JP2016066504A - 燃料極用集電材および固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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浩二 久田
純 嶋野
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純 嶋野
裕介 小椋
Yusuke Ogura
裕介 小椋
安伸 水谷
Yasunobu Mizutani
安伸 水谷
佑輝 向原
Yuki Mukohara
佑輝 向原
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Takeshi Imamura
豪 今村
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Abstract

【課題】高い電気伝導性と化学的安定性に加え、高い熱伝導性を兼ね備えた低コストの燃料極用集電材、およびそのような燃料極用集電材を備えた固体酸化物形燃料電池を提供すること。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池の燃料極とセパレータとの間に配置される燃料極用集電材10を、母材11と、母材11の表面を被覆して最表面に露出した被覆層12と、を用いて構成する。母材11は、CuまたはCu合金よりなる。被覆層12は、Ni、Co、Ag、Ru、Pd、Pt、Au、Rh、Ir、またはそれらの元素を主成分とする合金から選択される1種または2種以上よりなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料極用集電材および固体酸化物形燃料電池に関し、さらに詳しくは、固体酸化物形燃料電池の燃料極とセパレータの間に配置される燃料極用集電材、およびそれを用いて構成した固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体電解質層の両面に燃料極(アノード)および空気極(カソード)を接合した単セルを基本的な構成要素としている。SOFCにおいては、平板状または管状の単セルを電気的に直列および並列に複数接続することによって発電装置とすることが多い。ここで、複数の平板状の単セルを直列接続する際に、隣接する単セルの間にセパレータが介在される。セパレータは、ガス流路が形成された導電部材よりなり、隣接する単セルの電極間を電気的に接続するとともに、隣接する電極に供給される燃料ガスと酸化剤ガスを分離する役割を果たす。
この種の単セルとセパレータを交互に接続したSOFCでは、単セル内における電気抵抗に加え、単セルとセパレータとの間の接続部に生じる電気抵抗が無視できないものとなっている。単セルとセパレータとの間の接触抵抗が大きいと、集電効率が低下し、SOFC全体としての発電性能が損なわれてしまうため、従来より、単セルとセパレータとの間の接触抵抗を低減させる試みがなされている。例えば、単セルの燃料極や空気極とセパレータとの間に、集電材よりなる層を介在させる方法が用いられる。
こうした集電材のうち、燃料極とセパレータの間に介在される燃料極用集電材として、Ni材がしばしば用いられる。Niは電気伝導性が高いうえ、化学的に安定であり、SOFCが作動される高温でも、燃料極やセパレータ、そして燃料ガスとの間で化学反応を起こしにくいからである。Niよりなる燃料極用集電材としては、例えば、特許文献1に示されるようなメッシュ材(図3参照)や、ポーラス材(図4参照)等、種々の形態のものが用いられる。メッシュ材やポーラス材を用いると、空孔部分を燃料ガスが透過するので、集電性と燃料ガスの透過を高度に両立することができる。
特開2005−317274号公報
上記のように、Ni等、高い電気伝導性と化学的安定性を有する金属は、SOFC単セルの燃料極とセパレータの間に配置して、燃料極用集電材として用いるのに、優れた材料となりうる。しかし、Niをはじめ、高い電気伝導性と化学的安定性を有する金属は、必ずしも高い熱伝導性を有している訳ではない。熱伝導性の低い金属を燃料極用集電材としてセパレータと燃料極の間に配置し、SOFCを運転すると、単セルの面内に不均一な温度分布が発生しやすく、熱応力によって、単セルが割れてしまう等の損傷が発生する場合がある。
