JP4978787B2 - 感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂 - Google Patents

感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂 Download PDF

Info

Publication number
JP4978787B2
JP4978787B2 JP2007207830A JP2007207830A JP4978787B2 JP 4978787 B2 JP4978787 B2 JP 4978787B2 JP 2007207830 A JP2007207830 A JP 2007207830A JP 2007207830 A JP2007207830 A JP 2007207830A JP 4978787 B2 JP4978787 B2 JP 4978787B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
structural
acid
vinyl ester
polymerizable unsaturated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007207830A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009040899A (ja
Inventor
義章 村田
一郎 小椋
広宣 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Priority to JP2007207830A priority Critical patent/JP4978787B2/ja
Publication of JP2009040899A publication Critical patent/JP2009040899A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4978787B2 publication Critical patent/JP4978787B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Description

本発明は、特に活性エネルギー線に対する感度に優れ、かつ、アルカリ現像性が良好で、更に予備乾燥時の熱管理幅が広いレジストインキ用樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂に関する。
プリント配線板のソルダーレジストパターン形成法は、硬化膜の耐薬品性や耐溶剤性に優れる点からアルカリ現像方式が広く用いられている。
このアルカリ現像方式において用いられるアルカリ現像型ソルダーレジストインキの分野においては、近年、プリント配線板の生産ラインの高速化による生産性向上が図られ、相対的に露光エネルギーは低下する傾向にある。その為、従来の感光性樹脂組成物によって得られていた硬化物の耐熱性、耐食性等の特性バランスを損なうことなく、低露光エネルギーでの硬化性に優れた高感度感光性樹脂組成物の要求が高まっている。
また、新規のソルダーレジスト露光システムとして、レーザー光による直接露光方式(レーザーダイレクトイメージング方式)が提案され注目を集めている。該露光方式は、従来のマスクパターンによるUV露光方式と比較して、より高精度のパターンを形成可能であるという特徴を有し、基板の小型化や高集積化に非常に有用な露光方式である。しかしながら、レーザー光により得られる露光エネルギーはUV光に対し約1/10〜1/100と非常に小さく、従来のレジストインキでは十分な硬化性が得られにくいため、さらに超高感度を有する感光性樹脂組成物への要求が高まっている。
これらの要求に対した高感度のレジストインキ用樹脂組成物として、例えば、エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸と二塩基酸無水物とを反応させて得られる酸ペンダント型エポキシビニルエステル化合物にエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体を反応させて得られる感光性樹脂を主剤として用いたレジストインキが知られている(例えば、特許文献1参照。)。かかる感光性樹脂は、分子構造内にラジカル重合性二重結合を多く含むことから光照射時の感度は良好なものとなるものの、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体のエポキシ基を酸ペンダント型エポキシビニルエステル化合物のカルボキシル基と反応させることによってラジカル重合性二重結合を分子構造中により多く導入するものである為、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体を反応させる際のカルボキシル基の消費に伴い予備乾燥時の熱管理幅が著しく狭く、現像速度も遅くなるものであった。
ここで、予備乾燥時の熱管理幅とは、塗膜を加熱乾燥した後に未露光部分を現像する際の当該加熱乾燥の熱的許容限度、即ち現像性を維持可能な範囲内で許容される加熱乾燥条件の管理範囲をいう。
従って、前記感光性樹脂は、その熱管理幅が狭い為、アルカリ現像型レジストインキに用いた場合、該レジストインキをプリント配線板へ塗布、その溶剤を除去する乾燥過程で、その許容範囲を超えた時間又は温度条件により塗布膜の樹脂組成物が硬化をし始め、その後に露光し、現像しても未露光部分が現像液により除去され難く、そのため十分な乾燥ができなくなることから現像後においても溶剤が残存し、タック性が残ってしまうものであった。
更に、前記した酸ペンダント型エポキシビニルエステル化合物にエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体を反応させて得られる感光性樹脂は、前記特許文献1に記載されているように、その原料となるエポキシ樹脂にはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が使用されているが、これらのエポキシ樹脂をベースに感光性樹脂を製造した場合、ラジカル重合性二重結合を多く導入しても感度改善効果は頭打ちとなり、超高感度への対応が難しいものであった。
このように、従来のエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体を酸ペンダント型エポキシビニルエステル化合物に反応させて得られる感光性樹脂は、熱硬化後の硬化塗膜の塗膜硬度、予備乾燥時の熱管理幅とを両立させることが困難なものであった。
従って、これまでアルカリ現像型レジストインキの分野では、レーザー光による直接露光方式へ対応でき、低露光エネルギーであっても優れた硬化性を発現する超高感度性と、塗膜硬度といった硬化塗膜物性と、広い熱管理幅とを兼備させることができないのが現状であった。
特開平10−282665号公報(第3−5頁)
本発明が解決しようとする課題は、レーザー光による直接露光方式へ対応可能で、かつ、低露光エネルギーであっても優れた硬化性を発現する超高感度性と、塗膜硬度と、広い熱管理幅とを兼備したアルカリ現像型レジストインキ用組成物を提供すること、並びにこのような特性をアルカリ現像型レジストインキ用組成物に付与し得るビニルエステル樹脂を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸基含有ビニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂として、2価フェノールと1価フェノールとを併用してアルデヒド類と反応させて得られるフェノール樹脂のポリグリシジルエーテルを用いることにより、該酸基含有ビニルエステル樹脂の感度が飛躍的に向上すると共に、エポキシ樹脂との硬化性も高まり、更に、熱管理幅が拡大することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、酸基含有ビニルエステル樹脂(A)、光重合開始剤(B)、及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とすることを特徴とする感光性樹脂組成物であって、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)が、下記構造式(a1)
Figure 0004978787
(式中、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表し、nは1又は2である。)
で表される構造部位(a1)と、
下記構造式(a2)
Figure 0004978787
(式中、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表し、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
で表される構造部位(a2)とを有し、かつ、前記構造部位(a1)と前記構造部位(a2)とがアルキリデン基で結節された構造を有するものであり、更に、前記構造部位(a1)及び前記構造部位(a2)の少なくともいずれか一方が、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の酸価が30〜150mgKOH/gの範囲となる割合で前記ラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を有するものであることを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
更に、本発明は、下記構造式(a’1)
Figure 0004978787

