JP5131706B2 - 減衰全反射(atr)分光方法 - Google Patents

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Description

本発明は、減衰全反射(Attenuated Total Internal Reflectance)(ATR)を利用する分光法に関するものである。
ATRとは、透過または反射のような他の手段によって分析が困難である試料からスペクトル測定値を入手するために、FT−IR(フーリエ変換赤外)分光法のような分光法で使用される技法である。典型的には、ATR測定を実施する装置は、波長識別を行う分光計と、光を試料上に誘導する照明システムと、試料平面を設けるATR光学要素と、試料と相互作用した光を受け取る集光/検出システムとを備える。ATR光学要素は、指定された試料平面からのすべての入射光を全反射現象によって反射するような様態で配置される。試料に関するスペクトル情報は、試料が反射表面の直ぐ外側に存在するエバネッセント(evanescent)電場と相互作用することから引き出される。この電場からのエネルギーの吸収が反射を減衰させ、光ビームにスペクトル情報を付与する。
撮像用ATRシステムは、これらの原理に基づいて、試料の領域を照明するように配置することによってかつ撮像特性を有するように集光システムを配置することによって構成されうる。試料の空間的に別個の領域から戻ってくる光が、検出器または1次元もしくは2次元の検出器アレイのような検出器アレイの上で回収され、このようにして試料のスペクトル画像に集積されうる情報が収集される。
撮像用のATRシステムは、パーキンエルマー・スポットライト(Perkin Elmer Spotlight)顕微鏡のような反射率顕微鏡の形態で構築されうる。このような配置では、撮像光学要素によって光が反射性試料の上に誘導されかつそこから回収される。このようなシステム用のATR光学要素が、ゲルマニウムのような高屈折率材料から作製された半球平凹レンズを適宜に備える。この光学要素は、凸状球形表面が顕微鏡光学要素に向けられるように配置され、その球形表面の曲率の中心が撮像システムの焦点面と一致するように配置されている。試料は、ATR光学要素の平坦表面に提示される。
顕微鏡は可動ステージを含み、このステージは、プロセッサ制御下でステージをx、y、およびz方向へ移動させるための関連するモータを有する。撮像は、小さい線形アレイ検出器を使用して、かつステージを物理的に移動させ、したがって結晶/試料の組合せを顕微鏡の光軸に対して横方向へ移動させて実施される。ステージが移動されるとき、画像は、検出器によって試料の異なる部分から検出可能であり、このような様態で空間画像が集積される。
この種の配置に生じる幾つかの要件および問題が存在する。試料の対象となる領域は、通常では視覚的に識別され、かつ顕微鏡の視野のほぼ中心に配置されなければならない。これは、ATR結晶が通常では可視光に不透明であるゲルマニウムのような材料から作製されるので、通常ではその除去を意味する。
ATR結晶は、その試料接触面が試料に密着して配置されなければならない。これは、合焦している赤外線画像を実現する際の問題につながりうる。試料は、結晶が試料と接触した状態にされるときに移動する恐れがある。また結晶は、その形状のために脱焦を引き起こす恐れがある。例えば、結晶の厚さが、その曲率半径と厳密に同じではない場合である。その影響は、結晶の材料が約4の高屈折率を有するので増幅される。したがって、わずかな製造誤差が重大になりうる。
欧州特許出願公開第0730145号明細書 欧州特許出願公開第0819932号明細書
本発明は、以上のおよび他の問題を克服しようとする、ATR分光システムのための配置における改良に関するものである。
本発明の第1の態様によれば、ATR測定を実施するように配置された顕微鏡用の付属品が提供され、該付属品は、顕微鏡の可動ステージ上に取り付けられうる支持体と、該支持体の上に担持された、ATR結晶を取り付ける取付け部材とを備え、該取付け部材は、この部材が、取付け部材上に取り付けられた結晶が顕微鏡の光軸と位置合わせされる位置と結晶が光軸から変位される位置との間で移動されうるように、支持体の上に取り付けられかつ配置される。
取付け部材は、一端が第1の案内ピン上に旋回式に支持された細長いアームを備えることが可能であり、該アームは、取付け部材の該移動を可能にするために該ピン回りに旋回される。
アームの他端は、結晶が該光軸上に位置する位置に取付け部材が配置されるとき、支持体部材によって担持された第2のピンに係合する開口部を有しうる。
アームは、該旋回移動を可能にするために該他端が第2の案内ピンから離れるように、第1の案内ピンの軸に沿って持ち上げられうる。
制動機構が、アームの該一端と該第1のピンとに関連し、該制動機構は、結晶が該光軸と位置合わせされるそのアームの位置に該アームが戻されるとき、第1の案内ピンに沿ってこのアームの制御された降下を許容するように動作可能である。
制動機構は、該アームによって担持されかつ該第1の案内ピンの周囲に位置して、該第1の案内ピンの直径よりもわずかに大きい内径を有するリングと、このリングの円周部分が案内ピンの表面部分に摩擦係合するように、該リングを付勢(バイアス)するように動作可能な付勢手段と、該摩擦係合を低減または解除し、それによって案内ピンに対するリングの軸移動を可能にするために、該付勢手段に対抗して作用するように動作可能な手操作可能な手段とを備えることができる。
