JP4667357B2 - 転炉への冷鉄源の装入方法 - Google Patents
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Description
転炉への冷鉄源を装入する方法として、特許文献1〜3に開示されているものがある。
特許文献1〜3ものでは、スクラップシュートの前側に廃棄車体(廃車スクラップ)を積み込み、廃棄車体の後側に順に軽量屑、冷銑、重量屑を積み込んだ上で、これらの
ものを溶銑の装入前に転炉へと装入している。
その結果、廃棄車両や軽量屑などがクッション材の役割をすることになり、重量屑投入時の衝撃が緩和され、転炉内に設けた耐火物の損傷を軽減させることが可能である。
しかしながら、特許文献1〜3のものでは、廃棄車体(廃車スクラップ)、軽量屑、冷銑、重量屑等の配置について記載されているものの、これらを積み込む場所、量についての詳細が開示されておらず、確実に転炉の耐火物の損傷を軽減させることができないことが実情である。
すなわち、本発明では、スクラップシュートに冷鉄源を積み込み、スクラップシュートに積み込んだ冷鉄源を、溶銑を装入する前の転炉に装入するようにした転炉への冷鉄源の装入方法において、
前記冷鉄源の積み込みにあたっては、
(i) 嵩比重が1ton/m3以下の軽量屑と嵩比重が1ton/m3より大きい重量屑とを有する前記冷鉄源を準備すると共に、前記スクラップシュートに積み込む軽量屑を前記冷鉄源の全配合量の30〜100%に設定し、
(ii) 設定された前記軽量屑を、200mm以上の厚みで前記スクラップシュートの底面に設定した積み込みエリアの全域に亘って配置すると共に、前記積み込みエリアの前方の少なくとも30%以内となる範囲に配置する軽量屑の少なくとも1点の厚みが500mm以上となるようにし、
(iii) 前記積み込みエリアの30%以上となる後方範囲であって前記軽量屑の上に、前記重量屑の全てを配置し、
前記冷鉄源の転炉への装入にあたっては、
(iv) 前記冷鉄源の装入前に副原料を主原料1トンあたり5kg〜20kg装入し、
(v) 前記転炉の冷鉄源投入角度を垂直方向から45°〜65°の範囲内に設定した上で、副原料装入後の転炉を前記冷鉄源投入角度より少なくとも+5°以上傾動させ、
(vi) 転炉を前記冷鉄源投入角度に戻した上で、当該転炉に前記スクラップシュートに積み込んだ冷鉄源を装入するようにしている。
その結果、スクラップシュートに冷鉄源を積み込む際は、冷鉄源の全配合量に対して転炉に装入する軽量屑を30〜100%に上で、その軽量屑を200mm以上の厚みで積み込みエリアの全域に亘って配置し、積み込みエリアの前方の少なくとも30%以内となる範囲においては、少なくとも1点の厚みが500mm以上となるようにし、積み込みエリアの30%以上となる後方範囲であって軽量屑の上に重量屑を載せる。
一方で、転炉側においては、冷鉄源の装入前に、副原料を主原料1トンあたり5kg〜20kg装入し、冷鉄源投入角度を垂直方向から45°〜65°の範囲内に設定した上で、副原料装入後の転炉を前記冷鉄源投入角度より少なくとも+5°以上傾動させる。そして、転炉を冷鉄源投入角度に戻した上で、冷鉄源を転炉に装入することとしている。
以上、冷鉄源を装入するスクラップシュート側と、冷鉄源が装入される転炉側との両者の作用によって、転炉の耐火物の損傷を軽減させる効果が特段に向上することを見出した。
図1に示すように、転炉設備1は、複数の転炉2と、これらの転炉2に溶銑を供給するための取鍋3と、取鍋3を転炉2に搬送するため複数の搬送クレーン4A,4Bを備えている。また、実施形態の転炉設備1は、溶銑予備処理設備5と、スクラップ装入設備6とを備えたもので、高炉設備から搬送された溶銑を溶銑予備処理設備5で予備処理をした後に当該溶銑と冷鉄源とを転炉に投入して脱りん処理及び脱炭処理を行うものである。
前記転炉2は溶銑の脱りん処理や脱炭処理を行うもので、この実施の形態では3基の転炉2が互いに隣接して並列している。転炉設備1では、通常、3基の転炉2のうち、2基が同時に稼働していて、他の1基は予備用若しくは補修中である。また、この実施の形態では、稼働している2基の転炉2うち、1基は脱りんで使用され、他の1基は脱炭で使用される。
各転炉2A,2B,2Cの出湯側にはレールから構成される軌道19が敷設されていて、軌道19上に台車20A,20Bが走行するようになっている。なお、脱P炉2Aに敷設された軌道は、脱P炉2Aの下を通過して前記搬送クレーン4A,4Bが走行する走行レール7上まで延長されている。
