JPH0742193B2 - 単結晶引き上げ用石英るつぼ - Google Patents

単結晶引き上げ用石英るつぼ

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JPH0742193B2
JPH0742193B2 JP4107530A JP10753092A JPH0742193B2 JP H0742193 B2 JPH0742193 B2 JP H0742193B2 JP 4107530 A JP4107530 A JP 4107530A JP 10753092 A JP10753092 A JP 10753092A JP H0742193 B2 JPH0742193 B2 JP H0742193B2
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宏 松井
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雅明 青山
英一 篠宮
朗 藤ノ木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単結晶ケイ素のような
単結晶物質の成長に使用される石英ガラス容器すなわち
石英るつぼに関する。
【0002】
【従来技術】従来、単結晶半導体材料のような単結晶物
質の製造には、いわゆるチョクラルスキー法と呼ばれる
方法が広く採用されている。この方法は、多結晶ケイ素
を容器内で溶融させ、この溶融浴内に種結晶の端部を漬
けて回転させながら引き上げるもので、種結晶上に同一
の結晶方位を持つ単結晶が成長する。この単結晶の引き
上げの容器には、石英るつぼが一般的に使用されてい
る。石英るつぼは、製造方法により生じる外観の相違に
よって、透明るつぼと、半透明るつぼとに分類される。
【0003】半透明るつぼは、石英粉末を回転している
型に投入し、型の内面に沿って層状に堆積させたのち、
さらに型を回転させながら石英粉末層を内面から加熱し
て、気泡を含む石英ガラス製品とすることにより製造さ
れる。この半透明石英るつぼは、透明石英るつぼと比較
したとき、強度が高いこと、および大きな寸法のるつぼ
の製造が容易なこと、等の利点を有する。さらに、半透
明石英るつぼに含まれる微小な気泡が熱の分布を均一に
する傾向があるため、透明るつぼに比べて温度が均一に
なる、という利点もある。このような理由から、半透明
石英るつぼが実用上広く使用されている。
【0004】しかし、半透明石英るつぼは、単結晶の製
造過程において、結晶化が不安定になり、収率が低下す
る、という問題がある。この結晶化が不安定になる理由
は幾つか考えられるが、その一つとしては、高温度のも
とでの溶融ケイ素と石英ガラスとの間の反応のためにる
つぼの内面が浸食され、るつぼの内面に荒れが生じるこ
とが挙げられる。浸食が進行すると、るつぼに含まれて
いた気泡が溶融ケイ素に露出され、るつぼ内面の肌荒れ
の原因となるが、溶融ケイ素がこの肌荒れしたるつぼ内
面に接触すると、溶融ケイ素の湯面は、溶融ケイ素の量
の減少に伴って円滑に低下することができなくなる。さ
らに、るつぼ内面の肌荒れにより生じた微細な突起が、
石英ガラスの結晶化の核となり、斑点状のクリストバラ
イトを形成する。このようにして形成されたクリストバ
ライトは、るつぼから離脱して溶融ケイ素内に落ち込
み、引き上げられる単結晶の成長に悪影響を与える。
【0005】他の問題としては、主として石英粉末の中
に含まれた金属不純物が、石英粉末の加熱溶融による石
英ガラスの形成後、内在する気泡の近傍に析出し、石英
るつぼの結晶引き上げの過程で特にその内表面近傍にお
ける析出金属不純物がその内表面におけるクリストバラ
イトの形成を促進し斑点状のクリストバライトを形成す
ることがある。またるつぼの製造時に、るつぼの内表面
に微小な突起や掻き傷が形成されると、その周辺に金属
不純物の析出が起き、同様な理由で好ましくない。
