JP5151052B2 - プロトン伝導性結晶化ガラス固体電解質 - Google Patents

プロトン伝導性結晶化ガラス固体電解質 Download PDF

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Description

本発明は高い電導度を持つ結晶化ガラスおよびその製造方法に関するものである。さらに、本発明は上記結晶化ガラスを用いた電気化学デバイス、例えば燃料電池、水素センサ、水電解装置、ガス発生装置、湿度制御装置に関する。
燃料電池用固体電解質としては、例えば高分子電解質やセラミック系電解質が用いられているが、将来の普及のためには性能やコストの改善が必要である。そのため、触媒反応の速度や金属材料の劣化を考慮して300℃近傍、たとえば250℃で動作可能な固体電解質が求められている。現状では、200℃以下はリン酸、500℃以上はセラミック系電解質が報告されているが、その中間の300℃程度を中心とする”gap”となる温度領域では実用的な電導度をもつ材料はいまだに報告されていない(非特許文献1)。この”gap”を埋めることを目指して多くの材料開発が行われている。そのなかでも有力な候補の一つとして、リン酸塩ガラス(特許文献1)が報告されている。
また、ガラス材料の耐久性を向上させるための一般的な方法としては、熱処理によってガラスの一部あるいは全部を結晶化させた結晶化ガラスが知られている(非特許文献2)。この技術を応用して、耐久性という観点ではなく、イオン伝導体をガラスの結晶化によって製造することで優れた電導度を得ようとする試みはLiイオン伝導体などで報告されている(特許文献2)。このような結晶化ガラスの製造は、一般に二段階の熱処理によって行なわれる。つまり第一にガラスを熱処理することによって結晶核を生成し、第二段階でさらに高い温度で結晶成長を進めることを要する。第一の熱処理は、ガラス相から生じる幼核が熱力学的により安定であるために低温である必要がある一方、結晶核生成に伴う物質移動が十分な速度で進むために高温である必要があるという相反する条件を満たすために、ガラス転移点と同じか、それよりやや上の温度で行われる。これは一般的なガラスでは核生成速度がガラス転移点近傍で極大に達するという理論的な裏づけに基づいている(非特許文献3)。
第二の熱処理が必要な理由は、ガラス転移点近傍の熱処理だけでは結晶成長に長時間を要し実用的でないためである。ところで一度生成した核はより高い温度でも安定であるため、ひとたび核生成が済めば高い温度で熱処理を行ってよい。そのため、第一の熱処理で用いられるガラス転移点近傍よりも十分高い温度で第二の熱処理を行うことで結晶化ガラスは製造される。
この技術を用いて、例えば40BaO-60P2O5のガラスを、440℃で90時間処理した後520℃で250時間処理することで結晶化させ、プロトン伝導性を向上させたリン酸塩系結晶化ガラスも報告されている(特許文献3)。
特許文献3では詳細な熱処理温度の決定法には触れていないが、非特許文献4によればこの組成のガラスは製造時の溶融時間によって369℃から473℃のガラス転移点を持つことから、第一段階で少なくともガラス転移点よりも33℃低い温度から71℃高い温度の範囲すなわち言い換えるとガラス転移点近傍で核生成を行い、第二段階でガラス転移点よりも少なくとも47℃から151℃高い温度で熱処理を行うことで結晶成長を行っていると考えられる。非特許文献3の条件が一般に受け入れられていることを考えると、実際には、ガラス転移点近傍で第一段階の熱処理を行い、その後ガラス転移点よりも80℃高い温度、おそらくは軟化点近傍で第二段階の熱処理を行ったと考えられる。
特開2003−192380 特開2002−109955 特開昭57−77047 T.Norby, Solid State Ionics, 125(1999)1.(ElsevierB.V. オランダ) JIS R 1600 : 1998 P.F.James, Journal of Non-Crystalline Solids, 73 (1985)517.(Elsevier B.V. オランダ) 並河・宗像、窯業協会誌、73(1965)86. Y.Abe, M. Hayashi, T. Iwamoto, H.sumi and L.L. Hench, Journal ofNon-Crystalline Solids,351(2005)2141. N.F.Uvarov and P.Vanek, Journal of Materials Synthesis andProcessing, 8 (2000)319.(Prenum Publishing, NY)