スクラップ装入設備6は、冷鉄源を積み込むスクラップシュート12と、スクラップシュート12を搬送するスクラップ搬送クレーン13と、走行レール7下にスクラップシュート12を載置するためのステージ14と、冷鉄源を受け入れるスクラップヤード15とを備えている。
さて、図1に示すように、説明の便宜上、走行レール7を各クレーン1基を収容可能な互いに等しい幅を有する8つの区間(0区〜7区)とスクラップ部4のステージ14上の区間(S区)に区切った場合、搬送クレーン4A、搬送クレーン4B及びスクラップ搬送クレーン13の移動、各種装置等の配置は以下のようになっている。なお、図1において、7区〜S区までの区間は省略する。
スクラップ搬送クレーン13は、走行レール7上を4区からS区まで移動可能である。
また、1区に予備処理ステーション8Aが配置されると共に、2区に予備処理ステーション8Bが配置されている。これら予備処理ステーション8A,8Bは、走行レール7下に払出しピット9を配置している。また、4区、5区、6区に対応する位置には、脱P炉2A,脱C炉2B,予備炉2Cがそれぞれ配置されている。
転炉設備1によれば、次のように脱りん処理及び脱炭処理を行うことができる。
まず、高炉から来た混銑車22が転炉設備1に到着し、混銑車22から払い出しピット9内の取鍋3に溶銑が払い出されると、脱硫装置10で溶銑が脱硫処理された後、除滓装置11で溶銑のスラグが除去される。
脱りん処理が完了すると脱P炉2Aから溶銑が取鍋3に払い出され、当該取鍋3は台車20Aで走行レール7下に搬送された後、搬送クレーン4Bによって吊り上げられて脱炭用の脱C炉2Bに搬送される。このとき、スクラップ搬送クレーン13がスクラップシュート12を吊り上げて脱C炉2Bへ向かい、脱C炉2Bに溶銑よりも先に冷鉄源が装入される。脱C炉2Bにスクラップが装入された後、搬送クレーン4Bに吊り上げられた取鍋3を介して脱C炉2Bに脱りんが完了した溶銑が装入されて脱C炉2Bで脱炭処理が行われる。そして、脱C炉2Bで脱炭処理が完了すると溶鋼は台車20Bの取鍋3に払い出されて二次精錬設備や連続鋳造設備に搬送される。
冷鉄源の積み込みを行うにあたって、まず、
(i)嵩比重が1ton/m3以下の軽量屑と嵩比重が1ton/m3より大きい重量屑とを有する冷鉄源を準備する。言い換えれば、スクラップシュート12に積み込む冷鉄源を、軽いもの(前記軽量屑)と、重いもの(前記重量屑)とに分けてそれぞれ準備する。
詳しくは、スクラップシュート12に積み込む冷鉄源の全ての量(冷鉄源の全配合量)を100%として、当該スクラップシュート12に積み込む軽量屑の割合を、冷鉄源の全配合量の30〜100%に設定する。例えば、スクラップシュート12に積み込む軽量屑の割合を全配合量の45%にしたときは、スクラップシュート12に積み込む重量屑の割合は全配合量の55%となる。
(ii)上記のように決めた軽量屑を、少なくとも200mm以上の厚みでスクラップシュート12の底面25a(底壁25の底面)に設定した積み込みエリアの全域に亘って配置する。
このとき、スクラップシュート12に軽量屑を積み込んだ状態を平面視すると、スクラップシュート12の底面25aが軽量屑で埋め尽くされている状態となる。
スクラップシュート12に軽量屑を積み込んだ状態では、積み込みエリアの前方少なくとも30%以内となる範囲に配置する軽量屑の少なくとも1点の厚みが500mm以上となるようにしている。
言い換えれば、スクラップシュート12に積み込んだ軽量屑を前方側で上方に盛り上げた状態にし(以降、軽量屑を盛り上げた部分を山部29ということがある)、その山部29の少なくとも一部分の厚みが500mm以上にしている。
このとき、重量屑の厚みは山部29の頂上よりも低くしている。詳しくは、重量屑の厚み(底面25aから最も高い所に位置する重量屑の上端までの距離)は500mm以下にするのが好ましい。また、重量屑の厚みが略一定で且つ積み込みエリアの後側まで亘るように重量屑を平坦に積み込むことが好ましい。
(iv)冷鉄源の装入前に副原料を主原料1トンあたり5kg〜20kg装入する。詳しくは、図2(a)に示すように、転炉2を垂直方向から0°、即ち、水平方向から90°にして垂直に立てた状態で、主原料(溶銑+冷鉄源)1トン当たり上記の範囲で副原料を装入する。
(v)転炉2の冷鉄源投入角度を垂直方向から45°〜65°の範囲内に設定する。詳しくは、図2(b)に示すように、冷鉄源を装入する際の転炉2の角度(前記冷鉄源投入角度)を垂直方向から45°〜65°の範囲で一点決定して、決定した角度に転炉2を傾ける。
(vi)図2(d)に示すように、転炉2を冷鉄源投入角度に戻した上で、転炉2にスクラップシュート12に積み込んだ冷鉄源を装入(投入)する。
