JP4330025B2 - 多糖を表面に有する複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、及び複合粒子の製造方法 - Google Patents

多糖を表面に有する複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、及び複合粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多糖を粒子表面に結合により一体化させてなる分散安定性が高い複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、及び複合粒子の製造方法に関する。さらに、本発明は、意図する生体分子の特異的結合以外の非特異的吸着の発生を防止した複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、及び複合粒子の製造方法に関する。
近年、数nm〜1μm程度の微粒子が様々な分野に応用され、注目を集めている。例えば、吸着剤、触媒などに用いられる、多孔質シリカ粒子やゼオライト粒子、顔料に用いられるカーボンブラック、金属酸化物粒子、無機化合物粒子、導電材料に使われる金属ナノ粒子、樹脂の補強剤に使われるシリカ粒子など粒子の材質および用途は多岐にわたる。また、半導体ナノ粒子や、蛍光物質を封入したシリカ粒子は、特にバイオ分野において、新たな蛍光標識剤として、蛍光試薬への応用が期待されている。また、色素を高濃度に封入したシリカ粒子は高いモル吸光係数を有し、高感度な発色試薬への応用が期待される。
蛍光試薬、発色試薬等の標識試薬は、蛍光粒子または発色粒子表面にタンパク質や、DNAが結合したものであり、このタンパク質やDNAが特定の生体分子と相互作用することによって、生体分子の検出、定量、染色等に利用されるものである。
蛍光粒子や発色粒子を標識試薬として用いるためには、下記の課題を満足する表面修飾が必要である。
(1)生体分子を結合するための官能基の導入
(2)緩衝液中での分散安定化
(3)非特異的吸着防止
以下、上記(1)〜(3)それぞれの課題について具体的に述べる。
(1)生体分子を結合するための官能基の導入
シリカ粒子と生体分子を一体化し安定に機能させるためには、シリカ粒子と生体分子を不可逆的に結合させることが必要である。そのためにはイオン結合や物理化学的吸着ではなく、シリカ粒子と生体分子を共有結合させることが必要である。
タンパク質は、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等を有する。また、DNAについても、末端修飾によってアミノ基やチオール基を付与することが出来る。よってシリカ粒子にもアミノ基、カルボキシル基、チオール基等を導入すれば、架橋剤や縮合剤を用いて、シリカ粒子と生体分子を共有結合させることが可能である。
(2)緩衝液中での分散安定化
粒子の凝集・分散に働く引力と斥力をモデル化して表現したものとして、DLVO理論が知られている。これは粒子間の静電的反発力とファンデルワールス力で、粒子の凝集・分散を説明するものである(例えば、非特許文献1参照。)。
生体分子は、生理食塩水等のイオン濃度が高い水溶液中で用いられることが多い。イオン濃度が高い水溶液中では、遮蔽効果によってイオンがシリカ粒子の静電的反発力を弱めるため、粒子の凝集が起こりやすくなる。イオン濃度が高い水溶液中でも粒子が安定に分散するためには、静電的反発力以外の反発力を付与することが必要である。
静電的反発力以外に粒子間の斥力として働くものとして、立体反発力がある。これは、自由度をもった分子の鎖が互いに反発することにより、粒子間の斥力として働くものである。従って、粒子表面に自由度の高い分子鎖を導入することにより、粒子の分散安定性を向上させることができる。
(3)非特異的吸着防止
蛍光粒子などの標識粒子が蛍光試薬として機能するためには、蛍光粒子などの標識粒子に結合した生体分子がターゲットに対して特異的結合等により選択的に結合することが必要である。ターゲット以外の生体分子に非特異的に結合したり、基板に吸着が起きると、それだけ測定の感度や正確性、信頼性が低下することになる。
非特異的吸着を低減させるためには、分散安定性向上と同様に、立体反発力の付与が必要である。
以上の観点より、蛍光粒子などの標識粒子の応用には表面修飾が必要となる。粒子の表面修飾の方法には、シランカップリング剤でシランコーティングする方法、高分子のビーズに取り込ませる方法、脂質二重膜に内包させる方法、チオール基を介して低分子を結合する方法などが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、シランカップリング剤でコーティングする方法は、適用できる粒子の材質が無機粒子、金属粒子、シリカ粒子などに限られ、また、シランコーティングしただけでは十分な分散安定性が得られないことが問題である。高分子のビーズに取り込ませる方法は、コストがかかり、また、粒径が増大してしまうことが問題である。脂質二重膜に内包させる方法は、水中での分散安定性は高いものの、脂質二重膜自体が不安定なため、長期的な分散安定性の点で問題がある。チオール基を介して低分子を結合させる方法に関しても、適用できる粒子が金属に限られる。
また本発明者らは、静電的引力を利用してカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーを粒子表面に交互に積層させる表面修飾方法について、特許出願している(特願2007−64205)。
北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995 特開2003−11505公報 特開2004−77389公報 特開2006−131771公報
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、生体分子を粒子表面に有する多糖修飾複合粒子であって、意図する前記生体分子の特異的結合以外の非特異的吸着の発生を防止し、前記複合粒子の製造時の表面処理の過程及びその後においても凝集が起きず、高い分散安定性を有する複合粒子、及び複合粒子コロイドを提供することにある。
