JP5133667B2 - 残量検知センサおよびそれを用いたインクジェットプリンタ - Google Patents
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Description
例えば、インクジェットヘッドからインクを吐出して画像記録などを行うインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクにおけるインク残量をモニタし、残量が少なくなるとインク補給タンクからインクを補給したり、インクタンクが交換式カートリッジの場合にはインクタンクの交換時期が近づいたことを知らせたりするようになっている。そして、静電容量型の残量検知センサをインクタンクの外側に配置してインク残量を検知することが知られている。
例えば、特許文献1には、導電性のインクを貯蔵するインクタンクと、インクタンク内の量、あるいは有無を非接触で検出する電極と、電極間の静電容量を検出する検出回路とを備えたインクジェットプリンタ装置が記載されている。特許文献1の電極は、インクタンクを挟んで互いに対向する配置とされている。
また、特許文献2には、インクカートリッジの外側面に、センサ基板の片面に形成された2つの電極パターンからなる検出用電極を密着し、検出用電極の2つの電極パターンで計測された静電容量に基づいて、インクカートリッジ内のインクの残量に対応した出力電圧を得るようにした残量センサが記載されている。特許文献2の検出用電極は、インクカートリッジの一方の外側面に2個並列に配置した形態と、インクカートリッジを挟んで互いに対向する配置とした形態とが記載されている。
特許文献1、2に記載の技術では、容器内のインクの残量変化により検出電極間の静電容量が変化することを利用して残量検知を行っているが、容器の外側部に並列された2つの検出電極や、容器を挟む2つの検出電極では、検出電極の周囲に配置された他の導電性構造物や電気回路の影響を受けるため、周囲の環境変化などによって、静電容量が変化して計測誤差や、誤検知が生じてしまうという問題がある。
特に、インクジェットプリンタの場合、検知すべきインク残量の変化によるインクタンクの静電容量の変化は一般に非常に小さいため、これらの外部要因によるノイズが計測精度に与える影響は大きい。
また、インクジェットプリンタのインクタンクは、インクジェットヘッドの吐出制御やインクジェットヘッドの移動機構などを制御する電気回路に近接して配置されたり、記録媒体上で可動に保持されたり、可動部材に近接して配置されたりすることが多いため、これらの外部要因によるノイズの発生量も多くなっている。
さらに、インクジェットプリンタでは、カラー記録のため各色ごとにインクタンクが用意され、それらが並列して配置されているため、異なる色のインクタンクの検出電極同士が近接することになる。このため、隣接する他の残量検知センサの検出電極との間にも、静電容量が形成され、計測誤差を増大させる要因ともなっている。
このような周囲環境の影響を排除するため、残量検知センサとインクタンクとを、静電容量に影響する他の部材、他の残量検知センサなどから隔離して配置することも考えられるが、装置が大型化してしまうという問題がある。
この発明によれば、検知電極が、第1のガード電極に外周を取り囲まれた状態で、容器に対向して配置され、検知電極に対して少なくともこの検知電極を覆う範囲に、第1のガード電極と同電位とされた第2のガード電極が離間して対向配置される。その結果、検知電極の静電容量に対する、検知電極の側方、および第2のガード電極の位置する裏面側の部材配置や外部電界の影響が遮断もしくは低減される。そのため、検知電極の表面近傍に位置する容器および容器内の内容物の静電容量を高精度に検出することができる。
この発明によれば、第1のガード電極が、互いに離間した位置に複数設けられた検知電極のそれぞれの外周を取り囲む状態とされるので、各検知電極が互いの計測に影響を及ぼさない状態となる。そして、各検知電極により、それぞれの配置位置における内容物の残量を検知できるので、内容物の残量を複数の段階で高精度に検知することができる。
この発明によれば、参照電極は、第1および第2のガード電極の少なくともいずれかと、第3のガード電極との間の対向範囲内に挟まれることで、外部電界から遮蔽された状態とされ、検知電極および第1、第2のガード電極とで構成される検知部の側方または裏面側に一体的に配置される。そのため、参照電極の静電容量を計測することで、検知電極とともに参照電極が受ける環境要因の影響、例えば、残量検知センサ近傍の、温度や湿度などによる静電容量の変動を検出することができる。
