JP2019058986A - 保持パッド及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸着性及び研磨加工後の被研磨物の平坦性に優れる保持パッド及びその製造方法を提供すること。【解決手段】複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、前記保持面におけるJIS P 8155による王研式平滑度が、1150秒〜2000秒である、前記保持パッド。【選択図】なし

Description

本発明は保持パッド及びその製造方法に関する。特には、湿式成膜法により形成される涙型気泡を内部に有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを含む保持パッド及びその製造方法に関する。
従来半導体ウェハ、ガラス基板、磁気ディスク等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨パッドを用いた研磨加工が行われている。通常、これらの被研磨物の研磨加工には、被研磨物の両面を同時に研磨加工する両面研磨機や被研磨物を片面研磨加工する片面研磨機が使用されている。
片面研磨機を使用した研磨加工では、保持定盤および研磨パッド間の平行度のバラツキや研磨加工中に発生する偏荷重を吸収し、被研磨物を保持定盤に略平坦に保持する目的で、保持定盤に保持パッドが装着されている。例えば、保持パッドとして、湿式成膜法で形成されたポリウレタン樹脂製の発泡シートが使用されている。湿式成膜法では、ポリウレタン樹脂を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜基材に塗布後、水系凝固液中に浸漬することで樹脂がシート状に凝固再生される。得られた発泡シートでは、被研磨物と接触する面(保持面)側にスキン層を有し、スキン層より内側に厚さ方向に縦長で、スキン層の反対の面側で拡径された複数の気泡(涙型気泡)と、当該涙型気泡の大きさより小さい多数の微細孔で連続状に形成された構造を有している。このような構造を有することで、研磨加工中にクッション性が発揮され、被研磨物を略平坦に保持することができる。スキン層は、表面が平坦で被研磨物との接触性に優れ、水張り吸着により固定することで被研磨物を確実に保持できる。つまり、スキン層の表面が被研磨物を保持するための保持面となる。
近年、画像表示機能を有するデジタル機器(例えば、携帯電話,スマートフォン,タブレット端末,モバイルコンピューター等)や太陽電池、液晶パネル、有機ELパネルなどのデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いるガラス基板やカバーガラスの薄板化が進行している。例えば、液晶パネルでは近年、動画再生時の応答速度を向上させるため、セルギャップと呼ばれる液晶物質を挟み込む2枚のガラスの隙間が4μm以下に狭められる傾向にあり、既に4K(4,096×2,160画素)の高精細液晶ディスプレイデバイスではセルギャップが2μm以下のものが市場に出ている。これらガラス基板の表面形状にうねりなどの凹凸がある場合には、セルギャップに偏差が生じ、透過率のむらである明暗のむらが表示むらとして顕在化する。従って、これらのガラス基板には数ミリから数十ミリの波長成分であるうねりに関して数ナノオーダーでの平滑性が要求されている。ガラス板はうねりの低減や表面品質の向上のため研磨加工されているが、ガラス板が薄くなると強度が低下するため、研磨時の保持パッドとの吸着不足により被研磨物が脱離した際に、被研磨物が容易に破損してしまう、研磨終了時に被研磨物を保持パッドから取り出す際に、被研磨物が破損しやすくなるといった課題が出てきた。
保持パッドの吸着力や保持力を高めるため、従来、保持表面の表面粗さを調整することが検討されてきた。例えば、特許文献1には、保持面の表面粗さが0.02〜0.06μmの保持パッドが開示されており、表面粗さが0.06μm以下の低い範囲にあると、安定的な保持力を発揮できることが示されている。
また、特許文献2には、表面粗さ0.4〜4.0μmの微少な凹凸が全面に亘って形成されているバッキング材が開示されており、表面粗さRaが0.4〜4.0μmの微少な凹凸を設けることにより、被研磨物に対する吸着度合いをコントロールすることができることが示されている。
特開2015−100888号公報 特開2002−355755号公報
