JP5072188B2 - 集電材フィルムおよびこれを用いた平板型固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、集電材フィルムおよびこれを用いた平板型固体酸化物形燃料電池に関し、さらに詳しくは、複数の平板状単セルを積層する際に好適に用いられる集電材フィルムおよびこれを用いた平板型固体酸化物形燃料電池に関するものである。
燃料電池は、水素を電気化学的に酸化するときに発生する水の生成ギブスエネルギーを電気エネルギーとして取り出す装置である。
燃料電池の基本要素は、電解質、燃料極、空気極である。燃料電池の種類は、使用する電解質により作動温度、使用燃料、用途などが決まることから、一般に、電解質の種類により分類されることが多い。
例えば、電解質にリン酸水溶液を用いたリン酸形燃料電池(PAFC)、固体高分子を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)、溶融炭酸塩を用いた溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)などがある。
この種の燃料電池では、燃料極、電解質、空気極をこの順に積層した平板状または管状の単セルを電気的に直列と並列に接続して大きな発電装置にする。直列接続することによって高い電圧を取り出し、並列接続によって大電流にすることが目的である。
ここで、複数の平板状単セルを直列接続する場合、燃料ガスと酸化剤ガスとは、交互に、酸化剤ガス/燃料ガス/酸化剤ガスのように接して流れる。そのため、複数の平板状単セルを積み重ねる平板型燃料電池では、各単セルの間に、両ガスを分離するためのセパレータを挟み、単セルとセパレータとの組み合わせを繰り返しの単位としている。
このセパレータは、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する材料であるとともに各単セル間の電気的接続の役割をも果たす。このセパレータを挟んで一方の面の燃料極に燃料ガスを、他方の面の空気極に酸化剤ガスを流すため、一般に、セパレータには、両ガスのガス流路が形成されている。
このような平板型燃料電池では、単セルの電気抵抗のほかに、セパレータ自体の電気抵抗や、単セルとセパレータとの間の接触抵抗が加わる。
特に、後者の接触抵抗は、無視できない大きさであり、平板型燃料電池の設計上重要である。というのも、例え単セル本来の発電性能が優れていても、単セルとセパレータとの接触抵抗が大きいと、集電効率が低下し、平板型燃料電池全体としての発電性能が損なわれてしまうからである。
そのため、例えば、特許文献1には、溶融炭酸塩形燃料電池や固体酸化物形燃料電池において、導電物質として銀の微粉末を有機溶剤中に分散させてペースト状にした集電材料を、単セルの空気極表面に塗工し、これを乾燥させた後、焼結させることにより、空気極とセパレータとの間の接触抵抗を減らして集電効率を向上させる技術が開示されている。
特開昭60−115164号公報
上記の通り、従来の集電材料は、塗工性を付与する観点から、ペースト状にされていることが多い。通常、この種の集電材料を使用する場合、集電材料を塗工した後、乾燥を行っていた。
というのも、塗工した集電材料が湿潤状態のままでは、単セルとセパレータとを積み重ねる際に、セル表面がべとべとして取り扱いが極めて悪く、電池組み立て時の作業性に劣るといった問題などが生ずるからである。また、セパレータ表面のガス流路が塞がれるといった問題なども生ずるからである。
そのため、場合によっては、粉末状の集電材料を、直接単セル表面にまぶして使用するといったことさえ行われていた。
しかしながら、本発明者らの研究によれば、ペースト状の集電材料をセルやセパレータの表面に塗工し、乾燥させて使用する方法や、粉末状の集電材料をそのまま使用する方法などでは、以下のような問題が生じることが判明した。
すなわち、単セルとセパレータとが積み重なって荷重が掛かった状態であっても、両者の接触が不均一であり、期待したほど接触抵抗を減らすことができていないことが判明した。
これは、上記のようにして集電材料を使用する限り、セパレータとセルとの間に集電材料を介在させても、セパレータやセルの厚さの誤差や表面の凹凸などを十分に吸収することができないためと推測される。
したがって、この種の問題を解決しなければ、例え単セル、セパレータ、集電材料自体の性能を向上させたとしても、積層時の接触抵抗により、平板型燃料電池の発電性能が損なわれてしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来に比べ、単セルとセパレータとの均一な接触を得ることが可能な集電材フィルムを提供することにある。また、この集電材フィルムを用い、従来より発電性能に優れた平板型固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る第一の集電材フィルムは、平板状の電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型燃料電池における前記各平板状単電池セルの空気極と前記各セパレータとの間に介在される集電材フィルムにおいて、遷移金属ペロブスカイト型酸化物及びそれ以外の金属酸化物より選ばれた1種又は2種以上の物質の粉末に、銀及び銀合金の少なくとも一方よりなる金属粉末又は銀及び銀合金の少なくとも一方に銀以外の貴金属及びその貴金属の合金より選ばれた1種又は2種以上の物質を含有させてなる金属粉末の導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなることを要旨とする。
