JP5156296B2 - 水素製造装置の起動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化水素と水を原料とし、固定床触媒層で接触させて水蒸気改質反応で水素を含有するガスを製造する水素製造装置の起動方法に関する。
炭化水素を原料とした水蒸気改質反応においては、炭化水素中の炭素量に対するスチーム量(S/C比)を上げることで、コークの析出を減少させることができる。しかしながら、過剰のスチームは、エネルギーロス(燃料電池での発電効率の低下、スチーム生成コスト増など)をもたらすため、一般に水蒸気改質反応ではS/C比をできるだけ低くした方が好ましい。
一方、改質反応の起動を低温で行う場合は、速度論的に触媒が低活性でかつ生成した一酸化炭素の不均化反応(2CO→C+CO2)によるコーク生成が起こりやすい温度域で水蒸気改質反応が開始される。このような条件で改質反応を開始すると、水素生成の定常状態に達するまでに触媒表面へのコーク付着が進むため、水素製造装置の起動および再起動を行う際に、触媒劣化が急速に進み、触媒性能を著しく損なうという問題があった。
従来、水蒸気改質反応を行う改質器への炭化水素と水の供給量を制御する技術としては、例えば特開平5−275103号公報にあるような、分散型電源の燃料電池において予め改質器に水を加熱して生成した水蒸気を供給しながら装置を起動する方法が知られている。しかしながら、この技術は熱容量の大きな水蒸気を使って管路の予備加熱を効率的に行うことを目的としており、前記の起動時に生じる触媒劣化の問題点を解決するものではない。
また、特開平11−307110号公報にあるような、炭化水素と水の改質反応で生成した水素を利用する燃料電池の負荷変動に応じて、供給する炭化水素の炭素と水の比率(S/C)を調整することにより、水素生成量を調整する方法が知られている。しかしながら、この技術は負荷変動に対応するものであり、起動時に生じる触媒性能低下の問題点は解決されない。
また、特開2002−121003号公報にあるような、改質反応が十分に活性化されていない起動時に未反応の原料の排出量を低減するために、炭素のモル数Cと水のモル数Sとの比(C/S)の値が改質器の定常運転時よりも小さくなるように制御する技術が知られている。しかしながら、この技術は未反応のメタノール原料の排出量を低減するためのもので、水よりも沸点の低いメタノールを原料とする改質反応で、気化温度の高い水を一定量投入しながらメタノールの投入量を直線的に増やしてC/Sの値を制御したものであって、触媒層の温度は考慮されておらず、前記の起動時に生じる触媒劣化の問題点を解決するものではない。
また、特開2007−103034号公報にあるような、燃料電池システムを起動する際、改質器で生成した高温の改質ガスと燃料電池本体の冷却水との間で熱交換を行い、昇温された冷却水を用いて燃料電池本体を予備加熱する方法として、改質ガス燃料に含まれる炭化水素原料及び水の少なくとも一方の量を制御する制御手段を備え、燃料電池システムを起動する際、改質ガス燃料におけるカーボンに対する水蒸気の比率を、定常運転時の改質ガス燃料におけるカーボンに対する水蒸気の比率より高める技術が知られている。しかしながら、この技術は水蒸気の比率を高めて改質ガスの熱容量を増やす方法として提示されたものであり、触媒層の温度は考慮されておらず、起動時に生じる触媒劣化の問題点を解決するものではない。
特開平5−275103号公報 特開平11−307110号公報 特開2002−121003号公報 特開2007−103034号公報
上記のように、水蒸気改質反応を行う改質器への炭化水素と水の供給量を制御する従来の技術は、生成する水蒸気を利用する燃料電池の管路加熱、負荷変動への対応、改質器起動時の未反応原料の排出量低減、改質ガスの熱交換で燃料電池本体を予備加熱することなどを目的としたものであり、従来の技術では、装置起動時の重大な問題である、炭化水素とりわけ水の沸点よりも初留点の高い高級炭化水素を含む原料を水蒸気改質する水素製造装置において生じる触媒劣化の問題は解決されていなかった。
