JP5150890B2 - ポリマー被覆粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化チタン粒子の製造方法、ポリマー被覆粒子、及び当該粒子を含むキットに関する。
細胞分散液や細胞破砕液等の被験試料に含まれる有用タンパク質やDNAなどの目的分子を分離する場合には、カラム分離法及び電気泳動法等が利用されているが、前処理の煩雑さや分離回収効率の低さは従来から問題となっており、分離及び分析の障害となっている。
一方、合計表面積の大きい微粒子(微粒子集合体)を用いて、目的分子への吸着を原理とする分離技術が利用され始めているが(非特許文献1参照)、粒子表面に対する非特異的吸着が多いという問題がある。さらに、目的分子吸着後の粒子の回収には、高回転率での遠心分離操作が求められるため、操作の簡便性の点でも問題となっている。また、上記分離技術においては、微粒子を安定して被験試料に分散させるようにするため、より小さい粒径範囲のものとすることが同時に求められる。
川口春馬 監修:ナノ粒子・マイクロ粒子の最先端技術、シーエムシー出版、東京 (2004)
そこで、本発明は、被験試料に粒子を添加した場合に、粒子表面への各種生体分子等の非特異的吸着が効果的に抑制され、かつ回収が容易である粒子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、溶媒中に分散可能な粒径範囲の粒子を、容易かつ効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、金属酸化物粒子又は金属粒子を核粒子としてこれをポリマー層で表面被覆した粒子を用いることにより、被験試料からの所定の分子を、非特異的吸着を防止しながら回収し得ることを見出した。また、核粒子となる金属酸化物粒子(酸化チタン粒子)をゾル−ゲル法で調製する場合に、特定の条件設定下で行うことにより、特定の微小粒径範囲のものを容易かつ効率的に得ることができることを見出した。本発明はこのようにして完成された。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 平均粒子径10〜40nmの酸化チタン粒子の製造方法であって、以下の工程:
(a) チタニウムアルコキシドを加水分解率20〜75%で加水分解処理する工程、
(b) 得られた加水分解生成物を1〜18時間縮合重合する工程、及び
(c) 得られた重合生成物を分散処理する工程
を含む、前記方法。
(2) 金属酸化物粒子又は金属粒子の表面がホスホリルコリン基含有ポリマーにより被覆されてなる、ポリマー被覆粒子。
上記ポリマー被覆粒子においては、金属酸化物粒子として、例えば酸化チタン粒子を挙げることができ、当該酸化チタン粒子として、例えば平均粒子径10〜40nmの酸化チタン粒子を挙げることができる。
また上記ポリマー被覆粒子においては、ホスホリルコリン基含有ポリマーとして、例えば下記一般式(1):
〔式中、R1a、R1b及びR1cは、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
2a、R2b及びR2cは、それぞれ順に、−X1a−R3a、−X1b−R3b及び−X1c−R3cで示される基を表し、
ここでX1a、X1b及びX1cは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−若しくは−S−で示される基を表し、
3aは、次式(2):
(式中、nは2〜12の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で示される基を表し、
3bは、−(CH)−R
(jは2〜18の整数を表し、Rは水素原子又はOR’(R’は脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)
で示される基を表し、
3cは、−(CH)−R
(kは2〜18の整数を表し、Rは、アルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を表す。)
で示される基を表し、
は0.40〜0.95、bは0.03〜0.40、cは0.02〜0.20を表す。〕
で示されるポリマーを挙げることができ、さらには、下記式(3):
(式中、aは0.40〜0.95、bは0.03〜0.40、cは0.02〜0.20を表す。)
で示されるポリマーを挙げることができる。上記ホスホリルコリン基含有ポリマーとしては、さらに下記式(4):
(式中、dは0.01〜0.30を表し、pは1〜10の整数を表す。)
で示される化合物を含むポリマーを挙げることもできる。
上記ポリマー被覆粒子としては、例えば、上記化合物に、所定の物質と結合し得る親和性物質を担持してなる粒子を挙げることができる。
(3) 上記親和性物質を担持してなるポリマー被覆粒子を含む、物質分離用キット。
(4) 上記親和性物質を担持してなるポリマー被覆粒子を含む、疾患検出用キット。
本発明により、平均粒子径が10〜40nmのポリマー被覆粒子を提供することができる。本発明によれば、粒子を被験試料に添加したときに、各種生体分子等の粒子表面への非特異的吸着が効果的に抑制され、かつ被験試料からの回収が容易になされ得る。また、このポリマー被覆粒子を利用することにより、被験試料中の所定の物質の分離用キット、並びに、疾患の種類や病状の検出のためのキットを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。
