JP5479986B2 - 表層制御積層シリカナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このように作製した機能性分子含有シリカ粒子は、その表面に抗体や核酸などの生体分子を結合(吸着)させることができ、これにより該生体分子と結合する標的分子を高感度に検出するための診断試薬として利用すること等ができる。
本発明は、表面に結合した生体分子の活性低下を抑制できる機能性分子含有シリカ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
[1]機能性分子が結合したオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとをアンモニア水含有溶媒中で混合し、該溶媒中に該機能性分子を含有するシリカのコア粒子を形成させて該コア粒子の分散液を得る第1工程、及び前記第1工程で得られた分散液に、チオール基、イソシアネート基、アルキル基、アリール基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、シアノ基、ハロゲン基、ウレイド基、アクリロキシ基、及びポリスルフィド基からなる群から選択される官能基を有するオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを添加して前記のシリカのコア粒子にシェル層を形成させる第2工程を少なくとも含む、表面が前記官能基で修飾されたシリカナノ粒子の製造方法。
[2]前記官能基がチオール基である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記チオール基を有するオルガノアルコキシシランが、メルカプトプロピル基を有するオルガノアルコキシシランである、[2]に記載の製造方法。
[4]前記第2工程で添加される前記の官能基を有するオルガノアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの添加量を調節することによりシリカナノ粒子の純水中におけるゼータ電位の絶対値を20〜70mVに調節する、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記第2工程における前記官能基を有するオルガノアルコキシシランの添加量が、前記第1工程から前記第2工程を通して添加した前記テトラアルコキシシランと前記官能基を有するオルガノアルコキシシランの総モル数1に対してモル比で0.03〜0.40である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記機能性分子が蛍光分子である、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法により製造されたシリカナノ粒子。
[8]機能性分子を含有するシリカのコア粒子表面に、ヒドロキシル基と、チオール基、イソシアネート基、アルキル基、アリール基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、シアノ基、ハロゲン基、ウレイド基、アクリロキシ基、及びポリスルフィド基からなる群から選択される官能基とを有するシェル層が形成されたシリカナノ粒子であって、純水中におけるゼータ電位の絶対値が20〜70mVである、機能性分子を含有するシリカナノ粒子。
[9]前記官能基がチオール基である、[8]に記載のシリカナノ粒子。
[10]表面に生体分子が結合している、[7]〜[9]のいずれかに記載のシリカナノ粒子。
[11]前記生体分子がタンパク質である、[10]に記載のシリカナノ粒子。
[12]前記タンパク質が抗体又は抗原である、[11]に記載のシリカナノ粒子。
[13][10]〜[12]のいずれかに記載のシリカナノ粒子を含む診断キット。
[14]前記診断キットがイムノクロマトグラフィー装置である、[13]に記載の診断キット。
また、本発明によれば、表面に特定の官能基を有する機能性分子含有シリカナノ粒子であって、特定のゼータ電位を有し、溶液分散性の高いシリカナノ粒子が提供される。
本発明の製造方法は、機能性分子を含むシリカのコア粒子を作製した後に、その表面にヒドロキシル基と所望の官能基とを有するシリカのシェル層を形成させる工程を含む、シリカナノ粒子の製造方法である。