取付け部材は、結晶の試料係合表面の検査、例えば、結晶が損傷を受けたりまたは汚染されたりしていないかの検査を可能にするために、取付け部材が、その取付け台から取り外されて、その長手軸回りの回転によって裏返しにされうるような様態で担持されうる。
本発明のこの態様は、可動取付け部材の使用によって、結晶が取り出され、後段でその元の位置に精確かつ再現可能に戻されうるように、結晶が顕微鏡ステージ上に取り付けられることを可能にする。
本発明の第2の態様によれば、ATR測定を実施するように配置された顕微鏡用の付属品が提供され、該付属品は、顕微鏡の可動ステージ上に取り付けられうる支持体と、試料接触領域を有するATR結晶が内部に取り付けられる取付け部材と、この結晶が試料接触領域に対して固定されるように配置された位置決め標示とを含む。結晶は、該接触領域に対向する概ね半球状の表面を有し、該位置決め標示は、この半球表面の頂点領域に配置されうる。この標示は、半球表面上の平坦部または半球状の表面上の標識を備えうる。
本発明の第3の態様によれば、該第2の態様に係る付属品が設けられた顕微鏡を動作させる方法が提供され、該顕微鏡は可動ステージの移動を制御する処理手段を含み、該処理手段はATR結晶の高さに関する所定のパラメータを内部に記録しており、該方法は、位置決め標示に焦点を合わせるために最初に顕微鏡のステージを移動させるステップと、該試料接触領域に接触する試料に焦点を合わせるために、該パラメータによって画定された所定の垂直距離だけステージを移動させるステップとを含む。
本発明の第4の態様によれば、該第2の態様に係る顕微鏡に使用するATR結晶を較正する方法または該第3の態様の方法に係り、該顕微鏡のスペクトル範囲内で強力な吸収を呈しかつATR結晶によって接触されるときに鮮鋭な空間縁部を創出する幾何学的形状を有する試験試料を選択するステップを含む方法が提供され、該方法は、結晶の試料接触領域を試験試料に接触させるステップと、結晶の最初の垂直位置で試験試料の赤外線画像を獲得するステップと、該縁部に関する傾き情報を抽出するために画像を処理するステップと、結晶の異なる垂直位置に関して、この処理を繰り返すステップと、最適の垂直位置を最適の傾きを呈する位置として識別するステップと、該識別された最適位置にしたがって該結晶に関する較正パラメータを導出するステップとを含む。
この処理は、試験試料が強力に吸収する波長における吸光度の空間マップを抽出するために、垂直位置ごとに、獲得された画像をスペクトル・フィルタリングするステップを含みうる。
本方法は、該波長における吸光度マップの空間的に鮮鋭な特徴構造を横切る断面を抽出するステップを含みうる。
本方法は、該傾きデータを抽出するために断面を微分するステップと、画像中の認識可能な特徴構造に関する最大の傾きを測定するステップとを含みうる。
テキスト試料は、微細エンボス加工された重合体、例えば、バイキュイティ(Vikuiti)(商標)輝度強化フィルムのようなプラスチック材料でよい。
本発明の第2、第3、および第4の態様は、顕微鏡に対する結晶の最適位置の確定を可能にしかつ結晶の製造誤差に対処しうる容易さを提供する。本発明は、試料の厚さに関わらず再現可能な様態で、合焦された赤外線画像を実現するために、結晶を最適な垂直位置に位置決めすることができる。
本発明の第5の態様によれば、ATR測定を実施するように配置された顕微鏡用の付属品が提供され、該付属品は、顕微鏡の可動ステージ上に取り付けられうる支持体と、ATR結晶を取り付けるために該支持体の上に担持された取付け部材と、ATR結晶の位置の下方に配置されて、試料が受けられうる表面を有する試料支持部材と、該試料支持部材の下方に配置されて、圧力を該試料支持部材に該結晶の方向へ圧力を加える加圧手段とを含む。
加圧手段は、球形部材であって、この部材を介して圧力が該試料支持部材に加えられる球形部材を含みうる。これは、不規則な試料に適応するために支持部材の限定的な傾動を可能にする。
加圧手段は、ばね付勢手段を含みうる。
ばね付勢手段は、ばねによって結晶に向かって圧迫されるプランジャを含みうる。
球形部材はボール・ベアリングでよく、該プランジャは該ボール・ベアリングに接触する。
付属品は、該プランジャに結合されたラック・アンド・ピニオン配置を含むことが可能であり、該ラックは、ピニオンを回転させてプランジャの軸移動を引き起こし、それによって試料支持部材に圧力を加えるかまたは解放するように手操作可能である。
試料支持部材に印加されうる圧力は、調節可能である。
試料支持部材を介して圧力が作用し、この試料支持部材の領域は、圧力が印加される箇所が可能な限り結晶に近接することを保証するために相対的に薄い。
本発明のこの態様は、試料が結晶の試料接触表面と適切な接触状態に保持されていることを保証する簡素でかつ効果的な手段を提供する。
本発明の第6の態様によれば、ATR測定を実施するように配置された顕微鏡用の付属品が提供され、該付属品は、顕微鏡の可動ステージに固定されうる支持体と、ATR結晶を取り付けるために該支持体によって担持された取付け部材と、ATR結晶の位置の下方に配置されて、試料受け表面を画定する試料支持部材とを備え、該試料支持部材は、この部材がATR結晶に対して移動可能でありかつ顕微鏡の主ステージに対して移動されうる副ステージを画定するように該支持体の上に担持される。
試料支持部材は、平坦な上方表面と側方表面とを備えることが可能であり、該付属品は、支持体の上で試料支持部材の位置を調節する位置調節手段を含む。
位置調節手段は、部材を付勢ばねに対抗して押圧するように作用する1対のねじを備えうる。
これらのねじは、直交方向に沿って作用するように配置可能であり、該ばねは、該方向の二等分線に沿って作用するように配置される。
