JP5164312B2 - 転炉設備のスクラップ装入方法 - Google Patents
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Description
かかる問題を解決すべく、スクラップ搬送クレーン98の基数を増加させることが考えられるが、この場合、クレーン設置コストが増大するばかりでなく、スクラップ搬送クレーン98どうしの交錯を避けるためにスクラップ搬送クレーン用の待避ステーションが必要となり、転炉設備90が大型化してしまう問題があった。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、スクラップシュートを載置しておくシュートステーションにスクラップを積み込んだスクラップシュートを載置し、該スクラップシュートをスクラップ搬送クレーンによって前記シュートステーションから複数の転炉まで搬送し、該複数の転炉の何れかにスクラップシュート内のスクラップを装入する転炉設備のスクラップ装入方法であって、
前記転炉設備として、互いに隣接した状態で配備される複数の転炉を有する転炉部と、前記転炉部の一側方に配備される溶銑予備処理部と、前記転炉部の他側方に配備されたスクラップ部と、前記転炉部の前上方を通過して前記溶銑予備処理部と前記スクラップ部の間を伸びるクレーンラインと、溶銑を装入可能な複数の取鍋と、スクラップを積み込み可能であって該スクラップを前記複数の転炉に装入するための複数のスクラップシュートと、を設けた上で、
前記スクラップ搬送クレーンによって一度に搬送可能な最大スクラップシュート搬送基数の少なくとも2倍の基数のスクラップシュートと、該スクラップシュートと少なくとも同基数のシュートステーションとを設け、
前記最大スクラップシュート搬送基数と同数のスクラップシュートをスクラップ搬送クレーンによって同時に搬送し、残りのスクラップシュートを前記シュートステーションに載置し、
各スクラップシュート内のスクラップをそれぞれ異なる転炉に装入することを特徴とする。
したがって、スクラップ搬送クレーンを複数の転炉前からシュートステーションに移動させ、再び複数の転炉前に移動させる1スクラップ装入サイクル内に、各実入りシュートのスクラップをそれぞれ異なる転炉に装入する工程がスクラップ搬送クレーンによって搬送された実入りシュート分だけ含まれることとなり、一の転炉へのスクラップ装入を完了するたびにシュートステーションに戻って空シュートと実入りシュートとを取り替える必要はなく、これによってスクラップシュート1基あたりのスクラップ装入サイクルが短縮化されるのである。
これによれば、同一吹錬工程においては、脱りん炉が脱炭炉に先行して稼働することとなる。このため、脱りん炉及び脱炭炉を間断なく連続して稼働させるには、脱りん炉での現吹錬工程の脱りん処理と脱炭炉での前吹錬工程の脱炭処理とを並行して行うことが好ましい。
また、脱りん炉及び脱炭炉の処理条件に応じたスクラップを各炉に別々に装入することができ、これによって、予備処理工程を経た溶銑に対するスクラップ装入比率を確保しつつ、生産性良く低コストの溶鋼を得ることができる。
図1及び図2に示す如く、本実施の形態の転炉設備1は、転炉部2と、該転炉部2の一側方に配備された溶銑予備処理部3と、該転炉部2の他側方に配備されたスクラップ部4と、これら転炉部2の前上方を通過して溶銑予備処理部3とスクラップ部4の間を伸びるクレーンライン5とを備えると共に、溶銑を装入可能な複数の取鍋bと、スクラップを積み込み可能であって該スクラップを後述の転炉に装入するための複数のスクラップシュートeとを備えている。
前記転炉部2は、3基の転炉が互いに隣接した状態で並列配備されている。本実施の形態においては、これら3基の転炉の内、最も溶銑処理部側に配備されている第1の転炉を脱りん炉Pとして使用し、該脱りん炉Pに隣接配備されている第2の転炉を脱炭炉Cとして使用する。また、脱炭炉Cに隣接配備されている第3の転炉Yは、予備用若しくは補修中の転炉として配備されており、通常は脱りん炉P及び脱炭炉Cの2基の転炉が稼働している。
払出しピット23は、図1に示す如く、溶銑搬送レール10よりも低位となる位置に設けられており、取鍋bを載置可能な搬送台車26が溶銑搬送レール10の下方からクレーンライン5下まで往復移動自在に配備されている。
なお、本実施の形態においては、第2処理ステーション22は第1処理ステーション21と同じ構造を有するので、ここでは説明を省略する。
