JP5149787B2 - フラーレンベース材料、及びフラーレンベース材料の製造方法 - Google Patents
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Description
内包フラーレンの合成方法としては、レーザー蒸発法、アーク放電法、イオン注入法、プラズマ照射法などの方法がある。これらの方法で合成された生成物の中には、内包フラーレン以外に、空のフラーレンや内包されなかった原子など、多くの不純物が含まれている。そのため、高純度の内包フラーレンを製造するためには、内包フラーレンとこれらの不純物を分離し、内包フラーレンを精製する必要がある。
また、IIIA族の金属を高次フラーレンに内包する内包フラーレンの合成をアーク放電法により行い、有機溶媒に抽出する方法が報告されている(特許文献1)。有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素やクロロベンゼン、クロロナフタレンのようなハロゲン化芳香族炭化水素を用いている。しかし、特許文献1に報告される溶媒抽出法は、やはり、空のフラーレンも同時に溶媒に溶解するものであり、内包フラーレンを空のフラーレンと分離し精製する方法ではない。
2003年にはCampbellらのグループにより、Li@C60の溶媒抽出が報告されている(非特許文献2)。彼らは、イオン注入法により、例えば30eVの低エネルギーでLiイオンを空のフラーレン膜に注入し、Li@C60を生成した。次に、イオン注入膜をCS2に溶解し、HPLCを用いてLi@C60とC60を分離したと報告している。さらに、質量分析により溶液に含まれる内包フラーレンの割合を評価し、純度80%の内包フラーレンの溶媒抽出に成功したと報告している。しかし、彼らが抽出したと報告しているのは、レーザー脱離質量分析(LD-TOF MS)スペクトルにおけるピークを観察したに過ぎず、測定可能な量(数mg〜数g)の内包フラーレンの単離に成功したというものではない。LD-TOF MSにより測定される質量ピーク強度は、サンプルの極めて微小な領域におけるイオン強度をみるもので、局所的なイオン強度は必ずしもサンプル全体の内包率に対応するものではない。また、LD-TOF MS測定時のイオン化効率とイオン極性は検出対象物質の物性に依存して変化する。従って、LD-TOF MSの結果から、内包率のような定量的な特性を高い信頼性で得ることはできない。さらに、HPLCは時間あたりの精製量が少なく、工業的に内包フラーレンを精製する方法としては生産効率が低く好ましくない。
図23に示す背景技術による溶媒洗浄による分離精製では、空のフラーレンの全てがトルエンに溶解するわけではない。特に空のフラーレンを含むダイマーやトリマーはトルエンに溶けにくいため、残渣物から完全に空のフラーレンを除去することは困難である。また、精製した内包フラーレンをさらにHPLCにより精製する場合は、内包フラーレンを溶媒に溶解する必要がある。さらに、高分子膜にドープして電子デバイスなどを製造する場合には、内包フラーレンを溶媒に溶解した材料を準備できるほうが、良溶媒を持たない粉末として準備する場合に比べ利便性が高い。
本発明(2)は、前記第一の処理と前記第二の処理の間に、溶媒洗浄により不純物を除去する第四の処理を行うことを特徴とする前記発明(1)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(3)は、前記第四の処理で用いる溶媒が、トルエン、トルエンとヘキサンの混合溶液、キシレン、アニソール、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、又は、シクロヘキサンから選択された溶媒であることを特徴とする前記発明(2)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(4)は、前記第二の処理で用いる溶媒が、テトラリン、オルトジクロロベンゼン、又は、クロロナフタレンから選択された溶媒であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(3)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(5)は、前記第三の処理で用いる溶媒が、トルエン、トルエンとヘキサンの混合溶液、キシレン、アニソール、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、又は、シクロヘキサンから選択された溶媒であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(4)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(6)は、前記アルカリ金属内包フラーレンの合成物が、プラズマ照射法で合成された合成物であることを特徴とする前記発明(1)乃至前記発明(5)のフラーレンベース材料の製造方法である。
本発明(7)は、アルカリ金属原子をフラーレン分子に内包した1個のアルカリ金属内包フラーレンに、内包原子を持たない12個乃至55個のフラーレン分子が結合したフラーレンベース材料である。
本発明(8)は、前記アルカリ金属原子が、Li、Na、K、Rb、Cs、又はFrであり、前記フラーレン分子が、化学式Cn(n=60〜82)で表されるフラーレン分子であることを特徴とする前記発明(7)のフラーレンベース材料である。
本発明(9)は、前記発明(7)又は前記発明(8)のフラーレンベース材料に化学修飾基を付加したフラーレン修飾体である。
本発明(10)は、前記発明(7)又は前記発明(8)のフラーレンベース材料からなるフラーレン薄膜である。
本発明(11)は、前記発明(7)又は前記発明(8)のフラーレンベース材料を高分子膜に分散したフラーレン分散高分子膜である。
本発明(12)は、0.5nm乃至100nmの幅の溝部を形成した基板上に、前記発明(7)又は前記発明(8)のフラーレンベース材料を配置したフラーレン微小構造体である。
(2)精製した内包フラーレンが、溶媒に溶解可能であるため、電子デバイス製造など工業利用に利便性が高い。また、HPLCなどの液体クロマトグラフィーによりさらに高純度化が可能である。
(3)本発明の分離精製方法は、溶解度の違いを利用して分離精製を行う方法であるため、液体クロマトグラフィーによる分離精製と比較して、時間あたりの精製量が多く、生産効率が高い。