各ねじが対接して作用する表面は、結晶を通る軸に対してわずかな角度を成すことが可能であり、それによって各ねじは、試料支持部材を支持体に向かって加圧するように作用する。
本発明の態様は、顕微鏡の主ステージの先行する設定にいずれも影響を与えることなく、試料の位置が調節されることを可能にする副ステージを提供する。
以上に画定された本発明の様々な態様の特徴は、それらの任意の組合せで使用されうることが理解されよう。
ここで添付の図面を参照して、本発明が実施例としてのみ説明される。
図1を参照すると、本図は、FT−IR顕微鏡の主要素を示すが、これらは視野/IRミラー11の上方に配置される光学顕微鏡10を含み、このミラーは次ぎに、遠隔開口12の上方に配置される。対物カセグレン・アセンブリ16および集光器カセグレン・アセンブリ18の上方に位置決めされる透過/反射(ハーフ)ミラー14が、遠隔開口12の下方に配置される。分析用試料の位置を画定する可動ステージ20が、この2つのカセグレンの間に配置される。集光器カセグレン18の下方には、放射を結合光学要素24から誘導する平坦ミラー22が配置され、この結合光学要素自体は、放射源からの放射を受け取るように構成されている。この種の顕微鏡は、反射率測定および透過率測定の両方に使用されうる。集光器カセグレン18および平坦ミラー22は、主として透過率測定用に使用される。反射率測定では、結合光学要素24が、放射を透過/反射(ハーフ)ミラー14に誘導するように傾動され、このミラーは、次いで対物カセグレン16を介して下向きに、放射の実質的部分を試料の上へと誘導する。放射は、試料から反射されて対物カセグレン16を介して戻ってくる。それは、本発明の実施形態に係る反射率モードである。また本装置は、検出器と、図示されていないIR分光計と連携して分光分析を実施するために使用されるカセグレン配置26とを含む。この種の配置の動作は当業者に知られており、ATR結晶と連携して使用されるこのような配置の動作に関するさらなる詳細が、特許文献1および特許文献2に見いだされうる。
本説明は、ATR撮像測定の実施を可能にするために顕微鏡の可動ステージ20の上に配置されうる付属品に関する。図面の図2から9を参照すると、付属品の実施形態が、ねじ43によってブラケット42に連結されるベースプレート40の形態にある支持体を備える。ベースプレート40は、顕微鏡の可動ステージ20の中に形成された凹部22の中に位置する。ステージ20は、プロセッサ制御下で、当業者に知られている適切なモータによってx、y、およびz方向へ移動可能である。ベースプレート40は、図面に示されていないねじによって凹部22の中で定位置に保持される。ブラケット42は、付属品をステージ20の上に配置したりまたはそこから除去したりするときに、この付属品を保持する手段となる。
ベースプレート40の下方表面は44が凹部になっており、穴45がベースプレートを貫通して凹部44と連通する。
ベースプレート40の上方表面は、試料支持部材を備えるアンビル60を支持する。アンビル60は、一般に平面視が円形であり、カラー62の中の円形開口部の内部に配置される。図2で分かるように、カラーの外縁は概ね正方形であり、カラーの中の内方円形開口部は、アンビルがカラーの範囲内で限定的な程度に移動できるように、アンビルの外方円形表面よりもわずかに大きい。
このアンビルは、相対的に厚い環状側壁63と相対的に薄い上部壁64とを有する。凹部65が、上部壁64と側壁63との間に画定される。アンビルの上部表面は着脱可能なプレート67を担持し、このプレート65の上部表面は試料支持表面を構成する。突起66が、カラーの張出し部分の直下に位置するように壁62から外向きに径方向へ延びる。この配置は、アンビルのわずかな垂直移動を可能にする。
このアンビルは、カラーの前部に向かって配置された2本の手操作可能な調整ねじ70、71と、カラーの後部に配置されたばね74(図4)とによってカラーの内部で定位置に保持される。このばねは、ねじ75によって定位置に保持される。ねじ70、71は、これらの軸がアンビルの軸に向かって直交するように延び、ばね74は、ねじの軸間の角度の二等分線に沿って作用するように設計される。したがって、ねじ70、71を手操作することによって、カラー62の範囲内でアンビルを移動させることが可能である。各ねじはアンビルの表面に対接して作用するように配置され、この表面は、アンビルを通る軸に対してわずかに角度を成して傾斜している。ばね74もわずかに角度を成して作用するように配置され、この配置は、アンビルをベースプレート40に向かって押し付けるように作用する小さい垂直方向の力が付与されることを保証する。
上で説明されたアンビル配置は、顕微鏡自体の電子可動式ステージ20に対して移動されうる副ステージを構成する。
圧力を上部壁64の下側に加える加圧機構80が、アンビル60の下方に配置される。この加圧機構は、雌ねじ山が切られかつベースプレートの穴45の内部に位置する管状挿入体81を含む。ねじ山付き挿入体81は、その上方端に、ボール案内83の中に配置されるボール・ベアリング82を収容する。このボール・ベアリングは、トップハット型プランジャ85を介してボールを押し付けるばね84によって上向きに付勢されて上部表面64の下側と接触する。このプランジャ85は、管状挿入体81内部のねじ山付きプランジャ案内管86の中に配置されて、凹部44の中へ下向きに延びる。このばねは、ばねの予圧を調節するために使用されうるねじ89によって案内86の中に保持される。
