JP5127990B1 - 片面研磨用保持材 - Google Patents

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Abstract

【課題】保持面における水に対するなじみが良くかつその場所によるバラツキを少なくし、前記被研磨物の密着保持を安定化すること、および被研磨物と保持面との間に水が均一に保持され、空気の咬み込みや残留を防ぐことで、被研磨物の保持を安定化し、研磨加工中に、前記保持材に搭載された被研磨物端面から、前記被研磨物と前記保持材の間に研磨液が浸入することを防止すること。
【解決手段】湿式成膜法により製造される複合体シートの片面研磨用保持材において、前記保持面に対するエンボス加工により、前記保持面の水に対する接触角が低減され、且つ、前記接触角のばらつきを低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ用ガラス基板等の被研磨物の片面研磨用保持材に関するものである。
一般に、液晶ディスプレイ用ガラス基板等の被研磨物を回転加工装置等の研磨機を用いて研磨加工する場合には、被研磨物を研磨機の定盤に固定し、そして、この定盤と対向して設けられた定盤に研磨布を装着し、相対的に回転させるとともに、両者間に砥粒等を含む研磨液を供給することにより被研磨物の表面を研磨する。
この際に、被研磨物を定盤に保持するための手段として、多孔質樹脂からなる保持材を用いて被研磨物を水貼りすることが行われている。
この保持材は、一般にポリウレタン樹脂組成物を用いた湿式成膜法で製造される。例えば、ポリウレタン樹脂組成物を成膜用基材に塗布し、次いで水系凝固液中にて湿式凝固処理を行い、成膜用基材上にポリウレタン樹脂の発泡層を生成させ、その後乾燥する工程を経て保持材が製造される。
この発泡層は、発泡の形状を厚み方向の断面から観察すると、下層部分は大きな発泡形状になり、下層部分から表面に向かうに従って緻密な発泡形状になる構造体である。そしてその表面には1μm以下の微細孔があり、表面から下層部分の発泡までは微細な連通孔にてつながっている。
前記微細な発泡による表面部分を研削しないで、その表面部分をそのまま被研磨物の保持面とした保持材は、保持面に湿式成膜に伴ううねりが形成されることでその表面精度が悪く、また保持面から浸透する水分量が、保持面の場所により異なり、研磨加工加圧時、保持面に加圧ムラが生じるため、被研磨物の研磨ムラの原因の一つになっていた。
上記発泡層を撥水性溶液に浸漬、含浸させ撥水性を高め研磨液や水の発泡層内部への浸透を防ぐことにより、これらの問題を解決する保持材の発明が開示されている(特許文献1)。
また、上記発泡層を樹脂フィルムで上下から挟み、その樹脂フィルム面から加熱することにより、研磨液や水の発泡層内部への浸透を防ぐことにより、これらの問題を解決する保持材の発明が開示されている(特許文献2)。
さらに、上記発泡層の保持面に樹脂フィルムを密着させ、その樹脂フィルム面から加熱することにより、保持面の平坦性を向上させた保持材の発明が開示されている(特許文献3)。
また、上記発泡層の保持面に部分的な窪みを設けて、研磨加工終了後の基板の脱離性を調整した保持材の発明が開示されている(特許文献4)
特開平9−254027号公報 特開2011−20189号公報 特開2011−224703号公報 特開2011−212784号公報
しかしながら、特許文献1記載の保持材では、保持面においても発泡層内部と同様に撥水性を有し、被研磨物の装着時に必要な水分までも弾き、被研磨物を積載した際に、保持面に貼り付きムラが発生し、被研磨物を均一に研磨できない。また被研磨物が積載される端面で、この現象が起きることによって、研磨液が、被研磨物と保持材の間に浸入し、研磨後の被研磨物の品質を悪化させる。
特許文献2、特許文献3記載の保持材では、表面を平坦化するための加工用フィルムを用いるが、フィルムで発泡体の厚さ方向上下を被覆した場合、発泡内部が熱膨張を起こし寧ろ平坦性に不具合が発生する。また片面ずつを加工する製法も記載されているが、廉価なフィルムの場合、フィルム自体が元々平坦性を向上させるために、延伸加工等されており、熱媒体への接触により変形(歪み)を生じるか、耐熱性のフィルムを使用した場合、フィルムコストが高価であり、産業利用の観点からすると、使用性には乏しいものである。