また、本発明の目的は、測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い分析試薬を提供することにある。また、本発明の目的は、高圧ホモジナイザー等の特殊な装置を必要とせず、常温・常圧下、汎用の実験装置を用いてなしうる複合粒子の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、非特異的吸着の発生を防止し、優れた分散安定性を有する複合粒子の製造方法を提供することにある。
上記課題は下記の手段により達成された。
(1)アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化カリウム水溶液のいずれかの塩基性溶液中で平均粒径1nm〜1μmのシリカ粒子と多糖とを混合することにより該混合液中の塩基性物質の濃度を下記の濃度とし、前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合により一体化させる工程を有することを特徴とするシリカ粒子/多糖の複合粒子の製造方法、
[前記塩基性物質がアンモニアの場合は0.01質量%〜5質量%であり、前記塩基性物質が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの場合は0.001質量%〜0.5質量%である。]
(2)前記多糖がアルギン酸、又はデキストランであることを特徴とする(1)に記載の複合粒子の製造方法、
(3)前記多糖がヒアルロン酸、又はセルロースであることを特徴とする(1)に記載の複合粒子の製造方法、
(4)前記シリカ粒子の平均粒径が20nm〜500nmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法、
(5)前記多糖の重量平均分子量が1000〜1000000であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法、
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法によりシリカ粒子/多糖の複合粒子を調製した後、前記シリカ粒子の表面及び前記多糖と生体分子との吸着又は共有結合形成を、縮合剤ないしは架橋剤の存在下又は非存在下にて、前記シリカ粒子/多糖の複合粒子のコロイドと前記生体分子の溶液とを混合することにより行うことを特徴とするシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子の製造方法、
(7)平均粒径が1nm〜1μmであるシリカ粒子を分散したコロイドと、前記シリカ粒子100質量部に対し0.5質量部以上のアルギン酸またはデキストランとを0.01質量%〜1質量%のアンモニア水溶液中で混合し、前記シリカ粒子の表面に前記アルギン酸またはデキストランを結合により一体化させる工程を有することを特徴とするシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子の製造方法、
(8)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたシリカ粒子/多糖の複合粒子に生体分子を吸着又は共有結合させてなるシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子、
(9)前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、及びペプチドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(8)に記載の複合粒子、
(10)前記生体分子に代えて、人工的に合成された生理活性を有する化合物、及び環境ホルモンからなる群から選ばれた少なくとも1種を吸着又は共有結合させてなることを特徴とする(8)に記載の複合粒子、
(11)前記(8)〜(10)のいずれか1項に記載のシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子が分散媒中に分散してなる複合粒子コロイド、
(12)前記分散媒が緩衝液である(11)に記載の複合粒子コロイド、及び
(13)前記(11)又は(12)に記載の複合粒子コロイドを用いてなる分析試薬
を提供するものである。
本発明の複合粒子は、シリカ粒子表面に多糖を結合により一体化してなるので、前記多糖の保護コロイド作用により前記複合粒子の分散安定性を向上させることができる。
本発明の複合粒子は、低分子化合物ないしは高分子化合物による非特異的吸着、基板ないしは容器に対する非特異的吸着を防止し、また、分散安定性に優れ、生理食塩水等イオン強度が高い水分散コロイド中でも凝集を起こしにくい。
ここで、「非特異的吸着」とは、特定の官能基又はリガンドに特異的に結合する以外の、規則に従わない吸着をいい、意図する以外の吸着現象をいう。
本発明の複合粒子コロイドは、前記複合粒子を用いてなるので、意図する前記生体分子の特異的結合以外の非特異的吸着を防止し、分散安定性に優れ、生理食塩水等イオン強度が高い水分散コロイドでも凝集を起こしにくい。
本発明の分析試薬は、意図する前記生体分子の特異的結合以外の非特異的吸着を防止し、分散安定性に優れる前記複合粒子コロイドを用いてなるので、測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い極微量標的試料の高感度分析が可能である。
本発明の複合粒子の製造方法は、常温・常圧下で行うことができ、高圧ホモジナイザー等の特殊な装置や薬品を用いることなく多糖の表面吸着ができる。また、塩基性条件下で表面処理を行うことにより、シリカ粒子の表面の結合性を高めるので、前記多糖が電荷を有していなくても前記シリカ粒子の表面に結合して一体化することができる。