また、本発明に係る第二の集電材フィルムは、平板状の電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型燃料電池における前記各平板状単電池セルの燃料極と前記各セパレータとの間に介在される集電材フィルムにおいて、ニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケル、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金より選ばれた1種又は2種以上の物質よりなる導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなることを要旨とする。
さらに本発明に係る第一の平板型固体酸化物形燃料電池は、酸素イオン導電性を示す平板状の固体電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型固体酸化物形燃料電池において、前記各単電池セルの空気極と各セパレータとの間に集電材フィルムが介在され、該集電材フィルムが遷移金属ペロブスカイト型酸化物及びそれ以外の金属酸化物より選ばれた1種又は2種以上の物質の粉末に、銀及び銀合金の少なくとも一方よりなる金属粉末又は銀及び銀合金の少なくとも一方に銀以外の貴金属及びその貴金属の合金より選ばれた1種又は2種以上の物質を含有させてなる金属粉末の導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型固体酸化物形燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなるものであることを要旨とするものである。
また、本発明に係る第二の平板型固体酸化物形燃料電池は、酸素イオン導電性を示す平板状の固体電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型固体酸化物形燃料電池において、前記各単電池セルの燃料極と各セパレータとの間に集電材フィルムが介在され、該集電材フィルムがニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケル、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金より選ばれた1種又は2種以上の物質よりなる導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型固体酸化物形燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなるものであることを要旨とするものである。
本発明に係る集電材フィルムは、空気極側に配置されるものについては、所定のセラミックス粉末に所定の金属粉末の導電物質が配合されたペースト状の集電材料が、燃料極側に配置されるものについては所定の金属粉末の導電物質が配合されたペースト状の集電材料が、平板型燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルム部材によりサンドイッチ構造に挟持されてなる。
そのため、上記集電材フィルムを、平板状単セルとセパレータとの間に介在させた場合、単セルとセパレータとが積み重なって荷重が掛かると、セパレータやセルの表面の凹凸状態に合わせて、フィルム部材の内部にある集電材料が流動変形または塑性変形し、均一な面圧分布が得られる。
そしてこの状態が保持されたまま平板型燃料電池が起動されると、作動温度に達するまでの熱によってフィルム部材が焼失し、単セルとセパレータとが均一に接触され、接触抵抗が小さくなる。これにより、従来より発電性能に優れ、セル間ばらつきも低減された平板型燃料電池を得ることができる。
また、上記集電材フィルムは、フィルム部材の内部に集電材料があるので、取り扱い易く、電池組み立て時の作業性に優れる。
また、上記集電材フィルムは、単セルとセパレータとを積層する際に、従来のように集電材料を乾燥する必要がない。そのため、次のような利点がある。
先ず、乾燥工程を省略することができるので、電池製造工程を簡略化でき、製造コストを抑制することができる。
また、従来のように、セルに集電材料を直接塗工し乾燥させると、多孔質な電極面に集電材料が侵入して熱変化を受け、これに起因して電極面に一部剥離が生じるなど、セルが劣化する場合があった。しかしながら、上記集電材フィルムによれば、このような問題を回避できるので、セルの耐久性が向上する。
また、従来では、集電材料の塗工不良が生じた場合、集電材料を塗工したセル自体が使用できなくなるので、歩留まりが悪くなるといった問題があった。しかしながら、上記集電材フィルムによれば、このような問題を回避できるので、歩留まり向上に大きく寄与する。
また、上記集電材フィルムを、平板型固体酸化物形燃料電池に用いた場合、上記フィルム部材が高分子フィルムであれば、作動温度に達するまでの間に容易に酸化して焼失するので、単セルとセパレータとの接触に悪影響を及ぼし難い。また、集電材料の流動性または可塑性を妨げ難く、入手も容易である。
また、上記集電材料が銀元素を含んでいる場合には、平板型固体酸化物形燃料電池の空気極側の集電に好適に用いることができる。一方、上記集電材料がニッケル元素を含んでいる場合には、平板型固体酸化物形燃料電池の燃料極側の集電に好適に用いることができる。
一方、本発明に係る平板型固体酸化物形燃料電池によれば、上記作用効果を奏する本発明に係る集電材フィルムを用いているので、従来より発電性能に優れ、セル間ばらつきも低減される。
