JP3433976B2 - ガラス溶融ルツボ - Google Patents

ガラス溶融ルツボ

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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B5/00Melting in furnaces; Furnaces so far as specially adapted for glass manufacture
    • C03B5/06Melting in furnaces; Furnaces so far as specially adapted for glass manufacture in pot furnaces
    • C03B5/08Glass-melting pots

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ガラス溶融ルツボに係
り、特にガラス融液を型に供給するためのガラス溶融ル
ツボに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、溶融ガラスを成形型に供給するに
は、耐熱レンガ、粘土からなるルツボによりガラスを加
熱溶融させ、冷却した後、不純物のない中心部分を使用
していた。しかし、この方法では廃棄するガラス量が多
く、かつルツボは使い捨てのために、コストが高くなる
という問題があった。また、個々に耐熱レンガ、粘土の
ルツボを作製するため、長期間かかる問題も生じてい
た。 【0003】そこで最近では、特公平3−17067号
公報または特公平3−17068号公報に開示されるよ
うに、ガラスと反応しにくいPtまたはPt合金ルツボ
を用いる方法が提案されている。Ptはガラスとの反応
が生じないため、ガラス全体が使用できる。よって、廃
棄ガラス量は従来と比較して低減され、ガラスの製造コ
ストは低減されることになる。また、Ptの強度が低い
ことを補うため、合金化、コーティング化も行われてい
る。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記各公報で
示されるPt材はガラスとの界面では反応は生じない
が、ガラスと濡れやすい性質のため融着する。そのた
め、溶融ガラスを鋳型等に供給する際、ルツボの壁にガ
ラスが付着し、供給量の計量精度を高めることができな
かった。さらに、ガラスの種類を変える場合、ルツボを
フッ化水素水溶液で洗浄するか、または次のガラスを投
入して溶融、廃棄を繰り返すことにより、ガラスでガラ
スを洗う工程を行っている。そのため、薬品による危険
性や廃棄ガラスによりコスト低減が図れない問題が生じ
た。 【0005】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、ルツボのガラス接触面のガラスに対する
濡れ性を低下させ、ガラスとルツボの融着を防止し、供
給が容易でかつ供給量の精度を向上させることができ、
多種少量生産にも適したガラス溶融ルツボを提供するこ
とを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、ガラスを加熱溶融し、型上に供給するた
めのガラス溶融ルツボにおいて、少なくともガラスと接
触する面がPtまたはPtを主成分とする合金からな
り、その面粗さがRmaxで4μm以上、20μm以下
となるようにした。 【0007】 【作用】ガラスの濡れ性はガラスの表面エネルギー(γ
L)、ルツボの表面エネルギー(γS)、ガラスとルツ
ボの界面エネルギー(γSL)によって表される。図3
において、θを接触角とすると、ルツボの表面エネルギ
ー(γS)は、γS=γSL+γLcosθとなる。こ
の式よりガラスが濡れやすい場合は、θ角が小さいこと
を意味する。また、上記式は左辺と右辺とが等しいこと
により成り立つ。ここで、ルツボの表面エネルギー(γ
S)とガラスの表面エネルギー(γL)は一定であるた
め、濡れ性は変わらない。しかし、ルツボとガラスの界
面エネルギー(γSL)はルツボの表面状態によって変
化させることが可能である。ルツボの表面粗さを低下さ
せると、ガラスとルツボの接触面積が大きくなる。接触
面積が大きいと、ルツボとガラスの界面エネルギー(γ
SL)が大きくなるため、θ角は大きくなる。よって、
濡れにくくなることがわかる。 【0008】上記作用から、ルツボ表面粗さRmax4
μmから20μmの範囲では溶融ガラスが濡れなかっ
た。しかし、Rmax4μm未満にすると溶融ガラスが
濡れてしまい、一方20μmを越えると溶融ガラスが凹
凸に入り込むため、融着した。また、供給する際、ガラ
スは粘性が高いため、容易に滴下できない。しかし、上
記濡れ性が悪いルツボによりガラスの供給が容易にな
り、よって投入ガラスがすべて供給できる。 【0009】 【実施例1】本実施例では、20ccの小型Ptルツボ
をサンドブラストにより表面粗さを低下させた実施例を
示す。また、ルツボは光学ガラス素子成形装置に使用し
た。 【0010】ルツボの製造方法純度99.8%のPtと
純度99.9%のRhが8:2の割合で混合されている
合金を、図1に示すような小型円筒容器の形状のルツボ
1に加工した。その形状は、ルツボ外径が30mm、高
さが30mmで、周縁の一部に注ぎ口が形成されてい
る。形状加工後、ガラス接触面であるルツボ内面2を表
面粗さRmax2μm以下に研磨加工し仕上げ、さら
に、#800から#1000のサンドブラストにより表
面をRmax10μmに仕上げた。 【0011】成形方法 上記本実施例のルツボ1を光学ガラス素子成形装置に設
