JP2021036230A - 粒子及びその製造方法、アフィニティー粒子、検査試薬、検査キット、並びに検出方法 - Google Patents

粒子及びその製造方法、アフィニティー粒子、検査試薬、検査キット、並びに検出方法 Download PDF

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文生 山内
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Abstract

【課題】BSAを用いることなく非特異吸着を抑制できる粒子、測定感度の低下を引き起こす夾雑物を吸着して沈降させる粒子、及び、それらの製造方法を提供する。【解決手段】ポリスチレンを含むポリマー粒子であって、該ポリマー粒子が、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットを含むランダム共重合体を含み構成されていることを特徴とする粒子。無機物を含む粒子であって、該粒子の表面が、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットを含むランダム共重合体を含み構成されているか、または、ピロリドン環を有する重合体の第一層と、同一分子内にカルボキシ基、及び、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有する重合体の第二層とを含み構成されていることを特徴とする粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、粒子及びその製造方法、アフィニティー粒子、検査試薬、検査キット、並びに検出方法に関する。
ポリマー粒子は基礎的な生物学や医療の分野においてその重要性が高まっている。例えばラテックス凝集法を用いた体外検査診断薬への応用に対するニーズが高まっている。
また、ナノ粒子の重要性は、基礎的な研究のみならず、医療や材料工学などの応用分野においても高まっている。医療分野への応用の一例として、ナノ粒子はラテックス凝集法に利用される。ラテックス凝集法の原理は次の通りである。抗体(または抗原)を粒子の表面に結合させたナノ粒子は、抗原(または抗体)の存在量に応じて、抗体抗原相互作用によって凝集する。すなわち、我々は凝集度を分光学的に測定することによって、抗原(または抗体)の存在量を知ることができる。
原理的には、粒子表面に所望の抗原あるいは抗体を吸着させることができれば、ラテックス凝集反応の感度を高めることができる。しかし、血清などの検体中には多くの夾雑物が存在しており、この夾雑物も粒子表面に吸着(非特異吸着)し、所望の抗原や抗体が粒子表面へ吸着することを阻害する。
また、粒子に吸着した夾雑物を介して粒子同士が凝集すると、測定精度の低下がおこる。夾雑物とは、検出対象の抗原ではないが、反応系中に含まれる物質である。ラテックス凝集法において、検出対象の抗原ではない夾雑物を介した粒子の凝集は、測定感度の低下を引き起こすため好ましくない。そこで、調製した粒子に所望の抗体を吸着させた後に、BSA(Bovine serum albumin、牛血清アルブミン)で粒子表面を被覆することで、粒子表面への夾雑物の吸着(非特異吸着)を抑制する方法がある(特許文献1)。
また、ヒドロキシル基を有する化合物を粒子表面に被覆することで非特異吸着を抑制する方法がある(特許文献2)。
更に別の方法として、粒子の一部を磁性体とする方法がある。すなわち、ラテックス凝集法によって凝集した粒子を磁場方向に引き寄せることで相対的に非特異吸着を低減させ感度を上げる方法である(特許文献3)。
特開2004−151000号公報 特開平4−218772号公報 特許第2603843号公報
しかし、BSAで粒子表面を被覆すると、夾雑物の吸着を十分に抑えられるときと抑えられないときがあった。そのため、ラテックス凝集法にBSAで被覆した粒子を用いると、再現性が低下するという問題点があった。BSAが天然物であるため、ロットごとに親水性と疎水性の程度が異なっているためと推測される。
特許文献1に開示されたBSA被覆粒子では、非特異吸着を抑制する性能が十分ではなかった。これは、BSAは天然物を分離精製したものであることが要因のひとつであると推察される。言い換えると、BSAは、個体や製造ロットの違いに依存して性能が変化するため非特異吸着の抑制性能が十分ではない、と考えられる。
また、特許文献2に開示された方法では、親水官能基を表面にコートするためには多段の反応で煩雑な操作が必要となる。
また、特許文献3に開示された磁性粒子を用いた方法では、磁場印加する機構を組み込む必要があり、装置構成が煩雑になる場合がある。
そこで本発明では、BSAを用いることなく非特異吸着を抑制できる粒子、測定感度の低下を引き起こす夾雑物を吸着して沈降させる粒子、及び、それらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る粒子は、ポリスチレンを含むポリマー粒子であって、該ポリマー粒子が、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を含み構成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る粒子の製造方法は、少なくとも、ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤並びに、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を、水系媒体と混合して懸濁液を調製する第一の工程、前記懸濁液を撹拌し、前記モノマーを重合する工程を有することを特徴とする。
本発明の他の態様に係る粒子は、無機物を含む粒子であって、該粒子の表面に、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を含み構成されているか、または、ピロリドン環を有する重合体の第一層と、同一分子内にカルボキシ基、及び、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有する重合体の第二層とを含み構成されていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、BSAを用いることなく非特異吸着を抑制できる粒子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一態様によれば、複雑な工程を必要とせず一回の重合反応で合成することが出来る、非特異吸着を抑制できる粒子及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の他の態様によれば、無機物を含むため比重が大きくなり沈降速度が速くなる粒子及び粒子の製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の他の態様によれば、ピロリドン環を有する共重合体、または、ピロリドン環と、同一分子内にカルボキシ基、及び、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有する共重合体とで被覆されているため非特異吸着を抑制できる。結果として夾雑物を吸着して沈降させる効果を奏する粒子及び粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらに限られない。
「第一の実施形態」
(粒子、及び粒子の製造方法)
本実施形態に係る粒子の製造方法は、少なくとも、ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、及びピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を、水溶液(水系媒体)と混合して乳濁液を調製する工程(第一の工程)を有する。さらに、得た乳濁液を加熱し、ラジカル重合性モノマーを重合する工程(第二の工程)を有する。なお、本実施形態に係る製造方法によって製造される粒子を以下では、ポリマー微粒子と呼ぶことがある。本実施形態に係る粒子の製造方法によって製造される粒子は、ピロリドン環を有する有機化合物の存在により、粒子表面の親水性が高いため、BSAを用いることなく、非特異吸着を抑制できる。また、BSAのような天然物を用いていないので、粒子毎の非特異吸着の抑制能力の差が小さい。言い換えると、粒子を製造する上で、非特異吸着の抑制能力の再現性が高い。更に、ピロリドン環を有する有機化合物として共重合体を用いるため、活性サイトが粒子表面に多く存在し、リガンドを結合する割合も高くなる。その結果、凝集法、例えばラテックス凝集法などによる抗原抗体反応の検出感度が高い。ここで、「ユニット」とは、1つのモノマーに対応する単位構造のことを意味する。
(粒子の製造方法の一例)
次に、本実施形態に係る粒子の製造方法の一例を説明する。
本実施形態に係るポリマー微粒子は、少なくとも、ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、並びに、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を水系媒体と混合して乳濁液を調製する(第一の工程)。ここで、リガンドを結合できる官能基は、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、マレイミド基、スクシニミジル基、または、シリコンアルコキシド基のいずれかを用いることができる。
さらに、乳濁液を加熱し、モノマーを重合する工程(第二の工程)を有する。
本実施形態に係るポリマー微粒子は、ラジカル重合性を有する二重結合を有する化合物を共重合し得られるポリマー微粒子である。
(ラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性モノマーは、少なくともスチレン系モノマーを含むことを特徴とする。更に、アクリレート系モノマー、メタクリレート系モノマーからなる群より選択されるモノマーが含まれていてもよい。例えば、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチルなどを挙げることができる。スチレン系モノマーに加えて、上記のモノマーの群より選択される少なくとも一つを用いることができる。すなわち、これらのモノマーの中から、単独であるいは複数種組み合わせて使用できる。また一つの分子内に二重結合を2つ以上有するモノマー、例えばジビニルベンゼンを架橋剤として用いてもよい。
また、有機シランを含むラジカル重合性モノマーを用いてもよい。有機シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらのモノマーの群より選択される少なくとも一つを用いることができる。すなわち、これらの有機シラン化合物の中から、単独であるいは複数種組み合わせて使用してもよい。有機シランを含むラジカル重合性モノマーは、合成したポリマー微粒子内で無機酸化物の骨格を作り、ポリマー微粒子の物理、化学的安定性を向上する役割がある。更に、ポリマー微粒子表面のピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体とスチレンを主とするポリマー微粒子の骨格材料との親和性を高める役割を果たす。
更に、有機シランを含むラジカル重合性モノマーを用いることで、ポリマー微粒子の表面にシラノール基を付与することが出来る。シラノール基とPVP共重合体との水素結合により、PVP共重合体はより強固にポリマー微粒子表面に吸着する。
(ラジカル重合開始剤)
ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物、有機過酸化物などから広く使用することができる。具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸カリウム(KPS)などをあげることができる。
(ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含む共重合体)
ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含む共重合体は、合成したポリマー微粒子に含まれ、主に粒子表面に存在する。以下、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含む共重合体を、PVP共重合体と略す。ポリマー微粒子の合成時から上記PVP共重合体を投入することにより、ポリマー微粒子に非特異吸着抑制能と、リガンド結合能を一度に付与することが可能となる。合成時に投入したPVP共重合体は、ラジカル重合性モノマーよりも親水性なので、合成時に溶媒と生成中のポリマー微粒子との界面に存在する。ポリマー微粒子は、合成時にPVP共重合体のポリマー鎖を一部巻き込むことや、ピロリドン環とスチレン(ラジカル重合性モノマー)との相互作用などの物理・化学吸着によって、該粒子の表面にPVP共重合体を吸着する。共重合体は、ビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体であることが好ましく、ビニルピロリドンとアクリル酸とのモル比が、2:8〜9:1であることが好ましい。また、ポリマー微粒子はケイ素化合物を含んでいても良く、スチレンモノマーに対するケイ素化合物を含有する割合が40重量%以下であることが好ましい。
PVP共重合体の分子量は10000以上100000以下が好ましく、40000以上70000以下がなお好適である。分子量が10000未満だと、ポリマー微粒子表面の親水性が弱く、非特異吸着を起こし易くなる。分子量が100000より大きいと、ポリマー微粒子の表面の親水層が厚くなりすぎて、ポリマー微粒子がゲル化して扱いにくくなる。
PVP共重合体における、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとのモル比は2:8〜9:1程度が好ましい。抗体等のリガンドを結合できる官能基が少なすぎてもラテックス凝集反応の効率が下がり、多すぎても非特異吸着能が下がる。
PVP共重合体におけるリガンドを結合できる官能基は、抗体、抗原、酵素などを結合できる官能基であれば特に限定はないが、例えば、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、マレイミド基、スクシニミジル基、シリコンアルコキシド基などが用いられる。
PVP共重合体は、ランダムポリマーである(以下、「PVPランダム共重合体」ともいう。)。
PVP共重合体に加えて、ポリマー微粒子合成時に保護コロイドとして親水性ポリマーを添加しても構わない。
本実施形態のPVPランダム共重合体は、分子量が高いことによる、粒子分散のための立体反発効果と、ポリスチレン粒子表面への吸着性とをバランス良く発揮できる適切な親水性を示すことができるからである。分子内で親水性の程度に著しい偏りがない、適切な親水性によって、良好な粒子の分散性とリガンドの結合性の両立に寄与していると考えられるからである。
一方、ブロック共重合体は、分子内で、親水性の高い部分(PVP)と低い部分(リガンドを結合できるユニット)とが明確に分かれるため、親水性の程度を分子全体で均一に調整することは困難である。例えば、ブロック共重合体は、水中で疎水性部分が自己会合し、ポリマーミセルなどの自己組織化体を形成する。その場合、本実施形態の製造方法で示すように、粒子合成において水系媒体にPVP共重合体を添加する場合においては、ブロック共重合体はミセルとなりやすく、ポリスチレン粒子表面への吸着量が低下し、結果として得られる微粒子は水への分散性が悪化することが考えられる。
また、上記粒子は、16μLの血清を混合した60μLの緩衝液に、0.1重量%の粒子の分散液30μLを添加し、37℃にて5分間放置した前後で、光路10mmにおける、波長572nmの吸収スペクトルの差が0.1以下である。このような吸収スペクトル差となる粒子は、血清中の夾雑物の非特異吸着が小さいため、好ましい。
(水系媒体)
水溶液(水系媒体)は、媒体中に含まれる水が80%以上100%以下であることが好ましい。水溶液は、水や、水に可溶な有機溶媒、たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンを水に混合した溶液が例示される。水以外の有機溶媒を20%より多く含有させると、ポリマー微粒子製造時に重合性モノマーの溶解が生じるおそれがある。
また上記水溶液(水系媒体)は、有機シランを含むラジカル重合性モノマーを用いる場合は、pHが6以上9以下に予め調整されていることが好ましい。pHが6未満または9より大きい値であると、有機シラン化合物中のアルコキシド基、シラノール基がポリマー微粒子の形成前に縮重合や他の官能基と反応してしまい、得られる粒子が凝集するおそれがある。本実施形態においては、ポリマー微粒子の形成前にアルコキシドを意図的に縮重合することは行わない。
上記pHの調整は、pH緩衝剤を用いて調整することが好ましいが、酸、塩基で調製しても構わない。
そのほかに、界面活性剤、消泡剤、塩、増粘剤などを水系媒体に対して10%以下の割合で添加して用いても構わない。
本実施形態に係るポリマー微粒子の製造方法としては、まずpHが6乃至9に調整された水系媒体にPVP共重合体を溶解する。PVP共重合体は水系媒体に対して0.01重量%から10重量%、好ましくは、0.03重量%から5重量%である。0.01重量%以下だと、ポリマー微粒子への吸着量が少なくその効果が発現されない。また10重量%以上だと水系媒体の粘度が上昇し、撹拌が十分に行えない可能性がある。
続いて、ラジカル重合性モノマー(A)を上記水系媒体中に添加し乳濁液とする。この時、(A)に加えて有機シランを含むラジカル重合性モノマー(B)も上記水系媒体中に添加し乳濁液としてもよい。(A)と(B)の重量比は、6:4から10:0である。
(A)が6以下だと、粒子全体の比重が上がり、粒子の沈降が顕著となるおそれがある。また、(B)は無くてもよいが、PVP共重合体とポリマー微粒子の密着性を上げるためには、(B)を添加する方がより好適である。
水系媒体と(A)、(B)合計量の重量比は、5:5から9.5:0.5が好ましい。水系媒体の比が5以下だと生成されるポリマー微粒子の凝集が顕著となるおそれがある。また、9.5以上であってもポリマー微粒子の生成には問題ないが、生成量が少なくなるおそれがある。
ラジカル重合開始剤は、水、緩衝剤などに溶解させて用いる。(A)、(B)合計の重量に対するラジカル重合開始剤は、0.5重量%から10重量%の間で用いることができる。
上記乳濁液を加熱する工程は、乳濁液全体が均一に加熱されれば構わない。加熱する温度は、50℃から90℃、加熱時間は2時間から24時間の間で任意に設定できる。乳濁液を加熱することにより、モノマーが重合される。
ポリマー微粒子の粒径は、平均粒子径が50nm以上400nm以下であることが好ましく、100nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。また、ポリマー微粒子の粒度分布の変動係数(CV値)が5以下であることが好ましい。平均粒子径の測定方法は、動的光散乱法(DLS)、レーザー回折法(LD法)、電子顕微鏡での観察などが主な測定手法であるが、本実施形態では、動的光散乱法を好ましく用いる。たとえば、動的光散乱法でポリマー微粒子の分散液を測定し、得られる光強度を個数分布に換算し、平均をとった値を粒子径とすることができる。平均粒子径が50nm未満だと、合成時の洗浄処理に時間を要するおそれがある。また400nmより大きいと、保存時の沈降による凝集が顕著となるおそれがある。