特許文献4記載の保持材では、従来の保持材に比べ、窪みを形成することによって、研磨加工する被研磨物との接触有効面積を減じる方法により、研磨加工後の被研磨物の脱離性を調整できるものであるが、接触有効面積の削減は、保持性を損なう結果になることや、窪みの大きさに起因するところによって、やはり被研磨物と保持材の間への研磨液の浸入を許容しやすくなる。また、本来の目的である研磨加工中に被研磨物を確実に保持する観点からは、加工中の被研磨物のズレや脱落なども懸念されるものである。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、保持面における水に対するなじみが良くかつその場所によるバラツキを少なくし、前記被研磨物の密着保持を安定化すること、および、さらに研磨加工中に研磨液が、前記保持材に積載された被研磨物端面から、前記被研磨物と前記保持材の間に浸入することを防ぐことにより、被研磨物裏面の汚染や研磨ムラの発生を抑制することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の片面研磨用保持材は、湿式成膜法により製造される樹脂を主体とする複合体シートの片面研磨用保持材において、前記保持材の保持面に対するエンボス加工により、前記保持面の水に対する接触角が低減され、且つ、前記接触角のばらつきが低減されていることを特徴とする。
この片面研磨用保持材において、前記保持面における水に対する接触角が90度以下で、且つ、前記接触角のばらつきが、3度以内であることが好ましい。
(作用)
上記の解決手段による作用は、湿式成膜法に起因する保持面のうねりを平坦化することができるばかりでなく、撥水性を有する保持材の保持面のみ撥水性を低減および均質化させ、保持面における水に対するなじみを良くすることができる。
上記作用により、被研磨物と保持面との間に水が均一に充填され、貼り付きムラがなくなることで、研磨加工中に、被研磨物の安定な保持をしながら、前記保持材に積載された被研磨物端面から、前記被研磨物と前記保持材の間に研磨液の浸入による被研磨物裏面の汚染を防止することができる。
さらに、本発明によれば、研磨液の前記被研磨物と前記保持材の間への入り込みに起因する研磨ムラの発生を改善できる。
(a)はエンボスローラーによる熱成形加工の工程を概略的に示す図である。(b)は複合体シートとプレーンローラーの圧接部分を拡大して示す図である。(c)は複合体シートとディンプルローラーの圧接部分を拡大して示す図である。 ディンプルローラーのローラー表面の拡大写真である。 保持面の接触角の測定点を示す図である。 (a)は被研磨物基板(ガラス基板)貼り付き外観の評価の密着していない部分がない場合を示す図である。(b)は被研磨物基板(ガラス基板)貼り付き外観の評価の密着していない部分がある場合を示す図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。なお、これらの工程は全て当分野において一般的な、連続加工方法、所謂ロールトゥロールの方法を選択することができる。
本発明の片面研磨用保持材は、発泡層と緻密な発泡による表面部分を有する、樹脂を主剤とする複合体シートが用いられる。樹脂を主剤とする複合体シートとしては、例えば、ポリウレタン樹脂を主剤とする複合体シートを用いることができる。
この発泡層は、いわゆる湿式成膜法により作製することができる。すなわち、例えばポリウレタン樹脂を主剤とした凝固成分を水混和性の有機溶剤に溶解させた複合組成物(発泡用溶液)を成膜用基材に塗布し、次いで複合組成物を塗布した成膜用基材を水、または水とジメチルホルムアミド(DMF)混合溶液中に浸漬して凝固成分を凝固させることにより発泡層を作製することができる。
このようにして得られる発泡層は、発泡の形状を厚み方向の断面から観察すると下層部分は大きな発泡形状になり、下層部分から表面に向かうに従って緻密な発泡形状になる構造体である。そしてその表面には1μm以下の微細孔があり、表面から下層部分の発泡までは連通孔にてつながっている。
前記複合組成物を用いた湿式成膜法の凝固成分の内、主剤としては、ポリウレタン樹脂、例えば、ポリウレタンエラストマー等を用いることができる。
ポリウレタンエラストマーとしては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系あるいはこれらの共重合体等を用いることができ、目的に応じて単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