【0006】従来の石英るつぼにおける上述の問題を解
決するために、特開昭59−213697号公報には、石英るつ
ぼの内面のうち、少なくとも溶融ケイ素に接触する部分
に、約1mm以上の厚さの透明石英ガラス層を形成するこ
とが教示されている。この公開特許公報の教示によれ
ば、この透明石英ガラス層は、半透明石英ガラスるつぼ
の内面を長時間にわたり加熱することにより形成され
る。この方法は、るつぼ内面の加熱により、るつぼ内面
に近接する層内の気泡を膨張させ、破裂させて気泡の消
去を行うものであるが、この方法では気泡の除去はほと
んど不可能であり、得られる透明石英ガラス層は気泡含
有層が十分に低くなく、或る程度の気泡を依然として含
有する点で満足できるものではない。単結晶引き上げの
最近の技術では、引き上げが低圧雰囲気のもとで行われ
るので、この公開特許公報に開示された技術を採用する
と、依然としてるつぼ内に含まれる気泡が低圧雰囲気の
もとで膨張し、溶融ケイ素との接触により、るつぼ表面
が浸食され、肌荒れが大きくなり、従来のるつぼで経験
されていたと同様な問題を生じる。上記公開公報には、
別な方法として、単結晶引き上げ時にシリコン湯面と接
触するるつぼ部分に、リング状の透明石英ガラスを挟み
込み、溶着することが教示されている。しかし、この方
法は製造が面倒であるだけでなく、るつぼ内面がリング
状の透明石英ガラスと他の部分との接合部で十分に滑ら
かでなく、かつ強度低下の問題も生じる。
【0007】米国特許第4,528,163 号明細書は、るつぼ
基体を外層と内層との2層に形成して、外層を天然石英
の粉末により、内層を人造石英の粉末によりそれぞれ形
成することを教示する。この米国特許の教示によれば、
このようにして形成したるつぼ基体の内面を加熱して、
非結晶質の滑らかな薄い内面を形成する。しかし、前述
の公開特許公報により形成されたるつぼの場合と同様
に、この米国特許の教示に基づいて形成された非結晶質
の層も多量の気泡や空洞を含むもので、満足に使用でき
るものではない。
【0008】米国特許第4,416,680 号明細書および同第
4,632,686 号明細書は、石英るつぼを加熱しながら外側
から負圧を作用させて気泡含有量を減少させることを教
示している。しかし、気泡は石英ガラスの層を通過する
過程で大きな抵抗を受けるので、この米国特許に教示さ
れた方法では気泡含有量を低くすることが最も望まれる
内面層の気泡含有量を十分に低下させることができな
い。
【0009】さらに、単結晶引き上げ工程では、工程の
安定化だけでなく、るつぼから単結晶に与えられる酸素
の量を正確に制御することも重要であるが、従来の方法
により製造された石英るつぼは、内面が十分に均一でな
く、るつぼに多量の気泡が含まれることから、引き上げ
工程中に内面の荒れを生じるので、るつぼから溶融ケイ
素内に溶け込む石英の量が不安定になり、酸素量を正確
に制御することが困難になる。
【0010】従来の半透明るつぼを使用する単結晶引き
上げにおいて遭遇する他の問題は、るつぼ壁に存在する
気泡により、透明るつぼに比べて熱の分布が一様になる
のではあるが、その気泡の大きさ及び分布が適正でない
ために、外部加熱源からの熱の伝達が均一でなくなるこ
とである。その結果、単結晶の引き上げが不安定にな
る。
【0011】その他にも、従来の石英るつぼでは、引き
上げ工程中にるつぼが長時間高温に曝されたとき、該る
つぼに変形を生じる、という問題がある。この問題は、
前述したいずれの公知技術によっても解消できない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、単結晶引き上げに使用される石英るつぼの改良され
た構造を提供することを解決すべき課題とする。もっと
詳細に述べると、本発明が解決しようとする課題の一つ
は、熱の伝達が均一に行われ、しかも単結晶引き上げに
際して内壁面の肌荒れが極めて少なく、安定した単結晶
引き上げを行うことができるとともに、単結晶引き上げ