特許文献1、2のように、従来、被研磨物の吸着力の指標として表面粗さが使用され、表面粗さを調整することによって保持パッドの被研磨物に対する保持力を制御してきた。表面粗さは表面の凹凸の高低バラツキの平均値をとったのもので、数μm単位の表面の凹凸を測定する場合、0.4〜12.5mmの測定距離で測定される。このため、数〜数十mmオーダーの長波長のうねりを把握することができず、表面粗さを低減した場合であっても大きな波長をもつうねりが低減されているとは限らない。また、表面粗さの値から判るのは、当該数か所における凹凸の高さ及びその平均のみであり、凸や凹の量や密度、凹凸の周期等、凹凸の形状・状態を表面粗さの値から把握することは出来ない。このため、1枚の保持パッドの2つの異なる領域で表面粗さの数値が同程度であったとしても、表面の質感が互いに異なり、保持パッド面内での吸着力に差が生じ、結果として被研磨物のうねりを解消できないという問題を有している。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、特に軟質発泡ウレタンシートの保持パッドの保持面全体の平滑性を向上させることで被研磨物の吸着性に優れる保持パッドを提供することを目的とする。また、本発明は、被研磨物を保持して研磨した場合に被研磨物の研磨後の平坦性に優れる保持パッドを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対し鋭意検討した結果、保持パッドの被研磨物保持面における王研式平滑度を一定範囲内とすることにより、吸着性(被研磨物を保持パッドに吸着させる性能)及び研磨加工後の被研磨物の平坦性に優れる保持パッドが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下を提供する。
〔1〕 複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、
前記保持面におけるJIS P 8155による王研式平滑度が、1150秒〜2000秒である、前記保持パッド。
〔2〕 前記保持面10000μm2当たりに存在する開口部の個数が、5〜800個である、〔1〕に記載の保持パッド。
〔3〕 前記保持面に存在する開口部の平均開口径が、0.30〜1.00μmである、〔1〕又は〔2〕に記載の保持パッド。
〔4〕 前記ポリウレタンシートは、その保持面側にスキン層を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の保持パッド。
〔5〕 ショアA硬度が30〜70度の範囲内である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の保持パッド。
〔6〕 ポリウレタンシートの圧縮率が20〜40%の範囲内である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の保持パッド。
〔7〕 複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを用意する工程;
フィルムの片面に粘着層を有する粘着性フィルムを用意する工程;及び
粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するように粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせて積層体を得る工程、
積層体から粘着性フィルムを剥がす工程
を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の保持パッドの製造方法。
〔8〕 加熱することなく前記粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせる、〔7〕に記載の製造方法。
本発明の保持パッドは、従来の保持パッドに比べて、吸着性及び研磨加工後の被研磨物の平坦性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<<保持パッド>>
本発明の保持パッドは、複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、前記保持面におけるJIS P 8155による王研式平滑度が、1150秒〜2000秒である、請求項1に記載の保持パッドである。
<ポリウレタンシート>
ポリウレタンシートは、複数の涙形状(teardrop-shaped)気泡を有する。涙形状気泡は、湿式成膜法によってポリウレタンシート内部に形成される気泡(異方性があり、樹脂シートの上部から下部(基材と接する側)に向けて径が大きい構造を有する気泡)を意図するものであり、乾式成型法によって形成される略球状の気泡と区別するために用いられる。従って、本発明の複数の涙形状気泡を有するポリウレタンシートは、湿式成膜法により形成されたポリウレタンシートと言い換えることができる。湿式成膜法とは、成膜する樹脂を有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液をシート状の基材に塗布後、該有機溶媒は溶解するが該樹脂は溶解しない凝固液中に通して該有機溶媒を置換し、凝固させ、乾燥して発泡層を形成する方法を意味する。通常、湿式成膜法によりポリウレタンシートを製造すると、ポリウレタンシート内部に略涙形状のマクロ気泡(涙形状気泡)が複数生じる。
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタンシートとは、ポリウレタン樹脂を主成分(50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上)とするシートを意味しており、他の樹脂(シリコーン系樹脂など)を主成分とするシートとは明確に区別される。
ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、又はそれら混合系の樹脂を用いることができる。