本発明の複合粒子の製造方法は、生理食塩水等イオン強度が高い水分散液中でも凝集を起こしにくい複合粒子を提供できる。また、粒子に対する低分子化合物及び高分子化合物の非特異的吸着と、粒子の基板や容器に対する非特異的吸着とを抑制できる複合粒子を提供できる。さらに、生体分子の吸着ないし結合のための官能基の導入も行うことができる。
まず、本発明のシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子について説明する。
本発明のシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子は、シリカ粒子の表面に多糖が結合し、さらに前記シリカ粒子の表面及び前記多糖の外側に生体分子が吸着または共有結合してなる。
本発明において、シリカ粒子表面に多糖が「吸着」しているが、具体的には多糖とケイ素原子とが、酸素原子の親和性に基づいて化的結合により一体化している。
本発明において、用いるシリカ粒子は特に制限はなく、任意のいかなる調製方法によって得られたシリカ粒子であってもよい。例えば、Journal of Colloid and Interface Science,159,150−157(1993)に記載のゾル−ゲル法で調製されるシリカ粒子等が挙げられる。
国際公開2007/074722A1公報に記載された蛍光色素化合物含有コロイドシリカ粒子の調製方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いることが特に好ましい。
ここで、前記機能性化合物の具体例としては、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等が挙げられる。
具体的には、前記機能性化合物を含有するシリカ粒子は、前記機能性化合物とシランカップリング剤とを反応させ、共有結合、イオン結合その他の化学的に結合もしくは吸着させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。これによりオルガノシロキサン成分とシロキサン成分とがシロキサン結合してなるシリカ粒子が得られる。
前記機能性化合物を含有するシリカ粒子の好ましい調製方法の態様としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、アルデヒド基、パラニトロフェニル基、ジエトキシメチル基、エポキシ基、シアノ基等の活性基を有する前記機能性化合物と、それら活性基と対応して反応する置換基(例えば、アミノ基、水酸基、チオール基)を有するシランカップリング剤とを反応させ、共有結合させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を縮重合させシロキサン結合を形成させることにより調製することができる。前記シランカップリング剤としてAPS、シラン化合物としてTEOSを用いた場合を下記に例示する。
前記活性基を有する前記機能性化合物の具体例として、5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン−NHSエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)、下記式でそれぞれ表されるDY550−NHSエステル又はDY630−NHSエステル(いずれも商品名、Dyomics GmbH社製)等のNHSエステル基を有する蛍光色素化合物を挙げることができる。
前記置換基を有するシランカップリング剤の具体例として、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。中でも、APSが好ましい。
前記縮重合させる前記シラン化合物としては、特に制限はされないが、テトラエトキシシラン(TEOS)、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及び3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシランを挙げることができる。中でも、前記シリカ粒子内部のシロキサン成分を形成する観点からはTEOSが好ましく、前記シリカ粒子内部のオルガノシロキサン成分を形成する観点からはMPS又はAPSが好ましい。
上述のように調製すると、球状、もしくは、球状に近いシリカ粒子が製造できる。球状に近いシリカ粒子とは、具体的には長軸と短軸の比が2以下の形状である。
所望の平均粒径のシリカ粒子を得るためには、YM−10、YM−100(いずれも商品名、ミリポア社製)等の限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行い、粒径が大きすぎたり小さすぎる粒子を除去するか、または適切な重力加速度で遠心分離を行い、上清または沈殿のみを回収することで可能である。
本発明において用いる多糖は、得られるシリカ粒子/多糖の複合粒子及びシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子のゼータ電位を負に保つ観点から、アニオン性多糖または電荷的に中性の多糖であることが好ましい。
前記アニオン性多糖、前記電荷的に中性の多糖としては、特に制限はないが、アルギン酸、デキストラン、ヒアルロン酸、セルロース、ヘパリンなどが挙げられ、なかでも前記アニオン性多糖としてはアルギン酸であることが好ましく、前記中性の多糖としては、デキストランであることが好ましい。またこれら多糖の分子量については特に制限はないが、1000〜1000000であることが好ましく、20000〜100000であることがより好ましい(本発明においては、特に断りのない限り、分子量とは重量平均分子量を意味する。高分子化合物は多分散系であり、必ずしも同一の分子量または粒子量を持たない。したがって、分子量を測定して得られた値は、なんらかの形で平均された平均分子量になる。その主なものは次の3種類である。すなわち、1)数平均分子量Mn、2)重量平均分子量Mw、3)Z平均分子量Mzであり、Mn<Mw<Mzの関係が成立する。)。