そこで、本発明の目的は、炭化水素、とりわけ水の沸点よりも初留点の高い高級炭化水素を含む原料を水蒸気改質する水素製造装置において生じる触媒劣化の問題を解決しつつ、定常運転において、エネルギーロスを抑えることによって、経済的な水素製造を可能とする水素製造装置の起動方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、初留点が100℃以上の炭化水素を含む原料と水を固定床触媒層で接触させて水蒸気改質を行う水素製造装置において、水素製造動作が定常状態に至るまでの触媒へのコーク析出が起こりやすい起動時および再起動時の低温度域においてスチームの供給比率を高くすることによってコーク析出による触媒性能低下を抑制し、その後、触媒温度がコーク析出の起こりにくい温度(第2基準温度)に到達した後は、過剰のスチームによる燃料電池での発電効率の低下やスチーム生成コストなどのエネルギーロスを抑えることによって、高い触媒性能を発揮しかつ経済的な水素製造を実施することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の水素製造装置の起動方法は、
初留点が100℃以上の炭化水素を原料として固定床触媒層で水と接触させて水蒸気改質反応を行う水素製造装置の起動方法であって、
・触媒層入口温度(T)が第1基準温度(T1)以上に達するまで触媒層の加熱昇温を行う予熱動作(S1)と、
・触媒層入口温度(T)が下記式1を満たす間に、水を供給量(X)で、原料を供給量(Y)で供給する供給動作(S2)と、
触媒層入口温度(T)が第2基準温度(T2)を超えたら水及び原料の供給量をそれぞれ水素生成動作(S4)における水の供給量(X4)及び原料の供給量(Y4)とし、触媒層の温度を定常運転時の温度に調整する温度調整動作(S3)と、
触媒層入口温度(T)が定常運転時の温度(T4)に達したら定常運転である水素の生成を行う水素生成動作(S4)と
の4つの工程を含んで構成され、
触媒層入口温度(T)が下記式1を満たす供給動作(S2)において、下記式2かつ下記式3を満たす条件となるように水の供給量(X)制御しながら触媒層の加熱昇温を行うことを特徴とする。
式1:T1≦T≦T2
式2:X>X4÷Y4×Y
式3:Y≦Y4
T1:第1基準温度
T2:第2基準温度
X:供給動作(S2)における水の供給量(g/hr)
Y:供給動作(S2)における原料の供給量(g/hr)
X4:水素生成動作(S4)における水の供給量(g/hr)
Y4:水素生成動作(S4)における原料の供給量(g/hr)
本発明の水素製造装置の起動方法の好適例においては、前記炭化水素が灯油を主成分とし、第1基準温度(T1)が150〜250℃で、第2基準温度(T2)が400〜550℃である。
本発明の水素製造装置の起動方法の他の好適例においては、前記水素製造装置の水素生成動作(S4)における原料中の炭素量に対する水の供給量のモル比を0.1〜10mol/molとする。
本発明の水素製造装置の起動方法の他の好適例においては、前記固定床触媒層の活性金属成分が、ルテニウム、ロジウム、白金から選ばれる少なくとも一種類の貴金属を含む。
本発明の水素製造装置の起動方法によれば、コーク析出による触媒劣化の影響が大きい炭化水素の水蒸気改質において、起動時の原料および水の供給量を触媒層入口の温度(T)に基づいて制御することにより、従来の技術では解決できなかった起動時および再起動時に生じる(即ち、水素生成動作が所定の温度に上昇するまでの工程で生じる)触媒の性能低下を抑制して、水素生成動作の定常状態において触媒が高い性能を長期に渡って発揮することが可能となる。また、定常運転時においては、スチームの供給比率を低くして、過剰のスチームによるエネルギーロスを抑えることで、経済的な水素製造が可能となる。
以下、本発明による水素製造装置の起動方法を適用した形態について説明する。図1は水素製造装置の制御部に格納されたプログラムにおける、装置起動時のプログラムの内容を概略で示したフローチャートであり、予熱動作(S1)、供給動作(S2)、温度調整動作(S3)、水素生成動作(S4)の4工程を含む。以下、図1のプログラムの実行プロセスに沿って、本発明の水素製造装置の起動方法を説明する。