ポリエステル系の樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリエーテル系の樹脂としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリカーボネート系の樹脂としては、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
(王研式平滑度)
本明細書及び特許請求の範囲において、王研式平滑度とは、JIS P 8155に記載される方法に従って測定した場合の王研式平滑度を意味する。王研式平滑度は、測定ヘッドを試験片の上に置き、そのヘッドの中を一定の空気圧に減圧して、ヘッドと試験片表面であるポリウレタンシートとの隙間を一定量の空気が流れる時間を秒で表示する装置である。平滑性が低い程、隙間を流れる空気量が多いので秒数は短く、平滑性が高い程、秒数は長くなる。ポリウレタンシートの表面には微細な開口部が存在するが、王研式平滑度測定ではポリウレタンシート表面に密着させて測定を行うため、表面の開口を含めた測定を行うことができ、被研磨物を接触させたときの吸着性と剥離性の指標とすることができる。
本発明の保持パッドは、保持面における王研式平滑度が1150秒〜2000秒である。王研式平滑度は、1200秒〜1900秒であることが好ましく、1300秒〜1800秒であることがより好ましく、1500秒〜1800秒であることがさらにより好まし、1700秒〜1800秒であることがさらにより好ましい。また、1300秒〜1600秒であることも好ましい。王研式平滑度が上記範囲内であると、保持パッドのうねりを低減させることができ、吸着性及び研磨加工後の被研磨物の平坦性を向上させることが出来る。また、使用後の剥離性を良好なものとすることができる。
(60度鏡面光沢度)
ポリウレタンシートの鏡面光沢度は、ポリウレタンシート表面の緻密性や均一性などに関係するパラメータである。鏡面光沢度は反射光量に基づくものであり、鏡面光沢の程度は、正反射光と散乱反射光との強さの比に大きく依存し、正反射光が強いほど鏡面光沢度が高く、散乱反射光が強くなるほど鏡面光沢度が低くなる。ポリウレタンシートの表面には微細な開口部が存在する。そのため、鏡面光沢度を測定するための入射光は、ポリウレタンシートの内部にも侵入する。ポリウレタンシートの内部に侵入した光は、当該ポリウレタンシートの開口の内壁を形成する樹脂の表面にて反射(鏡面反射もしくは拡散反射)または散乱あるいは吸収される。ポリウレタンシートの鏡面光沢度は、表面の開口を含めた表面形状を反映させることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、60度鏡面光沢度とは、JIS Z 8741に記載される方法に従って測定した場合の鏡面光沢度を意味する。60度鏡面光沢度の測定の原理は、規定された入射角60度に対して、試料面からの鏡面反射光束φsを測定し、同一条件における屈折率n=1.567のガラス表面の鏡面反射光束φosを基準として、その比で表される。
光沢度=(φs/φos)×100(%)
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートの保持面の60度鏡面光沢度が、20%〜60%であることが好ましく、25%〜50%であることがより好ましく、28%〜50%であることがさらにより好ましい。60度鏡面光沢度が上記範囲内であると、吸着性及び研磨加工後の被研磨物の平坦性を向上させることができる。また、被研磨物を保持パッドに密着させる際に空気が密着面内に取り込まれてしまうことで生じるエア噛みの発生を抑えやすくなり、研磨加工後の被研磨物の平坦性の向上に寄与することができる。
(75度鏡面光沢度)
本明細書及び特許請求の範囲において、75度鏡面光沢度とは、JIS P 8142に準拠した、TAPPI方式75°光沢度法に従って測定した場合の鏡面光沢度を意味する。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートの保持面の75度鏡面光沢度が、60%〜90%であることが好ましく、65%〜85%であることがより好ましく、65%〜80%であることがさらにより好ましく、70%〜75%であることがさらにより好ましい。また、75度鏡面光沢度の標準偏差が、2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらにより好ましく、0.8%以下であることがさらにより好ましく、0.6%以下であることがさらにより好ましい。75度鏡面光沢度及びその標準偏差が上記範囲内であると、保持パッド面内での凹凸形状が一様なものとなり、吸着性を向上させることができる。また、研磨加工後の被研磨物の平坦性を向上させることができる。
(表面粗さ)
本明細書及び特許請求の範囲において、表面粗さとは、接触式表面粗さ計により測定されたものであり、保持パッドの被研磨物を保持する表面(保持面)の凹凸の高低バラツキの平均値を意味する。表面粗さは、保持面全体の平坦性を適切に表したものではないため、本発明の効果に対して直接的な影響を及ぼすものではない。本発明の保持パッドは、保持面の表面粗さが、0.1〜3.0μmであってもよく、0.5〜2.5μmであってもよく、1.0〜2.2μmであってもよい。