上記シリカのコア粒子は、機能性分子が結合したオルガノアルコキシシラン(機能性分子結合オルガノアルコキシシラン)と、テトラアルコキシシランとをアンモニア水含有溶媒中で混合し、加水分解反応と縮重反応とを行わせることで得ることができる。
機能性分子が結合するオルガノアルコキシシランとしては、上記APSやMPSの他、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルエトキシシラン等が挙げられる。
上記機能性分子結合オルガノアルコキシシランやテトラアルコキシシランのアルコキシ基は、上記アンモニア水含有溶媒中で加水分解されてヒドロキシル基となり、さらに該ヒドロキシル基が脱水縮合してシロキサン結合を形成する。その結果、オルガノシロキサン成分とシロキサン成分とがシロキサン結合してなるシリカ粒子が形成される。
上記で作製したアンモニア水含有溶媒中のシリカのコア粒子の表面にヒドロキシル基と所望の官能基とを有するシリカのシェル層を形成させることで、表面に該ヒドロキシル基と該所望の官能基を有する本発明のシリカナノ粒子を作製することができる。具体的には、上記で調製した、コア粒子を含有するアンモニア水含有溶媒に、所望の官能基を有する少なくとも1種のオルガノアルコキシシランを添加し、加水分解反応と縮重反応とを行わせることで、表面にヒドロキシル基と上記官能基とを有するシリカのシェル層を形成させることができる。上記官能基が1種類である場合には、当該官能基を有する1種類のオルガノアルコキシシランを添加することで所望のシリカナノ粒子を得ることができる。また、上記官能基が2種以上である場合には各官能基に対応した2種以上のオルガノアルコキシシランを添加することで所望のシリカナノ粒子を得ることができる。上記官能基としては、チオール基、アミノ基、アリール基、アルキル基、イソシアネート基等が挙げられる。上記官能基がチオール基である場合には、MPS等のチオール基を有するオルガノアルコキシシランを添加することができ、上記官能基がアミノ基である場合には、APS等のアミノ基を有するオルガノアルコキシシランを添加することができ、上記官能基がアリール基である場合には、トリメトキシフェニルシラン等のアリール基を有するオルガノアルコキシシランを添加することができ、上記官能基がアルキル基である場合には、トリメトキシメチルシラン等のアルキル基を有するオルガノアルコキシシランを添加することができ、上記官能基がイソシアネート基である場合には、3−イソシアネートプロピルエトキシシラン等のイソシアネート基を有するオルガノアルコキシシランを添加することができる。
上記官能基を有するオルガノアルコキシシランを、シリカのコア粒子を含むアンモニア水含有溶媒に添加する量に特に制限はないが、モル比で、コア粒子の形成からシェル層の形成を通して(シリカナノ粒子の全製造工程を通して)添加したテトラアルコキシシランと上記官能基を有するオルガノアルコキシシランの総モル数1に対して0.02〜0.80であることが好ましく、0.03〜0.40であることがさらに好ましい。
シェル層を形成させたシリカナノ粒子の大きさは20〜500nmとすることが好ましい。
これに対し、本発明の方法では、アンモニア水含有溶媒中で形成させたシリカのコア粒子を該アンモニア水含有溶媒から分離せずにその表面に官能基を導入することができるので、従来の方法に比べてより簡便な方法で官能基が導入されたシリカナノ粒子を作製することができる。しかも本発明の方法では、シリカナノ粒子表面の官能基の組成と量を簡単に制御することができるため、上記従来法で作製した官能基を有するシリカナノ粒子よりも粒子表面の親水性を高める(ゼータ電位の絶対値を高める)ことができる。これにより、粒子同士の凝集を抑えることができるため、後述するような用途に適したシリカナノ粒子を提供することができる。
本発明のシリカナノ粒子は機能性分子を含有し、その表面にヒドロキシル基とそれ以外の官能基とを有する。当該官能基に特に制限がないが、チオール基、アミノ基、アリール基、アルキル基又はイソシアネート基であることが好ましく、チオール基、アミノ基であることがより好ましく、チオール基であることが特に好ましい。本発明のシリカナノ粒子は、ヒドロキシル基以外の官能基を1種有していてもよいし、2種以上有していてもよい。本発明のシリカナノ粒子の純水中におけるゼータ電位の絶対値は1〜70mVであることが好ましく、20〜70mVであることがより好ましく30〜60mVであることがさらに好ましく、45〜55mVであることが特に好ましい。
