JP5159002B2 - 高純度炭素電極及びこれを用いた石英ガラスルツボの製造方法 - Google Patents

高純度炭素電極及びこれを用いた石英ガラスルツボの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク放電によって石英粉を加熱溶融してガラス化する際に、発生したシリカフュームのドロッピングによる影響が実質的に生じないアーク溶融用の高純度炭素電極に関する。より詳しくは、石英粉をアーク溶融する際に発生したシリカフュームが電極に付着し難く、従って、凝集したシリカフュームが溶融石英ガラス中に落下して性状不良等を生じることのないアーク溶融用高純度炭素電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶シリコンの引き上げに用いる石英ガラスルツボは主にアーク溶融法によって製造されている。この方法の概略は、カーボン製モールドの内表面に石英粉を一定厚さに堆積し、この石英堆積層の上方に炭素電極を設置し、そのアーク放電によって石英堆積層を加熱し、ガラス化して石英ガラスルツボを製造する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記製造工程において、石英粉のアーク溶融時に、高温に加熱された石英粉の一部が溶融気化してシリカフュームが発生する。従来、このシリカフュームが電極表面に付着し、凝集したシリカフュームが溶融石英ガラス中に落下し(ドロッピング現象)、ガラスルツボの内表面に異物を生じたり、ガラスの均質性を損なうなどの問題がある。
【0004】
本発明は、このような従来の問題を解決したものであって、石英粉の加熱溶融時に発生したシリカフュームが付着し難く、従って、製造した石英の性状不良などを生じる虞が少ない高純度炭素電極を提供することを目的とする。
【0005】
【課題の解決手段】
本発明者等は、上記石英ガラスルツボの製造において石英粉のアーク溶融時に生じるシリカフュームの電極への付着状態について検討し、シリカフュームの電極への付着状態は、この電極を形成する炭素粒子の粒子径、特に最大粒径によって大きく異なることを見い出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0006】
すなわち、本発明はアーク放電によって石英粉を加熱溶融するために用いる炭素電極であって、粒子径0.05〜0.5mmの炭素粒子からなることを特徴とする高純度炭素電極に関する。また、本発明の炭素電極は、好ましくは、粒子径0.1〜0.5mmの炭素粒子からなるものである。
【0007】
【発明の実施形態】
以下、本発明を実施態様に基づいて具体的に説明する。
本発明のアーク溶融用高純度炭素電極は、粒子径0.05〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.5mmの炭素粒子からなる炭素電極である。この炭素粒子の粒子径は上記ドロッピングによる影響と電極の消耗との兼ね合いに基づく。現在、石英ガラスルツボの製造に用いられているアーク溶融用の炭素電極は、電極を形成する炭素粒子の粒子径が0.02mm〜0.8mmと広範囲にわたっている。後述の実験例に示すように、粒子径が0.8mm程度の比較的粗い炭素粒子からなる電極を石英粉のアーク溶融に用いた場合、電極の消耗は少ないが、発生したシリカフュームが電極表面に付着して凝集し、これがルツボに落下して性状不良を生じやすい。また、最大粒径が0.02mm以下の比較的微細な炭素粒子によって形成された炭素電極は、ドロッピングによる影響はないが、電極の消耗が著しく、製造コストが嵩む。このように、電極を形成する炭素粒子が一定の粒径範囲を外れるものは石英粉のアーク溶融用電極として不十分である。
【0008】
一方、粒子径0.05〜0.5mmの炭素粒子からなる本発明の炭素電極は、これより粒径の大きな炭素粒子によって形成した炭素電極よりも電極表面が滑らかであるのでシリカフュームが付着し難い。とくに粒子径0.1〜0.5mmの炭素粒子からなる炭素電極は電極表面が滑らかであり、石英粉のアーク溶融時に電極表面にシリカフュームが凝集せず、しかも電極の消耗も少ないので好ましい。
【0009】
このように、上記粒子径範囲の炭素粒子によって形成した本発明の炭素電極はこれより微細な炭素粒子からなる電極よりも消耗速度が小さく、従って製造コストが嵩むことがない。また、本発明の炭素電極はアーク放電時に適度な速度で消耗するのでシリカフュームが電極に仮に付着しても電極の消耗と共に飛散し、従って、シリカフュームのドロッピングによる影響がなく、高品質の石英ガラスルツボを製造することができる。電極の消耗速度が本発明の電極より遅いと付着したシリカフュームが凝集してドロッピングによる性状不良を生じやすくなる。
【0010】
なお、単結晶シリコンの引上げに用いる石英ガラスルツボの製造には、ルツボの金属汚染を防止するために高純度の炭素電極が用いられるが、本発明の炭素電極においても同様の高純度の炭素が用いられる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に示す。
表1に示す粒径の炭素粒子からなる炭素電極を用い、アーク溶融法によって石英ガラスルツボを製造した。アーク放電は550〜570kwの電力で約18分間通電して行い。口径18インチの石英ガラスルツボを製造し、得られたルツボの性状、電極の消耗速度を調べた。
表1の結果に示すように、粒径0.8mm以上の炭素粒子からなる電極を用いたもの(No.1)は、シリカフュームのドロピングによってルツボ内表面に突起などが生じ、性状が不良であった。また、粒径0.5〜0.8mmの炭素粒子からなる電極を用いたもの(No.2)も同様の傾向がみられた。さらに、粒径0.05mm未満の炭素粒子からなる電極を用いたもの(No.6)はシリカフュームのドロッピングによる影響はないが電極の消耗が著しかった。
一方、粒径0.05〜0.5mmの炭素粒子からなる電極を用いたもの(No.3〜5)は何れもドロッピングによる形状不良は発生せず、しかも電極の消耗も適度であり、石英ガラスルツボ製造用のアーク電極として好適であった。このうち、特に粒径0.1〜0.5mmの炭素粒子からなる炭素電極(No.3,4)は最も好ましい結果を得た。
【0012】
【表1】
Figure 0005159002
【0013】
【発明の効果】
本発明のアーク用高純度炭素電極は、石英ガラスのアーク溶融に用いた場合、高温によって発生するシリカフュームが電極表面に付着し難く、従って、そのドロッピングによる性状不良を生じる虞がない。また電極の消耗も適度であるので経済性にも優れる。

Claims (5)

  1. アーク放電によって石英粉を加熱溶融してガラス化するために用いる炭素電極であって、粒子径0.1〜0.5mmの炭素粒子からなることを特徴とする高純度炭素電極。
  2. 石英粉を加熱溶融してシリコン単結晶引き上げ用石英ガラスルツボを製造するために用いる炭素電極であることを特徴とする請求項1に記載の高純度炭素電極。
  3. 前記アーク放電のための印加電力が550〜570kWであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度炭素電極。
  4. モールドの内表面に石英粉を一定厚さに堆積し、前記石英粉の堆積層の上方に炭素電極を設置し、前記炭素電極のアーク放電によって前記石英粉を加熱溶融して石英ガラスルツボを製造する方法において、
    前記炭素電極を構成する炭素粒子の粒子径が0.1〜0.5mmであることを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
  5. 前記炭素電極に550〜570kWの電力で通電して前記アーク放電を行うことを特徴とする請求項4に記載の石英ガラスルツボの製造方法。
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