1.酸化チタン粒子の製造方法
本発明の製造方法は、ゾル−ゲル法を用いて、平均粒子径10〜40nmの酸化チタン粒子を製造する方法であって、(a)チタニウムアルコキシドを加水分解率20〜75%で加水分解処理する工程、(b)得られた加水分解生成物を1〜18時間縮合重合する工程、及び、(c)得られた重合生成物を分散処理する工程を含むことを特徴とする。以下、各工程について説明する。
(1) 加水分解工程
本工程においては、原料化合物となるチタニウムアルコキシドの加水分解処理を特定の加水分解率で行う。
まず、チタニウムアルコキシドとしては、限定はされないが、例えば、チタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラブトキシド等が好ましく挙げられ、なかでもTTIPがより好ましい。なお、これらは1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
チタニウムアルコキシドを加水分解処理する(すなわち水と混合する)には、通常、チタニウムアルコキシドを予め有機溶媒に溶解させておく。有機溶媒としては、限定はされないが、例えば、アセチルアセトン、メトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチルメチルエーテル等が好ましく挙げられ、なかでも、アセチルアセトンとメトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルとの組合せがより好ましい。なお、これらは1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記のようにチタニウムアルコキシドの溶液を調製する際は、限定はされないが、窒素雰囲気下で行うことが、吸水による自然加水分解を防止できる点で好ましい。また、当該溶液中のチタニウムアルコキシドの濃度は、限定はされないが、10%〜66%となるようにすることが好ましく、より好ましくは20%〜40%である。
本工程における加水分解反応は、上記チタニウムアルコキシドの溶液に水を添加することにより行う。この際、加水分解率は20〜75%であり、好ましくは25〜65%、より好ましくは30〜55%である。加水分解率を上記範囲とすることにより、最終的に得られる酸化チタン粒子を、容易に特定の微小粒径範囲のものとすることができる。なお、本発明でいう加水分解率(%)は、原料化合物として用いたチタニウムアルコキシドのモル数に対する、添加した水のモル数の割合(%)を意味する。
加水分解反応における反応温度は、-20〜90℃であることが好ましく、より好ましくは-5〜40℃、さらに好ましくは0℃である。また、反応時間は、限定はされないが、1〜14時間であることが好ましく、より好ましくは3〜8時間である。
加水分解反応により得られる水酸化物(テトラヒドロキシチタン)は、通常、酸を加えて、反応媒体を酸性条件にすること等の条件下でゲル化状態となる。
なお、原料化合物としてチタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)を用いた場合、加水分解反応式は以下のように例示できる。
Ti[OCH(CH3)2]4+ 4H2O → Ti(OH)4 + 4CHOH(CH3)2
(2) 縮合重合工程(エージング工程)
本工程においては、得られた加水分解生成物の縮合重合を特定時間行う。
加水分解生成物のうちチタン生成物としては、テトラヒドロキシチタンが得られるが、本工程では、当該テトラヒドロキシチタンを脱水縮合させることにより重合する。重合は、通常、攪拌下で行うことが好ましく、公知の攪拌装置及び攪拌条件が適宜設定できる。
本工程で行う縮合重合の時間(反応時間)は1〜18時間であり、好ましくは3〜9時間、より好ましくは4〜8時間である。反応時間を上記範囲とすることにより、最終的に得られる酸化チタン粒子を、容易に特定の微小粒径範囲のものとすることができる。なお、本発明においては、モノマー存在下で反応系に開始剤を添加したときを縮合重合反応の開始時とし、再沈殿溶媒によりポリマーを沈殿させたときを当該反応の終了時とする。
溶媒としてエタノール30mLを用い、ナス型フラスコ中で合成を行った。溶媒に対してアルゴン置換を行った後、モノマーを仕込み、開始剤を添加して、60℃で6時間、ラジカル重合法によって合成を行った。再沈殿溶媒はクロロホルム−エーテル混合溶媒(4:6)を用いた。凍結乾燥によって溶媒を除き、ポリマーを獲得した。
反応温度は、限定はされないが、例えば10〜90℃とすることが好ましく、より好ましくは40〜80℃であり、さらに好ましくは60℃程度である。
なお、テトラヒドロキシチタンの縮合重合反応式は、以下のように例示できる。
NTi(OH)4 → −Ti−O−Ti−O−・・・ + 2nH2O
(3) 分散工程
本工程においては、得られた重合生成物を分散処理する。分散処理することにより、粒子状の酸化チタンを得ることができる。
分散処理方法としては、限定はされないが、例えば超音波照射法、機械的分散法など、公知の各種分散処理法を採用することができるが、中でも超音波照射法が所望の粒径の酸化チタン粒子を得やすいため好ましい。
分散処理の時間は、限定はされないが、例えば超音波照射法の場合、3〜120分間であることが好ましく、より好ましくは5〜30分間、さらに好ましくは10分間程度である。
(4) 酸化チタン粒子の粒子径
