JP4726036B2 - プロトン伝導性固体電解質膜およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶性層状リン酸スズをプロトン伝導体とするプロトン伝導性固体電解質膜およびそれを用いた燃料電池に関し、さらに詳しくは、100℃以上の温度領域においても優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性固体電解質膜およびそのプロトン伝導性固体電解質膜の有する特性を生かした燃料電池に関する。
近年、クリーンエネルギー源としての燃料電池が注目されている。この燃料電池としては、リン酸塩型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCMF)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)などが知られている。それらの中でも、固体高分子型の燃料電池は、常温作動が可能なことから、小型機器用電池として注目を浴びている。
固体高分子型燃料電池は、(1)作動温度が低く取扱が容易、(2)電流密度が高く小型化が可能、(3)発電効率が高い、(4)電解質が固体であるため、メンテナンスが容易で長寿命が期待できる、(5)NOx 、SOx などの排出がなく、環境特性に優れる、などの利点を有しており、自動車用をはじめ定置型発電機として期待されている。
しかしながら、現行の固体高分子型燃料電池は、その名称のように電解質が固体高分子材料で構成されていて含水状態でのみ動作するため、加湿などの水分管理が必要であり、また、通常80℃以上では、固体高分子膜の含水率が低下して、プロトン伝導に必要な含水率を維持できないことと、有機材料のために長期間にわたって高温にさらすと熱劣化が生じるため、使用できないという問題があった。さらに、80℃より低い温度で作動させた場合は、電極触媒の白金の一酸化炭素による被毒が大きいという問題もあった。
これらの問題に対応するため、80℃以上特に100℃以上の温度領域でも使用できる固体電解質材料の開発が望まれており、また、種々の材料も提案されている。
これまでのプロトン伝導体に関する研究では、主として現在使用されているフッ素樹脂系陽イオン交換膜(例えば、デュポン社製の商品名ナフィオン)の耐熱性向上や他の耐熱性高分子の使用などが中心であり、さらなる耐熱性向上のため、各種無機系材料も検討されている。
例えば、無機系材料としては、周期表の第5A属元素を含むリン酸−シリカ系複合酸化物が、200〜250℃の温度領域でもプロトン伝導性を示すことが報告されている。
特開2003−187635号公報
また、リン酸アルミニウムやα−リン酸ジルコニウムをメカニカルミリング処理し、プロトン伝導性を向上させる方法も提案されている。
特開2003−281931号公報
しかしながら、この場合は、耐湿性が充分でなく、現在のところ、実用化に至っていない。
また、金属のリン酸塩、バナジウム酸塩、タングステン酸塩、ヒ素酸塩、モリブデン酸塩などを燃料電池用のイオンキャリア膜として使用することも古くから提案されていて、その中には、リン酸スズも例示されている。
英国特許第1,110,425号明細書
この特許文献3は、リン酸スズの構造、特性などに関する詳細な記載をしていないものの、1963年の出願に係るものであって、その当時のリン酸スズの製造にあたって採用されていた沈殿法では、結晶性層状リン酸スズを製造することができなかったため、この特許文献3に記載のリン酸スズは非層状構造のリン酸スズと考えられ、そのような非層状構造のリン酸スズは、後記の比較例1でも示すように、充分なプロトン伝導性を有していないという問題があった。
次世代燃料電池として期待される固体高分子型燃料電池については、定置型、自動車用ともに開発が進められているが、大幅な普及のためには高温で作動できる固体電解質膜と、コストダウンのために白金を極端に減らした電極の開発が最重要課題とされている。
従って、燃料電池用の固体電解質膜としては、そのプロトン伝導性がこれまでのように80℃以下の低温で発揮されるだけでなく、100℃以上の乾燥雰囲気中においても、プロトン伝導性が発揮される必要がある。
