JP5151098B2 - 微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物、これを用いた3次元構造体の製造方法、及び金属型 - Google Patents

微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物、これを用いた3次元構造体の製造方法、及び金属型 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化性液状樹脂組成物およびこれを用いた3次元構造体の製造方法に関し、さらに詳しくは、微小な3次元構造体の製造に好適な光硬化性液状樹脂組成物およびこれを用いた微小な3次元構造体の製造方法、および得られた3次元構造体を用いた金属型の製造方法に関する。
近年、携帯電話等の電子機器の小型化に伴い、各種センサー等の電子部品、機械部品等の微細化が求められている。複雑な構造を有するこれらの部品等を製造する技術としては、主としてリソグラフィー技術を応用したMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)技術等が知られているものの、製造工程が複雑で長時間を要するほか、大規模な製造設備を要する等の問題が指摘されている。
一方、ラピッド・プロトタイピングと総称される各種の立体造形方法が知られている。ラピッド・プロトタイピングとしては、光造形法、粉末焼結法、薄膜積層法、インクジェット法、溶融樹脂押し出し法等、各種の方法が知られているが、これらの中では、光硬化性樹脂液にレーザー光線等を所望のパターンで照射して、硬化樹脂からなる立体造形物を製造する光造形法が、比較的複雑な立体造形物を製造することができる方法として知られている。
従来の光造形方法の概要は次の通りである。すなわち、造形しようとする立体モデルを複数の層にスライスして得られる断面群のデータに基づいて造形する。通常、最初に最下段の断面に相当する領域において、光硬化性樹脂液の液面に光線を照射する。すると、光照射された液面部分の光硬化性樹脂液は光硬化し、立体モデルの一断面の硬化樹脂層が造形される。次いで、この硬化樹脂層の表面に、未硬化状態の光硬化性樹脂液を所定の厚みでコートする。
このとき、硬化樹脂層を所定の厚み分だけ、樹脂槽に満たされた光硬化性樹脂液に沈めてコートすることが、一般的である。あるいは、一層の硬化樹脂層を形成する毎に、比較的少量の液状の光硬化性樹脂を、リコータによって、硬化した硬化樹脂層の全面に塗布してもよい。
そして、この未硬化の光硬化性樹脂の表面に、所定のパターンに沿ってレーザ光線の走査を行ない、光照射したコート層の部分を硬化させる。硬化した部分は、下部の硬化樹脂層に積層し一体化される。以後、光照射工程で扱う断面を、隣接する断面に切り替えながら、光照射と光硬化性樹脂液のコートを繰り返すことによって、所望の立体モデルを造形する(特許文献1および特許文献2参照)。
光造形法は、MEMS等に比べて、比較的簡易な製造設備で行うことができ、製造工程も単純であって短時間に立体造形物を得ることができる点で優れた方法であるが、積層される一層の硬化樹脂層の厚さが典型的には50〜100μm程度であるため解像度に限界があり、数μm程度の解像度を要し複雑な形状を有する3次元構造体の造型は困難である。
また、複雑な内部構造を有する立体造形物を光造形法で製造した場合に、立体造形物の内部に残留している未硬化の樹脂液を完全に除去することが困難であるため、造型工程後に硬化反応がさらに進行して、解像度が低下する現象が知られている。
特開昭56−144478号公報 特開昭62−35966号公報
本発明は、3次元構造体に付着した未硬化樹脂液をアルカリ性水溶液により洗浄除去することができ、20μm以上の膜厚で十分な解像度を有し、メッキ液に対する濡れ性と耐メッキ性を示し、硬化物の基板からの剥離性が優れ、リコート性(リコーターによる塗布液の引き伸ばしが良好であること)が優れ、多段積層性(層間剥離などが生じないこと)が優れ、数μm程度の解像度を要し複雑な形状を有する3次元構造体の造型の用途に好適な光硬化性樹脂組成物を提供するものである。
本発明は、特に、100mm以下の投影領域を単位として、光硬化性液状樹脂組成物に選択的に一括露光を繰り返すことにより光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成する3次元構造体の製造方法(以下、「微小造形法」という。)に用いた場合に、特に前記の特性を発揮しうる光硬化性樹脂組成物を提供するものである。
本発明は、下記の[1]〜[]を提供するものである。
[1] 100mm以下の投影領域を単位として、光硬化性液状樹脂組成物に光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成する3次元構造体の製造方法(以下、「微小造形法」という。)に用いられる光硬化性液状樹脂組成物であって、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量%として、下記の質量割合で、下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、かつ、下記成分(D)を含有しないか、もしくは、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量部として、下記の量で、下記成分(D)を含有することを特徴とする微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
(A)下記構造単位(a)、(b)及び(c)を有するアルカリ可溶性の共重合体 25〜70質量%、
(a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
(b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
(c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物 20〜70質量%、
(C)放射線ラジカル重合開始剤 0.1〜10質量%
(D)有機溶剤 20質量部未満
[2] 100mm以下の投影領域を単位として、光硬化性液状樹脂組成物に光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成する3次元構造体の製造方法(以下、「微小造形法」という。)に用いられる光硬化性液状樹脂組成物であって、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量%として、下記の質量割合で、下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、かつ、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量部として、下記の量で、下記成分(D)を含有することを特徴とする微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
(A)下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含むアルカリ可溶性の共重合体 40〜70質量%、
(a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