(式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Yは水素原子、カルボキシル基含有有機基、又は、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基、nは1又は2である。)
で表される構造部位(a’1)と、
下記構造式(a’2)
Figure 0004978787

(式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Yは水素原子、カルボキシル基含有有機基、又は、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基、R及びRはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、nは1又は2である。)かつ、前記構造部位(a1)と前記構造部位(a2)とがアルキリデン基で結節された構造を有しており、かつ、前記構造部位(a’1)と前記構造部位(a’2)とのモル比[(a’1)/(a’2)]が20/80〜60/40となる割合となるものであり、前記構造部位(a1)及び前記構造部位(a2)に起因する芳香環の平均核体数が4〜11の範囲にあり、更に、酸価が30〜150mgKOH/gとなる割合で前記カルボキシル基を有することを特徴とする新規酸基含有ビニルエステル樹脂に関する。
本発明によれば、レーザー光による直接露光方式へ対応可能で、かつ、低露光エネルギーであっても優れた硬化性を発現する超高感度性と、優れた塗膜物性及び広い熱管理幅とを兼備したアルカリ現像型レジストインキ用組成物、並びにこのような特性をアルカリ現像型レジストインキ用組成物に付与し得るビニルエステル樹脂を提供できる。
本発明で用いる酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は、下記構造式(a1)
Figure 0004978787
(式中、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表し、nは1又は2である。)
で表される構造部位(a1)と、
下記構造式(a2)
Figure 0004978787
(式中、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表し、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
で表される構造部位(a2)とを有し、かつ、前記構造部位(a1)と前記構造部位(a2)とがアルキリデン基で結節された構造を有するものであり、更に、前記構造部位(a1)及び前記構造部位(a2)の少なくともいずれか一方が、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の酸価が30〜150mgKOH/gの範囲となる割合で前記ラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を有するものであることを特徴としている。
本発明では酸基含有ビニルエステル樹脂(A)中にこのような前記構造部位(a1)を導入することにより、ラジカル重合性不飽和二重結合の濃度が増大して感度が良好なものとなる。更に、1分子内に構造部位(a1)と構造部位(a2)とを共存させることにより、硬化剤であるエポキシ樹脂との硬化性が飛躍的に高まり、基材への密着性や硬化塗膜の塗膜硬度が飛躍的に向上する。その結果、熱管理幅を広く有しながらも、優れた塗膜の密着性、塗膜硬度を発現するレジストインキとなる。
前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は、特に熱管理幅の拡大とエポキシ樹脂との硬化性とのバランスに優れる点から前記構造部位(a1)と前記構造部位(a2)との存在比率が、[(a1)/(a2)]のモル比が20/80〜60/40となる範囲ものであることが好ましく、特に20/80〜40/60となる範囲ものであることが好ましい。
ここで、構造部位(a1)は、前記した通り、前記構造式(a1)で表されるものであり、ベンゼン環1核あたりに複数の前記「FG」で表される構造部位を有していることを特徴としている。かかる構造式(a1)中のFGは、前記した通り、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表すものである。
具体的には、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られるビニルエステル構造部位(a1−1)、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させ、次いで生成した2級水酸基に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a1−2)
該構造部位(a1−2)に更にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a1−3)、
該構造部位(a1−3)に更に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a1−4)、
その他、前記構造部位(a1−4)に、前記モノエポキシ化合物(x3)、多塩基酸無水物(x2)を順次繰り返し反応させて得られる多官能型構造部位が挙げられる。
これらの中でも特に、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られるビニルエステル構造部位(a1−1)、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させ、次いで生成した2級水酸基に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a1−2)、又は、
該構造部位(a1−2)に更にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a1−3)
であることが、感度が良好で、かつ、熱管理幅が広くなる点から好ましい。
ここでラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)は、例えば、(メタ)アクリル酸(x1−1)、或いは、下記一般式(1)
Figure 0004978787
(式中、Rfは水素原子又はメチル基、Rfは炭素原子数2〜6の芳香族炭化水素基を表し、mは1〜6の整数を表す。)
で表される不飽和化合物(x1−2)が挙げられる。前記一般式(1)で表される化合物としては、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトンを反応させ分子伸長したポリラクトン(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル酸ダイマーが挙げられる。
前記不飽和化合物(x1−2)のなかでも、特にアルカリ現像性が良好である点から前記一般式(1)で表される化合物が好ましく、特に、一般式(1)中、nが1乃至6である場合には、硬化物に十分な柔軟性が付与され、近年、需要が伸びているフレキシブル基板へ適用することが可能となる。
上記したラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)は、特にラジカル重合性不飽和二重結合の濃度が高くなって感度が良好となる点からは(メタ)アクリル酸(x1−1)が好ましく、最終的に得られる酸基含有ビニルエステル樹脂の極性が高くなって、アルカリ現像性が良好となる点からは前記不飽和化合物(x1−2)が好ましい。
また、前記不飽和化合物(x1−2)中、一般式(1)で表され、かつ、該一般式(1)中nが1乃至6である化合物は、(メタ)アクリル酸と併用することが好ましく、この際、前者:後者のモル比が5:95〜50:50となる範囲であることが、最終的に得られる酸基含有ビニルエステル樹脂(A)をレジストインキとして用いる場合の感度、現像性、及び予備乾燥時の塗膜乾燥性とのバランスに優れる点から好ましい。
次に、前記多塩基酸無水物(x2)は、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、ドデシル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、3−ブテニル−5,6−ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレン−テトラヒドロ無水フタル酸、7−メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の脂肪族酸無水類;無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の芳香物酸無水物が挙げられる。
これらの中でも酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の溶剤溶解性が良好となる点からテトラヒドロ無水フタル酸又はヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。また、レジストインキとして用いた際の熱管理幅やアルカリ現像性が特に顕著に優れる点から無水コハク酸も好適に使用できる。
ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)は、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどの(メタ)アクリロイル基含有モノエポキシ化合物が挙げられる。
以上詳述した構造部位(a1)は、更に具体的には、下記構造式(a’1)
Figure 0004978787
(式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Yは水素原子、カルボキシル基含有有機基、又は、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基、nは1又は2である。)
で表される構造部位(a’1)であることが、本発明の効果がより顕著なものとなる点から好ましい。
前記構造式(a1)及び構造式(a’1)において、nは1又は2であるが、本発明ではとりわけ硬化剤であるエポキシ樹脂(C)との反応性や、溶剤溶解性の点からn=1であることが好ましい。n=1の場合、前記構造式(a1)における「FG」に相当する構造部位は、オルソ位、メタ位、パラ位の何れの置換位置であってもよいが、特に、該構造部位中に存在するラジカル重合性二重結合の活性が良好である点、硬化剤との反応性が良好である点から、メタ位であることが好ましい。
ここで、構造式(a’1)中、カルボキシル基含有有機基は、該構造式中のYが水素原子である場合の水酸基に、多塩基酸無水物(x2)を反応させて生成するカルボキシル基含有構造部位(a’1−2)、
該構造部位(a’1−2)にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a’1−3)に、更に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られるカルボキシル基含有の構造部位(a’1−4)が挙げられる。
一方、構造式(a’1)中、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基は、該構造式中のYが水素原子である場合の水酸基に、多塩基酸無水物(x2)を反応させて生成するカルボキシル基含有構造部位(a’1−2)にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a’1−3)、
該構造部位(a’1−3)に、更に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られるカルボキシル基含有の構造部位(a’1−4)に、更に、ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させて得られる構造部位(a’1−5)が挙げられる。
一方、前記構造部位(a2)は、前記した通り、前記構造式(a2)で表されるものであり、ベンゼン環1核あたり前記「FG」で表される構造部位を1つ有していることを特徴としている。かかる構造式(a2)中のFGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表すものであり、具体的には、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られるビニルエステル構造部位(a2−1)、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させ、次いで生成した2級水酸基に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a2−2)、
該構造部位(a2−2)に更にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a2−3)、
該構造部位(a2−3)に更に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a2−4)、
その他、前記構造部位(a2−4)に、前記モノエポキシ化合物(x3)、多塩基酸無水物(x2)を順次繰り返し反応させて得られる多官能型構造部位が挙げられる。
これらの中でも特に、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させてエポキシビニルエステル化して得られる構造部位(a2−1)、
グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させる際に生成する2級水酸基に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a2−2)、又は、
該構造部位(a2−2)に更にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a2−3)
であることが、感度が良好で、かつ、熱管理幅が広くなる点から好ましい。
また、前記構造部位(a2)は、更に具体的には、下記構造式(a’2)
Figure 0004978787