本発明の製造方法においては、以上の工程を行うことにより、平均粒子径10〜40nm(好ましくは20〜40nm、より好ましくは20nm)という微小粒径範囲の酸化チタン粒子を容易に調製することができる。当該粒径範囲の酸化チタン粒子であれば、その比重の大きさに関わらず、より安定して各種水系又は有機系媒体に分散させることができる。なお、本発明でいう平均粒子径は、限定はされないが、動的光散乱(DLS)を用いて測定された粒子径を意味することが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られる酸化チタン粒子は、粒度分布がシャープ、すなわち粒径が均一である。
(5) その他の工程
本発明の製造方法においては、上述した各種工程以外にも適宜他の工程を含むことができる。例えば、所定の目開き(例えば1μm以下、好ましくは0.45μm以下)のフィルターを用いて濾過する工程や、適当な媒体により希釈する工程などが挙げられる。なお、上記濾過工程は、例えば、前述した分散処理工程と交互に行ってもよい。これらの工程により、効率的に粒径のより均一な酸化チタン粒子を得ることができる。
なお、本発明においては、以下の点に留意することが好ましい。
空気中では容易に加水分解反応が進行してしまうため、空気中で反応をとり行おうとすると、厳密な制御が困難である。
常温では、急激に加水分解反応及びその後の縮合反応が不均一に進みやすいため、反応の制御が困難である。そのため、調製後の粒子の粒径分布が広くなる。塩酸酸性にすることの効果は、酸化チタンナノ粒子を創製する際の加水分解反応をなす二つのファクター(核生成反応及びその後の重縮合反応)のうちの核生成反応を律速反応とする効果があり、そのため粒径の微小化に寄与する。
調製後の状態で放置しておくと凝集が進行するので、もしこの状態で放置する場合は、分散剤であるアセチルアセトン等を添加しておくことが好ましい。

2.ポリマー被覆粒子
本発明のポリマー被覆粒子は、金属酸化物粒子又は金属粒子の表面がホスホリルコリン基含有ポリマーにより被覆されてなることを特徴とする。なお、以下においては当該被覆のためのポリマーを「被覆ポリマー」と称することがある。
金属酸化物粒子又は金属粒子を核粒子として用いることにより、ポリマー被覆粒子全体としても比重の大きい粒子とすることができ、被験試料からの回収を、容易に且つ高収率で行うことができる。上記回収は、自然沈降により十分に行われ得るが、自然沈降に代えて又は自然沈降に続いて遠心分離処理をすることもでき、この場合、分離処理を非常に迅速に実施することができる。
上記金属酸化物粒子としては、限定はされないが、例えば、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化鉄粒子、酸化亜鉛粒子及びシリカ粒子等が好ましく挙げられ、中でも酸化チタン粒子が、水媒体中での安定性、及び比重の大きさの点でより好ましい。また、酸化チタン粒子としては、例えば、前述した本発明の製造方法により得られる酸化チタン粒子を好ましく用いることができる。当該酸化チタン粒子の粒子径は、特定の微小粒径範囲(例えば10〜40nm)であるため分散性に優れるが、これを核粒子として用いたポリマー被覆粒子においても同様の効果が得られる。
上記金属粒子としては、限定はされないが、例えば、金、銀及び銅等が好ましく挙げられる。
上記金属酸化物粒子及び金属粒子の粒子径は、限定はされないが、例えば10〜40nmであることが、ポリマー被覆粒子の分散性を高めることができるため好ましい。
一方、ホスホリルコリン基(PC基)は、生体膜の主成分であるリン脂質(ホスファチジルコリン)の極性基と同様の構造を有する極性基である。当該ホスホリルコリン基が被覆ポリマーに含有されることによって、生体膜の表面が有する極めて良好な生体適合性、特に生体分子の非吸着性、及び非活性化特性が付与され、各種分子に対する非特異的吸着を効果的に抑制することができる。
ホスホリルコリン基を含む極性基としては、限定はされないが、例えば、オキシエチルホスホリルコリン基、オキシブチルホスホリルコリン基、オキシヘキシルホスホリルコリン基、オキシデシルホスホリルコリン基及びオキシエトキシエチルホスホリルコリン基等が挙げられるが、中でもオキシエチルホスホリルコリン基が好ましい。
上記ホスホリルコリン基を含有する被覆ポリマーとしては、限定はされないが、例えば、下記一般式(5):
で示される構成単位と、下記一般式(6):
で示される構成単位と、下記一般式(7):
で示される構成単位とを必須の構成単位として形成される3元共重合体、例えば下記一般式(1)で示されるホスホリルコリン基含有ポリマーが挙げられる。
ここで、式中、R1a、R1b及びR1cは、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
2a、R2b及びR2cは、それぞれ順に、−X1a−R3a、−X1b−R3b及び−X1c−R3cで示される基を表し、
ここでX1a、X1b及びX1cは、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−若しくは−S−で示される基を表し、
3aは、次式(2):
(式中、nは2〜12の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、同一又は異なって、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で示される基を表し、
3bは、−(CH)−R