(スキン層)
ポリウレタンシートは、被研磨物を保持する保持面側にスキン層を有することが好ましい。スキン層とは、湿式成膜法によってポリウレタンシート表面(保持面側表面)から深さ方向(厚さ方向)3μmまでの、厚さ3μm以下の領域に形成されている、ポリウレタンシート内部よりも気泡の少ない緻密な層のことである。スキン層は、ポリウレタンシート内部に比べて気泡が少ない(或いは気泡サイズが小さい)ため、シート内部よりも密度が大きくなっている。従って、スキン層は、湿式成膜法によって形成されるポリウレタンシート表面(保持面側表面)から深さ方向(厚さ方向)3μm以下の厚さ領域に形成されている緻密層と言い換えることができる。スキン層を有することにより、被研磨物を保持面に密着させ十分に吸着させることができる。
なお、上記のとおり、スキン層は、ポリウレタンシート中に存在する高密度で緻密な層であり、ポリウレタンシートと同一原料から得られるものである。スキン層は、ポリウレタンシート上に積層されたポリウレタンシートとは異なる層ではない。また、スキン層は、ポリウレタン樹脂を主成分(50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上)とする層であり、他の樹脂(シリコーン系樹脂(例えばポリオルガノシロキサン)など)を主成分とする層ではない。
(開口個数)
本明細書及び特許請求の範囲において、開口個数とは、ポリウレタンシート表面(保持面)に存在する開口部の個数を意味する。開口個数は、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影されたスキン層表面の画像を画像処理ソフトにより二値化処理することで測定することができる。
本発明の保持パッドは、保持面に開口部が存在することが好ましい。本発明の保持パッドは、保持面10000μm2当たりに存在する開口部の個数が、5〜800個であることが好ましく、5〜700個であることがより好ましく、5〜600個であることがさらに好ましい。また、前記開口部の個数は、100〜600個であることも好ましく、150〜500個であることも好ましく、200〜400個であることも好ましい。開口個数が上記範囲内であると、被研磨物を保持パッドに密着させる際に空気が密着面内に取り込まれてしまうことで生じるエア噛みを防ぐことができる。また、適度な剥離性が得られやすい。
(平均開口径)
本明細書及び特許請求の範囲において、平均開口径とは、スキン層表面に存在する微小な開口の面積を基に算出される円相当直径を示す。平均開口径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影されたスキン層表面の画像を画像処理ソフトにより二値化処理することで測定することができる。
本発明の保持パッドは、保持面に存在する開口部の平均開口径が、0.30〜1.00μmであることが好ましく、0.35〜0.90μmであることがより好ましく、0.40〜0.90μmであることがさらにより好ましい。また、前記開口部の平均開口径は、0.50〜0.80μmであることも好ましく、0.60〜0.70μmであることも好ましい。平均開口径が上記範囲内であると、被研磨物を保持パッドに密着させる際に空気が密着面内に取り込まれてしまうことで生じるエア噛みを防ぐことができる。
(厚み)
ポリウレタンシートの厚みに特に制限はないが、0.3〜3mmであることが好ましく、0.5〜2.5mmであることがより好ましく、0.5〜2mmであることがさらにより好ましい。
(ショアA硬度)
本明細書及び特許請求の範囲において、ショアA硬度とは、JIS K7311に準じて測定した値を意味する。
本発明の保持パッドは、保持パッドのショアA硬度が30〜70度であることが好ましく、40〜65度であることがより好ましく、45〜60度であることがさらにより好ましい。また、ポリウレタンシートのショアA硬度が3〜30度であることが好ましく、5〜25度であることがより好ましく、7〜20度であることがさらにより好ましい。ショアA硬度が上記範囲内であると、保持パッド全体の剛性が十分で、被研磨物の自重に対し沈み込みすぎることなく、研磨加工時に保持パッド(ポリウレタンシート)自体が研削されてしまうことがない。
(圧縮率)
本明細書において、圧縮率とは、保持パッドの軟らかさの指標である。
圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることが出来る。具体的には、以下の通りである。
無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を5分間かけた後の厚さt1を測定する。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t0−t1)/t0の式で算出することができる(なお、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2である)。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートの圧縮率が20〜60%であることが好ましく、25〜50%であることがより好ましく、25〜40%であることがさらにより好ましい。圧縮率が上記範囲内であると、研磨加工時に被研磨物を研磨荷重に応じて適度に沈み込ませることができ、被研磨物の平坦性向上に寄与する。
