JP4462966B2 - プロトン導電体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はプロトン導電体及びその製造方法に関する。
プロトン導電体を例にとって背景技術について説明する。プロトン(水素イオン)による高い導電性をもつ、例えば室温で10−5Scm−1以上を示すような高プロトン導電性膜は、燃料電池などの隔膜(高プロトン導電性固体電解質)として、近年、有望視されている。高プロトン導電性膜を作製する方法として、通常のガラスの製法である溶融−急冷法を用いて作製する方法も考えられる。
ところが、従来のこの方法では高温で溶融するために、原料中の水分または水素イオンの大半が蒸発して失われるため、分子状の水及び水素イオンが極めて少なく、高プロトン導電性ガラスは得られない。そこで、いわゆるゾル−ゲル法を用いて、低温合成によりリン酸ジルコニウム系などの高プロトン導電性ガラスを得る方法が研究されている(特許文献1)。
特開平8−119612号公報 上記したゾル−ゲル法を用いて高プロトン導電性ガラスを作製する場合には、作製過程に極めて長時間を要するうえ、作製途中にガラスに亀裂が入りやすいため、大面積の膜や板などが得られない。
ところで、従来から実施されているガラスの製造方法は、いわゆる溶融−急冷法と言われる方法である。例えば、原料としてケイ砂、炭酸ソ−ダ、炭酸カルシウムなどの混合物を用い、これらを混合して溶融させた後、急冷固化させてガラスを得ることができる。この方法によれば、原料混合物を溶解させるために、その液相温度(融点)以上の高温に維持して調製する必要がある。
そのため、原料混合物の付着水分、含有水分、または結晶水等による水及び水素イオンは、蒸発揮散してガラス中にほとんど残存しない状態となる。したがって、従来の方法では、高プロトン導電性を示すガラスを得られなかったのである。そこで、近年、導電率10−5Scm−1以上を示すことができる高プロトン電導性ガラスを、半溶融法によりアルカリ土類金属(IIA族)と鉛(IVB族)及び亜鉛(IIB族)を含むリン酸ガラスにより実現する技術が本出願人等により開発されている。このような特性をもつガラス合成ができたのは、ガラス中に数種類の金属イオンを含ませることにより、非架橋酸素濃度を減少させ(なお、非架橋酸素の減少に伴って水素結合しているプロトン濃度が増加する)、かつ、ガラス中に多量の分子状水分子(プロトンのホッピング移動の点として働くと考えられる)の導入が成功したためであると推察される。
しかしながら、このガラスは、高プロトン導電性をもつものの、水分に対する耐久性が必ずしも充分ではない。このため、このガラスは加湿雰囲気で使用されると、長時間の連続使用には耐えるには限界がある。
また、本材料は高いプロトン電導性をもつ固体燃料電池材料であり、その基本構造はリン酸塩ガラスである。ガラスは一般的にルツボの中に原料を入れ、電気炉の中で原料を加熱するという方法で形成される。この方法によれば、まずルツボが加熱され、その後、熱導電によってルツボ内の原料が熟せられ、内部対流により全体が加熱されるという不均一過程で進行する。
上記したようにリン酸塩ガラスで形成されたプロトン導電体は、プロトン導電性を有するものの、ガラスの安定性は必ずしも充分ではない。殊に、湿分リッチな条件で使用されるときには、ガラスの安定性は必ずしも充分ではない。このためガラスの安定性が更に要請されている。また、ルツボの中に原料を入れ、電気炉の中で原料を加熱するという方法で形成されるリン酸塩ガラスでは、後述するQのリン原子を有するものではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、プロトン導電性を確保しつつガラスの安定性を向上させるのに有利な のリン原子を有するリン酸塩ガラスを含有するプロトン導電体及びその製造方法を提供することを課題とするにある。
(1)様相1に係るプロトン導電体の製造方法は、液状リン酸を主要成分とするガラス構成原料にマイクロ波を照射することにより融液を生成する工程と、その融液を凝固させて式1で示す構造におけるQ3で示すリン原子を有するリン酸化合物を含有すると共にプロトン導電性を発揮する分子状の水を有するリン酸塩ガラスを形成する工程とを順に実施し、リン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Q3で示すリン原子の数の存在率は、2原子%以上であることを特徴とするものである。以下、存在率は原子%に基づく(存在率について単に%ということもある)。
様相1に係るプロトン導電体を構成するリン酸塩ガラスは、多量の分子状の水と水素イオンとが残存したガラス状物質であり、プロトン導電性を有する。多量の分子状の水と水素イオンの量が多いほど、プロトン導電性が高い傾向が得られる。なお、通常のガラスでは、分子状の水と水素イオンはほとんど存在しない。
様相1に係るリン酸塩ガラスの製造方法によれば、式1及び/または式2で示す構造を有するリン酸化合物を含有するのに有利である。ここで、式1及び/または式2で示す構造は骨格の重合度が高いため、ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。『式1及び/または式2』とは、式1及び式2の双方を含む形態でも良いし、あるいは、式1及び式2のうちのいずれか一方を含む形態でも良いという意味である。