このため、例えば、参照電極で検出された静電容量の変動を検知電極における静電容量の変動に換算して差分をとるなどして、環境要因によるノイズ成分を除去することが可能となる。
この発明によれば、参照電極が、第2のガード電極と同一平面に配置されるので、参照電極を第2のガード電極と第3のガード電極との間に配置する場合に比べて、より薄型の残量検知センサを構成することができる。
また、参照電極が、第2のガード電極と同一平面に配置される場合は、参照電極および第2のガード電極を多層プリント基板における同一層の導電パターンとして形成することができるので、層数の少ない多層プリント基板を用いることが可能となる。
この発明によれば、参照電極は、第2および第3のガード電極で挟まれることで、外部電界から遮蔽された状態とされ、検知電極および第1、第2のガード電極とで構成される検知部の裏面に一体的に配置される。そのため、参照電極の静電容量を計測することで、検知電極とともに参照電極が受ける環境要因の影響、例えば、残量検知センサ近傍の、温度や湿度などによる静電容量の変動を検出することができる。
このため、例えば、参照電極で検出された静電容量の変動を検知電極における静電容量の変動に換算して差分をとるなどして、環境要因によるノイズ成分を除去することが可能となる。
その際、第2のガード電極は、検知電極および第1のガード電極を覆う範囲に設けられており、かつ第3のガード電極は、第2のガード電極を覆う範囲に設けられているので、検知電極および参照電極に対する環境要因の影響をより確実に低減することができる。
この発明によれば、多層プリント基板上に、検知電極と第1および第2のガード電極からなるセンサ部と、残量検知回路とを一体に設けるので、検知電極からの配線が短縮され、ノイズに強い残量検出センサを構成することができる。
この発明によれば、多層プリント基板上の導電パターンとして検知電極、第1のガード電極、第2のガード電極、第3のガード電極、および参照電極を形成するので、検知電極と第1および第2のガード電極からなるセンサ部と、第1ガード電極または第2のガード電極と、第3のガード電極との間に挟まれた参照電極による参照コンデンサとが、一体に形成され、残量検知回路とを一体に設けられるので、検知電極からの配線が短縮され、ノイズに強い残量検出センサを構成することができる。
その際、残量検知回路をΔC−V変換回路で構成する場合に、参照電極によりノイズ、環境変動に強い参照コンデンサを形成することができるため、より高精度かつコンパクトな残量検知センサとすることができる。
この発明によれば、請求項1〜7のいずれかに記載の残量検知センサを備えるので、請求項1〜7のいずれかに記載の発明と同様の作用効果を備える。
本発明の第1の実施形態に係る残量検知センサについて、それを用いたインクジェットプリンタとともに説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る残量検知センサを用いたインクジェットプリンタの概略構成を示す模式的な構成説明図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る残量検知センサの配置状態を示す斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る残量検知センサの構成を示す斜視図である。図4は、図2のA−A断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る残量検知センサから出力電圧を取り出す残量検知回路の一例を示す回路図である。
そして、インクチューブ2によって、サブタンク3と接続され、サブタンク3からインク20の供給を受けることができるようになっている。
インクジェットヘッド1は、キャリッジ10の高さ方向の基準面である底面10aから高さhHの位置に固定されている。
サブタンク3の上部側には、インク20を主タンク9から導入するインクチューブ7が接続され、下部側には、貯留されたインク20をインクジェットヘッド1に供給するインクチューブ2が接続されている。
そして、サブタンク3は、キャリッジ10内の一定位置に固定されたセンサホルダ5に着脱可能に保持され、装着時にはセンサホルダ5に対して位置決め状態に固定される。
なお、簡単のため、以下の説明および図示ではサブタンク3は1個としているが、カラープリントを行う場合には、インク20の色数に応じて同様の構成の複数個のものが並列して配置される。