また、燃料電池の燃料としては水素が理想的であるが、実際にはメタノール、ガソリン、天然ガスなどを改質し、取り出した水素を使用する必要がある。上記改質方法としては、通常水蒸気改質法と部分酸化法とが採用されているが、これらの改質系水素燃料では、程度の差はあるものの、一酸化炭素(CO)が副生するため、電極触媒に使用される白金に一酸化炭素による被毒が生じ、電極の機能が低下するという問題がある。特に100℃以下の低温領域では、その影響が大きいため、燃料中の一酸化炭素の濃度を抑制することや一酸化炭素を除去することが必要であり、一酸化炭素の濃度を10ppm以下にすることが好ましいと言われている。この一酸化炭素による白金電極の被毒は、温度が高いほど抑制されるとされていることから、100℃以上で使用可能なプロトン伝導体を開発すれば、一酸化炭素による電極の被毒問題を解決できると考えられる。
従って、本発明は、燃料電池に使用する従来のプロトン伝導体の問題点を解決し、かつ、従来とは異なる手段で、100℃以上での温度領域でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性固体電解質膜を提供し、それによって、電極の被毒が少なく、優れた特性が発揮できる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、Sn/Pのモル比が0.3〜0.8の結晶性層状リン酸スズをプロトン伝導体として用い、プレスして膜を作製し、交流インピーダンス法によりそのプロトン伝導性を評価したところ、この結晶性層状リン酸スズをプロトン伝導体とする膜が100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても優れたプロトン伝導性を示すことを見出し、本発明を完成するにいたった。
上記結晶性層状リン酸スズは、その結晶構造において層状構造を有するリン酸スズであるが、この結晶性層状リン酸スズが、100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても優れたプロトン伝導性を示す理由については、現在のところ必ずしも明確ではないが、結晶性層状リン酸スズの層間に存在する結晶水と、骨格のリン酸基との相互作用により、プロトンを効率よく伝導させることによるものと考えられる。
本発明によれば、100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性固体電解質膜を提供することができる。例えば、本発明のプロトン伝導性固体電解質膜は、100℃、150℃、200℃において10-3S/cm以上のプロトン伝導性を示し、その優れたプロトン伝導性は乾燥した条件下においても大幅に低下することがなく、もとより、80℃においても10-3S/cm以上のプロトン伝導性を示すことができる。
そして、本発明のプロトン伝導性固体電解質膜を用いることにより、電極の被毒が少なく、優れた特性を発揮できる燃料電池を提供することができる。
本発明において用いる結晶性層状リン酸スズは、例えば、本出願人の出願に係る特許第3004291号公報に記載の方法によって製造することができる。
この特許第3004291号公報では、例えば、4価のスズ化合物とリン酸源とを、P2 5 /SnO2 のモル比に換算して0.5〜2.5の割合で混合して、100℃〜300℃で、水蒸気を吹き込みながら常圧下で反応させることによる結晶性層状リン酸スズを製造することができる。
また、結晶性層状リン酸スズは、上記以外にも、特開平8−165109号公報記載の方法で合成できるし、それ以外にも、例えば、水熱合成法、リン酸環流法、フッ素化錯体法などによっても合成することができる。
本発明において用いる結晶性層状リン酸スズは、例えば、化学量論比でSnとHPO4 とが結合した状態の組成式で示すと、Sn(HPO4 2 ・H2 OやSn(HPO4 2 ・2H2 Oなどで表され、固体酸性物質であって、リン酸性のプロトンと層間に結晶水を保持した構造を有している。ただし、SnとHPO4 とは必ずしも化学量論比で結合していることは要求されず、本発明で用いる結晶性層状リン酸スズは、Sn/Pのモル比に関して、0.3〜0.8の範囲内にあればよい。これは、Sn/Pのモル比が0.3より小さい場合は、上記結晶性層状リン酸スズの結晶性が非常に悪くなり、有効なプロトン伝導性を有しない無定型リン酸スズの割合が増加し、また、Sn/Pのモル比が0.8より大きい場合は、Sn3 (PO4 2 など他の結晶性成分の割合が増加して、結晶性層状リン酸スズの生成割合が低下してプロトン伝導性が低下するが、Sn/Pのモル比が0.3〜0.8の範囲では、100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても優れたプロトン伝導性を示すからである。そして、このSn/Pのモル比としては、特に0.4〜0.6の範囲が好ましい。
上記結晶性層状リン酸スズは、粉体で得られるので、微粉末状にし、それのみで成形することが可能であるし、また、他の粉体状のプロトン伝導体と混合したり複合化して使用することも可能であり、さらには、バインダーと混合して使用することも可能である。