本発明のシリカナノ粒子は、上記本発明の製造方法により製造しうる。
該抗体の具体例としては、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、α−フェトプロテイン(AFP)、前立腺性酸性ホスファターゼ(PAP)、CA19−9、CA125、CA15−3、前立腺特異抗原(PSA)、遊離PSA等の腫瘍マーカーに対する抗体、HBs抗原、HBe抗原、p24抗原等の感染症マーカーに対する抗体、FDP、Dダイマー、PIC、ATIII、FM等の凝固線溶マーカー、CK−MB、ミオグロビン、トロポニン、CRP、BNP等の心不全マーカーに対する抗体、TSH、hCG等のホルモン類やインスリン等に対する抗体等が挙げられる。
生体分子をシリカナノ粒子表面に非共有結合する方法としては生体分子をシリカナノ粒子表面に吸着させる方法が挙げられる。例えば、生体分子を含む溶液中に本発明のシリカナノ粒子を分散させることで、該生体分子を本発明のシリカナノ粒子の表面に物理的に吸着させることができる。
本発明の診断キットは、本発明のシリカナノ粒子表面に生体分子が結合した粒子を含むキットであり、標的分子を検出するために用いられる。以下本発明の診断キットの例について説明する。
(a)サンドイッチ免疫測定キット
本発明のシリカナノ粒子の表面に標的分子の第1のエピトープに特異的に結合する第1の抗体を結合させたシリカナノ粒子と、標的分子の第1のエピトープとは異なるエピトープに特異的に結合する第2の抗体とを含むキットである。第1の抗体と第2の抗体は標的分子を挟んで結合することができる。このキットは抗原抗体反応に適した緩衝液等や、抗原抗体反応を行わせるための容器等を含んでいてもよい。第2の抗体は反応場に固定化されていてもよいし、免疫測定の際に反応場に添加しうる状態で含まれていてもよい。また、第2の抗体は磁性粒子等の担体に結合されていてもよい。第2の抗体が固定化される反応場としてはニトロセルロース等のシート、ガラスや樹脂製の反応容器内壁、ガラスや樹脂製のマイクロチップに形成されたマイクロ流路内壁等が挙げられる。ニトロセルロース等のシートが反応場である診断キットとして、イムノクロマトグラフィー装置(抗体が固定化されたシートを含むテストストリップがハウジングされたイムノクロマト試薬)の形態が例示される。
本発明のシリカナノ粒子の表面に標的分子が有するエピトープと同一のエピトープを有する標的分子のアナログを結合させたシリカナノ粒子と、該エピトープを特異的に認識する抗体を含むキットである。標的分子と標的分子のアナログは、該抗体に競合的に結合する。このキットは抗原抗体反応に適した緩衝液等や、抗原抗体反応を行わせるための容器等を含んでいてもよい。該抗体は反応場に固定化されていてもよいし、免疫測定の際に反応場に添加しうる状態で含まれていてもよい。また、該抗体は磁性粒子等の担体に結合していてもよい。該抗体が固定化される反応場としては、ニトロセルロース等のシート、ガラスや樹脂製の反応容器内壁、ガラスや樹脂製のマイクロチップに形成されたマイクロ流路内壁等が挙げられる。競合免疫測定キットはエピトープが1つしかないようなペプチドやホルモン等の低分子の標的分子の検出に好適に使用される。
本発明のシリカナノ粒子の表面に、標的核酸の連続した1つの領域における塩基配列と相補的な塩基配列を有する第1のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを結合させたシリカナノ粒子と、第1のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとは異なる部位で標的核酸にハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含むキットである。第1のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは標的核酸を介して結合する。このキットはハイブリダイゼーション反応に適した緩衝液等や、ハイブリダイゼーション反応を行わせるための容器等を含んでいてもよい。第2のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは反応場に固定化されていてもよいし、反応場に添加しうる状態で含まれていてもよい。