから、単電池セルの空気電極側において、母材と被覆層との界面におけるクロミア(Cr2 O3 )の生成がなく、クロム被毒を生じる危険が皆無である。
すなわち、Fe−Cr合金の表面にスピネル型複合酸化物の被覆層を形成した場合、界面に形成される酸化スケールはクロム被毒等の問題を生じる。これに対し、純Ni若しくはCrを含まないNi基合金又はFe−Ni合金の表面にスピネル型複合酸化物の被覆層を形成した場合、界面に形成される酸化スケールによる問題(クロム被毒、電気伝導度の低下等)は生じない。
本発明のインターコネクタにおける母材の材質は、純Ni若しくはCrを含まないNi基合金又はFe−Ni合金である。Ni基合金におけるNi含有量は60重量%以上が好ましい。なぜなら、燃料電池に必要な耐熱性、耐食性を確保するためである。Ni以外の含有元素として好適なのはMo、Fe、Co、Cuなどである。典型的なNi基合金はパーマロイである。なお、これらの母材金属において、クロム被毒の原因にならない程度の微量のCrの含有は許容される。具体的には1重量%以下である。
母材表面に被覆形成されるスピネル型複合酸化物は、例えば化学式1にて表わされる。このスピネル型複合酸化物は、Ni以外の金属元素として少なくともCo、Cu、Mnの一種を含有しており、電気伝導性に優れ、化学的安定性にも優れることは前述したとおりである。
Figure 0005283323
Co、Cu、Mn以外に含有可能な金属元素としては、例えばFeなどを挙げることができる。
このようなスピネル型複合酸化物の被覆層は、次のようにして母材表面に形成することができる。まず、母材金属の表面にCo、Cu、Mnの各金属又は合金を被覆する。又はMO(M=Co、Cu、Mn)、M3 4 (M=Co、Cu、Mn)といった酸化物を被覆する。或いはM(OH)2 (M=Co、Cu、Mn)といった水酸化物を被覆する。
被覆方法としては、金属の場合は無電解メッキ法、電解メッキ法、PVD法、スピンコート法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法などを挙げることかできる。酸化物、水酸化物の場合は電気メッキ法、スピンコート法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
金属等の被覆を終えた母材は酸化性雰囲気中で加熱する。これにより被覆物が焼成乃至共焼成され、母材表面にスピネル型複合酸化物の被覆層が形成される。ここにおける加熱は、インターコネクタをセルスタックに組み上げた後の運転に先立つ予熱で兼用することかできるが、膜特性を上げるためにはセルスタックに組み上げる前のインターコネクタ単体の段階で専用加熱を行うのが好ましい。
加熱条件、加熱雰囲気としては、酸化性雰囲気での800℃以上、48時間以上が適当である。なぜなら、母材表面に形成された被覆層と母材との間で相互拡散するための温度及び時間を必要とするからである。
スピネル型複合酸化物の被覆層の層厚は50μm以下が好ましい。なぜなら、母材との相互拡散による被覆層の減少等を考慮すると厚い方が好ましいが、厚くなり過ぎると、母材との熱膨張差による被覆層のクラックや剥離が発生するからである。下限については、前述した母材との相互拡散による被覆層の減少の観点から0.5μm以上が好ましい。特に好ましい層厚は、上限については20μm以下、下限については1μm以上である。
本発明の燃料電池用インターコネクタは、Crを含まないNi系金属母材の表面に、金属元素としてCo、Cu、Mnの少なくとも1種、及びNiを含みCrを含まないスピネル型複合酸化物からなる被覆層が形成されていることにより、ガスセパレーターに要求される高い耐熱性を示すと共に、単電池セルの電気的接続に支障のない電気伝導性を示し、なおかつクロム被毒による電池性能の低下を長期間にわたって安定的に阻止することができる。
また本発明の燃料電池用セルスタックは、単電池セルを間に挟みながら本発明のインターコネクタを板厚方向へ積層した構成を採用することにより、機械強度面での耐久性に優れ、しかもクロム被毒による電池性能の低下のない安定な性能を長期間にわたって発揮し続けることができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す燃料電池用セルスタックの模式縦断面図である。
本発明のインターコネクタ10は、固体電解質型燃料電池のセルスタックに使用される。セルスタックは、円板状の単電池セル20を間に挟みながら、同じく円板状のインターコネクタ10を板厚方向に積層することにより構成されている。