リン酸塩ガラスは、例えば250℃から300℃程度の温度で動作可能な固体電解質の候補として期待されているが、高いプロトン伝導性をもつリン酸塩ガラスはリン酸の含有量が多く、耐熱性や耐湿性に欠ける傾向にある。たとえば、BaO-P2O5系ガラスでは、リン酸の含有量が増加すると耐熱性の目安となるガラス転移点が低くなる傾向が知られており(非特許文献4)、同時に吸湿性が高くなる。吸湿によってガラスの水分含有量が増加すると転移点はさらに低下するため、例えば高いプロトン伝導性をもつリン酸塩ガラスを高温加湿条件で長時間使用すると軟化して流れ出すなどの問題が起きる。このため、例えば燃料電池システムに組み上げる際には動作温度や湿度範囲の設定が難しい。最近発表された非特許文献5でも十分な出力電流密度が得られておらず、システムとしての改良とともに材料の開発が必要とされているのが現状である。また、プロトン伝導性をもつリン酸塩系結晶化ガラス(特許文献3)では、燃料電池システムとして組み上げた際の耐熱性・耐湿性といった課題は明らかになっていないが、そもそも電導度があまり高くない(144℃で10-7.66 Scm-1)ため、燃料電池などへの応用には、数桁高い電導度たとえば10-3 Scm-1の伝導度電導度を持つ材料開発が求められている。
本発明者は、高いプロトン伝導性をもつリン酸塩ガラスを得るべく鋭意研究した結果、リン酸塩系ガラスをある条件で熱水蒸気処理することにより、結晶化させた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスを得ることに成功し、この熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスが高いプロトン伝導性をもつことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、P2O5換算でリン酸を50mol%以上 75 mol%未満を含むリン酸塩系ガラスのうち37.5BaO-62.5P 2 O 5 リン酸塩系ガラスを、温度250℃以上400℃未満の条件の雰囲気で、熱水蒸気処理の圧力が、水蒸気分圧5kPa以上である熱水蒸気処理することで結晶化させた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体である。
また、本発明は、P2O5換算でリン酸を50mol%以上 75 mol%未満を含むリン酸塩系ガラスのうち33BaO-66P 2 O 5 リン酸塩系ガラスを、温度250℃以上400℃未満の条件の雰囲気で、熱水蒸気処理の圧力が、水蒸気分圧1kPa以上である熱水蒸気処理することで結晶化させた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体である。
また、さらに本発明は、これらの熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体を用いたことを特徴とする燃料電池、ガスセンサ、湿度制御装置から選ばれる電気化学デバイスである。
本発明の熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体は、表1に示すように、高いプロトン伝導性を示し、燃料電池の隔膜、ガスセンサのセンシング部材、湿度制御装置の湿度検出部材などの電気化学デバイスとして実用に供することが出来る。
本発明のプロトン伝導体は、従来のガラス導電体よりも耐熱耐湿性が高く、電導度が実用レベルの10-3 Scm-1以上の結晶化ガラスを製造することができた。
本発明では上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、結晶化ガラスへの変換に水蒸気を利用することによって熱水蒸気処理温度を低減し、ガラスの耐久性と電気伝導性をともに向上させる方法を見出すにいたった。
本発明の実施の形態を以下に説明する。本発明では、高い電導度を持つ結晶化ガラスは、リン酸塩ガラスを、水蒸気圧を制御した雰囲気で熱水蒸気処理することで結晶化させることによって得られる。
本発明で云うリン酸塩ガラスとは、例えばP2O5換算でリン酸を56 mol%〜75 mol%未満含むガラスからなる物質である。もちろん、本発明は欠陥のない完全に均質なガラスに限定されるものではなく、ストーンや気泡そのほか無機粒子などの、主たるガラス相以外の異物の混入したガラスであってもよい。原料のリン酸塩ガラスとしてリン以外に例えばBa,Ca,Alなどの金属元素の酸化物を例えば20 mol%以上含むものがあげられる。
ここで、20
mol%以上とは、ガラスに含まれる各元素についてガラスの化学分析を行って算出した重量%から、それぞれがガラス中で取る酸化数に対応する酸化物BaO,CaOの、単位重量あたりの物質量を計算し、P2O5の物質量とあわせて比を求めたものである。例えば、物質量の比が2CaO-28BaO-80P2O5であるガラスは30 mol%の酸化物を含むとみなす。但し2価でない成分、例えばAl2O3などのように3価のものは、2価のものに換算する。例えば10Al2O3は15BaOに換算する。また、この計算は水分を無視して行う。P2O5換算でリン酸を75 mol%以上を含むものは、熱水蒸気処理中に水分に溶解してしまうため、固体状を保つことが出来ないので、本発明において用いることが出来ない。