センサホルダ5の装着時の高さは、ヘッド面1aのインクノズルにおいて所定のメニスカス形状が形成されるように、サブタンク3内のインク液面20aがヘッド面1aより低くなるように設定されている。すなわち、キャリッジ10の底面10aから測った底面10aの高さhiは、hi<hHとされている。
残量検知センサ4の構成は、図2〜4に示すように、検知電極4aとガード電極4b(第1のガード電極)とからなる電極パターンと、ガード電極4d(第2のガード電極)とが、厚さdの誘電体層4cを挟んで対向配置されてなり、外形は、サブタンク3の側面の範囲内に収まるW1×H1の矩形状とされている。
本実施形態の残量検知センサ4は、両面プリント基板を用いて構成されている。すなわち、一方の基板面に導電パターンを、検知電極4aとガード電極4bとからなる電極パターンとして形成し、他方の基板面にガード電極4dをベタパターンで形成し、プリント基板の基材が、誘電体層4cとなるような構成としている。両面プリント基板の材質としては、例えば、ガラスコンポジット基板やガラスエポキシ基板などを採用することができる。
ガード電極4dは、検知電極4aおよびガード電極4bに対向されて、それぞれを覆って残量検知センサ4の外縁まで延ばされた導電層であり、不図示の配線により接地されている。
このため、図4に示すように、検知電極4aとガード電極4bとの間、および検知電極4aとガード電極4dとの間に、合成静電容量がCSとなるコンデンサが形成されている。
残量検知回路部11の回路構成は、検知電極4aの電位を必要な精度で検出できれば、どのような構成でもよいが、本実施形態では、一例として、図5に示すようなΔC−V変換回路を採用している。
残量検知回路部11によれば、電圧VOUTが、検知電極4aと参照コンデンサ31との間の静電容量の差ΔCに応じて発生する位相差量に対応するため、CS=Crefのとき、VOUT=0となっており、VOUTの値を用いてΔCを算出し、CS=Cref+ΔCとして、検知電極4aの静電容量を計測することができる。
本実施形態では、参照コンデンサ31の静電容量Crefは、サブタンク3においてインク液面20aのヘッド面1aに対する高さ方向の位置が、インクジェットヘッド1のインクノズルに所定のメニスカス形状が形成される最適位置L2に一致する場合の、検知電極4aの静電容量CS2に等しい値に設定されている。
ポンプ駆動制御部12は、残量検知回路部11の出力電圧VOUTから検知されるインク液面20aの位置に応じて、汲み上げポンプ8の駆動、停止、及び汲み上げ量を制御できる。
例えば、本実施形態におけるポンプ駆動制御部12は、VOUTが負の値を示すとき、すなわちインク液面20aが最適位置L2を下回っている場合には、汲み上げポンプ8を駆動し、VOUTが0以上を示すとき、すなわちインク液面20aが最適位置L2に達した場合には、汲み上げポンプ8を停止させるよう制御する。従って、インクジェットヘッド1がインク20を消費してインク液面20aが低下した場合に、自動的にインク20の補充が行われ、インク液面20aは常に最適位置L2に維持される。
主タンク9内のインク20は、汲み上げポンプ8によって汲み上げられ、インクチューブ7を介して、サブタンク3に供給される。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る残量検知センサにおける容器内の液面位置と、検知電極の静電容量との関係を示す模式的なグラフである。横軸は液面位置、縦軸は検出される静電容量を示す。図7(a)は、本発明の実施形態に係る残量検知センサが感知する静電容量の範囲を説明するための概念図である。図7(b)は、従来技術に係る残量検知センサが感知する静電容量の範囲を説明するための概念図である。
このため、検知電極4aのガード電極4d側の静電容量は一定であり、ガード電極4dの外方の電界はシールドされている。
したがって、検知電極4aの静電容量は、例えば、キャリッジ10の移動や他の可動部材などによってガード電極4dの外方の部材に対する位置関係が変化しても、影響を受けることがない。また、ガード電極4dの外方側に近接して電気回路が設けられていても、その電気回路で発生する電界の影響は遮断もしくは低減される。
一方、検知電極4aは、サブタンク3側の空間では、サブタンク3およびサブタンク3内のインク20とを介してガード電極4bに隣接している。
そのため、残量検知センサ4では、検知電極4aの静電容量は、図7(a)において二点鎖線で示す領域Pのような、検知電極4aの表面近傍のサブタンク3側の空間の誘電体の変化のみに影響される。