一方、高い電気伝導性および化学的安定性と、比較的高い熱伝導性を兼ね備えた金属材料として、AuやAg、またPt等の白金族金属を燃料極用集電材として用いることも考えられる。しかし、これらの金属はいずれも高価であり、SOFC全体の製造コストを上昇させてしまう。
本発明が解決しようとする課題は、高い電気伝導性と化学的安定性に加え、高い熱伝導性を兼ね備えた低コストの燃料極用集電材、およびそのような燃料極用集電材を備えた固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる燃料極用集電材は、固体酸化物形燃料電池の燃料極とセパレータとの間に配置される燃料極用集電材において、CuまたはCu合金よりなる母材と、前記母材の表面を被覆して最表面に露出した被覆層とを有し、前記被覆層は、Ni、Co、Ag、Ru、Pd、Pt、Au、Rh、Ir、またはそれらの元素を主成分とする合金から選択される1種または2種以上よりなることを要旨とする。
ここで、前記被覆層は、NiまたはNi合金よりなることが好ましい。
また、前記燃料極用集電材は、メッシュ、または貫通孔を有する金属材よりなるとよい。
本発明にかかる固体酸化物形燃料電池の製造方法は、酸素イオン導電性を示す固体電解質層の一方面に燃料極が積層されるとともに、他方面に空気極が積層され、前記燃料極の表面に、上記の燃料極用集電材が配置された固体酸化物形燃料電池単セルが、セパレータを介して複数段積層されていることを要旨とする。
上記発明にかかる燃料極用集電材においては、母材が被覆層によって被覆されている。このため、燃料極用集電材は、燃料極およびセパレータ、そして燃料ガスと、被覆層によって接触する。被覆層を構成する金属材料は、高い電気伝導性と化学的安定性を備えているので、燃料極およびセパレータとの間に良好な電気的接触を形成することができるとともに、SOFCが高温で運転されても、燃料極、セパレータ、燃料ガスとの間に化学反応を起こしにくい。一方、母材を構成するCuやCu合金は、被覆層のように高い化学的安定性を有していなくても、被覆層に被覆されており、燃料極やセパレータ、燃料ガスと接触しないので、これらとの間で化学反応を起こしにくくなっている。
また、母材を構成するCuやCu合金は、非常に高い熱伝導性を有しているので、燃料極用集電材と燃料極およびセパレータとの間の接触面全体に均等な温度分布が形成されやすく、熱応力による単セルの割れ等、温度分布の不均一性に起因する固体酸化物形燃料電池の劣化を抑制することができる。
このように、CuまたはCu合金よりなる母材の表面に、所定の金属種よりなる被覆層を形成した燃料極用集電材を用いることで、高い電気伝導性および化学的安定性と、高い熱伝導性を兼ね備えた燃料極用集電材を得ることができる。また、被覆層に比較的高価な金属種が使用される場合でも、母材は比較的安価なCuまたはCu合金よりなるので、燃料極用集電材を低コストで製造することができる。
ここで、被覆層が、NiまたはNi合金よりなる場合には、特に低コストで燃料極用集電材を構成することができる。また、NiやNi合金は、熱伝導性は低いが、高い熱伝導性を有するCuまたはCu合金よりなる母材と組み合わせて使用することで、燃料極用集電材全体として、効果的に熱伝導性が補われる。
また、燃料極用集電材が、メッシュ、または貫通孔を有する金属材よりなる場合には、汎用的に入手できる材料を使用して、燃料極およびセパレータとの間の電気的接触、および燃料ガスの透過の両方に優れた燃料極用集電材を、簡便に形成することができる。
上記発明にかかる固体酸化物形燃料電池によると、上記のような燃料極用集電材を有するので、被覆層が有する高い電気伝導性と化学的安定性の効果により、高い発電効率が得られるとともに、燃料極用集電材と、燃料極、セパレータ、燃料ガスの間での化学反応が抑制され、長期の耐久性が得られる。一方、母材が有する高い熱伝導性の効果により、単セルの面内に均等に熱が分布しやすいため、熱応力による単セルの割れ等の劣化が抑制され、長期の耐久性が得られる。このように、発電効率と耐久性を高度に両立することができる。