前記多糖の外側に吸着または共有結合させる生体分子としては、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチドどが挙げられ、また、人工的に合成された生理活性を有する化合物、環境ホルモン等の化学物質も生体分子に代えて用いることができる
ここで、リガンドとはタンパク質と特異的に結合する物質をいい、例えば、酵素に結合する基質、補酵素、調節因子、あるいはホルモン、神経伝達物質などをいい、低分子量の分子やイオンばかりでなく、高分子量の物質も含む
本発明において、用いる前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmであり、20nm〜500nmであることが好ましい。
本発明の複合粒子の平均粒径は、特に制限はないが1nm〜1μmであることが好ましい。
本発明において、前記平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の画像から無作為に選択した50個のシリカ粒子又は複合粒子の合計の投影面積からシリカ粒子又は複合粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、この合計の占有面積を、選択したシリカ粒子又は複合粒子の個数(50個)で割った値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)を求めたものである。
前記平均粒径は、一次粒子が凝集してなる二次粒子を含む概念の後述する「動的光散乱法による粒度」とは異なり、一次粒子のみからなる粒子の平均粒径である。
本発明において、前記複合粒子の「動的光散乱法による粒度」とは、動的光散乱法により測定され、前記の平均粒径とは異なり、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集してなる二次粒子をも含めた概念であり、前記複合粒子の分散安定性を評価する指標となる。
その測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名;マルバーン社製)が挙げられる。この手法は、微粒子などの光散乱体による光散乱強度の時間変動を測定し、その自己相関関数から光散乱体のブラウン運動速度を計算し、その結果から光散乱体の粒度分布を導出するというものである。
粒度分布の変動係数いわゆるCV値は特に制限はないが、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、単分散とはCV値15%以下の粒子群をいう。
次に、本発明の複合粒子のζ電位について説明する。
分散媒と、それに対して相対的に運動しているコロイド粒子とが接触したときに界面で電荷分離が起こる。このとき粒子表面には粒子と逆の符号を持ったイオンが集まり、層を形成する。これを電気二重層と呼ぶ。粒子表面に十分近い領域では反対電荷を持ったイオンは表面に強く引き付けられ運動性が無いため固定相と呼ばれる。それより外側のイオンは運動性を有しており拡散層と呼ばれる。また固定層と拡散層の接触面を滑り面と呼ぶ。粒子から十分離れた、電荷が中性となっている領域の電位をゼロと定義したときの滑り面の電位がζ電位(以下、単に「ゼータ電位」ということもある)であり、すなわち界面動電電位である。
前記ゼータ電位は、コロイド粒子の分散安定性、凝集性、表面改質等を評価する上での指標となる。すなわち、コロイド粒子は帯電しており、その帯電による静電的反発力の大きさが前記ゼータ電位の絶対値の大きさに対応しているので、前記ゼータ電位の絶対値の大きさは、コロイド粒子の分散安定性の指標となる(例えば、北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995参照。)。
また、コロイド粒子がマイナスに帯電すると前記ゼータ電位は負の値となるのに対し、コロイド粒子がプラスに帯電すると前記ゼータ電位は正の値となる。
本発明の複合粒子は、pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜70mVであることが好ましく、45〜55mVであることがより好ましい。
前記絶対値が小さすぎると、容易に凝集体が生じる。また、前記絶対値が大きすぎると、静電的相互作用によって非特異的吸着が増大する。
ゼータ電位測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名、マルバーン社製)、ELS−Z1(商品名、大塚電子社製)、NICOMP 380ZLS(商品名、IBC社製)等を用いることができる。
次に、本発明の複合粒子コロイドについて説明する。
本発明の複合粒子コロイドは、本発明の複合粒子を分散媒中に分散してなる。
前記複合粒子コロイドの分散媒については特に制限はなく、前記複合粒子を均一に分散するものであればよく、親水性の溶媒が好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール、水とメタノールの混合溶媒、水とエタノールの混合溶媒、PBS(リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液が挙げられる。
吸着性の高いマイナスのイオン種を含有しているPBS(リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液中で、本発明の複合粒子を使用する場合であっても、前記イオン種が前記複合粒子に静電的引力で吸着し、静電的反発力が弱められ、前記複合粒子が凝集することはない。
また、本発明の複合粒子コロイドには、前述の非特異的吸着をさらに防止する観点から、ポリエチレングリコール(PEG)、血清アルブミン(BSA)などの任意のブロッキング剤を含有させてもよい。
次に、本発明の分析試薬について説明する。
本発明の分析試薬は、前記複合粒子コロイドを用いてなり、前記複合粒子コロイドに含有される前記複合粒子に、蛍光、吸光、磁性、放射線、pH感受性等の標識を付与することで達成される。前記複合粒子に前記標識を付与する方法としては、前述のように、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等の前記機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いて前記複合粒子を製造する方法などが挙げられる。