(4)プラズマ照射法による合成と溶媒抽出による分離精製で作られる内包フラーレンは、周りに複数の空のフラーレンが付着したクラスター分子になっている。従来報告されてきた内包フラーレンと異なり、大気中でも安定して存在し、溶媒に対する溶解度が高く、工業上の利用価値が高い。
(5)本発明のフラーレンベース材料を用いたフラーレン修飾体は、複数の修飾基を付加することが可能で、例えば、ドラッグデリバリーシステムに用いると、異なる複数の機能を持つ修飾基を付加することが可能である。
(6)本発明のフラーレンベース材料を用いたフラーレン薄膜は、内包フラーレンの間に一定数の空のフラーレンが均一に分布している。内包フラーレンの間隔を数nmと小さくできるので、近接場光を利用した光メモリーに応用すると、記録密度の向上に効果がある。
(7)本発明のフラーレンベース材料を用いたフラーレン薄膜は、太陽電池、トランジスタ、有機EL素子、発光ダイオード、光センサー、分子センサー、イオンセンサーなどの素子における機能性薄膜として用いることが可能である。内包原子の選択や空のフラーレンの個数を制御することにより薄膜の電子エネルギー準位を制御できるので、素子特性の改善が可能である。
(8)本発明のフラーレンベース材料を用いたフラーレン分散高分子膜は、誘電率が30〜60と高く、高い結晶性を有し、圧電センサーの特性改善に効果がある。また、内包フラーレン分散膜は、高い誘電率を利用し、小型大容量のキャパシターにも応用できる。
12 空のフラーレン
13、14、21 内包フラーレンクラスター
31、32、33、34、35、36、37、38、39 クラスターの質量ピーク
101、112 内包フラーレンクラスター
102、103、104、105、106、107 化学修飾基
111、116 内包フラーレンクラスター膜
113、115 基板
114 空のフラーレン膜
121、124 高分子膜
122、125 高分子
123、134、135 内包フラーレンクラスター
126、139、140 内包フラーレン
131、136 微小構造体
132、133、137、138 溝
301 真空容器
302 真空ポンプ
303 電磁コイル
304 アルカリ金属オーブン
305 アルカリ金属蒸気導入管
306 ホットプレート
307 プラズマ流
308 フラーレンオーブン
309 フラーレン蒸気導入管
310 堆積基板
311 堆積膜
312 基板バイアス電源
[内包フラーレンの製造方法]
本発明に係る内包フラーレンの製造方法を、合成、分離精製の順に説明する。
(内包フラーレンの合成)
本発明に係る内包フラーレンは、例えば、プラズマ照射法により合成することが可能である。プラズマ照射法は、真空容器中で内包対象原子からなるイオンを含むプラズマ流を発生させ、発生したプラズマ流とフラーレンオーブンにより発生するフラーレン蒸気を反応させ、堆積基板上に内包フラーレンを生成する方法である。
(内包フラーレン合成の具体例)
図17は、プラズマ照射法により内包フラーレンを生成する製造装置の具体例の断面図である。製造装置は、管状の真空容器301、真空容器301を排気する真空ポンプ302、プラズマを閉じ込めるための電磁コイル303により構成される。
最初に、内包対象原子、例えば、Liをオーブン304で加熱し昇華させる。発生したLi蒸気をホットプレート306上に導入管305を通して導入し、熱電離によりLiをイオン化して、Liの正イオンと電子からなるプラズマを発生させる。真空容器301の真空度は10-4Torr以下にするのが好ましい。また、ホットプレート306は2000℃以上に加熱することが好ましい。
発生したプラズマは、電磁コイル303により形成した均一磁場(0.1〜2kG)により閉じ込められる。従って、プラズマは管軸方向に流れるプラズマ流307になり、堆積基板310に向かって照射される。同時に、オーブン308により加熱昇華させたフラーレン蒸気を堆積基板310に対し噴射する。オーブン308は400〜650℃に加熱するのが好ましい。
堆積基板310には負のバイアス電圧が印加される。形成された電界により、堆積基板310の近傍で、プラズマ流307中のLiイオンが加速される。Liイオンはフラーレン分子に衝突し、内包フラーレンが形成され、内包フラーレンを含む堆積膜311が堆積基板310上に堆積する。堆積基板310に印加するバイアス電圧は、Li内包フラーレンの合成の場合は、-90〜-10Vにするのが好ましい。
図3は、堆積膜のLDTOF-MASSによる質量分析データである。空のフラーレンC60の存在を示す質量数720のピークの他に、Li@C60の存在を示す質量数727のピークがあり、堆積膜中に内包フラーレンが生成されていることが確認できる。
内包フラーレンの合成については、以上説明したようなプラズマ照射法により合成可能であるが、それ以外にも、レーザー蒸発法、アーク放電法、イオン注入法などの公知の方法により合成することが可能である。例えば、アーク放電法により合成する場合は、真空容器中で、内包対象原子とグラファイト及び炭素バインダーの混合物を焼成した正極とグラファイトからなる負極に電圧を印加し、アーク放電を発生させる。放電により電極上に堆積する煤の中に合成された内包フラーレンが含まれている。
図1は、本発明の溶媒抽出による分離精製方法の工程フロー図である。本発明の分離精製方法は、大きく分けて、4つの工程からなる。第一の工程は、内包フラーレンの合成物から未反応の内包対象原子を除去する工程である。第二の工程は、第一の工程の生成物を溶媒で洗浄し、残渣物中に内包フラーレンを濃縮する工程である。第三の工程は、第二の工程の生成物を溶液に溶かし、内包フラーレンを溶媒抽出する工程である。第四の工程は、第三の工程の生成物である溶液を内包フラーレンの貧溶媒中に滴下し、内包フラーレンを析出濃縮する工程である。
第一の工程2では、合成工程により生成された内包フラーレンの未精製物1、すなわち、堆積基板や電極などから剥離して採取した煤状物質を、水系溶媒(水、酸、又は酸性溶媒)により処理して、フラーレンに内包されなかった原子や、該原子を含む化合物を溶媒中に溶かして除去し、残渣物を回収する。内包対象原子がLiである場合は、Li、Liを含む塩、炭酸リチウムなどの不純物が第一の工程で除去される。