(式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Yは水素原子、カルボキシル基含有有機基、又は、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基、R及びRはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、nは1又は2である。)
で表される構造部位(a’2)であることが本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
前記構造式(a2)及び前記構造式(a’2)におけるR及びRはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基が挙げられる。これらの中でも特に塗膜硬度が良好となる点、及び、熱管理幅がより広くなる点から水素原子又はメチル基であることが好ましい。
ここで、構造式(a’2)中、カルボキシル基含有有機基は、該構造式中のYが水素原子である場合の水酸基に、多塩基酸無水物(x2)を反応させて生成するカルボキシル基含有構造部位(a’2−2)、
該構造部位(a’2−2)にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a’2−3)に、更に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られるカルボキシル基含有の構造部位(a’2−4)が挙げられる。
一方、構造式(a’2)中、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基は、該構造式中のYが水素原子である場合の水酸基に、多塩基酸無水物(x2)を反応させて生成するカルボキシル基含有構造部位(a’2−2)にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a’2−3)、
該構造部位(a’2−3)に、更に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られるカルボキシル基含有の構造部位(a’2−4)に、更に、ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させて得られる構造部位(a’2−5)が挙げられる。
なお、本発明において前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は、その分子構造中に酸基を有するものであり、前記構造部位(a1)及び構造部位(a2)の少なくとも何れか一方に、多塩基酸無水物(x2)に起因する酸基を有している必要がある。酸基の含有率は、優れた現像性及び広い熱管理幅を発現させる点から、該酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の酸価が30〜150mgKOH/gの範囲となるような割合であり、なかでも40〜120mgKOH/gの範囲となるように含有していることが好ましい。
前記構造部位(a1)と構造部位(a2)とを結節しているアルキリデン基は、具体的には、メチレン基、エチリデン基、2,2−プロピリデン基等が挙げられる。これらの中でも原料フェノール樹脂の合成が容易であること、また、レジストインキとして熱管理幅が広くなる点からメチレン基であることが好ましい。
また、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は、前記構造部位(a1)及び構造部位(a2)がアルキリデン基を介した構造を有したものであり、構造部位(a1)及び構造部位(a2)が、アルキリデン基を結節基として任意の序列で結合したものであればよい。また、酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は該構造部位(a1)又は構造部位(a2)に起因する芳香環の平均核体数が4〜11の範囲にあることが熱管理幅の点から好ましい。
前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)が、特に、前記構造部位(a’1)及び構造部位(a’2)がアルキリデン基を介した構造を有するものである場合、該樹脂(A)は、前記構造部位(a’1)と前記構造部位(a’2)とのモル比[(a’1)/(a’2)]が20/80〜60/40となる割合、好ましくは20/80〜40/60となる割合であり、前記構造部位(a’1)及び前記構造部位(a’2)に起因する芳香環の平均核体数が4〜11の範囲にあり、更に、酸価が30〜150mgKOH/gとなる割合で前記カルボキシル基を有するものが超高感度性と、塗膜硬度や基材密着性といった硬化塗膜物性と、広い熱管理幅との性能バランスが一層良好な樹脂となる点から好ましい。
以上詳述した前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は、前記した通り、原料となるエポキシ樹脂の分子構造に特徴があり、具体的には、前駆体となるフェノール樹脂において、1価フェノールと多価フェノールとを併用し、これらをカルボニル化合物と反応させて得られるものを用いることによって、前記構造部位(a1)と構造部位(a2)を形成させることができる。このような原料エポキシ樹脂(以下、これを「エポキシ樹脂(s)」と称する。)を製造するには、例えば、1価フェノール、多価フェノール、及びカルボニル化合物を酸触媒の存在下反応させてこれらの共縮合フェノール樹脂を得、次いで、該フェノール樹脂とエピハロヒドリンとを反応させることによって製造することができる。この際、1価フェノール及び多価フェノールのモル比を調節することによって前記前記構造部位(a1)と構造部位(a2)との存在比を調節することができる。また、ここで使用し得る1価フェノールとしては、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール等が挙げられ、多価フェノールとしては、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン等の2価フェノール、ピロガロール、2,4,6−トリフェノール等の3価フェノール、
類が挙げられる。また、触媒としては塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。その使用量は仕込み原料の総重量に対して、0.1〜5重量%の範囲が好ましい。また、エピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。反応条件は特に制限されるものではなく、汎用のノボラック型フェノール樹脂におけるものと同様の条件を採用することができる。
前記構造部位(a1)と構造部位(a2)とのモル比は(a1)/(a2)=20/80〜60/40の範囲内であることが好ましい。モル比が20/80より小さくなるとレジストインキの感度が十分向上せず、また、モル比が60/40より大きくなると得られるエポキシ樹脂の分子量分布が著しく広くなり、ゲル化や現像性の低下が著しくなる。
このようにして得られたエポキシ樹脂(s)を用いて酸基含有ビニルエステル樹脂(A)を製造するには、具体的には、以下の方法1又は2によって行うことができる。
先ず、方法1は、
工程1: エポキシ樹脂(s)を前記ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)と、必要に応じてエステル化触媒の存在下に反応させてエポキシビニルエステル樹脂(v1)を得る工程、及び
工程2: 得られたエポキシビニルエステル樹脂(v1)に多塩基酸無水物(x2)を反応させ、ペンダント状に酸基が結合している酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)を得る工程、
から構成される。
更に、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)として多分岐状にラジカル重合性不飽和二重結合数を増加させたい場合には、前記工程2に引き続き、
工程3: 酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)中の酸基にエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)を反応させ、ラジカル重合性不飽和基が更に導入されたビニルエステル化合物(v3)を得る工程、及び、