本発明の分析試薬の具体例としては、生体分子検出試薬、生体分子定量試薬、生体分子分離試薬、生体分子回収試薬または免疫染色用試薬が挙げられる。
本発明の複合粒子コロイドに含有される前記複合粒子が、前記生体分子を分子認識する生体分子ないしは生理活性物質を標的とすることができ、それら標的である生体分子ないしは生理活性物質を検出、定量、分離または回収する分析試薬とすることができる。また、前記生体分子と、標的である生体分子ないしは生理活性物質との分子認識が、抗原−抗体反応である場合は、前記複合粒子コロイドを用いてなる免疫染色用試薬とすることができる。
ここで、分子認識とは、(1)DNA分子間又はDNA−RNA分子間のハイブリダイゼーション、(2)抗原抗体反応、(3)酵素(受容体)−基質(リガンド)間の反応など、生体分子間の特異的相互作用をいう。
次に、本発明の複合粒子の製造方法について説明する。
本発明のシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子の製造方法は、シリカ粒子と多糖とを塩基性溶液中で混合することにより前記シリカ粒子の表面に前記多糖が結合してなるシリカ粒子/多糖の複合粒子を製造する工程(以下、単に「前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させる工程」という。)を有することを特徴とする。
本発明の複合粒子の製造方法において、用いるシリカ粒子は、前述のゾル−ゲル法等任意の調製方法によって得られたシリカ粒子であることが好ましく、前述のように、国際公開2007/074722A1公報に記載された調製方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子であることが特に好ましい。多糖についての好ましい具体例、分子量等については前述の通りである。
本発明の複合粒子の製造方法において、前記塩基性溶液としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が用いられる。
前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させる工程における混合液中の塩基性物質の濃度は、前記塩基性物質がアンモニアの場合は、0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜1質量%であることがより好ましい。前記塩基性物質が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの場合は、0.001質量%〜0.5質量%であることが好ましく、0.01質量%〜0.1質量%であることがより好ましい。
前記シリカ粒子表面に前記多糖が吸着し、結合する理由はまだ、定かではないが、前記塩基性溶液による処理により、シリカ粒子表面に存在するシロキサン結合の一部が解離しシリカ粒子表面が活性化し、前記の吸着した多糖の酸素原子とシリカ粒子表面の活性化したケイ素原子とが結すると考えられる。
本発明の複合粒子の製造方法において、前記シリカ粒子と混合させる前記多糖の使用量としては、前記シリカ粒子100質量部に対し、0.5質量部以上が好ましく、前記シリカ粒子100質量部に対し、1〜50質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
また、前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させる工程において混合液における前記シリカ粒子の濃度は、前記粒子が安定に分散する濃度であれば特に制限はないが、10質量%以下であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましい。
前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させる工程において、前記シリカ粒子と前記多糖とを塩基性条件で混合するときの混合時間は、混合操作1回あたり15分〜24時間であることが好ましい。また、混合時の前記混合液の温度は0℃〜60℃が好ましい。
前記結合反応後、前記粒子と前記シリカ粒子に結合していない多糖との分離は、遠心分離または限外ろ過によって可能である。
シリカ粒子表面に対する前記多糖の結合処理が出来たかどうかの確認は、混合液から遠心分離または限外ろ過で粒子を除去して得られる溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)で測定し、前記多糖の減少量を定量することで行うことができる。HPLCに用いるカラム及び検出器に特に制限はないが、前記カラムとしてはTSKgel G3000PWXL(東ソー社製)、検出器としては、Shodex RI SE−61(昭和電工社製)などを用いることができる。
前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させる工程において、前記シリカ粒子のコロイドと、前記多糖と、前記塩基性溶液を混合する手順に特に制限はなく、前記シリカ粒子のコロイドに前記多糖を混合してから塩基性溶液を混合してもよいし、前記シリカ粒子のコロイドに前記塩基性溶液を混合してから前記多糖を混合してもよいし、前記多糖と前記塩基性溶液の混合液を前記シリカ粒子のコロイドに加えてもよい。
また、前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させる工程において、前記シリカ粒子のコロイドと、前記多糖と、前記塩基性溶液を混合後、前記混合液を遠心分離してシリカ粒子を沈降させ、上清液を除去し、これに分散媒、多糖、塩基性溶液を加えて再度混合する工程を含んでいてもよい。混合液を遠心分離してシリカ粒子を沈降させ、上清液を除去し、これに分散媒、多糖、塩基性溶液を加えて再度混合する工程は複数回繰り返してもよい。
