JP2011190501A - 転炉設備の操業方法 - Google Patents

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
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Abstract

【課題】P1C2操業とC3操業とを行う転炉の操業を適正化することによって、目標とする生産チャージ数を確保しつつ脱りん処理の実施比率を高められる効率の良い操業を行うことができるようにする。
【解決手段】P1C2操業の実施比率Rbが、(Na−N)÷(Na−Nb)×0.7≦Rb≦(Na−N)÷(Na−Nb)を満たすように、P1C2操業とC3操業とを組み合わせた操業を行う。Tn: 転炉工場(転炉設備)の非稼動時間 (分/日)、Ta:「C3操業」のサイクルタイム(分/ch)、Na:「C3操業」の生産能力(ch/日)、Tb:「P1C2操業」のサイクルタイム(分/ch)、Nb:「P1C2操業」の生産能力(ch/日)、Rb:「P1C2操業」の実施比率[Rb=Cb÷(Cb+Ca)]、Ca:「C3操業」の生産チャージ数(ch/日)、Cb:「P1C2操業」の生産チャージ数(ch/日)、N:目標生産チャージ数[N=Ca+Cb(ch/日)]
【選択図】図5

Description

本発明は、例えば、3基の転炉を備えた転炉設備において脱りん処理や脱炭処理を行う転炉設備の操業方法に関する。
周知のように、高炉で生産された溶銑は、混銑車(トーピートカー)あるいは高炉鍋に装入された上で、溶銑の成分調整を行う転炉工程へ移送される。また、この混銑車又は高炉鍋では、その中に装入されている溶銑に副原料を投入して脱りん、脱珪、脱硫を行い予備的に溶銑の成分調整処理を行うようにしている。
転炉工程では、溶銑を転炉に装入し、副原料添加と酸素吹込みを行うことで脱りん・脱炭を行って、りん濃度や炭素濃度が所定の値となっている溶鋼を生産するようにしている。転炉工程で得られた溶鋼は、その後、連続鋳造工程を経てスラブ等に成形され、このスラブが圧延されることで厚板や薄板等の鉄鋼製品が製造される。
鉄鋼製品の生産量を上げるためには、高炉工程に着目し、高炉からの溶銑の出鋼量を増やすことがもちろん重要であるが、他の工程、例えば、転炉工程での効率アップや生産能力を上げることも重要である。各工程の生産能力を向上させるための技術は、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1は、溶銑の吹錬を行う3基の転炉と、最大2基の転炉を吹錬可能とする能力を備えた転炉周辺設備とを有する転炉設備で、前記転炉周辺設備の能力を超えずに3基の転炉を操業すべく、各転炉のチャージの順番を、第1の転炉での吹錬が終了する前に、第2の転炉での吹錬を開始するように設定し、第3の転炉の吹錬開始を、第2の転炉での吹錬が終了する前で且つ第1の転炉での前回吹錬終了〜次回吹錬開始の間に設定している転炉の操業方法を開示する。
特許文献2は、脱りん炉と脱炭炉とを備えた転炉設備で、前記脱炭炉から出鋼された溶鋼の一部又は全部が収容された取鍋を、脱りん炉の炉下を通して脱炭炉の装入側へ移送し、前記取鍋内の溶鋼を再度脱炭炉に装入して吹錬を行う転炉設備の操業方法を開示する。
特許文献3は、3つの転炉を用いて溶銑を精錬処理する転炉精錬方法であって、3つの転炉は、いずれも、脱C用の転炉、脱Cと脱P兼用の転炉、脱P用の転炉の順で使用され、その後修理されて、再び、同様の順で使用および修理され、3つの転炉のいずれか一つが脱C用の転炉として使用されているときは、他の一つは脱P用の転炉として使用され、残りの一つは脱Cと脱P兼用の転炉として使用され、3つの転炉のいずれか一つが修理されているときは、他の二つは主に脱Cと脱P兼用の転炉として使用される転炉精錬方法を開示する。
特許4057005号公報 特開2006−322021号公報 特開2007−113029号公報
従来より、転炉を3基備えた転炉設備においては、3基の転炉の中、2基の転炉(脱炭炉2基、2/3基操業という)を稼働させる操業を行うことが常であった。例えば、1つの転炉で脱りん処理を行うと共にもう1つの転炉で脱炭処理を行う操業(脱りん炉1基+脱炭炉1基での操業、P1C1操業という)を実施することが考えられる。その場合、粗鋼生産能力が低下することも否めない。
そこで、転炉設備中の全ての転炉を稼働させる操業として、3基の転炉にて操業を行うことが考えられる。3基の転炉にて操業を行うものとして、脱炭炉3基で脱炭処理のみを行う操業(3/3基操業又はC3操業という)がある。C3操業では、粗鋼生産能力が高く効率的であるが、このC3操業のみでは、脱りん処理を行うことができない。一方、脱
りん処理を含む操業としては、脱りん炉1基+脱炭炉2基で操業を行う(P1C2操業という)が考えられる。しかしながら、P1C2操業では、溶銑の物流制約のため粗鋼生産能力が低下してしまう。