ピニオン歯車90が、案内管86の下方端の周囲に固定されかつねじに連結される。ピニオン歯車90は、心棒93回りに回転できるアイドルギア92を介してラック91に結合される。ラックは、図2に示された手操作可能なノブ94によって長手方向へ移動可能である。このラックが長手方向へ移動されるとき、これはピニオン歯車90の回転を引き起こし、これが次ぎに管状挿入体81の内部で、ばねプランジャ保持案内管の対応する回転を引き起こす。ラックの移動方向に応じて、保持案内管86の回転は、この管86を上昇または下降させ、それによってボール82を介して持上げ力をアンビルに加えたり、またはアンビルを下降させたりする。
ATR結晶用の取付け台が、アンビル60の上方に担持される。この取付け台は、その両端が支持された細長いアーム100を備える。このアームは環状構成体102を備える第1の端部101を有するが、この構成体は、その内部に1対の軸受筒が配置されて、ベースプレート40の上に担持された案内ピン103の回りに位置する。またアームは、段付き側面を有する開口105を備える中心部分を有する。この開口は、図4に示されているATR結晶106のための位置決めを備える。
このアームは、第1の端部の水準よりも低い水準に配置される第2の端部108を有する。第2の端部108は、ベースプレート40の上に担持された第2の案内ピン110を受け入れできるL字形溝穴109を有する。固締ねじ111が、アーム100を案内ピン上の定位置に固締するために設けられる。
アーム100の第1の端部101には、案内ピン103と連携して動作する制動機構が設けられる。図9を参照すると、環状構成体102が、上方部分および下方部分151および152を備える分割内部軸受筒150を有する。剛性制動リング153が、軸受筒部分151と152との間に配置される。この制動リングの内径は、案内リング103の外径よりもわずかに大きい。リング153は、ばね保持体と制動解除止め156とによって環状構成体102の中で定位置に保持されるばね155によって、通常は付勢されてピン103と接触している。環状構成体102の中に拘束保持される制動解除ボタン158が、ばねと正反対に設けられている。ボタン158の径方向内端は、制動リング153に対接して位置する。ボタン158が押されるとき、リング153は、その部分がピン103と接触しない位置に径方向へ移動され、よって制動効果を解除する。機構156は、リング153が移動されうる範囲を限定する。
図8を参照すると、環状構成体102は、ピン103から径方向へ離間されている軸方向へ延びる穴160も含む。穴160は、アーム100が図2に示された位置にあるとき、ベースプレート40上に担持された直立支持ピン162を受け入れる。穴160がピン162から離れるように、アーム100がピン103の軸に沿って持ち上げられると、アーム100は、図2に示された位置から離れて案内ピン103回りに旋回されうる。次いでピン162は、アーム100をその持ち上げられた位置に保持するために、このアームの下側に接触することができる。アーム100は、旋回されて図2に示された位置に戻され、ピン162と穴160とが位置合わせされるとき、その元の位置まで下げられうる。溝穴109の中の案内ピン110の位置と連携するピン162および穴160の配置は、アーム110の精確かつ再現可能な位置決めを保証するものであり、したがって顕微鏡の光軸上における結晶106の精確かつ再現可能な位置決めを保証する。
結晶106は概ね半球形であり、ゲルマニウムから作製される。その下方表面は概ね浅い円錐の形態にあり、試料接触領域を構成する平坦な中心領域112を有する。結晶106は、アーム100の中の開口部105内部に保持される取付けリング108の内部に接着される。このアームは、使用されていないときに結晶を覆う滑動式塵埃カバー(図示せず)を含みうる。
使用に際して、結晶は、試料接触領域112の中心が実質的に顕微鏡の焦点にあるように、顕微鏡に対して位置決めされる。ATR結晶がATR撮像用に使用されることになる場合には、結晶設計の最適化が重要である。単純な透過率または反射率撮像とは異なり、ATR撮像を実施するときには、より広い照明野が必要とされる。さらには、走査を伴う撮像システムの場合に、恐らくは照明が視野にわたって非均一になりうるので、効果的で明確な画像が入手されるべきであれば、何らかの補償がこれに実施されなければならない。これはソフトウェアで実現されうるが、本発明者によって実施された光学的モデル化作業によって、結晶の曲率半径が照明の均一性に影響することが証明された。指定画像領域にわたるばらつきが最小化可能でありかつ処理能力が維持されるような最適半径が、照明光学要素および検出器の所与の配置に関して存在することが判明した。本技法によって、6.75mmの結晶半径が、図面に示された配置には最適であることが証明された。この図は、偏光効果を考慮する適切な想定と共に光線追跡技法を使用することによって達成されうる。この手順を実行することによって、ATR光学要素に関する小さい曲率半径では、試料領域の中心から受け取られたエネルギーは高いが、他の部分から受け取られたエネルギーは相対的に低いことが判明した。したがって、たとえ試料自体が空間的に均一であっても、試料の画像は、輝度が高度に空間的に非均一である。ATR光学要素の曲率半径の増大が可能であるとき、試料領域にわたる信号の均一性は、中心からの信号と縁部からの信号とがほぼ等しくなる点まで向上する。この様態で画定された照明の均一性は、最適な曲率半径を選択するための尺度として使用されうる。曲率半径のさらなる増大が可能であれば、試料領域のすべての点から受け取られる合計エネルギーが、最初に増大して、ある一定の曲率半径でピーク値を通過し、次いで非常に大きな半径に向かって再び減少することが典型的に見られる。ピーク合計エネルギーが生じる半径は、上で言及した設計最適条件として選択されうる。