(jは2〜18の整数を表し、R7は水素原子又はOR’(R’は脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)で示される基を表し、
3cは、−(CH)−R
(kは2〜18の整数を表し、Rは、アルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を表す。)
で示される基を表し、aは0.40〜0.95、bは0.03〜0.40、cは0.02〜0.20を表す。
、b及びcの値が上記範囲内であることにより、得られるポリマーを水溶性とし且つタンパク質等の非特異的吸着をより効果的に抑制することができ(特にaの値)、定常的な分散安定性を高めることができ(特にbの値)、核粒子への被覆構造を十分に保持することができる(特にcの値)。なお、a、b及びcの値は、上記3元共重合体を構成する全モノマー構成単位数に対する、各々の構成単位数の比を示す。但し、a、b及びcの合計値(a+b+c)は、1を超えないものとする。
また、上記式(1)の3元共重合体においては、各モノマー構成単位は個々に、ポリマー中での位置や配置順序等を任意に取り得る。
本発明において、上記式(5)に示される化合物は、次式(8):
で示されるモノマー構成単位(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)由来のポリマーが好ましく挙げられる。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンは、例えば“Kazuhiko Ishihara, Tomoko Ueda, and Nobuo Nakabayashi, Polymer Journal, 22, 355-360 (1990)”に記載の方法により調製することができる。
本発明において、上記式(6)に示される化合物は疎水性基を含有するものである。このようなポリマーとしては、限定はされないが、例えば、下記式(9):
(式中、Rは、水素原子又はOR’(R’は脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)を表し、qは2以上の整数を表す。)
で表されるモノマー構成単位(メタクリル酸エステル)由来のポリマーが好ましく挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。上記mが2未満の場合は、疎水性及びガラス転移温度が低くなり、その分組成割合を高くすると、被覆ポリマーは水に溶解するか、著しく膨潤して強度が低下するおそれがある。上記モノマー、すなわちメタクリル酸エステルとしては、限定はされないが、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシプロピル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−ブトキシエチル等が好ましく挙げられるが、中でも、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシルがより好ましい。
本発明において、上記式(7)に示される化合物は、カップリング反応性基を含有するものである。当該カップリング反応性基は、核粒子となる金属酸化物粒子の表面(具体的には、金属酸化物粒子が表面に有する反応性基)にカップリング反応することによって、当該表面に被覆ポリマーが結合されるため、被覆構造を安定的に保持することができる。
上記カップリング反応性基としては、限定はされないが、例えば、アルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基等が好ましく挙げられる。
また、カップリング反応性基、特に上記アルコキシシラン基を含有するポリマーとしては、限定はされないが、例えば、下記式(10):
で表されるモノマー構成単位(メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン)由来のポリマーが好ましく挙げられる。
本発明においては、次式(3):
で示される3元共重合体であることが好ましい。
上記式中、aは0.40〜0.95、bは0.03〜0.40、cは0.02〜0.20であり、好ましくはaは0.40〜0.88であり、bは0.10〜0.40であり、cは0.02〜0.2である。
、b及びcの値が上記範囲内であることにより、得られるポリマーを水溶性とし且つタンパク質等の非特異的吸着をより効果的に抑制することができ(特にaの値)、定常的な分散安定性を高めることができ(特にbの値)、核粒子への被覆構造を十分に保持することができる(特にcの値)。なお、a、b及びcの値は、上記3元共重合体を構成する全モノマー構成単位数に対する、各々の構成単位数の比を示す。なお、a、b及びcの値の合計値(a+b+c)は、1を超えないものとする。
また、上記式(3)の3元共重合体においては、各モノマー構成単位は個々に、ポリマー中での位置や配置順序等を任意に取り得る。
ここで、例示として、シラノール基を含有する被覆ポリマーと、表面に反応性基(水酸基)を有する酸化チタン粒子とのカップリング反応の模式図を以下に示す。なお、水酸基を有する酸化チタン粒子は、ゾル−ゲル法等のように、チタン水酸化物(テトラヒドロキシチタン)を縮合重合して調製した場合に好ましく得られる。