(b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
(c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物 20〜55質量%、
(C)放射線ラジカル重合開始剤 0.1〜10質量%
(D)有機溶剤 20〜200質量部
[3] 成分(B)が、その全量を100質量%として、エチレン性不飽和二重結合を3個以上有する化合物を40質量%以上含有する、前記[1]又は[2]に記載の微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
[4] 成分(A)が(a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位1〜50質量%、(b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位1〜50質量%、(c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位5〜80質量%を含むアルカリ可溶性の共重合体である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
[5] 100mm以下の投影領域を単位として、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物に対して、光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成することを特徴とする3次元構造体の製造方法。
[6] 前記硬化樹脂層の1層の厚さは10μm以下である、前記[5]に記載の3次元構造体の製造方法。
[7] 前記光硬化性液状樹脂組成物は、ディジタルミラーデバイスによって反射された光によって硬化する、前記[5]又は[6]に記載の3次元構造体の製造方法。
[8] 前記[5]〜[7]のいずれかに記載の3次元構造体の製造方法により製造された3次元構造体。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、3次元構造体に付着した未硬化樹脂液を、アルカリ性水溶液により洗浄除去することができ、硬化樹脂層の1層の厚さを20μm以上の膜厚とした場合でも十分な解像度を有し、硬化物の基板からの剥離性が優れ、メッキ液に対する濡れ性と耐メッキ性を示し、リコート性(リコーターによる塗布液の引き伸ばしが良好であること)が優れ、多段積層性(層間剥離などが生じないこと)が優れ、数μm程度の解像度を要し複雑な形状を有する3次元構造体の造型の用途に好適なものである。
[I.光硬化性液状樹脂組成物]
本発明の光硬化性液状樹脂組成物は、(A)(a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、(b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、及び(c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位を有するアルカリ可溶性を有する共重合体、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、及び(C)放射線ラジカル重合開始剤を必須成分として含有し、さらに非必須成分として、(D)有機溶剤、その他の添加剤を配合することができる。
本発明においては、(D)有機溶剤を配合しない無溶剤系で用いる場合と、(D)有機溶剤を配合した溶剤系で用いる場合で、(A)成分及び(B)成分の配合量は異なる。光造形用途に用いることができるためには、未硬化の液状組成物を薄膜状に塗布するため、組成物の粘度をある程度低く保つ必要があるためである。このため、無溶剤系で用いる場合には、後述のように(A)成分の配合量を低く設定する。
(A)アルカリ可溶性共重合体
本発明に用いられる(A)成分は、アルカリ可溶性を有する共重合体(以下、「アルカリ可溶性共重合体(A)」という)であり、(a’)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物を通常1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%、(b’)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物を通常1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%、および(c’)他のラジカル重合性化合物を通常5〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%を、溶媒中でラジカル共重合することにより得ることができる。前記構造単位(a)は、ラジカル重合性化合物(a’)に、構造単位(b)は、ラジカル重合性化合物(b’)に、構造単位(c)は、ラジカル重合性化合物(c’)にそれぞれ由来する。
(a’)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物
(a’)成分である、カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物(以下、「カルボキシル基化合物(a’)」という)はアルカリ可溶性共重合体(A)のアルカリ可溶性を調節し、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−サクシノロイルエチル(メタ)アクリレート、2−マレイノロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(市販品としては、例えば東亞合成社製のアロニックスM−5300)、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(市販品としては、例えば同社製のアロニックスM−5400)、アクリル酸ダイマー(市販品としては、例えば同社製のアロニックスM−5600)、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(市販品としては、例えば同社製のアロニックスM−5700)などのモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸などのカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体などが使用できる。これらの化合物は単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。これらの中ではアクリル酸、メタクリル酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレートが好ましい。これらの化合物は単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記方法で得られるアルカリ可溶性共重合体(A)中に占めるカルボキシル基化合物(a’)に由来する構成単位(a)は通常1〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは
10〜30質量%である。この構成単位が少なすぎると、共重合体のアルカリ性水溶液に対する溶解性が不足して、3次元構造体に付着した未硬化樹脂液をアルカリ性水溶液により洗浄除去することが困難となり、洗浄後に膜残りを生じ、十分な解像度を得ることができないことがある。逆に多すぎると、共重合体のアルカリ性水溶液に対する溶解性が大きくなりすぎて露光部の溶解、すなわち膜減りが大きくなることがある。
(b’)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物
(b’)成分である、フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物(以下、「フェノール性水酸基化合物(b’)」という)としては、例えばp−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、2−アリル−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、4−アリルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中で、p−ヒドロキシスチレンまたはα−メチル−p−ヒドロキシスチレンが好ましい。これらの化合物は単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
アルカリ可溶性共重合体(A)中に占めるフェノール性水酸基を有する化合物(b’)に由来する構成単位は、通常1〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%である。この構成単位が少なすぎると、光硬化性液状樹脂組成物の解像度が低下し、逆に多すぎると、得られる共重合体の分子量が十分に大きくならず、膜厚20μm以上の塗膜形成が困難になる。
また、フェノール性水酸基化合物(b’)として、アルカリ可溶性を有する共重合体を合成後にフェノール性水酸基に変換できる官能基で保護されたフェノール性水酸基化合物(b’)の前駆体を用いることもできる。該前駆体としては、p−アセトキシスチレン、α−メチル−p−アセトキシスチレン、p−ベンジロキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、p−tert−ブトキシカルボニロキシスチレン、p−tert−ブチルジメチルシロキシスチレン等を用いることができる。これらを用いて得られる共重合体は、適当な処理、例えば塩酸等を用いた加水分解で容易にフェノール性水酸基化合物(b’)に由来する構成単位に変換することができる。
(c’)他のラジカル重合性化合物
(c’)成分である、他のラジカル重合性化合物(以下、「他のラジカル化合物(c’)」ともいう。)は、主としてアルカリ可溶性の共重合体(A)の機械的特性を適度にコントロールする目的で使用する。ここで、「他の」とは、前出のラジカル重合性化合物(a’)成分及び(b’)成分)以外のラジカル重合性化合物の意味である。
このような他のラジカル重合性化合物(c’)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸アリールエステル類、ジカルボン酸ジエステル類、ニトリル基含有重合性化合物、アミド結合含有重合性化合物、脂肪酸ビニル類、塩素含有重合性化合物、共役ジオレフィン等を挙げることができる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどのジカルボン酸ジエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニ−ルトルエン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類を用いることができる。これらの化合物は単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
アルカリ可溶性の共重合体(A)中に占める他のラジカル重合性化合物(c’)に由来する構成単位(c)は、通常5〜80質量%であり、好ましくは20〜70質量%で、特に好ましくは30〜60質量%である。
アルカリ可溶性共重合体(A)を製造する際に用いられる重合溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。これらのうち、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類などが好ましい。
また、ラジカル共重合における重合触媒としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどの有機過酸化物および過酸化水素などを挙げることができる。過酸化物をラジカル重合開始剤に使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。
上記方法で得られるアルカリ可溶性の共重合体(A)の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマト法によるポリスチレン換算で、通常1,000〜100,000であり、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜20,000である。
アルカリ可溶性の共重合体(A)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、25〜70質量%である。このうち、組成物中に配合する有機溶剤(D)の量に応じて、(A)成分の配合量を変更することにより、有機溶剤(D)の配合量の大きさにかかわらずに、組成物の粘度を低く保つことができるため、微小造形法に用いる際に樹脂液の塗膜を容易に形成できる。
有機溶剤(D)の配合量が、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量100質量部に対して、0質量部以上、20質量部未満である場合には、アルカリ可溶性の共重合体(A)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、25〜70質量%が好ましく、25〜65質量%が特に好ましい。
有機溶剤の配合量が、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量100質量部に対して、20質量部以上、200質量部以下である場合には、アルカリ可溶性の共重合体(A)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%が特に好ましい。
(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物
本発明に用いられる(B)成分である、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物(B)」ともいう。)は、分子中にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する、常温で液体または固体の化合物であり、一般には、エチレン性不飽和基として(メタ)アクリロイル基を持つ(メタ)アクリレート化合物、もしくはビニル基を持つ化合物が好ましく用いられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、単官能性化合物(1個の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物)と多官能性化合物(2個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物)のいずれの化合物も用いることができる。