凝固成分としてのポリウレタンエラストマーを溶解する水混和性の有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、エチルアセテート、ジオキサン等が挙げられる。有機溶剤は目的に応じて単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
さらに前記複合組成物には、主剤以外の主要な添加剤として、保持材内部に撥水性を付与するため、撥水剤を添加する。撥水剤の添加量は、複合組成物全量に対して好ましくは0.5〜3.0質量部である。この添加量が0.5質量部未満では、保持材内部の撥水性が弱く、保持材内部に研磨液等が浸透する場合がある。また、添加量が3.0質量部を超えると、目的とする複合体の発泡形状が得られない場合がある。
前記複合組成物の主剤や撥水剤以外の他の成分としては、例えば、発泡助剤、顔料等が挙げられる。これらの添加量は、本発明の効果を損なわない範囲内にすればよい。
本発明に用いられる成膜用基材としては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンやポリエステル等の樹脂シート等が挙げられる。これら市販の成膜用基材の長尺のロール状材料を用いて、基材上に連続的にナイフコーター等を用いて、当該分野で一般的に採用される湿式成膜の連続加工を実施することができる。
そして本発明では、以上のようにして湿式成膜法により作製されたポリウレタン樹脂シート等の複合体シート表面に、エンボスローラーによる熱成形加工の工程の一例を概略的に示す図1のような製法を用いて熱成形加工が連続的に施される。
図1(a)は全体を示し、図1(b)、図1(c)は複合体シートとエンボスローラーの圧接部分を拡大して示す。
図1(a)に示すように、発泡層と緻密な発泡による表面部分を有する複合体シート1は、エンボスローラー2に供給される。エンボスローラー2は加圧ローラー3と対向して配置され、これらの間に、発泡層と緻密な発泡による表面部分をエンボスローラー2側に向けて複合体シート1が供給される。
エンボスローラー2は、ローラー表面を均一な温度(複合体シート1を構成する材料の流動開始温度以上)に加熱可能な金属ローラーを用いることができる。このような金属ローラーは、本発明の技術分野やこれに近接する技術分野において熱エンボス加工に用いられているものと同種の構成のものを用いることができる。さらに、エンボスローラー2は図1(b)に示すようにローラー表面が平坦であるプレーンローラー4、もしくは図1(c)に示すように、プレーンローラーと同様の平坦面上に、複数の凸部5aを有しているディンプルローラー5とすることができる。
加圧ローラー3は、エンボスローラー2との間に複合体シート1を挟んで適度に加圧可能な弾性材料でローラー表面が形成されたものを用いることができ、具体的には、表面がゴムからなるローラーを採用できる。ここで近接する技術分野では、カレンダーローラーによるプレス法も存在するが、本願で採用する方法とは異なるものである。
本発明においては、この熱成形加工の加工温度を、複合体シートを構成する材料の流動開始温度以上とすることにより、複合体シートは不可逆的に形状が変化後固定し、複合体シートの緻密な発泡による表面部分は、水に対する接触角が均質、且つ低減された状態に変化させることができる。さらに研磨品質に悪影響を及ぼす、被研磨物と保持材の間への研磨液の浸入を抑制する。
熱成形加工温度が流動開始温度未満では、不可逆的に複合体シートの形状を変化後、固定化させることができず、本発明の初期の目的を達成することができない。すなわち流動開始温度未満で熱成形加工をすると、その形状はしばらくすると加工前の形状に回復してしまう。そのため、初期から加工数が増加するとともに、保持材表面が形状変化を起こすため、被研磨物の加工を連続的に行うと、研磨後の被研磨物の安定した品質が得られない。
熱成形加工温度の上限に特別な制約はないが、あまりにも温度が高いと緻密な発泡による表面部分に焼き付きが生じる場合もあるので、そのような事態を避ける温度以下とするのがよい。