図1に示すように水素製造装置の運転をスタートすると、最初に原料および水の供給を行わずに触媒層の加熱昇温を行う予熱動作(S1)に進む。予熱動作(S1)工程においては、触媒層入口温度(T)の判定を行い、第1基準温度(T1)を下回る場合(T<T1)は、ステップS1に進み、触媒層入口温度が第1基準温度以上に達するまでは水および原料の供給を行わずに触媒層の加熱昇温を継続する。ここで、第1基準温度は、原料の蒸留性状によって左右され、使用する原料の初留点よりも高く且つ終点よりも低い温度であることが好ましい。例えば、市販のJIS 1号規格の灯油の場合は、第1基準温度は、150〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜200℃である。ここで、触媒層の加熱昇温には、熱源からの伝熱、例えばバーナーやヒーターなどの触媒層外部に設けられた熱源発生装置や他の高温熱源を利用することができるが、触媒層の加熱昇温方法は特に限定されない。予熱動作(S1)で触媒層の加熱昇温が行われた後、再び触媒層入口温度(T)の判定に戻る。触媒層入口温度(T)が第1基準温度(T1)に達した場合(T1≦T)は、予熱動作(S1)工程を終了して、供給動作(S2)に進む。
供給動作(S2)に進むと、水の供給量(X)を制御しながら原料および水の供給を開始して触媒層の加熱昇温を行う。このときの水および原料の供給量(X,Y)は、水素生成の定常動作である水素生成動作(S4)における水、原料の供給量(X4,Y4)の比率と比べて、原料の供給量(Y)が水素生成動作(S4)における原料の供給量(Y4)を超えない範囲で、かつ水の比率が高くなるよう制御を行う。即ち、供給動作(S2)工程での制御は、下記式1の温度条件で下記式2かつ下記式3を満たすように行われる。
式1:T1≦T≦T2
式2:X>X4÷Y4×Y
式3:Y≦Y4
上記式1中の第2基準温度(T2)は、400〜550℃が好ましく、より好ましくは450〜550℃である。触媒層の温度が上昇するに従って水素生成の反応速度は増加し、より多くの原料の炭化水素と水蒸気を水素の製造に使用することができる。第2基準温度(T2)が400℃未満では、水素生成の反応速度が低く相対的に不均化反応によるコーク生成が起こりやすいので、温度調整動作(S3)に進み水の比率を下げる操作を行うとコーク生成が更に加速されてしまうので好ましくない。また、第2基準温度(T2)が550℃を超えると、十分な水素生成反応速度が得られ、かつ不均化反応によるコークの生成速度は水素生成の反応速度に比べて相対的に小さくなるので、水の比率を温度調節動作(S3)よりも高く制御する工程を継続しても、過剰のスチーム生成供給に費やすエネルギーがコーク生成に対する抑制効果に見合わなくなるので好ましくない。触媒層入口温度(T)が第2基準温度(T2)を超える(T>T2)場合は、供給動作(S2)工程を終了して、温度調整動作(S3)に進む。
温度調整動作(S3)に進むと、原料および水の供給量を水素生成動作(S4)に合わせて温度調整を行い、定常運転時の温度(T4)に達すると温度調整動作(S3)を完了して、水素製造装置の本来の運転条件である水素生成動作(S4)へと進む。ここで、定常運転時の温度(T4)は、水素製造装置に求められる水素含有ガスの水素濃度にも依存するが、熱力学平衡上高い温度であるほど高濃度の水素含有ガスを製造することができる。一方で高い温度になるほど水素製造装置の材質が高価になる。一般的に水蒸気改質反応で効率的に水素ガスの製造を行うには550〜800℃の範囲が好ましく、600〜750℃の範囲が更に好ましい。また定常運転時の温度(T4)は、第2基準温度(T2)との差が小さいほど昇温に要する時間が短縮されて、より高速に水素生成動作(S4)への移行が可能になる。定常運転時の温度(T4)は第2基準温度(T2)よりも0〜400℃高いことが好ましく、0〜300℃高いことが更に好ましい。本発明においては、定常運転の水素生成動作(S4)における水の供給量/原料の供給量の比(X4/Y4)が供給動作(S2)における水の供給量/原料の供給量の比(X/Y)よりも低いため、水素生成動作(S4)において、経済的な水素製造を実施することが可能となる。