以下に、本実施形態に係る集電材フィルム(以下「本集電材フィルム」ということがある。)およびこの本集電材フィルムを用いた平板型固体酸化物形燃料電池について詳細に説明する。
1.本集電材フィルムの構成
集電材フィルムは、平板型燃料電池における平板状単セルとセパレータとの積み重ね時に好適に用いられるものである。図1に示すように、本集電材フィルム10は、集電材料12が、フィルム部材14により挟持されてなる。
1.1 集電材料
集電材フィルムにおいて、集電材料は、電池作動時において、平板状単セルとセパレータとの間に生じる隙間を埋めて両者間の接触抵抗を減らし、集電効率を向上させるなどの機能を主に有している。
ここで、上記集電材料は、平板状単セルとセパレータとの間を電気的に接続するための導電物質が配合されており、少なくとも流動性または可塑性を有するようにペースト状とされている。
導電物質の種類は、本集電材フィルムを適用する平板型燃料電池の種類や、何れの電極側に本集電材フィルムを適用するかなどの要素を考慮して決定されるものである。
例えば、比較的高温で使用される固体酸化物形燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)などに適用する場合、導電物質は、高温で化学的に安定な金属を少なくとも含んでいると良い。
例えば、SOFCの空気極側に本集電材フィルムを適用する場合、導電物質としては、銀および/または銀合金を用いることができる。この際、銀合金における他の元素としては、具体的には、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、カドミウム(Cd)、錫(Sn)などが挙げられ、これらは1種または2種以上含まれていても良い。この内、他の元素としては、パラジウム(Pd)を好適に用いることができる。銀合金とした際に、電池作動温度域における安定性、耐熱性などに優れるからである。
また、上記銀、銀合金以外に、銀以外の貴金属および/またはその合金を含有させても
良い。この際、貴金属としては、具体的には、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、金(Au)などが挙げられ、これらは1種または2種以上混合されていても良い。この内、貴金属としては、パラジウム(Pd)を好適に用いることができる。電池作動温度域における銀、銀合金の安定性を向上させることができるからである。
上記貴金属および/またはその合金を含有させる場合、その含有量は、銀、銀合金に対して、1〜15重量%、1〜5重量%の範囲内などを例示できる。
また、上記銀、銀合金以外に、La 1−x Sr CoO (0.1≦x≦0.6)などの遷移金属ペロブスカイト型酸化物を用いても良い。また、酸化錫、酸化インジウム、酸化ランタン、酸化銅、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどの金属酸化物を1種または2種以上併用しても良い。この場合、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を好適に用いることができる。導電性、安定性などに優れるからである。
また、上記金属と酸化物とを混合して用いる場合、その混合比率としては、金属:酸化物=90:10重量%〜30:70重量%の範囲内、金属:酸化物=70:30重量%〜50:50重量%の範囲内などを例示できる。混合比率がこの範囲内にある場合には、集電効率、形成された集電層の多孔質性の維持、両者の熱膨張のバランスなどに優れる。
一方、SOFCの燃料極側に本集電材フィルムを適用する場合、導電物質としては、ニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケル(電池作動時の高温還元雰囲気下では、還元されてニッケルになる)、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金などが挙げられ、これらは1種または2種以上混合されていても良い。
この内、ニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケルを好適に用いることができる。これらは他の金属に比べて比較的安価であるので、電池製造コストを抑制しつつ、集電材料の目的を十分に達成することができるからである。
この際、ニッケル合金における他の元素としては、具体的には、鉄(Fe)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)などが挙げられ、これら1種または2種以上含まれていても良い。他の元素としては、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)などを好適に用いることができる。
また例えば、MCFCの空気極側に本集電材フィルムを適用する場合、導電物質としては、銀および/または銀合金を用いることができる。また、上記銀、銀合金以外に、アルミニウム、クロム、ニッケルなどを1種または2種以上含有させても良い。
一方、MCFCの燃料極側に本集電材フィルムを適用する場合、導電物質としては、ニッケル、ニッケル合金などを用いることができる。
また、上記導電物質の形態としては、粉状、繊維質状、板状など種々の形態が挙げられ、これら形態は、1種または2種以上含まれていても良い。これら形態のうち、流動性、可塑性などに優れる観点から、粉状形態を好適に用いることができる。