この焼き付き現象は、複合体シートの原料である主剤や添加剤等の選定による熱エンボス加工条件の構成要素である前記加工温度の他、加工時間、加工圧力などに依存するものである。プレーンローラーを選定した際に、加工温度や時間、圧力において、転写刻印の調整が困難な場合は、ディンプルローラーを選択すればよい。ディンプルローラーを用いた場合、プレーンローラーに比較して、表面に凹部を設けることにより、水に対する接触角はやや劣る傾向が見られるが、ディンプルの形状を制限することにより、水に対する接触角の低減や均質化は可能であり、必要な保持性は確保できる。
この流動開始温度は、複合体シートを構成する材料(成分組成)によってそれぞれ異なるので一般化はできないが、通常のポリウレタン樹脂を主剤とする複合材料を用いた場合の熱成形加工温度は、130〜240℃が好ましい。
本発明の片面研磨用保持材は、上記のように、緻密な発泡による表面部分にその流動開始温度以上での熱成形加工が施される。湿式成膜法により製造された複合体シートは、被研磨物の保持面となる、凝固液との置換面、緻密な発泡による表面には、図1(b)、(c)に示すように、その発泡用溶液の塗布や凝固工程等に起因するうねりがある。本発明の保持面のエンボス加工の加熱、加圧により複合体シートの厚みをtからt(t>t)に薄くすることにより、保持面のうねりをなくし、保持材全体としての平坦性を高めるとともに、保持面の水に対するなじみを向上させることができる。
さらに前記緻密な発泡による表面部分に、プレーンローラー表面形状が転写された平坦面か、もしくはディンプルローラーの表面形状が転写された保持面が平坦な面の中に凹部のみが形成される。特にディンプルローラーにより凹部のみを形成したものは、保持材の断面から見た場合に、凹状に形成され、かつ凸状にならないような凹部を設けることで、被研磨物の水の接触角の均質化を確保しつつ、保持面の被研磨物に対する保持安定化を図ることができる。
図2は本発明に使用するディンプルローラーの表面の拡大写真である。ディンプルローラー表面には凸部が島状に点在し、加熱、加圧により、複合体シート表面に凹部が形成される。
このような凹部は、保持面とする平坦面の中に個々の凹部が点在し、それぞれ独立していることが好ましく、例えば溝のように相互に連通していないことが好ましい。個々の凹部が連通している場合、被研磨物端面からの研磨液の、前記被研磨物裏面(保持材とガラス基板の間)への侵入を許し、研磨後の被研磨物の品質に悪影響を及ぼすばかりか、基板剥がれや裏面への研磨砥粒の固着が発生する。
また、その点在状態は、凹部が単位面積当たり1〜10%の範囲を占めて点在するようにしておくことが好ましい。この範囲内にすることで、保持面の物理的な形状起因による水に対する接触角の増加を抑えることができる。
凹部の大きさ、深さについては、本発明の実施例では平均直径は約100μm、平均深さは10μmであったが、複合体シートの硬さ、撥水度や発泡形状、研磨圧等の研磨加工条件、被研磨物の種類やその求められる面精度等により、適宜調整、選択する必要があり、実施例に限定されるものではない。
本発明の片面研磨用保持材は、前記した構成からなるので、水分を用いて被研磨物を保持材に貼り付けた場合、被研磨物と保持材の間に、貼り付けに用いた水が充填の役割を果たすことにより研磨液の保持材とガラス基板の間への入り込みを防ぎ、安定した保持性能を発現することができる。
すなわち、本発明の片面研磨用保持材は、湿式成膜法により製造される樹脂を主体とする複合体シートの片面研磨用保持材において、前記保持材の保持面に対するエンボス加工により、前記保持面の水に対する接触角が低減され、且つ、前記接触角のばらつきが低減されている。この片面研磨用保持材において、安定した保持性能の発現等を考慮すると、前記保持面における水に対する接触角が90度以下で且つ前記接触角のばらつきが3度以内であることが好ましい。接触角とそのばらつきの下限には特に制限はないが、一例として、本発明によれば、前記保持面における水に対する接触角が10〜90度で且つ前記接触角のばらつきが1〜3度である片面研磨用保持材が容易に得られる。
本発明の片面研磨用保持材は、発泡層と緻密な発泡による表面部分を有する複合体シートを用いた構成であれば特に限定されないが、例えば、成膜用基材を一旦剥がして、熱成形加工等を経た後に、別途の基材を発泡層の裏面に粘着層または接着層を介して貼り付けて構成することができる。このとき、発泡層の裏面は、研削加工を施してもよい。