そのため、「C3操業」と「P1C2操業」との両方の操業を組み合わせることにより、生産能力を維持しつつ脱りん処理も行うことができる操業を行うことが必要である。しかしながら、「C3操業」や「P1C2操業」を行うにあたって、各転炉における溶湯の装入のタイミングや吹錬のタイミングなどのスケジュールを適正に立てないと、例えば、吹錬後の溶銑を出湯や出鋼する際での搬送待ち(クレーン待ち)が生じたり、吹錬による酸素供給量が設備能力を超えてしまい、逆に粗鋼生産能力が低下することも考えられる。加えて、「C3操業」と「P1C2操業」との比率を適正にすることも重要である。
さて、特許文献1の技術は、3基の転炉を稼動させて生産性を向上させる操業「C3操業」であるが、この技術は脱りん処理や脱炭処理のスケジュールについて明確に規定されていない。
また、特許文献2の技術は、転炉設備で製造された溶鋼を後工程に送ることができない状況下において、溶鋼のリサイクルを行うに際し、脱炭炉の稼働状況を可能な限り低下させない転炉設備の操業方法を開示するものであって、特許文献1と同様に脱りん処理や脱炭処理のスケジュールについて明確に規定されていない。
特許文献3は、3基の転炉において、いずれかの転炉の修理が行われる際に、効率よく溶銑処理を行うための技術を開示するものであり、特許文献1と同様に脱りん処理や脱炭処理のスケジュールについて明確に規定されていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、3基の転炉を用いて「P1C2操業」と「C3操業」とを行う操業を適正化することによって、目標とする生産チャージ数を確保しつつ脱りん処理の実施比率を高められる効率の良い操業を行うことができる転炉設備の操業方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る転炉設備の操業方法は、3基の転炉を備え、第1転炉で出湯された溶銑を受ける取鍋が第1転炉の装入側へ移動可能となっている転炉設備において、
3基の転炉にて脱炭処理のみを行う操業を「C3操業」とし、下記に示す(i)、(ii)の工程を交互に行う操業を「P1C2操業」として定義して、式(1)で求められる「C3操業」の生産能力Naと、式(2)で求められる「P1C2操業」の生産能力Nbと、目標生産チャージ数N(ch/日)が式(3)を満たすとき、
「P1C2操業」の実施比率Rbが式(4)を満たすように、「P1C2操業」と「C3操業」とを組み合わせた操業を行う点にある。
(i) 第1転炉へ脱りん用の溶銑を装入する作業と、第1転炉にて処理した脱りん処理後の溶銑を第2転炉又は第3転炉へ装入する作業とを同時に行った上で、第1転炉にて脱りん処理を行うと共に第2転炉又は第3転炉にて脱炭処理を行う。
(ii) 前記(i)において第2転炉にて脱炭処理を行った場合は第3転炉に溶銑を装入して脱炭処理を行い、前記(i)において第3転炉にて脱炭処理を行った場合は第2転炉に溶銑を装入して脱炭処理を行う。
Na=(1440−Tn)/Ta ・・(1)
Nb=(1440−Tn)/Tb ・・(2)
Nb<N≦Na ・・(3)
(Na−N)÷(Na−Nb)×0.7≦Rb≦(Na−N)÷(Na−Nb)
・・(4)
ここで、
Tn: 転炉工場(転炉設備)の非稼動時間 (分/日)
Ta:「C3操業」のサイクルタイム(分/ch)
Na:「C3操業」の生産能力(ch/日)
Tb:「P1C2操業」のサイクルタイム(分/ch)
Nb:「P1C2操業」の生産能力(ch/日)
Rb:「P1C2操業」の実施比率[Rb=Cb÷(Cb+Ca)]
Ca:「C3操業」の生産チャージ数(ch/日)
Cb:「P1C2操業」の生産チャージ数(ch/日)
N:目標生産チャージ数[N=Ca+Cb(ch/日)]
前記「C3操業」から「P1C2操業」に操業を切り替えるにあたっては、「C3操業」にて脱炭処理を行っていた第1転炉の操業を、次の処理では脱りん処理に替える「P切り替え操業」を行うことが好ましい。
前記「P1C2操業」から「C3操業」に操業を切り替えるにあたっては、「P1C2操業」にて脱りん処理を行っていた第1転炉の操業を、次の処理にて脱炭処理に切り替える「C切り替え操業」を行うことが好ましい。
前記(ii)においては、前記3基の転炉とは異なる容器にて脱りん処理を行った溶銑を、前記第2転炉又は第3転炉に装入することが好ましい。
本発明によれば、3基の転炉を用いて「P1C2操業」と「C3操業」とを行う操業を適正化することによって、目標とする生産チャージ数を確保しつつ脱りん処理の実施比率を高められる効率の良い操業を行うことができる。
転炉設備の平面図である。 転炉設備の側面図である。 転炉設備の拡大平面図である。 転炉設備において脱りん後の溶銑を同一転炉に再装入する様子を示した図である。 転炉の操業の第1のガントチャートである。 転炉の操業の第2のガントチャートである。 転炉の操業の第3のガントチャートである。 転炉の操業の第4のガントチャートである。
以下、本発明の転炉設備の操業方法について図を基に説明する。
図1、図2は転炉設備を示したものである。まず、転炉設備について説明する。
図1、図2に示すように、転炉設備1は、3基の転炉2A,2B,2Cと、これら転炉2A,2B,2Cに溶銑や溶鋼を供給する複数の取鍋3と、取鍋3を搬送する2基のクレーン4A,4Bとを有している。