第二の工程3では、第一の工程で回収した残渣物を内包フラーレンの貧溶媒に溶解し、残渣物中に内包フラーレンを濃縮する。第二の工程で用いる溶媒としては、不純物である空のフラーレンの溶解度の大きい溶媒を用いることが好ましい。最終工程である第四の工程においても空のフラーレンが除去されるので、第二の工程は省略が可能である。第二の工程で用いる溶媒としては、トルエン、トルエンとヘキサンの混合溶液、キシレン、アニソール、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、又は、シクロヘキサンなど空のフラーレンに対しては良溶媒で、内包フラーレンに対しては貧溶媒である溶媒を用いるのが好ましい。
第三の工程4では、第一の工程で回収した残渣物、又は、第二の工程で回収した残渣物を内包フラーレンの良溶媒に溶解し、溶液中に内包フラーレンを抽出し、溶液を回収する。第三の工程で用いる溶媒としては、内包フラーレンの溶解度の大きい溶媒を用いることが好ましい。第三の工程で用いる溶媒としては、クロロナフタレンなどのハロナフタレン、テトラリン、ODCBなど、内包フラーレンの溶解度が高い溶媒を用いるのが好ましい。理想的な内包フラーレンの抽出溶媒は、内包フラーレンに対する溶解度が高く、同時に、空のフラーレンなどの不純物に対する溶解度が小さい溶媒である。しかし、現在のところ、このような特性を持つ溶媒はみつかっていない。従って、本発明に係る分離精製方法の溶媒抽出工程において用いる溶媒は、空のフラーレンの溶解度が高くても、内包フラーレンの溶解度が十分高ければ、使用し得るものとする。空のフラーレンとの分離は、溶媒抽出工程(第三の工程)の前の工程である溶媒洗浄工程及び/又は次の工程である再沈工程により実施する。
また、第三の溶媒抽出工程で溶媒に溶けない残渣物にも内包フラーレンが多量に含まれる。この残渣物に対し、第二の工程のところで説明した溶媒洗浄を行うことにより空のフラーレンなどの不純物を取り除き、残渣物中に高純度の内包フラーレンを取り出すことも可能である。
第四の工程5は、一般的に再沈法と呼ばれる方法である。第三の工程で回収した溶液を内包フラーレンの貧溶媒に溶解し、内包フラーレンを析出させ濃縮する。第四の工程で用いる溶媒としては、例えば、トルエン、トルエンとヘキサンの混合溶液、キシレン、アニソール、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、又は、シクロヘキサンなど空のフラーレンに対しては良溶媒で、内包フラーレンに対しては貧溶媒である溶媒を用いるのが好ましい。
[第一の工程] 水(純水、精製水など)や希塩酸などの酸性溶液を処理液として用意する。処理液に未精製物1を混合し、超音波などで攪拌する。次に、遠心分離、及び/又は、メンブランフィルターによるろ過を行なう。遠心分離は、1分当たりの回転数が2,000回以上で行なうことが好ましい。遠心分離後に沈殿している不溶物を取り出して、残渣物として回収する。ろ過を行なう場合は、フィルターに残った不溶物も、残渣物として回収する。内包対象原子と水系溶媒は化学反応を起こし、水酸化物などの水溶性の物質になる。一方、内包フラーレンは水に対し溶解しにくいので、残渣物を取り出すことにより、内包フラーレンと未反応の内包対象原子を分離することができる。
[第二の工程] 第一の工程で回収した粉末状の残渣物を、例えばトルエン溶液に混合し、超音波などで攪拌する。次に、遠心分離、及び/又は、メンブランフィルターによるろ過を行なう。遠心分離は、1分当たりの回転数が2,000回以上で行なうことが好ましい。遠心分離後に沈殿している不溶物を取り出して、残渣物として回収する。ろ過を行なう場合は、フィルターに残った不溶物も、残渣物として回収する。空のフラーレンは溶媒に溶解し、内包フラーレンは残渣物中に濃縮される。
[第三の工程] 第二の工程で回収した粉末状の残渣物を、例えばクロロナフタレン溶液に混合し、超音波などで攪拌する。次に、メンブランフィルターによるろ過を行ない溶液と残渣物を回収する。残渣物中にも、内包フラーレンが大量に含まれているので、廃棄せずに保存するのが好ましい。
[第四の工程] 第三の工程で回収した溶液を、例えばトルエン溶液に滴下する。一定時間静止した後、メンブランフィルターによるろ過を行なって析出物を回収する。溶液中には、空のフラーレンが大量に含まれているので、廃棄せずに回収し再利用するのが好ましい。
図18は、本発明の内包フラーレンの分離精製方法を検討する際に用いた内包率の評価方法の工程フロー図である。内包率は、合成物又は精製物などの評価対象物(以下サンプルと呼ぶ)中における内包フラーレンの重量比として定義される。従来用いられていたLDTOF質量分析によるピーク強度の比で評価する方法と異なり、信頼性の高い評価が可能である。図18に示す評価方法の、基本的な考え方は、最初にサンプルの重量を測定し、サンプルに含まれる未反応の内包対象原子を除去した後に、内包フラーレンのフラーレンケージを湿式灰化法により分解して内包対象原子を外に出す。次に、ICPなどの元素分析により、内包原子の重量を測定し、サンプル重量との比を計算するというものである。
図18に示す具体例は、代表的な測定例を示すもので、サンプルや溶液の重量等の数値が入っている。しかし、本発明に係る内包率の評価方法は、これらの数値に限定されるものではない。最初に、サンプルを水処理して、未反応の内包対象原子、例えばLiを除去し、10mg秤量する(ステップ211)。次に、硫酸5mlを加え、硝酸5mlを加え(ステップ212)、硫酸沸点で加熱し、フラーレンケージを分解する(ステップ213)。次に、硝酸1mlを追加し、再加熱して(ステップ214)、サンプルを完全に分解する(ステップ215)。次に、残留硝酸を除去するために、過酸化水素水を加える(ステップ216)。次に、超純水でメスフラスコ50mlに定容する(ステップ217)。次に、ICPによりLiの重量を測定する(ステップ218)。次に、Liの重量をサンプル重量で割って、Li含有率を算出する。最後に、内包率をLi含有率×727/7により計算する。
以上、Li@C60を例にとり説明したが、本発明の分離精製方法は、Li@C60以外にも、アルカリ金属Na、K、Rb、Cs、Frを内包するCn(n=60〜82)の分離精製に用いることが可能であり、内包率、及び収率の向上に高い効果が得られる。特に、C60とC70は高次のフラーレンと比較して大量に合成可能な材料であり、原料コストの安いフラーレンである。従来知られていなかったC60とC70をベース材料とする内包フラーレンの高効率の分離精製が可能であるという点で、本発明の分離精製方法は、工業的価値が極めて高い。また、高次フラーレン(Cn :n≧72)においても、本発明の分離精製方法を用いることにより、従来知られていた分離精製方法と比較してより高純度の内包フラーレンを生成することが可能になる。