Figure 0004462966
Figure 0004462966
(2)様相2に係るプロトン導電体は、液状リン酸を主要成分とするガラス構成原料にマイクロ波を照射することにより融液を生成し、その融液を凝固させて形成され式1で示す構造におけるQ3で示すリン原子を有するリン酸化合物を含有すると共にプロトン導電性を発揮する分子状の水を有するリン酸塩ガラスで形成されており、リン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Q3で示すリン原子の数の存在率は、2原子%以上であることを特徴とする。
様相2に係るプロトン導電体によれば、式1及び/または式2で示す構造を有するリン酸化合物を含有するのに有利である。ここで、式1及び/または式2で示す構造は骨格の重合度が高いため、ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。
様相2に係るプロトン導電体は、多量の分子状の水と水素イオンとが残存したガラス状物質であり、プロトン導電性を有する。多量の分子状の水と水素イオンの量が多いほど、プロトン導電性が高い傾向が得られる。なお、通常のガラスでは、分子状の水と水素イオンはほとんど存在しない。
(3)様相3に係るプロトン導電体は、式1で示す構造を有するリン酸化合物を含有することを特徴とするものである。式1で示す構造は骨格の重合度が高いため、ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。湿分が高い環境でプロトン導電体が使用されるときであっても、耐久性が向上する。
なお本明細書では、式1〜式3はリン酸塩ガラスの骨格の部分構造を示す。
本発明によれば、Q3で示すリン原子を2原子%以上有するリン酸化合物を含有すると共に水を含有しており、プロトン導電性を確保しつつガラスの安定性を向上させるのに有利なプロトン導電体及びその製造方法を提供することができる。
(1)本発明の最良の形態によれば、製造過程においてマイクロ波による加熱を用いる。マイクロ波は金属のような電導体の中には進入できないが、絶縁体を透過し、このとき物質が誘電率をもっていれば、マイクロ波は吸収されて誘電損失により発熱する。したがって、マイクロ波を使えば、原料を内部から均一に短時間に全体を加熱することができる。このためプロトン導電体及びリン酸塩ガラスとして必要な水分を効率よくリン酸塩ガラスの内部に閉じ込めることができ、プロトン導電性を高めるのに有利となる。マイクロ波とは振動数が300MHzから300GHz、波長に換算すれば、1メートルから1ミリメートルの電磁波である。
またマイクロ波を使えば、原料の外部からの伝熱ではなく、原料の内部から原料を短時間に高温領域に加熱することができるため、リン酸塩ガラスの骨格の重合度を高めるのに有利である。このため、式2で示す構造を有する重合度が高いリン酸化合物を増加させるのに有利であると推察される。式2で示す構造は、Qで示されるリン原子を有する。Qで示されるリン原子は、POとして、2個のPO基に隣設する。上記した式2で示す構造は、P原子及びO原子が結合した骨格の重合度が高いため、リン酸塩ガラスの骨格が強化され、ひいては水分に対する耐久性が増加するものと推察される。
またマイクロ波を使えば、原料の外部からの伝熱ではなく、原料の内部から原料を短時間に高温領域に加熱することができるため、リン酸塩ガラスの骨格の重合度を高めるのに有利である。このため、式1で示す構造を有する重合度が高いリン酸化合物を生成させ、リン酸塩の骨格が強化され、ひいては水分に対する耐久性が増加するものと推察される。式1で示す構造は、P原子及びO原子が結合した骨格の重合度及び枝別れの度合が高いため、リン酸塩ガラスの骨格が一層強化され、ひいては水分に対する耐久性が一層増加するものと推察される。上記した式1で示す構造は、Qで示されるリン原子を有する。Qで示されるリン原子は、POとして、3個のPO基に隣設するbranchingのPO基に基づいている。
(2)各様相に係るプロトン導電体、各様相に係るリン酸塩ガラスは、好ましくは、式1で示す構造を有するリン酸化合物を含有する。式1で示す構造は重合度が高いため、ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。ここで、リン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Q で示すリン原子の数の存在率は、2原子%以上である形態を採用することができる。
式1で示す構造におけるQで示すリン原子の数の存在率としては、好ましくは、2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上である形態を採用することができる。Qで示されるリン原子は、POとして、3個のPO基に隣設する。
各様相に係るプロトン導電体、各様相に係るリン酸塩ガラスは、好ましくは、式1及び式2で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスを基材とする形態を採用することができる。式2で示す構造は、Qで示されるリン原子を有する。Qで示されるリン原子は、POとして、2個のPO基に隣設するmiddleのPO基に基づいている。式2で示す構造は重合度が高いため、ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。Q で示すリン原子の数の存在率としては、好ましくは、原子%で、2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上である形態を採用することができ、上限としては例えば80%とすることができる。
