以下、本発明に係る原稿圧着板開閉装置及び原稿圧着板を備えた事務機器を添付図面に基づいて詳述する。
図1〜図3は本発明に係る原稿圧着板開閉装置の一例を示す図である。本発明に係る原稿圧着板開閉装置は、図1及び図2に示すように、事務機器10の機器本体11の後端部に、原稿圧着板12を開閉可能に取り付けるものである。事務機器10としては、特に限定されず、例えば、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等が挙げられ、特に複写機が好ましいものとして挙げられるが、特に限定せずに説明する。また、原稿圧着板12の上部には原稿自動送り装置(図示せず)が設けられているものがあるが、本発明に係る原稿圧着板開閉装置及び事務機器は、原稿自動送り装置が設けられていても設けられていなくても両方に適用可能なものである。
本発明に係る第1の原稿圧着板開閉装置1は、図1〜図3に示すように、原稿圧着板12を有する事務機器10の機器本体11側に取り付けられる取付部材2と、この取付部材2に第1ヒンジピン15を軸に回動可能に軸支された支持部材3と、この支持部材3に重なり合うと共にこの支持部材3の自由端部に第2ヒンジピン16を軸に回動可能に軸支され、かつ、原稿圧着板12に取り付けられるリフト部材4と、このリフト部材4と取付部材2との間に設けられ、リフト部材4を支持部材3と重なり合う方向へ付勢すると共に原稿圧着板12を開成方向に回転付勢する弾性手段5とを備え、原稿圧着板12を回転させて機器本体11の上面を原稿圧着板12で覆う閉成状態とその上面を露出させる開成状態とを形成するものである。この本発明に係る第1の原稿圧着板開閉装置1は、原稿圧着板12の所定の開閉角度以上において当該原稿圧着板12の中折れを防止する中折れ防止手段Aを設けたことに特徴がある。
取付部材2は、例えば、機器本体11に取り付けられる底板21と、底板21の両側端部からそれぞれ底板21に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びる両側板22と、底板21の一端部(後端部)から底板21に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びる略矩形状の後板23とからなる。
底板21は、略矩形状に形成され、ネジやビス等で機器本体11に取り付けられる。側板22には、第1ヒンジピン15が例えば回り止め付きの軸受け(図示せず)を介して挿通されるシャフト孔25が設けられている。側板22のシャフト孔25より前方で、かつ、下側(下方)に偏した位置には、受圧ピン17が挿通される受圧ピン孔26が設けられている。受圧ピン17は、カムスライダー52の底部の外面が当接する受圧部材であり、この受圧部材は、受圧ピン17等のピンに限定されず、ローラ例えば受圧ローラでもよい。
支持部材3は、図5に示すように、例えば、天板である上板31と、上板31の両側端部からそれぞれ上板31に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びる両側板32と、側板32の先端部を互いに対向する側に略90°折り曲げてなる抱持板33とからなることが好ましい。これらの上板31、両側板32、抱持板33で収容部34が構成されている。
両側板32の一端部(後端部)には、シャフト挿通孔35がそれぞれ設けられている。これらシャフト挿通孔35と取付部材2の両側板22のシャフト孔25とが孔合わせされると共にこれら孔35、25の間すなわち支持部材3の側板32と取付部材2の側板22との間に例えばワッシャー(図示せず)が設けられて、これら孔35、25及びワッシャーに第1ヒンジピン15が挿通されることによって、支持部材3が取付部材2に対して第1ヒンジピン15を軸に回動可能に連結されている。
また、両側板32の他端部(前端部)には、第2ヒンジピン16が挿通される第2ヒンジピン孔36が設けられていると共に、後述する作動ピン18が入り込む切欠部37が設けられている。また、両側板32には、例えば、支持部材3に対するリフト部材4の回動を行うための摺接部39がそれぞれ突出されている。摺接部39は、例えば、両側板32の第2ヒンジピン孔36と切欠部37との間に略円状に2つ形成されている。これらの摺接部39は、リフト部材4の側板42の内面に接して支持部材3の側板32の外面とリフト部材4の側板42の内面との間にクリアランスを設けることにより、支持部材3に対するリフト部材4の回動が良好に行われるようになっている。なお、摺接部39は、略円状に形成したが、これに限定されず、円状以外の形状、例えば、円弧状等に形成してもよい。また、摺接部39のかわりに支持部材3とリフト部材4との間にワッシャー等を設けるようにしてもよい。
リフト部材4は、厚さが厚い原稿も機器本体11の上面に安定して圧着させるためのものである。リフト部材4は、図6に示すように、例えば、原稿圧着板12の後端側にネジやビス等で取り付けられる第1取付孔48を有する矩形平板状の上板41と、この上板41の両端部からそれぞれ上板41に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びる両側板42とから略コ字状であって支持部材3を覆うように形成されている。
両側板42の一端部(前端部(取付部材2とは反対側の端部))近傍には、第2ヒンジピン挿通孔46が設けられていると共に、第2ヒンジピン挿通孔46のより下方であって後方(後端部側)には作動部材である作動ピン18が挿通される作動ピン孔47が設けられている。第2ヒンジピン挿通孔46と支持部材3の両側板32の第2ヒンジピン孔36とが孔合わせされてこれら孔46、36、に第2ヒンジピン16が挿通されることによって、リフト部材4と支持部材3とが第2ヒンジピン16を軸に互いに回動可能に連結されている。また、両側板42の作動ピン孔47に作動ピン18が挿通されて取り付けられている。