の熱による変形を極力抑制することができる、高温でも
強度の高い石英るつぼを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明においては、石英るつぼを外層と内層とから
構成する。外層は気泡を含む半透明石英ガラス層であ
り、その気泡は、直径10ないし250μm で、1cm3
あたり20,000個以上含まれる。内層は実質的に無気
泡で、るつぼの内面となる表面が平滑である。この内層
は、0.3mm以上の厚さで形成される。そして、外層と内
層とは、一体融合的に接合されている。さらに、本発明
においては、半透明石英ガラス層の外表面近傍に結晶質
石英成分が偏在する。
【0014】本発明において、るつぼが実質的に無気泡
である、ということは、半導体単結晶の引き上げに使用
される透明石英ガラスるつぼに比べて、含有する気泡が
極めて少ない、ということである。通常の透明石英ガラ
スるつぼは、肉眼で観察できる大きさの100μm の気
泡をある程度含有し、かつ肉眼では観察できないが、光
の散乱による観察で検出できる微細な気泡を大量に含ん
でいる。本発明による石英るつぼの内層は、この微細な
気泡もほとんど含まない。具体的には、直径20μm 以
上の気泡は、平均値で1cm2 あたり2個以下である。
【0015】
【作 用】従来の半透明石英るつぼにおいては、気泡含
有量は、1cm3 あたり1万個から数万個まで広い範囲の
ばらつきを示していた。このために、るつぼ壁における
熱の伝達が均一でなくなり、シリコン単結晶の引き上げ
工程が不安定になるという問題があった。本発明におい
ては、外層の構造を直径10〜250μm の気泡を1cm
3 あたり20,000個以上含む半透明石英ガラス層とす
ることにより、電熱ヒータ部及びるつぼを支えるカーボ
ンサセプターの構造による石英るつぼ内壁面への熱の不
均一伝達という問題点が解決され、結果として、熱の伝
達が従来の半透明るつぼに比べて飛躍的に均一化され
る。また、内層は実質的に無気泡で、内面が平滑である
ので、シリコン単結晶の引き上げによっても肌荒れを生
じることがなく、単結晶引き上げを安定して行うことが
できる。
【0016】さらに、半透明の外層の外表面近傍に結晶
質石英成分が偏在する構成とすることにより、該外層の
耐熱強度が増大し、単結晶引き上げの際に石英るつぼが
曝される高温のもとでも、るつぼに生じる変形を抑制す
ることが可能になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1において、本発明の石英るつぼ1は、外側の半透明石
英ガラス層2と、この層の内表面に実質的に無気泡の完
全溶融層を連続的に成長せしめ一体融合的に形成された
薄い透明石英ガラス層3とからなる。半透明石英ガラス
層2内には、直径10〜250μmの多数の気泡4が1
cm3 当たり20,000個以上、好ましくはその円筒部の
当該半透明ガラス層2の厚さ方向の60%以上の部分で
1cm3当たり40,000〜70,000個の存在密度で分
布している。
【0018】このような半透明石英ガラス層2における
多数の気泡4の存在により、外部ヒーターからのるつぼ
内面への熱エネルギーの伝達が均一となり、熱源のむ
ら、あるいはるつぼの肉厚のバラツキによりるつぼ内壁
面に生じる温度むらを低減することができる。この結
果、単結晶引き上げ時において、原料多結晶溶液が、る
つぼの内面全域において一定した熱履歴を受け、単結晶
引き上げが極めて安定して行われる。
【0019】半透明石英ガラス層2中の気泡4の数が上
述の範囲を外れた場合、すなわち気泡の数が少なすぎる
場合は、熱の拡散が不充分となり、るつぼ1の内壁面に
温度むらを生ずる。気泡4の数に特に上限はないが、気
泡が多くなりすぎるとガラス自体の強度の低下をもたら
すばかりではなく、高温下での気泡同志の融着による巨
大の気泡の発生等の不都合を生ずることがあるので、気
泡の数はこの点で制限がある。最大値が1cm3 当たり7