また、第2のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは磁性粒子等の担体に結合していてもよい。第2のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが固定化される反応場としてはニトロセルロース等のシート、ガラスや樹脂製の反応容器内壁、ガラスや樹脂製のマイクロチップに形成されたマイクロ流路内壁等が挙げられる。ニトロセルロース等のシートが反応場である診断キットとして、イムノクロマトグラフィー装置に準じた形態(イムノクロマトグラフィー装置においてニトロセルロース等のシートに固定化された抗体(抗原)が核酸に置き換わった形態である。便宜上、核酸クロマトグラフィー装置と呼ぶ。)が例示される。
14質量%のアンモニア水をエタノールで5倍希釈して3.5mLのアンモニア水含有溶媒を調製した。該アンモニア水含有溶媒にTEOS(信越シリコーン社製)30μL(135マイクロモル)と、10mMの濃度になるようにジメチルスルフォキシド(DMF)に溶解した5−カルボキシローダミン6G−APS16μL(160ナノモル)とを添加して、40℃で30分攪拌することで蛍光分子含有コア粒子が形成された溶液(以下、コア粒子含有溶液と呼ぶことがある。)を得た。本発明における機能性分子結合オルガノアルコキシシラン化合物に該当する上記5−カルボキシローダミン6G−APSは、5−カルボキシローダミン6G−NHSエステル(商品名、インビトロジェン社製)とAPS(信越シリコーン社製)とを反応させることで調製した。
表1中「TEOSとMPSの総添加量(TEOS+MPS)に対するMPSの添加量」とは、上記全工程を通してアンモニア水含有溶媒に添加したTEOSとMPSの総添加量に対するMPSの添加量を示す。なお、MPS/TEOS混合液は追添の直前に調製した。
調製例1の中間生成物である第2シリカナノ粒子を、上記本発明シリカナノ粒子の洗浄操作と同様の洗浄操作に付すことで、表面にヒドロキシル基のみを有する蛍光分子含有シリカナノ粒子(TEOS粒子)を得た。
28質量%のアンモニア水3.5mLにMPS(和光純薬株式会社製)15μL(81マイクロモル)と、10mMの濃度になるようにDMFに溶解した5−カルボキシローダミン6G−APS8μL(80ナノモル)とを添加して、60℃で120分攪拌することで約350nmの蛍光分子含有シリカナノ粒子が形成された溶液を得た。このシリカナノ粒子を、上記本発明シリカナノ粒子の洗浄操作と同様の洗浄操作に付すことで、TEOSを含まない蛍光分子含有シリカナノ粒子(MPS粒子)を得た。比較例2で得られたシリカナノ粒子は構成成分としてTEOSを含まないため、その表面に存在するヒドロキシル基の数は、本発明シリカナノ粒子よりも格段に少ない。
調製例1の中間生成物である第2シリカナノ粒子含有溶液1mLに、5.8mM MPSを0.1mL添加し、室温で一晩攪拌することで第2シリカナノ粒子表面をMPSで修飾した。こうして得られた蛍光分子含有シリカナノ粒子を、上記本発明シリカナノ粒子の洗浄操作と同様の洗浄操作に付すことで、TEOS粒子の表面がMPSで修飾された蛍光分子含有シリカナノ粒子を得た。
本発明シリカナノ粒子1〜3、比較例1のTEOS粒子及び比較例2のMPS粒子についてゼータ電位の測定を行った。ゼータ電位の測定は、ゼータサイザーナノ(商品名、マルバーン社製)により実施した。結果を図1に示す。
図1より、表面にメルカプトプロピル基を有さないTEOS粒子のゼータ電位の絶対値が最も高く(約−58mV)、次いで本発明シリカナノ粒子1(約−56mV)、本発明シリカナノ粒子2(約−52mV)、本発明シリカナノ粒子3(約−49mV)、MPS粒子(約−12mV)の順にゼータ電位の絶対値が小さいことがわかる。すなわち、シリカナノ粒子表面のメルカプトプロピル基の数が増加するにしたがってゼータ電位の絶対値が小さくなることがわかった。
また、比較例3のシリカナノ粒子のゼータ電位についても測定したところ、その値は−15mVであり、MPS粒子と同様低いゼータ電位の絶対値を示した。