弾性手段5は、図1及び図2に示すように、原稿圧着板12を開成方向に回転付勢すると共に、リフト部材4を支持部材3と重なり合う方向へ付勢し、かつ、原稿圧着板12が任意の回動角度以下のとき、原稿圧着板12を付勢する弾力が原稿圧着板12のモーメントより小さいものである。なお、本発明において開成方向とは、原稿圧着板12を回転させる際に原稿圧着板12が機器本体11の上部のコンタクトガラス(図示せず)から離間する方向をいう。本発明において閉成方向とは、開成方向とは反対の方向で原稿圧着板12を回転させる際に原稿圧着板12がコンタクトガラスに近づく方向をいう。本発明における回動角度とは、機器本体11の上面であるコンタクトガラス面に対する原稿圧着板12の角度である。本発明における任意の回動角度とは、弾性手段5の付勢力により任意に設定されるもので、例えば、弾性手段5による原稿圧着板12を付勢する付勢力が原稿圧着板12のモーメントより小さくなる角度で、例えば略20°以下の角度である。
弾性手段5は、特に限定されないが、例えば、圧縮コイルスプリング51である。圧縮コイルスプリング51は、支持部材3内に挿入されて作動ピン18と受圧ピン17との間に弾設されている。圧縮コイルスプリング51と作動ピン18との間には、バネ受け部材53が設けられていると共に、圧縮コイルスプリング51と受圧ピン17との間には、スライダーであるカムスライダー52が設けられている。圧縮コイルスプリング51は、実施例では作動ピン18と受圧ピン17との間に弾設されているが、このものに限定されず、圧縮コイルスプリングを取付部材2と支持部材3の自由端との間に弾設し、リフト部材をトーションスプリングを用いて、独自に支持部材と重なり合う方向へ付勢させるように構成したものにも適用できる。
圧縮コイルスプリング51は、その個数は特に限定されず、1個でも2個以上でもよく、バネ受け部材53及びカムスライダー52をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。圧縮コイルスプリング51は、原稿圧着板12を開成方向に回転付勢すると共に、原稿圧着板12が任意の回動角度(例えば、略20°)以下のとき、原稿圧着板12を付勢する弾力が原稿圧着板12のモーメントより小さくなるものである。
バネ受け部材53及びカムスライダー52は、図1〜図3に示すように、断面矩形の有底筒体状に形成されている。これらのバネ受け部材53及びカムスライダー52は、互いの開口部が向き合うと共にこれらの間に圧縮コイルスプリング51の両端部が収容された(被せられた)状態で支持部材3の収容部34にそれぞれ個別に摺動可能に収装されている。バネ受け部材53及びカムスライダー52は、取付部材2の底板21と支持部材3(上板31)が略平行になっているとき(例えば機器本体11の上面のコンタクトガラス上に原稿圧着板12を密着させたとき(原稿圧着板12が閉成位置にあるとき))、支持部材3の収容部34内に嵌合される長さで形成されている。
バネ受け部材53が圧縮コイルスプリング51の付勢力によって作動ピン18を押圧して、支持部材3とリフト部材4とが重なり合うように付勢する。すなわち、圧縮コイルスプリング51の付勢力によってリフト部材4の上板41が支持部材3の上板31の一部である当接部31aに当接又は近接するようになっている。このとき、上板41が例えばコンタクトガラスに対して略平行になるようになっていることが好ましい。なお、支持部材3の上板31にリフト部材4の上板41を当接又は近接するようにしてもよい。
カムスライダー52の底部(閉塞部ということがある。)の外表面の略中央部には、突部52aが設けられている。この突部52aは、支持部材3の上板31に略平行に延びて形成されている。突部52aより上板31側のカムスライダー52の底部外表面は、後述するストッパー孔38にストッパーピン(図示せず)が挿通されている場合には、そのストッパーピンが当接するピン当接部52cとして形成されている。突部52aの下方は漸次傾斜された傾斜部52bとして形成されている。このカムスライダー52の底部の外表面の突部52a及び傾斜部52bが1種のカムとして形成されている。
すなわち、閉成位置にある原稿圧着板12(図1参照。)を開成方向に第1ヒンジピン15を軸に回転させると、原稿圧着板12と共に支持部材3が第1ヒンジピン15を軸に回転して第1ヒンジピン15の下方に位置される受圧ピン17に当接するカムスライダー52の箇所が突部52aから傾斜部52bへと徐々に摺動すると共に、受圧ピン17と作動ピン18との間隔が広がり支持部材3に対してカムスライダー52が圧縮コイルスプリング51によって後端部側へと摺動し、圧縮コイルスプリング51が徐々に伸びる。そして、原稿圧着板12が最大使用開放角度(例えば、略60°〜略70°)になると(図2参照。)、その開閉が原稿圧着板開閉規制機構(図示せず)によって規制されるようになっている。なお、図1及び図2中、符号55は延出片を示している。この延出片55は、例えば、カムスライダー52の幅より若干短い寸法の幅で形成されていることが好ましい。これにより、受圧ピン17の外表面にカムスライダー52との摺接を円滑にする潤滑用のグリスが塗布されていても、延出片55が受圧ピン17の外周の大部分を覆うために、原稿をコンタクトガラス上に置く時又は原稿をコンタクトガラス上から取る時に原稿の端が延出片55に当たり、グリスが塗布されている受圧ピン17に接触して汚れてしまうことがないようになっている。