0,000個の場合において、上記不具合がなく且つ本発
明の目的を達成することが可能である。
【0020】透明石英ガラス層3における実質的に無気
泡であるという基準は、前述したとおり、通常の石英ガ
ラスるつぼ例えば特開昭59−213697号公報に開
示の石英るつぼにおける透明石英ガラス層に比べて、そ
の含有する気泡が極めて少ないということである。通常
の半導体用石英ガラスるつぼは、肉眼で観察しうる大き
さの100μm〜1mmの気泡をある程度含み、肉眼では
観察できないが、光を当てて気泡による散乱によって観
察が可能な程度の微小な気泡を大量に含んでいる。本発
明における無気泡の具体的な例としては、倍率30倍の
顕微鏡の視野約8mm2 の範囲で、6個の未使用の石英る
つぼを、各るつぼにつき側壁内表面4ヶ所、底部1ヶ所
の計5ヶ所で総計30ヶ所について観察した結果、直径
20μm以上の気泡が2ないし3ヶ所でわずかに認めら
れる程度である。その1例を挙げると、この30ヶ所の
測定点で直径20μm以上の気泡が2個見られたのは1
ヶ所、1個見られたのは2ヶ所であり、気泡の存在密度
は0.13個/8mm2 (1mm2 に換算すると約1.6個/
cm2 )であり、極めて気泡の少ない均質性の高い層とな
っている。
【0021】この透明石英ガラス層としては、上記の通
りガラスの組織的にも極めて均質な物が使用されてい
る。この透明石英ガラス層の存在によりシリコン融液と
の接触界面において、るつぼ内表面が反応によって浸食
された場合にも、透明層自体が活性中心や反応を促進し
うる構造的な要因を持っていない為、均一かつ遅い反応
しか起こらず、クリストバライトが僅かしか生じないで
新たに生成する表面の平滑性を維持しており、常に安定
したシリコン融液とるつぼの界面を得ることが可能であ
る。この為、長時間に亙る引き上げでも安定した品質を
保証することができる。この重要な意味を持つ透明石英
ガラス層はるつぼの使用が完全に終了するまで必要であ
り、このためには少なくとも0.3mm、実際には0.8〜1
mm以上であることが望ましい。又、るつぼの各部分にお
いてはシリコン融液と接触する時間が異なるので、例え
ば、円筒部の上の方は薄く底へ向かって厚さが増すなど
これに会わせた透明石英ガラス層の厚さの分布を設ける
ことも可能である。
【0022】半透明石英ガラス層2には結晶質石英成分
が混在する。この結晶質石英成分は半透明石英ガラス層
中の外表面近傍に偏在するようにすることが好ましい。
結晶質石英成分は、半透明石英ガラス層2中に粒子状に
分散して存在し、これによってるつぼの使用時、例えば
シリコンの融点である1450℃近辺での耐変形性が大
幅に向上する。もし、るつぼとこれを支えるカーボンサ
セプターとの間に隙間が有った場合でもるつぼ内に装入
された原料シリコンの荷重によってるつぼが変形すると
いうことがなくなる。
【0023】1450℃のような高温でるつぼを長時間
使用しているとき、るつぼに局部的な変形やゆがみがも
たらされると、その変形部分でるつぼ内面への熱エネル
ギーの伝達が他の部分と異なってくる。そのため、原料
融液はるつぼ内面の部分で異なった熱履歴を受けること
となり、その結果融液の対流に乱れを生じ、単結晶引き
上げが不安定になる。また、るつぼの変形自体単結晶引
き上げに支障を与えることが知られている。本発明によ
るるつぼでは、このような変形に伴なう問題を大巾に軽
減することができる。
【0024】次に本発明の半石英るつぼを製造する一例
を以下に説明する。まず、使用する原料粉としては天然
水晶等の精製された粉体が使用される。この粉体を回転
しているるつぼ製造用型内に供給し、遠心力によって所
定の厚さに層を形成した後、内側からアーク放電等の手
段によって溶融を開始する。この段階で、半透明石英ガ
ラス層2が形成されるが、この時、溶融条件を制御して
形成した粉体層全体をガラス化することなく、又、必要
に応じて型の外部を冷却することによって余分な熱を奪
い前記半透明石英ガラス層2の外表面近傍を結晶質石英