変動係数(CV値)は、ポリマー微粒子の画像を電子顕微鏡で撮影し、たとえば粒子100個以上の直径を求め、統計処理によって変動係数(CV値)を求めることができる。変動係数(CV値)が5以上である(粒径の分布幅は広い)と、検体検査用粒子と抗原との反応が不安定となるおそれがある。
ポリマー微粒子の粒径は、合成時のモノマーと水系媒体の割合、水溶性ポリマーの添加量、反応温度、反応時間で制御が可能となる。
このようにして製造されたポリマー微粒子の分散液は、濾過、遠心分離によるデカンテーション、限外濾過などによって分級、及び未反応物、凝集物などを除去して精製する。
<検体検査用粒子>
このようにして作製したポリマー微粒子は、検体検査用の前駆体粒子である。この前駆体粒子に抗体を固定化し検体検査用の粒子として用いることができる。
固定化の方法は、ポリマー微粒子の官能基を利用し、化学結合、物理吸着などで固定化する。本発明ではその方法は限定されない。
抗体をポリマー微粒子に固定化した検体検査用粒子は、検体中に抗原が存在すると抗原を介して検体検査用の粒子同士が凝集し、この凝集を観察することで、抗原を検出することができる。検体中に目的の抗原が含まれていない場合、凝集は生じにくい。
(リガンド・アフィニティー粒子)
本実施形態では、本実施形態に係る粒子と、リガンドを結合できる官能基に結合したリガンドとを有するアフィニティー粒子を提供できる。本実施形態において、リガンドとは、特定の標的物質が有する受容体に特異的に結合する化合物のことである。リガンドが標的物質と結合する部位は決まっており、選択的または特異的に高い親和性を有する。例えば、抗原と抗体、酵素タンパク質とその基質、ホルモンや神経伝達物質などのシグナル物質とその受容体、核酸などが例示されるが、本実施形態におけるリガンドはこれらに限定されない。核酸としてはデオキシリボ核酸等が挙げられる。本実施形態におけるアフィニティー粒子とは、標的物質に対して選択的または特異的に高い親和性(アフィニティー)を有する。リガンドとして例えば、抗体、抗原、抗原結合フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、F(ab’)、Fv、scFvなど)、天然由来核酸、人工核酸、アプタマー、ペプチドアプタマー、オリゴペプチド、酵素又は補酵素などが挙げられる。本実施形態におけるリガンドが、抗体、抗原、タンパク質及び核酸のいずれかであることが好ましい。
本実施形態において、本実施形態に係る粒子が有する反応性官能基とリガンドとを化学結合する化学反応の方法は、本発明の目的を達成可能な範囲において、従来公知の方法を適用することができる。また、リガンドをアミド結合させる場合は、1−[3−(ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド]等の触媒を適宜用いることができる。
本実施形態におけるアフィニティー粒子が、リガンドとして抗体(抗原)、標的物質として抗原(抗体)を用いる場合、臨床検査、生化学研究等の領域において広く活用されている免疫ラテックス凝集測定法に好ましく適用できる。
(体外診断用の検査試薬)
本実施形態における体外診断用の検査試薬、すなわち体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるための検査試薬は、本実施形態に係るアフィニティー粒子と、アフィニティー粒子を分散させる分散媒を有する。本実施形態における試薬中に含有される本実施形態に係るアフィニティー粒子の量は、0.001質量%から20質量%が好ましく、0.01質量%から10質量%がより好ましい。本実施形態に係る試薬は、本発明の目的を達成可能な範囲において、本実施形態に係るアフィニティー粒子の他に、溶剤やブロッキング剤などの第三物質を含んでもよい。溶剤やブロッキング剤などの第三物質は2種類以上を組み合わせて含んでもよい。本実施形態において用いる溶剤の例としては、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、グッド緩衝液、トリス緩衝液、アンモニア緩衝液などの各種緩衝液が例示されるが、本実施形態における試薬に含まれる溶剤はこれらに限定されない。
ラテックス凝集法による検体中の抗原または抗体の検出に用いる場合は、リガンドは、抗体または抗原を用いることができる。
(検査キット)
本実施形態における体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるための検査キットは、上記試薬と、上記試薬を内包する筐体とを有する。本実施形態に係るキットとしては、ラテックス凝集測定用増感剤を含有させてもよい。ラテックス凝集測定用増感剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルギン酸等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、本実施形態に係るキットは、陽性コントロール、陰性コントロール、血清希釈液等を備えていてもよい。陽性コントロール、陰性コントロールの媒体として、測定しうる標的物質が含まれていない血清、生理食塩水の他、溶剤を用いてもよい。本実施形態に係るキットは、通常の体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるためのキットと同様にして、本実施形態に係る標的物質の検出方法に使用できる。また、従来公知の方法によって標的物質の濃度も測定することができ、特に、ラテックス凝集法による検体中の標的物質の検出に用いることが好適である。
(検出方法)
本実施形態における体外診断による検体中の標的物質の検出方法は、本実施形態に係るアフィニティー粒子と、標的物質を含む可能性のある検体とを混合する工程を有する。また、本実施形態に係るアフィニティー粒子と検体との混合は、pH3.0からpH11.0の範囲で行われることが好ましい。また、混合温度は20℃から50℃の範囲であり、混合時間は1分から20分の範囲である。また、本検出方法は、溶剤を使用することが好ましい。また、本実施形態に係る検出方法におけるアフィニティー粒子の濃度は、反応系中、好ましくは0.001質量%から5質量%、より好ましくは0.01質量%から1質量%である。本実施形態に係る検出方法は、アフィニティー粒子と検体との混合の結果として生じる凝集反応を光学的に検出すること、すなわちラテックス凝集法により検体中の標的物質を検出することが好ましい。具体的には、検査試薬に、検体を混合して混合液を得る工程と、混合液に、光を照射する工程と、混合液に照射された光の、透過光または散乱光の少なくともいずれかを検出する工程を有する。混合液において生じる上記凝集反応を光学的に検出することで、検体中の標的物質が検出され、更に標的物質の濃度も測定することができる。上記凝集反応を光学的に検出する方法としては、散乱光強度、透過光強度、吸光度等を検出可能な光学機器を用いて、これらの値の変化量を測定すればよい。
「第二の実施形態」
以下、本発明の第二の実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらに限られない。
(粒子)
本発明に係る粒子の第一の形態は、無機物を含む粒子であって、該粒子の表面がピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体で被覆されている。本発明に係る粒子の第二の形態は、無機物、並びに、ピロリドン環を有する重合体の第一層と、同一分子内にカルボキシ基、及び、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有する重合体の第二層を含む。本発明に係る粒子の第一の形態において、粒子の表面を被覆する共重合体を、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体とすることで、第一の実施形態で述べたように、良好な粒子の分散性とリガンドの結合性を両立することができる。
本実施形態に係る粒子は、ピロリドン環の存在により、粒子表面の親水性が高いため、BSAを用いることなく、非特異吸着を抑制できる。個体や製造ロットの違いに依存して性能が変化するBSAを用いていないので、本実施形態に係る粒子は、製造ロット間での変化なく、非特異吸着を抑制することができる。更に、リガンドを結合できる官能基を有する共重合体を用いるため、官能基が粒子表面に多く存在し、リガンドを結合する割合も高くなる。その結果、リガンドを抗体(あるいは抗原)とした場合、抗原抗体反応が高効率になる。ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体は、無機物を含む粒子を被覆していることが好ましい。ここで、被覆とは、粒子が安定に分散していればどのような結合状態でも構わない。すなわち、必ずしも粒子全体を覆っている必要はなく、部分的でもよく、被覆している層は均一でなくともよい。
さらに、本実施形態に係る粒子は、上記の通り二層から構成される。第一層は、ピロリドン環の存在により、非特異吸着を抑制できる。さらに、第二層は、カルボキシ基の存在により、リガンドを結合する割合が高くなる。それに加えて、第二層は、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有するため、第一層のピロリドン環と相互作用し被覆構造を安定化する。
(無機物)