エチレン性不飽和化合物(B)である単官能性化合物の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシルアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの単官能モノマーが挙げられる。
また、多官能性化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリロイルオキシエチルエーテル、ビスフェノールAジ(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシエチルエーテル、ビスフェノールAジ(メタ)アクリロイルオキシロキシメチルエチルエーテル、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらエチレン性不飽和化合物(B)は単独でまたは2種以上を併用してもよい。
これらエチレン性不飽和化合物(B)は、市販されている化合物をそのまま用いることもできる。市販されている化合物の具体例としては、アロニックスM−210、同M−309、同M−310、同M−400、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−8100、同M−9050、同M−240、同M−245、同M−6100、同M−6200、同M−6250、同M−6300、同M−6400、同M−6500(以上、東亞合成社製)、KAYARAD R−551、同R−712、同TMPTA、同HDDA、同TPGDA、同PEG400DA、同MANDA、同HX−220、同HX−620、同R−604、同DPCA−20、DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120(以上、日本化薬社製)、ビスコート#295、同300、同260、同312、同335HP、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業社製)等を挙げることができる。
エチレン性不飽和化合物(B)は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、20〜70質量%である。
有機溶剤(D)の配合量が、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量100質量部に対して、0質量部以上、20質量部未満である場合には、エチレン性不飽和化合物(B)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜65質量%である。
有機溶剤の配合量が、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量100質量部に対して、20質量部以上、200質量部以下である場合には、エチレン性不飽和化合物(B)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、好ましくは20〜55質量%、特に好ましくは25〜50質量%である。
(B)成分の配合量が、上記の下限値未満であると、光硬化性が低下しやすく、上限値を超えると、共重合体(A)との相溶性が悪くなり、保存安定性が低下したり、硬化樹脂層の1層の厚さを20μm以上の厚膜とすることが困難になることがある。
(C)放射線ラジカル重合開始剤
本発明の(C)成分である、放射線ラジカル重合開始剤(以下、「放射線ラジカル重合開始剤(C)」ともいう。)としては、例えばベンジル、ジアセチルなどのα−ジケトン類;ベンゾインなどのアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;アセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−アセトキシベンゾフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、1−[2−メチル−4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、α,α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどのアセトフェノン類;アントラキノン、1,4−ナフトキノンなどのキノン類;フェナシルクロライド、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのハロゲン化合物;[1,2’−ビスイミダゾール]−3,3’,4,4’−テトラフェニル、[1,2’−ビスイミダゾール]−1,2’−ジクロロフェニル−3,3’,4,4’−テトラフェニルなどのビスイミダゾール類、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類などが挙げられる。
市販品としては、イルガキュア184、651、500、907、CGI369、CG24−61(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ルシリンLR8728、ルシリンTPO(以上、BASF社製)、ダロキュア1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ユベクリルP36(UCB社製)などを挙げることができる。また、必要に応じて、メルカプトベンゾチオアゾール、メルカプトベンゾオキサゾールのような水素供与性を有する化合物を上記光ラジカル重合開始剤と併用することもできる。
上述した種々の放射線ラジカル重合開始剤の中で好ましい化合物としては、1−[2−メチル−4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン類、フェナシルクロライド、トリブロモメチルフェニルスルホン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、1,2’−ビスイミダゾール類と4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンとメルカプトベンゾチアゾールとの併用、ルシリンTPO、イルガキュア651などを挙げることができる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
放射線ラジカル重合開始剤(C)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量を100質量%として、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。
(C)成分の配合量が0.1質量%未満であると、酸素によるラジカルの失活の影響(感度の低下)を受けやすく、また10質量%を超えると、相溶性が悪くなったり、保存安定性が低下する傾向がある。
これら放射線ラジカル重合開始剤と放射線増感剤とを併用することも可能である。
その他の成分