2基のクレーン4A,4Bは、転炉設備1の上方側であって、当該転炉設備1を縦断するように配設された走行レール5上を走行可能となっている。クレーン4A,4Bの本体8からは、下方にワイヤ6が延びており、該ワイヤ6の先端に設けられたフックで取鍋3を吊り下げ可能となっている。ワイヤ6をクレーン本体8へ巻き取ることで、取鍋3は上方へ吊り上げられ、その上でクレーン本体8が走行レール5上を走行することで、取鍋3は転炉設備1内を移動可能となっている。
加えて、転炉設備1は、混銑車9から取鍋3に溶銑を移し替える場所である払い出しステーション10A,10B(払い出しピット)を2つ備えていると共に、取鍋3内の溶銑に対して脱硫処理を施す脱硫ステーション16A,16Bを2つ有している。
転炉設備1は、ノロカキ12(スラグドラッガー)により取鍋3内の溶銑上面に浮かんでいるスラグを掻き出す場所である除滓ステーション13A,13Bを2つ備え、さらに、転炉2にスクラップ(冷銑や冷鋼)を装入するスクラップクレーン14を備えている。スクラップクレーン14は、スクラップシュート15,15を2基同時に取り下げ可能となっている。
転炉設備1の上方側には、転炉設備1を縦断するように走行レール5が設けられている。説明の便宜上、走行レール5を8つの区間(番号0〜7)に区切り、それぞれに番号を付す。2基のクレーンの一方(クレーン4A)は、走行レール5の区切り番号0から6ま
でを移動し、他方(クレーン4B)は区切り番号1から7までを移動する。1つの区切り番号はクレーンA、Bの1基の幅に対応している。
区切り番号1、2に対応する走行レール5のほぼ下方側で且つ走行レール5の側方側には、払い出しステーション10A,10Bが対応するように設けられている。なお、以降の説明における上下方向は、図2の上下方向と一致するものとするさらに、走行レール5の区切り番号0及び3には除滓ステーション13A,13Bが設けられている。
区切り番号4、5、6に対応する走行レール5の下側であって且つ走行レール5の側方側には、転炉2A,2B,2Cが並ぶように設けられている。本実施形態の場合、区切り番号4に対応する転炉(第1転炉)2Aは、溶銑の脱りん処理と脱炭処理との両方を行うことができる兼用炉であり、区切り番号5に対応する転炉(第2転炉)2B、及び区切り番号6に対応する転炉(第3転炉)2Cは、溶銑の脱炭処理を行う脱炭炉とされている。
区切り番号7の位置には、スクラップクレーン14が配置されており、このスクラップクレーン14は、走行レール5の区切り番号4〜6(各転炉の装入側)ならびに区切り番号7へ移動可能であると共に、図1の右側に位置する図示しないスクラップ積み込み場(スクラップヤード)へも移動可能である。
さらに、本実施形態の転炉設備1は、第1転炉2Aの下側(炉下)において当該第1転炉2Aの装入側から払い出し側に向けて配置された軌道(レール)15と、この軌道15上を走行可能で取鍋3を搭載可能な台車16とを備えている。軌道15は、装入側に向けてクレーン4A,4Bが移動する軌道の直下まで延びている。ゆえに、クレーン4A,4Bによって、装入側に位置する台車16上の取鍋3を、第1転炉2Aの前側(装入側)の床面Fに設けられた開口部17を通じて吊り上げることができるようになっている。
なお、第2転炉2B、第3転炉2Cの払い出し側にも、払い出し側のクレーン20に向けて延びる軌道21が配置され、この軌道21を走行する台車22によって第2転炉2Bや第3転炉2Cから出鋼した溶鋼が装入された取鍋を払い出し側のクレーン20の走行軌道の直下に搬送することができるようになっている。ここで、台車22に搭載された取鍋は、払い出し側のクレーン20によって連続鋳造装置へと搬送される。
[転炉設備における主な操業について]
次に、転炉設備1において行うことができる主要な操業について説明する。
溶銑が装入された混銑車9が到着したときに、混銑車9内の溶銑を、払い出しステーション10A又は10Bに配置した取鍋3に払い出すことができる。そして、溶銑が払い出された取鍋3を払い出し台車18にてクレーン4A,4Bが移動する軌道上に移送した後、当該取鍋3を脱硫ステーション16A又は16Bに移送することができる。脱硫ステーション16A又は16Bでは、取鍋3内の溶銑に対して脱硫処理が行われ、脱硫処理後の取鍋3は、台車により除滓ステーション13A又は13Bまで移送され、除滓ステーション13A又は13Bでは、取鍋がクレーン4A又はクレーン4Bによって吊り下げられた状態でノロカキ12A又は12Bにより溶銑の上面に浮いているスラグを掻き出すことができる。
スラグ掻き出しが完了した取鍋3は、クレーン4A又は4Bにより、第1転炉2Aの前に移送され、装入側にて第1転炉2Aを傾動すると共に取鍋3を傾けることで、取鍋3内の溶銑を第1転炉2A内に溶銑を装入することができる。
第1転炉2Aでは、装入された溶銑に対して脱りん処理を行うことができる。脱りん処理では、第1転炉2Aの炉口から酸素を吹き込むランスを挿入して溶銑に向けて気体酸素を吹き込むと共に、炉底から不活性ガス等によって溶銑を撹拌することにより、溶銑の[P]を低減させることができる。なお、脱りん処理においては、当業者常法通り、石灰CaO等の造滓材や酸化鉄Fexy等を投入している。