また、支持部材3の両側板32に、ストッパー孔38を設けてもよい。このストッパー孔38は、カムスライダー52が圧縮コイルスプリング51の付勢力によってシャフト挿通孔35を塞ぐことを阻止するために設けられたもので、特に組立時に有効に利用されるものである。ストッパー孔38の位置は、支持部材3の自由端部とシャフト挿通孔35との間であれば特に限定されないが、取付部材2のシャフト孔25と支持部材3のシャフト挿通孔35との孔合わせをした際に、カムスライダー52の端面が受圧ピン17に当接して邪魔にならない位置であれば特に限定されるものではない。その結果、支持部材3のシャフト挿通孔35と取付部材2のシャフト孔25との孔合わせ及びこれらの孔35、25への第1ヒンジピン15の挿通が容易となり、組立性が向上する。
圧縮コイルスプリング51内には、ダンパー装置(図示せず)が設けられていることが好ましい。このダンパー装置は、原稿圧着板12が閉成方向に回転したとき、原稿圧着板12の任意の回動角度以下の特定の回動角度以下(例えば略10°以下)においてのみその原稿圧着板12の回転速度を低減させるように動作するものである。ダンパー装置は、例えば、オイルダンパ装置等である。なお、ダンパー装置を設けるようにしたが、これに限定されず、ダンパー装置を設けなくてもよいし、他の装置等によって特定の回動角度以下(例えば略10°以下)においてのみその原稿圧着板12の回転速度を低減させるようにしてもよい。
係合手段6と係合解除手段9とで原稿圧着板の中折れ現象を防止する中折れ防止手段Aを構成しており、係合手段6は、図1〜図4に示すように、原稿圧着板12の所定の開成角度範囲内において原稿圧着板12の反転を防止するものである。この係合手段6は、特に限定されず、例えば、支持部材3及びリフト部材4のいずれか一方(例えば、支持部材3)に設けられる係合受部7と、この係合受部7と係合すると共に支持部材3及びリフト部材4のいずれか他方(例えば、リフト部材4)に移動可能に設けられる係合部8とを備えてなることが好ましい。なお、本発明において所定の開成角度範囲とは、機器本体上に厚さが厚い原稿を載置して原稿圧着板を閉じるときに、原稿圧着板が第2ヒンジピンを軸に原稿の上部を覆うように回転して、原稿圧着板で原稿をコンタクトガラスに安定して密着させるいわゆるリフト動作がし得る開成角度が含まれていない角度範囲で、例えば、略30°〜略60°の角度範囲である。係合受部7は、特に限定されず、例えば、支持部材3の上板31に設けられた矩形状の貫通孔として形成されている。
係合部8は、例えば、リフト部材4に移動可能に設けられる。リフト部材4の上板41の略中央部には、凸形状の貫通孔45が設けられている。この貫通孔45の近傍の4箇所の上板41には、ネジ溝を有する第2取付孔49が設けられている。この上板41の貫通孔45の両側部には、一対の取付片61、62がビス等により第2取付孔49を介して取り付けられている。一対の取付片61、62は、貫通孔45を介して略対称に形成されている。一対の取付片61、62は、図7及び図8に示すように、上板41に面接触すると共にビス等が挿入される貫通孔61c、62cが両端部に設けられている基部61a、62aと、この基部61a、62aの対向する取付片62、61側の側端部を互いに対向するように略90°に折り曲げられてなると共に、シャフト挿通孔61d、62dを有するシャフト支持部61b、62bとからなる。一対の取付片のいずれか一方の取付片(第1取付片61ということがある。)の対向する面には、バネ取付部61eが設けられていると共に、バネ当接部61fが設けられている。また、一対の取付片61、62のシャフト支持部61b、62bのシャフト挿通孔61d、62dにシャフト63が挿通されて取り付けられている。このシャフト63に係合部8であるフック部材80が回動可能に支持されている。
フック部材80は、図1〜図4及び図9に示すように、例えば、シャフト63の軸回りに回動可能に支持される略円筒状の回動部81と、この回動部81の周面から径方向外方に延び、リフト部材4の上板41の貫通孔45を貫通すると共に、先端部が取付部材2側に曲がった鉤状のフック部82とからなる。フック部82は、上板41の貫通孔45を貫通してこの上板41に対して略直交する方向に位置されると、貫通孔45の取付部材2側の端部に当接して、フック部材80の取付部材2側への回転が規制されるようになっている。フック部82の先端部は、取付部材2側に曲がって形成されて、支持部材3の上板31の係合受部7(係合受部7の取付部材側の端部)に係合して、リフト部材4は、支持部材3に対して第2ヒンジピン16を軸に回転することなく支持部材3に重ね合わされた状態で支持部材3と共に第1ヒンジピン15を軸に回転するようになっている。なお、係合部8は、フック部材80に限定されず、他の部材等であってもよい。
第1取付片61には、付勢部材であるトーションスプリング65が取り付けられている。トーションスプリング65は、第1取付片61のバネ取付部61eに取り付けられている。このトーションスプリング65の一端部がバネ当接部61fに当接されていると共にトーションスプリング65の他端部がフック部材80のフック部82に当接されており、フック部材80はフック部82が貫通孔45の取付部材2側の端部に当接するように付勢される、すなわち、係合受部7に係合するように付勢されるようになっている。なお、付勢部材は、フック部材80を係合受部7と係合するように付勢することができれば、トーションスプリング65に限定されず、他の付勢部材を用いてもよい。また、トーションスプリング65の一端部をバネ当接部61fに当接させると共に他端部をフック部82に当接させてフック部材80を付勢するようにしたが、フック部材80の付勢を行えればどのように構成してもよく、例えば、フック部にスプリングの端部を挿入する挿入孔を設けて、この挿入孔にトーションスプリング65の他端部を挿入してフック部材80を付勢するようにしてもよい。
