JP5135659B2 - エネルギー線硬化型樹脂の製造方法およびエネルギー線硬化型樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化物性に優れたエネルギー線硬化型樹脂組の製造方法、および、紫外線、電子線等のエネルギー線に対して高感度で、アルカリ水溶液で現像可能で、硬化膜の耐熱性、硬度、伸度、電気特性に優れ、印刷配線基板用ソルダーレジスト等の永久保護マスク等の用途に最適なエネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシアクリレート樹脂は、不飽和エポキシエステル樹脂またはビニルエステル樹脂とも呼ばれ、耐熱性、耐薬品性、密着性、機械特性が他のアクリルオリゴマー類に比べ優れるため、各種コーティング材料、構造材料、配線基板のソルダーレジスト用等として広く用いられている。
【0003】
特にソルダーレジストに関しては、基板情報量の増加につれてパターンの細密化が嘱望されており、写真製版法によるソルダーレジストが用いられている。この手法としては、未露光部インキを溶剤や希アルカリ液で現像する方法があるが、コストや溶剤の公害問題で、希アルカリ液現像が主流となっている。
【0004】
これらの希アルカリ現像型ソルダーレジストとしては、エポキシアクリレート樹脂の水酸基に酸無水物を反応させてカルボキシル基をペンダント化させた、いわゆる酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂が主成分である。
【0005】
例えば、特開平5−339356号公報には、ビスフェノール型エポキシ(含フルオレン)アクリレートの水酸基と酸無水物とを反応させた化合物を主体とした組成物が開示されている。このエポキシアクリレートを合成する際、.エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数と(メタ)アクリル酸のモル数の比は当量であるため、得られたエポキシアクリレート樹脂の第2級水酸基と酸無水物とを反応させることになる。一般に第2級水酸基の反応性は乏しく、酸無水物の開環反応から生成するカルボキシル基と第2級水酸基との直接エステル化は困難であるため、前記反応を行うためには、触媒活性の高いハロゲン系イオン性強塩基触媒などを使用する必要がある。これらの触媒は系中に残存するため、得られた酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂にエポキシ樹脂等を硬化剤として配合させたレジストエネルギー線硬化型樹脂組成物は、ポットライフが極めて短く、ハロゲン系イオン性物質の混入による電気特性等物性の低下があるという課題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記の課題に鑑み、ハロゲン系触媒等の使用量の低減や、非ハロゲン系触媒の使用等のような緩和な条件下でも製造することが可能で、塗膜中に残存するハロゲン系イオン性物質の低減に有用であり、かつレジスト用組成物として基本的な性能に優れ、かつ靭性等の物性を大幅に向上しうるエネルギー線硬化型樹脂の製造方法、およびエネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、2官能性エポキシ樹脂(a1)、(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)および(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)を、下記式(1)と(2)をいずれも満足させる割合で用いると、基本的にエポキシ基とカルボン酸との反応により水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物を製造することができるため、ハロゲン系触媒等のような強塩基触媒等の低減や非ハロゲン系触媒への変更が可能で、精度良く製造できること、ジカルボン酸(a3)はエポキシアクリレートの鎖伸長剤としての役割を果たすため、比較的低分子のエポキシ樹脂を出発原料とすることが可能であること、しかも、得られたエポキシアクリレート化合物中の水酸基と酸無水物とを反応させて得られる分子中にカルボン酸をペンダントした構造のエネルギー線硬化型樹脂(I)を、エポキシ化合物(II)と共に含有させたエネルギー線硬化型樹脂組成物は、レジスト用エネルギー線硬化性樹脂組成物として基本的な性能に優れ、かつ靭性等の物性を大幅に向上しうること等を見い出した。
0.9na1<na2+na3<1.1na1 (1)
0.2<na2/na3<4.0 (2)
〔ただし、式中、na1はエポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕
【0008】
一般的なエポキシ樹脂の製造は、各種フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの脱塩酸反応により行うが、高分子のエポキシ樹脂の製造においては、こうしたエピクロルヒドリン反応時の閉環や洗浄工程で高純度のエポキシ樹脂を製造することが困難である。よって樹脂内に加水分解性塩素や閉環出来なかった水酸基成分等を含有する事となり、レジスト硬化膜にハロゲン系イオン性物質を含有することになるため物性的に問題が生じる。こうした理由によりレジスト用に使用されるエポキシ樹脂出発原料は、低分子のエポキシ樹脂の方が高純度であり好ましい。しかしながら、低分子エポキシ樹脂から合成されたエポキシアクリレートは、溶剤乾燥後にタック(粘着性)を生じ使用は難しいものである。溶剤乾燥後のタック性は、紫外線等の露光時に使用されるネガフィルムの張り付き、汚れあるいは作業性に影響を与え、重要な性能であり、基本的にタックフリーであることが好ましい。
【0009】
本発明においては、こうした低分子エポキシ樹脂の使用によっても、ジカルボン酸(a3)による鎖伸長反応を経由することでかかる問題点を克服することが可能となる。また、一般的なノボラックタイプのエポキシを出発原料としたエポキシアクリレートに比較して分子の構造がリニアーに成長する為、硬化後の物性も良好であり特に靭性の面で大きな効果を示す。
【0010】
また、この鎖伸長反応は、ジカルボン酸(a3)のカルボキシル基とエポキシ基の反応により行われる為、緩和な条件下で製造することが可能である。このことは、副反応の抑制や再現性の面、さらに強い活性の触媒の使用することなく製造が可能であるため、さらにメリットを有している。
【0011】
また、この鎖伸長剤となるジカルボン酸(a3)は、(メタ)アクリロイル基を含有する構造を有することで露光時の感度、解像性等の向上に効果を示す。特に(メタ)アクリロイル基を1〜6個含有するジカルボン酸(a31)とアクリロイル基を含有しないジカルボン酸(a32)とを併用することにより、感度と、硬化物の機械的物性や現像性のバランスをとることが可能で、さらに有効である。
【0012】
すなわち、本発明は、2官能性エポキシ樹脂(a1)、(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)および(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)を必須成分として、下記式(1)と(2)をいずれも満足させる割合で用いて、触媒の存在下で反応させて得られた水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)と、酸無水物(B)とを反応させることを特徴とする、エネルギー線硬化型樹脂の製造方法を提供するものである。
0.9na1<na2+na3<1.1na1 (1)
0.2<na2/na3<4.0 (2)
〔ただし、式中、na1はエポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕
【0013】
また、本発明は、2官能性エポキシ樹脂(a1)、(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)と、(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)とを必須成分として、下記式(1)と(2)をいずれも満足させる割合で用いて、触媒の存在下で反応させて得られた水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)、および、酸無水物(B)を反応させてえられたエネルギー線硬化型樹脂(I)と、エポキシ化合物(II)とを含有することを特徴とする、エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
0.9na1<na2+na3<1.1na1 (1)
0.2<na2/na3<4.0 (2)
〔ただし、式中、na1はエポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる2官能性エポキシ樹脂(a1)は、分子内にエポキシ基を2個以上有するものであり、その代表例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシレノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性のエポキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するナフトール類やこれらのノボラック体をエポキシ化して得られるナフタレン骨格のエポキシ樹脂;多価カルボン酸のグリシジルエステル型樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレートやその誘導体;ポリグリシジル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有不飽和モノマーと他の不飽和モノマーとの共重合体等を挙げるころができ、所望する要求性能により、これらエポキシ樹脂を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0015】
前記2官能性エポキシ樹脂(a1)としては、なかでも、エポキシ当量が140〜250gグラム/当量(g/eq)の範囲であるものが、合成時の再現性、現像性、硬化物性の面でより特に好ましく、下記一般式で示されるビスフェノール型のエポキシ樹脂やこれらの水素添加物がより好ましい。
一般式(3)
【化1】
(式中R1、R2は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Xは、単結合又は、−CO−、−SO2−、−C(CF3)2−、−Si(CH3)2−、−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、又は下記構造式(4)を示し、nは、0〜10の整数である。)
構造式(4)
【化2】
【0016】
さらに好ましいエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびこれらの水素添加物が挙げられ、なかでもこれらエポキシ樹脂のエポキシ当量が、170〜250gグラム/当量(g/eq)の範囲であるものが特に好ましい。
【0017】
本発明で用いる(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸が好ましく、あるいは、これらのダイマー酸やトリマー酸が使用できる。さらに(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物と酸無水物との反応により得られる化合物が使用できる。これらのモノカルボン酸は1種、またはそれ以上で使用できる。
【0018】
前記モノカルボン酸(a2)の原料として用いられる(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のポリオールと(メタ)アクリル酸とエステル化して得られる化合物で水酸基を分子中に持っている化合物;分子内にエポキシ基を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、上記水酸基と(メタ)アクリレート基を有する化合物にεカプロラクトン等の環状ラクトンを反応させたもの、上記水酸基と(メタ)アクリレート基を有する化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等環状エーテル化合物を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。
【0019】
また、前記モノカルボン酸(a2)の原料として用いられる酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、4−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸等を挙げることができる。
【0020】
本発明で用いる(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)は、(メタ)アクリロイル基と2個のカルボキシル基とを有する化合物を必須のジカルボン酸成分として含有するものであり、更に必要により他のジカルボン酸、例えば(メタ)アクリロイル基を有しないジカルボン酸等を含有していても良い。前記ジカルボン酸(a3)としては、なかでも、(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸として(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸(a31)を含有するジカルボン酸であることが好ましい。さらに、このジカルボン酸(a31)としては、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物と、トリカルボン酸無水物および/またはテトラカルボン酸無水物とを反応させて得られるジカルボン酸であって、(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸(a31′)が好ましく、このカルボン酸(a31′)のなかでは、(メタ)アクリロイル基を2〜6個有するジカルボン酸が特に好ましい。
【0021】
前記(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のポリオールと、(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させて得られる化合物で水酸基を有する化合物;分子内にエポキシ基を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、これら(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物にε−カプロラクトン等の環状ラクトンを反応させて得られる化合物、これら(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物を反応させて得られる化合物等が挙げられる。
【0022】
また、トリカルボン酸無水物としては、例えば、無水トリメリット酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等のトリカルボン酸の無水物が挙げられる。
【0023】