(他の層)
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシート表面(保持面)が被研磨物と接触することを前提としたものであり、従ってポリウレタンシートの保持面上に他の樹脂層は存在しない。
その一方で、本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートの被研磨物を保持する面(保持面)とは反対側の面には、他の樹脂層(下層、支持層)が貼り合わせられていてもよく、他の樹脂層が貼り合わされていなくてもよい。他の樹脂層の特性は特に限定されるものではないが、ポリウレタンシートよりも硬い(A硬度の高い)層が貼り合わされていることが好ましい。ポリウレタンシートよりも硬い層が設けられることにより、作業性が向上する。
(用途)
本発明の保持パッドは、シリコン、ガラスなどの被研磨物を研磨する際の保持パッドとして好適に用いることができる。これらの中でも、本発明の保持パッドは、ガラス基板(特にフラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板やカバーガラス基板)の保持パッドとして、好適に用いることが出来る。
本発明の保持パッドは、例えば、下記の方法により製造することができる。
<<保持パッドの製造方法>>
本発明の保持パッドの製造方法は、複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを用意する工程;フィルムの片面に粘着層を有する粘着性フィルムを用意する工程;及び粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するように粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせて積層体を得る工程、積層体から粘着性フィルムを剥がす工程を含む、保持パッドの製造方法である。
以下、各工程について詳しく説明する。
<(1)ポリウレタンシートを用意する工程>
ポリウレタンシートを用意する工程において、ポリウレタン樹脂を含むポリウレタンシートを用意する。ポリウレタンシートは湿式成膜法によって形成される涙形状気泡を複数有することが好ましい。また、ポリウレタンシートは、被研磨物を保持するための保持面を有することが好ましい。ポリウレタンシートは、市販されているものを用いてもよく、自ら製造したものを用いてもよい。ポリウレタンシートは、例えば、下記(i)〜(iv)の工程を経て製造することができる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタンシートを湿式成膜シートと呼ぶことがある。
(i)ポリウレタン樹脂含有溶液の調製
ポリウレタンシートの原料となるポリウレタン樹脂を、ポリウレタン樹脂を溶解することのできる水混和性の有機溶媒に溶解することにより、ポリウレタン樹脂含有溶液を調製する。また、有機溶媒に溶解後、得られた溶液を減圧下で脱泡してもよい。
(A)ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、上記保持パッドの項で例示したポリエステル系、ポリエーテル系、又はポリカーボネート系の樹脂を用いることができる。
ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂含有溶液中に含まれる全固形分に対して50〜98質量%含まれることが好ましく、60〜95質量%含まれることがより好ましく、70〜90質量%含まれることがさらにより好ましい。
(モジュラス)
モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を単位面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。
ポリウレタン樹脂は、1〜20MPaの樹脂モジュラスを有することが好ましく、2〜10MPaであることがより好ましく、3〜8MPaであることがさらにより好ましい。樹脂モジュラスが上記範囲内であると、研磨後の被研磨物の平坦性を良好にでき、かつ被保持物に対する吸着性を上げることができる。
(B)有機溶媒
前記有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解することができ且つ水混和性であれば特に制限なく用いることが出来る。例としては、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などが挙げられる。これらの中でも、DMF又はDMAcが好ましく用いられる。
ポリウレタン樹脂含有溶液中の固形分濃度は、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%である。上記範囲内の濃度であれば、ポリウレタン樹脂含有溶液が適度な流動性を有し、後の塗布工程において成膜基材に均一に塗布することができる。