本発明において、前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合させることにより、前記シリカ粒子/多糖の前記複合粒子の表面に官能基の導入が可能である。例えばアルギン酸又はヒアルロン酸を結合させることにより、前記シリカ粒子/多糖の前記複合粒子の表面にカルボキシル基が導入され、デキストラン又はセルロースを結合させることにより、前記シリカ粒子/多糖の前記複合粒子の表面に水酸基が導入される。これらの官能基を利用して、縮合剤ないしは架橋剤の存在下、前記複合粒子と前記生体分子との共有結合形成が可能となる。
本発明のシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子の製造方法において、前記シリカ粒子の表面及び/又は前記多糖と、前記生体分子との複合化が、縮合剤ないしは架橋剤の存在下又は非存在下にて、前記シリカ粒子/多糖の前記複合粒子のコロイドと前記生体分子の溶液とを混合することにより行われることが好ましい。
ここで「複合化」とは、吸着又は共有結合形成による一体化をいう。
具体的には、縮合剤等の非存在下、前記シリカ粒子/多糖の前記複合粒子のコロイドと前記生体分子の溶液とを混合することにより、前記生体分子は、前記シリカ粒子の表面及び/又は前記多糖と吸着することができる。
また、前記生体分子は、縮合剤により直接または架橋剤を介して前記多糖の前記官能基と共有結合することができる。
用いる前記縮合剤ないしは架橋剤の具体例としては、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等が挙げられる。
複合化に用いる前記縮合剤ないしは架橋剤の当量数、前記コロイドの分散媒、前記生体分子の溶液の溶媒の種類・容量、及び反応温度等の反応条件については複合化が進行する限り特に制限はない。
前記複合化した後、前記複合粒子と前記シリカ粒子に複合化していない前記生体分子との分離は、遠心分離または限外ろ過によって可能である。
前記シリカ粒子の表面及び前記多糖と、前記生体分子とを複合化した後は、前述の非特異的吸着をさらに防止する観点から、PEG、BSAなどの任意のブロッキング剤でブロッキング処理を施してもよい。
前記生体分子の複合化が出来たかどうかの確認は、混合液から遠心分離または限外ろ過で粒子を除去した溶液に含まれる前記生体分子を一般的なタンパク質定量法(例えば、UV法、Lowry法、Bradford法)で定量し、減少した前記生体分子の量を定量することで行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下の実施例において「部」とは「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
参考例 (本発明の複合粒子の製造に用いるシリカ粒子の調製)
5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン・スクシンイミジルエステル(商品名、emp Biotech GmbH社製)5.8mgを1mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。ここに2.6μlのAPSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液150μlにエタノール44.8ml、TEOS360μl、蒸留水11.2ml、28質量%アンモニア水800μlを加え、室温で24時間反応を行った。
反応液を18000 x gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を4ml加え、粒子を分散させ、再度18000 x gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、標識シリカナノ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径26nmのシリカ粒子27.9mgを得た。収率約31%。
図5は、得られたローダミン含有シリカ粒子のSEM写真像を示す図である。図中、白く見える球形状物質が、得られたローダミン含有シリカ粒子である。
実施例1 (ローダミン含有シリカ粒子の表面へのアルギン酸の吸着、結合)
参考例と同様な方法により得られた、濃度33.4mg/mlのローダミン含有シリカ粒子(平均粒径26nm)の分散液300μl(分散媒蒸留水)に、蒸留水590μlと、濃度10mg/mlのアルギン酸ナトリウム水溶液(重量平均分子量70000)を100μl加え、撹拌子でよく撹拌した。続いて、濃度1Mの水酸化ナトリウム水溶液を10μl加え、コロイドを室温(23℃)で1時間撹拌した。得られたコロイドを15,000×Gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去した。ここに蒸留水を890μl加え、粒子を再分散させた。続いて、10mg/mlのアルギン酸ナトリウム水溶液を100μl加え撹拌子でよく撹拌したあと、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を10μl加え、1時間撹拌した。このコロイドを15,000×Gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を1ml加え粒子を分散させた。同様にして更に2回遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、蒸留水1mlに分散させ、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子(平均粒径26nm)のコロイドを得た(収量10.0mg/ml×1ml)。
(分散安定性試験)
得られたコロイド50μlをキュベットに入れ、さらに蒸留水850μlと、50mM KHPO水溶液(pH7.0)100μlを加えた。この混合液に10質量%のNaCl水溶液を100μl加え、ピペットで軽く混合後、室温で静置し、粒度分布の経時変化を動的光散乱法による粒度分布測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)で測定した。