加熱温度は組成や熱水蒸気処理条件によって適宜調整する必要があるが、ガラス転移点より180℃度低い温度以上、好ましくは150度低い温度以上であり、かつ好ましくは軟化や変形といった支障が認められる温度すなわち軟化点近傍よりも低い温度であり、より好ましくはガラス転移点よりも47度高い温度に満たない温度であり、より好ましくはガラス転移点に満たない温度であることを特徴とする。多くのリン酸塩系ガラスのガラス転移点は、200−550℃である。軟化点は組成にもよるがガラス転移点よりも60度から270度高温であることが知られている。ガラス転移点よりもあまりにも低い温度では、水蒸気などの影響がガラス内部に及びにくい。また、ガラス転移点より大幅に高い温度になれば水蒸気がガラスから発散される方向に働くことと、ガラス自体が軟化変形するといった点で支障が生じる。特許文献3で、高い電導度が得られなかった理由は、水蒸気の作用が得られなかったことと、処理温度が高かったことが影響していると考えられる。
本発明で用いる原料のリン酸塩系ガラスとしては、金属元素の酸化物に対応するP2O5の含有量がメタリン酸組成に近いことが望ましい。メタリン酸組成とは、オルトリン酸H3PO4の三つのOH末端のうち二つが隣のオルトリン酸と脱水縮合を起こしてP-O-P-Oのような鎖を生成し、残った一つのOH末端が金属酸化物中の陽イオンによって中和された構造に対応する組成である。例えば金属元素酸化物中の陽イオンMX+の価数X原子数Y、リンの原子数Zとすると、XY/Z=1がオルトリン酸組成であり、例えば、P2O5を50 mol%以上含む37.5BaO-62.5P2O5や33BaO-66P2O5のような組成を持つガラスである。
但し陽イオンが複数ある場合はXYに代えて各々の陽イオンMiについての総和ΣXiYiで計算する。好ましい組成範囲としては1/2.8≦XY/Z≦2.8より好ましくは1/2≦XY/Z≦2の範囲があげられる。この範囲を超えてリン酸が多いと熱水蒸気処理時に水蒸気を吸いやすく、結晶化というよりもむしろ軟化しやすくなる。
また、リン酸が少ないと、水蒸気を吸いにくくなり最終的に得られる結晶化ガラス中にプロトンを含有しにくくなるため電導度が低くなるおそれがある。例えば理解を助けるために一価の金属酸化物としてNa2Oをあげて説明するならば、XY/Z=3ではNa3PO4となりプロトンを含む水酸基が容易に脱水されてしまうがXY/Z=2ならばNa2HPO4の組成が可能になるためプロトンをより含みやすくなり、XY/Z=1のメタリン酸組成になればNaH2PO4となる。メタリン酸組成の場合、仮に脱水縮合が進んでも、リン酸鎖の長さが有限であれば少なくともリン酸鎖の両端にプロトンが残る計算になる。実際には、ガラスは整数比でない組成をとることができるためにXY/Z=3とXY/Z=2が交じり合ったXY/Z=2.8のような組成でも用いることができる。
加熱水蒸気処理を行う際の雰囲気は、ガラスの組成や温度にも依存するが、例えば1 kPa好ましくは4 kPa以上の水蒸気を含んでいれば空気、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどのガスから任意に選択し混合してよく、加熱方法は電気ヒーター、マイクロ波、遠赤外線加熱、ガスバーナーなどの既存技術を用いることができ、また水蒸気を供給する方法もバブリングや噴霧など公知の方法を用いることができる。
水蒸気分圧を制御した雰囲気を用いることにより、高い電導度が得られる結晶化ガラスを得ることができる機構は完全に解明されていないが、以下のように解釈することができる。ガラスを加熱することで、例えばガラス転移点よりも120℃低い温度に保持すると、加熱前よりも水蒸気中の水分子がガラス内部に拡散しやすくなる。このため、ガラスを構成するリン酸鎖が部分的に加水分解をともなって切断され、原料ガラスのガラス転移点よりも低い温度であってもガラスの構造変化、たとえば結晶核生成がおきやすくなると考えられる。また、リン酸鎖の切断は、水分子の運動性を増し、さらなる拡散を引き起こすと考えられる。このような機構によって水蒸気の助けを得て結晶化が進み、加水分解された部分にプロトンが取り込まれた結晶が析出すると考えられるとともに、ガラスのまま残っている部分も水蒸気から取り込まれたプロトン濃度が高くなると考えられる。このような結晶化ガラスは単に耐久性に優れるのみならず、プロトンを多量に含むため、単純に熱処理を行ったガラスよりもはるかに高い電気伝導性を持つに至ったと考えられる。