係合解除手段9は、原稿圧着板12の所定の開成角度範囲外(リフト動作をし得る角度範囲)において係合手段6を解除させて原稿圧着板12の反転を許容するものである。すなわち、係合解除手段9は、例えば、原稿圧着板12を閉成方向に回転させてこの原稿圧着板12が機器本体11の上面に載置した原稿に接触する前に係合部8であるフック部材80を移動させてフック部材80と係合受部7との係合を解除させるものである。係合解除手段9としては、特に限定されないが、例えば、バネ受け部材53やカムスライダー52、図示例では、カムスライダー52を係合解除部材として兼用するようにしてもよい。
すなわち、カムスライダー52は、支持部材3にその長手方向に摺動可能に設けられ、例えば、回動角度が略45°以上のとき、フック部材80のフック部82より取付部材2側の支持部材3に位置されて、フック部材80が係合受部7に係合されている。また、回動角度が略45°のとき、カムスライダー52の先端部が係合受部7に係合されているフック部材80のフック部82の先端部に当接し、回動角度が略45°から原稿圧着板12が閉成方向に回転すると、支持部材3に対してカムスライダー52が後部側から前部側に摺動しつつフック部82をトーションスプリング65の付勢力に抗して係合受部7との係合を解除する方向にシャフト63を軸に回転させ、原稿圧着板12が機器本体11の上面に載置した原稿に接触するとき又は接触する前に、フック部材80と係合受部7との係合が解除されて支持部材3に対して第2ヒンジピン16を軸にリフト部材4が回動し得るように構成されている。フック部材80の取付位置、係合受部7の位置、カムスライダー52の形状等を変えることによりそのリフト部材4が回動し得る回動角度を任意の角度に設定することができる。
次に、本発明に係る第1の原稿圧着板開閉装置1及び事務機器10の作用を説明する。
原稿圧着板12は、機器本体11が使用されていない状態では、図1に示すように、機器本体11のコンタクトガラスに密着されている。コンタクトガラス上に原稿を載置するには、まず、リフト部材4が取り付けられている箇所とは反対側の原稿圧着板12の端部又はその近傍等に設けられている把持部を持って、原稿圧着板12を上方に持ち上げる。すなわち、原稿圧着板12を第1ヒンジピン15を軸にのみ回転させてコンタクトガラス面を外部に露出させる。このように原稿圧着板12を回転させるとき、原稿圧着板12は、圧縮コイルスプリング51の付勢力によって開成方向に回転付勢されているので、重量を感じさせることなく開成方向に回転することができる。
また、閉成状態では、フック部材80のフック部82の先端部がカムスライダー52の外周に当接してフック部材80と係合受部7とが係合していない(図1、図3(b)及び図4(a)参照。)が、原稿圧着板12が開成方向に回転すると、受圧ピン17が第1ヒンジピン15より下方に位置されているので、作動ピン18と受圧ピン17との間隔がその回転に伴って広くなって、支持部材3に対してカムスライダー52が後方側へと摺動することになる。このようにカムスライダー52が支持部材3内を移動すると、フック部材80のフック部82の先端部はカムスライダー52の外周に当接していた状態からカムスライダー52の先端部に当接して係合受部7に係合する(例えば、図3(c)及び図4(b)、(c)参照。)。従って、フック部材80と係合受部7とは閉成状態では係合されていないが、原稿圧着板12が開成方向に回転する途中でフック部材80と係合受部7とが係合することになる。
露出したコンタクトガラス面上に原稿を載置した後、持ち上げた原稿圧着板12を降ろす。すなわち、原稿圧着板12を閉成方向に第1ヒンジピン15を軸に回転させて閉成状態にする。このように、原稿圧着板12を回転させる場合、フック部材80と係合受部7とが係合しているので、リフト部材4が支持部材3に対して第2ヒンジピン16を軸に回転することがない。よって、リフト部材4(原稿圧着板12)は支持部材3と共に第1ヒンジピン15を軸にのみ回転するので、中折れ現象が発生することなく原稿圧着板12を回転させることができる。特にリフト軸ピッチ(第2ヒンジピン16と作動ピン18との間隔)を短くしても中折れ現象が発生することなく原稿圧着板12を開閉させることができる。
また、原稿圧着板12の回動角度が例えば略20°以下になると、原稿圧着板12の重量による原稿圧着板12の下方への回転する力が圧縮コイルスプリング51の付勢力より強くなるので、原稿圧着板12は下方に移動する。原稿圧着板12の回動角度が特定の回動角度例えば略10°になると、ダンパー装置のピストンロッドの先端がカムスライダー52の内面に当接して、ピストンロッドがシリンダ内に移動してピストンロッドの露出長が短くなり、原稿圧着板12の回転速度が低減される。その結果、原稿圧着板12の回転速度がダンパー装置によって制御されるので、原稿圧着板12が勢いよくコンタクトガラスに衝突することがない。
原稿圧着板12が閉成状態になると、原稿が薄い紙である場合には、原稿圧着板12によって原稿をコンタクトガラス上から浮き上がることなく確実にコンタクトガラスに密着させることができるので、原稿を良好に複写等することができる。すなわち、原稿圧着板12とコンタクトガラスとの間に光が入らないように原稿圧着板12がコンタクトガラスに密着されて、原稿を良好に複写等することができる。