したがって、種々のノイズの影響が低減され、検知電極4aの近傍の静電容量を高精度に測定することができる。
その結果、本実施形態の場合と異なり、例えば、キャリッジ10の移動や他の可動部材などによって検知電極50aの外方の部材に対する位置関係が変化すると、検知電極50aの静電容量が変化してしまう。また、検知電極50aは、外方の電界がシールドされていないので、近傍に配置された電気回路の電界などの影響も受けてしまう。
具体的な数値例を挙げると、例えば、誘電体層4cがd=1mmの樹脂含浸ガラス繊維からなり、検知電極4a、ガード電極4b、4dがそれぞれ厚さ35μmの銅箔で形成され、外形がW1×H1=50mm×50mmで、その中央位置(すなわち、図3でa=16mm、b=5mm)に、W2×H2=16mm×38mmの検知電極4aを設けてなる残量検知センサ4であって、サブタンク3が肉厚1mmのポリエチレン製の肉厚1mmで、内容物が水性インクであるような場合、残量検知センサ4が検出する静電容量の範囲は、例えば、CS1=48pF〜CS3=55pFのような範囲となる。
このとき、インクジェットヘッド1から吐出されるインク20の量はきわめて微量であり、インク液面20bの変動による静電容量の変化もまたきわめて小さいが、本実施形態では、計測ノイズを低減することができるので、正確な液面制御を行うことができる。
このため、インクジェットヘッド1によってインク20が消費されても、サブタンク3のインク液面20aの高さをL2に安定させることができる。その結果、良好なインクジェットヘッド1のインクノズルに安定したメニスカスを形成することができ、良好な画像記録を行うことができる。
本発明の第2の実施形態に係る残量検知センサについて説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る残量検知センサの構成を示す斜視図である。図9は、本発明の第2の実施形態に係る残量検知センサの配置状態を示す側面視の断面図である。図10(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る残量検知センサにおける容器内の液面位置と、検知電極の静電容量との関係を示す模式的なグラフである。横軸は液面位置、縦軸は検出される静電容量を示す。
残量検知センサ4Aは、図1に示すように、例えば、上記第1の実施形態のインクジェットプリンタ100において、主タンク9の側面の外側に配置され、主タンク9側の静電容量を計測することにより、インク液面20bの高さが所定範囲内にあるかどうかを検知することにより、主タンク9内のインク20の残量を検知するものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
このため、図9に示すように、検知電極40a、40bと、ガード電極40cおよびガード電極4dとの間には、それぞれ合成静電容量がCa、Cbとなるコンデンサが形成されている。
それぞれの静電容量Ca、Cbは、上記第1の実施形態の残量検知回路部11と同様の電気回路によって計測することができる。
したがって、上記第1の実施形態の検知電極4aと同様に、検知電極40a(40b)の静電容量は、図9において二点鎖線で示す領域Pa(Pb)のような、検知電極40a(40b)の表面近傍のサブタンク3側の空間の誘電体の変化のみに影響される。
そのため、インク液面20bが、検知電極40aの下端および上端位置近傍の高さをL1、L2とし、検知電極40bの下端および上端位置近傍の高さをL3、L4としたとき、検知電極40a、40bの静電容量の変化は、図10(a)、(b)の曲線201,202にそれぞれ示すような変化を示す。
すなわち、検知電極40bの静電容量は、インク液面20bが高さL3より小さい場合は、インク20が領域Pbに入らないため相対的に小さな値Cb1が計測され、インク液面20bが高さL3〜L4の間では、インク液面20bの高さに応じてCb1からCb2まで略直線的に増大する。そして、インク液面20bが高さL4以上では、検知電極40bの検知範囲すべてにインク20が満たされるため、一定値Cb2が計測される。
同様に、検知電極40aの静電容量は、インク液面20bの高さがL1からL2の間で、Ca1からCa2まで略直線的に増大し、高さL2以上で一定値Ca2が計測される。
また、特に、高さL1〜L2の範囲、および高さL3〜L4の範囲では、それぞれ検知電極40b、40aの静電容量によって、インク液面20bの高さを計測することができる。