さらに、テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2′,3,3′−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物 、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1′−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1′−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2′−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物等の芳香族有機基を有するテトラカルボン酸の無水物が挙げられる。これらは、それぞれ単独又は2種以上で用いることが可能である。 また、トリカルボン酸の無水物とテトラカルボン酸の無水物は、これらを混合して使用してもよい。
【0024】
前記(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸(a31′)は、例えば、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物および/またはテトラカルボン酸無水物の酸無水基を50〜140℃の温度で反応させることにより得ることが可能である。このとき水酸基と酸無水基の使用比率は、酸無水基が残存せず、以後に行うエポキシ基との反応中にゲル化や副反応により分子量分布が広くなならずに現像性等を良好に保ち、また、系中の(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物の未反応成分を無くし、溶剤仮乾燥後のタック性を良好に保つため、水酸基と酸無水基のモル比(OH/酸無水基)が0.8〜1.4となる範囲内で反応を行うことが好ましい。
【0025】
(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸(a31′)の具体例としては、ヒドロキシエチルアクリレートとトリメリット酸無水物のハーフエステル化物、ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリメリット酸無水物のハーフエステル化物、ヒドロキシエチルアクリレート2モルとピロメリット酸二無水物の開環エステル化物、ペンタエリスリトールトリアクリレートとピロメリット酸二無水物の開環エステル化物であって、(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸が挙げられる。
【0026】
また、本発明で用いる(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)としては、(メタ)アクリロイル基を1〜6有するジカルボン酸(a31)と(メタ)アクリロイル基を有さないカルボン酸(a32)とを併用してなるジカルボン酸であることが、靱性に優れる硬化物が得られることから好ましく、なかでも、感度と靭性のバランスに優れ、かつ現像性等においても良好な性能を示すことから、ジカルボン酸(a31)中の全カルボキシル基のモル数(na31)とジカルボン酸(a32)中の全カルボキシル基のモル数(na32)の比(na31/na32)が1〜10となる範囲であることが更に好ましく、1〜10となる範囲であることが最も好ましい。
【0027】
前記(メタ)アクリロイル基を有さないジカルボン酸(a32)としては、例えば、コハク酸、フマル酸、フタル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、さらに前記したようなトリカルボン酸無水物やテトラカルボン酸無水物にモノアルコール化合物を反応させて得られるジカルボン酸等が挙げられる。ここでいうモノアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ペンタノール等のアルキルアルコール;フェノール、クレゾール、アルキルフェノール等のフェノール化合物をエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキサイドにて変性を行った水酸基を1個有する化合物等が挙げられる。
【0028】
また、前記ジカルボン酸(a3)としては、本発明の奏する効果を損ねない範囲で、その一部として酸無水物を少量併用することもできるが、通常は併用しないことが好ましい。
【0029】
本発明で用いる水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)の製造は、2官能性エポキシ樹脂(a1)と、(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)および(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸(a3)とを、触媒の存在下で、同時に反応させても、逐次に行っても良い。
【0030】
前記エポキシ樹脂(a1)と、前記モノカルボン酸(a2)およびジカルボン酸(a3)との反応は、エポキシ樹脂(a1)のエポキシ基と、モノカルボン酸(a2)およびジカルボン酸(a3)中のカルボキシル基との反応であり、穏和な条件で比較的定量的にエステル化反応が進行する。不飽和モノカルボン酸(a2)は、カルボン酸を1個有しているので分子成長のストッパーとして機能し、またジカルボン酸(a3)は、分子をつなぐ鎖伸長剤として機能する。
【0031】
この反応は、エポキシ樹脂(a1)と、モノカルボン酸(a2)およびジカルボン酸(a3)とを、下記式(1)と(2)のいずれも満足することが必須である。
0.9na1<na2+na3<1.1na1 (1)
0.2<na2/na3<4.0 (2)
〔ただし、式中、na1はエポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕
【0032】
モノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数と、ジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数の和は、エポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数の0.9〜1.1倍である。
【0033】
モノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数と、ジカルボン酸(a3)中の全カルボン酸のモル数の和が、エポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数の0.9倍より小さい場合は、反応終了後もエポキシ基が残存し、安定性等に悪影響を及ぼすし、また、1.1倍より大きい場合は、酸が残存し、臭気や安定性等に悪影響を及ぼすため、それぞれ好ましくない。
【0034】
また、前記式(2)において、モノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数(na2)とジカルボン酸(a3)中の全カルボン酸のモル数(na3)との比(na2/na3)は、0.2〜4.0の範囲内である。
【0035】
モル比(na2/na3)が、0.2より小さい場合は、水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)の分子量が大きくなりすぎて現像性や乾燥管理幅が短くなるため、好ましくない。また、モル比(na2/na3)が、4.0より大きい場合は、水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)の分子成長が行われず、溶剤の仮乾燥後のタック性に問題を生じ、好ましくない。モル比(na2/na3)は、なかでも、0.3<na2/na3<3であることが現像性、乾燥管理幅、タックの面で好ましく、0.8<na2/na3<2であることが特に好ましい。