図面に示された様態で案内ピン103、110上のアーム100の取付け台は、アームを上向きに持ち上げることによって案内ピンから取り外すことを可能にする。次いでアームは、その長手軸回りに裏返して、結晶の試料接触表面が最上部になるように案内ピン上で置き直されうる。これは、顕微鏡の視覚的検査の容易性を利用して結晶の試料接触表面が検査されることを可能にし、それによってその状態を評価することを可能にする。また案内ピン103、110の配置は、結晶を顕微鏡の光路から移動させるために、アームが持ち上げられ、次いでピン103回りに旋回されることを可能にする。これが行われるのは、案内ピン100の上部が案内ピン103よりも低いからである。この位置では、アーム100は、ピン162によって、その持ち上げられた位置に保持される。溝穴109は、ピン110を溝穴109の中に配置することによってアーム100の精確な再配置を可能にする。固締ねじは、アームが選択された高さに、例えば、結晶が試料と接触している状態で固締されることを可能にする。
さらには、結晶106には、半球状の表面の頂点に位置決め標識が設けられる。この標識は、半球状の表面上に形成された平坦部の形態または表面自体の上に標識付ける何らかの他の形態を取りうる。この位置決め標識を使用して、説明されるように結晶を水平および垂直に精確に配置する。
位置決め標識は、半球状の表面の頂点にあるのが最も通常でかつ好ましい位置であるが、そこにある必要はない。標識は、その位置が試料接触領域12に対して機械的に固定されかつ顕微鏡の観察システムを介して視認可能であれば、付属品上の任意の位置にあってよい。
図面から分かるように、アーム100は、それがベースプレート40の上に配置されるとき、試料受け表面に向かって降下される必要がある。このアームの動きは、特に結晶に対する損傷を回避するために制御されることが重要であり、この目的のために、付属品には、案内ピン103を含む構造体120の中に制動機構153、155、156、158が設けられる。制動機構は通常、アームが重力下で落下するのを防止し、かつ結晶106に対する偶発的な損傷を回避するために設けられる。ボタン158は、制動装置を解除して、アーム100を降下させることを可能にするために手操作される。解除可能な制動機構の使用は、アームと案内ピンとの間に摩擦をいずれも伴うことなく使用者がアームを降下させることを可能にし、したがって使用者に降下動作を制御するより大きな余地を与える。
好ましくは結晶106の頂点に設けられた位置決め標識を使用して、結晶を顕微鏡の光軸と位置合わせし、それによっていずれの撮像走査にも画定された開始位置を設ける。機器のソフトウェアには、ATR画像が可視光画像と、または通常の透過率/反射率画像と厳密に位置合わせされることを可能にする横方向オフセット・パラメータが与えられている。またソフトウェアには予め較正された結晶高さパラメータが与えられるが、このパラメータは、試料表面を顕微鏡システムの赤外部分によって鮮鋭に合焦させるために、結晶106および試料が初期位置から持ち上げられる距離を画定する。これは、結晶106が可視光に対して不透明であり、かつ結晶が定位置にあるときに手動による試料合焦が不可能であるので重要である。
結晶位置を位置決めするために、結晶106およびその取付けアーム100は、試料が定位置にない状態で副ステージまたはアンビルの上方に配置される。機器の使用者は、視認カメラを使用して、開始点として既知のアーム100上の点に合焦するように促される。これが、図面の図10における120で例示されている。次いで、本システムは、基準または位置決め標識である結晶上部の中心に向かってx、y、z座標系で所定の距離だけ移動するように動作する。次いで、使用者は、必要とされうる微調節をいずれも実施して、中心位置決めおよび合焦が精確であることを確認する。次いで本システムは、ステージ座標系の原点(0,0,0)を確認済みの位置として設定する。
結晶高さおよび焦点設定の較正は以下のように実施されうる。この点に関して、結晶形状(曲率半径および厚さ)のわずかな変動が、必要とされる焦点設定において重大な変化が生起する恐れのあることが理解される必要がある。ゲルマニウムの屈折率は高いので、結晶が可視光に対して不透明であり、かつそれが適切に画定された空間構造ばかりでなくATRによって検出されうる強力なスペクトル吸収帯域を有する試料が必要であるために、焦点は視覚的に確立されえない。新規の方法が本発明者によって開発されており、それによって最適なATR焦点設定が確定されうる。本方法は、スリーエム社(3M)のバイキュイティ(Vikuiti)BEF IIフィルムの小部分を含むことが好ましい試験試料を利用する。これは、それぞれが90°の頂点角と50または24ミクロンの周期とを有する平行な三角プリズムの組で微細エンボス加工される表面を有するプラスチック製シートである。この材料は、LCD(Liquid Crystal Display)表示器パネルの輝度を向上させるために一般的に使用される。ATR結晶は、その頂点が接触圧によって平坦化され、それによって基本材料と同じピッチを有する平行な長方形接触領域の組となるように、プリズム構造体と接触させられる。各領域は鋭い縁部を有する。最適焦点を確定するために、小さい高精度分解能画像が視野の中心付近に獲得され、材料のスペクトル吸収を中心とする狭波長帯域画像が抽出される。この技法は、縁部に対して直交する吸収画像断面の抽出を伴う。焦点度が、接触縁部を横切る断面の傾きを検査することによって推定される。測定が結晶の様々な垂直位置で行われ、傾きは最適焦点に近づくにつれて増大して、最適焦点から逸脱するときに再び減少する。最も適切な位置は、異なる焦点設定で行われた走査の組の間で補間することによって見いだされうる。試料フィルムの変形は接触圧に依存し、これは適切な圧力が試料に印加されていることを確認する手段として利用されうることに留意されるべきである。