本発明に係る粒子を構成する無機物としては金属、金属酸化物、金属窒化物、合金及びこれらの組み合わせを挙げることができる。金属としては、銀、金、銅、スズ、鉄、ニッケル、パラジウム、モリブデン、白金、亜鉛、コバルト、ケイ素などを挙げることができる。金属酸化物としては、上記金属として挙げた化合物の酸化物に加えて、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化インジウムスズ、酸化ビスマスなどを挙げることができる。窒化物としては、上記金属として挙げた化合物の窒化物に加えて、炭窒化チタン、窒化アルミニウムなどを挙げることができる。合金としては、上記金属として挙げた化合物の合金(例えば、鉄―ニッケル合金など)を挙げることができる。本実施形態における無機物はケイ素化合物であってもよく、粒子に対するケイ素化合物を含有する割合が40重量%以上であることが好ましい。
これらの無機物は、比重が大きいと沈降速度が速くなるため好ましい。さらに、これらの無機物は、安定した粒子として得られることが好ましい。以上の理由から、これらの無機物の中ではシリカが好ましい。シリカは、有機シランを含むラジカル重合性モノマー(もしくはオリゴマー)を用いても合成することができる。有機シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらのモノマーの群より選択される少なくとも一つを用いることができる。すなわち、これらの中から、単独であるいは複数種組み合わせて使用してもよい。有機シランを含むラジカル重合性モノマーは、合成した粒子内で無機酸化物の骨格を作り、粒子の物理、化学的安定性を向上する役割がある。
(被覆材料)
本発明に係る第一の形態の粒子を構成するピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含む共重合体は、合成した粒子の表面に存在する。以下、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含む共重合体を、PVP共重合体と略す。PVP共重合体の分子量は10000以上100000以下が好ましく、40000以上70000以下がなお好適である。分子量が小さいと、粒子表面の親水性が弱く、非特異吸着を起こし易くなる。分子量が大きいと、粒子の表面の親水層が厚くなりすぎて、粒子がゲル化して扱いにくくなる。共重合体は、ビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体であることが好ましく、ビニルピロリドンとアクリル酸とのモル比が、2:8〜9:1であることが好ましい。
PVP共重合体における、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとのモル比は2:8〜9:1程度が好ましい。抗体等のリガンドを結合できる官能基が少なすぎても抗原抗体反応の効率が下がり、多すぎても非特異吸着の抑制性能が下がる。
PVP共重合体におけるリガンドを結合できる官能基は、抗体、抗原、酵素などを結合できる官能基であれば特に限定はないが、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、マレイミド基、スクシニミジル基、シリコンアルコキシド基などが用いられる。
PVP共重合体は、ランダムポリマーである。
PVP共重合体に加えて、粒子合成時に保護コロイドとして親水性ポリマーや界面活性剤を添加しても構わない。
粒子の合成時から上記PVP共重合体を投入することにより、粒子に非特異吸着抑制能と、リガンド結合能を一度に付与することが可能となる。更に、有機シランを含むラジカル重合性モノマー(もしくはオリゴマー)を用いて無機物とした場合、シリカ粒子の表面にシラノール基を付与することが出来る。シラノール基とPVP共重合体との水素結合により、PVP共重合体はより強固に粒子表面に吸着する。
本発明に係る第二の形態の粒子を構成する、第一層のピロリドン環を有する重合体の一例はポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンの分子量は、上記PVP共重合体と同じ理由から、10000以上100000以下が好ましく、40000以上70000以下がなお好適である。次に、本発明に係る第二の形態の粒子を構成する、第二層の同一分子内にカルボキシ基、及び、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有する重合体は、有機シランを含むラジカル重合性モノマー(もしくはオリゴマー)を用いて合成することができる。有機シランを含むラジカル重合性モノマー(もしくはオリゴマー)の例としては、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、シラン−PEG−カルボン酸、(Nanocs社製)、ジエトキシシラン−PEG−カルボン酸(Nanocs社製)、モノエトキシシラン−PEG−カルボン酸(Nanocs社製)などを挙げることができる。上記PEGの分子量は、600以上70000以下から選択することができる。
(粒径と比重)
本実施形態に係る粒子の粒径及び比重は、夾雑物を除去するために必要な沈降速度によって決めることができる。ある媒質中での沈降速度及び粒径と比重の関係は、ストークスの式によって下記式(1)で表すことができる。
Figure 2021036230
式(1)において、υは、(終端)沈降速度、Dは粒径、ρは粒子の比重(密度)、ρは媒質の比重(密度)、gは重力加速度、ηは媒質の粘度をそれぞれ表す。式(1)から粒径が大きく、かつ、比重が大きいと沈降速度が速くなることが分かる。しかし、粒径が大きくなると、粒子の単位体積あたりの表面積が小さくなるためリガンドを結合できる量が少なくなり必ずしも好ましくない。それゆえ、本実施形態に係る粒子の平均粒径は、50nm以上100μm以下であることが好ましく、100nm以上10μm以下であることがさらに好ましい。また、水中での自然沈降速度が2.2×10−5cm/sec以上であることが好ましい。
また、粒子の粒度分布の変動係数(CV値)が5以下であることが好ましい。平均粒子径の測定方法は、動的光散乱法(DLS)、レーザー回折法(LD法)、電子顕微鏡での観察などが主な測定手法であるが、本実施形態では、動的光散乱法を好ましく用いる。たとえば、動的光散乱法で粒子の分散液を測定し、得られる光強度を個数分布に換算し、平均をとった値を粒子径とすることができる。
変動係数(CV値)は、粒子の画像を電子顕微鏡で撮影し、たとえば粒子100個以上の直径を求め、統計処理によって変動係数(CV値)を求めることができる。変動係数(CV値)が5以上である(粒径の分布幅は広い)と、測定間誤差が大きくなるおそれがある。
粒子の粒径は、合成時のモノマーと水系媒体の割合、水溶性ポリマーの添加量、反応温度及び反応時間で制御が可能となる。
本実施形態に係る粒子の比重は、無機物の組成や含有率によって変えることができる。粒子の比重は、計算や実測によって求めることができる。計算で求める場合は、各単一成分の比重と、組成比とから算出することができる。比重を実測する場合は、ゲーリュサック型比重瓶(ピクノメータ)法、ルシャテリエ比重瓶法などの公知の方法により行うことができる。
(製造方法)
本実施形態に係る粒子の製造方法の一例を説明する。無機物として金属酸化物を使用する場合は、金属アルコキシドなどのラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、並びに、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を、アルコール系溶媒と混合して乳濁液を調製する工程を有する。なお、ラジカル重合開始剤はなくともよいが、イオン交換水などを添加することができる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどを使用することができる。無機物としてシリカを使用する場合は、ストーバー法に従って粒子を合成することができる。
別の例としては、金属アルコキシドなどのラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、及びピロリドン環を有する重合体をアルコール系溶媒と混合して乳濁液を調製する工程を有する。精製後、第二の工程として、第一工程で調製した乳濁液、有機シランを含むラジカル重合性モノマーを水系溶媒と混合して反応する工程を有する。上記有機シランを含むラジカル重合性モノマーを用いる場合において、反応時の水溶液(水系媒体)は、pHが6以上9以下に予め調整されていることが好ましい。pHが6未満または9より大きい値であると、有機シラン化合物中のアルコキシド基、シラノール基が粒子との反応前に縮重合や他の官能基と反応してしまい、得られる粒子が凝集するおそれがある。本実施形態においては、粒子の形成前にアルコキシドを意図的に縮重合することは行わない。上記pHの調整は、pH緩衝剤を用いて調整することが好ましいが、酸、塩基で調製しても構わない。そのほかに、界面活性剤、消泡剤、塩、増粘剤などを水系媒体に対して10%以下の割合で添加して用いても構わない。なお、市販の水分散無機粒子を用いて第二工程だけを行い粒子を製造することも可能である。
このようにして製造された粒子の分散液は、濾過、遠心分離によるデカンテーション、限外濾過などによって分級、及び未反応物、凝集物などを除去して精製することができる。
<検体検査用粒子>
このようにして作製した微粒子は、検体検査に用いる前駆体粒子として利用できる。この前駆体粒子にリガンドを結合し夾雑物分離粒子として用いることができる。
リガンドを結合させる方法は、微粒子の官能基を利用し、化学結合、物理吸着などで結合させることができる。本発明ではその方法は限定されない。
リガンドを粒子に結合した夾雑物分離粒子は、検体中に分離対象夾雑物が存在すると粒子が結合し、沈降することで検体中の非特異反応を抑制することができる。
(リガンド・夾雑物分離粒子)