【0036】
反応温度は、70〜170℃の範囲で行うことができ、なかでも80〜160℃の範囲内で行うことが、副反応の低減、分子量分布の制御、反応時間の面で特に好ましい。
【0037】
また、製造時においては、触媒を用いるが、物性が損なわなれない範囲で重合禁止剤や酸化防止剤等の安定剤を使用しても良い。触媒としては、非ハロゲン系触媒、またはエポキシ樹脂(a1)とモノカルボン酸(a2)とジカルボン酸(a3)の全仕込量に対して10〜3,000ppmの範囲で少量のハロゲン系触媒を使用することができ、なかでも、非ハロゲン系触媒を使用することが好ましい。
【0038】
前記非ハロゲン系触媒が好ましく、例えば、トリエチルアミン、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン系触媒;テトラメチルアンモニュウムハイドロオキサイド;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系触媒;ジアザビスシクロウンデセン等の窒素化合物系触媒;トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリス(2,6−メトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系触媒;テトラ−n−ブチルホスホニウムハイドロオキサイド等のホスホニウム塩系触媒;ナフテン酸クロムなどの金属塩系触媒等の各種触媒が使用できる。このうちホスフィン系触媒、ホスホニウム塩系触媒等のリン系触媒が好ましく、なかでもホスフィン系触媒が特に好ましい。これら非ハロゲン系触媒の使用量としては、エポキシ樹脂(a1)とモノカルボン酸(a2)とジカルボン酸(a3)の全仕込み量に対して10〜10,000ppmが適性な量である。
【0039】
また、ハロゲン系触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチュウム等の無機触媒;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類;テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類等が挙げられる。
【0040】
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ターシャリブチルハイドロキノン、2−6−ジターシャリブチル−4−メトキシフェノール、銅塩、フェノチアジン等が挙げられる。
【0041】
酸化防止剤としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸エステル類、亜リン酸ジエステル類等が挙げられる。
【0042】
本発明で用いる水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)の分子量は、溶剤乾燥後のタック性や機械物性を良好にし、現像性を適性なものにするため、ポリスチレン換算の数平均分子量で1,000〜20,000の範囲内、ポリスチレン換算の重量平均分子量で2,000〜40,000の範囲内であることが好ましい。
【0043】
こうして得られた水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)と酸無水物(B)とを反応させて目的とするエネルギー線硬化型樹脂(I)を製造することができる。
【0044】
ここで用いる酸無水物(B)としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、4−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、無水メチルナジック酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0045】
エネルギー線硬化型樹脂(I)の製造方法としては、例えば、水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)中の水酸基1モルに対して0.15モル以上、好ましくは、0.3〜0.95モルの酸無水物(B)を、常温から130℃、好ましくは50〜110℃で反応させてペンダントエステル化する方法が挙げられる。ここで水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)中の水酸基は、エポキシ樹脂(a1)に含まれる水酸基と、モノカルボン酸(a2)とジカルボン酸(a3)中の全カルボン酸の反応したモル数の和のモル数となる。また、水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)の酸価としては、30〜120mgKOH/gの範囲となることが好ましく、なかでも40〜100mgKOH/gとなることが現像性や硬化物性の点で特に好ましい。
【0046】
水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)中の水酸基と酸無水物(B)中の酸無水基との反応終点は、赤外分光スペクトル1770cmー1および1850cmー1の酸無水物ピークが消失することで確認することが可能である。
【0047】
かかる製造方法によって得られるエネルギー線硬化型樹脂(I)の分子量は、溶剤乾燥後のタック性や機械物性を良好にし、現像性を適性なものにするため、ポリスチレン換算の数平均分子量で1,500〜20,000の範囲内、ポリスチレン換算の重量平均分子量で2,500〜40,000の範囲内であることが好ましい。
【0048】
更に、前記エネルギー線硬化型樹脂(I)は、紫外線露光、現像後によるパターン作成後、エネルギー線硬化型樹脂(I)中のカルボキシル基と反応し得る、エポキシ化合物(II)を組成物に存在させることにより、機械物性や耐熱物性等が向上した、レジスト用として好適な、エネルギー線硬化型樹脂組成物とすることができる。
【0049】
エポキシ化合物(II)は、エポキシ基を有する化合物であればよく、特に制限されないが、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましく、その代表的な例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多価カルボン酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート樹脂、ジシクロペンタジエン変成エポキシ樹脂、ナフタレン骨格のエポキシ樹脂、キシレノールから誘導されたエポキシ樹脂、フェノールアラルキルエポキシ樹脂やナフタレンアラルキルエポキシ樹脂、その他ザイロック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0050】
前記エポキシ化合物(II)は、単独でも2種以上を併用してもよい。その使用量に特に制限はないが、エネルギー線硬化型樹脂組成物の固形分100重量部に対して、5〜300重量部となる範囲が好ましく、なかでも10〜100重量部となる範囲が特に好ましい。
【0051】
さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、反応促進のため、エポキシ硬化促進剤を添加することができる。
【0052】
エポキシ硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物類、イミダゾール化合物類、ジアルキル尿素類、カルボン酸類、フェノール類、メチロール基含有化合物類などの各種のエポキシ硬化促進剤を挙げることができる。これらの硬化促進剤は、塗膜を後加熱することにより、エネルギー線硬化成分の重合を促進すると共に、エポキシ化合物とエネルギー線硬化型樹脂中のカルボキシル基との反応およびエポキシ化合物同士の反応を通してレジスト被膜の諸物性を向上せしめることができる。