置した。装置概略図を図2に示す。まず、計量したガラ
ス塊をルツボ1に投入した。投入後、ルツボ1はルツボ
駆動装置3により加熱炉4内に挿入した。挿入後、ガラ
スはガラス粘度で10〜103 ポアズに相当する温度ま
で加熱溶融した。加熱溶融後、ルツボ1はルツボ駆動装
置3により後退させ、下型5上に移動した。移動後、ル
ツボ駆動装置3を回転し、ルツボ1内の溶融ガラス6を
下型5上に滴下した。下型5は図示を省略した加熱ヒー
タにより加熱した。ガラス粘度で1010〜1013ポアズ
に相当する温度に加熱保持した。また、下型5の成形面
外周部には成形レンズ取り出し用の胴型7を設置した。
ガラス滴下後、下型5を上型8の同軸上に移動した。上
型8も下型5と同様にガラス粘度で1010〜1013ポア
ズに相当する温度に加熱保持した。同軸上に移動後、下
型5を上昇させることにより、溶融ガラス6をプレス成
形し、成形レンズ9を製造した。 【0012】効果 従来のルツボではルツボ内面に付着するガラスによる供
給ガラスの計量精度のバラツキが±10%であったが、
本実施例のガラス溶融ルツボによれば、サンドブラスト
による簡単な表面処理によりガラスとの濡れ性を低下さ
せたので、供給ガラスの計量精度のバラツキが±3%以
内となった。また、1g以下の微量ガラスの供給は、従
来のルツボでは不可能であったが、本実施例のルツボ1
によれば、25mgのガラスまで供給可能となった。 【0013】本実施例では、ガラス接触面粗さがRma
x10μmのルツボの製造方法およびそれを使用した光
学素子成形方法を示したが、ガラス接触面粗さがRma
x4μmでも同様な効果が得られた。しかし、それ未満
の粗さではガラスがルツボに濡れた状態となり、供給の
際にガラスが付着し、計量精度が低下する問題が生じ
た。また、ガラス接触面粗さがRmax20μmでも実
施例と同様な効果が得られたが、それを越える面粗さで
は凹凸部分にガラスが入り込み、付着する問題が生じ
た。 【0014】 【実施例2】本実施例は、ルツボ基材のガラスと接触す
る面を、面粗さRmax4〜20μmとし、かつその表
面にPtをコーティングしたルツボの実施例を示す。 【0015】ルツボ製造方法 高温耐酸化性が高く、かつ熱衝撃性が高いサイアロンを
ルツボ材料に使用した。サイアロンを実施例1と同様
(図1)の形状に焼結した。焼結後、ルツボ内部にフッ
化水素水溶液を1時間投入し、表面を侵食させた。これ
により、初期粗さRmax2μmがフッ化水素水溶液の
侵食により、Rmax15μmとなった。侵食後、ルツ
ボを洗浄し、スパッタリング装置にてPt膜を成膜し
た。まず、チャンバ内を2×10-6Torrまで真空排
気した後、Arガスを3×10-3Torrまで導入し
た。導入後、高周波電圧2.5kV、電流250mAで
Ptをスパッタリングし、膜厚5μmに成膜した。これ
により、ルツボ表面粗さはRmax12μmとなった。 【0016】成形方法 成形方法は実施例1と同様の方法で行った。 【0017】効果 実施例1と同様に、基材をセラミックスに置き換えても
ガラスとの濡れ性は低下できた。また、Ptコーティン
グにより基材は変更できる。本実施例ではサイアロンを
使用したが、例えばAlNを使用すると、AlNは高熱
伝導率であるため、加熱、冷却が容易に行える。よっ
て、急速加熱、冷却が必要な場合はAlNを基材とする
と良い。また逆に、温度を保持する条件の場合は、Al
2 3 を基材とすることにより、低熱伝導率であるた
め、温度を保持することができる。このように、基材の
特性によりルツボの特性を変化させることが可能とな
る。 【0018】本実施例ではガラス接触面粗さがRmax
12μmのルツボの製造方法およびそれを使用した光学
素子成形方法を示したが、実施例1と同様にガラス接触
面粗さがRmax4μmでも同様な効果が得られた。し
かし、それ未満の粗さではガラスがルツボに濡れた状態
となり、供給の際にガラスが付着し、計量精度が低下す
る問題が生じた。また、ガラス接触面粗さがRmax2
0μmでも前記実施例と同様な効果が得られたが、それ
を越える面粗さでは凹凸部分にガラスが入り込み、付着
する問題が生じた。 【0019】 【発明の効果】以上のように、本発明のガラス溶融ルツ
ボによれば、少なくともガラスと接触する面の面粗さを
Rmaxで4〜20μmとしたので、ガラスとの濡れ性
を低下することが可能となり、供給が容易になるととも
に、従来問題であったガラスの供給計量精度を向上させ
ることが可能となる。また、ルツボ内にガラスが残らな
いため、ガラスの種類の変更が容易となり、多種少量生
産品のコストを下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例1のルツボを示す平面および側
面図である。 【図2】同実施例1のルツボを用いた成形方法を示す工
程図である。 【図3】ルツボとガラスの濡れ性を説明するためのベク
トル図である。 【符号の説明】 1 ルツボ 2 ルツボ内面 5 下型 6 溶融ガラス 8 上型

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ガラスを加熱溶融し、型上に供給するた
    めのガラス溶融ルツボにおいて、 少なくとも前記ガラスと接触する面が、PtまたはPt
    を主成分とする合金からなり、その面粗さがRmaxで
    4μm以上、20μm以下であることを特徴とするガラ
    ス溶融ルツボ。
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