本発明の一実施形態にかかるメッシュ状集電材を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 本発明の一実施形態にかかるポーラス状集電材を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B断面図である。 従来一般のメッシュ状集電材を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 従来一般のポーラス状集電材を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
以下に、本発明の一実施形態にかかる燃料極用集電材および固体酸化物形燃料電池について、図面を参照しながら説明する。
[固体酸化物形燃料電池]
まず、本発明の一実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構成について、簡単に説明する。
本発明の一実施形態にかかるSOFCは、複数の単セルがセパレータを介して相互に直列接続されてなる。単セルにおいては、酸素イオン導電性を示す固体電解質層の一方面に燃料極が接合されるとともに、他方面に空気極が接合されている。単セルとしては、平板型、円筒型等、種々の形状のものがあるが、ここでは、下記のように、メッシュ状やポーラス状の燃料極用集電材を燃料極とセパレータの間に密着させて設ける観点から、平板型のものを用いる。
本SOFCにおいて、単セルの燃料極とセパレータの間には、下記にて説明する本発明の一実施形態にかかる燃料極用集電材10(20)が介在されている。また、単セルの空気極とセパレータの間にも、適宜、空気極用集電材が介在されている。
SOFCを構成する固体電解質層、燃料極、空気極の材料は、特に限定されるものではないが、以下のようなものを例示することができる。つまり、固体電解質層は、上記のように、酸素イオン導電性を示す固体電解質材料よりなり、具体例としては、スカンジア(Sc)、イットリア(Y)、セリア(CeO)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)などから選択される1種または2種以上の酸化物によって安定化された安定化ジルコニア(ZrO)、およびサマリア(Sm)、ガドリニア(Gd)、イットリアなどから選択される1種または2種以上の酸化物を含むセリア(CeO)系固溶体、安定化ジルコニアおよび/またはセリア系固溶体とアルミナとの複合体などを例示することができる。これらのうち、安定化ジルコニアや、安定化ジルコニアとアルミナの複合物が好適である。
また、燃料極の材料としては、触媒と固体電解質とから形成されるサーメットを例示することができる。サーメットを構成する触媒としては、具体的には、Ni、Ni合金、酸化ニッケル(NiO)、Co、Ru、Pt、Pdなどを例示することができる。これらは2種以上混合されていてもよい。一方、サーメットを構成する固体電解質としては、上記固体電解質層を構成しうる固体電解質材料として列挙したような、安定化ジルコニア、セリア系固溶体等を採用することができる。触媒と固体電解質との比率(質量比)は、好ましくは、触媒:固体電解質=30:70〜70:30の範囲内にあるとよい。良好な電極活性が得られるとともに、熱膨張差によってセルに反りなどが生じにくいからである。
空気極の材料としては、La1−xSrMnO、La1−xCaMnO、La1−xSrCoO、La1−xSrCo1−yFe、Pr1−xSrMnOなどの遷移金属ペロブスカイト型複合酸化物を例示することができる。またはこれらから選択される1種または2種以上の酸化物と、上記固体電解質層を構成しうる固体電解質材料として列挙したような固体電解質材料との複合材料を例示することができる。
また、単セルにおいて、電極(燃料極、空気極)と固体電解質層との間に、電解質材料と電極材料との間の反応を抑制することや、電極の触媒活性を増大させること等を目的として、任意に中間層などが介在されてもよい。中間層を構成する材料としては、具体的には、ガドリア、イットリア、セリアから選択される少なくとも1種の酸化物を例示することができる。
上記のようなSOFC単セルを得るには、例えば以下のようにすればよい。すなわち、まず、プレス成形法やテープ成形法などによって、上記固体電解質材料を平板状に成形し、その組成に応じて最適な温度で焼結する。次いで、この固体電解質層の一方の面に、上記燃料極材料を含むスラリーを、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法などにより塗布し、その組成に応じて最適な温度で焼結し、燃料極とする。同様にして、固体電解質層の他方の面に、上記空気極材料を含むスラリーを塗布して焼結し、空気極とする。