上記のように、本発明の水素製造装置の起動方法によれば、起動時の原料および水の供給量を触媒層入口の温度(T)に基づいて制御することにより触媒劣化を抑えて長時間利用が可能になる。従って、本発明の水素製造装置の起動方法では、触媒層入口温度(T)を監視する必要があるため、使用する水素製造装置は、水蒸気改質触媒を含む改質器部と、改質器内の改質触媒層入口の温度を監視し、炭化水素と水の少なくともいずれか1つの供給量を制御する制御部とを具えることが好ましい。また、該水素製造装置は、改質器部及び制御部の他に、原料の炭化水素および水を供給するための原料供給部等を具えることが好ましい。
本発明の水素製造装置の起動方法は、初留点が100℃以上の高級炭化水素を原料とした水素製造において効果が特に顕著に現れる。該高級炭化水素としては、例えば、灯油、軽油などが挙げられ、これらの中でも、灯油が好ましい。これらの原料は分子構造に占める炭素の比率が高く、また起動時の低温域では化学平衡上COが高い濃度で生成するため不均化反応が進みやすいので触媒表面にコークが析出しやすく、触媒劣化へのコーク析出の影響が大きく占めるためである。
本発明に用いる触媒は、水蒸気改質活性を有する触媒であればよく、組成、形状などは特に制約されない。該触媒としては、例えばアルミナなどの多孔性金属酸化物を担体として水蒸気改質活性を有する活性金属を含有する触媒、例としてニッケルを活性金属として担持したニッケル系触媒や、ルテニウム、ロジウム、白金などの貴金属を活性金属に用いた貴金属系触媒などが挙げられる。ニッケル系触媒は炭素析出による活性低下を引き起こしやすい欠点を有し、また炭素数の多い炭化水素を原料としたときは多量のスチームの共存が必要となりスチーム原単位が運転コストを引き上げるので、スチームの使用量を下げることができる貴金属系触媒の使用が好ましい。また、活性金属の他に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属などの塩基性質を有する金属を含む担体を用いることもできる。多孔性担体の形状は、例として球状、円柱状、角柱状、打錠状、針状、膜状、ハニカム構造状などが挙げられる。
本発明に用いる原料としては、硫黄含有量を好ましくは0.2重量ppm以下、より好ましくは0.05重量ppm以下としたものを使用する。原料の硫黄含有量が0.2重量ppmを超えると、硫黄化合物による触媒被毒が著しく大きくなり、触媒被毒によって触媒活性が低下し、触媒寿命が短くなるため好ましくない。なお、硫黄含有量が0.2重量ppmを超えるものであっても、固定床触媒層に供する前に脱硫処理を行って硫黄含有量を0.2重量ppm以下に低減することで、本発明に好適に使用することができる。
本発明を適用する原料の液空間速度(以下、LHSV)は、原料の種類にも依存するが、通常0.01〜10hr-1、好ましくは0.1〜5hr-1である。LHSVが極端に低いと、供給される原料の量に対して必要以上の大きさを有する改質器を使うことになり、あるいは原料を供給するポンプまたはマスフローに必要以上の微少量制御が求められるので好ましくない。また、LHSVが極端に高いと、改質器内における触媒層との接触時間が短くなって反応が進まなくなるので好ましくない。
原料中の炭素量に対する水の供給量のモル比(以下、スチーム/カーボン比)は原料の性状や触媒の種類などにも依存するが、通常0.1〜10mol/mol、好ましくは1〜5mol/molである。スチーム/カーボン比が極端に低いと、水蒸気改質反応に必要なスチームが不足し、またコーク析出が促進され触媒の性能低下が著しく加速されるので好ましくない。また、スチーム/カーボン比が極端に高いと、余剰スチームの生成・回収に要するコストが大きくなるので好ましくない。原料と水との混合方法は、特に制限されず、それぞれを気化器で加熱してガス状化したものを混合器で混合する方法、あるいはどちらか一方を気化器で加熱してガス状化したものをもう一方の液体に送り込んで混合ガスを生成させる方法などがある。混合が不十分で原料と水が不均一な状態で改質器に送られると、水蒸気改質反応が触媒層で均一に進まず、触媒層の温度分布や水素の生成量が不安定になるので好ましくない。