次に、新たに貼り付けた基材もしくは研削した発泡層の裏面に、研磨装置の保持定盤に取り付けるため、平坦性の高いPETフィルム等の樹脂シートの両面に粘着剤を付けた両面テープを貼り付ける。この両面テープは研削加工により反対側面の発泡が開口した複合体シートの脆弱化を補い、研磨圧力による保持材の変形を防ぐ基材としても作用する。
本発明の片面研磨用保持材を用いた被研磨物の研磨加工は、被研磨物を保持材により保持して研磨機の定盤に水を介して密着固定し、この定盤と対向して設けられた定盤に研磨布を相対的に回転させると共に、両者間に砥粒等を研磨剤として含む研磨液を供給しながら行うことができる。
本発明の片面研磨用保持材は、例えば、ディスプレイパネル、液晶ディスプレイ用ガラス基板、シリコンウエハ、化合物半導体基板等の研磨、特に仕上げ研磨に好適である。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
固形分濃度30%のポリエステル系ポリウレタンエラストマーのジメチルホルムアミド溶液100質量部に、ジメチルホルムアミド60質量部、撥水剤0.5質量部、発泡助剤1.5質量部、およびカーボンブラックを20質量%含有するジメチルホルムアミド分散液15質量部を加え、ポリウレタンエラストマー塗布液(発泡用溶液)を得た。
得られた塗布液を成膜用基材にロールコーターで1,000g/m塗布した後、凝固浴の中に浸漬して凝固させ、温水で十分に脱溶媒・洗浄した後、成膜用基材を剥離させ熱風乾燥を行い、ポリウレタン樹脂を主剤とする複合体シートを得た。
得られた複合体シートの凝固液との置換面(保持材の保持面)に前記プレーンローラーによる熱成形加工を施した。ローラー表面温度、140℃、接圧10kgf/cm2、接圧時間約0.4秒にて連続的に加工した。
次に、複合体シートをベルトサンダ装置にて表面の反対側の面から50μm研削し、厚さ550μmとした保持材を得た。さらにこの研削面に研磨装置の保持定盤に取り付けるための、平坦性の高いPETフィルム等の樹脂シートの両面に粘着剤を付けた両面テープを貼り付ける。
<実施例2>
保持面の熱成形加工にディンプルローラーを使用する以外は、実施例1と同様にし、実施例2の保持材を得た。ローラー表面のディンプル(海島状凸)は1個が平均直径98.4μm、平均高さ10.4μmの鉢形状で、平均11.7個/mm2である。ローラー表面温度、接圧、接圧時間はプレーンローラーと同様にした。
<比較例1>
保持面の熱成形加工を施さない以外は、実施例1と同様にし、比較例1の保持材を得た。
<比較例2>
188μm厚の市販のPETフィルムを、表面側に設置した上で、熱成形加工を施した以外は、実施例1と同様にし、比較例2の保持材を得た。
<接触角の測定>
実施例1、2、比較例1、2各々について、590mm×690mmのサイズに切断した保持材の保持面上の等分割された9箇所について、水の接触角をθ/2法により測定した。
図3は保持面上の測定する点を示す図である。図3に示すように保持面7の縦、横の中心線8と、各縁から4cm入った中心線に平行な線9の交点、9箇所を接触角の測定点9点とした。
さらに、その9箇所の接触角の値から、最大値と最小値の差を範囲Rとした。
<被研磨物基板貼り付き外観の評価>
実施例1、2、比較例1、2の保持材を590mm×690mmのサイズに切断し、両面粘着テープを用いて保持定盤に貼り付け、表面を水で、洗浄したのち、市販のゴム製ワイパーで水分を掻き取り、550mm×650mm×0.7mmのサイズの液晶ディスプレイ用のガラス基板を、保持材の中央に貼り付けた。この貼り付けた状態において、ガラス基板面より水を介して密着している部分とそうでない部分を目視により観察し、判断した。
なお、当実施例、比較例のようにカーボンブラックを使用した目視上、黒色の保持材の場合、ガラス基板が貼り付けられた保持材を上から見ると、密着している部分は、水が充填され黒ずんだ状態で見え、密着していない部分は、基板が搭載されていない場所の外観と同様に黒ずんでいない状態である。
図4(a)、(b)は観察結果の例を示す図である。 図4(a)、(b)の黒く塗りつぶされた部分は、ガラス基板が搭載された際、貼り付けに使われた水分が、ガラス基板と保持材の間に充填され、ガラス基板が密着している部分である。ガラス基板11と保持材6との密着性が良い場合は、図4(a)に示すようにガラス基板11と保持材6の間が全て黒ずんだ外観となる。また、その密着性が悪い場合は、図4(b)に示すようにガラス基板11と保持材6の間に黒ずんでいない場所12が点在して観察される。