本実施形態では、リガンドを結合できる官能基に結合したリガンドを有する夾雑物分離粒子を提供できる。本実施形態における夾雑物分離粒子とは、分離対象夾雑物に対して高い親和性(アフィニティー)を有する。本実施形態において、リガンドとは、特定の物質に特異的に結合する化合物のことである。リガンドと、リガンドと結合する化合物の組み合わせの例としては、抗体と抗原、核酸と相補配列をもつ核酸、アビジン(またはストレプトアビジン、またはニュートラアビジン)とビオチン、各種イムノグロブリンとプロテインA(またはプロテインG)、ヒスチジンタグペプチドと金属イオンを配位したキレート剤、各種タンパク質(タグペプチド含む)とその相互作用物質、酵素タンパク質とその基質、ホルモンや神経伝達物質などのシグナル物質とその受容体などを挙げることができるが、本実施形態におけるリガンドはこれらに限定されない。例えば、分離対象夾雑物をまとめて除去できるのであれば、特異性の高くないリガンドを用いることができる。リガンドとして例えば、抗体、抗原、抗原結合フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、F(ab’)、Fv、scFvなど)、天然由来核酸、人工核酸、アプタマー、ペプチドアプタマー、オリゴペプチド、酵素又は補酵素などが挙げられる。
本実施形態におけるリガンドとしては、抗体、抗原、タンパク質、及び、核酸のいずれかであることが好ましい。
本実施形態において、粒子が有する官能基とリガンドとを化学結合する化学反応の方法は、本発明の目的を達成可能な範囲において、従来公知の方法を適用することができる。例えば、本実施形態に係る粒子がカルボキシ基を有する場合、リガンドをアミド結合させるためには、1−[3−(ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド]等の触媒を適宜用いることができる。
本実施形態における夾雑物分離粒子が、リガンドとして抗体(あるいは抗原)、標的物質として抗原(抗体)を用いる場合、臨床検査、生化学研究等の領域において広く活用されている免疫比濁法やEnzyme−Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)などの夾雑物分離粒子として好ましく適用できる。
(体外診断用の検査試薬)
本実施形態における体外診断用の検査試薬、すなわち体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるための検査試薬は、標的物質を検出することが可能な検査試薬と、夾雑物分離粒子と、これらを分散させる分散媒を有する。本実施形態における試薬中に含有される夾雑物分離粒子の量は、0.001質量%から20質量%が好ましく、0.01質量%から10質量%がより好ましい。本実施形態に係る試薬は、本発明の目的を達成可能な範囲において、夾雑物分離粒子の他に、溶剤やブロッキング剤などの第三物質を含んでもよい。溶剤やブロッキング剤などの第三物質は2種類以上を組み合わせて含んでもよい。第三物質の例としては、ラテックス凝集測定用増感剤であるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルギン酸等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。本実施形態において用いる溶剤の例としては、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、グッド緩衝液、トリス緩衝液、ヘペス緩衝液、アンモニア緩衝液などの各種緩衝液が例示されるが、本実施形態における試薬に含まれる溶剤はこれらに限定されない。
ラテックス凝集法による検体中の夾雑物の除去に用いる場合は、本実施形態に係る粒子のリガンドは、分離対象夾雑物に対する抗体を用いることができる。
(検査キット)
本実施形態における体外診断による検体(検査対象)中の標的物質の検出に用いるための検査キットは、上記検査試薬と、上記試薬を内包する筐体とを有する。本実施形態に係るキットとしては、ラテックス凝集測定用増感剤を含有させてもよい。ラテックス凝集測定用増感剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルギン酸等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、本実施形態に係るキットは、陽性コントロール、陰性コントロール、血清希釈液等を備えていてもよい。陽性コントロール、陰性コントロールの媒体として、測定しうる標的物質が含まれていない血清、生理食塩水の他、溶剤を用いてもよい。本実施形態に係るキットは、特に、検体中の夾雑物の除去を行うことで非特異凝集を抑制することで、ラテックス凝集法による検体中の標的物質の検出に好適に用いることができる。
(検出方法)
本実施形態における体外診断による検体中の標的物質の検出方法は、夾雑物分離粒子と、分離対象夾雑物を含む可能性のある検体とを混合する工程を有する。また、本実施形態に係る夾雑物分離粒子と検体との混合は、pH3.0からpH11.0の範囲で行われることが好ましい。また、混合温度は20℃から50℃の範囲であり、混合時間は1分から20分の範囲である。また、本検出方法は、溶剤を使用することが好ましい。また、本実施形態に係る検出方法における夾雑物分離粒子の濃度は、反応系中、好ましくは0.001質量%から5質量%、より好ましくは0.01質量%から1質量%である。
夾雑物分離粒子と検体との混合後、検体中に分離対象夾雑物が存在すると粒子が結合し、沈降することで検体中の非特異反応を抑制することができる。この沈降は自然沈降によって生じさせてもよく、混合溶液に一方向への加速度を与えることで効率的に沈降させてもよい。例えば、遠心操作を行うことで円の中心から外側に向かった加速度が加わることにより沈降させることができる。
夾雑物を除去した後、標的物質を検出することが可能な検査試薬と、検体との混合の結果として生じる凝集反応を光学的に検出すること、例えばラテックス凝集法により検体中の標的物質を検出することができる。具体的には、検査試薬に、検体を混合して混合液を得る工程と、混合液に、光を照射する工程と、混合液に照射された光の、透過光または散乱光の少なくともいずれかを検出する工程を有する。混合液において生じる上記凝集反応を光学的に検出することで、検体中の標的物質が検出され、更に標的物質の濃度も測定することができる。上記凝集反応を光学的に検出する方法としては、散乱光強度、透過光強度、吸光度、偏光度、粒径変化等を検出可能な光学機器を用いて、これらの値の変化量を測定することができる。なお、夾雑物の除去とラテックス凝集法による標的物質の検出は同時に行うこともできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより具体的に説明する。
ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
300mlのフラスコにリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)157g添加し、Poly(N−vinyl pyrrolidone-co-acrylic acid), random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))(ポリマーソース社製、分子量60000、ピロリドン環部位の分子量:カルボキシ基部位の分子量の比=4:6)1.3gを溶かした。次に3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 LS−3380)4.0g、スチレン(キシダ化学株式会社製)13.0gを添加し、室温で窒素を吹き込みながら撹拌を15分間行った。その後オイルバスでフラスコ内の乳濁液を70℃に加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)0.3gをリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)10mlに溶かした溶液を、上記70℃に加熱した乳濁液中に添加した。70℃のまま7時間撹拌した後、室温に戻しポリマー微粒子の分散液を得た。
さらに、この分散液を遠心分離器にかけ、ポリマー微粒子を回収し、上澄みは捨てた。回収したポリマー微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器によるポリマー微粒子の回収とイオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られたポリマー微粒子の分散液を、濃度が1.0重量%となるよう調整した。
(実施例2)
300mlのフラスコにリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)157g添加し、Poly(N−vinyl pyrrolidone-co-acrylic acid), random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))(ポリマーソース社製、分子量60000、ピロリドン環部位の分子量:カルボキシ基部位の分子量の比=4:6)0.9g、ポリビニルピロリドンK−30(キシダ化学株式会社製、分子量40000)0.4gを溶かした。次に3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 LS−3380)4.0g、スチレン(キシダ化学株式会社製)13.0gを添加し、室温で窒素を吹き込みながら撹拌を15分間行った。その後オイルバスでフラスコ内の乳濁液を70℃に加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)0.3gをリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)10mlに溶かした溶液を、上記70℃に加熱した乳濁液中に添加した。70℃のまま7時間撹拌した後、室温に戻しポリマー微粒子の分散液を得た。