また、上記集電材料は、導電物質自体が流動性または可塑性を有していても良い。また、導電物質自体が流動性または可塑性を有しているが、より高い流動性または可塑性を付与したい場合、あるいは、導電物質自体は流動性または可塑性を有していないか、または、流動性または可塑性に劣る場合などには、上記集電材料に、さらにバインダーを含ませると良い。
バインダー中に導電物質が分散され、ペースト状とされている場合には、フィルム部材の内部において集電材料が流動変形または塑性変形し易く、単セルとセパレータとの積み重ね時に、より均一な面圧分布を得やすくなる。そのため、単セルとセパレータとの接触抵抗を小さくし易い。また、フィルム部材への塗工性にも優れる。
この際、ペースト調製時の溶媒としては、有機溶媒または水溶媒の何れを用いても良い。
溶媒として有機溶媒を用いる場合、バインダーとしては、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、シンナーなどが挙げられ、これらは1種または2種以上混合されていても良い。また、粘度の調製などのため、必要に応じて、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどの可塑剤や、脂肪酸、ベンゼンスルホン酸などの分散剤などが混合されていても良い。
一方、溶媒として水溶媒を用いる場合、バインダーとしては、具体的には、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどが挙げられ、これらは1種または2種以上混合されていても良い。また、同様に必要に応じて、フタル酸ジブチル、グリセリン、トルエンスルホン酸エチルなどの可塑剤や、リン酸ガラス、スルホン酸アリルなどの分散剤などが混合されていても良い。
なお、集電材料中、導電物質以外のバインダーなどの成分は、燃料電池の初回昇温時などに消失する。
また、集電材料の厚さは、セル表面やセパレータ表面の形状などを考慮して最適な厚さに調節すれば良い。一般的に、集電材料の厚さが過度に薄すぎると、セル表面やセパレータ表面の凹凸などを十分に吸収できず、セルとセパレータとの間に隙間が生じて接触抵抗が増大する場合がある。一方、集電材料の厚さが過度に厚すぎると、セパレータのガス流路を塞ぐ場合がある。したがって、これらにも留意すべきである。
1.2 フィルム部材
集電材フィルムにおいて、フィルム部材は、その内側に挟持した集電材料の流動性または可塑性を保持する機能を主に有している。
ここで、上記フィルム部材は、平板型燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する性質を有している。電池作動時に、酸化物などの形でセルとセパレータとの間に残ってしまうと、接触抵抗が増大し、集電効率が悪くなるからである。例えば、上記したSOFCであれば、その作動温度は、約700℃〜1000℃程度、MCFCであれば、その作動温度は、約650℃〜700℃程度である。
このようなフィルム部材としては、基本的には、集電材料の流動性または可塑性を保持し易いかどうか、集電材料が塗工し易いかどうか、集電材料塗工後の安定性に優れるかどうかなどを考慮して種々選択することができる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ゼラチン、セルロース、ポリプロピレン、ポリアミドなどの高分子フィルム、カーボンクロス、カーボンペーパー、紙、有機系の織物・不織布などを用いることができる。好ましくは、高分子フィルムを好適に用いることができ、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを好適に用いることができる。集電材料塗
工後の安定性などに特に優れるからである。
また、本集電材フィルムにおいて、フィルム部材は、例えば、袋状に形成されていても良いし、一枚のフィルム部材を折り曲げ形成したものであっても良い。また、2枚のフィルム部材を重ね合わせるものであって良い。すなわち、集電材料を内部に挟持できる形態であれば、何れの形態であっても良く、特に限定されるものではない。また、集電材料の外周部のフィルム部材は、その全部または一部が密着状態に縁止めされていても構わない。
また、上記フィルム部材の厚さは、フィルム部材の種類などにより種々最適な値を選択すれば良い。好ましくは、焼失物が少なくなる、積層した単セルの押さえ付けが問題なく可能であるなどの観点から、できるだけ薄い方が好ましい。
但し、フィルム部材の厚さが過度に薄くなりすぎると、フィルム部材に集電材料を塗工した場合などにおいて、ハンドリング性が悪くなる傾向が見られる。一方、フィルム部材の厚さが過度に厚くなりすぎると、焼失物が多くなり、積層した単セルの押さえ付けが難しくなる場合がある。したがって、これらにも留意すると良い。
2.本集電材フィルムの製造方法
集電材フィルムの製造方法としては、例えば、粉状、繊維状などの形態を有する集電材料であれば、一方のフィルム部材の上に当該集電材料を載置し、その後他方のフィルム部材を重ね合わせたり、袋状のフィルム部材の内部に当該集電材料を充填したりする方法などが挙げられる。
また、ペースト状の集電材料であれば、例えば、一方のフィルム部材の上に、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、刷毛塗り法、スプレー法、スピンコート法などを用いて集電材料を塗工し、その後他方のフィルム部材を重ね合わせる方法などが挙げられる。この場合、塗工方法としては、セルの電極表面の形状に合わせ易く、均一厚さで塗工し易いなどの観点から、スクリーン印刷法を好適に用いることができる。