また各様相に係るプロトン導電体、各様相に係るリン酸塩ガラスは、好ましくは、式1及び式2で示す構造を有し、更に、式3で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されている形態を採用することができる。式3で示す構造は、Qで示されるリン原子を有する。Qで示されるリン原子は、POとして、1個のPO基に隣設するendのPO基に基づいている。
Figure 0004462966
更に、各様相に係るプロトン導電体、各様相に係るリン酸塩ガラスは、好ましくは、式1及び式2で示す構造を有し、更に、式3及び式4で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されている形態を採用することができる。式4で示す構造は、Qで示されるリン原子を有する。Qで示されるリン原子は、singleのPO基に基づいている。
Figure 0004462966
また各様相に係るプロトン導電体、各様相に係るリン酸塩ガラスは、好ましくは、式2及び式3で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されている形態を採用することができる。
各様相に係るプロトン導電体、各様相に係るリン酸塩ガラスは、式2で示す構造を有し、更に、式3及び式4で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されている形態を採用することができる。
(3)各様相に係るプロトン導電体によれば、好ましくは、プロトン導電率としては150℃において10−5Scm−1以上、10−4Scm−1以上である形態を採用することができる。また100℃において10−5Scm−1以上、10−4Scm−1以上である形態を採用することができる。
またリン酸塩ガラスとしては、BaO−PbO−SrO−P系、BaO−PbO−ZnO−P系、またはPbO−SrO−ZnO−P系である形態を採用することができる。この場合、例えば、15モル%BaO−10モル%PbO−5モル%SrO−70モル%P系を基本組成とする形態を採用することができる。または、10モル%BaO−10モル%PbO−10モル%ZnO−70モル%P系を基本組成とする形態を採用することができる。または、10モル%PbO−10モル%SrO−10モル%ZnO−70モル%P系を基本組成とする形態を採用することができる。
(4)各様相に係るプロトン導電体によれば、好ましくは、リン酸を主要成分とするガラス構成原料にマイクロ波を照射することにより融液を生成し、その融液を凝固させて形成されたリン酸塩ガラスで形成されている。この場合、各様相に係るリン酸塩ガラスも同様である。
マイクロ波を利用した加熱によれば、内部から短時間のうちの高温に加熱できるため、リン酸塩ガラスの骨格の重合度を向上させることができる。具体的には、上記したQ及び/またはQのリン原子の数を増加できるため、ガラス骨格を強化でき、水分に対する耐久性を高めるのに有利となる。
更に、マイクロ波を利用した加熱によれば、ガラス骨格を強化しつつ、加熱時間を短時間で行い得るため、リン酸塩ガラスの内部に水分を保持させるのに有利であり、ひいてはプロトン導電性を高めるのに有利である。
ここで、原料であるリン酸は、液状正リン酸(HPO)、液状リン酸アルミニウム等を含むことができる。これらを用いれば、リン酸塩ガラス中のHOを高濃度に保つことができる。原料となるガラス構成原料としては、1価、2価、3価、4価、5価の陽イオンを主要成分とする化合物から選択される1種または2種以上を採用することができる。化合物としては酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩化物等の1種または2種以上を採用することができる。例えば、原料としてバリウム、鉛、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、シリコンのうちの1種または2種以上を含む化合物を採用することができる。
マイクロ波加熱で形成した融液の温度としては、350〜1100℃、350〜1000℃、350〜850℃、400〜700℃等を例示できるが、これらに限定されるものではない。融液の温度が高いほど、水分が揮発し易い傾向がみられる。
この場合、リン酸塩ガラスは前述したように、好ましくは、式1で示す構造を有するリン酸化合物を含有する形態を採用することができる。ここで、リン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100%としたとき、式1で示す構造におけるQで示すリン原子の数の存在率は、好ましくは、原子%で、2%以上である形態を採用することができる。ここで、式1で示す構造におけるQで示すリン原子の数の存在率としては、原子%で、3%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上である形態を採用することができる。上限としては製造過程にもよるが、例えば80%とすることができる。