【0053】
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物には、紫外線照射により硬化を行う際、光重合開始剤、光増感剤を使用することができる。
【0054】
光重合開始剤としては、各種の光重合開始剤を用いることができ、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキシアセトフェノン、ベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4ージアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体、ベンゾインアルキルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェノイルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アルミアントラキノン等にアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、キサントン類等が挙げられる。
【0055】
光重合開始剤の使用量は、通常、エネルギー線硬化型樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.2〜30重量部となる範囲であり、好ましくは2〜20重量部となる範囲である。かかる光重合開始剤は、一種あるいは二種以上と組み合わせて用いることもできる。
【0056】
本発明のエネルギー線硬化型脂組成物には、硬化膜の物性の改質、硬化性の改良、塗装適性の改質等の目的で、その他の光重合性化合物を併用することもできる。用いられる光重合性化合物は、特に制限はなく、各種の光重合性ビニル単量体やオリゴマーを用いることができるが、代表的な例としては、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー類;多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−またはそれ以上のポリエステル(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー類などを挙げることができる。
【0057】
本発明では、樹脂を合成する上での攪拌効率の向上や、粘度の低減、ハンドリング性やアプリケーション適性の改良の為に有機溶剤を使用することができる。
【0058】
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトールなどのカルビトール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどのエーテル系溶剤や酢酸エステル類等が挙げられる。
【0059】
前記のような光重合性化合物および/または有機溶剤は、単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。その使用量の好ましい範囲は、エネルギー線硬化型樹脂組成物の固形分100重量部に対して5〜300重量部となる範囲が好ましく、より好ましくは10〜200重量部となる範囲である。
【0060】
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物には、更に必要に応じて、硫酸バリウム、酸化ケイ素、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の各種の充填剤、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の各種の着色用顔料、消泡剤、密着性付与剤、レベリング剤、スリップ剤等を加えてもよい。
【0061】
本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、レジスト用エネルギー線硬化型樹脂組成物として好適であり、各種基材に塗布することにより、被膜を形成せしめることができる。基材としては、例えば、プリント配線基板などがあり、この上に本組成物をスクリーン印刷法、ロールコーター法、カーテンコーター法、スプレーコーター、スピンコーター等などにより全面に塗布し、エネルギー線を照射して必要部分を硬化後、希アルカリ水溶液で未露光部分を溶かし去り、更に熱による後硬化を加えることにより、目的とする被膜を形成せしめることができる。また、溶剤等を含有する場合は、エネルギー線の照射前に溶剤乾燥を行っても良い。
【0062】
本発明でいうエネルギー線とは、電子線、α線、γ線、X線、中性子線、紫外線のごとき、電離放射線や光などを総称するものである。
【0063】
エネルギー線の照射光源としては、紫外線を使用する場合は、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が適当であり、その他レーザー光線なども硬化用のエネルギー線として利用できる。
【0064】
【実施例】
次に、本発明を実施例および応用例により、一層具体的に説明するが、以下において、部および%は、特に断りのない限り、全て重量基準であるものとする。
【0065】
実施例1
温度計、攪拌器および環流冷却器を備えたフラスコに、無水トリメリット酸153.6部と、ヒドロキシエチルアクリレート92.8部を仕込み、100℃でハーフエステル化反応(水酸基と無水酸との開環エステル化)を5時間行った。この時、系の酸価は182mgKOH/gであった。さらに、この中にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を入れ、イソフタル酸33.2部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量188;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン850)752部を添加し、重合禁止剤としてハイドロキノン1部を加えた後、アクリル酸144部とトリフェニルホスフィン2部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.3mgKOH/g、エポキシ当量は41,000g/eqであった。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート466.3部と、テトラヒドロ無水フタル酸379部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(X1)を得た。この樹脂溶液の酸価は63.4mgKOH/g(樹脂固形分の酸価90.2mgKOH/g)であった。
【0066】
実施例2
実施例1と同一実験装置に、無水トリメリット酸76.8部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価=119.9mgKOH/g)187.2部を仕込み、100℃でハーフエステル化反応(水酸基と無水酸との開環エステル化)を5時間行った。この時、系の酸価は85mgKOH/gであった。さらにこの中にエチルカルビトールアセテート200部を入れ、イソフタル酸33.2部と、テレフタル酸33.2部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量188;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン850)752部を添加し、重合禁止剤としてハイドロキノン1部を加えた後、アクリル酸172.8部と、トリフェニルホスフィン2部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.1mgKOH/g、エポキシ当量は35,000g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート511.4部と、テトラヒドロ無水フタル酸404.8部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(X2)を得た。この樹脂溶液の酸価は63.0mgKOH/g(樹脂固形分の酸価90.0mgKOH/g)であった。