工程4: 工程3で得られたビニルエステル樹脂(v3)中の二級水酸基に再び多塩基酸無水物(x2)を反応させて酸基含有ビニルエステル樹脂(v4)を得る工程から構成される方法により製造してもよい。
該工程により得られる酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)〜(v4)は、いずれも目的とする酸基含有ビニルエステル樹脂(A)として使用できる。
前記、工程1におけるエポキシ樹脂(s)とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)との反応割合は、通常、エポキシ樹脂(s)のエポキシ基1モルに対し、ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)が0.8〜1.1モルとなる割合であることが好ましい。即ち、ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)を前記比率が0.8モル以上となる範囲で反応させることにより、次工程における多塩基酸無水物(x2)との反応時のゲル化を抑制でき、また、1.1モル以下の範囲で反応させることにより、最終的に得られる酸基含有ビニルエステル樹脂(A)をレジストインキとして用いた際の予備乾燥時の乾燥性や、硬化物の耐熱性、耐薬品性、耐メッキ性等が良好なものとなる。これらの性能バランスに優れ、また活性エネルギー線に対する感度や樹脂組成物の貯蔵安定性に優れる点で、当該割合は0.90〜1.05モルとなる範囲であることが更に好ましい。
ここで使用し得るエステル化触媒は、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジアザビシクロオクタン等の3級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類;2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルスチビンが挙げられる。
また、この工程1における反応は希釈剤を用いることが系内粘度を低減できるため好ましい。ここで使用し得る希釈剤は、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤類等が挙げられる。これらのなかでも、特に反応時の操作性が良好であり、レジストインキとして用いた際の乾燥速度に優れる点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの単独使用、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとケトン類との併用、またはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートと石油系溶剤との併用が好ましい。
また、工程1の反応では、反応中のゲル化抑制の点から重合禁止剤を使用することが望ましく、かかる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ターシャリブチルハイドロキノン、メトキノン、トルハイドロキノン、トルキノン、1,4−ナフトキノン、フェノチアジン、ジターシャリブチルヒドロキシトルエン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩等が挙げられる。
工程1での反応温度は、60〜140℃の範囲であることが好ましい。また、工程1の総反応時間はスケールによっても相違するが、5〜40時間であることが好ましい。
次に、工程2は、得られたエポキシビニルエステル樹脂(v1)に多塩基酸無水物(x2)を反応させ、ペンダント状に酸基が結合している酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)を得る工程である。
この際、多塩基酸無水物(x2)の反応モル数は特に限定されるものではないが、エポキシビニルエステル樹脂(v1)の二級水酸基1.0モルに対し、多塩基酸無水物(x2)の酸無水物基が0.3〜1.0モルとなる割合であることが、当該反応におけるゲル化防止の点から好ましい。
工程2の反応における反応温度は60〜130℃の範囲であることが好ましく、反応時間は、1〜10時間の範囲であることが好ましい。
更に、必要により工程3及び工程4を行う場合、酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)中のカルボキシル基にエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)を反応させ、ラジカル重合性不飽和基が更に導入されたビニルエステル化合物(v3)を得ることができる(工程3)。
この際、酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)中の芳香環に結合する2−オキシプロピレン基1.0モルに対し、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)を0.1〜1.0モルとなる量で反応させることが好ましい。
かかる反応における反応温度としては、90〜130℃の範囲であることが好ましく、反応時間としては、1〜10時間の範囲であることが好ましい。
次いで、工程3で得られたビニルエステル樹脂(v3)中の二級水酸基に再び多塩基酸無水物(x2)を反応させて酸基含有ビニルエステル樹脂(v4)を得ることができる(工程4)。かかる反応における多塩基酸無水物(x2)の割合は、ビニルエステル樹脂(v3)中の芳香環に結合する2−オキシプロピレン基1モルに対して、0.1〜0.9モルとなる割合であることが好ましい。また、この反応における反応温度は、特に制限されるものではないが、90〜130℃の範囲であることが好ましく、反応時間としては、1〜10時間の範囲であることが好ましい。
本発明では、上記した工程3及び工程4の反応を繰り返し行うことにより、最終的に多塩基酸無水物(x2)とエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a4)とが交互に反応した分子構造を形成することができる。
以上詳述した方法1の各工程により得られる酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)〜(v4)はいずれも目的とする酸基含有ビニルエステル樹脂(A)として好適に使用可能である。該方法1は、反応の制御が容易であり、ポリマー構造の設計の自由度が高くなる点から好ましい。
また、本発明では、工程2以降の反応は同時に進行させることが可能である。例えば、方法2として、前記方法1における工程1で得られたエポキシビニルエステル樹脂(v1)とエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)と多塩基酸無水物(x2)とを一括で仕込み反応させ目的とする酸基含有ビニルエステル樹脂(A)を得る方法である。かかる方法2は反応が簡略化でき、多分岐状の二重結合を酸基含有ビニルエステル樹脂構造中に容易に導入することができる為好ましい。
方法2におけるエポキシビニルエステル樹脂(v1)とエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)と多塩基酸無水物(x2)との反応比率は、具体的には、エポキシビニルエステル樹脂(v1)中の2級水酸基1.0モルに対して、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)が0.2〜2.5モル、多塩基酸無水物(x2)が0.75〜3.5モルとなる範囲であることが好ましい。
更に、アルカリ現像性の点から、エポキシビニルエステル樹脂(v1)中の2級水酸基1.0モルに対する多塩基酸無水物(x2)のモル数から、当該2級水酸基1.0モルに対するラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(a4)のモル数を引いた値が0.4〜0.95となるような割合で反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
この場合の反応温度としては、特に制限されるものではないが、90〜130℃の範囲であることが好ましく、反応時間としては、4〜24時間の範囲であることが好ましい。