また、ポリウレタン樹脂含有溶液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、孔形成剤、顔料、親水性添加剤、疎水性添加剤などが挙げられる。
孔形成剤としては、ポリオールやセルロース誘導体などが挙げられる。ポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。セルロース誘導体としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースバレレート、セルロースアセテートブチレート等のエステル系セルロース誘導体や、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のエーテル系セルロース誘導体、アセチルエチルセルロース、アセトキシプロピルセルロース等のエーテルエステル系セルロース誘導体を挙げることができる。孔形成剤を含む場合、孔形成剤は、ポリウレタン樹脂溶液中に含まれる全固形分に対して0.001〜5質量%含まれることが好ましく、0.01〜2質量%含まれることがより好ましく、0.01〜1.0質量%含まれることがさらにより好ましい。孔形成剤を含むことにより、保持面に容易に開孔部を形成調整することができる。
顔料としては、カーボンブラックが挙げられる。顔料を含む場合、顔料は、ポリウレタン樹脂溶液中に含まれる全固形分に対して0〜20質量%含まれることが好ましく、0.1〜20質量%含まれることがより好ましく、0.5〜10質量%含まれることがさらにより好ましく、1〜8質量%含まれることがさらにより好ましく、2〜7質量%含まれることがさらにより好ましい。顔料を上記範囲内で含んでいると、気泡形状が安定化されるため望ましい。
親水性添加剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、親水性のエステル系、エーテル系、エステル・エーテル系、アミド系等のノニオン界面活性剤が挙げられる。また、疎水性添加剤としては、例えば、炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤、より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルが挙げられる。界面活性剤を含む場合、界面活性剤は、ポリウレタン樹脂溶液中に含まれる全固形分に対して0.01〜10質量%含まれることが好ましく、0.1〜10質量%含まれることがより好ましく、1〜8質量%含まれることがさらにより好ましく、3〜8質量%含まれることがさらにより好ましい。界面活性剤を上記範囲内で含んでいると、発泡を促進させることやポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させることができる。
(ii)塗布
上記で得られたポリウレタン樹脂含有溶液を、ナイフコーター、リバースコーター等により成膜基材上に略均一となるように、連続的に塗布する。このとき、ナイフコーター等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)が調整される。成膜基材としては、本技術分野で通常用いられる基材であれば特に制限なく用いることができる。例としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の可撓性のある高分子フィルム、弾性樹脂を含浸固着させた不織布等が挙げられ、中でもポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
(iii)凝固
ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された基材を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬する。
凝固液としては、水、水とDMF等の極性有機溶媒との混合溶液などが用いられる。極性有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解するのに用いた水混和性の有機溶媒、例えばDMF、DMAc、THF、DMSO、NMP、アセトンが挙げられる。また、混合溶媒中の極性有機溶媒の濃度は0〜20質量%が好ましい。これらの中でも、凝固液としては、水又は水とDMFとの混合液が好ましく、水とDMFとの混合液(混合液中のDMFの割合は1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい)がより好ましい。
凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば10〜60℃(好ましくは15〜50℃)で5〜120分間浸漬すればよい。
凝固液中では、まず、ウレタン樹脂溶液の凝固浴との界面に緻密なスキン層が形成される。その後、スキン層を通じてウレタン樹脂溶液中の溶媒と凝固液との置換が進行し、ウレタン樹脂が成膜基材上にシート状に凝固再生されて内部に涙形状気泡が複数形成された樹脂シートが形成される。
(iv)洗浄乾燥