また、原稿が本のように厚さが厚い場合、原稿圧着板12を閉成方向に回転させると、原稿圧着板12が原稿14に接触する前にフック部材80が回転移動してフック部材80と係合受部7との係合が解除される(図4(b)参照。)。すなわち、開成状態では、フック部材80のフック部82が係合受部7に係合している(例えば、図3(d)及び図4(d)参照。)が、原稿圧着板12が第1ヒンジピン15を軸に閉成方向に回転すると、受圧ピン17が第1ヒンジピン15より下方でかつ前方に位置されているので、作動ピン18と受圧ピン17との間隔がその回転に伴って狭くなって、支持部材3に対してカムスライダー52が前方側へと摺動することになる。このカムスライダー52の移動により、まず、カムスライダー52の先端部が係合受部7に係合しているフック部材80のフック部82の先端部に当接し(例えば、図3(c)及び図4(c)参照。)、その後、このフック部82をトーションスプリング65の付勢力に抗して係合受部7との係合を解除する方向にシャフト63を軸にフック部材80が回転する。そして、原稿圧着板12が機器本体11の上面に載置した原稿14に接触するとき又は接触する前に、フック部材80と係合受部7との係合が解除されて支持部材3に対して第2ヒンジピン16を軸にリフト部材4が回動し得るようになっている(例えば、図4(b)参照。)。
このため、原稿圧着板12を閉成方向に回転させたときに、原稿14の支持部材3側の端部又はその近傍に原稿圧着板12の支持部材3の近傍の一部が接触し、原稿14の支持部材3側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板12との間に空間が形成される。すなわち、把持部側の端部の原稿圧着板12は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板12の例えば把持部側の端部近傍をコンタクトガラス側に押圧したり原稿圧着板12の自重により、作動ピン18がバネ受け部材53をカムスライダー52側に押圧して圧縮コイルスプリング51の付勢力に抗してバネ受け部材53がカムスライダー52側に移動すると共に、原稿圧着板12(リフト部材4)が第2ヒンジピン16を軸に回転する。つまり、原稿14の上部を覆うように原稿圧着板12が移動する。例えば、その原稿14の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板12が面接触する。その結果、厚さが厚い原稿14が安定してコンタクトガラスに密着されることになる。よって、原稿圧着板12は、原稿の厚さに関係なく原稿を安定してコンタクトガラスに密着することができ、原稿を良好に複写等することができる。
したがって、本発明に係る第1の原稿圧着板開閉装置1及び事務機器10は、中折れ現象が発生することなく原稿圧着板12を回転させることができると共に、原稿の厚さに関係なく原稿を安定して機器本体11の上面に密着させることができ、複写等を良好に行える。
なお、本発明の実施の形態では、一対の取付片61、62をビス等により上板41上に取り付けたが、これに限定されず、上板の一部を切り欠いて適宜折り曲げる等して上板と一体的に一対の取付片を形成するようにしても良い。具体的には例えば、図10及び図11に示すように、リフト部材4の上板41の略中央部に略矩形状の貫通孔145が設けられている。この貫通孔145の両側部が互いに上方に略90°に折り曲げられて一対の取付片161、162が形成されている。一対の取付片161、162の上端部の後端部側は、内側(互いに対向側)に略90°に折り曲げられて当接部161a、162aとして形成されている。また、一対の取付片161、162には、シャフト挿通孔161b、162bがそれぞれ設けられ、これらシャフト挿通孔161b、162bにシャフト163が挿通されている。このシャフト163に係合部8であるフック部材180が回動可能に支持されている。このようにして、中折れ防止手段Bが構成されている。
この中折れ防止手段Bのフック部材180は、前記のフック部材80と大体同じように形成されている。このフック部材180としては、図10及び図12に示すように、例えば、シャフト163の軸回りに回動可能に支持される略円筒状の回動部181と、この回動部181の一端部側の外周が縮径されて形成されるバネ装着部183と、回動部181の周面から径方向外方に延び、リフト部材4の上板41の貫通孔145を貫通すると共に、先端部が取付部材2側に曲がった鉤状のフック部182と、回動部181の周面のフック部182から略90°ずれた位置にその径方向外方に延びて設けられ、フック部182が上板41に対して略直交する方向に位置されたとき、バネ装着部183と反対側の取付片162の当接部162aに当接してフック部材180の取付部材2側への回転が規制される回転規制部184とを備えてなる。
また、フック部182の前方のバネ装着部183側の側部がバネ装着部183上に突出してバネ当接部185として形成されている。このバネ装着部183に、付勢部材であるトーションスプリング165が取り付けられている。トーションスプリング165の一端部がバネ装着部183側の取付片161の当接部161aに当接されていると共に、トーションスプリング165の他端部がフック部182のバネ当接部185に当接されており、フック部材180はフック部182が支持部材3の係合受部7の取付部材2側の端部に当接するように付勢される、すなわち、係合受部7に係合するように付勢されるようになっている。このように構成しても、前述と同様に中折れ現象が発生することなく原稿圧着板12を回転させることができる。