単電池セル20は、固体電解質層21の一方の表面に燃料電極層22が積層され、他方の表面に空気電極層23が積層された3層構造の薄い円板である。固体電解質層21は例えばYSZからなり、その厚みは5〜30μmである。YSZの熱膨張係数は後述のサーメットより小さい約10×10-6-1である。燃料電極層22は、例えばNiとYSZのサーメットからなり、その厚みは0.5〜2mmである。サーメットの熱膨張係数はフェライト系ステンレス鋼と同じ約12×10-6-1である。通常は固体電解質と燃料電極を同時に焼結する共焼結法が採用され、その焼結温度は1300℃前後である。空気電極層23は、例えばLSMからなり、その厚みは20〜50μmである。LSMの焼成温度は900℃程度、熱膨張係数は前記YSZと同等の約10×10-6-1である。
単電池セル20の中心部には、燃料ガス及び酸化ガスをそれぞれ通過させるために2種類の貫通孔が設けられている。
インターコネクタ10は、単電池セル20と同じ外径の金属円板であり、純Ni、Crを含まないNi基合金又はFe−Ni合金からなる。インターコネクタ10の中心部には、単電池セル20の貫通孔に対応する燃料ガス用及び酸化ガス用の各貫通孔が設けられている。インターコネクタ10の厚みは0.5〜2.5mmが好ましく、1.0〜2.0mmが特に好ましい。薄すぎると半径方向の熱伝導性の低下により温度勾配が生じ、インターコネクタの熱歪みや熱応力によるセル割れが生じる。反対に厚すぎる場合は材料費のコストアップやスタック容量の増加を招く。
インターコネクタ10は、積層された所定枚数の複数の単電池セル20を電気的に直列接続すると共に、単電池セル20の両面側に反応空間を形成するためのもので、エンドプレートを兼ねる両端のものを除き同じ構造である。両端のものを除くインターコネクタ10、すなわち2枚の単電池セル20,20に挟まれるインターコネクタ10は、単電池セル20の燃料電極側の表面に対向する表面に、燃料ガスを中心部の貫通孔から外周部へ拡散させながら流通させる燃料ガス用のガス分配溝11を有している。また、単電池セル10の空気電極側の表面に対向する表面には、空気等の酸化ガスを中心部の貫通孔から外周部へ拡散させながら流通させる酸化ガス用のガス分配溝12が設けられている。
両端のインターコネクタ10,10の一方は、単電池セル20の燃料電極側の表面に接触し、その表面には、燃料ガスを中心部の貫通孔から外周部へ拡散させながら流通させる燃料ガス用のガス分配溝11が設けられている。他方は単電池セル20の空気電極側の表面に接触し、その表面には、酸化ガスを中心部の貫通孔から外周部へ拡散させながら流通させる酸化ガス用のガス分配溝12が設けられている。
各インターコネクタ10の両表面には、(Co,Ni)3 4 、(Mn,Ni)3 4 、(Cu,Ni)3 4 などで示されるスピネル型複合酸化物の被覆層13が形成されている。この被覆層13は、インターコネクタ10の母材であるNi系金属の表面にCo、Mn、Cuなどを電解メッキ又は無電解メッキした後、その母材を高温酸化性雰囲気下に保持することにより形成されている。被覆層13の厚みは50μm以下である。
この被覆層13は、隣接する2つの単電池セル20,20間に配置されるインターコネクタ10においては、それらの単電池セル20,20を電気的に接続する必要から両表面に必要であるが、一方の表面のみを単電池セル20に対向させる両端のインターコネクタ10,10においては、ガス分配溝11,12が設けられる対向面にのみ設ければよく、必ずしも両面に設ける必要はない。
そしてセルスタックは、所定枚数のインターコネクタ10,10・・を、各間に単電池セル20を挟みながら積み重ね、図示されない連結ロッドなどで固定することにより構成されている。
こうして組み立てられたセルセルスタックの特徴は以下のとおりである。
セルスタックを図示されない炉内で運転温度に予熱し、単電池セル20の燃料電極22と燃料電極側のインターコネクタ10との間に水素リッチの燃料ガスを中心部から外周部へむけて流通させると共に、単電池セル20の空気電極23と空気電極側のインターコネクタ10との間に空気などの酸化ガスを中心部から外周部へむけて流通させる。これにより各単電池セル20で発電が行われる。各単電池セル20はインターコネクタ10により直列に接続されている。運転温度は例えば800℃である。
ここで、インターコネクタ10は純Ni、Crを含まないNi基合金又はFe−Ni合金からなる。これらの金属は耐熱性に優れると共に、それ自体の電気伝導度が高いために、隣接する単電池セル20,20間でガスセパレーター及び電気的接続部材として機能する。特に、各インターコネクタ10においては、単電池セル20の燃料電極側の表面及び空気電極側の表面に(Co,Ni)3 4 、(Mn,Ni)3 4 、(Cu,Ni)3 4 などで示されるスピネル型複合酸化物の被覆層が形成されている。