3.本集電材フィルムを用いた平板型燃料電池
集電材フィルムを用いた平板型燃料電池(以下、「本平板型燃料電池」ということがある。)は、平板状単セルを、セパレータを介して多数段積層してなり、平板状単セルとセパレータとの間には、本集電材フィルムが介在されている。
ここで、本平板型燃料電池では、平板状単セルの片側の電極とセパレータとの間に本集電材フィルムが介在されていても良いし、平板状単セルの両側の電極とセパレータとの間に本集電材フィルムが介在されていても良い。
この際、平板状単セルの両側の電極とセパレータとの間に本集電材フィルムを介在させる場合には、集電材料中の導電物質の種類を、上記した燃料電池の電極の種類に合わせて異ならせることができる。
また、平板状単セルは、基本的には、平板状の電解質の一方の面に燃料極を、他方の面に空気極を接合した構成を有しているが、例えば、電解質と電極との間に、電解質材料と電極材料との間の反応を抑制したり、電極の触媒活性を増大させるなどの目的で、任意に中間層などが介在されていても良い。
また、平板状単セルは、電解質が自立した自立膜式、あるいは、電極に支持機能を兼ね備えた支持膜式の何れの形式であっても良い。
一方、セパレータは、基本的には、平板状であり、その表裏面には、燃料ガスまたは酸化剤ガスを流すためのガス流路がそれぞれ形成されているものなどを用いることができる。なお、上記ガス流路の形状は、単セルの電極面に対して燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することが可能であれば、特に限定されることなく種々の形状を採用することができる。
また、平板型燃料電池の平板状単セル、セパレータの構成材料は、燃料電池の種類に応じて適宜最適なものを選択して使用すれば良い。
例えば、上記したSOFCの場合、酸素イオン導電性を示す固体電解質としては、スカンジア、イットリア、セリア、カルシア、マグネシアなどの酸化物を少なくとも1種以上含む安定化ジルコニアや、これら安定化ジルコニアとアルミナとの複合体などを例示できる。
より具体的には、強度・靱性などの機械的特性と酸素イオン導電率とのバランスに優れる観点から、例えば、3〜6モル%のスカンジアを含むスカンジア安定化ジルコニアや、3〜6モル%のスカンジアを含むスカンジア安定化ジルコニア中に0.3〜5重量%の範囲内でアルミナが添加されたものなどを例示できる。
また、燃料極材料としては、スカンジア、イットリア、セリアなどの酸化物を少なくとも1種以上含む安定化ジルコニアと、ニッケル、酸化ニッケルとの混合物などを例示できる。
また、空気極材料としては、LaSrMnO 、LaCaMnO 、LaSrCoO 、LaSrCoFeO 、PrSrMnO などの遷移金属ペロブスカイト型酸化物や、8〜10モル%のイットリアを含むイットリア安定化ジルコニア、9〜12モル%のスカンジアを含むスカンジア安定化ジルコニア、Gd 、Y およびSm などの酸化物を10〜35モル%含むセリア系固溶体などの固体電解質と上記遷移金属ペロブスカイト型酸化物との複合物などを例示できる。
また、セパレータ材料としては、LaCrO などのランタン−クロム系酸化物、フェライト系ステンレスなどの金属・合金系材料などを例示できる。この内、フェライト系ステンレスのセパレータは、低コストでの製造が可能であること、ガス流路の設計自由度が高いなどの利点を有するため、好適に用いることができる。
そして、このような構成材料を用いて平板型SOFCを得るには、例えば、先ず、上記固体電解質材料を、プレス成形法、テープ成形法などにより平板状に成形し、その組成に応じて最適な温度で焼結する。次いで、この固体電解質の一方の面に、上記燃料極用材料を含むスラリーを、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法などにより塗布し、その組成に応じて最適な温度で焼結し、燃料極とする。同様にして、固体電解質の他方の面に、上記空気極用材料を含むスラリーを塗布して焼結し、空気極とする。
次に、上記にて得られた平板状単セルとセパレータとの間に、本集電材フィルムを介在させつつ、多数段積み重ねる。なお、単セルなどを積み重ねる数は、必要とする燃料電池の出力などを考慮して適宜選択すれば良い。
次に、燃料ガス導入手段および酸化剤ガス導入手段を取り付ければ、平板型SOFCが得られる。
また例えば、上記したMCFCの場合、電解質としては、アルミン酸リチウム(LiAlO )粒子層中に、炭酸リチウム(Li CO )、炭酸カリウム(K CO )、炭酸ナトリウム(Na CO )などの炭酸塩を含浸させたものなどを例示できる。また、燃料極材料、空気極材料としては、それぞれニッケル、酸化ニッケルなどを例示できる。また、セパレータ材料としては、LaCrO などのランタン−クロム系酸化物、フェライト系ステンレスなどの金属・合金系材料などを例示できる。
そして、このような構成材料を用いて平板型MCFCを得るには、公知の手法により平板状単セルを作製し、この平板状単セルとセパレータとの間に、本集電材フィルムを介在させつつ、多数段積み重ね、燃料ガス導入手段および酸化剤ガス導入手段を取り付ければ良い。
なお、本発明に係る平板型燃料電池は、未だ作動されていない場合、平板状単セルとセパレータとの間に本集電材フィルムが介在しているので、平板状単セルとセパレータとは導電物質を介して直接接触していない。