本発明シリカナノ粒子1〜3、比較例1のTEOS粒子、比較例2のMPS粒子及び比較例3の蛍光分子含有シリカナノ粒子について蛍光強度の測定を行った。蛍光強度の測定は、蛍光分光光度計FP−6500(商品名、日本分光社製)を用いて、530nmの励起光を照射したときに発する555nmの蛍光を測定することで行った。その結果、本発明シリカナノ粒子1〜3は、TEOS粒子と同程度の蛍光強度を示すことがわかった。一方、MPS粒子及び比較例3のシリカナノ粒子は凝集しやすく、測定溶媒に分散させることができず、測定が不可能であった。MPS粒子と比較例3のシリカナノ粒子は、粒子表面のゼータ電位の絶対値が15程度と小さい。すなわち、表面の疎水性が高いために、粒子同士の疎水的相互作用によって凝集が起こりやすいと考えられる。
本発明シリカナノ粒子1〜3及び比較例1のTEOS粒子について、その表面に抗体を結合させて、イムノクロマトグラフィー試薬としての性能を比較した。なお、比較例2のMPS粒子及び比較例3のシリカナノ粒子については、水溶液中で凝集してしまうため、本試験に用いることができなかった。
本発明シリカナノ粒子1を5mg/mLの濃度になるように蒸留水中に分散させた。この分散液100μLと、50mM KH2PO4(pH7.0)390μLとをマイクロチューブに入れて軽く攪拌した。この混合液に5.8mg/mLの濃度に調製した抗hCG抗体(Anti−hCG clone codes/5008,Medix Biochemica社製)10μLを加え、室温で10分間穏やかに混合することで、抗hCG抗体を本発明シリカナノ粒子1に吸着させた。続いてこの混合液に1%のポリエチレングリコール、分子量20000、和光純薬工業社製)を200μL加えて軽く攪拌し、さらに10%BSAを200μL加えて軽く混合した。混合液を遠心分離して粒子を沈殿させた後、上清を取り除いた。ここに、保存用バッファーとして、0.05% PEG(分子量20000)、150mM NaCl、1% BSA及び0.1% NaN3を含む20mM Tris−HCl(pH8.2)を1mL加え、再度遠心分離して上清を取り除いた。ここに、蒸留水500μLと、塗布バッファーとして、0.05% PEG(分子量20000)、5%スクロースを含む20mM Tris−HCl(pH8.2)を500μL加えて粒子を分散させ、表面に抗hCG抗体が結合した蛍光分子含有シリカナノ粒子(以下、抗体結合シリカナノ粒子と呼ぶ。)の分散溶液を得た。
Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)1枚(8mm×150mm)に付き、上記抗体結合シリカナノ粒子の分散溶液0.8mLを均一に塗布した。これをデキケーター内で、室温下で一晩減圧乾燥した。こうして抗体結合シリカナノ粒子を均一に含有するコンジュゲートパッドを作製した。
メンブレン(丈25mm、商品名Hi−Flow Plus120 メンブレン、MILLIPORE社製)の中央付近(サンプルパッド側の端から約12mm)に約1mm幅のテストラインを作製した。具体的には、抗hCG抗体(alpha subunit of FSH(LH),clone code/6601、Medix Biochemica社製)を1mg/mLの濃度になるように、5%スクロースを含む50mM KH2PO4(pH7.0)溶液に溶解し、これを0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
続いて、メンブレンのサンプルパッド側の端から約16mmに約1mm幅のコントロールラインを作製した。具体的には、抗IgG抗体(Anti Mouse IgG、Dako社製)が1mg/mL含まれる50mM KH2PO4(pH7.0、シュガーフリー)溶液を0.75μL/cmの塗布量で塗布した。
上記のようにテストラインとコントロールラインを形成させたメンブレンを50℃で30分乾燥させた。
上記コンジュゲートパッドと、上記抗体固定化メンブレンと、サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP、MILLIPORE社製)と、吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)、MILLIPORE社製)とを、バッキングシート(商品名:AR9020,Adhesives Research社製)上で組み立て、幅5mm、長さ60mmのストリップ状に切断し、図2a及び図2bに示す構成のテストストリップを得た。