燃料電池における固体電解質として用いるには、対象材料を薄膜化する必要があるが、上記のように結晶性層状リン酸スズは微粉末状にすることが可能であることから、圧縮成型により容易に膜化できる。また、膜強度を高めるためには通常有機系または無機系のバインダーが混合されるが、結晶性層状リン酸スズはそれらのバインダーとの親和性がよく、それらのバインダーの使用によって膜強度を高めることができる。ただし、本発明のプロトン伝導性固体電解質膜においては、その特性を適正に発揮させるために、結晶性層状リン酸スズを50質量%以上含有していることが好ましく、例えば、後記の実施例でも示すように、結晶性層状リン酸スズだけでプロトン伝導性固体電解質膜を構成してもよい。
上記有機系バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂などを用いることができ、無機系バインダーとしては、例えば、ケイ酸塩、リン酸塩などを用いることができる。さらに、パーフルオロスルホン酸膜(具体的製品名としては、デュポン社製ナフィオン)などもバインダーとして用いることができる。
一般に、リン酸スズとしては、2価のSn(2+)と4価のSn(4+)の塩が知られており、2価のSn(2+)塩としては、オルトリン酸のSn3 (PO4 2 、SnHPO4 、Sn(H2 PO4 2 などやピロリン酸塩のSn2 2 7 、メタリン酸塩のSn(PO3 2 などが知られており、4価のSn(4+)塩としては、オルトリン酸のSn3 (PO4 4 、Sn2 O(PO4 2 、Sn(HPO4 2 ・H2 O、Sn(HPO4 2 ・2H2 Oなどやピロリン酸塩のSn2 2 7 、メタリン酸塩のSnH2 2 8 などが知られている。
これらのリン酸スズを製造する場合、例えば、リン酸やリン酸ソーダなどの水溶液と塩化スズなどの可溶性スズ塩とを混合して反応させると無定型リン酸スズが得られ、また、リン酸と水酸化スズとの加熱焼成法によっても無定型または非層状構造のリン酸スズを得ることができる。しかしながら、本発明で用いる結晶性層状リン酸スズは、これらの方法によっては製造することができず、また、先に特許文献3として示した英国特許第1,110,425号明細書では、その出願日から推定して、上記のような非層状構造のリン酸スズを得ていたものと推測される。
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいて、溶液の濃度を示す%は、特にその基準を付記しないかぎり、質量%である。
実施例1
結晶性層状リン酸スズの合成例1
塩化第2スズ(SnCl4 :試薬一級)43.3gを純水500mlに溶解し、これとは別にリン酸ナトリウム(Na2 HPO4 ・12H2 O:試薬一級)143.2gを純水500mlに溶解させた。上記塩化第2スズ溶液を攪拌しつつ、その中に上記リン酸ナトリウム水溶液を滴下して沈殿物を得た。ろ別後、沈殿物を磁性ルツボに入れ、そこに85%リン酸11.3gを加えて攪拌した後、ルツボを200℃に温度設定した電気炉に入れ、200℃に加熱した水蒸気を吹き込み、水蒸気の存在下で、200℃で4時間反応させた。反応後、水洗し、60℃にて乾燥した。得られた反応物の粉末X線回折プロファイルを調べたところ、Sn(HPO4 2 ・H2 OのX線回折プロファイルと一致したことから、得られた物質は結晶性層状リン酸スズであることが確認された。
また、上記反応物に対して蛍光X線分析による元素分析を行ったところ、Sn/Pのモル比は0.51であった。
プロトン伝導性固体電解質膜の作製
上記合成例1で得られた層状リン酸スズ粉体を、400MPaの圧力で一軸加圧成型してプロトン伝導性固体電解質膜を作製し、その両面に真空下でAuを蒸着して試験用サンプルとした。
プロトン伝導率の測定(交流インピーダンス法)
上記プロトン伝導性固体電解質膜の試験用サンプルを、温度150℃で、各相対湿度の環境下(数%から95%まで相対湿度を徐々に上昇させてゆきながら測定)にて、交流インピーダンス法により導電率を測定した。すなわち、交流電圧印加時の応答電流より複素平面インピーダンスプロットを得、電解質と電極との抵抗成分を分離することにより、上記試験用サンプル中の結晶性層状リン酸スズの抵抗の実数成分を求めて導電率に換算した。測定には、横川ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザ、4192Aを用い、周波数域は5Hz〜13MHz、印加電圧は0.1Vで測定を行った。この温度150℃での各相対湿度下における導電率を表1に示す。