なお、本発明のポリマー被覆粒子においては、公知の各種当該表面に被覆ポリマーが結合されるため、被覆構造を安定的に保持することができる。カップリング剤を介して、被覆ポリマーが、核粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)表面に結合されているものであってもよい。この場合も、被覆ポリマーがカップリング性反応基を有する場合と同様に、核粒子の表面に被覆ポリマーの被覆構造が安定的に保持され得る。
上記カップリングユニットとしては、限定はされないが、例えば、アルコキシシリル基類、エポキシ基類、メルカプト基、ジスルフィド基等が好ましく挙げられる。
被覆ポリマーの製法としては、限定はされないが、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルとを含むモノマー成分を、反応溶媒中で開始剤の存在下、重合反応させる方法が好ましい。反応溶媒としては、限定はされないが、モノマー成分が溶解し得るものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルム及びこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。開始剤としては、限定はされないが、通常公知のラジカル重合開始剤であれば、いずれのものを用いてもよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスマレノニトリル等の脂肪族アゾ化合物や、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の有機過酸化物などが好ましく挙げられる。
被覆ポリマーを、核粒子(金属酸化物粒子、金属粒子)の表面に被覆する方法としては、限定はされないが、上記被覆ポリマーの製法を、核粒子の存在下で行う方法などが挙げられる。詳しくは、モノマー成分を含む反応溶媒中に、核粒子を分散させ、重合反応を行うようにすればよい。また、別の方法としては、例えば、既存の粒子をポリマー溶液に分散させ、粒子表面にポリマーを化学結合する方法、粒子表面からモノマーを重合開始する方法等が挙げられる。
本発明のポリマー被覆粒子は、被覆ポリマーに、所定の物質と結合し得る親和性物質を担持してなるしてなるもの(以下、親和性物質担持ポリマー被覆粒子)であることが好ましい。なお、本発明でいう「担持」は、被覆ポリマーへの付着、吸着及び物理的結合等による固定には限定されず、化学反応等による化学的結合での固定など、各種固定態様を含むものとする。上記親和性物質及び所定の物質の組合せとしては、互いに結合し得るものであればどのような物質であってもよく、限定はされないが、例えば、アビジン及びビオチン、酵素及び基質、抗体及び抗原等も挙げることができる。
なかでも上記親和性物質としては、限定はされないが、例えば、抗体タンパク質及びレセプタータンパク質等の各種タンパク質のほか、核酸、並びに糖などを好ましく挙げることができる。特に、上記親和性物質が抗体タンパク質やレセプタータンパク質であるときは、生体由来の被験試料中の所望の生体分子を上記所定の物質とする場合に極めて有用である。このような親和性物質を被覆ポリマーに結合させる場合は、被覆ポリマーは、活性エステル基を含有するものであることが好ましい。
上記活性エステル基を含有する化合物としては、限定はされないが、例えば、下記一般式(4):
(式中、dは0.01〜0.30(好ましくは0.01〜0.20)であり、pは1〜10の整数を表す。)
で表される構成単位(p-ニトロフェニルオキシカルボニル(ポリ)オキシエチレンメタクリレート(MEONP))由来のポリマーが好ましく挙げられる。上記式(1)又は(3)等の3元共重合体に、上記式(4)のモノマー構成単位を含有するよう重合させて4元共重合体を得ることができる。dの値が上記範囲内であれば、活性エステル基との置換反応により所望の親和性物質を十分量結合させることができる。この場合、親和性物質としては、MEONPのカルボニル基と結合し得るアミノ基を有する物質であることが好ましく、例えば、当該アミノ基を有するタンパク質(抗体タンパク質、レセプタータンパク質等)、核酸及び糖などが挙げられる。なお、dの値は、上記4元共重合体を構成する全モノマー構成単位数に対する上記式(4)の構成単位数の比を示す。但し、a、b、c(又はa、b、c)及びdの合計値(a+b+c+d又はa+b+c+d)は、1を超えないものとする。
本発明のポリマー被覆粒子においては、被覆ポリマーの重量平均分子量は5,000以上であることが好ましく、より好ましくは10,000以上である。
本発明のポリマー被覆粒子の平均粒子径は、限定はされないが、例えば、2〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜40nmである。
被覆ポリマーが上記一般式(4)の構成単位を含むものである場合は、活性エステル基との置換反応により、所定の物質と結合し得る親和性物質の担持を容易に行うことができる。

3.被験試料中の所定の物質の分離方法
(1) 分離方法
本発明は、被験試料に含まれる所定の物質を分離する方法であって、被験試料中に、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子を添加する工程を含むことを特徴とする上記分離方法を含むことができる。
被験試料としては、生体由来のものであってもよく、分離しようとする所定の物質としては各種生体分子が挙げられる。よって、ポリマー被覆粒子に担持させる親和性物質としては、前述したものの中でも、例えば当該生体分子と結合し得る抗体タンパク質やレセプタータンパク質等であることが好ましい。