しかしながら、本発明に係る平板型燃料電池が一度起動され、作動温度に達した後は、本集電材フィルムのフィルム部材、集電材料中のバインダーなどは熱により焼失し、平板状単セルとセパレータとは導電物質により電気的に接続された状態になる。
以下、実施例を用いて本発明に係る集電材フィルム、本発明に係る平板型燃料電池についてより具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る集電材フィルムを平板型固体酸化物形燃料電池に適用した場合について説明する。
1.本実施例に係る集電材フィルムの作製
初めに、集電材料を作製した。すなわち、Ag粉末:Pd粉末=98:2重量%の混合比となるように、各粉末を所定量秤量した。次いで、Ag粉末とPd粉末との混合粉末:La 0.6 Sr 0.4 CoO (以下「LS 0.4 C」という。)粉末=50:50重量%の混合比となるように、各粉末を所定量秤量した。
次いで、所定量の上記混合粉末にジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、n−パラフィン、テレピン油、セルロース系樹脂を加えて2時間混練した後、さらに、LS 0.4 C粉末と2−プロパノールとを加えて2時間混練し、ペースト状の集電材料を得た。
次いで、厚さ約12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、スクリーン印刷法を用いて、約20〜25μmの厚さとなるように上記集電材料を塗工し、その後、厚さ約12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせることにより、実施例に係る集電材フィルムを得た。この際、集電材料は、後述する平板状単セルの電極形状に合わせて塗工し、形状に合わせてフィルムを切断することにより、上記集電材フィルムを作製した。
なお、上記において、Ag粉末は、昭栄化学工業(株)製(商品名「Ag−128」、50%径:2.2μm)、Pd粉末は、昭栄化学工業(株)製(商品名「Pd−215」、50%径:0.7μm)、LS 0.4 C粉末は、セイミケミカル(株)製(50%径:1.1μm)、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、帝人デュポンフィルム(株)製(商品名「テイジンテトロンフィルム」)である。
2.平板状単セルの作製
次に、固体電解質材料として、4mol%のSc を含むスカンジア安定化ジルコニア(以下、「4ScSZ」という。)を用い、これにバインダーを加えてスラリーとし、ドクターブレード法を用いてグリーンシートを成形した。次いで、このグリーンシートを、1350℃で2時間焼成し、厚さ約100μmの固体電解質板を作製した。
次いで、NiOと、10mol%のSc および1mol%CeO を含むScSZ(以下、「10Sc1CeSZ」という。)とを、NiとZrO に換算した重量比で4:6となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した後、乾燥させ、燃料極材料とした。次いで、この燃料極材料にバインダー(ポリエチレングリコール)を加えてスラリーとし、スクリーン印刷法を用いて固体電解質板の一方の面に塗布(厚さ約25μm)した。次いで、これを1350℃にて2時間焼成し、燃料極とした。
次いで、空気極材料として、La 0.6 Sr 0.4 Co 0.2 Fe 0.8 (以下、「L 0.6 0.4 0.2 0.8 」という。)を用い、これにバインダー(ポリエチレングリコール)を加えてスラリーとし、スクリーン印刷法を用いて固体電解質板の他方の面に塗布(厚さ約25μm)した。次いで、これを1150℃にて2時間焼成し、空気極とした。
なお、上記にて作製した平板状単セルは、円板形状であり、その略中央部には、空気極に酸化剤ガスを導入する酸化剤ガス導入孔が厚さ方向に形成されている。また、この酸化剤ガス導入孔の周囲を取り囲むように、燃料極に燃料ガスを導入する燃料ガス導入孔が形成されている。したがって、両ガス導入孔以外の部分が、ほぼ固体電解質板、電極部分に該当する。本実施例では、電極面積は、約70cm とした。
3.面圧分布の測定
(実施例1)
図2は、面圧分布の測定方法を模式的に示した図である。すなわち、図2に示すように、上記作製した平板状単セル16を、燃料極側セパレータ18、空気極側セパレータ20により挟持した。この際、平板状単セル16の空気極22と空気極側セパレータ20との間には、上記作製した実施例に係る集電材フィルム10と圧力分布測定センサー24とを介在させた。
次いで、両セパレータ18、20を一対のガラス基板26a、26bにより挟持するとともに、ガラス基板26bに10kgの荷重を負荷し、圧力分布測定装置(図示されない)により面圧分布の測定を行った。なお、圧力分布測定装置には、ニッタ工業製「I−SCAN」を用い、測定は室温で行った。また、両セパレータ18、20の材質は、フェライト系ステンレスである。
(実施例2)
上記実施例1において、ガラス基板26bに20kgの荷重を負荷した以外は同様にして、面圧分布の測定を行った。
(実施例3)
上記実施例1において、ガラス基板26bに30kgの荷重を負荷した以外は同様にして、面圧分布の測定を行った。
(比較例1)
上記実施例1において、集電材フィルムを用いる代わりに、平板状単セルの空気極表面に、上記作製したペースト状の集電材料をスクリーン印刷法により、厚さ約20〜25μm塗工し、乾燥させたものを用いた以外は同様にして面圧分布の測定を行った。
(比較例2)
上記比較例1において、ガラス基板26bに20kgの荷重を負荷した以外は同様にして、面圧分布の測定を行った。