図13〜図18は本発明に係る第2の原稿圧着板開閉装置を示す図である。第2の原稿圧着板開閉装置は、バネ受け部材を利用して中折れ現象を防止するものである。この第2の原稿圧着板開閉装置は、図13〜図18に示すように、中折れ防止手段Cの係合手段6が、支持部材203に移動可能に設けられ、バネ受け部材53と係合してバネ受け部材53の弾性手段5(圧縮コイルスプリング51)側への移動を防止して原稿圧着板12の反転を防止する係合部材261と、この係合部材261をバネ受け部材53と係合する方向に付勢する付勢部材262とを備え、同じく中折れ防止手段Cの係合解除手段9が、支持部材203に移動可能に設けられ、原稿圧着板12を閉成方向に回転させてこの原稿圧着板12が機器本体11の上面に載置した原稿に接触する前に係合部材261を移動させてこの係合部材261とバネ受け部材53との係合を解除させる係合解除部材であることに特徴がある。なお、以下に第2の原稿圧着板開閉装置200について説明するが、前記の第1の原稿圧着板開閉装置1と同一の部分には同一の名称を付しその説明を省略することがある。
支持部材203の上板には、図19に示すように、係合部材261が挿入される矩形状の貫通孔230が設けられている。この貫通孔230の両側の上板231には、例えば頭部が没入された状態で皿ネジ269(図13及び図14参照。)が挿入されるネジ挿入孔236がそれぞれ設けられている。また、リフト部材204の上板には、図14及び図20に示すように、矩形状の貫通孔240が設けられている。この貫通孔240は、リフト部材204が支持部材203に重なり合わされたとき、支持部材203の貫通孔230と対向する位置であって、貫通孔230及び係合部材261がリフト部材204の上板241から目視できるように、支持部材203の貫通孔230より大きな矩形状に形成されている(図14参照。)。
係合部材261は、図13〜図18及び図21に示すように、例えば、矩形状の平板を折り曲げた略コ字状に形成されている。すなわち、係合部材261は、矩形状の平板の一方の端部を略90°に上方に折り曲げると共にその他方の端部を例えば略45°に上方に折り曲げて形成され、これら両端部がそれぞれさらに外側に略90°折り曲げられて係止片261bとして形成されている。この係合部材261の一方の端部を略90°に上方に折り曲げた部分が第1係合部265として形成されると共に、他方の端部を略45°に上方に折り曲げた部分が第2係合部266として形成される。
係合部材261の第1係合部265と第2係合部266との間隔(略コ字部分の長さ)は、支持部材203の貫通孔230の長手方向の長さより短い例えば若干短い寸法で形成されている。係合部材261の係止片261bの先端部間の長さは、貫通孔230の長手方向の長さより長い寸法で形成されている。係合部材261の高さは、この係合部材261を支持部材203の上板231の上面から貫通孔230に挿入して係合部材261の係止片261bを上板231に接触させたとき、係合部材261が支持部材203内の収容部34に突出して第1係合部265とバネ受け部材53とが係合すると共に、取着部材263を支持部材203の上面に取り付けてこの支持部材203にリフト部材204を重ね合わせた状態で、第1係合部265と第2係合部266との間の平板状の基部261aの外面が支持部材203の上板231の内面と略同一平面上に位置されたとき、係止片261bの裏面がリフト部材204の上面と略同一平面上に位置される寸法で形成されていることが好ましい。この係合部材261は、取着部材263によって支持部材203に移動可能に取り付けられている。
取着部材263は、図13〜図18及び図22に示すように、例えば、細長の矩形状の平板の略中央部をコ字状に折り曲げた形状に形成され、支持部材203の上面にその幅方向に延びて取り付けられるものである。この取着部材263のコ字状に折り曲げた箇所がスプリングを収容する凹部267として形成されている。取着部材263の高さ(凹部267の高さ)は、取着部材263を支持部材203の上面に取り付けてこの支持部材203にリフト部材204を重ね合わせたとき、凹部267の上面がリフト部材204の上面と略同一平面上に位置される寸法で形成されていることが好ましい。取着部材263の長手方向の長さは、支持部材203の貫通孔230の幅方向の長さより長い寸法で形成されている。取着部材263の両端部近傍であって支持部材203のネジ挿入孔236と対向する箇所には、ネジ溝を有するネジ取付孔268が設けられている。
係合部材261を支持部材203の上板231の上面から第1係合部265がバネ受け部材53側になるように貫通孔230に挿入した状態で係合部材261が支持部材203から抜け落ちないように、取着部材263を支持部材203上に取り付ける。この取付は、ネジ取付孔268とネジ挿入孔236とを孔合わせして行い、上板231の裏面から例えば皿ネジ269をそれぞれネジ挿入孔236に挿入してネジ取付孔268に螺合させ締め付けることによって、取着部材263が支持部材203上に取り付けられる。これにより、係合部材261が貫通孔230から支持部材203内に突出してバネ受け部材53と係合する係合位置と、係合部材261がバネ受け部材53と係合しない非係合位置との間で係合部材261が移動可能になっている。なお、取着部材263を支持部材203に取り付けて係合部材261を移動可能に支持したが、係合部材261を移動可能に支持できればどのように構成してもよく、また、取着部材263が支持部材203に一体的に形成されているものでもよい。
付勢部材262は、係合部材261をバネ受け部材53と係合する方向、すなわち、支持部材203内に突出する係合位置に付勢するものである。付勢部材262は、例えばコンプレッションスプリング262aであり、取着部材263の凹部267内に2個収容されている。なお、コンプレッションスプリング262aの個数は、2個に限定されず、1個でも3個以上でもよく、また、コンプレッションスプリング内に別の小さなコンプレッションスプリングが入った2個のコンプレッションスプリングを1組又は2組以上凹部267内に収容するようにしてもよい。コンプレッションスプリング262aの一端部は、凹部267の底部に当接していると共に、コンプレッションスプリング262aの他端部は係合部材261の基部261aの内面に当接しており、係合部材261が係合位置に付勢されるようになっている。