本発明において、原料のリン酸塩ガラスにあらかじめ混合する、あるいは結晶化ガラスとした後で加えるなどの方法で無機繊維や結晶粒子のような添加物を加えてもよい。このような方法によれば、例えば機械的強度や伝導特性を高めることや製造を容易に行うことが期待できる。また、非特許文献6によれば酸素酸塩に別の固体を分散させることでイオン伝導特性を改善することができると報告されているが、添加物を含む結晶化ガラスとすることで同様の作用を期待できる。この文献ではまた、純粋なAgIから、0.1AgI-0.9Al2O3の組成を持つもの、つまり0から87重量部の無機粒子を添加したものが報告されていることから、好ましい添加量はこの程度の範囲であると考えられる。
本発明に含まれる電気化学的デバイスとしては、燃料電池・ガスセンサ・湿度制御装置などのプロトン伝導体が用いられるものがあげられるが特に限定されるものでない。イオン伝導性のある結晶化ガラスの両端に白金などの金属を含んだペーストを塗布あるいは蒸着などの方法によって電極を形成することによって、両極における電子の受け渡しを伴う酸化還元反応を起こすことができるため、たとえば片側が酸化性雰囲気、もう片方が還元性雰囲気であれば起電力が生じ、電極から電流を取り出すことで燃料電池として用いることができる。また、既知濃度のガスを標準として用いることで例えば水素ガスセンサとして用いることもできる。さらに、外部から電圧を加えることで水分子を電気分解することや、これを応用した湿度調整装置に用いることもできる。これらの電気化学的デバイスは従来よりも高い温度で用いることができることから、酸化還元反応が効率的に進む点で優れている。
最終的に37.5BaO-62.5P2O5となるようにリン酸水素バリウムと液状リン酸をムライト坩堝に量り取り、700℃で30分から1時間溶融し、厚さ3mm直径14mmの円板状に成型した。このガラスのガラス転移点をDTA測定で求めたところ、371℃であった。両面に導電ペーストを塗布し、電極とした。このガラス試料を管状炉に入れガラス転移点より約120度低い、250℃まで加熱した。理学電気HUM-1を用い温度制御した温水に通すことで水蒸気分圧を31 kPaに制御した窒素ガスを導入しながら、熱水蒸気処理を行った。3日後には白っぽくなっており、3週間後に取り出したところ白い固体に変化していた。電導度は熱水蒸気処理開始直後の10-8 Scm-1から次第に上昇し363時間後に2.47x10-3 Scm-1になった。溶解や溶融などによる著しい変形はみられなかった。
(水蒸気分圧と熱水蒸気処理温度による影響)
37.5BaO-62.5P2O5ガラスを300℃に加熱し、加湿した窒素ガスを導入した。窒素ガスの水蒸気分圧は、理学電気HUM-1を用いて制御した。たとえば、水蒸気分圧31 kPaの窒素ガスは、70℃の水浴を通すことで得られる。10 kPaは31 kPaに加湿した窒素ガス50ml min-1に乾燥窒素ガス100ml min-1を混合して得た。1 kPa(0.97 kPa) は、摂氏70度の水浴を通した湿潤窒素ガス10
ml/minと乾燥窒素ガス310ml/minを混合して得た。3 kPaは、摂氏24.1度の水浴を通すことで得られた。水蒸気分圧の制御は以下同様にしておこなった。実施例1と同様に交流二端子法で1
kHzにおいて電導度の時間変化を測定したところ、水蒸気分圧3 kPa以下では電導度は低いままであったが、5 kPaおよび31 kPaで処理した場合、処理後に大幅に電導度が上昇した。300℃水蒸気分圧31 kPaで18時間処理した37BaガラスのX線回折を測定したところ、結晶化していることが分かった。結晶は水分を取り込んだリン酸バリウムであると思われる。なお、水蒸気分圧31 kPaの窒素ガスを導入した300℃の管状炉内における実際の水蒸気分圧を直接測定することは難しいため、本件発明では特に明記しない場合は水蒸気分圧とは供給ガスを加湿した時点での温度における水蒸気分圧とする。一気圧下で水蒸気と窒素が理想気体としてふるまうと仮定すれば分圧は気体分子の数の比で決定され加熱による変化はない。そのため実際の水蒸気熱処理炉内の水蒸気分圧は導入するガスの条件と比べて大きな変化はないと考えられる。
実施例1における熱水蒸気処理の条件と得られた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスの電導度について、表1に示す。
Figure 0005151052
(温度による影響)
37.5BaO-62.5P2O5ガラスを異なった温度で処理した時の電導度について、表2に示す。
Figure 0005151052
表の結果より熱水蒸気の温度が400℃を超えると、電導度が低下することが判明した。
最終的に33BaO-66P2O5となるようにリン酸水素バリウムと液状リン酸をムライト坩堝に量り取り、実施例1と同様の操作で実験を行った。同様の操作で、50BaO-50P2O5および37.5ZnO-62.5P2O5も試みた。