上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子は、核粒子が比重の大きい粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)であるため、分離目的の物質と結合させた後、自然沈降により容易に且つ高収率で回収し分析することができる。
また、限定はされないが、上記の自然沈降に代えて又は自然沈降に続いて、遠心分離処理をすることができる。遠心分離の回転率としては、限定はされないが、例えば400rpm〜40,000rpmで行うことができ、遠心分離処理の時間は、1〜120分間で行うことができる。これにより、分離処理を非常に迅速に実施することができる。
(2) 分離用キット
本発明の物質分離用キットは、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子を含むことを特徴とする。当該キットは、上記分離方法に好ましく用いることができる。
本発明のキットにおいては、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子が、抗体タンパク質やレセプタータンパク質が担持されたポリマー被覆粒子である場合は、その抗体活性やレセプター活性の安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮し、溶解させた状態等で備えられていることが好ましい。
本発明のキットは、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子以外に他の構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、限定はされないが、例えば、抗原希釈液、抗体希釈液、基質液(発色基質等の溶液)、反応停止液、濃縮洗浄液、使用説明書(使用マニュアル)等を挙げることができる。

4.疾患の診断用キット
(1) 診断方法
本発明は、患者由来の被験試料に含まれる所定の生体分子を検出することにより疾患の種類及び/又は病状を診断する方法であって、被験試料中に、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子を添加する工程を含むことを特徴とする上記診断方法を含むことができる。
疾患の種類を診断する場合は、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子として、各種疾患の指標となる特有の生体分子に対する抗体やレセプター等をそれぞれ担持させた複数種類の粒子を用い、被験試料に添加して生体分子と結合させたあと回収することにより、疾患に関わる生体分子を選択的に分離することができる。この分離回収した生体分子を分析すれば、疾患の種類を特定することができる。また、疾患の種類が既に特定されており、その病状(進行度合い等)を診断する場合は、当該疾患に特有の生体分子に対する抗体やレセプター等を担持させた単一又は複数種類の粒子を用い、被験試料に添加して生体分子との結合を行えば、その後の回収量により病状の推移を判定することができる。
上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子は、核粒子が比重の大きい粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)であるため、分離目的の生体分子と結合させた後、自然沈降により容易に且つ高収率で回収し分析することができる。
また、限定はされないが、上記の自然沈降に代えて又は自然沈降に続いて、遠心分離処理をすることができる。遠心分離の回転率としては、限定はされないが、例えば400rpm〜40,000rpmで行うことができ、遠心分離処理の時間は、1〜120分間で行うことができる。これにより、疾患の種類の特定や病状の判定等の診断を、非常に迅速に実施することができる。
(2) 診断用キット
本発明の疾患診断用キットは、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子を含むことを特徴とする。当該キットは、上記診断方法に好ましく用いることができる。
本発明のキットにおいては、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子は、抗体タンパク質やレセプタータンパク質等が担持されたポリマー被覆粒子であることが好ましいが、この場合、その抗体活性やレセプター活性の安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮し、溶解させた状態等で備えられていることが好ましい。
本発明のキットは、上記親和性物質担持ポリマー被覆粒子以外に他の構成要素を含むことができる。他の構成要素としては、限定はされないが、例えば、抗原希釈液、抗体希釈液、基質液(発色基質等の溶液)、反応停止液、濃縮洗浄液、使用説明書(使用マニュアル)等を挙げることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
酸化チタンナノ粒子の調製
<材料>
チタニウムテトライソプロポキシド(TiPr)
メトキシエタノール(MeE)
<方法>
(i) 窒素雰囲気のグローボックス中にてTiPr−MeE混合溶液6mL(TiPr:MeE=1:2)を調製した。