そして、図3、図4(a)に示すように、第1転炉2Aにて脱りん処理が終了すると、第1転炉2Aが払い出し側に傾動し、脱りん処理後の溶銑を払い出し側に配置した台車16上の取鍋3に払い出すことができる。当該取鍋3を搭載した台車16は、第1転炉2Aの炉下を通過して装入側に移動することができる。図3、図4(b)に示すように、装入側に移動した台車16上の取鍋3をクレーン4A,4Bによって吊り上げることができ、
当該取鍋3を第3転炉2Cに移送することができる。
第3転炉2Cでは、装入された溶銑に対して脱炭処理を行うことができる。脱炭処理では、第3転炉2Cの炉口から酸素を吹き込むランスを挿入して溶銑に向けて気体酸素を吹き込むと共に、炉底から不活性ガス等によって溶銑を撹拌することにより、溶銑の[C]を低減させることができる。脱炭処理においては、当業者常法通り、石灰CaO等の造滓材や酸化鉄Fexy等を投入している。
なお、上記の説明では、第1転炉2Aにて行った脱りん処理後の溶銑を第3転炉2Cに装入する手順を説明しているが、当該転炉設備1では、装入側に移動した台車16上の取鍋3をクレーン4A,4Bによって吊り上げた後に当該取鍋3を第2転炉2Bに移送することができ、第1転炉2Aにて行った脱りん処理後の溶銑を第2転炉2Bにも装入することができる。また、第2転炉2Bにおいても、第3転炉2Cと同様に脱炭処理を行うことができる。
さて、3基の転炉を用いて脱りん処理や脱炭処理を行う転炉の操業方法を考えたとき、どのように転炉を稼働させるかという操業パターンは数多く存在する。例えば、1つの転炉で脱りん処理を行うと共にもう1つの転炉で脱炭処理を行う操業(P1C1操業)を実施することが考えられる。このような操業では、3基の転炉のうち、2基の転炉を稼働させるという操業であるため、全体として粗鋼生産能力が低下することも否めない。
そこで、転炉設備中の全ての転炉を稼働させる操業として、3基の転炉にて操業を行うことが考えられる。3基の転炉にて操業を行うものとして、脱炭炉3基で脱炭処理のみを行う操業(C3操業)がある。C3操業では、粗鋼生産能力が高く効率的であるが、このC3操業のみでは、脱りん処理を行うことができない。一方、脱りん処理を含む操業としては、脱りん炉1基+脱炭炉2基で操業を行う(P1C2操業)が考えられる。しかしながら、P1C2操業では、粗鋼生産能力が少し低下する可能性がある。
そのため、「C3操業」と「P1C2操業」との両方の操業を組み合わせることにより、生産能力を維持しつつ脱りん処理も行うことができる操業を行うことが必要である。しかしながら、「C3操業」や「P1C2操業」を行うにあたって、各転炉における溶湯の装入のタイミングや吹錬のタイミングなどのスケジュールを適正に立てないと、例えば、吹錬後の溶銑を出湯や出鋼する際での搬送待ち(クレーン待ち)が生じたり、吹錬による酸素供給量が設備能力を超えてしまい、逆に粗鋼生産能力が低下することも考えられる。加えて、「C3操業」と「P1C2操業」との比率を適正にすることも重要である。
図5〜図7は、C3操業とP1C2操業とを組み合わせたガントチャートを示している。図5に示すように、Aパターン(図中「A」)はC3操業を示しており、βパターン(図中[β])はC3操業からP1C2操業に切り替える「P切り替え操業」を示している。
また、図6に示すように、Bパターン(図中「B」)はP1C2操業を示しており、当該図ではP1C2操業を繰り返し行ったものを示している。さらに、図7に示すように、αパターン(図中「α」)はP1C2操業からC3操業に切り替える「C切り替え操業」を示している。よって、図5〜図7では、「A」、「β」、「B」、「B」、「α」、「A」の順に操業を行っている。
なお、第1転炉2Aにおいて1チャージ(転炉に溶銑を装入して吹錬を行った後、吹錬後の溶銑を払い出し、次の溶銑を装入する直前までの間)を、各パターンの区切りとしている。一点鎖線はクレーン4Aの動きを示しており、実線はクレーン4Bの動きを示しており、二点鎖線はクラップクレーン14の動きを示している。また、左欄は、各場所を示している。Aパターンから順番に説明する。なお、図中では、脱りん処理を「脱P」、脱炭処理を「脱C」と示すことがある。
[Aパターンについて]
図5に示すように、Aパターンでは、まず、クレーン4Bが第1転炉2Aに到達し、当該第1転炉2Aに混銑車9にて予め脱りん処理を行った溶銑を装入する(符号X1)。その後、第1転炉2Aにおいて脱炭処理(吹錬、調質、出鋼、排滓)を行う。
また、第1転炉2Aにて脱炭処理が行われている同時期に、第3転炉2Cにおいても脱炭処理(吹錬、調質、出鋼、排滓)を行う(符号X2)。そして、第3転炉2Cにおいて
スラグコーティングが行われている時期(符号X3)に、クレーン4Aが第2転炉2Bに到達し、第2転炉2Bに混銑車9にて予め脱りん処理を行った溶銑を装入し(符号X4)、第2転炉2Bでも脱炭処理を行う。Aパターンが終了しても、第2転炉2Bや第3転炉2Cにおける脱炭処理は継続中である。
このように、Aパターンでは、3基の転炉を時間をずらしつつ並列的に稼働させるという操業であり、脱りん処理は全く行われていない。なお、第1転炉2Aにて脱炭処理後の溶鋼は、払い出し側にある取鍋に払い出されて、当該取鍋は、台車22に搭載されて連続鋳造装置へと搬送される。
[βパターンについて]
このβパターンは、Aパターン(C3操業)から後述するBパターン(P1C2操業)へ操業パターンを切り替えるための操業である。