その際、上記第1の実施形態と同様に、種々のノイズの影響が低減されるので検知電極40a、40bの近傍の静電容量を高精度に測定することができる。
また、インク20を主タンク9に補給する場合に、インク液面20bの高さを検知して、補給量の限度が近づいたことを警告することができる。
本発明の第3の実施形態に係る残量検知センサについて説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る残量検知センサの電極配置を示す斜視分解図である。図12は、本発明の第3の実施形態に係る残量検知センサの構成を示す側面視の断面図である。
ガード電極41eは、ガード電極4dと同形状、同材質の導電層であり、ガード電極4dに対して検知電極4aと反対側に対向配置され、不図示の配線により接地されている。
ガード電極4dとガード電極41eとの間には、誘電体層4cと同材質の誘電体層41bが配置されている。
参照電極41aは、ガード電極4d、41eよりも小さな面積を有する導電層からなり、誘電体層41b中に、ガード電極4d、41eの離間方向の中間位置、かつそれらの面方向の略中央部に配置され、不図示の配線により電位検出が可能となっている。
参照電極41aの面積、ガード電極4d、41eの離間距離などは、参照電極41aの静電容量が一定値Crefとなるように設定される。
したがって、本実施形態の残量検知センサ4Bは、検知電極4a、ガード電極4b、ガード電極4d、41eをそれぞれ電極パターンとする多層プリント基板によって構成することができる。この場合、誘電体層41bは、多層プリント基板の基材によって形成される。
このように設定された参照部41Bは、上記第1の実施形態の残量検知回路部11の参照コンデンサ31の代わりに用いることができる。
この場合、参照部41Bは、検知部41Aと一体化され、同材質から構成されているから、環境条件の変化、例えば温度や湿度などの変化があって静電容量が変化する場合に検知部41Aと同様に変化することになる。その結果、環境条件が変化しても、それらの差分であるΔCは、環境条件の影響がキャンセルされた状態で取得され、高精度な計測を行うことができる。
これに対して、第1の実施形態のように、残量検知センサ4と離れた位置に配置され、残量検知センサ4と異なる構成を有する参照コンデンサ31を用いる場合、仮に、Crefの値を最適状態のCSの値に正確に一致して競ってできたとしても、環境条件が変わると、それぞれ材質や構成が異なる残量検知センサ4と参照コンデンサ31とでは、静電容量がそれぞれ独立に変化してしまう。その結果、ΔCの検出誤差は、本実施形態の残量検知センサ4Bを用いる場合に比べて大きくなるものである。
図13は、本発明の第3の実施形態の変形例の残量検知センサの概略構成を示す模式的な斜視図である。
残量検知回路部43は、上記第1の実施形態の残量検知回路部11において、参照コンデンサ31として、参照部41Bを用いた構成を採用することができる。
このような本変形例の残量検知センサ4Cによれば、残量検知回路部43が、センサ部42と近接して一体化されるので、検知電極4a、参照電極41aから残量検知回路部43までの配線を短縮し、かつ多層基板の配線パターンを利用して容易にシールドすることができる、配線を通した信号劣化、ノイズ混入を低減することができる。
そのため、上記第1、第3の実施形態に述べた作用効果と相俟って、より高精度かつコンパクトな残量検知センサとすることができる。
この場合、ガード電極4dにより、検知電極4aに対する残量検知回路部43の電界の影響を遮断することができる。
すなわち、第1および第2のガード電極と同電位とされ、第2のガード電極に対して、容器と反対側に離間して対向配置された第3のガード電極と、第2のガード電極と、第3のガード電極との間の対向範囲内に、挟まれて配置された参照電極とを備えた残量検知センサの例になっている。そして、参照電極が検知電極および第1、第2のガード電極とで構成される検知部の裏面側に一体的に配置されることで、参照電極が検知電極とほぼ同じ環境条件となるように一体化されているものである。
なお、多層プリント基板の場合、一般に誘電層41bは参照電極41bに沿う薄層の接合層を介して接合されるが、図12は模式図のため、接合層の図示を省略している(以下の断面図も同様)。
本発明の第4の実施形態に係る残量検知センサについて説明する。
図14は、本発明の第4の実施形態に係る残量検知センサの電極配置を示す斜視分解図である。図15は、本発明の第4の実施形態に係る残量検知センサの図14のB−B線に沿う断面図である。