成分を残留させる。
【0025】本発明に於いては、気泡の大きさ及び存在
密度が前述の範囲、すなわち直径10ないし250μm
の気泡が20,000個/cm3 以上の密度で含まれること
が必要である。できれば、半透明石英ガラス層の厚さ方
向の60%以上の部分で40,000ないし70,000個
/cm3 の範囲で気泡を含むことが望ましいが、これは原
料粉として結晶水を含まない結晶質石英の粉体を使用
し、その粒度分布を300ないし100μmの範囲に制
御して、加熱溶融条件を制御することによって達成でき
る。
【0026】本発明における半透明石英ガラスるつぼ内
表面の透明石英ガラス層は、成型された粉体層に望まし
い高品質な石英ガラス層を内装して溶融し一体化する
か、粉体の追加溶融によって一体融合的に形成すること
ができる。この様にして形成された透明層は、気泡の痕
跡も存在しない為減圧下で膨張することも無い。特に水
晶粉末を回転金型内に供給して遠心力によって型の壁に
外壁石英粉末層の予備成形体を作り、次いで石英粉末を
アーク放電等の高温ガス雰囲気中を通過させて半溶融状
態の粉末を放電エネルギーによって外壁石英粉末層の内
面に連続的に付着せしめ実質的に無気泡の完全溶融層を
設置すれば、外壁石英粉末層とその内面の透明層とが同
時溶融により付着し合うので所望の厚さを有する無気泡
の透明石英ガラス層がしっかりと半透明石英ガラス層上
に形成される。
【0027】次に本発明の例について説明する。先ず、
前述の方法により、原料粉体を調整して、直径14イン
チの本発明の石英るつぼを作製し本発明試料1、2とし
た。また、比較のため直径14インチの半透明石英るつ
ぼを作製し比較試料1、2とした。
【0028】この比較試料としての半透明石英るつぼ
は、本発明の内表面の透明層の形成を行わず、また半透
明ガラス層2の外表面に結晶性石英粉を残留させない条
件を除いて、本発明試料を使用する石英粉末ならびに製
造方法は全く同じである。これらの石英るつぼの気泡直
径、気泡存在密度および半透明石英ガラス層中の結晶質
石英成分の有無を図2に示す。
【0029】また、石英るつぼの外表面および厚さ方向
に1mm研削した箇所における結晶性石英粉の有無を調べ
るため、X線回析による検査を行なった。本発明の石英
るつぼにおける結果を図3の(a)(b)にそれぞれ示し、比
較試料の石英るつぼにおける結果を図4の(a)(b)に示
す。上記の試料について、以下の実験を行なった。
【0030】〔実施例1〕気泡の存在の効果を調べるた
め、通常の単結晶引き上げ装置に本発明試料1、2比較
試料1、2の各るつぼをセットし、空焼きを行ってるつ
ぼ内面の温度のバラツキを調べた。その結果、設定温度
に対して、本発明試料1及び2では±3℃、本発明試料
2では±5℃の範囲に入っていたのに対し、比較試料1
では±10℃、比較試料2では±13℃のバラツキがみ
られた。これにより、本発明のるつぼは全体的に均一に
加熱され、すなわち均一な熱伝達が行なわれることが判
る。
【0031】特に、比較試料2では、その温度変化は、
他の3試料が緩やかな曲線状に連続的な変化を示したの
と対照的に、急激な温度変化がみられた。これは、比較
試料2の気泡密度が13,000個/cm3 から60,000
個/cm3 の範囲で大きなバラツキがあり、熱伝達が均一
に行なわれていないからである。 〔実施例2〕半透明石英ガラス層中の結晶質石英成分の
効果を調べるため、本発明試料1、2および比較試料
1、2について耐熱性の比較を行った。この比較試験で
は、るつぼを円筒部と底部の変曲部分で10mmの隙間が
できるカーボンサセプターに入れて、るつぼ内に10kg
の多結晶シリコンを入れ1450℃で溶解し20時間保
持した。
【0032】その結果、本発明試料1および2は変形が
小さく、るつぼとカーボンサセプターとの管の隙間は、
それぞれ8mmおよび7mmになっただけであるが、比較試
料1および2は底部の変形が大きく、前記隙間が2mmお