ここで、本明細書で用いられる用語の意義について明らかにする。
(フラーレン、フラーレンベース材料)
「フラーレン」とは、Cn(n=60, 70, 76, 78・・・)で示される中空の炭素クラスター物質であり、例えば、C60やC70を挙げることができる。また、「内包フラーレン」とは、篭状のフラーレン分子の中空部に炭素以外の原子又は分子を閉じ込めた炭素クラスター物質のことである。フラーレン分子(ケージ)の中に閉じ込める原子又は分子を、内包対象原子(分子)と呼び、閉じ込められた原子(分子)を内包原子(分子)と呼ぶ。
「フラーレンベース材料」とは、フラーレンをベースにして製造した材料のことであり、内包フラーレン、ヘテロフラーレン、化学修飾フラーレン、フラーレン重合体を包括する概念である。
また、内包フラーレンの原料となるフラーレンとして、1種類のフラーレンだけでなく、混合フラーレンを用いることも可能である。「混合フラーレン」とは、種類の異なる複数のフラーレンが混合した炭素クラスター物質のことである。抵抗加熱法やアーク放電法でフラーレンを製造する場合、生成されたフラーレンの中で、重量比にして、70〜85%がC60、10〜15%がC70、残りがC76、C78、C84などの高次フラーレンとなる。燃焼法によるフラーレンの製造においても、C60、C70の重量比は高次フラーレンよりも大きい。従って、C60、C70は、他の高次フラーレンと比較して入手が容易でかつ安価である。また、C60とC70からなる混合フラーレンも、フロンティアカーボンなどから市販されており、容易に入手可能である。
さらに、内包フラーレンの原料としては、フラーレンの代わりに、窒素へテロフラーレンや酸化フラーレンを用いることが可能である。これらの物質は、フラーレンをプラズマ処理し、内包フラーレンを製造するときに大量に合成される副生成物であり、これらを再利用して、内包フラーレンを製造することが可能である。
(分離精製)
先に述べたように内包フラーレンは、レーザー蒸発法、アーク放電法、イオン注入法、プラズマ照射法などの方法により合成することが可能である。これらの方法により合成した分離精製前の材料を「合成物」又は「生成物」と呼ぶ。これに対し、分離精製を行って純度を上げた材料を「分離精製物」又は、単に「精製物」と呼ぶ。
「溶媒抽出」とは、対象物質を含む混合物質を対象物質の良溶媒に溶解して、対象物質を溶媒側に取り出す分離方法のことである。ここで、「良溶媒」とは、溶質に対し溶解度の大きい溶媒のことである。それに対し、「貧溶媒」とは、溶質に対し溶解度の小さい溶媒のことである。
「溶媒洗浄」とは、対象物質を含む混合物質を対象物質の貧溶媒に溶解して、対象物質を残渣物側に取り出す分離方法のことである。
「再沈法」とは、対象物質を溶解した良溶媒を貧溶媒中に滴下などの方法で混合することにより、対象物質を析出させる精製方法のことである。本発明の分離精製方法では、一度、良溶媒中に溶解して純度を上げた対象物質をさらに高純度にする目的で行う処理である。
「水又は酸による処理」とは、内包フラーレンの生成物に含まれるアルカリ金属などの内包されなかった内包対象原子を除去するために行う処理である。また、「未反応の内包対象原子」は、「内包されなかった内包対象原子」と同じ意味で用いるものとする。水としては、純水又は精製水など不純物の少ない水を使用し、酸としては、内包対象原子を溶解(反応して溶解する場合も含む)する酸を用いるのが好ましい。量産工程で使用する場合は、安全性の高い酸を使用するのが好ましい。例えば、希塩酸などを使用することが可能である。ここにいう「処理」とは、生成物を粉末状にした後、水又は酸に混合攪拌し、又は、水又は酸により洗浄し、フィルターで濾過して、残渣物を回収する工程のことである。また、本明細書においては、水又は酸による処理を省略して「水処理」と呼ぶ場合もあるが、この場合の処理には酸による処理も含まれるものとする。
発明者らは、プラズマ照射法で合成したLi内包フラーレンの合成物を基に、工業利用可能な量(数mg〜数g)の高純度内包フラーレンの分離精製を目標に研究開発をすすめ、上記において説明したような成果を得た。内包フラーレンの純度については、LDTOF-MASSのピーク強度で測定を行っていた従来方法と異なる、より信頼性、再現性の高い測定方法を開発し、データを収集した。さらに、さまざまな条件による内包フラーレンの合成を試み、最適な溶媒による溶媒抽出を繰り返し、純度50%以上の内包フラーレンの製造をめざしたが、溶媒抽出により精製される精製物の内包率には上限があることを示すデータが得られた。
図4は、内包率の原料供給比依存性を示すグラフである。プラズマ照射法により内包フラーレンを合成する場合は、Liイオンの供給量を堆積基板に流れるイオン電流を検出して測定し、フラーレンの供給量をフラーレンオーブンのフラーレン充填量の変化を検出して測定することができる。それぞれの供給量は、例えば、各材料の昇華オーブンの温度を制御して制御することができる。図4は、LiイオンとC60の供給量を0.1から1まで変化させて合成した堆積物を、一定の溶媒抽出条件で抽出した精製物の内包率をプロットしたものである。図から、フラーレンに対するLiの供給比を増やすと、供給比が0.8以下の場合は内包率が増えていくが、供給比が0.8を超えると内包率が8〜11%で飽和することがわかる。
次に、合成条件を一定とし、精製方法を変更して、内包率を測定した。結果を表1に示す。
方法2:テトラリン1回抽出溶液->トルエンによる再沈
方法3:クロロナフタレン1回抽出溶液->トルエンによる再沈
方法4:テトラリン1回抽出残渣物-> CS2洗浄2回
表1から、やはり溶媒抽出による精製物の内包率は、多くても8%程度であることが示された。
また、発明者らは、HPLCによるLi内包フラーレンの精製実験も行った。その結果、HPLCを何度繰り返しても、内包率は上記一定値を大幅に越えることはなかった。
次に、溶媒としてクロロナフタレン、テトラリンをそれぞれ用い分離精製した精製物のLDTOF質量分析スペクトルのレーザー強度依存性を調べた。図6(a)及び(b)は、それぞれ、クロロナフタレン抽出材料、テトラリン抽出材料の質量分析による質量ピークのレーザー強度依存性を示す図である。質量数720、727は、それぞれC60、Li@C60に対応する検出信号強度であり、ほぼ測定試料中の局所的な物質の存在密度に対応する。図6(a)、(b)のいずれにおいても、試料に照射するレーザー光の強度が大きいと、727に対応する信号強度は小さくなり、720に対応する信号強度は大きくなる傾向がある。