したがってより一般的に言えば、結晶の較正は、特定の特性を有する試験試料を使用し、この試料の赤外線画像の空間鮮明度を調べることによって実現される。最適の変位を求めるために、結晶の垂直変位が段階的に変更され、かつ画像鮮明度が段階ごとに記録される。これには以下のことが含まれる。
a)最大赤外線エネルギーが結晶に透過される位置を見いだすことによって推定される最初の垂直変位で、赤外線画像が入手される。これは、最も適切な焦点位置と同じでなくてもよい。
b)この画像は、試料が強力に吸収する波長における吸光度の空間マップを抽出するためにスペクトル・フィルタリングされる。これは、材料特性の関数である。
c)画像中の空間的に鮮鋭な特徴構造を、本件の場合では重合体と空気との間の縁部を横切る、この波長における吸光度マップの断面が抽出される。
d)この断面は、傾き情報を抽出するために数学的に微分され、最大の傾きが画像中の認識可能な特徴構造に関して測定される。
e)結晶の変位は、所与の特徴構造における断面の傾きを最大化するように繰り返し調節される。最大の傾きが得られる垂直結晶位置は、試料の画像が最も適切に合焦している位置である。この値(指標標識を基準にして測定された)は、使用者に供給される結晶高さパラメータとして記録される。
f)新たな/置換え結晶はいずれも、使用者が機器の制御ソフトウェアに入力しなければならない新たな較正値を有する。
原理上、試験試料は、顕微鏡システムの予想空間分解能に比較して理想的に小さい空間的に鮮鋭な特徴構造を提供できる、赤外吸光度を有する任意の材料でありうる。これは、約3ミクロン程度の鮮鋭さである特徴構造を典型的に意味する。
この試験試料は「ATR適合性」であるべきであり、換言すれば、それはATR付属品のスペクトル範囲内の明確なスペクトル吸光度を与えるべきであって、鮮鋭な特徴構造は、擦れて不鮮明になったりまたは平滑になったりすることなく試料表面に密着して押し付けられることに耐えなければならない。
この鮮鋭な特徴構造は、線、格子もしくは方眼、または別法として2つの異なる材料(その一方が空隙の形態にある空気でよい)間における鮮鋭な縁部のような、巧みに処理された微細構造を含んでもよい。特徴構造が均一材料の中に凹みを形成することによって構築される場合に、その凹みは、結晶と接触しているときに数ミクロンを超える深さを有するべきであり、接触面から非接触面への移行部は鮮鋭であるべきである。
上で説明されたように、本発明に好ましい材料は、それが適宜で、安価であり、かつ再現可能な試験試料となるので、特定的な微細エンボス加工された重合体試料(3M社によって製造されたバイキュイティ光制御フィルム)である。この材料は、ルーフ・プリズムの規則的なアレイを含むが、その稜線は、接触面の直線的な「バー」を残すために結晶との接触によって適宜に平坦化される。これらの接触領域縁部の幾何学的形状は、材料が結晶から急激に、特に、最初の数ミクロンの深さを越えると、減少するようになっており、これは、高コントラストと鮮鋭な結果とを与えるために、吸収性重合体と非吸収性空気との間にATRを使用して容易に撮像される非常に高品質の縁部を生み出す。
また本発明者は、空間分解能を画定する技法を開発した。結晶の最適焦点を確定する上記技法は、凝視する2次元アレイ検出器を使用するシステム上では実現することが困難な様態で、ATRシステムの有効分解能を測定するように適合されうる。上で説明された最適焦点設定を確定した後、小さい細片画像が、試験標的中の1つまたは複数の縁部を横切って、しかし縁部を横切る方向で非常に微細な工程を使用して獲得される。これは、この方向にオーバーサンプリングされる画像となる。断面が、試料の吸収帯域内で抽出され、かつディジタル・フィルタによって微分される。こうして得られたプロファイルは、光学システムの点拡散関数によって断面に近似し、直接的にまたは適切な曲線あてはめによって、システムの分解能を推定するために使用されうる。
試料に対するスペクトルの測定を実施するために、最初の工程は、結晶位置を位置決めし、図10を参照して上で説明されたようにステージ座標系原点(0,0,0)を画定することである。次の工程は、背景スペクトルを、すなわち、試料がプレート67上の定位置に存在しない状態で測定することである。これを実現するために、使用者は、結晶の試料接触表面がプレート67から離間され、それによって結晶/空気境界面を設けるように、取付けアーム100を案内ピン110および103上の任意の位置に設定する。次いで使用者は、ステージを原点に、すなわち、結晶の上部中心に、したがって結晶上部の上の高精度焦点に移動させる。次いで、使用者は分解能および画素サイズを選択することができる。次いで、本システムは、結晶(106)の下方表面上に合焦するために、格納された結晶高さパラメータに基づいて所定の距離だけステージ20を自動的に持ち上げるように動作する。次いで、本システムは、アレイ中の検出器ごとに背景スペクトルに対する測定を実施して、これらが格納される。背景スペクトルが入手される様態は、当業者には明白であろう。
次の工程は結晶画像を測定することであり、これは、使用者がステージを原点に、すなわち、結晶の上部中心に移動させることを伴う。使用者は結晶上部の上に高精度合焦し、次いで分解能、1画素当たり走査数、画素サイズ、および画像サイズのようなパラメータを入力する。本システムは、結晶の下方表面上に合焦するために所定の距離だけ主要ステージ20を持ち上げる。本システムは、試料が存在していない状態で結晶の画像を測定し、これが格納される。