(比較例3)
上記比較例1において、ガラス基板26bに30kgの荷重を負荷した以外は同様にして、面圧分布の測定を行った。
(比較例4)
上記実施例1において、集電材フィルムを用いる代わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルムのみを用いた以外は同様にして面圧分布の測定を行った。
(比較例5)
上記比較例4において、ガラス基板26bに20kgの荷重を負荷した以外は同様にして、面圧分布の測定を行った。
(比較例6)
上記比較例4において、ガラス基板26bに30kgの荷重を負荷した以外は同様にして、面圧分布の測定を行った。
図3〜図5に実施例1〜3の面圧分布測定結果を、図6〜図8に比較例1〜3の面圧分布測定結果を、図9〜図11に比較例4〜6の面圧分布測定結果を示す示す。なお、比較例4〜6は、フィルム部材のみ介在させた場合の効果を確認するためのブランク試験である。なお、これらの図では、黒い部分には荷重が掛かっておらず、より白い部分程、高い荷重が掛かっていることを示している。
図6〜図8によれば、単セルとセパレータとは、単セルの外側周辺および内側周辺のみで接触しており、空気極表面のほとんどの部分はセパレータと接触していない。したがって、比較例1〜3では、不均一な面圧分布になっていることが分かる。
これに対し、図3〜図5によれば、10kgの荷重であっても、単セルとセパレータとは、比較的均一に接触している。また、20kg以上の荷重では、ほぼ均一に接触している。したがって、実施例1〜3では、均一な面圧分布になっていることが分かる。
もっとも、図9〜図11に示すように、接触性の改善には、フィルム部材の寄与もある。しかしながら、図3〜図5において、フィルム部材のみ介在させた場合の効果の効果を差し引いても、実施例1〜3は、比較例1〜3と比較して均一な面圧分布になっていることが分かる。
以上の面圧分布の測定結果より、本実施例に係る集電材フィルムを、平板状単セルとセパレータとの間に介在させた場合、単セルとセパレータとが積み重なって荷重が掛かると、セパレータやセルの表面の凹凸状態に合わせて、フィルム部材の内部にある集電材料が流動変形または塑性変形し、均一な面圧分布が得られることが分かる。
4.平板型SOFCの作製
(実施例4)
上記作製した平板状単セルを、燃料極側セパレータ、空気極側セパレータにより挟持するとともに、平板状単セルの空気極と空気極側セパレータとの間に、上記作製した実施例に係る集電材フィルムを介在させることにより、実施例4に係る平板型SOFCを作製した。
(比較例7)
上記実施例4において、集電材フィルムを用いる代わりに、平板状単セルの空気極表面に、上記作製したペースト状の集電材料をスクリーン印刷法により、厚さ約20〜25μm塗工し、乾燥させたものを用いた以外は同様にして比較例7に係る平板型SOFCを作製した。
5.発電試験
上記作製した実施例4に係る平板型SOFC、比較例7に係る平板型SOFCを用いて発電試験を行った。この際、燃料ガスには水素(流量1L/min)を、酸化剤ガスには空気(流量1L/min)を用いた。なお、発電温度は800℃であり、燃料ガスは、オイルバスで加湿したバブラを通して3%の湿度に加湿したものを用いた。
図12に、実施例4に係る平板型SOFC、比較例7に係る平板型SOFCの、電流密度(A/cm )と電圧(V)との関係、電流密度(A/cm )と電力(W)との関係を示す。
図12によれば、実施例4に係る平板型SOFCは、比較例7に係る平板型SOFCに比較して、全電流密度範囲に亘って高い電圧、電力を得ることができることが分かる。したがって、この発電試験の結果から、次のことが言える。
すなわち、単セルとセパレータとの間に、本実施例に係る集電材フィルムが介在された状態で平板型SOFCが起動されると、作動温度の800℃に達するまでの熱によってPETフィルムが焼失し、単セルとセパレータとが均一に接触され、接触抵抗が小さくなって発電性能が向上することが確認できた。
6.セルの耐久性
図13は、上記発電試験後の両平板型SOFCにおける単セルの表面状態を示したものである。図13において、左側が、実施例4に係る平板型SOFCの単セルの表面であり、右側が、比較例7に係る平板型SOFCの単セルの表面である。
図13によれば、比較例7に係る平板型SOFCの単セルでは、空気極の一部が剥離していることが分かる。これに対し、実施例4に係る平板型SOFCの単セルでは、空気極の剥離は全く見られなかった。
この結果から、ペースト状の集電材料をセルに塗工し乾燥させると、電極面に一部剥離が生じ、セルが劣化する。しかしながら、本実施例に係る集電材フィルムによれば、このような問題を回避でき、セルの耐久性が向上することが確認できた。
本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施例では、本発明に係る集電材フィルムを平板型SOFCに適用した場合について説明したが、これに準じて平板型MCFCなどの平板型燃料電池にも適用することが可能なものである。
また、上記実施例では、本発明に係る集電材フィルムを空気極側に介在させたが、集電材料中の導電物質の種類を、例えば、ニッケル元素を含むものなどに変更すれば、本発明に係る集電材フィルムを燃料極側に介在させることが可能である。さらに、本発明に係る集電材フィルムを空気極側、燃料極側の両方に介在させることも可能である。