図1はローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子の粒度分布の経時変化を示した図である。横軸は、動的光散乱法による粒度(nm)を表し、縦軸は、各粒度における粒子数の割合(%)を表す。以下同様である。
図1から明らかなように、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子のコロイドは、24時間経過後でもほとんど粒度分布に変化はなかった。このことから、本発明の複合粒子は、塩を含む分散媒中においても、2次粒子を形成して凝集することなく、分散安定性に優れることが分かる。
実施例2 (ローダミン含有シリカ粒子の表面へのアルギン酸の吸着、結合)
参考例と同様な方法により得られた、濃度10mg/mlのローダミン含有シリカ粒子(平均粒径26nm)の分散液8.8ml(分散媒蒸留水)に、濃度10mg/mlのアルギン酸ナトリウム水溶液を1ml加え、撹拌子でよく撹拌した。続いて、28質量%のアンモニア水を200μl加え、コロイドを室温で1時間撹拌した。得られたコロイドを15,000×Gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去した。ここに蒸留水を8.8ml加え、粒子を再分散させた。続いて濃度が10mg/mlのアルギン酸ナトリウム水溶液を1ml加え、撹拌子でよく撹拌したあと、28質量%のアンモニア水を200μl加え、1時間撹拌した。このコロイドを15,000×Gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を10ml加え粒子を分散させた。同様にして更に2回遠心分離と蒸留水への分散を繰り返して粒子を洗浄し、蒸留水1mlに分散させ、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子(平均粒径26nm)のコロイドを得た(コロイドA、収量8.8mg/ml×10ml)。コロイドA100μlに蒸留水を900μl加えて1mlとし、ゼータ電位測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)を用いてゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位は51.4mVであった。
(分散安定性試験)
コロイドA50μlをキュベットに入れ、さらに蒸留水850μlと、50mM KHPO水溶液(pH7.0)100μlを加えた。この混合液に10質量%のNaCl水溶液を100μl加え、ピペットで軽く混合後、室温で静置し、粒度分布の経時変化を動的光散乱法による粒度分布測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)で測定した。
図2はローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子の粒度分布の経時変化を示した図である。
図2から明らかなように、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子のコロイドは、24時間経過後でもほとんど粒度分布に変化はなかった。このことから、本発明の複合粒子は、塩を含む分散媒中においても、2次粒子を形成して凝集することなく、分散安定性に優れることが分かる。
実施例3 (ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子への抗体の複合化)
遠心管に50mM KHPO(pH6.5)を1mLと、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子(平均粒径26nm)のコロイド(10mg/mL)9mLを加えて軽く撹拌した。遠心管に抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008, Medix Biochemica社製)1mL(60μg/mL)を撹拌しながら加え、室温で1時間静置した。これに1質量%のPEG(ポリエチレングリコール、分子量20000、和光純薬工業社製)を0.55mL加え軽く撹拌し、更に10%BSAを1.1mL加え軽く撹拌した。
混合液を12,000×Gで15分間遠心分離し、上清を1mL程度残して取り除き、残した上清に沈殿を分散させた。この分散液に保存用バッファー(20mM Tris−HCl(pH 8.2), 0.05% PEG20,000, 1%BSA, 0.1%NaN)を20mL加え、再度遠心分離し、上清を1mL程度残して取り除き、残した上清に沈殿を分散させた(コロイドB)。コロイドB100μlに蒸留水を900μl加えて1mlとし、15,000×Gの重力加速度で30分遠心分離し、上清を除去後、蒸留水を1ml加え粒子を分散させた。同様にして更に1回遠心分離し、粒子を蒸留水1mlに分散させた。得られたコロイドのゼータ電位測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)を用いてゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位は50.1mVであった。
(分散安定性試験)
コロイドB10μlをキュベットに入れ、さらに蒸留水890μlと、50mM KHPO水溶液(pH7.0)100μlを加えた。この混合液に10質量%のNaCl水溶液を100μl加え、ピペットで軽く混合後、室温で静置し、粒度分布の経時変化を動的光散乱法による粒度分布測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)で測定した。
図3はローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸/抗hCG抗体の複合粒子の粒度分布の経時変化を示した図である。