この被覆層が存在しないと、燃料電池の運転温度でインターコネクタ10の表面に酸化スケールが形成される。この酸化スケールは電気伝導性が悪く、電圧降下による電池性能の低下を引き起こす。しかるに、前記セルスタックにおいては、インターコネクタ10の表面に(Co,Ni)3 4 などで示されるスピネル型複合酸化物の被覆層13が形成されている。この被覆層13は前記酸化スケールと比べて電気伝導度が高く、電圧降下による電池性能の低下を生じない。また、インターコネクタ10の母材からも被覆層13からもCrが排除されているために、単電池セル20の空気電極側においてクロム被毒が生じない。更に、被覆層13は緻密で安定性が高いために、母材と被覆層13との界面におけるイオンの拡散が生じにくい。このため界面における酸化スケールの発生が抑制される。そして、単電池セル20の空気電極側においてクロム被毒が生じないこと、及び燃料電極側及び空気電極側の界面において高抵抗の酸化スケールの発生が抑制されることにより、電池性能の経時的な低下が回避され、長期間安定な電池性能が維持される。
図2は本発明のインターコネクタを使用した燃料電池の電池性能を他のインターコネクタを使用した燃料電池の電池性能と比較して示したグラフである。
図2の縦軸は燃料電池における単電池セル電圧、横軸は運転時間であり、両者の関係を、本発明のインターコネクタを使用した燃料電池、Fe−Cr合金からなるインターコネクタを使用した燃料電池、純Niからなる無被覆のインターコネクタを使用した燃料電池について示している。
本発明のインターコネクタは、厚みが1.5mm、直径が120mmの純Niからなる円板状母材の両表面に(Co,Ni)3 4 からなる厚みが5μmの被覆層を形成したものである。この被覆層は、純Niからなる円板状母材の両表面に無電解メッキによりCoを被覆し、その円板状母材を800℃×48時間の酸化性加熱雰囲気中に保持することにより形成した。Fe−Cr合金からなるインターコネクタは、(Mn,Cr)3 4 からなるスピネル型複合酸化物の被覆層を運転環境で表面に形成するフェライト系ステンレス鋼(SUS430)により形成されている。純Niからなる無被覆のインターコネクタは、本発明のインターコネクタにおける母材と同じものである。
セルスタックは80枚の単電池セルを積層して構成されており、図示されない炉内に収容されて燃料電池を構成している。運転条件は各燃料電池間で同一とした。
図2から分かるように、純Niからなるインターコネクタを使用の場合、表面に形成される高抵抗の酸化スケールのため、運転開始当初よりセル電圧が低く、定格電圧(0.7V)に達しない。スピネル型複合酸化物の被覆層を運転環境で表面に形成するFe−Cr合金(SUS430)により形成されたインターコネクタを使用の場合、そのスピネル型複合酸化物の電気伝導性が良好なため、運転開始当初は定格を超えるセル電圧が得られる。しかし、運転が続くにつれてセル電圧が低下する。これは母材とスピネル型複合酸化物の界面にクロミア(Cr2 3 )が生成し、これから発生したクロム蒸気が単電池セルの空気電極に移行し、空気電極で高抵抗のSrCrO4 が生じる、いわゆるクロム被毒を生じたためである。
これらに対し、純Niからなる母材の表面に(Co,Ni)3 4 からなるスピネル型複合酸化物の被覆層を形成した本発明のインターコネクタを使用の場合、運転開始当初のセル電圧はFe−Cr合金(SUS430)製のインターコネクタ使用の場合よりも低い。これはNi系複合酸化物の電気伝導度がCr系複合酸化物の電気伝導度より若干低いことによる。しかし、母材からも被覆層からもCrが排除されているため、空気電極側におけるクロム被毒の原因となるCr系酸化スケール(クロミア)が生成されない。このため、クロム被毒によるセル電圧の経時的な低下が生じず、長時間の運転中、定格セル電圧が維持される。
本発明の一実施形態を示す燃料電池用セルスタックの模式縦断面図である。 本発明のインターコネクタを使用した燃料電池の電池性能を、他のインターコネクタを使用した燃料電池の電池性能と比較して示したグラフである。
符号の説明
10 インターコネクタ
11,12 ガス分配溝
13 被覆層
20 単電池セル
21 固体電解質層
22 燃料電極層
23 空気電極層

Claims (4)

  1. 固体電解質型燃料電池に使用されるインターコネクタであって、純Ni若しくはCrを含まないNi基合金又はFe−Ni合金を母材とし、当該母材の表面に、金属元素としてCo、Cu、Mnの少なくとも1種、及びNiを含みCrを含まないスピネル型複合酸化物からなる被覆層を有する燃料電池用インターコネクタ。
  2. 前記被覆層が形成される母材表面は、単電池セルの燃料電極層との対向面及び空気電極層との対向面である請求項1に記載の燃料電池用インターコネクタ。
  3. 前記被覆層の厚みが50μm以下である請求項1又は2に記載の燃料電池用インターコネクタ。
  4. 固体電解質層の一方の表面に燃料電極層が形成され、他方の表面に空気電極層が形成された単電池セルを間に挟みながら、請求項1〜3の何れかに記載のインターコネクタを板厚方向へ積層することにより形成された燃料電池用セルスタック。
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