実施例2における熱水蒸気処理の条件と得られた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスの電導度について、表3に示す。
Figure 0005151052
(参考例1)
最終的に55BaO-45P2O5となるようにリン酸水素バリウムと液状リン酸をムライト坩堝に量り取り、実施例1と同様の操作で実験を行った。ただし、ガラスを製造する際の溶融温度は1000℃とした。

参考例1における熱水蒸気処理の条件と得られた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスの電導度について、表4に示す。
Figure 0005151052
(参考例2)
特許文献1にある22BaO-2.5La2O3-0.5Al2O3-75P2O5組成のガラスを成型した。ガラス転移点は200℃であった。250℃、水蒸気分圧31 kPaで6時間放置したところ、水飴状になって流れ出してしまった。5 kPaでも表面の軟化による変形が見られた。

本発明の熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体は、高いプロトン伝導性を示し、燃料電池の隔膜、ガスセンサのセンシング部材、湿度制御装置の湿度検出部材などの電気化学デバイスとして実用に供することが出来る。

37.5BaO-62.5P2O5の300℃窒素気流中での電導度の時間変化。水蒸気を加えていないため、電導度は上昇していない。 37.5BaO-62.5P2O5の250℃、水蒸気分圧31 kPaにおける電導度の時間変化。水蒸気の作用で結晶化し、電導度は363時間で2.47x10-3 Scm-1に到達している 水蒸気分圧1 kPaの窒素ガスを導入した300℃における37.5BaO-62.5P2O5の電導度の時間変化。 水蒸気分圧5 kPaの窒素ガスを導入したときの300℃における37.5BaO-62.5P2O5の電導度。 水蒸気分圧31 kPaの窒素ガスを導入したときの300℃における37.5BaO-62.5P2O5の電導度。 水蒸気分圧10 kPaの窒素ガスを導入した300℃における33BaO-66P2O5の電導度の時間変化。 水蒸気分圧1 kPaの窒素ガスを導入した300℃における33BaO-66P2O5の電導度の時間変化。 37.5BaO-62.5P2O5ガラスを、水蒸気分圧5 kPaの窒素ガスを導入し300℃で24時間処理して得られた結晶化ガラスの電導度の温度変化。 300℃水蒸気分圧31 kPaで18時間処理した37BaガラスのX線回折測定結果

Claims (3)

  1. P2O5換算でリン酸を50mol%以上 75 mol%未満を含むリン酸塩系ガラスのうち37.5BaO-62.5P 2 O 5 リン酸塩系ガラスを、温度250℃以上400℃未満の条件の雰囲気で、熱水蒸気処理の圧力が、水蒸気分圧5kPa以上である熱水蒸気処理することで結晶化させた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体。
  2. P2O5換算でリン酸を50mol%以上 75 mol%未満を含むリン酸塩系ガラスのうち33BaO-66P 2 O 5 リン酸塩系ガラスを、温度250℃以上400℃未満の条件の雰囲気で、熱水蒸気処理の圧力が、水蒸気分圧1kPa以上である熱水蒸気処理することで結晶化させた熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載した熱水蒸気処理リン酸塩系結晶化ガラスからなるプロトン伝導体を用いたことを特徴とする燃料電池、ガスセンサ、湿度制御装置から選ばれる電気化学デバイス。
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