本実施形態にかかるSOFCにおいて、隣接する単セルの間に配置されるセパレータは、ガス流路が形成された導電性材料よりなる。セパレータを構成する材料としては、具体的には、フェライト系などのステンレス鋼、あるいはその表面に金などの金属層がめっき法やクラッド法等によって設けられた複合材料、またクロム系合金、ニッケル系合金等の耐熱金属材料を例示することができる。これらよりなる板状の材料に、プレス加工、エッチング加工等によってガス流路を形成し、セパレータとすることができる。
以上のような単セルの燃料極とセパレータの間に燃料極用集電材を介在させながら、単セルとセパレータを交互に積層して直列接続することで、本実施形態にかかるSOFCを構築することができる。このようにして積層された状態のSOFCに対して、材料酸化物の還元処理をはじめとする化学処理等の後処理を適宜行ってから、使用に供してもよい。
以上のような構成を有するSOFCは、700〜1000℃の運転温度で運転される。SOFCを運転温度にまで昇温した状態で、セパレータのガス流路を介して、燃料極に燃料ガスが供給され、空気極に空気が供給される。燃料ガスとしては、水素、メタン、あるいはこれらを窒素等の不活性ガスで希釈したもの、都市ガス等を挙げることができる。
[燃料極用集電材]
次に、上記のように、SOFC単セルの燃料極とセパレータとの間に配置して使用される、本発明の一実施形態にかかる燃料極用集電材について詳細に説明する。
本実施形態にかかる燃料極用集電材は、母材1と、被覆層2の二種の金属材料を含んでなっている。母材1は、CuまたはCu合金よりなる。一方、被覆層2は、Ni、Co、Ag、Ru、Pd、Pt、Au、Rh、Ir、またはそれらの元素を主成分とする合金から選択される1種または2種以上よりなる。母材1の表面は、露出することなく、全体が被覆層2に覆われており、被覆層2が最表面に露出している。
本燃料極用集電材の形状としては、図1に示すような、線材11が網目状に編まれたメッシュ状集電材10や、図2に示すような、箔状または板状の金属材21に貫通孔22が多数形成されたポーラス状集電材20を例示することができる。図1(b)に断面図を示すように、メッシュ状集電材10を構成する線材11においては、母材1の外周を被覆して、被覆層2よりなる層が形成されている。同様に、図2(b)に断面図を示すように、ポーラス状集電材20においても、母材1の表面および縁部を被覆して、被覆層2よりなる層が形成されている。被覆層2は、貫通孔22の内側の壁面にも形成されている。
SOFCにおいて、メッシュ状集電材10やポーラス状集電材20は、一方面が燃料極の表面に、他方面がセパレータの表面に密着するように、燃料極とセパレータの間に配置される。これにより、燃料極用集電材10,20は、被覆層2によって燃料極およびセパレータと接触する。また、メッシュ状集電材10の開口部12およびポーラス状集電材20の貫通孔22を燃料ガスが通過することで、セパレータに設けられたガス流路から、燃料極に燃料ガスが供給される。
本実施形態にかかる燃料極用集電材の形状は、メッシュ状やポーラス状に限られるものではなく、他の構造として、コア−シェル粒子のように、粒子を単位として、母材1の表面を被覆層2が被覆する構造を例示することができる。しかし、上記のような母材1の表面に被覆層2が形成されたメッシュ状集電材10やポーラス状集電材20は、入手の容易性と取扱いの簡便性等の観点から、燃料極用集電材として好適に使用することができる。つまり、メッシュ状集電材10やポーラス状集電材20は、電解めっき、無電解めっき等のめっき法や、真空蒸着等の蒸着法など、公知の金属薄膜形成法を用いて、母材1の表面に被覆層2よりなる層を形成することで、容易に作製することができる。また、既に銅母材の表面に他種の金属層が形成されたメッシュ材やポーラス材(パンチングメタル)も、市場にて容易に入手することができ、そのまま燃料極用集電材10,20として用いることができる。さらに、上記のように、メッシュ状集電材10やポーラス状集電材20は、単セルの燃料極とセパレータの間に挟みこむだけで、SOFCの燃料極用集電材として簡便に使用することができる。