また、例えば前記工程1及び工程2を経て得られた酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)に対し、多塩基酸無水物(x2)及びエポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)の所定量を一括で仕込み反応させる方法であってもよい。この場合、工程3と工程4を同時に進行させることとなる。この際、多塩基酸無水物(x2)の使用量は該酸基含有ビニルエステル樹脂(v2)中の芳香環に結合する2−オキシプロピレン基1モルに対して1.0〜4.0モルとなる割合であり、また、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和単量体(x3)の使用量は、該2−オキシプロピレン基1モルに対して0.75〜2.5モルとなる割合であることが、感度や現像性の点から好ましい。また、更に、該2−オキシプロピレン基1モルに対する多塩基酸無水物(x2)のモル数から、該2−オキシプロピレン基1モルに対するラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(a4)のモル数を引いた値が0.4〜0.95となるような割合で反応させることが現像性の点から好ましい。
この様にして合成された酸基含有ビニルエステル樹脂(A)は、1分子内に構造部位(a1)と構造部位(a2)とが共存することから、該酸基含有ビニルエステル樹脂(A)自体の感度が著しく良好なものとなる他、硬化剤であるエポキシ樹脂との反応性が高く、基材への密着性や硬化塗膜の塗膜硬度が飛躍的に向上する。その結果、熱管理幅を広く有しながらも、優れた塗膜の密着性、塗膜硬度を発現するレジストインキが得られる。
次に、本発明で用いる光重合開始剤(B)は、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、シクロロアセトフェノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール等のケタール類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、2,4,6−トリス−S−トリアジン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらのなかでも、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1が反応性が高く好ましい。これらの光重合開始剤(B)は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記光重合開始剤(B)の配合量は、酸基含有ビニルエステル樹脂(A)100重量部に対して、通常0.5〜50重量部の範囲であることが好ましい。即ち、0.5重量部以上においては、酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の光硬化反応が良好に進行し、また、50重量部以下では硬化物の機械物性が良好なものとなる。活性エネルギー線に対する感度、硬化物の機械物性などに優れる点から、光重合開始剤(B)のより好ましい配合量としては酸基含有ビニルエステル樹脂(A)100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
また、本発明で用いるエポキシ樹脂(C)は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン・クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ジフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルジフェニルジグリシジルエーテル、オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、レジストインキとして用いた際の熱管理幅が広く、熱硬化後の硬化物の耐熱性等に優れる面からクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン・クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が好ましく、レジストインキとして用いた際の感度、反応性に優れる面からはビスフェノールA型エポキシ樹脂やトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを用いることが好ましい。これらの樹脂は用途に合わせて単独又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
前記オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂は特に制限はないが、例えば、多官能型エポキシ樹脂と芳香族モノイソシアネート類とを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明では、更に、硬化促進剤を使用することが好ましい。硬化促進剤としては、例えば、メラミン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、フェノール及びその誘導体などの種々のエポキシ樹脂用硬化促進剤等が挙げられる。
エポキシ樹脂(C)の配合量としては、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)100重量部に対して5〜40重量部が好ましい。即ち、5重量部以上用いることにより、最終的に得られる硬化物の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、密着性等の諸物性に優れたものとなる他、絶縁抵抗等の電気特性に十分な性能が得られ、一方、40重量部以下とすることにより、活性エネルギー線に対する感度に優れ、レジストインキとして用いた際の感光性、現像性に優れたものとなる。
本発明の感光性樹脂組成物には、特にレジストインキ用樹脂組成物として用いる際には、上記各成分に加え、希釈剤(D)を配合することが好ましい。
前記希釈剤(D)としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤や、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、メラミン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール、又はこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類等の光重合性反応性希釈剤等を挙げることができる。これらの中でもレジストインキとして用いた際の予備乾燥後の平滑性が良好となる点からエステル類の単独使用、エステル類と石油系溶剤との併用物が好ましく、これらと光重合性反応性希釈剤の併用物が更に好ましい。前記エステル類の中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いることが好ましい。
希釈剤(D)は単独又は2種以上の混合物として用いられ、その配合量としては、酸基含有ビニルエステル樹脂(A)100重量部当り、30〜300重量部であることが好ましく、特に50〜200重量部であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物をレジストインキ用樹脂組成物とするためには、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)、光重合開始剤(B)、熱反応性硬化剤(C)、及び希釈剤(D)を混合し、3本ロールや自転公転型撹拌機等の手段により均一に混合させることにより得られる。