(ii) 0℃、1N塩酸0.5mLを加えた酸性条件化で加水分解反応を行った。加水分解に用いた溶液は水−MeE混合溶液(水:MeE=1:1)である。これを1mLゆっくり滴下した。この加水分解反応の際に用いる水の割合をTiPrとの比で表すとmol換算でTiPr:水=1:3 である。
(iii) 上記(ii)の反応において加水分解反応が進むとゾル化する。ゾル化したものに対して、60℃にて6時間エージング処理を行ってゲル化させた。
(iv) エージング処理後、約1g/mL強(そのうちの約四割程度が酸化チタン)の密度を持つゲルをメトキシエタノール溶液によって1/100倍に希釈したのち、超音波処理を行い凝集体となっている粒子を分散させ酸化チタンナノ粒子懸濁液50mLを調製した。
チタニウムテトライソプロポキシドの安定性は他のアルコールに比べてメトキシエタノール中で最も高かった。
結果を図1に示す。図1の結果より、得られた酸化チタン粒子の直径は19〜25nmの範囲で、平均粒径が22.4nmであった。また、図2に得られたナノ粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。直径が20〜30nmの粒子の生成が確認できる。
ポリマー被覆粒子の調製
(1) 表面修飾用のポリマー1の合成
<材料>
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)
n-ブチルメタクリレート(BMA)
3-メタクリロイルトリメトキシシラン(MPTMS)
アゾイソブチロニトリル(AIBN)
エタノール
<方法>
モノマー濃度0.5mol/mL(MPC:2.2138g,BMA:0.9864g,MPTMS:0.1874g)
開始剤濃度0.01mol/mL(AIBN:49.6mg)
溶媒としてエタノール30mLを用い、ナス型フラスコ中で合成を行った。溶媒に対してアルゴン置換を行った後、モノマーを仕込み、開始剤を添加して、60℃で6時間、ラジカル重合法によって合成を行った。再沈殿溶媒はクロロホルム−エーテル混合溶媒(4:6)を用いた。凍結乾燥によって溶媒を除き、ポリマーを獲得した。
仕込み組成MPC:BMA:MPTMS=50:45:5に対して、ポリマー中の組成はMPC:BMA:MPTMS=44:50:6であった。分子量は約20,000程度であった。
(2) 表面修飾用のポリマー2の合成
(ポリマー1+抗体導入用の足場)
<材料>
ポリマー1の合成用の材料
p-ニトロフェニルオキシカルボニル-ポリオキシエチレンメタクリレート(MEONP(純度92%))
<方法>
重合反応条件は(1)と同じである。
以下の仕込み組成に対して、ポリマー中の組成はMPC:BMA:MPTMS:MEONP=44:37:12:7であった。分子量は約12,000程度であった。
MPC:BMA:MPTMS:MEONP=50:30:10:10 (MPC:2.2142g, BMA:0.6581g, MPTMS:0.3716g, MEONP:0.7325g)
上記の組成は、ポリマーへの粒子の固定化量・粒子表面上の活性エステル基の量・ポリマーの親水性という三つの要素から決定した。
(3) 粒子の表面修飾
<材料>
酸化チタンナノ粒子懸濁液1mg/mL
リン脂質ポリマー溶液0.5mg/mL
塩酸
<方法>
(i) 酸化チタンナノ粒子懸濁液の終濃度1mg/mL、表面修飾用ポリマーの終濃度 0.5mg/mLとし、pHが約2となるよう塩酸によって調整した溶液50mLで60℃、12時間のシランカップリング反応を行った。
(ii) 反応後の溶液中から未反応のポリマーを取り除くために、高速遠心操作(15,000rpm)によって上澄みのみを取り除くという操作を3回行うことで洗浄操作を行った。上澄み液中のポリマーの消失を確認することで、反応溶液中の未反応のポリマーの除去を完遂した。
表面の元素分析をX線光電子分光計(XPS)にて行なったところ、ポリマー被覆後のナノ粒子表面にはリン原子が135eV、窒素原子が400eVにシグナルを持ち、ポリマーの存在が確認できた。また赤外分光光度計による分析の結果、Si-O-Tiの結合に由来する吸収が920cm-1に観察されたことから、被覆ポリマーの粒子への化学結合を確認した。
(4) 分散性、長期安定性
ポリマー被覆酸化チタンナノ粒子を水中に分散させた際に図3に示すように極めて高い分散性を示し、透明な液体を得た。測定に用いた試料はそれぞれTiが0.5〜0.8mg/mlになるよう調整した。
この分散液に含まれるナノ粒子の粒径を経時的に測定した。
結果を図4に示す。参考例として一般に利用されている分散剤のアセチルアセトンの場合を比較した。図4より、本発明のポリマー被覆酸化チタンナノ粒子は、分散性が高く、凝集による粒径変化は実質的に無いことがわかる。被覆ポリマーの効果は、アセチルアセトンと同等である。
粒子表面上への抗体の導入
<材料>
表面被覆(ポリマー被覆)済みの酸化チタンナノ粒子
抗体としての抗ウサギIgGヒツジ抗体
リン酸緩衝液(PBS)
<方法>
抗体濃度0.5mg/mL, 表面修飾済みナノ粒子濃度1mg/mL, 溶媒としてリン酸緩衝液を用いて調整した溶液4mLを用いて反応を行った。25℃にて24h反応を行った後、ナノ粒子のみを取り出し、洗浄を行うことで、抗体が担持された(抗体が結合した)ナノ粒子を獲得することができた。
抗体がポリマー被覆酸化チタンナノ粒子に化学結合すると、p-ニトロフェノールが遊離する。この量を定量すると、結合した抗体量を見積もることができる。これにより反応率は52%、固定化量は46.4μg/mg粒子であった。
抗原の分離回収方法