係合解除手段9は、開成状態の原稿圧着板12を閉成方向に回転させてこの原稿圧着板12が機器本体11の上面に載置した原稿に接触する前に係合部材261を係合位置から非係合位置に移動させてこの係合部材261とバネ受け部材53との係合を解除させるものであり、特に限定されないが、例えば、カムスライダー52である。すなわち、カムスライダー52は、原稿圧着板12の所定の開成角度範囲外(リフト動作をし得る角度範囲)において係合手段6を解除させて原稿圧着板12の反転を許容させるものでもある。例えば、原稿圧着板12が閉成方向に回転してその回動角度が略45°になると、支持部材203に対してカムスライダー52が後部側から前部側(バネ受け部材53側)に摺動しつつカムスライダー52の前端部が支持部材203の貫通孔230から支持部材203内から突出している係合部材261の第2係合部266に接触する。さらに原稿圧着板12が閉成方向に回転すると、このカムスライダー52が第2係合部266を乗り上げつつ移動して係合部材261をコンプレッションスプリング262aの付勢力に抗してリフト部材204側に移動させて貫通孔230から突出する係合部材261の長さを短くし、原稿圧着板12が機器本体11の上面に載置した原稿に接触するとき又は接触する前に、カムスライダー52が係合部材261上に乗り上げて係合部材261の基部261aの外面と支持部材203の上板231の裏面とが略同一平面上に位置されて係合部材261が非係合位置に位置され、係合部材261とバネ受け部材53との係合が解除されて支持部材203に対して第2ヒンジピン16を軸にリフト部材204が回動し得るように構成されている。係合部材261の形状・長さやカムスライダー52の長さ等を変えることによりリフト部材204が回動し得る回動角度を任意の角度に設定することができる。
このように構成しても、第2の原稿圧着板開閉装置200は、前記の第1の原稿圧着板開閉装置1と同じ作用効果を奏する。すなわち、原稿圧着板12は、機器本体11が使用されていない状態では、図13に示すように、機器本体11のコンタクトガラスに密着されている。コンタクトガラス上に原稿を載置するには、まず、リフト部材204が取り付けられている箇所とは反対側の原稿圧着板12の端部又はその近傍等に設けられている把持部を持って、原稿圧着板12を上方に持ち上げる。すなわち、原稿圧着板12を第1ヒンジピン15を軸にのみ回転させてコンタクトガラス面を外部に露出させる。このように原稿圧着板12を回転させるとき、原稿圧着板12は、圧縮コイルスプリング51の付勢力によって開成方向に回転付勢されているので、重量を感じさせることなく開成方向に回転することができる。
また、閉成状態では、図14に示すように、係合部材261の基部261aがカムスライダー52の外周に当接して係合部材261が貫通孔230から支持部材203内に突出していないので、係合部材261とバネ受け部材53とが係合することがない状態である。この閉成状態から原稿圧着板12が開成方向に回転すると、作動ピン18と受圧ピン17との間隔がその回転に伴って広くなると共に、第1ヒンジピン15より受圧ピン17が下方に位置されているので、支持部材203に対してカムスライダー52が後方側へと摺動することになる。このようにカムスライダー52が移動すると、係合部材261の基部261aがカムスライダー52の外周に当接していた状態からカムスライダー52の先端部が係合部材261の第2係合部266に当接しはじめ(図15参照。)、カムスライダー52が後方側へと移動するに連れて、カムスライダー52の先端部が接触する第2係合部266の位置が徐々に係止片261b側へと移動する。この移動に伴って、係合部材261は、コンプレッションスプリング262aの付勢力により徐々に貫通孔230から支持部材203内へと突出し、そして、カムスライダー52が係合部材261から離間すると、両係止片261bが支持部材203の外面に接触した状態で係合部材261が支持部材203内に突出して係合部材261とバネ受け部材53とが係合し得る状態である係合位置に位置される(図17参照。)。従って、係合部材261とバネ受け部材53とは閉成状態では係合されないが、原稿圧着板12が開成方向に回転する途中で係合部材261とバネ受け部材53とが係合する位置に係合部材261が移動する。
露出したコンタクトガラス面上に原稿を載置した後、持ち上げた原稿圧着板12を降ろす。すなわち、原稿圧着板12をコンタクトガラスと接触する閉成方向に第1ヒンジピン15を軸に回転させて閉成状態にする。このように、原稿圧着板12を回転させる場合、係合部材261とバネ受け部材53とが係合してバネ受け部材53が圧縮コイルスプリング51側へ移動することがないので、リフト部材204は支持部材203に対して第2ヒンジピン16を軸に回転することがないロック状態となって支持部材203と共に動作することになる。よって、リフト部材204(原稿圧着板12)は支持部材203と共に第1ヒンジピン15を軸にのみ回転して、中折れ現象が発生することなく原稿圧着板12を回転させることができる。
また、原稿圧着板12の回動角度が例えば略20°以下になると、原稿圧着板12の重量による原稿圧着板12の下方への回転する力が圧縮コイルスプリング51の付勢力より強くなるので、原稿圧着板12は下方に移動する。原稿圧着板12の回動角度が特定の回動角度例えば略10°になると、ダンパー装置のピストンロッドの先端がカムスライダー52の内面に当接して、ピストンロッドがシリンダ内に移動してピストンロッドの露出長が短くなり、原稿圧着板12の回転速度が低減される。その結果、原稿圧着板12の回転速度がダンパー装置によって制御されるので、原稿圧着板12が勢いよくコンタクトガラスに衝突することがない。