【0067】
実施例3
実施例1と同一実験装置に、無水トリメリット酸153.6部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価119.9mgKOH/g)374.4部を仕込み、100℃でハーフエステル化反応(水酸基と無水酸との開環エステル化)を5時間行った。この時、系の酸価は85mgKOH/gであった。この中にエチルカルビトールアセテート200部を入れ、さらにビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量171;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン830)684部を添加し、重合禁止剤としてハイドロキノン1部を加えた後、アクリル酸172.8部と、トリフェニルホスフィン2部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.1mgKOH/g、エポキシ当量は29,000g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート584.9部と、テトラヒドロ無水フタル酸446.6部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(X3)を得た。この樹脂溶液の酸価は63.0mgKOH/g(樹脂固形分の酸価90.0mgKOH/g)であった。
【0068】
実施例4
実施例1と同一実験装置に、エチルカルビトールアセテート200部と、無水ピロメリット酸87.2部と、ヒドロキシエチルアクリレート92.8部を仕込み、100℃でハーフエステル化反応(水酸基と無水酸との開環エステル化)を5時間行った。この時、系の酸価は118.1mgKOH/gであった(樹脂固形分の酸価は249.3mgKOH/g)。この中にイソフタル酸99.6部と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量171;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン830)478.8部と、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビフェニルジオールをエピクロルヒドリンにてエポキシ化してなるテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量185;油化シェル化学社製エピコートYX4000)222部を添加し、重合禁止剤としてハイドロキノン1部を加えた後、アクリル酸144部と、トリフェニルホスフィン2部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.1mgKOH/g、エポキシ当量は19,000g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート367.9部と、無水コハク酸200.8部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(X4)を得た。この樹脂溶液の酸価は59.5mgKOH/g(樹脂固形分の酸価85.0mgKOH/g)であった。
【0069】
実施例5
実施例1と同一実験装置に、無水トリメリット酸を153.6部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価119.9mgKOH/g)374.4部を仕込み、100℃でハーフエステル化反応(水酸基と無水酸との開環エステル化)を5時間行った。この時、系の酸価は85mgKOH/gであった。この中にエチルカルビトールアセテート387部と、シクロヘキサンジカルボン酸35部を入れ、さらに水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量210;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロンEXA−7015)840部を添加し、重合禁止剤としてハイドロキノン1部を加えた後、アクリル酸144部と、トリフェニルホスフィン2部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.9mgKOH/g、エポキシ当量は22,000g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート486部と、テトラヒドロ無水フタル酸490部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(X5)を得た。この樹脂溶液時の酸価は62.0mgKOH/g(樹脂固形分の酸価88.0mgKOH/g)であった。
【0070】
比較例1
温度計、攪拌器および環流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量188;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン850)376部を仕込み、重合禁止剤としてハイドロキノン0.5部を加えた後、アクリル酸144部と、トリフェニルホスフィン2部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.5mgKOH/g、エポキシ当量は38,600g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート229.2部と、テトラヒドロ無水フタル酸167.7部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(RX1)を得た。この樹脂溶液の酸価は67.2mgKOH/g(樹脂固形分の酸価89.5mgKOH/g)であった。
【0071】
比較例2
温度計、攪拌器および環流冷却器を備えたフラスコに、エチルカルビトールアセテート356部を入れ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量640;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン2055)1280部を溶解し、重合禁止剤としてハイドロキノン1.3部を加えた後、アクリル酸144部と、トリフェニルホスフィン5部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で12時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.5mgKOH/g、エポキシ当量は51,100g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート423.2部と、テトラヒドロ無水フタル酸394.1部を加え、100℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(RX2)を得た。この樹脂溶液の酸価は56.3mgKOH/g(樹脂固形分の酸価80.5mgKOH/g)であった
【0072】
比較例3