マイクロ波の照射時間(実施例での本加熱)としては、マイクロ波を発振するマイクロ波発信器の出力、マイクロ波の波長、リン酸塩ガラスの組成、要請されるプロトン導電率、要請される生産性等にもよるが、一般的には、2〜60分間、2〜30分間、3〜15分間、3〜10分間とすることができる。但しこれに限定されるものではない。マイクロ波を用いた加熱によれば、本加熱の時間を短縮できるため、ガラスの内部に水分を保持するのに有利である。
マイクロ波発信器の出力としては適宜選択され、マイクロ波の波長、リン酸塩ガラスの組成、要請されるプロトン導電率、要請される生産性等にもよるが、10W〜200kW、50W〜20kWを例示することができる。マイクロ波を照射して原料を加熱するときには、原料を収容するルツボ等の容器の開口に蓋をすることが好ましい。更に、原料を収容するルツボ等の容器にマイクロ波を照射して原料を溶融させても良い。あるいは、原料を収容するルツボ等の容器を耐火物で覆った状態で、マイクロ波を照射して原料を溶融させても良い。
本発明を具体化した実施例について説明する。まず、レンガ炉法によるガラス作成のためのマイクロ波照射条件を確立すること試験から始めた。本実施例に係るリン酸塩ガラスは炭酸バリウム(BaCO)、酸化鉛(ZnO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、リン酸(HPO)等を原料として作られたガラスである。組成は、基本的には、15モル%BaO−10モル%PbO−5モル%SrO−70モル%Pで表わすことができる。マイクロ波加熱は原料の温度が急速に上がる。このためリン酸の沸騰、炭酸塩が分解して発生するガスのため、ルツボから原料がふきこぼれてしまうことが間々ある。この対策として、ルツボに蓋をすることとし、更に、低出力のマイクロ波照射による予備加熱の後に、高出力のマイクロ波照射による本加熱とを組み合わせた2段階加熱を行なうこととした。
(原料)
本発明者が作成したのはMO−MO−MO−P系のリン酸塩ガラスであり、モル%で、15BaO−10PbO−5SrO−70Pの組成を基本とした。使用した原料は次のようにした。
炭酸バリウム(BaCO,分子量197.37)、酸化バリウム(BaO ,分子量153.33)、炭酸ストロンチウム(SrCO,分子量147.63)、酸化ストロンチウム(SrO,分子量103.62)、酸化鉛(II)(PbO,分子量223.20)、酸化亜鉛(ZnO,分子量81.39)、液状リン酸(濃度:85%,HPO,分子量98.00)
(組成)
上記した原料を用いて所定の組成となるように秤量した。この場合、原料の数の総量が16.0gになるようにした。そして、グループA〜グループDの各試料を形成した。作成したガラスのグループA〜グループDについて秤量した物質名とその量は次のようである。
グループAの試料の目標組成は、モル%で、15BaO−10PbO−5SrO−70P(炭酸塩系)とした。この場合、グループAの試料を作製する原料としては、BaCO:2.1g、PbO:1.6g、SrCO:0.5g、HPO:11.7gとした。
グループBの試料の目標組成は、モル%で、15BaO−10PbO−5SrO−70P(酸化物系)とした。この場合、グループBの試料を作製する原料としては、BaO:1.7g、PbO:1.7g、SrO:0.4g、HPO:12.2gとした。
グループCの試料の目標組成は、モル%で、10BaO−10PbO−10SrO−70P(炭酸塩系)とした。この場合、グループCの試料を作製する原料としては、BaCO:1.4g、PbO:1.6g、SrCO:1.1g、HPO:11.8gとした。
グループDの試料の目標組成は、モル%で、10BaO−10PbO一10ZnO−70Pとした。この場合、グループDの試料を作製する原料としては、BaCO:1.5g、PbO:1.7g、ZnO:0.6g、HPO:12.2gとした。
(ガラスの作製)
徐冷用の電気炉を作動させてカーボン板を敷いた。ガラスをサンプル瓶に移したときに瓶が割れないように、瓶も電気炉にいれた。次に、秤量した原料をアルミナ製のルツボに投入した。グループBの試料については、吹きこぼれを抑えるべく、以下の順序で原料をルツボに入れた。HPO→BaO→PbO→SrOの順に投入した。次に、ガス抜きをするために数分間放置した。グループBの試料については7分間放置した。
図1はルツボ10がレンガ炉20に装入されている状態を示す。そしてルツボ10の開口に蓋12をした後、穴21を空けた保温用レンガ炉20(イソライト製)の炉室にそのルツボ10を装入した。更にそのレンガ炉20の開口をレンガ蓋23で閉じた。次に、原料を保持したルツボ10が装入されているレンガ炉20を電子レンジ28内に装入した。そして、電子レンジ28を作動させてマイクロ波(振動数:2.45GHz)をレンガ炉20ごと照射し、ルツボ10内の原料を加熱した。この場合、予備加熱を目的とするマイクロ波照射を200Wで5分間行い、その後、本加熱を目的とするマイクロ波照射を700Wで8分間行った。ルツボ10内の原料をレンガ炉20ごと照射するのは、主として、電子レンジ28内に原料をセットする位置のバラツキをレンガ炉20によって抑えるため、レンガ炉20により原料を均一加熱するためである。