以上の実験データから、発明者らは、プラズマ照射法で合成し溶媒抽出で精製した内包フラーレンは、単独の分子として存在するのではなく、内包フラーレンの周りを複数の空のフラーレンが取り囲んで内包フラーレンと結合したクラスター構造をしているという仮説をたてた。
図5(b)は、1個の内包フラーレンに対し1層の空のフラーレンが取り巻いて結合した内包フラーレンクラスター13の分子構造を示す図である。また、図5(c)は、1個の内包フラーレンに対し2層の空のフラーレンが取り巻いて結合した内包フラーレンクラスター14の分子構造を示す図である。非特許文献1によると、空のフラーレンのみで炭素クラスターを最密充填していくと、分子構造は正二十面体構造で最も安定になる。1個の分子の周りを1層の分子が取り巻く時は、中心の分子も含めて13個の分子で安定構造をつくり、二層の分子が取り巻く時は、中心の分子も含めて55個の分子で安定構造をつくると記載されている。内包フラーレンと空のフラーレンでは、分子の大きさがほぼ等しいことから、クラスター13の構造(1層構造)の場合は、1個の内包フラーレンの周りに12個の空のフラーレンが結合して安定になると考えられる。また、クラスター14の構造(2層構造)の場合は、1個の内包フラーレンの周りに54個の空のフラーレンが結合して安定になると考えられる。1層構造の場合は、内包率は1/13から計算して、7.7%になり、2層構造の場合は、内包率は1/55から計算して、1.8%になる。この計算結果は、合成条件や精製条件を変化させても、内包率が最大で8〜11%であるというデータと一致し、クラスター構造の仮説を支持するものである。
(1)内包フラーレンは、単独の分子(図5(a)に示す分子11の構造)としては極めて不安定であり、内包原子がフラーレンケージの外に出やすい。このことは非特許文献1における「大気中で内包フラーレンは不安定である」との記載によっても支持される。また、このことは、図6の質量分析ピークのレーザー強度依存性のデータとも一致している。レーザー強度を強くするとクラスター構造が壊れ、空のフラーレンと内包フラーレンがいずれも単独の分子になるが、この際に、内包フラーレンの内包原子が飛び出しやすくなり、そのため、内包フラーレンに対応する信号強度が小さくなり、空のフラーレンに対応する信号強度が大きくなるのである。
(2)内包フラーレンは、単独の分子としては溶媒に溶解しにくいが、空のフラーレンを結合したクラスター構造では、一部の溶媒に溶解可能になる。このことは、大気中で安定であるという性質とともに、本発明の内包フラーレンクラスターの優れた点である。非特許文献1によると、「内包フラーレンM@C60はさまざまな溶媒に不溶である」と記載されている。しかし、本発明の内包フラーレンクラスターは、プラズマ照射法で合成し、溶媒抽出により精製を行っているため、内包フラーレンに空のフラーレンが結合したクラスター構造となっており、溶媒に溶解可能である。
図5(d)は、内包フラーレンクラスター16、17、18など複数の内包フラーレンクラスターが集まった、より大きなクラスター構造を示す図である。内包フラーレンクラスターは、単独のクラスターとして存在するだけでなく、図5(d)に示すような、より大きな複合クラスターとしても存在するものと考えられる。
発明者らは、上記した内包フラーレンクラスター構造の仮説を証明するために構造解析を行った。
(紫外線吸光分析、及び、NMR測定)
本発明の分離精製方法による精製物の中に、仮に、内包フラーレンに結合していない除去不可能な遊離の空のフラーレンが存在する場合でも、内包率は上限を持つ。
図7(a)は、Li@C60精製物のクロロナフタレン(CN)溶液とC60だけを溶解したクロロナフタレン溶液の紫外線吸光分析スペクトルの比較データである。C60の場合は、波長470nm付近に特徴的な光吸収領域が観測されるのに対し、Li@C60精製物の場合は、同様の光吸収領域は観測されない。このことから、Li@C60精製物はC60とは異なる物質であることがわかる。
次に、図7(b)は、Li@C60精製物のクロロナフタレン(CN)溶液とC60のクロロナフタレン溶液のNMR測定の比較データである。C60の場合は、C60の存在を示す141.9ppmにおける電磁波の吸収ピークが観測されるのに対し、Li@C60精製物の場合はC60の存在を示す吸収ピークは観測されない。このことから、Li@C60精製物の場合は、遊離のC60が存在しないことを示している。
一方、LDTOF質量分析では、C60に対応する質量数720のピークが観測される。このことから、Li@C60精製物は、遊離のC60を持たず、内包フラーレンと空のフラーレンが結合したクラスター構造であるとの結論が導かれる。LDTOF質量分析では、これらの結合がレーザー照射で切断されるために、質量数720のピークが観測されると考えられる。
動的光散乱法により溶液中のLi@C60精製物の粒径測定を行った。比較のためC60の粒径の測定も行った。図8(a)は、C60の粒径分布であり、直径が約0.7nmにピークを持つ分布を示す。それに対し、Li@C60精製物は直径が4〜6nmにピークを持つ粒径分布を示すことがわかった。さらに、試料を変えて測定を繰り返したところ、Li@C60精製物は直径が4〜10nmにピークを持つ粒径分布を示すことがわかった。
(TEM観察)
図9(a)乃至(d)は、Li@C60精製物のTEMによる観察写真である。図9(c)に示すように、Li@C60精製物は直径が約9nmの粒子であることがわかる。
以上の粒径測定結果から、Li@C60精製物は、内包フラーレンに1層又は2層の空のフラーレンが結合し2.1nmから3.5nm程度の分子クラスターになり、さらにそのような分子クラスターが複数個結合してより大きなクラスターを形成していると考えることができる。
(質量分析によるクラスター質量ピーク)
図10は、Li@C60精製物の高質量領域(質量数>1000)におけるLDTOF質量分析のデータである。Li@C60(C60)に対応する質量ピーク31から、Li@C60(C60)n(n=2〜9)に対応する質量ピーク32〜39が存在することがわかる。C60のみの試料に対しても、同じ高質量領域を観測したが、Li@C60精製物において観測されるような高次クラスターの存在を示す質量ピークは観測されなかった。