所定量の抗体担持ポリマー被覆酸化チタンナノ粒子が含まれた水分散液に、抗原としてウサギIgGを10μg/mLの濃度で加えた。その後ゆっくり攪拌し、媒体中に凝集して析出するナノ粒子を観察すると伴に、媒体中に含まれる抗原量を測定した。
結果を図5及び図6に示す。抗原を添加すると直ちにナノ粒子の凝集が認められた(図5)。図6は、凝集に伴う抗原量の変化を示す。ナノ粒子添加群では3分間後より媒体中の抗原量が明らかに減少し、10分間でほぼなくなることが分かった。これは分散液中に含まれる粒子の量に依存しており、粒子量が多い方が早く抗原量を減少させることが分かった。
酸化チタンナノ粒子の合成条件と、粒径分布を示すグラフである。 調製した酸化チタンナノ粒子の走査電子顕微鏡写真である。 ポリマー被覆酸化チタンナノ粒子の水分散液の写真である。 酸化チタンナノ粒子の分散安定性(凝集)の経時変化を示すグラフである。 抗原を添加することによる、抗体担持ポリマー被覆酸化チタンナノ粒子の凝集及び凝集物の自然沈降の様子を表す写真である。 抗体担持ポリマー被覆酸化チタンナノ粒子の凝集に伴う抗原量の変化を示すグラフである。

Claims (12)

  1. 金属酸化物粒子又は金属粒子の表面がホスホリルコリン基含有ポリマーにより被覆されてなる、ポリマー被覆粒子であって、
    該ホスホリルコリン基含有ポリマーが、下記一般式(1):
    〔式(1)中、R 1a 、R 1b 及びR 1c は、それぞれ独立して、同一又は異なって、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
    2a 、R 2b 及びR 2c は、それぞれ順に、−X 1a −R 3a 、−X 1b −R 3b 及び−X 1c −R 3c で示される基を表し、
    ここでX 1a 、X 1b 及びX 1c は、それぞれ独立して、同一又は異なって、置換基を有していてもよいフェニル基又は−C(O)−、−C(O)O−、−O−若しくは−S−で示される基を表し、
    3a は、次式(2):
    (式(2)中、nは2〜12の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、同一又は異なって、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
    で示される基を表し、
    3b は、−(CH ) −R
    (jは2〜18の整数を表し、R は水素原子又はOR ’(R ’は脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。)
    で示される基を表し、
    3c は、−(CH ) −R
    (kは2〜18の整数を表し、R は、アルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基を表す。)
    で示される基を表し、
    は0.40〜0.95、b は0.03〜0.40、c は0.02〜0.20を表す。〕
    で示される構成と、下記一般式(4):
    〔式(4)中、dは0.01〜0.30を表し、pは1〜10の整数を表す。〕
    で示される構成とを含むポリマーである、
    前記ポリマー被覆粒子
  2. 金属酸化物粒子が酸化チタン粒子である、請求項1記載のポリマー被覆粒子。
  3. 酸化チタン粒子が、平均粒子径10〜40nmの酸化チタン粒子である、請求項2記載のポリマー被覆粒子。
  4. 酸化チタン粒子が、以下の工程:
    (a) チタニウムアルコキシドを加水分解率20〜75%で加水分解処理する工程、
    (b) 得られた加水分解生成物を1〜18時間縮合重合する工程、及び
    (c) 得られた重合生成物を分散処理する工程
    を含む方法により得られるものである、請求項2又は3記載のポリマー被覆粒子。
  5. ホスホリルコリン基含有ポリマーは、前記一般式(1)で示される構成が下記式(3):
    (式中、aは0.40〜0.95、bは0.03〜0.40、cは0.02〜0.20を表す。)
    で示される構成であるポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー被覆粒子。
  6. ホスホリルコリン基含有ポリマーに、所定の物質と結合し得る親和性物質を担持してなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー被覆粒子。
  7. 前記親和性物質が、抗体タンパク質又はレセプタータンパク質である、請求項記載のポリマー被覆粒子。
  8. 被験試料に含まれる所定の物質を分離するためのキットであって、請求項又は記載のポリマー被覆粒子を含むことを特徴とする、前記キット。
  9. 患者由来の被験試料に含まれる所定の生体分子を検出するためのキットであって、請求項又は記載のポリマー被覆粒子を含むことを特徴とする、前記キット。
  10. 患者における疾患の種類及び/又は病状の診断に用いられるものである、請求項記載のキット。
  11. 被験試料に含まれる所定の物質を分離する方法であって、当該試料中に、請求項又は記載のポリマー被覆粒子を添加する工程を含むことを特徴とする、前記方法。
  12. 患者由来の被験試料に含まれる所定の生体分子を検出する方法であって、当該試料中に、請求項又は記載のポリマー被覆粒子を添加する工程を含むことを特徴とする、前記方法。
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