反応圧力は、原料の種類にも依存するが、通常0〜10MPa、好ましくは0〜5MPaである。反応圧力が5MPaを超えると、高価な耐圧材や機器類を使用した設備が必要となるので経済的に好ましくない。
本発明の起動方法は、水蒸気改質反応に係わる水素製造装置での種々な態様で実施することが可能であり、たとえば製油所などの水素プラントや定置型分散電源における燃料電池用水素製造システムなどのハードウェア、およびその制御方法やコンピュータプログラムなどのソフトウェアの態様で実施可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明の効果を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<水素製造装置>
図2は、本発明の実施例としての灯油を原料とする水素製造装置の構成の概略を示したものである。この水素製造装置は、原料の灯油を貯蔵する原料タンクT110と、水を貯蔵する水タンクT120と、それぞれの液体を加熱気化する気化器EV110,EV120と、加熱気化したそれぞれの液体を混合する混合器M130と、水蒸気改質反応で水素を含む改質ガスを生成する改質器R140と、水蒸気改質反応で生成した改質ガスの一部を採取しその組成を分析するための分析計A150と、改質ガスを冷却して気液に分離する気液分離器S160と、気液分離器S160で分離した液体を回収する液回収タンクT170を備える。改質器R140は、その内部に改質触媒を収納する。また、水素製造装置は、この他にも温度や流量の制御機器や各部の加熱のための加熱器を備える。
原料タンクT110及び水タンクT120内の液体は、ポンプまたはマスフローによってその流量を制御することができ、それぞれの気化器EV110,EV120へと供給される。原料および水は、それぞれの気化器EV110,EV120で加熱気化されて混合器M130内で十分に混合された後、改質触媒を収納する改質器R140へ供給される。また、改質器R140内の水蒸気改質反応で生成した改質ガスの一部は、分析計A150に送られ、水蒸気改質反応で生成したガス組成を分析することができる。
[実施例1]
図2に示す水素製造装置の改質器R140に、ルテニウム3.0重量%を含むアルミナ担体の改質触媒15.0ml(12.050g)を充填し、市販のJIS 1号灯油を硫黄濃度0.02ppm以下に脱硫した灯油(以下、脱硫灯油)を原料として、大気圧条件で以下の操作を行った。改質触媒の性状を表1に、脱硫灯油の性状を表2にそれぞれ示す。
Figure 0005156296
Figure 0005156296
予熱動作(S1)では、原料を供給せずに改質器R140を昇温速度10℃/min.で加熱を行い、触媒層入口温度(T)が150℃(T1:第1基準温度)に達したところで次の供給動作へと移った。
供給動作(S2)では、予熱動作(S1)での改質器R140の昇温速度を維持しながら、脱硫灯油を原料として水および原料の供給をそれぞれ76.9g/hr、17.8g/hr[原料の液空間速度(以下、LHSV)=1.5hr-1、スチーム/カーボン比=3.5mol/mol]とした。触媒層入口温度(T)が450℃(T2:第2基準温度)を超えたところで次の温度調整動作(S3)へと移った。
温度調整動作(S3)では、水および原料の供給をそれぞれ131.8g/hr、35.6g/hr(原料のLHSV=3.0hr-1、スチーム/カーボン比=3.0mol/mol)として触媒層の入口温度(T)および出口温度がそれぞれ500℃(T4)、600℃になるように温度制御を行った。
水素生成動作(S4)では、触媒層の入口温度(T)および出口温度がそれぞれ500℃(T4)、600℃となった状態で、LHSV=3.0hr-1、スチーム/カーボン比=3.0mol/molで168時間反応を行った。所定時間の反応を行った後は、改質器R140の加熱を停止すると同時に水および原料の供給を停止する停止操作を行い、水素製造を停止した。