検知電極4aの背後およびガード電極44bの背後(容器と反対側)には、それぞれ誘電体層4cを挟んで、ガード電極44dおよび参照電極44eが配置されている。
ここで、検知電極4aは、ガード電極44bの中心から外れた位置に配置されており、ガード電極44dは、検知電極4aの背後にあって少なくとも検知電極4aを覆う範囲に配置されている。
したがって、残量検知センサ4Dの外形は、サブタンク3の側面の範囲内に収まるW1×H1の矩形状とされている。
また、誘電体層4cは、第1層の導電パターンと第2層の導電パターン間の絶縁層により構成され、誘電体層41bは、第2層の導電パターンと第3層の導電パターン間の絶縁層により構成されている。
このように設定された参照部44Bは、上記第1の実施形態の残量検知回路部11の参照コンデンサ31の代わりに用いることができ、第3の実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、ガード電極44dと参照電極44eとを同一平面内に設けていることから、検知電極4a、ガード電極44b、44d、41e、および参照電極44eを多層プリント基板の導電パターンで構成する場合に、ガード電極44dと参照電極44eを、同一層の導電パターンで構成することができ、従って、多層プリント基板の層数の減少を図ることができる。
そのためには、参照電極44eの幅W1方向の位置は、検知電極4aとガード電極44dとで構成されるコンデンサの影響を受けない程度に、検知電極4aに近接された位置とすることが好ましい。また、参照電極4eの長辺方向の長さは、ガード電極4bと同程度の長さであることが好ましい。
すなわち、第1および第2のガード電極と同電位とされ、第1のガード電極に対して、容器と反対側に離間して対向配置された第3のガード電極と、第1のガード電極と、第3のガード電極との間の対向範囲内に、挟まれて配置された参照電極とを備えた残量検知センサの例になっている。そして、参照電極が検知電極および第1、第2のガード電極とで構成される検知部の側方に一体的に配置されることで、参照電極が検知電極とほぼ同じ環境条件となるように一体化されているものである。
本発明の第5の実施形態に係る残量検知センサについて説明する。
図16は、本発明の第5の実施形態に係る残量検知センサの電極配置を示す斜視分解図である。図17は、本発明の第5の実施形態に係る残量検知センサの図16のC−C線に沿う断面図である。
本発明の第6の実施形態に係る残量検知センサについて説明する。
図18は、本発明の第6の実施形態に係る残量検知センサの電極配置を示す斜視分解図である。図19は、本発明の第6の実施形態に係る残量検知センサの図18のD―D線に沿う断面図である。
そして、検知電極4aをガード電極4bの中央に配置することで、ガード電極44dの両側方に形成されているスペースにおいて、ガード電極4bの背後でガード電極4bに覆われる範囲に、誘電体層4cを挟んで2つの参照電極46eが配置されている。また、各参照電極46eおよびガード電極44dの背後には、誘電体層41bを挟んでガード電極41eが配置されている。
また、ガード電極4b、44d、41eは、不図示の配線によりそれぞれ接地され、同電位とされている。そして、図19に示すように、検知電極4aとガード電極4bとの間、および検知電極4aとガード電極44dとの間に、合成静電容量がCSとなるコンデンサが形成されている。また、各参照電極46eとガード電極4bとの間、および、各参照電極46eとガード電極41eとの間に、合成静電容量がCrefとなる参照コンデンサが形成されている。
このため、第4の実施形態と同様にして残量検知の計測を行うことができる。
その際、参照部46Bが検知部46Aの両側方に設けられていることにより、検知電極4aの短手方向の両側方における環境条件の影響が、それぞれの参照部46Bにも略同様に及ぶことから、検知部46Aの両側方側で、環境条件が異なることがあっても、残量検知の検知精度への影響を低減することが可能となる。そのため、高精度の残量検知を行うことができる。
本発明の第7の実施形態に係る残量検知センサについて説明する。
図20は、本発明の第7の実施形態に係る残量検知センサの電極配置を示す斜視分解図である。図21は、本発明の第7の実施形態に係る残量検知センサの図20のE−E線に沿う断面図である。
このため、第6の実施形態と同様にして残量検知の計測を行うことができる。