よび1mmとなり、大きく変形した。また、本発明試料
1、2、比較試料1、2について、るつぼ外径を150
mmとなるように作製し、これらを輪切りにして長さ2cm
の管状とし、電気炉内に壁面を下にして立て、1300
℃で18時間加熱して、管の直径の変化を調べたとこ
ろ、比較試料1および2はつぶれて直径が約30mmおよ
び約35mm変化したが、本発明試料1では約7mm、本発
明試料2では約8mm小さくなっのみであり、結晶質石英
成分はるつぼの強度を著しく増大させることが判る。
【0033】〔実施例3〕本発明に係る透明石英ガラス
層の効果を調べるため、単結晶引き上げによるるつぼ内
表面の表面粗さの変化を測定した。すなわち、本発明試
料1および比較試料1を使用して50時間の単結晶成長
を行った後のるつぼ内表面の粗さを測定した。
【0034】測定は触針式表面粗さ計((株)小坂研究
所製)で行った。図5には、使用前の本発明試料1の表
面粗さ、図6には、単結晶成長を行った後の本発明試料
1の表面粗さ、図7には、単結晶成長を行った後の比較
試料1の表面粗さの測定結果を示す。各図から明らかな
ように、本発明の石英ガラスるつぼは使用後においても
最大粗さ29μmとかなり平滑な内表面を維持している
が、従来のるつぼではその粗さが本発明るつぼの約3倍
になり、これによって本発明のるつぼにおいてシリコン
の溶融面の乱れが生じにくくなることが判る。
【0035】また、結晶成長終了後のるつぼ内表面の点
失透の状態を図8(a)(b)に示す。図8(a) は本発明試料
1の内表面、図8(b) は比較試料1の内表面を示すもの
である。これによれば、本発明のるつぼの内表面には、
クリストバライトの発生が従来のものに比較して著しく
少なくなることが判る。すなわち、本発明の石英るつぼ
の内面は極めて均質であり、結晶化反応の核となる突起
等が少ないため、クリストバライトによる点失透の発生
が少ない。
【0036】〔実施例4〕次に本発明の石英るつぼを使
用した場合のシリコン単結晶製造の成績を示す。製造条
件は、アルゴン雰囲気下で減圧(100 mb)で直径150
mm、長さ70cmの単結晶インゴットを各るつぼで2本ず
つ連続して製造した。製造した単結晶インゴットについ
て、その単結晶化率の平均値を求めた。その結果を図9
に示す。
【0037】図9に示される結果より、本発明のるつぼ
は常に安定した単結晶製造をもたらすことが明らかであ
る。次に上記のシリコン単結晶の引き上げに用いた、本
発明の石英るつぼおよび従来の石英るつぼの内表面から
厚さ方向0.3mmまでの内層部についての直径20μm以
上の気泡数を図10に示し、また、直胴部と底部の縦断
面の状態を本発明資料については図11(a)(b)に、図1
2(a)(b)にそれぞれ示す。
【0038】ここで注意を要するのは、石英るつぼと約
1450℃の高温で長時間、しかも減圧状態で加熱され
ているため、たとえその使用前に無気泡とみなされて
も、この個々の気泡が石英ガラスの軟化のために膨張
し、気泡の観察が容易になることである。すなわち、石
英るつぼ製造時に石英ガラス層に溶封されている気泡
は、大気圧下の雰囲気ガス(石英るつぼ製造が空気中で
行われる場合には空気)で充填されており、高温度減圧
下では当然ながら膨張する。しかしながら、図10およ
び図11に示されるように本発明による石英るつぼは、
使用後においてもその内表面に明瞭な無気泡の透明石英
ガラス層を有している。一方、従来法による石英るつぼ
は、シリコン単結晶の引き上げ前には内表面にある程度
無気泡の薄い透明石英ガラス層を有しているがシリコン
単結晶の引き上げ時に気泡が膨張し、これらが相互に融
合して粗大化し、このため、シリコン単結晶の引き上げ
後の石英るつぼ内表面に明瞭な気泡の密集状態がみられ
る。
【0039】
【発明の効果】本発明の石英るつぼによれば、単結晶引
き上げ時に、外部ヒーターからの熱エネルギーをるつぼ
内面全域に均一に伝達できるとともに、るつぼ内表面の
部分的な侵食による表面粗さの発生がきわめて小さくな