また、同様の試験用サンプルを用いて、温度75℃における各相対湿度下(100%から0%へ相対湿度を減少させていきながら測定)の導電率を測定した。その結果を表2に示す。
なお、導電率〔log(σ/Scm-1)〕は、その値が大きいほど、すなわち、マイナス(−)が付いた状態ではその数値そのものが小さいほど、導電率が高いことを示し、固体電解質膜としての特性が優れている。
Figure 0004726036
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表1に示すように、実施例1のプロトン伝導性固体電解質膜は、150℃という高温でしかも相対湿度が5%という乾燥した条件下においても、−3.1log(σ/Scm-1)という高い導電率を示し、100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても高いプロトン伝導性を有していた。
また、表2に示すように、実施例1のプロトン伝導性固体電解質膜は、75℃で相対湿度が0%という乾燥した条件下においても、−3.2log(σ/Scm-1)という高い導電率を示し、乾燥した条件下においても高いプロトン伝導性を有していた。
実施例2
メタスズ酸(H2 SnO3 :日本化学産業社製)33.7gを磁製ルツボに入れ、そこに85%リン酸46.0gを加え、ガラス棒で攪拌しながら、180℃に設定したホットプレート上で15分間反応させた。その後、ルツボを180℃に温度設定した電気炉に入れ、180℃に加熱した水蒸気を吹き込み、水蒸気の存在下で、180℃で15時間反応させた。
得られた反応物を水洗し、60℃にて乾燥した。乾燥後の反応物の粉末X線回折プロファイルを調べたところ、主たる結晶性成分がSn(HPO4 2 ・H2 OのX線回折プロファイルと一致したことから、得られた物質は結晶性層状リン酸スズであることが確認された。
また、上記反応物に対して蛍光X線分析による元素分析を行ったところ、Sn/Pのモル比は0.45であった。
この実施例2で得られた結晶性層状リン酸スズを用いて固体電解質膜を実施例1と同様に作製し、そのプロトン伝導率を実施例1と同様に測定した。その結果を表3と表4に示す。
Figure 0004726036
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表3に示すように、実施例2のプロトン伝導性固体電解質膜は、150℃という高温でしかも相対湿度が5%という乾燥した条件下においても、−3.0log(σ/Scm-1)という高い導電率を示し、100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても高いプロトン伝導性を有していた。
また、表4に示すように、実施例2のプロトン伝導性固体電解質膜は、75℃で相対湿度が0%という乾燥した条件下においても、−3.3log(σ/Scm-1)という高い導電率を示し、乾燥した条件下においても高いプロトン伝導性を有していた。
実施例3
結晶性層状リン酸スズの合成例3:〔環流法による合成例)
塩化第2スズ(SnCl4 :試薬一級)13.0gを純水100mlに溶解し、これとは別にリン酸ナトリウム(Na2 HPO4 ・12H2 O:試薬一級)39.4gを純水100mlに溶解させた。上記塩化第2スズ水溶液を攪拌しつつ、その中に上記リン酸ナトリウム水溶液を滴下し、沈殿物を得た。
沈殿物をろ別した後、500mlのガラス製ナス型フラスコに入れ、そこに85%リン酸100gを加え、冷却管をつなぎ、マントルヒーターにて加熱し環流させた。その際の温度は約140℃であり、50時間連続的に加熱を継続した。
環流反応後、得られた反応物を水洗し、60℃にて乾燥した。乾燥後の反応物の粉末X線回折プロファイルを調べたところ、主たる結晶性成分がSn(HPO4 2 ・H2 OのX線回折プロファイルと一致したことから、得られた物質は結晶性層状リン酸スズであることが確認された。
また、上記反応物に対して蛍光X線分析による元素分析を行ったところ、Sn/Pのモル比は0.55であった。
この実施例3で得られた結晶性層状リン酸スズを用いて実施例1と同様に固体電解質膜を作製し、そのプロトン伝導率を実施例1と同様に測定した。その結果を表5と表6に示す。
Figure 0004726036
Figure 0004726036
表5に示すように、実施例3のプロトン伝導性固体電解質膜は、150℃という高温でしかも相対湿度が5%という乾燥した条件下においても、−3.3log(σ/Scm-1)という高い導電率を示し、100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても高いプロトン伝導性を有していた。