その際、参照部47Bは検知部47Aの外周側を囲んでいるので、検知電極4aの外周部に環境条件の影響が、参照部46Bにも略同様に及ぶことから、検知部47Aの外周部で、環境条件が異なることがあっても、残量検知の検知精度への影響を低減することが可能となる。そのため、高精度の残量検知を行うことができる。
例えば、第1の実施形態の残量検知センサ4を、主タンク9のインク残量を検知するために用いてもよい。
また、残量検知センサ4を多層プリント基板で構成したり、さらに、同一基板上に残量検知回路部11を設けたりしてもよい。この参照コンデンサ31は、残量検知センサ4の構成と異なるため環境変動の影響は異なるが、配線が短くなるためノイズに残量検知センサとなる。
また、上記第1の実施形態のインクジェットプリンタ100の残量検知センサ4に代えて、上記第4〜第7の実施形態の残量検知センサ4D、4E、4F、4Gを用いることができる。またこれらの各電極配置の構成は、上記第2の実施形態の残量検知センサ4Aに対しても適用することができる。
この場合、第2のガード電極の位置や、誘電層の誘電率の違いなどに応じて、参照部のそれぞれの静電容量は変化する可能性があるが、その場合には、第2のガード電極の面積などを適宜設定することにより、合成静電容量を、上記各実施形態と同様なCrefにすることは容易である。
3 サブタンク(インクタンク、容器)
4、4A、4B、4C 残量検知センサ
4a、40a、40b 検知電極
4b、40c、44b ガード電極(第1のガード電極)
4c、41b 誘電体層
4d、44d ガード電極(第2のガード電極)
5 センサホルダ
6 押圧バネ
8 汲み上げポンプ
9 主タンク(インクタンク、容器)
10 キャリッジ
11、43、45B 残量検知回路部(残量検知回路)
12 ポンプ駆動制御部
20 インク(容器の内容物)
20a、20b インク液面
31 参照コンデンサ
41a、44e、46e、47e 参照電極
41e ガード電極(第3のガード電極)
41A、44A、46A、47A 検知部
41B、44B、46B、47B 参照部
42 センサ部
100 インクジェットプリンタ
VOUT 出力電圧(残量検知出力)
Claims (4)
- 容器の外側に配置して前記容器の内容物の残量を検知する残量検知センサであって、
前記容器に対向して配置する検知電極と、
該検知電極の外周を取り囲む状態で、前記検知電極と同一平面に配置された第1のガード電極と、
前記検知電極に対して少なくとも該検知電極を覆う範囲に離間して対向配置され、前記第1のガード電極と同電位とされた第2のガード電極と、
前記第1および第2のガード電極と同電位とされ、前記第1および第2のガード電極の少なくともいずれかに対して、前記容器と反対側に離間して対向配置された第3のガード電極と、
前記第1のガード電極または前記第2のガード電極と、前記第3のガード電極との間の対向範囲内に、挟まれて配置された参照電極とを備え、
前記参照電極は、前記第1のガード電極と前記第3のガード電極との間の対向範囲内に挟まれて配置され、前記第2のガード電極と同一平面に配置され、
前記第1および第2のガード電極の電位を基準電位として、前記検知電極で計測される静電容量に基づいて、前記容器の内容物の残量を検知できるようにしたことを特徴とする残量検知センサ。 - 前記検知電極は、互いに離間した位置に複数設けられ、
前記第1のガード電極は、前記複数の検知電極のそれぞれの外周を取り囲む状態とされ、
前記複数の検知電極でそれぞれ計測される静電容量に基づいて、前記容器の内容物の残量を複数の段階で検知できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の残量検知センサ。 - 前記検知電極、前記第1のガード電極、前記第2のガード電極、前記第3のガード電極、および前記参照電極は、多層プリント基板の導電パターンとして形成され、
前記多層プリント基板上に、前記検知電極の静電容量を計測して残量検知出力を発生する残量検知回路を一体に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の残量検知センサ。 - インクを吐出するインクジェットヘッドと、
該インクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクと、
該インクタンクの外側に配置された請求項1〜3のいずれかに記載の残量検知センサとを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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