(結晶構造のX線分析)
図11は、C60とLi@C60精製物の結晶構造のX線分析データを示す図である。C60が結晶構造になっていることを示す複数の強いピークを示すのに対し、Li@C60精製物は顕著なピークを示さない。
質量分析の結果とX線分析の結果から、C60が結晶状態になっているものの、その結合力は弱く、レーザー照射により容易に結合が切断されるのに対し、Li@C60精製物はクラスター構造をとり、クラスター同士は結晶構造を形成するほど大きな相互作用を持たないのに対し、クラスター内部は比較的強い力で結合していると考えられる。レーザー照射強度にもよるが、通常強度のレーザー照射では、内包フラーレンクラスターの結合は容易に切断しないと考えられる。
本発明に係る内包フラーレン精製物と、Campbellらのグループにより報告された溶媒抽出によるLi@C60精製物(非特許文献2)とは異なるものである。彼らは、イオン注入法によりLiイオンを空のフラーレンからなる堆積膜に注入して内包フラーレンを合成して、その後、堆積膜をCS2に溶解してHPLCにより内包フラーレンを精製している。堆積膜中の空のフラーレンは、自由に運動することができないために、Liが空のフラーレンに注入され内包フラーレンが形成されても、その周りに空のフラーレンが集まって分子クラスターを形成することができない。また、その後の精製工程においても、内包されなかったLiが除去されておらず、かなりの量のLiが精製物の中に混入している可能性が高い。また、彼らはLDTOF質量分析により内包率を評価しているが、LDTOF質量分析による内包率の評価は既に説明したように、信頼性、再現性が低い。
それに対し、本発明のLi@C60精製物は、プラズマ照射法により合成を行っているので、真空空間におけるフラーレン分子は自由に運動できる。そのため、形成された内包フラーレンの周りに空のフラーレンが比較的容易に集まってクラスターを形成することが可能である。さらに、本発明の分離精製方法は、内包されなかった内包対象原子の除去、内包フラーレンクラスターの溶媒抽出、空のフラーレンの除去を行っていることで、高純度の内包フラーレンクラスターの生成が可能である。また、内包フラーレンの純度(内包率)については、新規に評価方法を開発し、信頼性、再現性の高いデータを得ることができた。本発明の内包フラーレンクラスターは、内包フラーレンの純度としては、4〜10%程度であるが、遊離の空のフラーレンがほとんど存在しないことから、内包フラーレンクラスターの純度としては、かなり高純度であると言うことができる。
本発明の内包フラーレンクラスターは、Li@C60に複数のC60が結合したクラスターだけでなく、プラズマ照射法により合成し、本発明の分離精製方法で精製することにより、より一般的なフラーレンCn(n=60〜82)にLi以外のアルカリ金属Na、K、Rb、Cs、Frを内包する内包フラーレンでも周囲に複数の空のフラーレンを結合したクラスター構造になると考えられる。その場合、Li@C60からなる内包フラーレンクラスターと同様に、溶媒抽出が可能であり、大気中でも安定に存在するなどの優れた性質を持つ。
発明者らが新たに作り出した内包フラーレンクラスターは、さまざまな応用に適用可能で有用な新規材料である。その応用は、4つの形態に分類できる。
フラーレンは、不活性で毒性がない、分子の大きさがnmのオーダーであるため、細胞、たんぱく質、ウィルスなどと相互作用を起こしやすいなどの特徴があり、ドラッグデリバリーシステムなど医薬品への応用が期待されている。
図12(b)は、従来のフラーレン修飾体の分子構造を示す図であり、フラーレン分子108に化学修飾基109を付加した構造をしている。癌治療、エイズ治療、遺伝子治療など、さまざまな応用に応じて、化学修飾基109の構造を制御した薬剤が研究されている。しかし、フラーレン1個の表面に付加できる修飾基の数は限られており、複数の症状を効率的に治療する薬剤を製造することは困難である。また、薬剤を患者に投与してから、薬剤が人体のどの位置にあるのか検出することができれば、適切な治療を行う上で有用である。フラーレンの内部に不対電子を持つ原子を内包させることができれば、NMRやESRにより、薬剤が存在する場所を特定することができる。しかし、内包フラーレンは単独では極めて不安定な物質であり、内包された原子がフラーレンの外部に飛び出しやすいため、薬剤への応用が困難であるという問題があった。
図12(a)は、本発明の内包フラーレンクラスター101に、化学修飾基102乃至107を付加したフラーレン本発明のフラーレン修飾体の分子構造を示す図である。本発明のフラーレン修飾体は、内包フラーレンを複数のフラーレンで取り囲んだ構造であるため、内包フラーレンが安定して存在する。そのため、不対電子を持つ原子を内包した内包フラーレンを用いることにより、投与した薬剤の位置を検出することが可能になる。また、内包フラーレンクラスター101には、多くの化学修飾基を付加することが可能であり、さまざまな症状に対応可能な複数の種類の修飾基を付加することができる。また、一部の修飾基自体にESRやNMRで検出可能な原子を付加することも可能である。さらに、患者に投与して、薬剤が患部に届いてから、薬剤の位置を確認して、内包フラーレンクラスターをフラーレン単位で分解して、異なる患部に適切な薬剤を送り込むことも可能である。
図13は、本発明の内包フラーレンクラスターを、例えば蒸着などの方法で形成したフラーレン薄膜の斜視図である。本発明のフラーレン薄膜は、内包フラーレンを複数の空のフラーレンで取り囲んだ構造であるため、内包フラーレンの安定性が高い。
本発明のフラーレン薄膜は、例えば、近接場光を利用した光メモリーに応用することが可能である。情報記録装置の大容量化に伴い、高密度記録を実現する方法の開発は緊急の課題である。光記録や従来の磁性材料を用いた磁気記録では、近い将来、高密度化に物理的限界が来ると言われている。例えば、光記録は、記録ピットの大きさが光の回折限界で規定され、その記録密度は50Gbit/inch2が限界とされる。一方、HDDに代表される磁気記録は、高密度化に伴う磁気の熱揺らぎや符号反転部分でのブロッホ壁の存在により、現在主流の水平磁気記録や、量産が開始されたばかりの垂直磁気記録においても、その記録密度は1Tbit/inch2が限界とされる。