温度計、攪拌器および環流冷却器を備えたフラスコに、エチルカルビトールアセテート356部を入れ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量640;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン2055)1280部を溶解し、重合禁止剤としてハイドロキノン1部を加えた後、アクリル酸288部と、トリフェニルホスフィン5部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃に昇温し反応を行ったが、約6時間でゲル化した。
【0073】
比較例4
温度計、攪拌器および環流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量188;大日本インキ化学工業株式会社製エピクロン850)188部を溶解し、重合禁止剤として2,6−ジイソブチルフェノール0.1部を加えた後、アクリル酸72部と、トリエチルベンジルアンモニュウムクロライド0.45部を添加し、空気を吹き込みながら、120℃で10時間エステル化反応を行った。この時、系の酸価は0.5mgKOH/g、エポキシ当量は23,200g/eqであった。その後、エチルカルビトールアセテート203.8部と、テトラヒドロ無水フタル酸38部と、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5部と、臭化テトラエチルアンムニュウム1部を加え、115℃で5時間反応させて、エネルギー線硬化型樹脂溶液(RX4)を得た。この樹脂溶液の酸価は55.9mgKOH/g(樹脂固形分の酸価86mgKOH/g)であった。
【0074】
実施例、比較例により得られた樹脂の特数値を第1表、第2表に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
第1表および第2表の脚注
・(a1) :2官能性エポキシ樹脂。 表中の数値はエポキシ基の仕込みモル数
・(a2) :(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸。表中の数値はカルボン酸の仕込みモル数。
・(a3) :(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸。表中の数値はカルボキシル基の仕込みモル数。
・(a31) :(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸。表中の数値はカルボキシル基のモル数。
・(a32) :(メタ)アクリロイル基を有さないジカルボン酸。表中の数値はカルボキシル基のモル数。
・(a′) :鎖伸長成分として使用される多塩基酸無水物。
・(B) :酸無水物。表中の数値は酸無水物のモル数。
・BPA1 :ビスフェノールA型エポキシ樹脂。エポキシ当量188g/eq
・BPA2 :ビスフェノールA型エポキシ樹脂。エポキシ当量640g/eq
・BPF1 :ビスフェノールF型エポキシ樹脂。エポキシ当量171g/eq
・TMBP :テトラメチルビフェニルジオール型エポキシ樹脂。エポキシ当量185g/eq
・H12BPA :水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂。エポキシ当量210g/eq
・AA :アクリル酸
・TM-HE :無水トリメリット酸とヒドロキシエチルアクリレート反応物。
・TM-PE :無水トリメリット酸とペンタエリスリトールトリアクリレート反応物。
・PM-HE :無水ピロメリット酸とヒドロキシエチルアクリレート反応物。
・IPA :イソフタル酸
・TPA :テレフタル酸
・CHDA :シクロヘキサンジカルボン酸
・THPA :テトラヒドロ無水フタル酸
・SAN :無水コハク酸
・モル比 :各原料成分の使用割合を、各原料中のエポキシ基とカルボキシル基の割合をモル比で示したもの。(na2+na3)/na1は、エポキシ樹脂(a1)の全エポキシ基のモル数na1に対する、モノカルボン酸(a2)とジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基の合計モル数(na2+na3)の比を示すものであり、実施例ではすべて0.9〜1.1の範囲によって合成を行っている。同様に(na2/na3)は、ジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数na3に対する、モノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数na2の比を、(na31/na32)は、ジカルボン酸(a3)中における(メタ)アクリロイル基を有さないジカルボン酸(a32)中の全カルボキシル基のモル数na32に対する、(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸(a31)中の全カルボキシル基のモル数na31の比を示す。
・分子量 :GPC(WATERS社製 MILLENNIUM32-J SYSTEM、THF溶媒40℃)でポリスチレン換算による分子量分布測定により算出した数平均分子量及び重量平均分子量。
【0078】
実施例6〜10および比較例5〜7
実施例1〜5および比較例1、2、4から得られた樹脂溶液(X1〜X5、RX1、RX2、RX4)について、下記の組成でレジストインキ用エネルギー線硬化型樹脂組成物を調製した。
樹脂溶液(X1〜X5、RX1、RX2またはRX4) 45部
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EE214) 10部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 4部
イルガキュア907(チバガイギー社製、光重合開始剤) 6部
硫酸バリウム 34.5部
フタロシアニングリーン 0.5部
【0079】
<評価方法>
樹脂溶液(X1〜X5、RX1、RX2、RX4)のそれぞれについて、調製したレジストインキ用エネルギー線硬化型樹脂組成物を以下の方法で塗装、評価を行った。結果を第3表と第4表に示す。
【0080】
(1)指触乾燥性1
各レジストインキ用エネルギー線硬化型樹脂組成物を、ガラスエポキシ基板に100メッシュのスクリーンでのべた印刷して、乾燥後の膜厚が40μmの塗膜を有する試料を得、この試料の80℃で30分間乾燥直後の塗膜を指触時のタック性を下記基準で評価した。
○:タックなし。
△:タック若干あり。
×:タック性あり。
【0081】
(2)指触乾燥性2
前記指触乾燥性1と同様にスクリーン印刷して得た試料を、80℃で30分間乾燥し、次いで塗膜上にフォトマスク:PCW UGRA82(UGRA社製)を乗せ、高圧水銀ランプを用い500mj/cm2の紫外線を照射した後、感度評価用のステップタブレット(コダック社製 ステップタブレットNo.2)を剥離する時に発生するタックを、下記の基準で評価した。
○:タック感なく、ステップタブレットが容易に剥離可能。
△:タック感若干あり。ステップタブレットが引っかかるが剥離可能。
×:タック性あり。ステップタブレットにインキが付着し剥離し難い。
【0082】
(3)現像性
前記指触乾燥性1と同様にスクリーン印刷して得た試料を、80℃の乾燥器中に30分放置して溶剤を揮散させた後、30℃の1%炭酸ソーダ水溶液に60秒間浸漬し、基板上に残存する度合いを下記の基準で評価した。
○:基板上の塗膜が全く残っていない。
△:基板上の塗膜が一部残存する。
×:基板上の塗膜が溶解せず、ほとんど残存する。
【0083】
(4)レジストインキの感度測定
前記指触乾燥性1と同様にスクリーン印刷して得た試料を、80℃の乾燥器中に30分放置して溶剤を揮散させ、塗膜上にステップタブレットNo.2(コダック株式会社製)を乗せ、高圧水銀ランプを用い125mj/cm2 、250mj/cm2、500mj/cm2の紫外線を照射した後、30℃の1%炭酸ソーダ水溶液に60秒浸漬し、ステップタブレット法で評価を行った。表中の数字はステップタブレットの段数を示し、数字が大きい程硬化性(感度)が優れていることを示す。125mj/cm2の照射条件では1段以上、250mj/cm2の条件では3段以上、500mj/cm2の条件では5段以上が合格である。