すなわち、実施例1は、予熱動作(S1)を経た後の触媒層入口温度(T)が式1を満たす供給動作(S2)において、水の供給量(X)=76.9g/hrが式2の条件を満たし、かつ原料の供給量(Y)=17.8g/hrが式3を満たしている。
式1:T1=150≦T≦T2=450
式2:X=76.9>X4÷Y4×Y=131.8÷35.6×17.8=65.9
式3:Y=17.8≦Y4=35.6
[実施例2]
供給動作(S2)での水および原料の供給をそれぞれ145.0g/hr、35.6g/hr(原料のLHSV=3.0hr-1、スチーム/カーボン比=3.3mol/mol)とした以外は、実施例1と同じ条件で操作を行った。
すなわち、実施例2は、予熱動作(S1)を経た後の触媒層入口温度(T)が式1を満たす供給動作(S2)において、水の供給量(X)=145.0g/hrが式2の条件を満たし、かつ原料の供給量(Y)=35.6g/hrが式3を満たしている。
式1:T1=150≦T≦T2=450
式2:X=145.0>X4÷Y4×Y=131.8÷35.6×35.6=131.8
式3:Y=35.6≦Y4=35.6
[実施例3]
供給動作(S2)での水および原料の供給をそれぞれ131.8g/hr、30.5g/hr(原料のLHSV=2.6hr-1、スチーム/カーボン比=3.5mol/mol)とした以外は、実施例1と同じ条件で操作を行った。
すなわち、実施例3は、予熱動作(S1)を経た後の触媒層入口温度(T)が式1を満たす供給動作(S2)において、水の供給量(X)=131.8g/hrが式2の条件を満たし、かつ原料の供給量(Y)=30.5g/hrが式3を満たしている。
式1:T1=150≦T≦T2=450
式2:X=131.8>X4÷Y4×Y=131.8÷35.6×30.5=112.9
式3:Y=30.5≦Y4=35.6
[比較例1]
供給動作(S2)での水および原料の供給をそれぞれ131.8g/hr、35.6g/hr(原料のLHSV=3.0hr-1、スチーム/カーボン比=3.0mol/mol)とした以外は、実施例1と同じ条件で操作を行った。
すなわち、比較例1は、水素生成動作が定常状態に至るまで水および原料の供給を制御せず一定量としたもので、触媒層入口温度(T)が式1を満たす供給動作(S2)において、水の供給量(X)=131.8は式2の条件を満たさないが、原料の供給量(Y)=35.6g/hrは式3の条件を満たしている。
式1:T1=150≦T≦T2=450
式2:X>X4÷Y4×Y=131.8÷35.6×35.6=131.8
式3:Y=35.6≦Y4=35.6
[比較例2]
供給動作(S2)での水および原料の供給をそれぞれ204.3g/hr、53.4g/hr(原料のLHSV=4.5hr-1、スチーム/カーボン比=3.1mol/mol)とした以外は、実施例1と同じ条件で操作を行った。
すなわち、比較例2は、予熱動作(S1)を経た後の触媒層入口温度(T)が式1を満たす供給動作(S2)において、水の供給量(X)=204.3g/hrは式2の条件を満たしているが、原料の供給量(Y)=53.4g/hrは式3の条件を満たさない。
式1:T1=150≦T≦T2=450
式2:X=204.3>X4÷Y4×Y=131.8÷35.6×53.4=197.7
式3:Y≦Y4=35.6
実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1、比較例2で停止操作を行った後、改質器R140の温度が室温まで低下した状態で、水素製造後の触媒をそれぞれの改質器R140から抜き出して触媒に付着していた炭素付着量の分析を行った。各触媒の炭素付着量を表3に示す。
Figure 0005156296
表3から、本発明の水素製造装置の起動方法によって、水素製造後の触媒に付着している炭素量が減少して、コーク付着による触媒の性能低下が抑制されることが分かる。
[実施例4]
図2に示す水素製造装置の起動、停止操作を実施例1と同じ条件で5回繰り返し、各回の水素製造動作における生成ガスの組成をガスクロマトグラフィーで分析した。
[比較例3]
図2に示す水素製造装置の起動、停止操作を比較例1と同じ条件で5回繰り返し、各回の水素製造動作における生成ガスの組成をガスクロマトグラフィーで分析した。