ルツボ10に原料を入れて、予備加熱すると、リン酸がある程度重合して、粘性が高くなり、吹きこぼれを抑えることができる。これらを考慮して、マイクロ波照射による予備加熱を出力200W,照射時間5分と決定した。グループA〜グループDの各試料について、本加熱の時間を表1に示すように4分〜13分の間で変化させた。
Figure 0004462966
上記したようにマイクロ波による本加熱を行ない、ルツボ10内でガラス融液を生成した。その後、電子レンジ28から取り出したレンガ炉20を開放し、ルツボ10内のガラス融液をサンプル瓶に流し込んで型取りした。次に、そのガラスが入った瓶を電気炉に入れ、ガラスに対して200℃から常温まで徐冷を行った。徐冷時間は4〜5時間とした。この場合、グループBの試料については、その組成を考慮し、260℃から常温まで徐冷を行った。このようにして各試料を作製した。図2は実施例の製造方法の手順のフローチャートを示す。
(含水率)
一般的には、燃料電池は、リン酸塩ガラスを基材とする固体電解質の中をプロトンがアノードからカソードに移動することによって発電する。このとき固体電解質を構成するガラスの中に存在する水分がプロトン移動をアシストする役目を果たすと考えられている。したがって、水分を多く含むガラスが要求される。ここで、試料の含水率はリン酸塩ガラスに対して一般的に用いられているZnO法により測定した。
即ち、試料A8の場合には、試料A8を構成するガラス試料を粉砕器により粉砕し、0.5025g秤量し、これの3倍モル量より少し多めのZnOの0.8902gと合わせて恒量した白金ルツボに入れた。そして、10℃/分の加熱速度で700℃まで昇温し、50分間保持した。このとき、化学反応により、ガラス中にふくまれる水分が揮発する。その後、ガラスを室温にもどし、白金ルツボの恒量値を測定した。始めと終わりの恒量値の差から、試料A8の含水率は6.1%であると見積もられた。
具体的には、{ガラス+ZnO+ルツボ}の加熱前の重量−{ガラス+ZnO+ルツボ}の加熱後の重量をXとした。重量比で、含水率(%)は(X/加熱前のガラス)×100%とした。
ここで、含水率は、水分を含んだガラスの骨格を100%としたとき、ガラスの骨格に保持される水分の重量割合を意味する。本実施例に係る試料では、含水率はマイクロ波による加熱時間によるが、0.4〜10%に相当すると考えられる。これは、電気炉法の場合よりも、マイクロ波加熱の場合には短時間に高温まで加熱してガラス形成ができるので、効率よく水分をガラス中に閉じ込めることができるためと考えられる。
なお、電気炉法の場合よりも、マイクロ波加熱法の方がガラスに含まれている水分は多めであるため、プロトン導電性を高めるのに有効であると推察される。
(ガラスの安定性試験)
プロトン導電体の主な用途である燃料電池は、一般的には、100〜400℃の温度範囲で作動させることを目的としており、カソード側に供給される酸素源として空気が用いられるので、高温下での空気(特に水分)中での形状の安定性が重要である。このため、試料を構成するガラスの形状の安定性を評価する加湿試験を形状安定性試験として行った。この場合、エアバスを用い、エアバスの温度を200℃に保持した。そして、水中をバブリングしながら通した飽和蒸気圧の水分を含む空気をエアバスに約2時間流してエアバスの温度を安定させた。その後、時計皿にのせた試料をエアバスの中に入れ、200℃で24時間後に取り出し、試料の形状がどのように変化するか観察した。○は良好、◎は大変良好、×は不良とした。
表2は、上記したA4,A8,A12,B4,B8,B12,C4,C8,C12,D4,D8,D12の試料に対する加湿試験後の形状変化を観察した結果を示す。比較例として、電気炉法で作成した試料の結果も併せて示す。電気炉法で作成した比較例に係る試料は、水分を吸って大きく形が崩れたことから、高温多湿に弱いことがわかる。これに対して、ガラス形成温度を電気炉法と同じ温度に設定しつつも、マイクロ波加熱法で作成した炭酸塩系の試料A8と、酸化物系の資料B8は、高温多湿に対して安定性が高いことがわかった。
A12,B12,C12,D12の各試料が安定性にすぐれているのは、本加熱のマイクロ波照射時間が12分間とかなり長めであるため、かなり高温(おそらく1000℃くらいまで上がっている)でガラス形成がなされているので、強固な骨格をもつガラスができているためと考えられる。結論的には、電気炉法で形成した比較例に係るガラスよりも、マイクロ波加熱法で作成した実施例に係るガラスの方が形状安定性に優れているといえる。
Figure 0004462966
(組成分析)
上記したA8,B8の試料について組成分析を行った。この場合、蛍光X線分析装置(RIX2100 理学電気工業株)を用いた。表3は組成分析緒果を示す。分析結果によれば、多少の相違はあるものの、目標通りの組成が得られた。
Figure 0004462966
(固体核磁気共鳴)
31P−NMRの測定は、固体核磁気共鳴装置(31P MAS NMR,日本電子EX-270FTNMR)を用いて行った。この場合には、粉砕したガラス試料約0.2gをサンプルホルダーに入れ、MAS法により109.25MHの共鳴周波数を用いて1000−2000回積算することにより測定した。2次標準物質として(NHHPO(1.33ppm)を用いた。観測核パルス幅を4.3〜4.6μmとし、パルス間隔を8秒、ダミー回数を4回とした。