表1は、本発明の転炉2への冷鉄源の装入方法によって冷鉄源を転炉2に装入した実施例と、本発明の冷鉄源の装入方法を用いずに転炉2に装入した比較例とを示したものである。
転炉2内において耐火物の損耗は、転炉2での精錬時に熱や溶鋼、スラグとの反応で耐火物が損耗するという化学的損耗以外に、冷鉄源を装入した際に、冷鉄源の落下による衝撃により損耗するという機械的損耗がある。
1チャージ当たりの耐火物の損耗(耐火物損耗速度)が0.20mm/ch以上では、化学的損耗よりも機械的損耗の影響が大となり、機械的損耗が律速となるため、例えば、化学的損耗の影響を受け易い出湯側耐火物が使用可能であっても耐火物の補修や炉修を行わなければならず、転炉の寿命が短くなるという問題がある。
表1の「前配置」とは、軽量屑において積み込みエリアの0〜30%の範囲を盛り上げているか否か、即ち、山部29を形成したか否かを示したものである。表1の軽量屑の積み込み位置欄に示す「厚み」は、軽量屑を盛り上げた場合、エリアの0〜30%の範囲において、軽量屑が最も盛り上がっている部分の最大厚み(山部29の厚み)を示したものである。表1の「後配置」とは、重量屑を、軽量屑を盛り上げた部分(山部29)より後側に配置したか否かを示したものである。表1の「底面配置」とは、軽量屑を積み込みエリアの全域に配置したか否かを示したものである。
このことから比較例1〜4では、転炉2に投入した副原料が、冷鉄源が落下する部分に広がることがなく、冷鉄源を転炉2内に装入する際にも重量屑が軽量屑よりも先に落下する割合が多く、その結果、耐火物が損傷し易く、耐火物損耗速度は0.2mm/ch以上となった。
このことから比較例5〜9では、冷鉄源を転炉2内に装入する際、重量屑が軽量屑よりも先に落下する割合が多く、その結果、耐火物が損傷し易く、耐火物損耗速度は0.2mm/ch以上となった。
このことから比較例10では、冷鉄源を転炉2内に装入する際、重量屑が軽量屑よりも先に落下する割合が多く、その結果、耐火物が損傷し易く、耐火物損耗速度は0.2mm/ch以上となった。
比較例12、13においては、軽量屑を200mm以上の厚みで積み込みエリアの全域に亘って配置する形態にもなっていないことから、鉄源を転炉2内に装入する際、重量屑が軽量屑よりも先に落下することがしばしば見受けられ、その結果、耐火物損耗速度は0.2mm/ch以上となった。
したがって、軽量屑が確実に重量屑よりも先に転炉2内に入るようになり(山部29の軽量屑が転炉2内に入ってから重量屑が後で入る)、軽量屑がクッション材としての役割を担うため、冷鉄源の装入による耐火物の損傷は非常に軽減できることから、耐火物損耗速度を0.2mm/ch未満とすることができた。
また、スクラップシュート12の底壁25の底面25aの全域を積み込みエリアとしたが、これに限らず、図4に示すように、スクラップシュート12の底壁25の前端から後側へ数mm(0mm〜2000mm)程度移動したラインL1から後方側を積み込みエリアとしてもよい。
12 スクラップシュート
Claims (1)
- スクラップシュートに冷鉄源を積み込み、スクラップシュートに積み込んだ冷鉄源を、溶銑を装入する前の転炉に装入するようにした転炉への冷鉄源の装入方法において、
前記冷鉄源の積み込みにあたっては、
(i) 嵩比重が1ton/m3以下の軽量屑と嵩比重が1ton/m3より大きい重量屑とを有する前記冷鉄源を準備すると共に、前記スクラップシュートに積み込む軽量屑を前記冷鉄源の全配合量の30〜100%に設定し、
(ii) 設定された前記軽量屑を、200mm以上の厚みで前記スクラップシュートの底面に設定した積み込みエリアの全域に亘って配置すると共に、前記積み込みエリアの前方の少なくとも30%以内となる範囲に配置する軽量屑の少なくとも1点の厚みが500mm以上とし、
(iii) 前記積み込みエリアの30%以上となる後方範囲であって前記軽量屑の上に、前記重量屑の全てを配置し、
前記冷鉄源の転炉への装入にあたっては、
(iv) 前記冷鉄源の装入前に副原料を主原料1トンあたり5kg〜20kg装入し、
(v) 前記転炉の冷鉄源投入角度を垂直方向から45°〜65°の範囲内に設定した上で、副原料装入後の転炉を前記冷鉄源投入角度より少なくとも+5°以上傾動させ、
(vi) 転炉を前記冷鉄源投入角度に戻した上で、当該転炉に前記スクラップシュートに積み込んだ冷鉄源を装入することを特徴とする転炉への冷鉄源の装入方法。
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