JP5130507B2 - 回転伝達装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
各色の画像を重ね合わせる際の各色が形成する画像のずれは、例えば、黒(Bk)とマゼンタ(M)の2色に注目すると、感光体ドラムなどの回転体の回転変動に関する振動成分の振幅と位相が異なり、各々の回転変動の振幅差が2色の相対的な位置ずれを生じ、色ずれとなる。このような相対的な位置ずれを解決する手法が特許文献1にて提案されている。特許文献1では、転写ベルトに位置ずれ検出用パターンを形成し、検出したデータから回転変動の振動成分の位相を求め、各色についての振動成分の位相が一致するように回転位相制御を行い、相対的な位置ずれを抑制する。
しかし、各色の作像部に関わる駆動伝達部品は個々の誤差を有しており、回転体の回転変動の振動成分である振幅は各色により異なる。特許文献1の画像形成装置では、各色の回転位相を補正し、各色の位相を一致させている。各色の振幅が等しければ、回転位相を一致させることで相対的な位置ずれによる色ずれは解消されるが、各色の振幅が互いに異なるので、回転位相を一致させても、各色間の振幅残差が色ずれとして残存してしまう。
複数の回転体の回転精度と、回転体同士の位置精度の要求に同時に応え得る回転駆動方法として、画像形成装置本体の駆動系から作像装置内回転体への回転伝達に継手を用いる方法が提案されている。
高精度な回転を得るための回転駆動伝達手段として、インボリュートスプラインジョイントを使用する手段が公知である(例えば、特許文献2 参照。)。インボリュートスプラインジョイントを用いることで継手部での回転変動を抑制できるが、ギヤ(減速機構要素)や継手自身の回転変動は抑制しきれず残ってしまう。よって、コストをかけて部品の高精度化を図ることが必要となっている。
図20は従来の回転駆動伝達装置の概略構成を示す斜視図である。
同図において符号1は感光体、2は感光体軸、3は感光体側継手、4は駆動側継手、5は感光体駆動軸、6は感光体駆動モータをそれぞれ示す。
像担持体である感光体1は、感光体軸2によって軸支され、感光体軸2の一端は回転伝達される感光体側継手3となっている。このような構成を回転駆動伝達装置では、例えばDCサーボモータやステッピングモータからなる感光体駆動モータ6からの入力が、感光体駆動軸5を介して駆動側継手4に伝達され、駆動側継手4と感光体側継手3が係合することによって感光体1が回転する。
また、感光体と現像装置などに各々独立して駆動を伝達するための継手構成が特許文献3に記載されている。特許文献3では、感光体の駆動伝達をねじれた三角柱形状の継手で構成している。同様にギヤ(減速機構要素)や継手自身の回転変動は抑制しきれず残ってしまう。よって、コストをかけて部品の高精度化を図ることが必要となっている。
そこで、本発明では、上記のような高精度化によらず各色間の位置ずれ量を抑制することにより色ずれを低減することを目的とする。また、回転位相制御と組み合わせることにより回転位相制御のみでは取り除くことができなかった各色間の振幅残差による色ずれを低減することを目的とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の回転伝達装置において、前記合成振幅が一致した各回転伝達装置を、回転位相制御を行うことで、互いの位相を一致させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の回転伝達装置において、前記駆動側機構要素と継手を同軸になるように配置して一体成形することを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の回転伝達装置において、前記駆動側機構要素と継手は樹脂により一体成形し、一回転変動の位相の目印となるマークも一緒に成形することを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転伝達装置を駆動装置の一部として有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項7に記載の画像形成装置において、前記回転伝達装置を現像駆動装置の駆動伝達に用いることを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、請求項7に記載の画像形成装置において、前記回転伝達装置を転写駆動装置の駆動伝達に用いることを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の画像形成装置において、複数の感光体の回転変動の振動成分の位相を求め、各感光体の振動成分の位相が一致するように感光体駆動源の回転停止位置を調整する回転位相制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項13に記載の発明では、請求項9に記載の現像装置を複数個搭載し、複数色の画像を形成することを特徴とする。