Aパターンに続くβパターンでは、まず、Aパターンにおいて脱炭処理が終了した第1転炉2Aに、脱りん処理を行っていない溶銑を装入する(符号X6)。その後、第1転炉2Aにおいて脱りん処理(吹錬、調質、出湯)を行う。ここで、図4(a)に示したように、第1転炉2Aの脱りん処理における溶銑の出湯は、払い出し側に配置した取鍋に行い、当該取鍋を搭載した台車16を出湯後に第1転炉2A前に移動させる(符号X7)。そして、第1転炉2A前に移動させた台車16に搭載した取鍋(第1転炉2Aにて脱りん処理を行った溶銑が入っている取鍋)を、クレーン4Bにて吊り上げた後(符号X8)、当該取鍋をクレーン4Bにて第3転炉2Cに向けて搬送する。
また、除滓ステーション13Aにて脱りん処理を行っていない溶銑に対してスラグの排滓が終了すると、当該溶銑が装入された取鍋をクレーン4Aにて第1転炉2Aに向けて搬送する(符号X9)。
このように、βパターンでは、Aパターンにおいて第1転炉2Aで行っていた脱炭処理を脱りん処理に替えて処理を行っている。つまり、βパターンでは、C3操業からP1C2操業に操業を切り替えるにあたっては、C3操業にて脱炭処理を行っていた第1転炉2Aの操業を、次の処理では脱りん処理に替える「P切り替え操業」を行っている。
そして、第1転炉2Aでの脱りん処理後は、脱りん処理後の溶銑が入った取鍋を第1転炉2A前に移動した後、第3転炉2Cに搬送している。加えて、βパターン中にAパターンから継続して行っていた第3転炉2Cにおける脱炭処理は終了しておく(符号X10)。加えて、脱りん処理を行っていない溶銑が装入された取鍋を第1転炉2Aに向けて搬送する。
[Bパターンについて]
図6に示すように、次に、Bパターンでは、まず、βパターンの際に第1転炉2Aに向けて搬送された取鍋が当該第1転炉2Aに到着し、当該取鍋内の溶銑(脱りん処理を行っていない溶銑)をクレーン4Aを用いて装入する(符号X11)。
このとき、βパターンの際に第3転炉2Cに向けて搬送された取鍋も当該第3転炉2Cに到着し、当該取鍋内の溶銑(予めβパターンにおいて第1転炉2Aにて脱りん処理を行った溶銑)をクレーン4Bを用いて装入する(符号X12)。その後、第1転炉2Aにて脱りん処理を行う(符号X13)と共に、第3転炉2Cにて脱炭処理を行う(符号X14)。つまり、Bパターンでは、
(i)の工程:第1転炉2Aへ脱りん用の溶銑を装入する作業(符号X11)と、第1転炉2Aにて処理した脱りん処理後の溶銑を第3転炉2Cへ装入する作業(符号X12)とを同時に行った上で、第1転炉2Aにて脱りん処理を行うと共に第3転炉2Cにて脱炭処理を行う操業となっている。
なお、上述した「同時に行う」とは、溶銑をそれぞれの転炉に装入するタイミングが互いに完全に一致する場合だけでなく、一方の転炉に対する溶銑の装入が完了するまでの間に他方の転炉に対する溶銑の装入が開始される場合、言い換えれば、転炉に対する溶銑の装入作業が少しでも時間的にオーバラップするという場合も含むものとする。
また、Bパターンでは、第3転炉2Cの脱炭処理を行っているが、当該第3転炉2Cの脱炭処理において出鋼が終了した後は、第3転炉2Cとは異なる別の第2転炉2Bに脱り
ん処理後の溶銑を装入して脱炭処理を行うものとなっている。
具体的には、混銑車9にて脱りん処理を行った溶銑が装入された取鍋を、クレーン4Bを用いて除滓ステーション13Bから第2転炉2Bに向けて搬送し(符号X15)、当該取鍋内の溶銑を第2転炉2Bに装入した後(符号X16)、第2転炉2Bにて脱炭処理(吹錬、調質、出鋼、排滓)を行っている(符号X17)。
なお、符号X15〜符号X16の工程において、予め転炉とは異なる容器(例えば、混銑車9)にて脱りん処理を行った溶銑を第2転炉2Bに溶銑を装入しているが、予め脱りん処理を行う容器は混銑車9に限らず、取鍋であっても、その他の容器であってもよい。
つまり、Bパターンでは、
(ii)の工程:(i)の工程において第3転炉2Cにて脱炭処理を行った場合(符号X14)は、当該第3転炉2Cとは異なる第2転炉2Bに脱りん処理後の溶銑を装入し(符号X16)、その後、第2転炉2Bにて脱炭処理を行う(符号X17)操業となっている。加えて、この(ii)の工程においては、混銑車9にて脱りん処理を行った溶銑を、第2転炉2Bに装入している。
なお、上述したBパターンでは、第1転炉2Aにて処理した脱りん処理後の溶銑を第3転炉2Cへ装入しているが、これに代え、第1転炉2Aにて処理した脱りん処理後の溶銑を第2転炉2Bに装入するようにしてもよい。即ち、上述したBパターンにおいて、第3転炉2Cと第2転炉2Bとの操業を逆にしてもよい。この場合、(i)の工程では、 第1転炉2Aへ脱りん用の溶銑を装入する作業と、第1転炉2Aにて処理した脱りん処理後の溶銑を第2転炉2Bへ装入する作業とを同時に行った上で、第1転炉2Aにて脱りん処理を行うと共に第2転炉2Bにて脱炭処理を行うことになる。また、(ii)の工程では、前記(i)の工程において、第2転炉2Bにて脱炭処理を行った場合は第3転炉2Cに溶銑を装入して脱炭処理を行うことになる。
以上のように、Bパターンでは、Aパターンと同様に3基の転炉を用いて行う操業であるが、Aパターンとは異なり、(i)の工程と(ii)の工程があるため、溶銑の脱りん処理と溶銑の脱炭処理とを1つの操業にて行うことができる。