上記の各例で得られる触媒活性を、下記の式で求められるC1転化率、および生成ガス中に含まれる未反応の水を除いた水素生成量(Dry)を指標に評価した。
C1転化率(モル%)=a÷b×100
a:改質器出口の生成物に含まれるC1化合物(メタン、一酸化炭素、二酸化炭素)のモル数
b:原料炭化水素(脱硫灯油)に含まれる炭素の総モル数
実施例4および比較例3の条件で行った水蒸気改質反応の結果を図4に示す。本発明に係わる水素製造装置の起動方法で起動、再起動を繰り返した実施例4は、比較例3よりもC1転化率および水素生成量(Dry)が高いことが分かる。すなわち、本発明の起動方法によって、水素製造装置の起動停止で生じる触媒の性能低下が抑制され、起動操作を繰り返しても水素生成動作において触媒が長時間に渡って高い性能を発揮できることが分かる。
本発明の水素製造装置の起動方法によれば、製油所プラントや燃料電池などで、炭化水素と水を固定床触媒層で接触させて水蒸気改質反応を行う水素製造装置の起動時において、水素製造動作が定常状態に至るまでの触媒の性能低下が抑制され、触媒の長時間使用が可能となる。
本発明の水素製造装置の起動方法の各工程を説明するためのフローチャートである。 実施例で用いた水素製造装置の構成の概略図である。 実施例4及び比較例3における水素製造装置の起動回数と、C1転化率及び生成ガス中の水素生成量と関係を示すグラフである。
符号の説明
T110 原料タンク
T120 水タンク
EV110 原料気化器
EV120 水気化器
M130 混合器
R140 改質器
A150 分析計
S160 気液分離器
T170 液回収タンク

Claims (4)

  1. 初留点が100℃以上の炭化水素を原料として固定床触媒層で水と接触させて水蒸気改質反応を行う水素製造装置の起動方法であって、
    該起動方法が、
    ・触媒層入口温度(T)が第1基準温度(T1)以上に達するまで触媒層の加熱昇温を行う予熱動作(S1)と、
    ・触媒層入口温度(T)が下記式1を満たす間に、水を供給量(X)で、原料を供給量(Y)で供給する供給動作(S2)と、
    触媒層入口温度(T)が第2基準温度(T2)を超えたら水及び原料の供給量をそれぞれ水素生成動作(S4)における水の供給量(X4)及び原料の供給量(Y4)とし、触媒層の温度を定常運転時の温度に調整する温度調整動作(S3)と、
    触媒層入口温度(T)が定常運転時の温度(T4)に達したら定常運転である水素の生成を行う水素生成動作(S4)と
    の4つの工程を含んで構成され、
    触媒層入口温度(T)が下記式1を満たす供給動作(S2)において、下記式2かつ下記式3を満たす条件となるように水の供給量(X)制御しながら触媒層の加熱昇温を行うことを特徴とする水素製造装置の起動方法。
    式1:T1≦T≦T2
    式2:X>X4÷Y4×Y
    式3:Y≦Y4
    T1:第1基準温度
    T2:第2基準温度
    X:供給動作(S2)における水の供給量(g/hr)
    Y:供給動作(S2)における原料の供給量(g/hr)
    X4:水素生成動作(S4)における水の供給量(g/hr)
    Y4:水素生成動作(S4)における原料の供給量(g/hr)
  2. 前記炭化水素が灯油を主成分とし、第1基準温度(T1)が150〜250℃で、第2基準温度(T2)が400〜550℃であることを特徴とする、請求項1に記載の水素製造装置の起動方法。
  3. 前記水素製造装置の水素生成動作(S4)における原料中の炭素量に対する水の供給量のモル比を0.1〜10mol/molとすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素製造装置の起動方法。
  4. 前記固定床触媒層の活性金属成分が、ルテニウム、ロジウム、白金から選ばれる少なくとも一種類の貴金属を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水素製造装置の起動方法。
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