同図において符号210は感光体ドラム、211は現像ローラ、220はレーザ露光ユニット、230は中間転写ベルト、231は1次転写ローラ、240は2次転写ローラ、250は定着ローラ、260はプロセスカートリッジをそれぞれ示す。
本発明を適用する装置の一例として、電子写真方式によるタンデム型カラー画像形成装置を挙げて説明する。この画像形成装置では、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(Bk)の4色に関して、各々感光体ドラム210Y、210C、210M、210Bkが設けられ、これらの各感光体ドラム210Y、210C、210M、210Bkの外周に沿ってそれぞれ帯電ユニット、現像ローラ211Y、211C、211M、211Bk、1次転写ローラ231Y、231C、231M、231Bk、クリーニングユニット、除電ユニットなどの作像要素が配置されている。また、帯電ユニットの感光体ドラム回転方向下流側には光書込部が設定され、レーザ露光ユニット220から光書き込み用のレーザ光により光書き込みが行われる。
図2ないし4は黒とマゼンタの2色に関する回転変動を説明するための図である。それぞれの図において(a)は2色それぞれの回転変動を示す図、(b)は2色の回転変動の差分(振幅残差)を示す図である。
回転位相制御により相対的な位置ずれによる色ずれを抑制する方法について説明する。例えば、黒(Bk)とマゼンタ(M)の2色に注目すると、感光体ドラムなどの回転体の回転変動は図2のようになる。同図(a)の太線で示した波形は黒(Bk)の回転変動の波形であり、細線で示した波形はマゼンタ(M)の回転変動の波形である。この図に示すように、黒(Bk)とマゼンタ(M)の振動成分の振幅と位相がそれぞれ異なるため、同図(b)に示すように2色間の振幅残差が2色の相対的な位置ずれを生じさせその結果色ずれとなって画像上に現れることとなる。そこで、図3(a)に示すように黒(Bk)とマゼンタ(M)の回転変動波の位相が一致するように位相調整を行なうと同図(b)に示すように各色間の振幅残差は最小となるため色ずれも最小におさえることができる。一方、図4(a)に示すように黒(Bk)とマゼンタ(M)の回転変動波の位相が一致した状態に対して相対的にπだけずれているときは同図(b)に示すように各色間の振幅残差は最大となり色ずれも最大となってしまう。
ただし、このとき各色の作像部を構成する駆動伝達部品は個々の誤差を有しており、回転体の回転変動の振動成分である振幅は各色で一致しない。したがって、上述の回転位相制御により相対的な位置ずれによる色ずれは解消されるが、各色間の振幅差による色ずれは残存してしまうことになる。
図5は感光体ドラムと感光体駆動モータおよび感光体回転駆動伝達装置を示す図である。
同図において符号501は被駆動回転体としての感光体ドラム、502は感光体軸、503は感光体側継手、504は感光体駆動モータ、505は感光体駆動モータ軸ギヤ、506は駆動側機構要素としての感光体駆動ギヤ、507は感光体駆動軸、508は駆動側継手、509、510は軸受け、511、512は軸受けをそれぞれ示す。
感光体側継手503と駆動側継手508を合わせて単に継手と呼ぶことがある。
上述したような構成の画像形成装置において、感光体ドラムの回転伝達装置の一例を同図に示す。感光体ドラム501は、図示しない画像形成装置の本体フレームに嵌合された軸受け511、512によって回転自在に軸支され、感光体軸502の一端には回転伝達のための感光体側継手503が具備されている。例えばDCサーボモータやステッピングモータからなる感光体駆動モータ504による回転入力は、感光体駆動モータ軸ギヤ505と係合する感光体軸上に配置される感光体駆動ギヤ506に伝達される。感光体駆動ギヤ506の感光体駆動軸507は、図示しない本体フレームに嵌合された軸受け509、510によって回転自在に軸支され、感光体駆動軸の一端には回転伝達のための駆動側継手508が具備されている。駆動側継手508と感光体側継手503が噛み合うことで、感光体駆動モータ504の回転を感光体ドラム501へと伝達する。
このような構成の駆動伝達装置を用いることで、部品点数が少なく、伝達誤差を抑えることが可能であり、感光体ドラムの高精度の回転を実現する。
同図において符号601は継手、602は回転軸、603は係止部材、604、606は押止部材、605は減速ギヤをそれぞれ示す。