また、(i)の工程では、2基の転炉を略同時に使用する操業を含んでいるものの、一方の転炉では、吹錬時の送酸速度が比較的小さい脱りん処理(第1転炉2Aで脱りん処理)を行い、他方の転炉では、吹錬時の送酸速度が比較的大きい脱炭処理(第3転炉2Cで脱炭処理)を行っている。そのため、P1C2操業では、同時に吹錬を行ったとしても一度に使用する総酸素量を抑えることができ、設備能力を超えてしまうことを確実に防止することができる。
また、Bパターンでは、(i)の工程と、(ii)の工程とをずらしているため(交互に行っている)、3基の転炉を用いたとしても、転炉からの出湯や出鋼が略同時に3つ重なることがなく、吹錬後の溶銑を出湯や出鋼する際での搬送待ち(クレーン待ち)を確実に防止することができる。
さらに、(ii)の工程においては、3基の転炉とは異なる容器(例えば、混銑車9、取鍋など)にて脱りん処理を行った溶銑を、第2転炉2Bに装入している。即ち、第2転炉2Bに装入する溶銑は、転炉設備1以外の設備にて処理を行ったものであり当該転炉設備1には影響を与えないので、転炉設備1の物流効率を、より向上させることができ、転炉設備1における粗鋼生産量を高めることができる。
図6に示すように、Bパターンの操業(P1C2操業)では、(i)の工程を連続して行うことができるように、そのスケジュールが組まれている。
詳しくは、第1転炉2Aにて脱りん処理が終了すると(符号X18)、脱りん処理後の溶銑が入った取鍋を第1転炉2A前に移動した後、第3転炉2Cに搬送している(符号X19)。加えて、第3転炉2Cにおける脱炭処理は終了しておく(符号X20)。加えて、脱りん処理を行っていない溶銑が装入された取鍋を第1転炉2Aに向けて搬送する。
このように、符号X18〜符号X20に示す工程を行うことにより、次の操業においても、予め(i)の工程を行うための準備が整う状態となり、次回のBパターンの操業を行うことができるようになる。
[αパターンについて]
図7に示すように、αパターンは、Bパターン(P1C2操業)からAパターン(C3操業)へ操業パターンを切り替えるための操業である。
Bパターンに続くαパターンでは、まず、Bパターンにおいて脱りん処理が終了した第1転炉2Aに、脱りん処理を行っていない溶銑を装入する(符号X21)。その後、第1転炉2Aにおいて脱炭処理(吹錬、調質、出湯)を行う。また、Bパターンにおいて脱炭処理が終了した第3転炉2Cに、脱りん処理を行った溶銑を装入する(符号X22)。その後、第3転炉Cにおいて脱炭処理(吹錬、調質、出湯)を行う。
このように、αパターンでは、Bパターンにおいて第1転炉2Aで行っていた脱りん処理を脱炭処理に替えて処理を行っている。つまり、P1C2操業からC3操業に操業を切り替えるにあたっては、P1C2操業にて脱りん処理を行っていた第1転炉2Aの操業を、次の処理にて脱炭処理に切り替える「C切り替え操業」を行うこととしている。
上述したように、本発明の転炉設備における操業方法では、C3操業、P1C2操業を行っているが、P1C2操業を行う比率(実施比率Rb)を、次のように求め当該実施比率Rbが後述する式(4)を満たすように、C3操業とP1C2操業との組合せの操業を行うことが好ましい。
まず、C3操業やP1C2操業における1日当たりの最大の生産能力を知るため、式(1)にてC3操業の生産能力Naを求め、式(2)にてP1C2操業の生産能力Nbを求めておく。
Na=(1440−Tn)/Ta ・・(1)
Nb=(1440−Tn)/Tb ・・(2)
ここで、
Tn: 転炉工場(転炉設備)の非稼動時間 (分/日)
Ta:「C3操業」のサイクルタイム(分/ch)
Na:「C3操業」の生産能力(ch/日)
Tb:「P1C2操業」のサイクルタイム(分/ch)
Nb:「P1C2操業」の生産能力(ch/日)
式(1)は、1日の歴時間(24時間×60分=1440分)から転炉設備の非稼働時間を引いた実際の稼働時間(稼働可能時間)を求め、稼働可能時間をC3操業のサイクルタイムにて除算するものであって、この式でC3操業を1日中連続して行った場合での1日の生産能力(チャージ数)を求めるものである。
式(2)は、式(1)と同様に、稼働可能時間をP1C2操業のサイクルタイムにて除算するものであって。この式でP1C2操業を1日中連続して行った場合での1日の生産能力(チャージ数)を求めるものである。
なお、非稼動時間とは、例えば、クレーン点検、転炉の炉口に付着した地金の切断、熔解、除去、転炉内の耐火物に対しての補修、出鋼(出湯)口の補修などに要する時間のことである。この非稼働時間は、実操業では、1日のうち(1440分/日)、200分〜300分程度必要であり、その時間は、転炉を非稼働にせざる得ない時間である。
サイクルタイムは、1チャージにかかる時間のことであり、例えば、図に示したBパターンの操業(P1C2操業)やAパターン(C3操業)では表1に示すものとなる。
Figure 2011190501
表1に示すように、サイクルタイムは、転炉にて脱りん処理や脱炭処理を行うために、取鍋を搬送する装入側のクレーン4A、4Bが一連の作業を行ったときのトータル時間をその間に脱炭炉(脱炭処理を行った転炉)へ装入したチャージ数で割ったものである。