次の工程は試料を測定することであり、その最初の工程は、使用者が、背景結晶画像の減算または基線オフセット補正である光学的な処理選択肢を選択することである。次いで、使用者は、アーム100を持ち上げて、結晶106が顕微鏡の光軸から離れるようにアームをピン103回りに旋回させる。次いでアンビル60上のプレート67が取り外され、試料がそのプレート上に配置されて、プレートはアンビル60上の定位置に戻される。次いで、本システムは、顕微鏡の視覚的な容易さを利用して試料の視覚的検査を可能にするために、ステージを所定の距離だけ持ち上げる。使用者は、試料を4つの副工程で取り付ける。これらは、
(i)試料をプレート67の上に取り付けてアンビル60の上に配置し、
(ii)副ステージのみを使用して、すなわち、調節ねじ70、71を使用してアンビル(60)の位置を調節して試料位置を調節し(これは試料を視覚的に観察しながら実施される)、
(iii)結晶106が顕微鏡の光軸上に配置されるようにアーム100を定位置に振り戻してアーム100を降下させ、それによって結晶106を降下させてプレート67上の試料と接触させ、
(iv)試料が結晶に押し合わされるように加圧機構80を使用して圧力をアンビル60の上部の下側に加えることである。
(iv)に関して、ATR測定には、試料が結晶106の下方表面112と適切に接触状態に保持されることが必要である。理想的には、接触圧は、結晶の面にわたって適度に均一であるべきである。固い試料では、試料が結晶面に対して平行に位置することが必要であり、ほとんどの柔軟性資料では、過剰な試料変形を防止するために締付け力の制御が必要とされる。試料がプレート67の上に存在する状態で、アーム100は、結晶がちょうど試料に接触するまで降下される。このアームは、ねじ111を使用して固定される。持上げ力をアンビル60に加えるためにラック91が動作させられ、したがって試料を結晶面に押し当てて圧縮する。この力は、最大の力を結晶106に対する損傷を回避する値に制限するように設計されるばねプランジャ85を介して生成される。力のベクトルが重要である。理想的には、それは試料が面に整合する傾向にありかつ接触圧が均一であるように、結晶面の中心に位置合わせされるべきである。これは、その案内83の中に精確に拘束され、結晶軸と厳密に位置合わせされるボール・ベアリング82の使用によって実現される。ボールは、持上げ力が可能な限り結晶に近接して生じるように、アンビルの薄い部分に対接して作用する。ラック、ピニオン、ばねプランジャ、持上げばね、およびボールの構成は、高さが非常にコンパクトであり、したがって空間が限定されている顕微鏡には重要である。ばねプランジャ85の設計は、アセンブリ内部の持上げばね84がコイル状に結束されるほど十分に圧縮されることはなく、よって過剰な力を及ぼさないことを保証する。
ねじ89は、ばねに対する予負荷を変更するために使用されうる。ねじの最大行程は、ばねが決してコイル状に結束されないように設定される。ねじが完全に時計回りに設定されると、予負荷は最大ばね力の約50%である。圧縮制御ノブが最大圧力位置に移動させられるとき、ばね力は、ばねの最大定格近くまで増大する。1回転だけねじ89を戻すと、予負荷をゼロまで低減する。よって、その行程の一方の端部における制御では、力が試料に付与されない。使用者が制御ノブを滑動させるにつれて、圧縮力は最大限のばね力の50%まで漸増する。
副行程(iv)の後で、本システムは次ぎに、結晶上部の上に合焦するためにステージ20を所定の距離だけ降下させる。使用者は、必要であれば、結晶上部の上の位置決め標識を高精度合焦させる。次いで使用者は、分解能、1画素当たり走査数、波数範囲、画素サイズ、および画像サイズを入力し、その後で、本システムは、試料上に合焦するために、格納された結晶高さパラメータに基づいてステージ20を所定の距離だけ持ち上げる。次いで試料画像の測定が、当業者に明白である様態で行われる。撮像が実施されている場合、これは、第1の測定を実施し、第2の測定を実施するためにわずかに顕微鏡ステージを移動させ、かつこれを顕微鏡ステージ上の異なる位置に関して反復することを伴う。最後に、本システムは、選択された後処理を実施して画像を格納する。
動力化されたステージ20は、結晶106を顕微鏡視野の中心の直下に位置合わせし、この中心の周囲の画像を走査するために使用されることが理解されるべきである。試料を位置合わせするために、使用者は、この動力化されたステージを使用するべきではなく、これは、副ステージ60が設けられている理由である。ソフトウェア手順は、使用者が結晶の位置決めを偶発的に変更できないように、試料検査時に動力化されたステージの移動機構を不能にすることができる。
本配置には、図面の図11に例示されている迅速自動スペクトル分析手順が与えられる。多くの実際の事例では、ATR分析のために提示された試料が、相対的に弱い全体的な吸光度を有しうる。このような試料から得られた合計吸収を表示するATR画像は、しばしば特性が欠如気味であるかまたは非常に低いコントラストを有し、照明偽信号が試料の細部を不明瞭にする恐れがある。照明効果の補償が、背景画像に対する比率、または本質的にゼロ吸光度を有することが知られている領域を使用してスペクトルを正規化する基線補正のような従来手段を使用して可能である。顕著なスペクトル特性を抽出および表示するために高度な技法を使用してデータを処理することも可能であるが、この技法は、スペクトル信号処理における専門知識を必要とし、かつ時間が掛かる恐れがある。本システムの使用者に画像中に存在するスペクトル情報を迅速に提供するために、自動処理シーケンスが考案された。