本発明では、上述のアルカリ可溶性の共重合体(A)、エチレン性不飽和化合物(B)、および放射線ラジカル重合開始剤(C)の他に、必要に応じて、有機溶剤(D)、各種の添加剤などの成分を使用することができる。
有機溶剤(D)としては、アルカリ可溶性の共重合体(A)および各成分を均一に溶解させることができ、また各成分と反応しないものが用いられる。
このような有機溶剤としては、アルカリ可溶性の共重合体(A)を製造する際に用いられる重合用の溶剤と同様の溶剤を用いることができ、さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点の溶媒を添加することもできる。
これらの有機溶剤(D)の中で、溶解性、各成分との反応性、および塗膜形成の容易性の観点から、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジアセトンアルコールなどのケトン類が好適である。
有機溶剤(D)の配合量は、有機溶剤(D)を除く組成物のすべての成分の合計量100質量部に対して、0〜200質量部である。前述のように、有機溶剤(D)を含まないかもしくは有機溶剤(D)の配合量が20質量部未満である場合と、有機溶剤(D)の配合量が20質量部以上、200質量部以下である場合とでは、成分(A)及び成分(B)の配合量の範囲は、異なる。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、熱重合禁止剤を添加することができる。このような熱重合禁止剤としては、ピロガロ−ル、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブル−、tert−ブチルカテコ−ル、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4’’−エチリデントリス(2−メチルフェノール)、4,4’,4’’−エチリデントリスフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンなどを挙げることができる。これら化合物の使用量は、アルカリ可溶性の共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以下である。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性などを向上させる目的で界面活性剤を配合することもできる。界面活性剤としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BM ケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子社製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)などの商品名で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。これらの界面活性剤の配合量は、アルカリ可溶性の共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以下である。
本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、基板との接着性を向上させるために接着助剤を使用することもできる。接着助剤としては、官能性シランカップリング剤が有効である。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体例としてはトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。その配合量は、アルカリ可溶性の共重合体(A)100質量部当たり20質量部以下が好ましい。
また、本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、アルカリ性水溶液に対する溶解性の微調整を行なうために、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、安息香酸、けい皮酸などのモノカルボン酸;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシけい皮酸、3−ヒドロキシけい皮酸、4−ヒドロキシけい皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテートなどの酸無水物を添加することもできる。
さらに、本発明の光硬化性液状樹脂組成物には、必要に応じて充填材、着色剤、粘度調整剤などを添加することもできる。充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、ベントナイト、ジルコニウムシリケート、粉末ガラスなどを挙げることができる。着色剤としては、アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウムなどの体質顔料;亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラックなどの無機顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリ-ンなどの有機顔料;マゼンタ、ローダミンなどの塩基性染料;ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジなどの直接染料;ローセリン、メタニルイエローなどの酸性染料が挙げられる。また、粘度調整剤としては、ベントナイト、シリカゲル、アルミニウム粉末などを挙げることができる。これら添加剤の配合量は、組成物の本質的な特性を損なわない範囲であればよく、好ましくは、得られる組成物に対して50質量%以下である。
光硬化性液状樹脂組成物の調製方法
本発明の光硬化性液状樹脂組成物を調製するには、充填材および顔料を添加しない場合には、前記(A)、(B)、(C)の各成分と、必要に応じてその他の成分とを通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、充填材および顔料を添加する場合にはディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用いて、これらの成分を分散、混合させればよい。また必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いて各成分または得られる組成物をろ過してもよい。
[II.光造形方法及び微小造形法]
1.光造形方法
本発明の前記光硬化性液状樹脂組成物は、前述の従来の光造形法に用いることができる。複雑な内部構造を有する3次元構造体を造型した場合であっても、内部に残留する未硬化樹脂を容易に除去することができるため、造形精度を向上させることができる。
2.微小造形法
本発明の前記光硬化性液状樹脂組成物は、微小造形法に特に好適に用いることができる。従来の光造形法と異なり、微小造形法を用いることにより、より微細な構造を有する3次元構造体を造型することができる。
図1を用いて、本発明にかかる3次元構造体の製造方法に使用される光硬化造形装置(以下、「3次元構造体の製造装置」という)の一例について説明する。3次元構造体の製造装置100は、光源1、ディジタルミラーデバイス(DMD)2、レンズ3、造形テーブル4、ディスペンサ5、リコータ6、制御部7、記憶部8を備えている。