次に、式(1)にて求めたC3操業の生産能力Naと、式(2)にて求めたP1C2操業の生産能力Nbと、1日当たりの目標生産チャージ数N(ch/日)との関係が式(3)を満たすか否かを確認する。
Nb<N≦Na ・・(3)
この式(3)では、式(1)にて計算された1日のC3操業の生産能力Naが、目標生産能力以上であるか、即ち、目標生産能力に対してC3操業を行ったときに余力能力があるか否かを確認することができる。式(3)を満たすときには、式(4)にて求められるP1C2操業の実施比率Rb、即ち、目標生産能力に対するP1C2操業のチャージ数の割合が式(4)を満たすように、1日におけるC3操業の生産チャージ数Caと、P1C2操業の生産チャージ数Cbとを設定する。
(Na−N)÷(Na−Nb)×0.7≦Rb≦(Na−N)÷(Na−Nb)
・・(4)
ここで、
Rb:「P1C2操業」の実施比率[Rb=Cb÷(Cb+Ca)]
Ca:「C3操業」の生産チャージ数(ch/日)
Cb:「P1C2操業」の生産チャージ数(ch/日)
N:目標生産チャージ数N[N=Ca+Cb(ch/日)]
式(4)は、C3操業と目標生産能力(目標生産チャージ数N)との差(余剰生産能力
)を、C3操業の生産能力とP1C2操業の生産能力との差で除算することにより、P1C2操業の比率の上下限値を求めることとしている。そして、式(4)に示すように、P1C2操業の実施比率Rbが70%以上(70%以上100%以下)となる範囲で、C3操業の生産チャージ数Caと、P1C2操業の生産チャージ数Cbとを設定する。
ここで、P1C2操業の実施比率Rbが「(Na−N)÷(Na−Nb)」の70%としたのは、「LD委員会10周年記念論文集、表5.5、P208」に記載されている8工場の転炉設備における転炉稼働率(実績)を本発明の操業に当てはめて整理すると、効率良く操業を行うためには、P1C2操業の実施比率Rbを70%以上として操業を行うことが理想的であり、実体的な操業とも言えるため、この値を下限値とした。即ち、P1C2操業の実施比率Rbを「(Na−N)÷(Na−Nb)」の70%以上とすることは、当該発明の操業を各製鉄所の操業に当てはめときに理想的な操業(ロスの少ない操業)と言える。
本発明では、以上のような手順により、C3操業の生産チャージ数Caと、P1C2操業の生産チャージ数Cbとを求めたうえで、当該チャージ数に対応したP1C2操業とC3操業とを組み合わせた操業を1日単位で行うこととしている。
表2は、転炉設備の操業方法の条件をまとめたものである。
Figure 2011190501
表3は、転炉設備の操業方法の条件に基づいて、本発明の操業方法にて操業を行った実施例と、この実施例とは異なる方法にて操業を行った比較例とをまとめたものである。
Figure 2011190501
表3に示した転炉型脱P処理比率とは、転炉にて行った脱炭処理のチャージ数(ch)に対する転炉にて行った脱りん処理のチャージ数(ch)の割合を示したもので、「転炉にて行った脱りん処理のチャージ数」/「転炉にて行った脱炭処理のチャージ数」で求めることができる。
例えば、転炉にて脱りん処理を全く行わなかった場合は、転炉型脱P処理比率は0%となり、脱りん処理と脱炭処理の数が同じ場合は、転炉型脱P処理比率は100%となる。転炉の操業においては、転炉を用いて脱りん処理を行うことによってCaOなどの副原料を低減でき、その結果、スラグ量の低減や鉄歩留の向上、FeMnの低減が図れ、コスト低減の効果が期待できることから、「転炉型脱P処理比率>0%」である場合が良好「評価○」、「転炉型脱P処理比率=0%」である場合が不良「×」として評価している。なお、転炉にて脱りん処理を行うことによってコスト低減の効果が期待できるということは、特開2008−184684号公報[段落番号0002]、特開2002−256320号公報[段落番号0002]等に記載されているように、極めて一般的なことであり、転炉型脱P処理比率が高い方がよりコスト効果を得ることが出来る。
表3の粗鋼生産量は、操業を行った実際のチャージ数を粗鋼生産能力(例えば、80ch/日)で除算した割合(%)を示したもので、言い換えれば、粗鋼生産能力に対する実稼働の割合(%)である。粗鋼生産量の括弧内は、チャージ数に置き換えた数値を示している。粗鋼生産量が粗鋼生産計画以上である場合が良好「評価○」、粗鋼生産量より下回る場合が不良「×」となる。
表3の脱P処理比率は、転炉で行った脱りん処理の割合と、転炉以外の容器(混銑車)で行った脱りん処理の割合とを示したものある。つまり、転炉型の数値は転炉型脱P処理比率と同じであり、混銑車型の数値は、転炉にて行った脱炭処理のチャージ数(ch)に対する転炉以外の容器(混銑車)にて脱りん処理のチャージ数(ch)の割合を示したものである。
なお、表3に示したパターンCは、図8に示すように、3基の転炉の中、2基の転炉にて脱炭処理と脱りん処理とを行うP1C1操業の代表的なものである。パターンCでは、第3転炉2Cに混銑車9にて脱りん処理を行った溶銑を装入して脱炭処理を行う(符号X
30)と共に、第3転炉2Cの吹錬中に時間をずらして第1転炉2Aに脱りん処理を行っていない溶銑を装入後(符号X31)、第1転炉2Aにて脱りん処理を行っている。