継手601は係止部材603により回転軸スラスト方向に規制され、押止部材604により回転軸スラスト方向の力を受けることで、回転軸602に対して固定される。同様に、減速ギヤ605は係止部材603により回転軸スラスト方向に規制され、押止部材606により回転軸スラスト方向の力を受けることで、回転軸602に対して継手601と同軸に固定される。
図5、および図6では減速機構としてギヤ伝達の例で示しているが、ベルト・プーリによる減速機構を用いても原理的には同じである。そこで、本発明ではギヤ、およびプーリを含めて駆動側機構要素と呼ぶことにする。
この回転駆動伝達装置は、回転駆動伝達部材である継手および減速ギヤが一体に成型され、継手と減速ギヤは同軸に構成される。それらを一体化することは部品点数を削減し、コストを抑制することに加えて、複数部品による寸法公差の積み上がりを抑制し組み付け誤差も排除することが可能であるので、被駆動回転体の回転変動を抑え、高画質化を実現する。
なお、減速ギヤはタイミングプーリでもよい。また、継手や減速ギヤ、タイミングプーリは切削または射出成型の公知の手法により製造される。
そこで、減速ギヤと継手の回転伝達構造に着目すると、駆動ギヤと継手は同軸に配置され同回転速度で回転するので、それぞれの周期変動が合成される。これを図を用いて説明する。
図8(a)に太線で示す波形が駆動ギヤ単体が持っている回転変動であり、細線で示す波形が駆動側継手単体が持っている回転変動である。各図では、駆動ギヤを単に「ギヤ」と示し、駆動側継手を単に「継手」として示した。
したがって、駆動ギヤと継手を同軸上に配置して同回転速度で回転させると同図(b)に示すような合成波となって回転伝達機構の一回転変動が現れることとなる。そこで、図9(a)に示すように駆動ギヤの回転変動波と継手の回転変動波の位相が一致してしまうと、同図(b)に示すように合成波の振幅は最大となり、逆に図10(a)に示すように駆動ギヤの回転変動波と継手の回転変動波の位相が相対的にπだけずれているときは同図(b)に示すように合成波の振幅は最小となる。
また、前述の図7に示した回転駆動伝達装置においては、一体成形型により駆動ギヤと継手を一体成形し、駆動ギヤ部分の回転変動と継手部分の回転変動をそれぞれ測定する。そして、減速ギヤと継手の一回転変動の位相が相対的にπずれるようにキビティ(成形型)を調整して成型すればよい。
上記のような駆動伝達装置を画像形成装置の駆動伝達装置に用いることにより、単色の(あるいは複数色の各々の)被駆動回転体の一回転変動の振幅を最小にすることができ、各色間の位置ずれ量すなわち色ずれを最小限におさえることが可能となる。
例えば振幅の差が比較して大きい回転伝達装置A(図11)と振幅の差が比較して小さい回転伝達装置B(図12)がある場合、まず振幅の差が比較して大きい回転伝達装置Aに関しては減速ギヤと継手の一回転変動の位相をπずらし(図13)、振幅の差が比較して小さい回転伝達装置Bに関しては合成波の振幅が図13の合成波の振幅と一致するように位相のずらし量を決定する(図14、この例では位相のずらし量は105°)。
前述の図6に示した回転駆動伝達装置においては、回転軸に対して減速ギヤと継手を組付ける際に決定した一回転変動の位相だけずらせばよい。また、前述の図7に示した回転駆動伝達装置においては、減速ギヤと継手が決定した一回転変動の位相だけずれるようにキビティを調整して成型すればよい。画像形成装置においては、複数色の被駆動回転体について一回転変動の振幅差を最小にすることができ、すなわち色ずれ量を最小にすることができる。
同図において符号Aは位相合わせの目印のためのマークである。
樹脂成型されるギヤ(または継手)に一回転変動の位相目印となるマークAを一緒に成型しておくことにより、位相合わせが簡単にできるようになる。同図では、三角形のマークの1つの頂点が特定の位相位置になるように設定してある例である。
前述の図6に示した回転駆動伝達装置においては、組付ける際の目印となり、前述の図7に示した回転駆動伝達装置においては、キャビティの位相調整の目印として使うことができる。
同図において符号Bは位相合わせの目印のためのマークとキャビティ番号である。
樹脂成型されるギヤ(または継手)に一回転変動の位相目印となるマークに加えてキャビティ番号を成型する。同図の例では三角マークの中にキャビティ番号を示す「1」を成形した状態を示している。減速ギヤのキャビティと継手のキャビティで各々の一回転変動振幅の差が最小となる組合せを選んで組付ければさらに効果が得られる。
同図において符号171は従動側継手を示す。