本集電材フィルムの概略構成を示した図である。 面圧分布の測定方法を模式的に示した図である。 本集電材フィルムを用い、10kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 本集電材フィルムを用い、20kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 本集電材フィルムを用い、30kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 平板状単セルの空気極表面にペースト状の集電材料を塗工して乾燥させたものを用い、10kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 平板状単セルの空気極表面にペースト状の集電材料を塗工して乾燥させたものを用い、20kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 平板状単セルの空気極表面にペースト状の集電材料を塗工して乾燥させたものを用い、30kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 フィルム部材のみを用い、10kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 フィルム部材のみを用い、20kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 フィルム部材のみを用い、30kgの荷重を負荷したときの面圧分布測定結果を示した図である。 実施例4に係る平板型SOFC、比較例7に係る平板型SOFCの、電流密度(A/cm )と電圧(V)との関係、電流密度(A/cm )と電力(W)との関係を示した図である。 発電試験後の両平板型SOFCにおける単セルの表面状態を示した図である。
10 集電材フィルム
12 集電材料
14 フィルム部材
16 平板状単セル
18 燃料極側セパレータ
20 空気極側セパレータ
22 空気極

Claims (4)

  1. 平板状の電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型燃料電池における前記各平板状単電池セルの空気極と前記各セパレータとの間に介在される集電材フィルムにおいて、遷移金属ペロブスカイト型酸化物及びそれ以外の金属酸化物より選ばれた1種又は2種以上の物質の粉末に、銀及び銀合金の少なくとも一方よりなる金属粉末又は銀及び銀合金の少なくとも一方に銀以外の貴金属及びその貴金属の合金より選ばれた1種又は2種以上の物質を含有させてなる金属粉末の導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなることを特徴とする集電材フィルム。
  2. 平板状の電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型燃料電池における前記各平板状単電池セルの燃料極と前記各セパレータとの間に介在される集電材フィルムにおいて、ニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケル、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金より選ばれた1種又は2種以上の物質よりなる導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなることを特徴とする集電材フィルム。
  3. 酸素イオン導電性を示す平板状の固体電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型固体酸化物形燃料電池において、前記各単電池セルの空気極と各セパレータとの間に集電材フィルムが介在され、該集電材フィルムが遷移金属ペロブスカイト型酸化物及びそれ以外の金属酸化物より選ばれた1種又は2種以上の物質の粉末に、銀及び銀合金の少なくとも一方よりなる金属粉末又は銀及び銀合金の少なくとも一方に銀以外の貴金属及びその貴金属の合金より選ばれた1種又は2種以上の物質を含有させてなる金属粉末の導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型固体酸化物形燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなるものであることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池。
  4. 酸素イオン導電性を示す平板状の固体電解質の一方の面に燃料極が接合され、他方の面に空気極が接合された平板状単電池セルがセパレータを介して多数段積層されてなる平板型固体酸化物形燃料電池において、前記各単電池セルの燃料極と各セパレータとの間に集電材フィルムが介在され、該集電材フィルムがニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケル、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金より選ばれた1種又は2種以上の物質よりなる導電物質が配合されたペースト状の集電材料が前記平板型固体酸化物形燃料電池の作動温度に達するまでの熱によって焼失する高分子樹脂フィルムによりサンドイッチ構造に挟持されてなるものであることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池。
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