ここで、酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の配合量としては、特に制限されるものではないが、レジストインキの感度、予備乾燥後の乾燥性の改善効果が良好なものとなり、更に熱硬化後に得られる塗膜の耐熱性、耐溶剤性に優れる点からレジストインキ用樹脂組成物中10〜70重量%であることが好ましく、特に30〜60重量%となる範囲であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、以下に示すような当該技術分野で常用される顔料、充填剤、添加剤等が使用できる。例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料;酸化チタン、金属箔状顔料、防錆顔料等の無機顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、球状溶融シリカ、破砕状溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ、カーボンブラック、タルク、クレー等の充填剤;ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤;シラン系、チタン系等のカップリング剤;フッ素系界面活性剤等のレベリング剤;アエロジル等のレオロジーコントロール剤;顔料分散剤:ハジキ防止剤;消泡剤等の添加剤等が挙げられる。また必要に応じてガラス繊維、ガラス布、炭素繊維等の強化材を含有する事ができる。また必要に応じて難燃付与剤も添加できる。この難燃付与剤としては種々のものが使用できるが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化合物;赤リンや各種燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物;メラミン或いはその誘導体などの窒素原子含有化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が例示できる。
このようにして得られた感光性樹脂組成物は、紫外線又は電子線などの活性エネルギー線を照射することによって、硬化物を得ることが出来、その使用方法や用途においてなんら制限されるものではない。特にレジストインキ用樹脂組成物としたときには、例えば、スクリーン印刷、カーテンコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法等によりプリント基板上に10〜150μm(液膜厚)の厚さに塗布した後、60〜90℃で15〜90分予備乾燥し有機溶剤等の揮発分を揮発させ(塗布と予備乾燥工程を複数回繰り返して積層させる場合もある)、その乾燥塗膜に所望のマスクパターンのネガフィルムを密着させ、その上から紫外線又は電子線などの放射線を照射し露光を行い(或いはレーザー光などを用いて直接パターンを露光しても良く、この場合はマスクパターンは必要としない。)、その後希アルカリ水溶液を現像液として現像することにより非露光領域の塗膜は除去され、露光部分の塗膜は光硬化しているので除去されず残留することにより、パターンを形成させることが出来る。この際の希アルカリ水溶液としては、0.5〜5重量%の炭酸ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液が一般的であるが、他のアルカリ溶液も使用可能である。次いで、130〜160℃で20〜90分熱風乾燥機等で熱硬化させることにより、電気特性、耐マイグレーション性、耐熱性、耐溶剤性等に優れた硬化塗膜を得ることが出来る。
前述の樹脂組成物は、例えばプリント配線板等の回路基板のソルダーレジスト、層間絶縁層、液晶カラーフィルタ用のレジスト材料、例えばオーバーコート、液晶用スペーサー、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリクス用レジスト等に好ましく使用される。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。例中部及び%は断りのない限り重量基準である。尚、13C−NMR、IRスペクトルは以下の条件にて測定した。
[13C−NMR測定条件]
装置 :日本電子(株)製 AL−400
測定モード:SGBCM(1H完全デカップリング法)
溶媒 :ジメチルスルホキシド
パルス角度:30℃パルス
試料濃度 :30wt%
積算回数 :60000回
[IRスペクトル]
装置:日本分光株式会社製 FT/IR−500。
各合成例で得られた樹脂溶液をKBr板に塗布し測定。
実施例1〔感光性樹脂(A)の合成〕
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート92.8gにレゾルシン/オルソクレゾールのモル比が28/72のレゾルシン・オルソクレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂〔軟化点76℃、エポキシ当量182〕182g(1.0モル)、アクリル酸72.0g(1.0モル)、及びハイドロキノン0.13gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン0.97gを仕込み、130℃に昇温して8時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)92.8g、テトラヒドロ無水フタル酸76.0g(0.5モル)を仕込み、110℃で3時間反応を行い、固形分酸価85mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A−1)とする。この樹脂溶液の13C−NMRチャート図を図1に、IRチャート図を図2に示す。
実施例2〔同上〕
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート114gにレゾルシン/オルソクレゾールのモル比が28/72のレゾルシン・オルソクレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂〔軟化点76℃、エポキシ当量182〕182g(1.0モル)、アクリル酸72.0g(1.0モル)、及びハイドロキノン0.13gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン0.97gを仕込み、130℃に昇温して8時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)114g、テトラヒドロ無水フタル酸122g(0.8モル)を仕込み、110℃で3時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート28.4g(0.2モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行ない、固形分酸価88mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A−2)とする。この樹脂溶液の13C−NMRチャート図を図3に、IRチャート図を図4に示す。
実施例3〔同上〕
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート134gにレゾルシン/オルソクレゾールのモル比が28/72のレゾルシン・オルソクレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂〔軟化点76℃、エポキシ当量182〕182g(1.0モル)、アクリル酸57.6g(0.8モル)、ε−カプロラクトン2モル変性アクリル酸〔東亞合成化学工業(株)製、アロニックスM−5300、分子量300〕60.0g(0.2モル)、及びハイドロキノン0.15gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン1.14gを仕込み、130℃に昇温して8時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)134g、テトラヒドロ無水フタル酸114g(0.75モル)と無水コハク酸20.0g(0.20モル)を仕込み、110℃で3時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート42.6g(0.3モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行ない、固形分酸価86mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A−3)とする。
実施例4〔同上〕
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート129gにレゾルシン/オルソクレゾールのモル比が28/72のレゾルシン・オルソクレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂〔軟化点76℃、エポキシ当量182〕182g(1.0モル)、アクリル酸72.0g(1.0モル)、及びハイドロキノン0.13gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン0.97gを仕込み、130℃に昇温して8時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)129g、テトラヒドロ無水フタル酸147g(0.97モル)を仕込み、110℃で3時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート56.8g(0.4モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行ない、固形分酸価77mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A−4)とする。