【0084】
(5)解像性
前記指触乾燥性1と同様にスクリーン印刷して得た試料を、80℃の乾燥器中に30分放置して溶剤を揮散させ、塗膜上にフォトマスク:PCW UGRA82(UGRA社製)を乗せ、高圧水銀ランプを用い500mj/cm2の紫外線を照射した後、30℃の1%炭酸ソーダ水溶液に60秒浸漬し、残存線幅と溶解線幅の最小値で評価した。
【0085】
(6)溶剤乾燥時の安定性試験(乾燥管理幅)
基板としてブリキ板を用いた以外は前記指触乾燥性1と同様にスクリーン印刷して得た試料を、90℃の乾燥器中に30分間、40分間、50分間放置して溶剤を揮散させた後、30℃の1%炭酸ソーダ水溶液に60秒浸積して現像し、溶剤乾燥時の安定性を目視にて下記基準で評価した。
○:基板上の塗膜が全く残っていない。
△:基板上の塗膜が一部残存する。
×:基板上の塗膜が溶解せず、ほとんど残存する。
【0086】
(7)機械物性
基板としてブリキ板を用いた以外は前記指触乾燥性1と同様にスクリーン印刷して得た試料を、90℃の乾燥器中に30分乾燥した後、紫外線を500mj/cm2照射し、さらに150℃で1時間硬化を行い、得られた試料を基板から剥離して1cm幅で7cm長の短冊に切断し、引っ張り試験を行った。環境温度は23℃で53RH%であった。尚、チャック間は10mmとし、引っ張り速度は10mm/minで測定を行った。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
第3表では、実施例1〜5で合成したエネルギー線硬化型樹脂溶液X1〜X5を用いて調整されたレジスト用組成物の評価結果を示す。また、第4表では、比較例1、2、4で合成したエネルギー線硬化型樹脂溶液RX1、RX2、RX4を用いて調整されたレジスト用組成物の評価結果を示す。なお、比較例3ではゲル化した為、組成物の評価はできなかった。実施例の組成物は、指触乾燥性ですべての配合物が良好な結果を示した。また、現像性についても良好な結果であった。さらに感度に関しては、合格のレベルにあった。解像性は、20μmと良好な結果であった。また、乾燥管理幅に関しても、ほぼ50分以上の現像が可能である結果が得られている。機械物性に関しては、すべての組成物で伸度が5%以上あり、かつ破断強度、弾性率も合格の結果が得られている。一方、比較例の結果を示す第4表中の比較例5では、指触乾燥性と機械物性、特に破断伸度が悪く、使用に問題がある。また比較例6と比較例7では、現像性が悪く、パターンが作成できなかった。
【0090】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、ハロゲン系触媒等の使用量の低減や、非ハロゲン系触媒の使用等のような緩和な条件下でも製造することが可能で、塗膜中に残存するハロゲン系イオン性物質の低減に有用であり、しかも、レジスト用組成物として基本的な性能に優れ、かつ靭性等の物性を大幅に向上しうるエネルギー線硬化型樹脂が得られる。また、このエネルギー線硬化型樹脂を用いた本発明のエネルギー線硬化型樹脂組成物は、レジスト用組成物としてタック性、現像性、溶剤乾燥時の安定性試験、感度、解像性、機械物性等に優れる。
Claims (7)
- エポキシ当量140〜250g/当量(g/eq)の2官能性エポキシ樹脂(a1)、(メタ)アクリル酸、またはポリオールと(メタ)アクリル酸とエステル化して得られる化合物で水酸基を分子中に持っている化合物と酸無水物との反応により得られる化合物からなる(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)および(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸からなる(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)を必須成分として、下記式(1)と(2)をいずれも満足させる割合で用いて、非ハロゲン系触媒の存在下で反応させて得られた水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)と、酸無水物(B)とを反応させることを特徴とする、エネルギー線硬化型樹脂の製造方法。
0.9na1<na2+na3<1.1na1 (1)
0.2<na2/na3<4.0 (2)
〔ただし、式中、na1はエポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕 - 触媒が、ホスフィン系触媒である、請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂の製造方法。
- ジカルボン酸(a3)が、(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸(a31)と(メタ)アクリロイル基を有しないジカルボン酸(a32)とを、そのモル比(na31/na32)が1〜10となる範囲で含有するものである、請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂の製造方法。
- ジカルボン酸(a31)が、(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物とトリカルボン酸無水物および/またはテトラカルボン酸2無水物とを反応させて得られるジカルボン酸であって、(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸である、請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂の製造方法。
- エポキシ樹脂(a1)が、エポキシ当量170〜250g/当量(g/eq)のビスフェノール型エポキシ樹脂および/またはその水素添加物である、請求項1項記載のエネルギー線硬化型樹脂の製造方法。
- モノカルボン酸(a2)とジカルボン酸(a3)とを、下記式(2−1)を満足させる割合で用いる、請求項1記載のエネルギー線硬化型樹脂の製造方法。
0.3<na2/na3<3.0 (2−1)
〔ただし、式中、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕 - エポキシ当量140〜250g/当量(g/eq)の2官能性エポキシ樹脂(a1)、(メタ)アクリル酸、またはポリオールと(メタ)アクリル酸とエステル化して得られる化合物で水酸基を分子中に持っている化合物と酸無水物との反応により得られる化合物からなる(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸(a2)および(メタ)アクリロイル基を1〜6個有するジカルボン酸からなる(メタ)アクリロイル基を有するジカルボン酸を含有するジカルボン酸(a3)を必須成分として、下記式(1)と(2)をいずれも満足させる割合で用いて、非ハロゲン系触媒の存在下で反応させて得られた水酸基含有変性エポキシアクリレート化合物(A)と、酸無水物(B)とを反応させてえられたエネルギー線硬化型樹脂(I)と、エポキシ化合物(II)とを含有することを特徴とする、エネルギー線硬化型樹脂組成物。
0.9na1<na2+na3<1.1na1 (1)
0.2<na2/na3<4.0 (2)
〔ただし、式中、na1はエポキシ樹脂(a1)中の全エポキシ基のモル数、na2はモノカルボン酸(a2)中の全カルボキシル基のモル数、na3はジカルボン酸(a3)中の全カルボキシル基のモル数を表す。〕
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