その目的は、試料とは別個の様態で生データから最も顕著なスペクトル特性を抽出し、かつ操作者がこれらを単独でまたは色彩合成画像の形態で表示可能にすることである。使用者にとっての利益は、画像が潜在的に有用な情報を含んでいることを迅速に確認することであり、さらにより高度な処理のための指針を提供する適切な予備分析である。例えば、その結果は、画像のどの部分がスペクトル的に類似しているか、かつどれが顕著であるかを示すことが可能であり、使用者が試料の簡素なセグメント化を実施することを可能にする。生の画像は、背景に対するレシオメトリック補正または基線オフセット補正で獲得されうる。処理シーケンスは、図11の130で示されているオフセットおよび基線曲率の効果を最小化するように設計された工程から始まる。これは、スペクトル領域における微分(雑音を低減するために何らかの程度の平滑化を伴う一次導関数)および残りの平均値の減算を含む。次いでスペクトル画像が、131で示されたように限定される。短波側では、ほとんどの試料がより短い波長で顕著な吸光度を示さないので、限度が典型的に約3300波数に設定される。全体的な信号対雑音を向上させるために、わずかな限定が領域の長波端部でも行われる。次いで平均吸光度が132で示されたように減算され、次ぎに、最も顕著なスペクトル特性を抽出するために、主要成分分析が134で示されたように施される。次いで、これらの成分は、136で示されたように、これらが色彩合成画像として表示されることを可能にするインターフェースにおいて使用者に提示されうる。
公知のFT−IR顕微鏡の主要素を例示する模式図である。 ATR顕微鏡用の付属品の模式的な斜視図であり、該付属品が本発明の1実施形態にしたがって構築されている図である。 顕微鏡の可動ステージの中に配置された付属品を示す斜視図である。 図2のZ−Z線上の断面図である。 図3と同様の断面図であり、対物カセグレン・レンズに対する顕微鏡中の付属品の位置を示す図である。 図4の一部の拡大尺度の断面図である。 付属品の平面図である。 図7のV−V線上の断面図である。 図7のW−W線上の断面図である。 本付属品を組み込んだ撮像用顕微鏡の動作を例示する図である。 本付属品を組み込んだ撮像用顕微鏡の動作を例示する図である。

Claims (9)

  1. 可動ステージとATR測定を実施する付属品とを有する顕微鏡を動作させる方法であって、
    前記付属品は前記顕微鏡の可動ステージ上に取り付けられうる支持体と、試料接触領域を有するATR結晶が内部に取り付けられる取付け部材と、位置決め標示であって、前記位置決め標示が前記試料接触領域に対して固定されるように配置された位置決め標示とを含み、
    前記顕微鏡は前記可動ステージの移動を制御する処理手段を含み、前記処理手段は前記ATR結晶の高さに関する所定の較正パラメータを内部に記録しており、前記方法は、前記位置決め標示に焦点を合わせるために前記顕微鏡の前記ステージを最初に移動させるステップと、前記試料接触領域に接触する試料に焦点を合わせるために、前記パラメータによって画定された所定の垂直距離だけ前記ステージを移動させるステップと、を含む方法。
  2. 前記ATR結晶は、前記接触領域に対向する概ね半球状の表面を有し、前記位置決め標示は、前記半球状の表面の頂点領域に配置される、請求項1に記載の方法
  3. 前記位置決め標示は、前記半球状の表面上の平坦部または前記半球状の表面上の標識を備える、請求項2に記載の方法
  4. 顕微鏡に使用するATR結晶のための較正パラメータを決定する方法であって、前記顕微鏡は可動ステージと付属品とを含み、前記付属品は前記顕微鏡の可動ステージ上に取り付けられうる支持体と、試料接触領域を有するATR結晶が内部に取り付けられる取付け部材と、位置決め標示であって、前記位置決め標示が前記試料接触領域に対して固定されるように配置された位置決め標示とを含み、
    前記顕微鏡のスペクトル範囲内で強力な吸収を呈しかつATR結晶によって接触されるときに鮮鋭な空間縁部を創出する幾何学的形状を有する試験試料を選択するステップを含む方法であって、前記ATR結晶の前記試料接触領域を前記試験試料に接触させるステップと、前記ATR結晶の最初の垂直位置で前記試験試料の赤外画像を獲得するステップと、前記空間縁部に関する傾き情報を抽出するために前記画像を処理するステップと、前記ATR結晶の異なる垂直位置に関して前記処理を繰り返すステップと、最適の垂直位置を最大の傾きを呈する位置として識別するステップと、前記識別された最適位置にしたがって前記ATR結晶に関する較正パラメータを導出するステップとを含む方法。
  5. 前記処理するステップは、前記試験試料が強力に吸収する波長における吸光度の空間マップを抽出するために、垂直位置ごとに、前記獲得された画像をスペクトル・フィルタリングするステップを含む、請求項4に記載の方法
  6. 前記試験試料が強力に吸収する波長における前記吸光度マップの空間的に鮮鋭な特徴構造を横切る断面を抽出するステップを含む、請求項5に記載の方法
  7. 傾きデータを抽出するために前記断面を微分するステップと、前記画像中の認識可能な特徴構造に関する最大の傾きを測定するステップとを含む、請求項6に記載の方法
  8. 前記試験試料はプラスチック材料である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法
  9. 前記試験試料は、バイキュイティ輝度強化フィルムのような微細エンボス加工された重合体である、請求項8に記載の方法
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