さらに、この分散液を遠心分離器にかけ、ポリマー微粒子を回収し、上澄みは捨てた。回収したポリマー微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器によるポリマー微粒子の回収とイオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られたポリマー微粒子の分散液を、濃度が1.0重量%となるよう調整した。
(実施例3)
300mlのフラスコにリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)157g添加し、Poly(N−vinyl pyrrolidone-co-acrylic acid), random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))(ポリマーソース社製、分子量60000、ピロリドン環部位の分子量:カルボキシ基部位の分子量の比=4:6)0.9g、ポリビニルピロリドンK−30(キシダ化学株式会社製、分子量40000)0.4gを溶かした。スチレン(キシダ化学株式会社製)17.0gを添加し、室温で窒素を吹き込みながら撹拌を15分間行った。その後オイルバスでフラスコ内の乳濁液を70℃に加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)0.3gをリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)10mlに溶かした溶液を、上記70℃に加熱した乳濁液中に添加した。70℃のまま7時間撹拌した後、室温に戻しポリマー微粒子の分散液を得た。
さらに、この分散液を遠心分離器にかけ、ポリマー微粒子を回収し、上澄みは捨てた。回収したポリマー微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器によるポリマー微粒子の回収とイオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られたポリマー微粒子の分散液を、濃度が1.0重量%となるよう調整した。
(比較例1)
300mlのフラスコにリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)157g添加し、ポリビニルピロリドンK−30(キシダ化学株式会社製、分子量40000)1.3gを溶かした。スチレン(キシダ化学株式会社製)13.0g、次に3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 LS−3380)4.0g、を添加し、室温で窒素を吹き込みながら撹拌を15分間行った。その後オイルバスでフラスコ内の乳濁液を70℃に加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)0.3gをリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)10mlに溶かした溶液を、上記70℃に加熱した乳濁液中に添加した。70℃のまま7時間撹拌した後、室温に戻しポリマー微粒子の分散液を得た。
さらに、この分散液を遠心分離器にかけ、ポリマー微粒子を回収し、上澄みは捨てた。回収したポリマー微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器によるポリマー微粒子の回収とイオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られたポリマー微粒子の分散液を、濃度が10.0重量%となるよう調整した。
作製した10.0重量%ポリマー微粒子分散液を、1.0重量%に希釈し、アンモニア水10.0重量%、トリメトキシプロピルコハク酸無水物0.25mmolを添加した。液の総量は10mLとした。混合した液を14時間室温にて撹拌を行い、ポリマー微粒子の表面をジカルボキシル基で修飾した。
(比較例2)
300mlのフラスコにリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)157g添加し、ポリビニルピロリドンK−30(キシダ化学株式会社製、分子量40000)1.3gを溶かした。スチレン(キシダ化学株式会社製)17.0gを添加し、室温で窒素を吹き込みながら撹拌を15分間行った。その後オイルバスでフラスコ内の乳濁液を70℃に加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)0.3gをリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)10mlに溶かした溶液を、上記70℃に加熱した乳濁液中に添加した。70℃のまま7時間撹拌した後、室温に戻しポリマー微粒子の分散液を得た。
さらに、この分散液を遠心分離器にかけ、ポリマー微粒子を回収し、上澄みは捨てた。回収したポリマー微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器によるポリマー微粒子の回収とイオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られたポリマー微粒子の分散液を、濃度が10.0重量%となるよう調整した。
作製した10.0重量%ポリマー微粒子分散液を1.0重量%、トリメトキシプロピルコハク酸無水物のジメチルスルホキシド溶液を溶液に対して0.4重量%の割合で添加し、14時間室温にて撹拌を行い、ポリマー微粒子の表面をジカルボキシル基で修飾した。
(比較例3)
300mlのフラスコにリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)157g添加し、ポリビニルピロリドンK−30(キシダ化学株式会社製、分子量40000)1.3gを溶かした。スチレン(キシダ化学株式会社製)13.0g、ライトエステルHO−MS(協栄社化学社製)2.0mLを添加し、室温で窒素を吹き込みながら撹拌を15分間行った。その後オイルバスでフラスコ内の乳濁液を70℃に加熱した。ペルオキソ二硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)0.3gをリン酸塩緩衝液pH7.4(キシダ化学株式会社製)10mlに溶かした溶液を、上記70℃に加熱した乳濁液中に添加した。70℃のまま7時間撹拌した後、室温に戻しポリマー微粒子の分散液を得た。
さらに、この分散液を遠心分離器にかけ、ポリマー微粒子を回収し、上澄みは捨てた。回収したポリマー微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器によるポリマー微粒子の回収とイオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られたポリマー微粒子の分散液を、濃度が10.0重量%となるよう調整した。
(比較例4)
IMMUTEX 免疫診断用ポリマー粒子P0113 (JSR株式会社製 粒径187nmのポリスチレン粒子にカルボキシ基を結合したポリマー粒子)を、粒子の濃度を1.0重量%に調製した。
<抗体の結合>
実施例及び比較例4以外の比較例で作製した各ポリマー微粒子分散液に抗PSA抗体を以下の通り結合した。
まず、各ポリマー微粒子分散液を、15000rpm(20400g)、15分間、遠心して微粒子を沈殿させた。上清を除去した後、微粒子のペレットを、緩衝液で再分散させ、これに水溶性カルボジイミドWSCを加えた。さらにN−ヒドロキシスクシンイミドを加えた。微粒子分散液を、室温で30分間撹拌した後、遠心分離によって、粒子を回収した。微粒子を緩衝液で洗浄した。微粒子を緩衝液に再分散させて、抗PSA抗体を抗体終濃度2mg/mLとなるように加えた。室温、60分間撹拌した後、遠心分離によって、粒子を回収した。粒子を、緩衝液で十分に洗浄して、抗PSA抗体が結合した微粒子を得た。抗体が結合していることは、抗体を加えた緩衝液中の抗体濃度の減少量をBCAアッセイで測定することで確認した。
<非特異凝集抑制評価>
実施例1〜3及び比較例1〜4で作製した各ポリマー微粒子分散液を30μlに緩衝液で15倍に希釈した人血清溶液60μlを添加し37℃で5分保温した。保温の前後で527nmの吸光度を測定し、前後での吸光度の変化量を3回測定した。表1には3回の平均値を示す。吸光度×10000の値の変化量が1000未満を非特異凝集が抑制されているとし、1000以上を非特異凝集が起こっていると評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021036230
比較例3、4は、人血清との反応で凝集反応(非特異凝集)が生じた。
実施例ではポリマー微粒子の表面に存在する親水性のPVP共重合体が非特異吸着を抑制する働きを示したと考えられる。
<ラテックス凝集反応の評価>
抗体の結合で作製した抗PSA抗体が結合した各ポリマー微粒子分散液を0.1重量%に調製し、ラテックス凝集反応を行った。
ヒト血清由来PSA標準液と抗体の結合1で作製したポリマー微粒子分散液とを混合して、混合前後での波長572nmにおける吸光度を測定した。微粒子上の抗PSA抗体が抗原であるPSAを捕捉できれば、PSAを介した微粒子同士の凝集反応が起こる。この時、透過率の減少が生じる結果、吸光度の上昇が観測される。抗体を結合した微粒子を含む溶液にPSAを添加したとき、ならびにPSAを添加しなかったときについて、反応温度37℃、反応時間5分間の処理前後の吸光度変化(吸光度×10000)を3回測定した。表1には3回の吸光度変化率の平均値を示す。表1より、PSA添加時に抗原抗体反応により凝集反応が起こり、PSAを添加しないときの増加率と比較し明らかに差異の確認を認識できることがわかる。