<基板保持性の評価>
実施例1,2、比較例1、2の保持材について、東洋精機製作所製の摩擦測定機TR−2を用いてロードセル荷重測定を行い、その保持性を評価した。下定盤面にガラス板を貼り付け、上定盤面であるスレッド(63mm×63mm)の中心位置に、1inch2(25.4mm×25.4mm)の保持材試料を貼り付けた。ガラス板面に霧吹きで水を適量ふりかけ、スレッドを置き、面圧100g/cmにて10秒間押し付けて、滑りがないこと(貼り付いていること)を確認した。摩擦測定器を稼動し、ガラス板と下定盤を共に移動したときに保持材がずれるまでの最大荷重をロードセル出力計で読み取った。その結果を表1に示す。
表1に示すように、接触角のバラツキ3度以下である保持材を使用した場合、ガラス基板の貼り付きムラは無く良好な結果となった。また保持性は、向上していた。
比較例2では、水の接触角においては、平均値は低下したものの、バラツキは改善されなかった。実施例1と比較例2では、プロセス上では、挟み込むPETフィルムの有無の違いのみである。この違いを推察すると、保持面の変形による物理的な凹凸の発生もあるが、一つには、PETフィルムを介することによって、PETフィルムも含めて、複合体シートに熱成形加工を施す必要があり、短時間での連続加工では、複合体シートに十分な熱量を付与できなかったことが原因として考えられる。
また、その他の原因としては、ポリウレタンは、ドメイン構造を有しているものであるが、一般的に熱加工や物理的変形によりドメイン構造を変化させることができるものであるが、実施例の場合、このドメイン構造の変化が、熱加工とともに、連続加工に必要な張力により、接触角を均質化することに対して有利に働いたものと推察できる。
比較例2においては、PETフィルムに複合体シートを固定した加工をしたために、複合体シートも固定化され、ドメイン構造までも変化させるに至らなかったものと、推察できる。
本発明の保持材は、保持面の水に対するなじみが良く、保持面の場所における密着性のバラツキによる研磨時の研磨定盤による加圧・回転作用による端面からの研磨液の浸入を防ぎ、被研磨物に研磨ムラを発生させることなく、均一で安定した研磨加工特性が得られる。
本発明は、これまでに比べ、被研磨物の平坦性を確保できる保持材を提供するため、保持材の製造、販売に寄与し、産業上の利用可能性を有する。
1 複合体シート
1a 凹部
2 エンボスローラー
3 加圧ローラー
4 プレーンローラー
5 ディンプルローラー
5a 凸部
6 保持材
7 保持面
8 中心線
9 中心線に平行な線
10 測定点
11 ガラス基板が搭載され、密着している状態(黒ずんでいる)
12 ガラス基板が搭載され、密着せず黒ずんでいない部位
エンボス加工前の複合体シートの厚み
エンボス加工後の複合体シートの厚み

Claims (2)

  1. 湿式成膜法により製造される樹脂を主体とする複合体シートの片面研磨用保持材において、加工温度を前記複合体シートを構成する材料の流動開始温度以上とした前記保持材の保持面に対するエンボス加工により、前記保持面における水に対する接触角が90度以下で、且つ、前記接触角のばらつきが、3度以内とされていることを特徴とする片面研磨用保持材。
  2. 湿式成膜法により製造される樹脂を主体とする複合体シートの片面研磨用保持材の製造方法において、
    発泡層と緻密な発泡による表面部分を有する複合体シートを湿式成膜法により作製する工程と、
    ローラー表面を均一な温度に加熱可能なエンボスローラーと加圧ローラーとの間に、前記各ローラーによって連続加工される前記複合体シートを供給し、前記複合体シートの緻密な発泡による表面部分を前記エンボスローラーに圧接させて前記複合体シートを構成する材料の流動開始温度以上で熱成形加工することにより、前記複合体シートの形状を経時的に回復することなく不可逆的に変化させると共に、前記複合体シートの緻密な発泡による表面部分における水に対する接触角が90度以下で、且つ、前記接触角のばらつきが、3度以内となる前記保持材の保持面を形成する工程とを含むことを特徴とする片面研磨用保持材の製造方法。
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