また、スクラップヤード32には、該スクラップヤード32に搬送されたスクラップシュートeにスクラップを積み込むためのリフティングマグネット35が移動自在に配備されている。
また、クレーンライン5には、溶銑を搬送するための複数(本実施の形態においては2基)の溶銑搬送クレーン51、52と、スクラップを搬送するためのスクラップ搬送クレーン53とが移動自在に配備されており、これらのクレーンは、図中に示す如く、クレーンライン5の溶銑処理部側の端部からスクラップ部側の端部側にかけて第1溶銑搬送クレーン51、第2溶銑搬送クレーン52、スクラップ搬送クレーン53が並んで配備されている。
スクラップ搬送クレーン53は、スクラップシュートeをハンドリングすることによってスクラップを搬送するものであって、図3に示す如く、クレーンライン5上を移動するクレーン本体57と、該クレーン本体57に配備された複数(本実施の形態においては2基)の吊下げ装置58とを備えており、同時に複数(本実施の形態においては2基)のスクラップシュートeを搬送可能に構成されている。該スクラップ搬送クレーン53に搬送される複数のスクラップシュートeは、吊下げ装置58のワイヤ59が巻上げモータM1、M2によって巻き取られることによってそれぞれ独立して昇降し、クレーン本体57がクレーンライン5上を走行することによってクレーンライン5の両端部間を同時に移動可能となっている。
上記転炉設備1は、以上の構成からなるものであるが、次に、クレーンライン5に対する他の設備の配置を説明する。説明の便宜上、クレーンライン5を各クレーン1基を収容可能な互いに等しい幅を有する8つの区間(0区〜7区)とスクラップ部4のステージ31上の区間(S区)に区切り、7区〜S区までの区間は省略する。
また、1区に第1処理ステーション21が配置されると共に、2区に第2処理ステーション22が配置されている。これら第1及び第2ステーション21、22は、クレーンライン5下に払出しピット23を配置していると共に、該払出しピット23にオーバラップしない位置にテーブル27を配置している。
また、3区は第2ステーション22と脱りん炉Pの間に設けられた空きスパンである。
また、S区にはスクラップ部4のステージ31が配置しており、4基のシュートステーションSがクレーンライン5下に位置している。
図5のガントチャートにおいては、1区の第1処理ステーション21の払出しピット(以下、第1ピットという)23及びテーブル(以下、第1テーブルという)27、2区の第2処理ステーション22の払出しピット(以下、第2ピットという)23及びテーブル(以下、第2テーブルという)27、3区の空きスパン、4区の脱りん炉前及び脱りん炉P、5区の脱炭炉C及びS区のスクラップ部4のステージ31の1分ごとのタイムスケジュールを示しており、各場所での作業工程は、当該作業工程に費やした時間を示すバーで示されている。
また、当該転炉設備1に溶銑が搬送され、該溶銑とスクラップの混合物に脱りん処理及び脱炭処理を施して溶鋼を形成し、該溶銑を転炉設備1から搬送するまでの工程を1吹錬工程とし、本実施の形態のN回目の吹錬工程を現吹錬工程、該現吹錬工程の前の吹錬工程を前吹錬工程、前吹錬工程の前の吹錬工程を前々吹錬工程、前々吹錬工程の前の吹錬工程を前々々吹錬工程とする。
また、スクラップ搬送クレーン53の動きに着目し、脱りん炉P及び脱炭炉Cにスクラップを装入した後ステージ31に戻り、再び脱りん炉前に戻るまでの工程を1クレーンサイクルCSとする。
その後、脱りん炉Pにスクラップを装入したスクラップ搬送クレーン53を速やかに脱りん炉P前から脱炭炉Cよりもステージ側に移動させると共に、第2溶銑搬送クレーン52を脱炭炉Cまで移動させ、これによって脱りん炉P前の4区を空にする。
このころ、脱りん炉Pから出銑されて搬送台車14上の取鍋bに装入された前々吹錬工程の溶銑は、図4に示す如く、該搬送台車14が返送レール13上を移動することにより脱りん炉P前に移動することとなる。
また、このとき、第2溶銑搬送クレーン52を脱りん炉前の4区に移動させ、図4に示す如く、該第2溶銑搬送クレーン52によって前々吹錬工程の溶銑を装入している取鍋bを吊り上げる。
ところで、シュートステーションSに待機している2基のスクラップシュートeへのスクラップの積み込みは、スクラップ搬送クレーン53が2基のスクラップシュートeを搬送してクレーンサイクルCSを消化してる間に行われており、図2に示す如く、シュートステーションSにて搬送台車34上に載置された空のスクラップシュートeは該搬送台車34によって速やかにステージ31からスクラップヤード32に移動し、該スクラップヤード32にてリフティングマグネット35によってスクラップがスクラップシュートeに積み込まれるのである。