光源1は、レーザ光線を発生させる。光源1には、例えば、405nmのレーザ光を発生させるレーザダイオード(LD)や紫外線(UV)ランプが用いられる。
ディジタルミラーデバイス(DMD)2は、テキサス・インスツルメンツ社によって開発されたデバイスであり、CMOS半導体上に独立して動くマイクロミラーが数十万〜数百万個、例えば、48万〜131万個敷き詰められている。かかるマイクロミラーは、静電界作用によって対角線を軸に約±10度、例えば、±12度程度傾けることが可能である。マイクロミラーは、各マイクロミラーのピッチの1辺の長さが約10μm、例えば、13.68μmの四角形の形状を有している。隣接するマイクロミラーの間隔は、例えば1μmである。本実施の形態で用いたDMD2の全体は、40.8×31.8mmの四角形状を有し(うち、ミラー部は、14.0×10.5mmの四角形状を有する。)、1辺の長さが13.68μmのマイクロミラー786,432個により構成されている。当該DMD2は、光源1から出射されたレーザ光線を個々のマイクロミラーによって反射させ、制御部7によって所定の角度に制御されたマイクロミラーによって反射されたレーザ光のみ集光レンズ3を介して造形テーブル4上の光硬化性樹脂組成物9に照射する。
DMD2によって反射されたレーザ光線が集光レンズ3を介して光硬化性樹脂組成物9上に照射される単位領域を投影領域という。個々のマイクロミラーの角度を制御して、反射させたレーザ光線を光硬化性樹脂組成物9に照射するか否かをマイクロミラー毎に決定することにより、投影領域内で選択的に光を照射するパターンを決定する。
レンズ3は、DMD2によって反射されたレーザ光線を光硬化性樹脂組成物9上に導き、投影領域を形成する。レンズ3は、凸レンズを用いた集光レンズであってもよいし、凹レンズを用いてもよい。凹レンズを用いると、DSMの実サイズよりも大きな投影領域を得ることができる。本実施の形態にかかるレンズ3は、集光レンズであって、入射光を約15倍縮小し、光硬化性樹脂組成物9上に集光している。
造形テーブル4は、硬化させた樹脂を順次堆積させ、載置する平板状の台である。この造形テーブル4は、図示しない駆動機構、即ち移動機構によって、水平移動及び垂直移動が可能である。この駆動機構により、所望の範囲に亘って3次元構造体の製造を行なうことができる。
ディスペンサ5は、光硬化性樹脂組成物10を収容し、予め定められた量の光硬化性樹脂組成物10を所定位置に供給する。
リコータ6は、例えば、ブレード機構と移動機構を備え、光硬化性樹脂組成物10を均一に塗布する。
制御部7は、露光データを含む制御データに応じて光源1、DMD2、造形テーブル4、ディスペンサ5、リコータ6を制御する。制御部7は、典型的には、コンピュータに所定のプログラムをインストールすることによって構成することができる。典型的なコンピュータの構成は、中央処理装置(CPU)とメモリとを含んでいる。CPUとメモリとは、バスを介して補助記憶装置としてのハードディスク装置などの外部記憶装置に接続される。この外部記憶装置が、制御部7の記憶部8として機能する。であるフレキシブルディスク装置、ハードディスク装置、CD−ROMドライブ等の記憶媒体駆動装置は、各種コントローラを介してバスに接続される。フレキシブルディスク装置等の記憶媒体駆動装置には、フレキシブルディスク等の可搬型記憶媒体が挿入される。記憶媒体にはオペレーティングシステムと協働してCPUなどに命令を与え、本実施形態を実施するための所定のコンピュータプログラムを記憶することができる。
記憶部8には、造形しようとする3次元構造体を複数の層にスライスして得られる断面群の露光データを含む制御データが格納されている。制御部7は、記憶部8に格納された露光データに基づいて、主としてDMD2における各マイクロミラーの角度制御、造形テーブル4の移動(即ち、3次元構造体に対するレーザ光の照射範囲の位置)を制御し、3次元構造体の造形を実行する。
コンピュータプログラムは、メモリにロードされることによって実行される。コンピュータプログラムは圧縮し、又、複数に分割して記憶媒体に記憶することができる。さらに、ユーザ・インターフェース・ハードウェアを備えることができる。ユーザ・インターフェース・ハードウェアとしては、例えば、マウスなどの入力をするためのポインティング・デバイス、キーボード、あるいは視覚データをユーザに提示するためのディスプレイなどがある。
光硬化性樹脂組成物10には、可視光及び可視光領域外の光によって硬化する樹脂組成物を使用することができる。例えば、15μm以上(500mJ/cm)の硬化深度を有し、粘度が1,500〜2,500Pa・s(25℃)の405nm対応のアクリル系樹脂組成物を用いることができる。
次に、本実施の形態にかかる3次元構造体の製造装置100の3次元構造体の製造動作について説明する。まず、ディスペンサ5に未硬化状態の光硬化性樹脂組成物10を収容する。造形テーブル4は初期位置にある。ディスペンサ5は、収容された光硬化性樹脂組成物10を所定量だけ造形テーブル4上に供給する。リコータ6は、光硬化性樹脂組成物10を引き伸ばすようにして掃引し、硬化させる一層分のコート層を形成する。
光源1から出射したレーザ光線は、DMD2に入射する。DMD2は、記憶部8に格納された露光データに応じて制御部7により制御され、レーザ光線を光硬化性樹脂組成物10に照射する部分に対応したマイクロミラーの角度を調整する。これにより、そのマイクロミラーを反射したレーザ光線が集光レンズ3を介して光硬化性樹脂組成物10に照射され、その他のマイクロミラーを反射したレーザ光線は、光硬化性樹脂組成物10に照射されない。光硬化性樹脂組成物10へのレーザ光線の照射は、例えば0.4秒間行なわれる。
このとき、光硬化性樹脂組成物10への投影領域は、例えば、1.3×1.8mm程度であり、0.6×0.9mm程度まで縮小することもできる。投影領域の面積は、通常、100mm以下であることが望ましい。
レンズ3に、凹レンズを用いることにより、投影領域を6×9cm程度まで拡大することもできる。投影領域をこのサイズを超えて拡大すると、投影領域に照射されるレーザー光線のエネルギー密度が低くなるため、光硬化性樹脂組成物10の硬化が不十分となることがある。
レーザ光線の投影領域のサイズよりも大きい3次元構造体を形成する場合には、例えば造形テーブル4を移動機構によって水平移動させることにより、レーザ光線の照射位置を移動させて全造形領域を照射する必要がある。投影領域毎に1ショットずつレーザ光線の照射を実行していく。各投影領域に対するレーザ光線の照射の制御については後に詳述する。
このようにして、投影領域を移動させて、各投影領域を単位としてレーザ光線の照射、即ち露光を実行することによって、光硬化性樹脂組成物10が硬化し、第1層目の硬化樹脂層が形成される。1層分の積層ピッチ、すなわち、硬化樹脂層1層の厚み、は、例えば、1〜50μm、好ましくは、2〜10μm、さらに好ましくは、5〜10μmである。
続いて、同様の工程で所望の形状の3次元構造体の2層目を同時に形成する。具体的には、1層目として形成された硬化樹脂層の外側にディスペンサ5より供給された光硬化性樹脂組成物10をリコータ6によって3次元構造体を越えて引き伸ばされるように均一厚さに塗布する。そして、レーザ光線を照射することにより、第2層目の硬化樹脂層を第1層目の硬化樹脂層の上に形成する。以下同様にして第3層目以降の硬化樹脂層を順次堆積させる。そして、最終層の堆積の終了後、造形テーブル4上に形成された造形物を取り出す。造形物は、表面に付着した光硬化性液状樹脂組成物を洗浄その他の方法で除去し、必要に応じて紫外線ランプ等により照射し又は加熱して、硬化を更に進行させることができる。