表1からわかるように、抗体を結合した本発明の実施例のポリマー微粒子は、PSAを認識し、粒子同士が凝集することがラテックス凝集反応の評価より確認できた。一方比較例1及び2は、変化量が小さかった。非特異吸着との結果と総合的に勘案すると、比較例はサンプル−ノイズ比を少なくとも3以上とることが可能である。一方、検出感度が低かった比較例1及び2ではサンプル−ノイズ比のオーダーが実施例と比較してはるかに小さくなることがわかる。
よって、本実施例にかかる微粒子は、BSAを用いずとも抗体を結合させることが可能であり、その結合した抗体は、抗原認識能を十分に有していることが分かった。本実施例の微粒子は、免疫反応を利用する検査用粒子、たとえばラテックス凝集法で用いられる抗体感作ラテックスとして好適に用いることが出来る。
また、反応工程も乳化重合の一反応のみで合成が可能であり、従来の方法と比較して容易に作製することが出来る。
(微粒子の物性測定)
固形分/粒子濃度は、加熱乾燥式水分計(MX−50、株式会社エー・アンド・ディー製)を使用して、既知重量の試料の水分を蒸発させることで求めた。
粒径は、ゼータサイザー(Nano−ZS、マルバーン社製)を使用して動的光散乱法によって測定した。
ゼータ電位は、ゼータサイザーを使用して専用セルを用いて測定した。溶媒は純水とした。
自然沈降速度は、LUMISizer(登録商標)(LUM Japan株式会社製)を使用して、遠心分離時の光透過量プロファイルを基に測定した。
(実施例4)
110mlのサンプル瓶に、イソプロピルアルコール(キシダ化学株式会社製)50mL、イオン交換水0.0555mlを添加し、オルトケイ酸テトラエチル(東京化成工業株式会社製)6.2ml、及び、ポリビニルピロリドンK−30(キシダ化学株式会社製、分子量40000)0.5gを溶かした。次に、先に調製したサンプル瓶内の混合溶液を撹拌しながら、28%アンモニア水(キシダ化学株式会社製)6.5mlを、ゆっくりと滴下しながら添加した。室温で一晩撹拌し続けた後、この混合溶液を遠心分離器にかけ、微粒子を回収し、上澄みは捨てた。微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器による微粒子の回収と、イオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られた微粒子の分散液を、濃度が10.0重量%となるよう調整した。
次に、リン酸塩緩衝液(キシダ化学株式会社製、pH7.4)で、微粒子の分散液を濃度0.25重量%、10mlとなるように調製した。次に、リン酸塩緩衝液で、Poly(N−vinyl pyrrolidone−co−acrylic acid), random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))(ポリマーソース社製、分子量60000、N−ビニルピロリドンの分子数:アクリル酸の分子数の比=4:6)を、0.033g/ml、1.5mlとなるように溶かし、上記微粒子の分散液に添加した。室温で一晩撹拌し続けた後、この混合溶液を遠心分離器にかけ、微粒子を回収し、上澄みは捨てた。微粒子は、イオン交換水中に再分散した後、再度遠心分離器にかけた。遠心分離器による微粒子の回収と、イオン交換水による再分散を3回繰り返した。このようにして得られた微粒子の分散液を、濃度が1重量%となるよう調整した。
作製した微粒子の粒径、ゼータ電位、自然沈降速度を表2にまとめた。Poly(N−vinyl pyrrolidone−co−acrylic acid), random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))を添加することで、粒径が大きくなり、ゼータ電位がマイナスになった。これは、微粒子の表面をポリマーが被覆しているためであると考えられる。
(実施例5)
真球状シリカ微粒子Silbol−S 240nm(富士化学株式会社製)を、リン酸塩緩衝液で濃度0.25重量%、10mlとなるように調製した。実施例4と同じように、Poly(N−vinyl pyrrolidone−co−acrylic acid), random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))を溶かしたリン酸塩緩衝液を、上記微粒子の分散液に添加した。これ以降は実施例4と同じ操作を行い、微粒子分散液を調製した。
作製した微粒子の粒径、ゼータ電位、自然沈降速度を表2にまとめた。実施例4と同様にPoly(N−vinyl pyrrolidone−co−acrylic acid),random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))を添加することで、粒径が大きくなり、ゼータ電位がマイナスになった。これは、微粒子の表面をポリマーが被覆しているためであると考えられる。
Figure 2021036230
<抗体の結合>
実施例4及び5で作製した、Poly(N−vinyl pyrrolidone−co−acrylic acid),random(ポリ(N−ビニルピロリドン−ran−アクリル酸))を添加した後の各微粒子分散液に抗CRP抗体を以下の通り結合した。
まず、各微粒子分散液を、遠心して微粒子を沈殿させた。上清を除去した後、微粒子のペレットを、緩衝液で再分散させ、これに水溶性カルボジイミド(東京化成工業製)を加えた。さらにN−ヒドロキシスクシンイミド(東京化成工業製)を加えた。微粒子分散液を、室温で30分間撹拌した後、遠心分離によって、粒子を回収した。微粒子を緩衝液で洗浄した。微粒子を緩衝液に再分散させて、抗C反応性タンパク質(以降、CRPと略すことがある)抗体を粒子1mgあたり抗体200μgとなるように加えた。室温、60分間撹拌した後、遠心分離によって、粒子を回収した。粒子を、緩衝液で十分に洗浄して、抗CRP抗体が結合した微粒子を得た。ビシンコニン酸(以降、BCAと略すことがある)アッセイでタンパク質を定量することで、微粒子に抗体が結合していることを確認した(表3)。
Figure 2021036230
<夾雑物除去性能の評価>
夾雑物のモデルとしてCRPを選択した。ヒト血清由来CRP(シグマアルドリッチ社製)を緩衝液で希釈し、波長280nmでの光路長1cmの吸光度が約0.5となるように調製した。このCRPの希釈液と、濃度0.2重量%に調製した上記抗CRP抗体が結合した各微粒子分散液を、体積比1:1の割合で混合した。比較対象として、CRPの希釈液と、微粒子分散液と同じ体積の微粒子を含まない溶液を混合した。室温で1時間撹拌した後に、遠心分離して上清を回収した。上清の波長280nmでの吸光度を測定し、吸光度の変化率を測定した。吸光度の変化率は次の式によって求めた。
{(各微粒子を添加した上清の吸光度)−(微粒子を含まない溶液を添加した上清の吸光度)}÷(微粒子を含まない溶液を添加した上清の吸光度)×100
吸光度測定の結果、実施例4及び5のどちらの微粒子も吸光度変化が大きくマイナスになった。これは、上清中のCRP量が低下していることを示している。すなわち、溶液中のCRPを微粒子が補足し、沈降させる効果を奏したことが確認された。
以上より、実施例4及び5で作製した微粒子に、抗CRP抗体を結合することで、夾雑物のモデルであるCRPを沈降除去できることが示された。
(実施例6)シリカ粒子Aの合成と評価
実施例1のスチレンモノマー(蒸留せずに使用)13.0gを12.8gに、ペルオキソ二硫酸カリウム0.3gを 0.5gにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてポリマー微粒子の分散液を得た。 このポリマー微粒子をシリカ粒子Aと表記する。
シリカ粒子Aの水中の粒子径(直径、動的光散乱法による測定)は、235nmであり、多分散度指数(PDI)は、0.027であった。シリカ粒子Aの分散溶液の電気伝導度測定の結果、シリカ粒子Aの単位重量あたりのカルボキシ基量は、87nmol/mgであった。
(実施例7)シリカ粒子Aのアルブミンに対する非特異凝集の抑制評価
シリカ粒子Aの非特異凝集の抑制評価として、アルブミンに対する非特異凝集性を確認した。まず、シリカ粒子Aの水分散液50μLと0.05%、あるいは0.5%ウシ血清アルブミン溶液(リン酸緩衝生理食塩水にウシ血清アルブミンを溶かしたもの)50μLとを混合し、37℃で5分保温した。保温の前後で572nmの吸光度を測定し、前後での吸光度の変化量を測定した。アルブミンに対する非特異凝集が起こる場合は、吸光度の変化量×10000の数値は1000以上になる。
吸光度の変化量×10000の数値を以下に示す。
0.05%アルブミン溶液:40
0.5%アルブミン溶液:130
以上の結果より、シリカ粒子Aはアルブミンによって凝集しないことが明らかとなった。
(実施例8)シリカ粒子Aのヒト血清グロブリン分画に対する非特異凝集の抑制評価
シリカ粒子Aの非特異凝集の抑制評価として、ヒト血清グロブリン分画に対する非特異凝集性を確認した。まず、グロブリン濃度0.48mg/mLあるいは48mg/mLのグロブリン溶液16μLを、リン酸緩衝液60μLに加え、5分間37℃でインキュベートした。その後、シリカ粒子Aの分散液30μLをこれに加え、37℃で5分保温した。保温の前後で572nmの吸光度を測定し、前後での吸光度の変化量を測定した。ヒト血清グロブリン分画に対する非特異凝集が起こる場合は、吸光度の変化量×10000の数値は1000以上になる。
吸光度の変化量×10000の値を以下に示す。
グロブリン濃度0.48mg/mL:−20
グロブリン濃度48mg/mL:100
以上の結果より、シリカ粒子Aはヒト血清グロブリン分画によって凝集しないことが明らかとなった。