一方、近年研究が進められている近接場光を利用すれば、従来の光記録で用いられている伝播光と異なり、記録密度は回折による制限を受けない。本発明の内包フラーレンクラスターからなる薄膜を近接場光記録の記録媒体として用いることにより、超高密度の記録装置を実現することができる。図13に示すフラーレン薄膜における内包フラーレン中の内包原子の位置を近接場光により制御することにより情報を書き込み、内包原子の位置を検出することにより記録情報を読み取る。例えば図5(b)に示すような1個の内包フラーレンを1層の空のフラーレンで取り囲んだ内包フラーレンクラスターを用いた場合、内包フラーレンの間隔が3乃至4nmになり、約40Tbit/inch2の記録密度を実現することができる。また、内包フラーレンと隣接する内包フラーレンは、少なくとも2個の空のフラーレンで隔てられているので、隣接する記録素子同士の干渉がないという利点もある。また、以上説明した光メモリーは、フラーレン薄膜だけでなく、後述するフラーレン微小構造体でも実現することが可能である。
本発明のフラーレン薄膜の他の応用として、内包フラーレンクラスターに固有の電子エネルギー準位を利用して、太陽電池、トランジスタ、有機EL素子、発光ダイオード、光センサー、分子センサー、イオンセンサーなどの機能性薄膜として用いて素子特性改善に効果がある。図14(a)は、従来の空のフラーレンを電極113上に堆積したフラーレン薄膜114の電子エネルギー準位を示す図であり、図14(b)は、本発明の内包フラーレンクラスターを電極115に堆積したフラーレン薄膜116の電子エネルギー準位を示す図である。例えば、有機EL素子の陰極にアルミニウムを用い、電子注入層に図13に示す空のフラーレンを用いると、アルミニウムの電子エネルギー準位が5.2eVであり、空のフラーレンC60の電子エネルギー準位が6.5eVである。この場合、エネルギー準位が離れているため、電子注入効率が低く発光効率の大きい有機EL素子を作製することができなかった。一方、本発明の内包フラーレンクラスターを電子注入層に用いると、内包原子の種類や内包フラーレンに付加する空のフラーレンの数を制御することにより、その電子エネルギー準位を制御することができる。適切な内包フラーレンクラスターを選択して、電子注入効率を高くし、発光効率の高い有機EL素子を作製することが可能になる。有機EL素子に限らず、エネルギー準位を制御可能であるため、太陽電池など他の電子デバイスに用いても特性を改善することが可能になる。
なお、本発明のフラーレン薄膜は、蒸着以外に塗布、スパッター、イオンプレーティングなどの方法によっても形成することが可能である。
内包フラーレン又は内包フラーレンクラスターを薄膜として利用するだけでなく、他の材料からなる膜にドープして用いることが可能である。他の材料からなる膜としては、導電性有機材料を用いるのが好ましく、太陽電池、有機EL素子、発光ダイオード、光センサーなどの光電変換素子、圧電素子、トランジスタなどの機能性薄膜として用いて素子特性改善に効果がある。導電性有機材料としては、例えば、アルミ錯体、オキサジアゾール類、トリアゾール類、フェナントロリン類、PBD、ポリアリニン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)を用いることが可能である。
内包フラーレンは、有機材料にドープした状態では、周囲を空のフラーレンで取り囲まない場合でも比較的安定に存在する。図15(a)は、内包フラーレンクラスターを分散した高分子膜の斜視図であり、図15(b)は、内包フラーレンを分散した高分子膜の斜視図である。内包原子の種類や内包フラーレンに付加する空のフラーレンの数を制御することにより、その電子エネルギー準位を制御することができるので、素子特性の改善、素子特性の制御性の向上に効果がある。
従来のセラミックス分散高分子膜を用いた圧電センサーは、誘電率が6程度と低く、誘電率を高くしようとすると結晶性が崩れるという問題がある。一方、内包フラーレンを分散させた高分子膜は、誘電率が30〜60と高く、高い結晶性を有し、圧電センサーの特性改善に効果がある。また、内包フラーレン分散膜は、高い誘電率を利用し、小型大容量のキャパシターにも応用できる。
図16(a)及び(b)は、内包フラーレンクラスター、内包フラーレンを用いた微小構造体の斜視図である。図に示す基板上に形成された溝部は、FIBやドライエッチングなどの微細加工技術で形成する。代表的な溝部の幅は0.5nm乃至100nmである。図16(a)では、基板131上の溝部134、135に内包フラーレンクラスター132、133を配置している。図16(b)では、基板136上の溝部137、138に内包フラーレン139、140を配置している。
例えば、窒素内包フラーレンはスピン寿命の長い原子を内包しているので、図16(b)に示す構造の素子を形成することにより、複数の内包フラーレンを等間隔に均一な密度で配置することが可能になり、長寿命スピンを利用した量子コンピュータへの応用が可能である。
(実施例1)Li内包フラーレンの合成
Liを内包した内包フラーレンの製造に、円筒形状のステンレス製容器の周囲に電磁コイルを配置した構造の、図17に示す構成の製造装置を用いた。使用原料であるLiは、アルドリッチ製の同位体に関し未精製のLiを用い、また、使用原料であるC60は、フロンティアカーボン製のC60を用いた。真空容器301を真空度4.2×10-5Paに排気し、電磁コイル303により、磁場強度0.2Tの磁界を発生させた。内包原子昇華オーブン304に固体状のLiを充填し、480℃の温度に加熱してLiを昇華させ、Li ガスを発生させた。発生したLi ガスを500℃に加熱したガス導入管305を通して導入し、2500℃に加熱した熱電離プレート306に噴射した。Li蒸気が熱電離プレート306表面で電離し、Liの正イオンと電子からなるプラズマ流が発生した。さらに、発生したプラズマ流に、チムニー型のフラーレンオーブン308で610℃に加熱、昇華させたC60蒸気を導入した。プラズマ流と接触するカップ状の堆積基板310に-30Vのバイアス電圧を印加し、堆積基板310表面に内包フラーレンを含む薄膜を堆積した。合成は3回行い、それぞれの合成で、原料供給比(Liイオン/C60)を0.6、1.0、1.8と変化させた。約1時間の堆積を行い、厚さ0.8〜1.4μmの薄膜が堆積した。