31P−NMRスペクトル図は図3〜図7に示されている。NMRスペクトル図の横軸はδ値を示し、縦軸は強度を示す。図3は電気炉法で作成した比較例に係る試料のスペクトル図を示す。図4はマイクロ波加熱で作成した試料A6(700W×6分照射〉を示す。図5は試料A10(700W×10分照射)の試料を示す。図6は試料B4(700W×4分照射)の試料を示す。図7は試料B9(700W×9分照射)の試料を示す。
図3に示されるように、電気炉法で作成した比較例に係る試料には、Q,Q,Qで示した3つのピークが観測されたが、Qは観測されなかった。
これらのピークはリン原子の結合状態を反映したもので、Qは、式4に示すように、オルトリン酸塩構造におけるsingle POに基づいている。Qは、式3に示すように、ピロリン酸塩構造のend POに基づいている。Qは、式2に示すように、ポリリン酸塩構造のmiddle PO に基づいている。またQは、式1に示すように、ウルトラリン酸塩構造のbranching PO に基づいている。なお、Q,Q,Q,Qの順にスペクトル図におけるピーク幅が増加する傾向がある。
図4に示されるように、マイクロ波加熱で作成された試料には、Q,Q,Qのピークに加えて、ウルトラリン酸塩構造におけるbranching POに基づくQのシグナルが波形におけるショルダーとしてスペクトル波形図において新たに観測された。このようなQの観測は、リン酸塩ガラス系では初めてである。Qのシグナルが観察されるということは、式1に示すように、枝分かれ構造、つまり、3次元的な網目構造をもって高度に重合したリン酸塩ガラスが形成されていることを意味している。故に、苛酷な加湿条件においてもガラスの形状安定性が確保できることを意味すると考えられる。
さらに、図5に示されるように、マイクロ波の照射時間を長くすると、Qに相当するショルダーの幅が増加していた。これは温度上昇に伴い、branching pointをより多く含んだガラスが形成され、Qの存在率が増大したものと考えられる。
更に、図6に示されるように、Q,Q,Qのピークに加えて、Qのシグナルが波形におけるショルダーとしてスペクトル図において観測された。図7に示されるように、マイクロ波加熱で作成された試料Bには、Q,Q,Qのピークに加えて、Qのシグナルがダブルピークとしてはっきり識別できるほどの強度をもつスペクトル波形図において観測された。
図8は、比較例の試料、グループAの試料のガラス内においてQ,Q,Q,Qの形態のリン原子の数の存在率を示す。図9は、グループBの試料のガラス内においてQ,Q,Q,Qの形態のリン原子の数の存在率を示す。図10は、グループCの試料のガラス内においてQ,Q,Q,Qの形態のリン原子の数の存在率を示す。図11は、グループDの試料のガラス内においてQ,Q,Q,Qの形態のリン原子の数の存在率を示す。
この場合、NMRで測定したスペクトルの面積比を百分率に変換して存在率を求めた。存在率はリン原子の原子%を意味する。ここで、図8〜図11において、Qの存在率は、試料を構成するリン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Qとして示すリン原子の原子%を示す。Qの存在率は、試料を構成するリン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Qとして示すリン原子の原子%を示す。Qの存在率は、試料を構成するリン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Qとして示すリン原子の原子%を示す。Qの存在率は、試料を構成するリン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Qとして示すリン原子の原子%を示す。
図8に示すように、比較例の試料によれば、Qの存在は認められなかった。比較例の試料によれば、Qの存在率は60%、Qの存在率は19%、Qの存在率は21%であった。これに対して図8に示すように、グループAの試料によれば、Qの存在率は10〜38%程度であった。更に、Qの存在率も高いものであったが、Qの存在率は低めであった。またQも存在していた。
図9に示すように、グループBの試料によれば、Qの存在率は22〜58%程度であった。Qの存在率も高いものであったが、Qの存在率は低めであり、ほとんどないものもあった。またQも存在していた。
図10に示すように、グループCの試料によれば、Qの存在率は0〜23%程度であった。Qの存在率も高いものであった。更にQ及びQも存在していた。
図11に示すように、グループDの試料によれば、Qの存在率は本加熱の加熱時間が9分間の試料については、Qの存在率は10%程度であったが、他の試料については、Qの存在率は低いか、認められないものであった。但しQの存在率が高かった。Q及びQも存在していた。このようにマイクロ加熱は、Qが出現しないときには、Qの存在率の増加に寄与すると推察される。
上記した結果を考慮すると、グループAの試料、グループBの試料、グループCの試料については、マイクロ波加熱は一般的にはQの存在率を高めるのに有効であると言える。このようにQの存在率が高いと、リン酸化合物の構造が三次元的になり易く、ガラスの骨格の強化を期待できる。これにより苛酷な加湿条件においても、ガラスの安定性を高めることができる。
(プロトン導電率)