実施例5〔同上〕
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート172gにレゾルシン/オルソクレゾールのモル比が28/72のレゾルシン・オルソクレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂〔軟化点76℃、エポキシ当量182〕182g(1.0モル)、アクリル酸72.0g(1.0モル)、及びハイドロキノン0.13gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン0.97gを仕込み、130℃に昇温して8時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)172g、テトラヒドロ無水フタル酸152g(1.0モル)を仕込み、110℃で3時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート114g(0.8モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行なった。次いで、得られた反応液にテトラヒドロ無水フタル酸91.2g(0.6モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行い、固形分酸価83mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A−5)とする。この樹脂溶液の13C−NMRチャート図を図5に、IRチャート図を図6に示す。
比較例1(比較対照用感光性樹脂の製造)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート103gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業株式会社製「エピクロン N−680」、軟化点86℃、エポキシ当量211〕211g(1.0モル)、アクリル酸72.0g(1.0モル)、ハイドロキノン0.14gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いでトリフェニルホスフィン1.08gを仕込み、130℃に加熱して8時間反応を行った。得られた反応液にソルベッソ150 103g、テトラヒドロ無水フタル酸83.6g(0.55モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行ない、固形分酸価87mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A’−1)とする。
比較例2(同上)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート123gにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業株式会社製「エピクロン N−695」軟化点95℃、エポキシ当量214〕214g(1.0モル)、アクリル酸72.0g(1.0モル)、及びハイドロキノン0.14gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン1.09gを仕込み、130℃に昇温して8時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)123g、テトラヒドロ無水フタル酸122g(0.8モル)を仕込み、110℃で3時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート28.4g(0.2モル)を仕込み、115℃で4時間反応を行ない、固形分酸価80mgKOH/g、固形分64%の樹脂溶液を得た。これを樹脂溶液(A’−2)とする。
合成例1〔熱反応性硬化剤の調製〕
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート90.4gを100℃に加熱し、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔大日本インキ化学工業株式会社製「エピクロン N−680」軟化点86℃、エポキシ当量211〕211gを均一溶解し固形分70%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を(B−1)とする。
実施例6〜10、比較例3、4
表1、表2に示す配合組成(数値は質量部である)に従って感光性樹脂組成物を配合し、冷却装置をつけた自転公転型撹拌機で混合して、レジストインキ樹脂の溶液を調製した。得られたレジストインキ用樹脂組成物の乾燥性、感度、アルカリ現像性及び塗膜性能を表3に示す。なお、レジストインキ用樹脂組成物の乾燥性、感度、アルカリ現像性及び塗膜性能は、以下に示す方法で評価した。ただし、塗膜性能は、ポリイミドフィルム基板に、レジストインキ樹脂組成物を60μmの厚さ(乾燥前)に塗布し、80℃で30分間予備乾燥後、200mJ/cmの露光量で紫外線を照射し、次いで30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cmのスプレー圧で60秒間現像処理したのち、150℃で30分後硬化することにより、硬化塗膜を作成して評価を行った。
試験方法及び評価方法
(1)乾燥性
塗膜を80℃で30分間予備乾燥した。次に、塗膜を室温に冷却した状態でソルダーマスクパターンを塗膜面に接触させ、塗膜よりソルダーマスクパターンを剥離しその状態を評価した。
○:塗膜とパターンが全く付着せず容易に剥離できるもの
△:痕跡を残さずに剥離できるがわずかに付着感があるもの
×:剥離時ソルダーマスクパターンに付着するもの
(2)感度
80℃30分間予備乾燥後の塗膜に、21段ステップタブレット(コダック社製)を密着させ、オーク製作所製メタルハライドランプ露光装置を用いて、アイグラフィック社製紫外線積算強度計を用い30mJ/cm及び200mJ/cmの紫外線を照射露光した。次いで、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cmのスプレー圧で60秒間現像を行った後の露光部分の除去されない部分の段数を数字にて示した。数字が大きい方が高感度であることを表す。
(3)現像時間
80℃30分間予備乾燥後の塗膜にソルダーマスクパターンを密着させ、200mJ/cmの紫外線を照射露光した。次いで30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cmのスプレー圧で現像を行った。現像時、15秒毎に未露光部分の現像状態を拡大鏡にて目視判定し、完全にインキが除去され、完全な現像ができた時間を現像時間とした。
(4)熱管理幅
80℃20分から80℃90分まで10分間隔で予備乾燥時間を変更した各々の塗膜に(3)現像時間と同様の評価を実施し、60秒で現像可能な最大の予備乾燥時間(分)を熱管理幅とした。
(5)半田耐熱性
硬化塗膜をJIS C 6481の試験方法に従って、260℃で半田浴へ10秒間浸漬を繰り返し、外観変化の現れない最大回数を記した。
(6)鉛筆硬度
硬化塗膜をJIS K 5400の試験方法に従って試験し、塗膜に傷のつかない最も高い硬度を観測した。
(7)密着性
硬化塗膜に巾1mmで10×10のクロスカットを入れ、セロハンテープで剥離テストを行い剥がれの状態を目視観察した。
○:剥がれが認められないもの
△:1〜10箇所に剥がれが認められるもの
×:10箇所以上剥がれたもの
(8)耐薬品性
硬化塗膜を10重量%の塩酸に30分間浸漬した後の塗膜状態を評価した。
○:全く変化が認められないもの
×:塗膜が膨潤して剥離したもの
(9)耐溶剤性
硬化塗膜を塩化メチレンに30分間浸漬した後の塗膜状態を評価した。
○:全く変化が認められないもの
×:塗膜が膨潤して剥離したもの