図19は、クロロナフタレンを用いた内包フラーレンの溶媒抽出の実施例のフロー図である。Li内包フラーレンをプラズマ照射法で合成し、水処理を行った成膜物221を準備した。成膜物には、内包フラーレンクラスター、空のフラーレンが含まれているが、未反応のLiは除去されている。最初に、成膜物221を秤量した。実施例では、約1.5gの成膜物を用いた。秤量した成膜物に30mlのクロロナフタレン溶液を加え、超音波攪拌を行った後、遠心分離をかけ、メンブランフィルターで濾過した(ステップ222)。溶液に溶けなかった残渣物にフィルターに残った残渣物を加えたものは、乾燥して(ステップ224)、保存した。濾過されたクロロナフタレン溶液226を、溶液226の5倍量のトルエンに混合し、1時間放置してから濾過した(ステップ227)。トルエンに溶けなかった残渣物とフィルターに残った残渣物を加えて乾燥し(ステップ229)、内包フラーレンの溶媒抽出物230として用いた。トルエン溶液231中には、多量の空のフラーレンが含まれているので、ヘキサンなどの空のフラーレンに対する貧溶媒を加えて、空のフラーレンを沈殿させ回収して、再利用した。
図20は、クロロナフタレン抽出によるLi内包フラーレンの分離精製を8回行って内包率、抽出率、内包フラーレン回収率のデータである。すでに説明した内包率は、平均で6.0%であった。一方、分離精製前の合成物の中から、どれだけの精製物を取り出せるかを抽出率と定義する。分離精製方法を評価する上で、どれだけの純度の物質を精製できるかを示す純度(内包フラーレンの場合は内包率)だけでなく、どれだけの精製物をとりだせるかを示す抽出率も重要な特性である。実施例では、抽出率は平均で約5.5%であった。また、内包フラーレン回収率は、内包率と抽出率の積であり、実施例では、回収率は平均で約0.3%であった。
図21は、テトラリンを用いた内包フラーレンの溶媒抽出方法のフロー図である。Li内包フラーレンをプラズマ照射法で合成し、水処理を行った成膜物241を準備した。成膜物には、内包フラーレンクラスター、空のフラーレンが含まれているが、未反応のLiは除去されている。最初に、成膜物241を秤量した。実施例では、約1.0gの成膜物を用いた。秤量した成膜物にトルエンを加え、超音波攪拌を行った後、遠心分離をかけ、メンブランフィルターで濾過した(ステップ242(溶媒洗浄))。次に、溶液に溶けなかった残渣物にフィルターに残った残渣物を加えたものを乾燥して、300mlのテトラリン溶液を加え、超音波攪拌を行った後、遠心分離をかけ、メンブランフィルターで濾過した(ステップ245(溶媒抽出))。濾過されたテトラリン溶液247に、CS2を添加し、1時間放置してから、メンブランフィルターで濾過した(ステップ248(再沈))。CS2に溶けなかった残渣物とフィルターに残った残渣物を加えて乾燥し(ステップ251)、内包フラーレンの溶媒抽出物252として用いた。
図22は固体MAS測定によるLi@C60精製物の7Li NMRスペクトルである。無機塩または外接のLiC60に帰属される0.4 ppmのピークの他に、メインピークとして-16.2ppmのピークが確認された。Li@C60の標準サンプルとなる化合物の7Li NMR化学シフト値は報告されていないが、非特許文献3には、計算科学的に求められた[Li@C60]+の化学シフト値が報告されている。これによれば、LiイオンがC60殻に内包された場合内包Li核は-14.5 ppmにシグナルを与えると計算されている。7Li NMRにおいてLiイオン核が与えるピーク範囲は一般に狭く、0 ppmをはさんで約10ppm程度しかシフトしない。そのような性質を持つLi核が-16.2ppmという高磁場にピークを与えるということは、非常に大きな磁気的遮蔽を受けていることを示しており、C60殻の強い遮蔽効果を示していると考えられる。
Claims (12)
- アルカリ金属内包フラーレンの合成物から、少なくとも、内包されなかった内包対象原子及び内包対象原子化合物を水系溶媒により除去する第一の処理と、アルカリ金属内包フラーレンを溶媒に抽出する第二の処理と、再沈法により空のフラーレンを除去する第三の処理を行うことにより、アルカリ金属内包フラーレンを分離精製するフラーレンベース材料の製造方法。
- 前記第一の処理と前記第二の処理の間に、溶媒洗浄により不純物を除去する第四の処理を行うことを特徴とする請求項1記載のフラーレンベース材料の製造方法。
- 前記第四の処理で用いる溶媒が、トルエン、トルエンとヘキサンの混合溶液、キシレン、アニソール、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、又は、シクロヘキサンから選択された溶媒であることを特徴とする請求項2記載のフラーレンベース材料の製造方法。
- 前記第二の処理で用いる溶媒が、テトラリン、オルトジクロロベンゼン、又は、クロロナフタレンから選択された溶媒であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフラーレンベース材料の製造方法。
- 前記第三の処理で用いる溶媒が、トルエン、トルエンとヘキサンの混合溶液、キシレン、アニソール、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メシチレン、又は、シクロヘキサンから選択された溶媒であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のフラーレンベース材料の製造方法。
- 前記アルカリ金属内包フラーレンの合成物が、プラズマ照射法で合成された合成物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフラーレンベース材料の製造方法。
- アルカリ金属原子をフラーレン分子に内包した1個のアルカリ金属内包フラーレンに、内包原子を持たない12個乃至55個のフラーレン分子が結合したフラーレンベース材料。
- 前記アルカリ金属原子が、Li、Na、K、Rb、Cs、又はFrであり、前記フラーレン分子が、化学式Cn(n=60〜82)で表されるフラーレン分子であることを特徴とする請求項7記載のフラーレンベース材料。
- 請求項7又は8のいずれか1項記載のフラーレンベース材料に化学修飾基を付加したフラーレン修飾体。
- 請求項7又は8のいずれか1項記載のフラーレンベース材料からなるフラーレン薄膜。
- 請求項7又は8のいずれか1項記載のフラーレンベース材料を高分子膜に分散したフラーレン分散高分子膜。
- 0.5nm乃至100nmの幅の溝部を形成した基板上に、請求項7又は8のいずれか1項記載のフラーレンベース材料を配置したフラーレン微小構造体。
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