上記した試料についてプロトン導電率を測定した。この場合、ガラスをマイクロカッターで厚さ1ミリメートルにカットし、試験片を形成した。ガラスの直径は15ミリメートルとした。マスキングテープに穴をあけて、ガラスの両面にマスキングテープを貼り付ける。穴の直径は6ミリメートルとした。その後、ガラスに金が着かないようにその他の面にテープを貼着した。試験片に対して金のスパッタリングにより試料に成膜した。成膜時間は5分間とした。
そして、銀ペーストでリード線を取り出し、交流インピーダンス法により導電率を測定した。図12は、試料A13の導電度について50℃〜150℃までの温度変化の緒果を示す。プロトン導電率σとしては10−5Scm−1以上であった。試料A13は700W×13分間のマイクロ波照射(本加熱)で作成されており、かなり高温でガラス化しているので、水分がかなり蒸発して、プロトン導電率としては必ずしも高くないといえる。マイクロ波照射がもっと短い時間の照射であれば、試料の内部にはより多くの水分が含まれているため、より高い導電率を期待できる。
(適用例1)
図13は燃料電池に適用した適用例1を示す。図13に示すように、本適用例に係る燃料電池は、プロトン導電性を有する板状または膜状の電解質相31と、電解質相31の厚み方向の片側に設けられ発電用燃料である水素含有ガスが供給される多孔質の燃料極32と、電解質相31の厚み方向の他の片側に設けられ発電用酸化剤としての酸素含有ガス(一般的には空気)が供給される多孔質の酸化剤極33と、水素含有ガスを燃料極32に供給する通路状の燃料供給部34と、酸素含有ガス(空気など)を酸化剤極33に供給する通路状の酸化剤供給部35とを具備する。
電解質相31は、分子状の水及び水素イオンを多量に含む上記した実施例に係る高プロトン導電性を有するリン酸塩ガラスで構成されている。水素含有ガスが燃料供給部34を経て燃料極32に供給されると共に、酸素含有ガス(一般的には空気)が酸化剤供給部35を経て酸化剤極33に供給されると、発電反応が生じる。発電された電力は、導電経路36xを経て接続された負荷36を介して取り出される。
(適用例2)
図14は適用例2を示す。本適用例に係る水素センサは、プロトン導電性を有する板状または膜状の電解質相51と、電解質相51の厚み方向の片側に設けられ第1水素含有物質としての第1水素含有ガスが供給される第1電極52と、電解質相51の厚み方向の他の片側に設けられ別の水素含有物質としての第2水素含有ガスが供給される第2電極53とをもつ。電解質相51は、分子状の水及び水素イオンを多量に含む上記した実施例に係る高プロトン導電性を有するガラス体で形成されている。
第1電極52は、白金を担持したカーボンと、白金網からなる集電体で形成されている。第2電極53は、同様に、白金を担持したカーボンと、白金網からなる集電体で形成されている。第1電極52は導電経路52xを介して起電力測定装置69(一般的には電圧計)に接続されていると共に、第2電極62は導電経路62xを介して起電力測定装置69に接続されている。
第1内管57の通路57xは 第1水素含有物質としての第1水素含有ガスを第1電極52に供給する。第1電極52に供給された第1水素含有ガスは、第1内管57の外側に配置された第1外管58の通路58xを経て外部に吐出される。
第2内管67の通路経路67xは 第2水素含有物質としての第2水素含有ガスを第2電極53に供給する。第2電極53に供給された第2水素含有ガスは、第2内管67の外側に配置された第2外管68の通路経路68xを経て外部に吐出される。なお、第1内管57、第1外管58、第2内管67、第2外管68は、セラミックス製である。
使用時には、高温の第1水素含有ガスが第1内管57の通路57xに供給されると共に、高温の第2水素含有ガスが第1内管67の通路67xに供給される。すると、第1水素含有ガスの水素分圧(水素濃度)及び第2水素含有ガスの水素分圧(水素濃度)に基づいて、起電力が発生する。起電力の大きさは、基本的には、物理化学におけるネルンストの式に基づく。起電力は起電力測定装置69により測定される。水素センサの使用の際には、第1水素含有ガス及び第2水素含有ガスのうちのいずれを一方を、基準物質としても用い、他方を測定用ガスとする。
本明細書から次の技術的思想も把握できる。(a)様相aに係るリン酸塩ガラスの製造方法は、リン酸を主要成分とするガラス構成原料にマイクロ波を照射することにより融液を生成する工程と、その融液を凝固させてリン酸塩ガラスを形成することを特徴とするものである。様相aに係るリン酸塩ガラスの製造方法によれば、式1及び/又は式2で示す構造を有するリン酸化合物を含有するのに有利である。ここで、式1及び/または式2で示す構造は骨格の重合度が高いため、ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。様相aに係るリン酸塩ガラスは、好ましくは、多量の分子状の水と水素イオンとが残存したガラス状物質であり、プロトン導電性を有することができる。なお、様相aに係るリン酸塩ガラスによれば、プロトン導電性を実質的に示さないものでも良い。
(b)様相bに係るリン酸塩ガラスは、式1で示す構造を有するリン酸化合物を含有することを特徴とするものである。式1で示す構造は重合度が高いため、リン酸塩ガラスの骨格の耐久性を向上させるのに有利となる。故に、湿分が高い環境でリン酸塩ガラスが使用される場合であっても、耐久性が向上する。なお、様相bに係るリン酸塩ガラスによれば、プロトン導電性を示すものでも良いし、あるいは、式1で示す構造を有するリン酸化合物を含有しており骨格が強化されている限り、プロトン導電性を実質的に示さないものでも良い。