また、表6に示すように、実施例3のプロトン伝導性固体電解質膜は、75℃で相対湿度が0%という乾燥した条件下においても、−3.5log(σ/Scm-1)という高い導電率を示し、乾燥した条件下においても高いプロトン伝導性を有していた。
比較例1
リン酸スズ〔Sn 3 (PO 4 2 〕の合成例
硫酸第一スズ(SnSO4 :試薬一級)10.0gを10%硫酸水溶液100mlに溶解した。これとは別にリン酸ナトリウム(Na2 HPO4 :試薬一級)9.9gを純水100mlに溶解させた。上記硫酸第一スズ水溶液を攪拌しつつ、その中に上記リン酸ナトリウム水溶液を滴下し、白色の沈殿物を得た。その後、遠心分離し、水洗後、60℃にて乾燥した。乾燥後の反応物の粉末X線回折プロファイルを調べたところ、結晶性の成分がSn3 (PO4 2 のX線回折プロファイルと一致したことから、得られた物質はリン酸スズ〔Sn3 (PO4 2 〕であることが確認された。
この比較例1で得られたリン酸スズを用いて実施例1と同様に固体電解質膜を作製し、そのプロトン伝導率を実施例1と同様に測定したところ、測定温度150℃、相対湿度75%において、導電率が−6.2log(σ/Scm-1)と、実施例1〜3に比べて、桁違いに低く、実施例1〜3のプロトン伝導性固体電解質膜のような高いプロトン伝導性を示さなかった。
比較例2
無定型リン酸スズの合成例
塩化第2スズ(SnCl4 :試薬一級)37.2gを純水100mlに溶解した。これとは別にリン酸ナトリウム(Na2 HPO4 :試薬一級)40.2gを純水250mlに溶解させた。上記塩化第2スズ水溶液を攪拌しつつ、その中に上記リン酸ナトリウム水溶液を滴下し、白濁のゾル状スラリーを得た。そして、このスラリーから遠心分離により白色の沈殿物を得た。得られた沈殿物を60℃にて乾燥した。
乾燥後の反応物の粉末X線回折プロファイルを調べたところ、特定のピークは認められず、また、蛍光X線分析によってリン元素およびスズ元素を確認できたことから、得られた物質は無定型リン酸スズであることが確認された。
この比較例2で得られた無定型リン酸スズを用いて実施例1と同様に固体電解質膜を作製し、そのプロトン伝導率を実施例1と同様に測定したところ、測定温度150℃、相対湿度75%において、導電率が−4.5log(σ/Scm-1)と実施例1〜3のプロトン伝導性固体電解質膜に比べてかなり低い値を示した。
燃料電池での評価例
単位セルの作製:
白金担持カーボン粒子(白金含有量35質量%)にエタノールと水との質量比50:50エタノール−水を加えたペーストを、2枚のカーボン紙にカーボン粒子の付着量が0.6mg/cmになるように塗布した。その後105℃で10時間乾燥して、ガス拡散電極を作製した。
この2枚の電極を用いて、実施例1で作製した固体電解質膜を挟み、プレス圧100MPa、150℃で30秒間ホットプレスし、単位セルを作製した。
燃料電池での評価:
上記で作製した単位セルとセパレータを、燃料電池単セル評価装置にセットし、恒温・恒湿装置内で、アノード極に水素ガス、カソード極に空気を導入し、温度120℃、相対湿度75%での単セルの電圧−電流特性試験を行った。
その結果、開放電圧は0.85Vであり、0.45Vでの電流は100mAを示し、燃料電池用の固体電解質膜としての有効性が確認できた。
このように、本発明のプロトン伝導性固体電解質膜は、燃料電池の固体電解質として優れた特性を有していた。また、本発明のプロトン伝導性固体電解質膜は、その100℃以上の温度領域でしかも乾燥した条件下においても優れたプロトン伝導性を発揮するという特性を生かして、上記燃料電池以外にも、キャパシタ、エレクトロクロミック表示材料などの電気化学素子への応用が期待できる。

Claims (4)

  1. Sn/Pのモル比が0.3〜0.8である結晶性層状リン酸スズをプロトン伝導体としてプロトン伝導性固体電解質膜全体中の50質量%以上含有することを特徴とするプロトン伝導性固体電解質膜。
  2. 結晶性層状リン酸スズが、結晶水を有することを特徴とする請求項1記載のプロトン伝導性固体電解質膜。
  3. 結晶性層状リン酸スズのSn/Pのモル比が、0.4〜0.6であることを特徴とする請求項1または2記載のプロトン伝導性固体電解質膜。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のプロトン伝導性固体電解質膜を用いたことを特徴とする燃料電池。
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