図3から明らかなように、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸/抗hCG抗体の複合粒子(平均粒径26nm)のコロイドは、24時間経過後でも分散を維持し、粒度分布の大きな変化はなかった。このことから、本発明の複合粒子は、塩を含む分散媒中においても、2次粒子を形成して凝集することなく、分散安定性に優れることが分かる。
(分子認識試験)
続いて、前記得られたローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸/抗hCG抗体の複合粒子コロイド(コロイドB)100μlを96穴マイクロプレートのウェルの1つに入れた。次に、抗IgG抗体(Anti Mouse IgG、Dako社製)が1mg/mL含まれる溶液(50mMKHPO,pH7.0)を用意した。図4は、分子認識試験に用いたストリップ1の平面図である。一方の末端2から約15mmの位置3にライン状に、前記溶液を0.75μL/cmの塗布量(約1mm幅)で塗布したメンブレン4(Hi−Flow Plus120 membrane、MILLIPORE社製)を5mm幅にカットし、ストリップ1(丈25mm)とした。
前記末端をローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸/抗hCG抗体の複合粒子コロイドに浸し、1時間放置した。
図4から明らかなように、抗IgG抗体がライン状に塗布された部分3が赤く発色し、ローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸/抗hCG抗体の複合粒子が形成されていることが確認された。また、本発明の複合粒子が分析試薬として好適であることが分かる。
図1はローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子の粒度分布の経時変化を示した図である。 図2はローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸の複合粒子の粒度分布の経時変化を示した図である。 図3はローダミン含有シリカ粒子/アルギン酸/抗hCG抗体の複合粒子の粒度分布の経時変化を示した図である。 図4は、実施例3の分子認識試験に用いたストリップの平面図である。 図5は、参考例で得られたシリカ粒子のSEM写真像を示す図である。

Claims (13)

  1. アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化カリウム水溶液のいずれかの塩基性溶液中で平均粒径1nm〜1μmのシリカ粒子と多糖とを混合することにより該混合液中の塩基性物質の濃度を下記の濃度とし、前記シリカ粒子の表面に前記多糖を結合により一体化させる工程を有することを特徴とするシリカ粒子/多糖の複合粒子の製造方法。
    [前記塩基性物質がアンモニアの場合は0.01質量%〜5質量%であり、前記塩基性物質が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの場合は0.001質量%〜0.5質量%である。]
  2. 前記多糖がアルギン酸、又はデキストランであることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
  3. 前記多糖がヒアルロン酸、又はセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
  4. 前記シリカ粒子の平均粒径が20nm〜500nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法。
  5. 前記多糖の重量平均分子量が1000〜1000000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によりシリカ粒子/多糖の複合粒子を調製した後、前記シリカ粒子の表面及び前記多糖と生体分子との吸着又は共有結合形成を、縮合剤ないしは架橋剤の存在下又は非存在下にて、前記シリカ粒子/多糖の複合粒子のコロイドと前記生体分子の溶液とを混合することにより行うことを特徴とするシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子の製造方法。
  7. 平均粒径が1nm〜1μmであるシリカ粒子を分散したコロイドと、前記シリカ粒子100質量部に対し0.5質量部以上のアルギン酸またはデキストランとを0.01質量%〜1質量%のアンモニア水溶液中で混合し、前記シリカ粒子の表面に前記アルギン酸またはデキストランを結合により一体化させる工程を有することを特徴とするシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたシリカ粒子/多糖の複合粒子に生体分子を吸着又は共有結合させてなるシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子。
  9. 前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、及びペプチドからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の複合粒子。
  10. 前記生体分子に代えて、人工的に合成された生理活性を有する化合物、及び環境ホルモンからなる群から選ばれた少なくとも1種を吸着又は共有結合させてなることを特徴とする請求項8に記載の複合粒子。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載のシリカ粒子/多糖/生体分子の複合粒子が分散媒中に分散してなる複合粒子コロイド。
  12. 前記分散媒が緩衝液である請求項11に記載の複合粒子コロイド。
  13. 請求項11又は12に記載の複合粒子コロイドを用いてなる分析試薬。
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