3.未硬化樹脂の洗浄除去方法
放射線照射後に3次元構造体の外部や内部に付着した未硬化樹脂の洗浄除去方法としては、アルカリ性水溶液を用いて、不要な非露光部を溶解、除去し、露光部のみを残存させ、所定パターンの硬化膜を得る方法が好適である。
アルカリ性水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。
また上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を使用することもできる。
アルカリ性水溶液による処理時間は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗膜の厚さなどによって異なるが、通常30〜360秒間である。
アルカリ水溶液による処理方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレ−法、シャワー法などのいずれでもよい。処理後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エア−ガンなどを用いて風乾させたり、ホットプレート、オーブンなど加熱下で乾燥させる。
4.後処理
本発明の組成物からなる感光性塗膜は、前記の放射線照射のみでも、十分に硬化させることができるが、用途に応じてさらに、追加の放射線照射(以下、後露光という)や加熱によってさらに硬化させることができる。後露光としては、前記放射線照射方法と同様の方法で行なうことができ、放射線照射量は特に限定されるものではないが、高圧水銀灯使用の場合100〜2,000mJ/cm2が好ましい。また、加熱方法としては、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置を用いて、所定の温度、例えば60〜100℃で所定の時間、例えばホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では5〜60分間加熱処理をすればよい。この後処理によって、さらに良好な特性を有する所定パターンの硬化膜を得ることができる。
図2及び図3に、図1で示す造形装置を用いて製造した3次元構造体の一例を示す。図2は、3次元構造体の一例を上方から撮影した写真、図3は、3次元構造体の一例を斜め上方から撮影した写真である。
5.メッキ処理
後処理を行った基板を、電気メッキ用の各種メッキ液に浸漬し、所望のメッキ厚となるように電流値および通電時間を設定してメッキを行う。
6.剥離処理
例えば、メッキ処理した基板から本発明の硬化膜を剥離するには、50〜80℃にて攪拌中の剥離液に該基板を5〜30分間浸漬すればよい。ここで使用される剥離液としては、例えば、第4級アンモニウム塩の水溶液や、第4級アンモニウム塩とジメチルスルホキシドと水との混合溶液を挙げることができる。造型した3次元構造体をメッキ処理した後に剥離処理をすることにより、金属型を製造することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特に明示する場合を除き、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
<アルカリ可溶性共重合体(A)の合成>
合成例A−1
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.0g、溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル100.0gを仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。引き続いて、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン35.0g、メタクリル酸15.0g、およびn−ブチルアクリレート50.0gを仕込んだ後、ゆるやかに攪拌を始めた。次いで、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度で7時間重合を行なった。その後、反応生成物を多量のメタノールに滴下して反応生成物を凝固させた。この凝固物を水洗後、凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のメタノールで再度凝固させた。この再溶解−凝固操作を計3回行なった後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し、目的とする共重合体A−1を得た。
実施例1
撹拌装置を備えた容器に、合成例1で得られた共重合体A−1 37.1質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート27.8質量部と、N−ビニル−2−ピロリドン27.8質量部と、Irgacure819を2.8質量部と、2,4−ジエチルチオキサントン1.9質量部と、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル0.5質量部と、「Yellow6G Gran」1.9質量部と、「SH28PA」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1質量部と、FM0411−TH(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2質量部を添加し、60℃で1時間撹拌することによって、光硬化性液状樹脂組成物を調製した。
実施例2〜4、比較例1〜2
表1に記載のとおりに成分組成を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4、及び比較例1〜2の光硬化性液状樹脂組成物を調製した。
<特性の評価>
(1)アルカリ可溶性
4インチのシリコーンウェハー上に0.1μm膜厚の金コートを施してなる基板上に、光硬化性液状樹脂組成物をスピンナーで塗布した後、90℃で5分間ホットプレート上でプレベークして、膜厚約30μmの塗膜を形成した。
次いで、基板上の硬化物を剥離液中に浸漬し、50〜80℃にて攪拌し、基板上から硬化物が全て剥離・溶解するまでの時間を測定した。剥離液としては、第4級アンモニウム塩とジメチルスルホキシドと水との混合溶液を用いた。浸漬・攪拌後、30分以内に剥離溶解した場合を「○」、剥離はするが、残渣が残る場合を「△」、剥離・溶解しない場合を「×」とした。
(2)リコート性
図1に示す3次元構造体の製造装置100を用いて、ディスペンサ5より供給された光硬化性樹脂10をリコータ6によって、均一厚さ(5μm)になるように、速度10mm/秒で引き伸ばし、塗布液のスジムラの有無を目視で観察した。スジムラが無い場合を「○」、ある場合を「×」とした。
(3)パターニング性
図4に示す幅8μm及び10μmのラインと幅10μmのスペースを平行して繰り返すパターンを製造装置100を用いて造形し、パターンの抜けの状態をレーザー顕微鏡を用いて評価した。光硬化時の照射量は、500mJ/cmとした。パターンのスペース解像力が、ライン幅によらず10μm以下であり、パターンのズレ・剥離が無い場合を「○」、パターンにズレ・剥離がある場合を「×」とした。実施例1の評価例を図5に示す。