る。このため、複数回の単結晶引き上げを行なっても、
従来のるつぼに比べ高い単結晶化率を維持できる。さら
に、半透明石英ガラス層中に結晶質石英成分を存在せし
めればるつぼの耐熱強度を著しく増大させることができ
る。また、大気圧下での単結晶引き上げはもちろんのこ
と、減圧下での単結晶引き上げでも安定した高い単結晶
化率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の石英るつぼの断面図。
【図2】本発明試料と比較例資料の物性を示す図表。
【図3】単結晶成長前の石英るつぼのX線回折の結果を
示す図で、(a)は本発明のるつぼの外表面、(b)は
本発明のるつぼの外表を1mm研削した面の状態を示
す。
【図4】(a)は従来のるつぼの外表面、(b)は従来
のるつぼの外表を1mm研削した面における図3と同様
な図。
【図5】本発明の石英るつぼ単結晶成長前の内表面に粗
さを示す図表。
【図6】本発明の石英るつぼの単結晶成長後の内表面の
粗さを示す図表。
【図7】従来の石英るつぼの単結晶成長後の内表面の粗
さを示す図表。
【図8】単結晶成長後のるつぼ内表面の点失透の状態を
示す図であり、(a)は本発明のるつぼの内表面を、
(b)は従来のるつぼの内表面をそれぞれ示す。
【図9】単結晶インゴットの単結晶化率を示す図表。
【図10】単結晶引き上げ後の石英るつぼの物性を示す
図表。
【図11】(a)は本発明のるつぼの直胴部の壁の状態
を、(b)は前部の状態をそれぞれ示す断面図
【図12】(a)は従来のるつぼの壁の直胴部の伏態
を、(b)は底部の状態をそれぞれ示す断面図
【符号の説明】
1 石英るつぼ 2 半透明石英ガラス層 3 透明石英ガラス層 4 気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 光男 福井県武生市北府2丁目13番60号 信越石 英株式会社武生工場内 (72)発明者 松井 宏 福井県武生市北府2丁目13番60号 信越石 英株式会社武生工場内 (72)発明者 佐藤 恭彦 福島県郡山市田村町金屋字川久保88番地 株式会社福島信越石英内 (72)発明者 青山 雅明 福島県郡山市田村町金屋字川久保88番地 株式会社福島信越石英内 (72)発明者 篠宮 英一 福島県郡山市田村町金屋字川久保88番地 株式会社福島信越石英内 (72)発明者 藤ノ木 朗 福島県郡山市田村町金屋字川久保88番地 信越石英株式会社石英技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−213697(JP,A) 実開 昭62−175077(JP,U)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直径10〜250μm の気泡を1cm3
    たり20,000個以上含む半透明石英ガラス層と、この
    層の内表面に一体融合的に形成された実質的に無気泡で
    かつ表面が平滑な厚さ0.3mm以上の透明石英ガラス層と
    からなり、前記半透明石英ガラス層中に結晶質石英成分
    が存在することを特徴とする単結晶引き上げ用石英るつ
    ぼ。
  2. 【請求項2】 前記半透明石英ガラス層中の外表面近傍
    に結晶質石英成分が偏在することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載の単結晶引き上げ用石英るつぼ。
  3. 【請求項3】 前記半透明石英ガラス層中の気泡が、る
    つぼ円筒部の半透明石英ガラス層の厚さ方向の60%以
    上の部分で1cm3 当たり40,000〜70,000個であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項に
    記載の単結晶引き上げ用石英るつぼ。
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