本発明は水素検知器、水素燃料電池用の固体電解質、エレクトロクロミック表示素子用の固体電解質、水素ガスセンサー、水素濃淡電池、水素分離膜などのプロトン(水素イオン)の移動性が要請される用途に使用できる。
マイクロ波を照射している状態を模式的に示す概念図である。 ガラスを作製する手順を示すフローチャートである。 比較例に係るNMRのスペクトル図である。 グループAに係る試料A6(本加熱時間6分間)のNMRのスペクトル図である。 グループAに係る試料A10(本加熱時間10分間)のNMRのスペクトル図である。 グループBに係る試料B4(本加熱時間4分間)のNMRのスペクトル図である。 グループBに係る試料B9(本加熱時間9分間)のNMRのスペクトル図である。 グループAに係る試料においてQ,Q,Q,Qのリンの存在率を示すグラフである。 グループBに係る試料においてQ,Q,Q,Qのリンの存在率を示すグラフである。 グループCに係る試料においてQ,Q,Q,Qのリンの存在率を示すグラフである。 グループDに係る試料においてQ,Q,Q,Qのリンの存在率を示すグラフである。 試料A13のプロトン導電率と温度との関係を示すグラフである。 適用例1に係り、燃料電池の概念図である。 適用例2に係り、水素センサの概念図である。
図中、10はルツボ、20はレンガ炉、28は電子レンジを示す。

Claims (12)

  1. 液状リン酸を主要成分とするガラス構成原料にマイクロ波を照射することにより融液を生成する工程と、その融液を凝固させて式1で示す構造におけるQ3で示すリン原子を有するリン酸化合物を含有すると共にプロトン導電性を発揮する分子状の水を有するリン酸塩ガラスを形成する工程とを順に実施し、
    リン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Q3で示すリン原子の数の存在率は、2原子%以上であることを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
    Figure 0004462966
  2. 請求項1において、式1及び式2で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されていることを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
    Figure 0004462966
  3. 請求項1または2において、式1及び式2で示す構造を有し、更に、式3で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されていることを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
    Figure 0004462966
  4. 請求項1〜請求項のうちのいずれか一項において、BaO−PbO−SrO−P系、BaO−PbO−ZnO−P系、またはSrO−PbO−ZnO−P系であることを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、プロトン導電率は、150℃において10 −5 Scm −1 以上、または、100℃において10 −5 Scm −1 以上であることを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項において、プロトン導電体の含水率は重量比で0.4〜10%であることを特徴とするプロトン導電体の製造方法。
  7. 液状リン酸を主要成分とするガラス構成原料にマイクロ波を照射することにより融液を生成し、その融液を凝固させて形成され式1で示す構造におけるQ3で示すリン原子を有するリン酸化合物を含有すると共にプロトン導電性を発揮する分子状の水を有するリン酸塩ガラスで形成されており
    リン酸塩ガラスにおけるリン原子の数の総量を100原子%としたとき、Q3で示すリン原子の数の存在率は、2原子%以上であることを特徴とするプロトン導電体。
    Figure 0004462966
  8. 請求項において、式1及び式2で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されているプロトン導電体。
    Figure 0004462966
  9. 請求項7または8において、式1及び式2で示す構造を有し、更に、式3で示す構造を有するリン酸化合物を含有するリン酸塩ガラスで形成されていることを特徴とするプロトン導電体。
    Figure 0004462966
  10. 請求項〜請求項のうちのいずれか一項において、BaO−PbO−SrO−P系、BaO−PbO−ZnO−P系、またはSrO−PbO−ZnO−P系であることを特徴とする
    プロトン導電体。
  11. 請求項7〜請求項10のうちのいずれか一項において、プロトン導電率は、150℃において10 −5 Scm −1 以上、または、100℃において10 −5 Scm −1 以上であることを特徴とするプロトン導電体。
  12. 請求項7〜請求項11のうちのいずれか一項において、プロトン導電体の含水率は重量比で0.4〜10%であることを特徴とするプロトン導電体。
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