(4)多段積層性
図1に示す3次元構造体の製造装置100を用いて、タービンモデル(幅400μm、高さ:260μm、積層数:52層)を積層ピッチ5μmで造形し、造形物のSEMを測定した。層間剥離などの欠陥がない場合を「○」、ある場合を「×」とした。
Figure 0005151098
表1中の表記は、下記の通りである。
(a)M8100:ポリエステルアクリレート;東亜合成社製
(b)Irgacure819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
(c)Yellow Gran 6G:(色素)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
(d)SH28PA:ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体;東レ・ダウコーニング社製
(e)SH190:ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体;東レ・ダウコーニング社製
表1から、実施例1〜4では、アルカリ可溶性、リコート性、パターニング性、多段積層性が共に良好であるが、(A)成分を含まない比較例1では、アルカリ可溶性を示さず、(A)成分の配合量が過多である比較例2では、リコート性と多段積層性に劣ることがわかる。
微小造形法による3次元構造体の製造装置の概略構成を示す図である。 微小造形法により造型した3次元構造体の一例を上方から撮影した写真である。 微小造形法により造型した3次元構造体の一例を斜め上方から撮影した写真である。 パターニング性の評価に用いたライン・スペースパターンを示す図である。 微小造形法による造型例のパターニング性の評価例を示す図である。
符号の説明
1 光源
2 DMD
3 集光レンズ
4 造形テーブル
5 ディスペンサ
6 リコータ
7 制御部
8 記憶部
9 光硬化性樹脂組成物
10 光硬化性樹脂組成物
100 微小造形法による3次元構造体の製造装置

Claims (8)

  1. 100mm以下の投影領域を単位として、光硬化性液状樹脂組成物に光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成する3次元構造体の製造方法(以下、「微小造形法」という。)に用いられる光硬化性液状樹脂組成物であって、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量%として、下記の質量割合で、下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、かつ、下記成分(D)を含有しないか、もしくは、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量部として、下記の量で、下記成分(D)を含有することを特徴とする微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
    (A)下記構造単位(a)、(b)及び(c)を有するアルカリ可溶性の共重合体 25〜70質量%、
    (a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
    (b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
    (c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
    (B)少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物 20〜70質量%、
    (C)放射線ラジカル重合開始剤 0.1〜10質量%
    (D)有機溶剤 20質量部未満
  2. 100mm以下の投影領域を単位として、光硬化性液状樹脂組成物に光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成する3次元構造体の製造方法(以下、「微小造形法」という。)に用いられる光硬化性液状樹脂組成物であって、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量%として、下記の質量割合で、下記成分(A)、(B)および(C)を含有し、かつ、下記成分(D)を除くすべての成分の合計量を100質量部として、下記の量で、下記成分(D)を含有することを特徴とする微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
    (A)下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含むアルカリ可溶性の共重合体 40〜70質量%、
    (a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
    (b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
    (c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位、
    (B)少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物 20〜55質量%、
    (C)放射線ラジカル重合開始剤 0.1〜10質量%
    (D)有機溶剤 20〜200質量部
  3. 成分(B)が、その全量を100質量%として、エチレン性不飽和二重結合を3個以上有する化合物を40質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
  4. 成分(A)が(a)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位1〜50質量%、(b)フェノール性水酸基を有するラジカル重合性化合物に由来する構成単位1〜50質量%、(c)他のラジカル重合性化合物に由来する構成単位5〜80質量%を含むアルカリ可溶性の共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物。
  5. 100mm以下の投影領域を単位として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微小造形法用光硬化性液状樹脂組成物に対して、光を照射して硬化樹脂層を形成し、該硬化樹脂層を順次積層して3次元構造体を形成することを特徴とする3次元構造体の製造方法。
  6. 前記硬化樹脂層の1層の厚さは10μm以下である、請求項5に記載の3次元構造体の製造方法。
  7. 前記光硬化性液状樹脂組成物は、ディジタルミラーデバイスによって反射された光によって硬化する、請求項5又は6に記載の3次元構造体の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の3次元構造体の製造方法により製造された3次元構造体。
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