(実施例9)シリカ粒子Aのヒト血清フィブリンに対する非特異凝集の抑制評価
シリカ粒子Aの非特異凝集の抑制評価として、ヒト血清フィブリンに対する非特異凝集性を確認した。まず、シリカ粒子Aの水分散液50μLとヒト血清フィブリン溶液(用事調製したもの)50μLとを混合し、37℃で5分保温した。保温後、目視による粒子の凝集を観察した結果、粒子凝集は認められなかった。
(実施例10)シリカ粒子Aへの抗体感作と評価(アフィニティー粒子の作製)
実施例6で作製した、シリカ粒子Aに抗CRP抗体を以下の通り結合した。
まず、シリカ粒子Aの分散液を、遠心して微粒子を沈殿させた。上清を除去した後、シリカ粒子Aのペレットを、緩衝液で再分散させ、これに水溶性カルボジイミド(東京化成工業製)を加えた。さらにN−ヒドロキシスクシンイミド(東京化成工業製)を加えた。シリカ粒子Aの分散液を、室温で30分間撹拌した後、遠心分離によって、シリカ粒子Aを回収した。シリカ粒子Aを緩衝液で洗浄した。シリカ粒子Aを緩衝液に再分散させて、抗CRP抗体を粒子1mgあたり抗体200μgとなるように加えた。室温、60分間撹拌した後、遠心分離によって、シリカ粒子Aを回収した。シリカ粒子Aを、緩衝液で十分に洗浄して、抗CRP抗体が結合したシリカ粒子Aを得た。BCAアッセイでタンパク質を定量することで、シリカ粒子Aに抗体が結合していることを確認した。
次に、ラテックス凝集反応の評価を行った。ヒト血清由来CRP標準液と抗体結合シリカ粒子Aの分散液とを混合して、混合前後での波長572nmにおける吸光度を測定した結果、吸光度の上昇が認められた。以上の結果より、抗体が結合したシリカ粒子AのCRPに対する抗原抗体反応性が確認された。シリカ粒子Aは、免疫反応を利用する検査用粒子、たとえばラテックス凝集法で用いられる抗体感作ラテックスとして好適に用いることが出来る。

Claims (34)

  1. ポリスチレンを含むポリマー粒子であって、
    該ポリマー粒子が、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を含み構成されていることを特徴とする、粒子。
  2. 前記リガンドを結合できる官能基が、
    カルボキシ基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、マレイミド基、スクシニミジル基のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
  3. 前記ランダム共重合体における、前記ピロリドン環を有するユニットと、前記リガンドを結合できる官能基を有するユニットとのモル比が、2:8〜9:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の粒子。
  4. 前記ランダム共重合体が、ビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子。
  5. 前記ランダム共重合体における、前記ビニルピロリドンのユニットと前記アクリル酸のユニットとのモル比が、2:8〜9:1であることを特徴とする、請求項4に記載の粒子。
  6. 前記ランダム共重合体の分子量が10000以上100000以下、であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粒子。
  7. ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粒子。
  8. 前記粒子は、16μLの血清を混合した60μLの緩衝液に、0.1重量%の前記粒子の分散液30μLを添加し、37℃にて5分間放置した前後での、光路10mmにおける、波長572nmの吸収スペクトルの差が0.1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
  9. 少なくとも、スチレンを含むラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤、並びに、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を、水系媒体と混合して乳濁液を調製する第一の工程と、
    前記乳濁液を撹拌し、前記ラジカル重合性モノマーを重合する第二の工程と、を有することを特徴とする、粒子の製造方法。
  10. 請求項1に記載の粒子を分散媒に分散する工程を含む、検査試薬の製造方法。
  11. 前記検査試薬における前記粒子の平均粒子径が100nm以上400nm以下である、請求項10に記載の検査試薬の製造方法。
  12. 請求項1に記載の粒子と、前記リガンドを結合できる官能基に結合したリガンドと、を有するアフィニティー粒子。
  13. 前記リガンドが、抗体、抗原、タンパク質及び核酸のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載のアフィニティー粒子。
  14. 請求項12または13に記載のアフィニティー粒子と、前記アフィニティー粒子を分散させる分散媒と、を有することを特徴とする体外診断用の検査試薬。
  15. 前記リガンドが抗体または抗原であり、凝集法による検体中の抗原または抗体の検出に用いられる、請求項14に記載の検査試薬。
  16. 請求項14または15に記載の検査試薬と、前記検査試薬を内包する筐体とを有することを特徴とする体外診断用の検査キット。
  17. 検体中の標的物質の検出方法であって、
    請求項14または15に記載の検査試薬に、検体を混合する工程を有することを特徴とする検出方法。
  18. 凝集法による検体中の標的物質の検出方法であって、
    請求項14または15に記載の検査試薬に、検体を混合して混合液を得る工程と、
    前記混合液に、光を照射する工程と、
    前記混合液に照射された光の、透過光または散乱光の少なくともいずれかを検出する工程と、
    を有することを特徴とする検出方法。
  19. 無機物を含む粒子であって、該粒子の表面に、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を含み構成されているか、または、ピロリドン環を有する重合体の第一層と、同一分子内にカルボキシ基、及び、シリコンアルコキシド基またはシラノール基を有する重合体の第二層とを含み構成されていることを特徴とする、粒子。
  20. 前記リガンドを結合できる官能基がカルボキシ基、アミノ基、チオール基、エポキシ基、マレイミド基、スクシニミジル基から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項19に記載の粒子。
  21. 前記ランダム共重合体における、前記ピロリドン環を有するユニットと、前記リガンドを結合できる官能基を有するユニットとのモル比が、2:8〜9:1であることを特徴とする、請求項19または20に記載の粒子。
  22. 前記ランダム共重合体が、ビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体であることを特徴とする、請求項19乃至21のいずれか一項に記載の粒子。
  23. 前記ランダム共重合体における、前記ビニルピロリドンのユニットと前記アクリル酸のユニットとのモル比が、2:8〜9:1であることを特徴とする、請求項22に記載の粒子。
  24. 前記ランダム共重合体の分子量が10000以上100000以下、であることを特徴とする、請求項19乃至23のいずれか一項に記載の粒子。
  25. 前記第一層の重合体がポリビニルピロリドンであり、前記第二層の重合体が有機シランを含むラジカル重合性モノマーから合成され、
    前記有機シランは、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、シラン−PEG−カルボン酸、ジエトキシシラン−PEG−カルボン酸、モノエトキシシラン−PEG−カルボン酸、並びに、これらを組み合わせて使用され、
    前記PEGの分子量は、600以上70000以下から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の粒子。
  26. 前記無機物が、ケイ素化合物であることを特徴とする、請求項19乃至25のいずれか一項に記載の粒子。
  27. 前記ケイ素化合物を含有する割合が40重量%以上であることを特徴とする、請求項26に記載の粒子。
  28. 前記リガンドを結合できる官能基、または、前記カルボキシ基にリガンドが結合していることを特徴とする、請求項19乃至27のいずれか一項に記載の粒子。
  29. 前記リガンドが抗体、抗原、タンパク質、及び、核酸のいずれかであることを特徴とする請求項28に記載の粒子。
  30. 前記粒子の水中での自然沈降速度が2.2×10−5cm/sec以上であることを特徴とする、請求項19乃至29のいずれか一項に記載の粒子。
  31. 少なくとも、金属アルコキシド、ピロリドン環を有するユニットとリガンドを結合できる官能基を有するユニットとを含むランダム共重合体を、溶媒と混合して乳濁液を調製する第一の工程と、
    前記乳濁液を撹拌し、モノマーを重合する第二の工程と、を有することを特徴とする、粒子の製造方法。
  32. 請求項29または30に記載の粒子と、前記粒子を分散させる分散媒と、を少なくとも有することを特徴とする体外診断用の検査試薬。
  33. 前記検査試薬が夾雑物の分離に用いられることを特徴とする、請求項32に記載の検査試薬。
  34. 請求項32または33に記載の検査試薬と、請求項14または15に記載の検査試薬と、前記検査試薬を内包する筐体とを有することを特徴とする体外診断用の検査キット。
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