従来一般の燃料極用集電材90,90’は、図3,4に示すように、全体が単一の金属91よりなっている。この金属91としてはNiが最も一般的である。Niのように、高い電気伝導性と化学的安定性を有する金属を燃料極用集電材90,90’として用いることで、燃料極とセパレータの間に、低い接触抵抗による良好な電気的接続を形成することができるとともに、SOFCが高温で運転されている状態においても、化学反応を起こしにくく、その良好な電気的接続を維持し、高い発電効率を与えることができる。しかしながら、Niは、種々の金属の中でそれほど高い熱伝導性を有する訳ではなく、SOFC運転中に、燃料極およびセパレータの表面に不均一な温度分布が発生しやすい。このような不均一な温度分布が発生すると、SOFCの寿命が短くなりやすく、極端な場合には、燃料極表面における熱応力により、単セルに割れが生じてしまう場合がある。
こうした燃料極用集電材90,90’の熱伝導性の低さに起因する不均一な温度分布の影響を低減するために、燃料極用集電材90,90’全体を構成する金属91として、Cuのように高い熱伝導性を有する金属材料を用いることも考えられる。しかし、水素を燃料ガスとして用いた場合に、Cuは水素と反応して昇華しやすいため、燃料極用集電材90,90’全体を構成する金属91としてCuを用いることは現実的でない。
あるいは、燃料極用集電材90,90’全体を構成する金属91を、AuやAg、あるいはPtのような白金族金属とすることも考えられる。これらの金属は、高い電気伝導性および化学的安定性を備えているとともに、AuおよびAgは、Cuと同程度あるいはCu以上の熱伝導性を備え、白金族金属も、各種金属の中で比較的高い熱伝導性を備えている。しかし、これらの金属は、いずれも高価な材料であり、燃料極用集電材90,90’全体を構成する金属91として用いることで、燃料極用集電材90,90’の製造コスト、ひいてはSOFC全体の製造コストが上昇してしまう。
これらに対し、上記のように、本実施形態にかかる燃料極用集電材10,20は、Ni、Co、Ag、Ru、Pd、Pt、Au、Rh、Ir、またはそれらの元素を主成分とする合金よりなる被覆層2を有している。これらの金属種は、高い電気伝導性を有している。また、これらの金属は、高い化学的安定性を有しており、SOFCが運転される高温で燃料極やセパレータ、燃料ガスと接触しても、それらとの間に化学反応を起こしにくい。燃料極用集電材10,20においては、このような金属よりなる被覆層2によって、セパレータ、燃料極、そして燃料ガスと接触するため、それらとの界面において、上記各種金属が有する高い電気伝導性と化学的安定性を利用することができる。つまり、被覆層2が高い電気伝導性を有することによって、燃料極用集電材10,20とセパレータおよび燃料極との界面において、良好な電気的接続を形成することができる。そして、被覆層2が高い化学的安定性を有することによって、この良好な電気的接続が、SOFCの長期の運転を経ても、維持されやすい。これらの効果により、SOFC全体として、高い発電効率が得られるとともに、長期耐久性が達成される。
母材1は、被覆層2に表面を被覆されており、セパレータや燃料極と接触せず、燃料ガスとも、直接接触しない。これにより、母材1が燃料ガスと反応しやすいCuやCu合金よりなっていても、セパレータや燃料極、燃料ガスとの化学反応によって母材1が変質されたり、その結果として、SOFCの発電効率や耐久性が低下されたりということが起こりにくくなっている。一方、熱伝導は、燃料極用集電材10,20の表面のみならず、全体で起こるものであり、被覆層2だけでなく、母材1も関与する。そこで、母材1が高い熱伝導性を有するCuまたはCu合金よりなることにより、セパレータおよび燃料極の表面における温度分布の均一性を高めるのに寄与する。これにより、単セルの割れ等、不均一な温度分布に起因するSOFCの劣化を抑制し、SOFCの耐久性を高めることができる。