前記スクラップ搬送クレーン53を脱炭炉Cから退けた後、図4に示す如く、脱りん炉P前の4区にて取鍋bを吊り下げた第2溶銑搬送クレーン52を脱炭炉Cの5区まで移動させる。そして、該取鍋bを傾動させることにより、該取鍋b内の溶銑を脱炭炉Cに装入する。これによって、脱炭炉Cに溶銑とスクラップが装入されることとなり、脱炭炉C内にて前々吹錬工程の脱炭処理が開始されることとなる。
このころ、第1ピット23の搬送台車26上に該取鍋bを載置した第1溶銑搬送クレーン51を第2処理ステーション22まで移動させ、該第1溶銑搬送クレーン51によって第2ピット23にて混銑車11からの溶銑が装入された取鍋bをテーブル27まで搬送する。
この直前に、前吹錬工程の溶銑は脱りん炉Pにて脱りん処理が完了して取鍋bに出銑されており、空となった脱りん炉Pにスクラップ搬送クレーン53によって搬送されたスクラップシュートe内のスクラップを装入する等、その後の工程は上述の如くである。
また、本実施の形態の吹錬工程においては、脱りん炉Pにて脱りん処理を終えた溶銑を脱炭炉Cに装入し、該脱炭炉Cにて該溶銑の脱炭処理が施されるため、脱りん炉Pから出銑された溶銑を脱炭炉Cに装入する時間だけ脱炭炉Cの処理開始時間が脱りん炉Pの処理開始時間よりも遅れて開始される。本実施の形態においては、同一吹錬工程の脱りん炉Pと脱炭炉Cの処理開始時間のずれは28分程度となっている。
ここで、脱りん炉Pを間断なく連続して稼働させると共に脱炭炉Cを間断なく連続して稼働させるには、現吹錬工程の脱りんサイクルCPを終える間に現吹錬工程の脱りんサイクルCPが始まる前の脱りん炉P及び前吹錬工程の脱炭サイクルCCが始まる前の脱炭炉Cにそれぞれスクラップを装入し、さらに次吹錬工程の脱りんサイクルCPが始まる前に新たなスクラップを積み込んだスクラップシュートeを脱りん炉前に位置させなければならない。
即ち、該スクラップ搬送クレーン53においては、脱りん炉P→脱炭炉C→ステージ31→脱りん炉Pと移動すれば良く、1クレーンサイクルCS内でのスクラップ搬送クレーン53の移動距離の短小化が図られると共に、クレーンサイクルCSのサイクルタイムがステージ31転炉部2の間を1往復する分だけ短縮化されるのである。
図6において、ケースIは比較例を、ケースIIは本実施の形態を示している。
比較例を示すケースIにおいては、図中の概念図の欄に示す如く、2基の転炉T1、T2と、2基のシュートステーションS1、S2と、2基のスクラップシュートe1、e2と、1基の溶銑搬送クレーン51と、1基のスクラップ搬送クレーン63とを備え、該スクラップ搬送クレーン63は、1度に1基のスクラップシュートのみを搬送可能に構成されている。
これに対し、ケースIにおいて、スクラップ装入サイクルは、スクラップ装入工程(2分)→転炉T1〜シュートステーションS1間のスクラップ搬送クレーン98移動工程(2分)→空シュートe1降ろし工程(1分)→空シュートe1を載置したシュートステーションS1上〜実入りシュートe2を載置したシュートステーションS2上への移動工程(1分)→実入りシュートe2吊上げ工程(2分)→シュートステーションS2〜転炉T2間のスクラップ搬送クレーン98移動工程(2分)の各工程を経ることによって完了し、その所要時間は11分である。
すなわち、ケースIにおいては、1転炉サイクルと2スクラップ装入サイクルの所要時間が同じとなる。このため、他方の転炉T2の転炉サイクルを一方の転炉T1の転炉サイクルよりも11分(1転炉サイクルの半分)だけ遅らせ、一方の転炉T1の転炉サイクルが完了する間に2スクラップ装入サイクルを完了させることにより、2基の転炉T1、T2及び1基のスクラップ搬送クレーン53が互いの工程を待つことなく2基の転炉を連続稼働させることができる。しかし、例えば転炉T1、T2の生産性が向上して転炉サイクルが短くなると、転炉T1、T2の処理能力が向上するにも拘わらず、1転炉サイクルを消化する前に2スクラップ装入サイクルを消化させなければならないということが制約となり、これによって設備全体での生産性を向上させることができない。
ここで、本実施の形態においては、図5のガントチャートに示す如く、現吹錬工程の脱りんサイクルCPと前吹錬工程の脱炭サイクルCCとが6分ずれている。