ケース1の実施例では、P1C2操業の実施比率Rbを56〜80%とし、C3操業の生産チャージ数Caは28〜13チャージ、P1C2操業の生産チャージ数Cbは36〜51チャージ行った。その結果、転炉型脱P処理比率を28〜40%とすることができ、転炉による脱りん処理を行うことによりスラグの排出量の低減を図ることができると共に、粗鋼生産量も粗鋼生産計画を上回ることができた。
ケース2の実施例では、P1C2操業の実施比率Rbを28〜40%とし、C3操業の生産チャージ数Caは52〜43チャージ、P1C2操業の生産チャージ数Cbは20〜29チャージ行った。その結果、転炉型脱P処理比率を14〜20%とすることができ、転炉による脱りん処理を行うことによりスラグの排出量の低減を図ることができると共に、粗鋼生産量も粗鋼生産計画を上回ることができた。
即ち、ケース1及びケース2の実施例では、粗鋼生産量の達成とスラグの排出量の低減の両立を図ることができた。
ケース1及びケース2の比較例1では、粗鋼生産量は粗鋼生産計画を上回ったものの、いずれも3/3基操業であるため、転炉型脱P処理比率=0%となり、コストを低減することができなかった。ケース1及びケース2の比較例2では、転炉型脱P処理比率が100%とすることができたものの、粗鋼生産量が粗鋼生産計画を下回ることとなった。
ケース3及びケース4であっても、実施例では、転炉型脱P処理比率を14%以上とすることができ、転炉による脱りん処理を行うことによりスラグの排出量の低減を図ることができると共に、粗鋼生産量も粗鋼生産計画を上回ることができた。それ以外の比較例では、脱りん処理比率又は粗鋼生産量のいずれかが不良「×」となった。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 転炉設備
2A 第1転炉
2B 第2転炉
2C 第3転炉
3 取鍋
4A クレーン
4B クレーン
9 混銑車
10A 払い出しステーション
10B 払い出しステーション
13A 除滓ステーション
13B 除滓ステーション
16 台車
17 開口部
F 床面

Claims (4)

  1. 3基の転炉を備え、第1転炉で出湯された溶銑を受ける取鍋が第1転炉の装入側へ移動可能となっている転炉設備において、
    3基の転炉にて脱炭処理のみを行う操業を「C3操業」とし、下記に示す(i)、(ii)の工程を交互に行う操業を「P1C2操業」として定義して、式(1)で求められる「C3操業」の生産能力Naと、式(2)で求められる「P1C2操業」の生産能力Nbと、目標生産チャージ数N(ch/日)が式(3)を満たすとき、
    「P1C2操業」の実施比率Rbが式(4)を満たすように、「P1C2操業」と「C3操業」とを組み合わせた操業を行うことを特徴とする転炉設備の操業方法。
    (i) 第1転炉へ脱りん用の溶銑を装入する作業と、第1転炉にて処理した脱りん処理後の溶銑を第2転炉又は第3転炉へ装入する作業とを同時に行った上で、第1転炉にて脱りん処理を行うと共に第2転炉又は第3転炉にて脱炭処理を行う。
    (ii) 前記(i)において第2転炉にて脱炭処理を行った場合は第3転炉に溶銑を装入して脱炭処理を行い、前記(i)において第3転炉にて脱炭処理を行った場合は第2転炉に溶銑を装入して脱炭処理を行う。

    Na=(1440−Tn)/Ta ・・(1)
    Nb=(1440−Tn)/Tb ・・(2)
    Nb<N≦Na ・・(3)
    (Na−N)÷(Na−Nb)×0.7≦Rb≦(Na−N)÷(Na−Nb)
    ・・(4)
    ここで、
    Tn: 転炉工場(転炉設備)の非稼動時間 (分/日)
    Ta:「C3操業」のサイクルタイム(分/ch)
    Na:「C3操業」の生産能力(ch/日)
    Tb:「P1C2操業」のサイクルタイム(分/ch)
    Nb:「P1C2操業」の生産能力(ch/日)
    Rb:「P1C2操業」の実施比率[Rb=Cb÷(Cb+Ca)]
    Ca:「C3操業」の生産チャージ数(ch/日)
    Cb:「P1C2操業」の生産チャージ数(ch/日)
    N:目標生産チャージ数[N=Ca+Cb(ch/日)]
  2. 前記「C3操業」から「P1C2操業」に操業を切り替えるにあたっては、「C3操業」にて脱炭処理を行っていた第1転炉の操業を、次の処理では脱りん処理に替える「P切り替え操業」を行うことを特徴とする請求項1に記載の転炉設備の操業方法。
  3. 前記「P1C2操業」から「C3操業」に操業を切り替えるにあたっては、「P1C2操業」にて脱りん処理を行っていた第1転炉の操業を、次の処理にて脱炭処理に切り替える「C切り替え操業」を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の転炉設備の操業方法。
  4. 前記(ii)においては、前記3基の転炉とは異なる容器にて脱りん処理を行った溶銑を、前記第2転炉又は第3転炉に装入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転炉設備の操業方法。
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