このように、本実施形態にかかる燃料極用集電材10,20は、母材1の表面に被覆層2が形成されてなることにより、被覆層2が有する高い電気伝導性および高い化学的安定性と、母材1が有する高い熱伝導性とを、同時に利用することができる。つまり、燃料極用集電材10,20全体として、SOFCの運転条件において、高い発電効率と耐久性を得ることができる。特に、被覆層2が、Ni、Coまたはそれらの合金よりなる場合には、これらの金属種は、各種金属の中でも低い熱伝導性を有しているが、CuまたはCu合金を母材1として用いることで、燃料極用集電材10,20全体として、その低い熱伝導性を効果的に補うことができる。
さらに、Au、Pt、白金族金属をはじめとして、被覆層2を構成する各種金属材料は、高価なものであるが、比較的安価なCuまたはCu合金を母材1として用い、その表面を被覆する被覆層2としてのみ、それら高価な金属を用いることで、燃料極用集電材10,20全体を低コストで製造しながら、それらの金属が有する高い電気伝導性と化学的安定性を利用することができる。その結果、高い発電性能と耐久性を有するSOFCを低コストで製造できるようになる。
被覆層2は、各種金属材料のなかでも、NiまたはNi合金、特にNiよりなることが好ましい。Niは、電気伝導性と化学的安定性の両方において非常に優れるとともに、比較的安価だからである。さらに、緻密なNi層を、電解めっきによって、Cu基材の表面に密着させて容易に形成することができるうえ、Ni層中ではCu原子が拡散しにくいため、Ni層の表面に拡散したCu原子が、Ni層表面の化学的安定性等の物性を損なうことも起こりにくい。
なお、上記実施形態においては、燃料極用集電材10,20は、母材1と被覆層2のみよりなっていたが、母材1と被覆層2の間、および/または母材1のさらに内層に、別の金属が配置されていてもよい。例えば、母材1と被覆層2の間に、母材1と被覆層2の間の密着性を高めたり、合金金形成を抑制したりする目的で、中間層が形成されてもよい。また、母材1と被覆層2が界面において一部合金化し、中間に合金層が形成されてもよい。あるいは、上記被覆層2を構成しうる各種金属よりなる2種以上の層が積層されて、被覆層とされていてもよい。なお、燃料極用集電材10,20を形成する母材1、被覆層2、そしてその他の金属材料は、単セルおよびセパレータとともに積層された状態において、その少なくとも一部が酸化されていたとしても、後処理の工程や、発電の初期の過程において、還元により、金属状態とすることができる。
本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記の実施形態にかかる母材1と被覆層2よりなる燃料極用集電材10,20は、別種の燃料極用集電材と合わせて用いられてもよく、例えば、金属粒子等、適当な導電性材料を含んでなる粉末状やペースト状の集電材を、メッシュ状やポーラス状の上記実施形態にかかる燃料極用集電材10,20の表面に散布、塗布等して用いてもよい。
1 母材
2 被覆層
10 メッシュ状集電材(メッシュ材)
11 線材
12 開口部
20 ポーラス状集電材(ポーラス材)
21 金属材
22 貫通孔

Claims (4)

  1. 固体酸化物形燃料電池の燃料極とセパレータとの間に配置される燃料極用集電材において、
    CuまたはCu合金よりなる母材と、前記母材の表面を被覆して最表面に露出した被覆層とを有し、
    前記被覆層は、Ni、Co、Ag、Ru、Pd、Pt、Au、Rh、Ir、またはそれらの元素を主成分とする合金から選択される1種または2種以上よりなることを特徴とする燃料極用集電材。
  2. 前記被覆層は、NiまたはNi合金よりなることを特徴とする請求項1に記載の燃料極用集電材。
  3. 前記燃料極用集電材は、メッシュ、または貫通孔を有する金属材よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料極用集電材。
  4. 酸素イオン導電性を示す固体電解質層の一方面に燃料極が積層されるとともに、他方面に空気極が積層され、前記燃料極の表面に、請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料極用集電材が配置された固体酸化物形燃料電池単セルが、セパレータを介して複数段積層されていることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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