原稿圧着板12が閉成状態になると、原稿が薄い紙である場合には、原稿圧着板12によって原稿をコンタクトガラス上から浮き上がることなく確実にコンタクトガラスに密着させることができるので、原稿を良好に複写等することができる。すなわち、原稿圧着板12とコンタクトガラスとの間に光が入らないように原稿圧着板12がコンタクトガラスに密着されて、原稿を良好に複写等することができる。
また、原稿が本のように厚さが厚い場合、原稿圧着板12を閉成方向に回転させると、この回転途中で、カムスライダー52が係合部材261をコンプレッションスプリング262aの付勢力に抗してリフト部材204側に移動させるので、原稿圧着板12が原稿に接触するとき又は接触する前に、係合部材261とバネ受け部材53との係合が解除されて支持部材203に対して第2ヒンジピン16を軸にリフト部材204が回動し得る状態となる。
すなわち、開成状態では、係合部材261とバネ受け部材53とが係合しているか係合し得る状態である(図17参照。)が、原稿圧着板12が第1ヒンジピン15を軸に閉成方向に回転すると、受圧ピン17が第1ヒンジピン15より下方でかつ前方に位置されているので、作動ピン18と受圧ピン17との間隔がその回転に伴って狭くなって、支持部材203に対してカムスライダー52が前方側(バネ受け部材53)へと摺動することになる。このカムスライダー52の移動により、まず、カムスライダー52の前端部が支持部材203の貫通孔230から支持部材203内に突出している係合部材261の第2係合部266の係止片261bの近傍に接触し(図16参照。)、その後、このカムスライダー52の前端部が第2係合部266上を基部261a側へ移動すると共に、係合部材261がコンプレッションスプリング262aの付勢力に抗してリフト部材204側に移動して貫通孔230から突出する係合部材261の長さが短かくなる。そして、カムスライダー52の前端部が第2係合部266と基部261aとの境に至ると(図15参照。)、係合部材261が貫通孔230内に没入する。すなわち、係合部材261の基部261aの外面と支持部材203の上板231の裏面とが略同一平面上に位置されて、係合部材261が非係合位置に位置される。これにより、バネ受け部材53は、カムスライダー52側に移動可能な状態になり、係合部材261とバネ受け部材53との係合が解除された状態となる。さらにカムスライダー52が移動すると、カムスライダー52は、係合部材261上に乗り上がり係合部材261上を移動する。すなわち、カムスライダー52の外周に係合部材261の基部261aが当接した状態でカムスライダー52が移動する。
このため、係合部材261が非係合位置に位置された後に原稿の支持部材203側の端部又はその近傍に原稿圧着板12の支持部材203の近傍の一部が接触して、原稿14の支持部材203側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板12との間に空間が形成される。すなわち、把持部側の端部の原稿圧着板12は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板12の例えば把持部側の端部近傍をコンタクトガラス側に押圧したり原稿圧着板12の自重により、作動ピン18がバネ受け部材53をカムスライダー52側に押圧して圧縮コイルスプリング51の付勢力に抗してバネ受け部材53がカムスライダー52側に支持部材203内を移動してバネ受け部材53の外周に係合部材261の基部261aの外面が位置されると共に、原稿圧着板12(リフト部材204)が第2ヒンジピン16を軸に回転する。つまり、原稿の上部を覆うように原稿圧着板12が移動する。例えば、その原稿の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板12が面接触する。このときの、本発明に係る原稿圧着板開閉装置200は、図18に示す状態となる。その結果、厚さが厚い原稿が安定してコンタクトガラスに密着されることになる。よって、原稿圧着板12は、原稿の厚さに関係なく原稿を安定してコンタクトガラスに密着することができ、原稿を良好に複写等することができる。
したがって、本発明に係る第2の原稿圧着板開閉装置200及び事務機器10は、中折れ現象が発生することなく原稿圧着板12を回転させることができると共に、原稿の厚さに関係なく原稿を安定して機器本体11の上面に密着させることができ、複写等を良好に行える。
また、係合部材261が非係合位置に位置されているときは、例えば、図14(a)に示すように、カムスライダー52の外周に係合部材261の基部261aの外面が当接していて、係合部材261の係止片261bの裏面がリフト部材204の上面と略同一平面上に位置されると共に、取着部材263を支持部材203の上面に取り付けたときの取着部材263の凹部267の上面がリフト部材204の上面と略同一平面上に位置されるので、支持部材203にリフト部材204を重ね合わせたとき、係合部材261の係止片261b及び取着部材263の凹部267がリフト部材204の上板241の上面から突出することがない。その結果、リフト部材204を原稿圧着板12に係止片261bや凹部267が邪魔になることなく取り付けることができる。また、係合部材261が係合位置から非係合位置に移動するとき、係合部材261の係止片261bがリフト部材204の上面から突出して原稿圧着板12等にあたることがないので、係合部材261の移動を良好に行える。