上記テストストリップのサンプルパッドに0.5IU/LのリコンビナントhCG(ロート製薬社製)を100μL滴下して1分静置した後、テストストリップの蛍光をCCD検出器(C2741−35A(商品名、浜松ホトニクス社製)を用いて画像化した。蛍光の検出は、励起光源側のフィルタとしてFF01−482(商品名、Semrock社製)、検出器側のフィルタとしてFF01−536(商品名、Semrock社製)を用いて、テストストリップを水銀ランプ(103W)で照射することで行った。
作製直後並びに作成後16日及び25日経過後のテストストリップを用いてテストラインの蛍光強度を比較した結果を図3に示す。なお、図3中のプロットは抗体活性評価試験3回分の平均値を示し、図中のエラーバーは標準偏差を示す。
2 サンプルパッド
3 コンジュゲートパッド
4 ニトロセルロースメンブレン
41 テストライン
42 コントロールライン
5 吸収パッド
6 バッキングシート
Claims (14)
- 機能性分子が結合したオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとをアンモニア水含有溶媒中で混合し、該溶媒中に該機能性分子を含有するシリカのコア粒子を形成させて該コア粒子の分散液を得る第1工程、及び
前記第1工程で得られた分散液に、チオール基、イソシアネート基、アルキル基、アリール基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、シアノ基、ハロゲン基、ウレイド基、アクリロキシ基、及びポリスルフィド基からなる群から選択される官能基を有するオルガノアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを添加して前記のシリカのコア粒子にシェル層を形成させる第2工程、
を少なくとも含む、表面が前記官能基で修飾されたシリカナノ粒子の製造方法。 - 前記官能基がチオール基である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記チオール基を有するオルガノアルコキシシランが、メルカプトプロピル基を有するオルガノアルコキシシランである、請求項2に記載の製造方法。
- 前記第2工程で添加される前記の官能基を有するオルガノアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの添加量を調節することによりシリカナノ粒子の純水中におけるゼータ電位の絶対値を20〜70mVに調節する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記第2工程における前記官能基を有するオルガノアルコキシシランの添加量が、前記第1工程から前記第2工程を通して添加した前記テトラアルコキシシランと前記官能基を有するオルガノアルコキシシランの総モル数1に対して、モル比で0.03〜0.40である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記機能性分子が蛍光分子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたシリカナノ粒子。
- 機能性分子を含有するシリカのコア粒子表面に、ヒドロキシル基と、チオール基、イソシアネート基、アルキル基、アリール基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、シアノ基、ハロゲン基、ウレイド基、アクリロキシ基、及びポリスルフィド基からなる群から選択される官能基とを有するシェル層が形成されたシリカナノ粒子であって、純水中におけるゼータ電位の絶対値が20〜70mVである、機能性分子を含有するシリカナノ粒子。
- 前記官能基がチオール基である、請求項8に記載のシリカナノ粒子。
- 表面に生体分子が結合している、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシリカナノ粒子。
- 前記生体分子がタンパク質である、請求項10に記載のシリカナノ粒子。
- 前記タンパク質が抗体又は抗原である、請求項11に記載のシリカナノ粒子。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載のシリカナノ粒子を含む診断キット。
- 前記診断キットがイムノクロマトグラフィー装置である、請求項13に記載の診断キット。
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