ケースIIαのスクラップ装入サイクルは、脱りん炉Pへのスクラップ装入工程(2分)→脱りん炉P〜脱炭炉C間のスクラップ搬送クレーン53移動工程(1分)→脱炭炉Cの処理開始時間待ち(4分)→脱炭炉Cへのスクラップ装入工程(2分)→脱炭炉C〜シュートステーションS1間のスクラップ搬送クレーン53移動工程(2分)→空シュートe1降ろし工程(2分)→空シュートe1を載置したシュートステーションS1上〜シュートステーションS2上に移動し、空シュートe2を降ろす工程(2分)→空シュートe2を載置したシュートステーションS2上〜実入りシュートe3を載置したシュートステーションS3上への移動工程(1分)→実入りシュートe3吊上げ工程(2分)→シュートステーションS3上〜シュートステーションS4上に移動し、実入りシュートe4を吊上げる工程(2分)→シュートステーションS4〜脱りん炉Cのスクラップ搬送クレーン53移動工程(2分)の各工程を経ることによって完了し、その合計時間は22分である。
ケースIIIにおいては、概念図に示す如く、2基の転炉T1、T2と、3基のシュートステーションS1〜S3と、4基のスクラップシュートe1〜e4と、1基の溶銑搬送クレーン51と、1基のスクラップ搬送クレーン53とを備えており、該スクラップ装入クレーン53はケースIIのものと同一である。
また、ケースIVにおいては、概念図に示す如く、2基の転炉T1、T2と、4基のシュートステーションS1〜S4と、4基のスクラップシュートe1〜e4と、1基の溶銑搬送クレーンと、ケースIIと同一の1基のスクラップ搬送クレーン53とを備えた構成を示している。
また、ケースIVαは、ケースIVと同一の転炉設備において、スクラップ搬送クレーン53によってスクラップシュートSを1基ずつ吊り下げ又は吊り上げる場合について示しており、該ケースIVαにおいても、図中に示す如くスクラップ装入サイクルは18分である。
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば処理ステーションは、払出しピット23をのみを備えたものであっても良く、払出しピット23を脱硫設備24とを備えたものであっても、払出しピット23と除滓設備25とを備えたものであっても、除滓設備25と脱硫設備24とを備えたものであっても構わず、かかるステーションにて施すことのできない溶銑予備処理は、該ステーションに溶銑が搬送される以前に施されている。
2 転炉部
3 溶銑予備処理部
4 スクラップ部
11 混銑車
21 第1ステーション
22 第2ステーション
23 払出しピット
24 脱硫設備
25 除滓設備
31 ステージ
32 スクラップヤード
51 第1溶銑搬送クレーン
52 第2溶銑搬送クレーン
53 スクラップ搬送クレーン
58 吊下げ装置
C 脱炭炉
P 脱りん炉
S シュートステーション
b 取鍋
e スクラップシュート
Claims (2)
- スクラップシュートを載置しておくシュートステーションにスクラップを積み込んだスクラップシュートを載置し、該スクラップシュートをスクラップ搬送クレーンによって前記シュートステーションから複数の転炉まで搬送し、該複数の転炉の何れかにスクラップシュート内のスクラップを装入する転炉設備のスクラップ装入方法であって、
前記転炉設備として、互いに隣接した状態で配備される複数の転炉を有する転炉部と、前記転炉部の一側方に配備される溶銑予備処理部と、前記転炉部の他側方に配備されたスクラップ部と、前記転炉部の前上方を通過して前記溶銑予備処理部と前記スクラップ部の間を伸びるクレーンラインと、溶銑を装入可能な複数の取鍋と、スクラップを積み込み可能であって該スクラップを前記複数の転炉に装入するための複数のスクラップシュートと、を設けた上で、
前記スクラップ搬送クレーンによって一度に搬送可能な最大スクラップシュート搬送基数の少なくとも2倍の基数のスクラップシュートと、該スクラップシュートと少なくとも同基数のシュートステーションとを設け、
前記最大スクラップシュート搬送基数と同数のスクラップシュートをスクラップ搬送クレーンによって同時に搬送し、残りのスクラップシュートを前記シュートステーションに載置し、
各スクラップシュート内のスクラップをそれぞれ異なる転炉に装入することを特徴とする転炉設備のスクラップ装入方法。 - 前記スクラップを装入する前記複数の転炉の内、少なくとも1基が脱りん炉であって、少なくとも他の1基が該脱りん炉から出銑された溶銑を装入する脱炭炉であることを特徴とする請求項1に記載の転炉設備のスクラップ装入方法。
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