Figure 0004978787
























Figure 0004978787
Figure 0004978787
実施例1で得られた樹脂溶液(A−1)の13C−NMRチャート図である。 実施例1で得られた樹脂溶液(A−1)のFT−IRチャート図である。 実施例2で得られた樹脂溶液(A−2)の13C−NMRチャート図である。 実施例2で得られた樹脂溶液(A−2)のFT−IRチャート図である。 実施例5で得られた樹脂溶液(A−5)の13C−NMRチャート図である。 実施例5で得られた樹脂溶液(A−5)のFT−IRチャート図である。

Claims (8)

  1. 酸基含有ビニルエステル樹脂(A)、光重合開始剤(B)、及びエポキシ樹脂(C)を必須成分とすることを特徴とする感光性樹脂組成物であって、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)が、下記構造式(a1)
    Figure 0004978787
    (式中、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表し、nは1又は2である。)
    で表される構造部位(a1)と、
    下記構造式(a2)
    Figure 0004978787
    (式中、FGはラジカル重合性不飽和二重結合を有する構造部位又はラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を表し、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
    で表される構造部位(a2)とを有し、かつ、前記構造部位(a1)と前記構造部位(a2)とがアルキリデン基で結節された構造を有するものであり、更に、前記構造部位(a1)及び前記構造部位(a2)の少なくともいずれか一方が、前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の酸価が30〜150mgKOH/gの範囲となる割合で前記ラジカル重合性不飽和二重結合と酸基とを有する構造部位を有するものであることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)が、前記構造部位(a1)と前記構造部位(a2)とのモル比[(a1)/(a2)]が20/80〜60/40となる割合となるものである請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記構造式(a1)中のFGが、グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られるビニルエステル構造部位(a1−1)、
    グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させ、次いで生成した2級水酸基に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a1−2)、及び、
    該構造部位(a1−2)に更にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a1−3)
    からなる群から選択されるものである請求項2記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記構造式(a2)中のFGが、グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られるビニルエステル構造部位(a2−1)、
    グリシジル基とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させ、次いで生成した2級水酸基に多塩基酸無水物(x2)を反応させて得られる酸基含有の構造部位(a2−2)、及び、
    該構造部位(a2−2)に更にラジカル重合性不飽和二重結合含有モノエポキシ化合物(x3)を反応させ得られる構造部位(a2−3)
    からなる群から選択されるものである請求項2又は3記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)が、該酸基含有ビニルエステル樹脂(A)の酸価が30〜150mgKOH/gとなる範囲で酸基を含有するものである請求項1、2又は3記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記酸基含有ビニルエステル樹脂(A)が、芳香環の平均核体数が4〜11の範囲にあるものである請求項1〜5の何れか1つに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 酸基含有ビニルエステル樹脂(A)、光重合開始剤(B)、エポキシ樹脂(C)に加え、更に希釈剤(D)を含有する請求項1〜6の何れか1つに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 下記構造式(a’1)
    Figure 0004978787
    (式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Yは水素原子、カルボキシル基含有有機基、又は、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基、nは1又は2である。)
    で表される構造部位(a’1)と、
    下記構造式(a’2)
    Figure 0004978787
    (式中、R’は水素原子又はメチル基であり、Yは水素原子、カルボキシル基含有有機基、又は、ラジカル重合性不飽和二重結合含有有機基、R1及びR2はそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、nは1又は2である。)
    で表される構造部位(a’2)とを有し、かつ、前記構造部位(a’1)と前記構造部位(a’2)とがアルキリデン基で結節された構造を有しており、かつ、前記構造部位(a’1)と前記構造部位(a’2)とのモル比[(a’1)/(a’2)]が20/80〜60/40となる割合となるものであり、前記構造部位(a’1)及び前記構造部位(a’2)に起因する芳香環の平均核体数が4〜11の範囲にあり、更に、酸価が30〜150mgKOH/gとなる割合で前記カルボキシル基を有することを特徴とする新規酸基含有ビニルエステル樹脂。
JP2007207830A 2007-08-09 2007-08-09 感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂 Active JP4978787B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007207830A JP4978787B2 (ja) 2007-08-09 2007-08-09 感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007207830A JP4978787B2 (ja) 2007-08-09 2007-08-09 感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009040899A JP2009040899A (ja) 2009-02-26
JP4978787B2 true JP4978787B2 (ja) 2012-07-18

Family

ID=40441995

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007207830A Active JP4978787B2 (ja) 2007-08-09 2007-08-09 感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4978787B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8632946B2 (en) 2010-11-10 2014-01-21 Dic Corporation Positive-type photoresist composition
CN103969947B (zh) * 2013-01-31 2016-05-04 太阳油墨(苏州)有限公司 碱显影型感光性树脂组合物、其干膜及其固化物以及使用其而形成的印刷电路板
JP2021192069A (ja) * 2018-08-30 2021-12-16 昭和電工株式会社 ブラックカラムスペーサー形成用感光性樹脂組成物、ブラックカラムスペーサー及び画像表示装置
JP7302262B2 (ja) * 2019-04-26 2023-07-04 三菱ケミカル株式会社 感光性着色樹脂組成物、硬化物、及び画像表示装置
JP7167851B2 (ja) * 2019-05-23 2022-11-09 三菱ケミカル株式会社 感光性樹脂組成物、硬化物、スペーサー、及び画像表示装置

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4655928B2 (ja) * 2005-06-30 2011-03-23 Dic株式会社 感光性樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009040899A (ja) 2009-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100935148B1 (ko) 감광성 수지 조성물
KR100748219B1 (ko) 광경화성·열경화성 수지조성물, 그의 감광성 드라이필름및 이를 이용한 패턴 형성방법
JP3543409B2 (ja) 活性エネルギ−線硬化型エポキシアクリレ−ト樹脂組成物
WO2010117056A1 (ja) 光硬化性樹脂及び光硬化性樹脂組成物
JP4655362B2 (ja) 感光性樹脂の製造方法
JP6111248B2 (ja) アルカリ現像型樹脂、それを用いた感光性樹脂組成物
JP4655928B2 (ja) 感光性樹脂組成物
JP2018189851A (ja) 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物および電子部品
KR101267111B1 (ko) 감광성 수지 조성물 및 그것에 사용되는 감광성 수지의 제조방법
JP4978787B2 (ja) 感光性樹脂組成物及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂
JP5397651B2 (ja) 感光性樹脂組成物及び酸基含有重合性樹脂
JP5177503B2 (ja) 感光性樹脂組成物、及び新規酸基含有ビニルエステル樹脂
JP2010077283A (ja) 多分岐ポリエステル(メタ)アクリレート化合物
JP5720486B2 (ja) 感光性樹脂組成物
JP4882271B2 (ja) レジストインキ用樹脂組成物
JP4572753B2 (ja) レジストインキ組成物
JP3922415B2 (ja) エネルギー線感応性樹脂及びその組成物並びに硬化物
JP2003280189A (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物
JP5720487B2 (ja) 感光性樹脂組成物
JP5924185B2 (ja) ビニルエステル化合物、ビニルエステル樹脂、その製造方法、感光性樹脂組成物、その硬化物、及びレジストインキ
JP2010189464A (ja) 感光性樹脂組成物及びそれに用いる感光性樹脂の製造方法
JP2006171279A (ja) レジストインキ組成物
JP2000290327A (ja) 変性共重合体及び樹脂組成物
JP2004085984A (ja) 光硬化性組成物及び感光性熱硬化性樹脂組成物並びにその硬化物
JP5737054B2 (ja) 感光性樹脂組成物およびその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120322

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120404

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4978787

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250