同図は、画像形成装置において本駆動伝達方法を感光体駆動に用いる一例を示す図で、装置本体に対してスラスト方向に着脱可能な感光体ユニットに従動側継手171を備えている。直接像を担持するため回転変動の影響が画像に現れやすい感光体の回転変動を抑制することができ、色むら(バンディング)や位置ずれ,複数色の場合は加えて色ずれを抑制することができる。
同図において符号181は従動側継手を示す。
同図は、画像形成装置において本駆動伝達方法を現像駆動に用いる一例を示す図で、装置本体に対してスラスト方向に着脱可能な現像ユニットに従動側継手181を備えている。駆動トルクが比較的大きく回転変動が起こりやすい現像ローラの回転変動を抑制することができ、感光体上に現像されるトナー量のばらつきを抑制するので色むら(バンディング)を抑制することができる。
同図において符号191は従動側継手を示す。
同図は、画像形成装置において本駆動伝達方法を中間転写駆動に用いる一例を示す図で、装置本体に対してスラスト方向に着脱可能な中間転写ユニットに従動側継手191を備えている。直接像を担持するため回転変動の影響が画像に現れやすい中間転写ベルトの回転変動を抑制することができ、色むら(バンディング)や位置ずれ、複数色の場合は加えて色ずれを抑制することができる。
502 感光体軸
503 感光体側継手
504 感光体駆動モータ
505 感光体駆動モータ軸ギヤ
506 感光体駆動ギヤ
507 感光体駆動軸
508 駆動側継手
Claims (13)
- 互いに同軸に配置される駆動側機構要素と、継手と、被駆動回転体からなる回転伝達装置が複数並列に具備された回転伝達装置において、すべての回転伝達装置について前記駆動側機構要素の一回転変動の位相と、前記継手の一回転変動の位相とを、一致した状態から相対的に角度πだけずらした位置で両者を連結することにより合成される一回転変動を得たときの振幅が最大の回転伝達装置を基準回転伝達装置とし、他の回転伝達装置の駆動側機構要素の一回転変動の位相と前記継手の一回転変動の位相をずらすことにより合成される一回転変動の振幅が前記基準回転伝達装置の前記合成振幅と一致するような位相で当該回転伝達装置の駆動側機構要素と継手をそれぞれ連結することを特徴とする回転伝達装置。
- 請求項1に記載の回転伝達装置において、前記合成振幅が一致した各回転伝達装置を、
回転位相制御を行うことで、互いの位相を一致させることを特徴とする回転伝達装置。 - 請求項1又は2に記載の回転伝達装置において、前記駆動側機構要素と前記継手は、軸と、該軸に設けられた回転止めを用いて連結されることを特徴とする回転伝達装置。
- 請求項1又は2に記載の回転伝達装置において、前記駆動側機構要素と継手を同軸になるように配置して一体成形することを特徴とする回転伝達装置。
- 請求項4に記載の回転伝達装置において、前記駆動側機構要素と継手は樹脂により一体成形し、一回転変動の位相の目印となるマークも一緒に成形することを特徴とする回転伝達装置。
- 請求項5に記載の回転伝達装置において、前記マークとともに成形型のキャビティ番号も一緒に成形することを特徴とする回転伝達装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の回転伝達装置を駆動装置の一部として有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項7に記載の画像形成装置において、前記回転伝達装置を感光体駆動装置の駆動伝達に用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項7に記載の画像形成装置において、前記回転伝達装置を現像駆動装置の駆動伝達に用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項7に記載の画像形成装置において、前記回転伝達装置を転写駆動装置の駆動伝達に用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項8に記載の感光体を複数個搭載し、複数色の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項11に記載の画像形成装置において、複数の感光体の回転変動の振動成分の位相を求め、各感光体の振動成分の位相が一致するように感光体駆動源の回転停止位置を調整する回転位相制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項9に記載の現像装置を複数個搭載し、複数色の画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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