凝固浴で凝固させて得られたシート状のポリウレタン樹脂を成膜基材から剥離した後又は剥離せずに、洗浄、乾燥処理を行う。
洗浄処理により、ポリウレタン樹脂中に残留する有機溶媒が除去される。洗浄に用いられる洗浄液としては、水が挙げられる。
洗浄後、ポリウレタン樹脂を乾燥処理する。乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば80〜150℃で5〜60分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記の工程を経て、ポリウレタンシートを得ることができる。
ポリウレタンシートは、必要に応じて、粘着性フィルムの粘着層と接する面(被研磨物を保持するための保持面)とは逆の面を研削処理してもよい。研削処理の方法に特に制限はなく、公知の方法により研削することができる。具体的には、サンドペーパーによる研削が挙げられる。また、研削処理には、バフ機やスライス機等を用いることができる。これにより、成膜樹脂の厚みが概ね均一化されたポリウレタンシートが得られる。
<(2)フィルムの片面に粘着層を有する粘着性フィルムを用意する工程>
本発明の製造方法は、フィルムの片面に粘着層を有する粘着性フィルムを用意する工程を有する。粘着性フィルムを構成するフィルムは、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルムから選択されるフィルムであることが好ましい。これらの中でも、ポリオレフィンフィルムであることが好ましく、炭素数2〜8のオレフィンをモノマー単位とするポリオレフィンフィルムがさらにより好ましく、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブチレンフィルムがさらにより好ましく、ポリエチレンフィルムであることが特に好ましい。
(粘着層)
粘着性フィルムは、フィルムの片面に粘着層を有する。粘着層を有することにより、粘着性フィルムをポリウレタンシート上に熱を加えることなく密着させることができ、粘着性フィルムの粘着層とポリウレタンシートの保持面とが接するようにして粘着性フィルムをポリウレタンシート上に積層する(貼り合わせる)ことができる。また、粘着層が存在することにより、粘着性フィルムを剥離した後のポリウレタンシートの保持面の単位面積あたりの開口個数を、粘着性フィルムを貼り付ける前のポリウレタンシート保持面の単位面積あたりの開口個数よりも増加させることができる。
粘着層を構成する粘着剤成分は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素樹脂系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤から選択されることが好ましく、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤から選択されることがより好ましく、アクリル系粘着剤であることがさらにより好ましい。アクリル系粘着剤としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等を主モノマー(好ましくは全構成モノマー単位の50モル%以上、より好ましくは80モル%以上)とするアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
粘着層の粘着力は、0.05〜1.0N/25mmの微粘着性であることが好ましく、0.1〜0.5N/25mmであることがより好ましい。粘着力は、粘着剤成分を片面に有するテープをステンレス板に貼り、一定時間経過後、180°方向に剥がした時の測定値であり、JIS Z 0237に基づき測定することができる。
<(3)貼り合わせ工程>
本発明の製造方法は、粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するように粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせて積層体を得る工程を有する。
粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するようにして粘着性フィルムがポリウレタンシート上に貼り合わさることにより、保持パッドの製造に用いるための積層体を得ることができる。
粘着性フィルムをポリウレタンシートの保持面と貼り合わせる方法としては、ラミネート加工が挙げられる。このとき、加熱することなく粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせることが好ましく、常温(約15℃〜25℃)で粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせることがより好ましい。加熱することなく貼り合わせることにより、スキン層表面の微小な孔の縮小又は消失を防ぐことができる。これにより、より好適な王研式平滑度を得ることができる。
本発明の保持パッドの製造方法は、上記貼り合わせ工程後、ポリウレタンシートの被研磨物を保持する面とは反対側の面に他の層(下層、支持層)を貼り合わせる工程を有していてもよい。他の層の特性は特に限定されるものではないが、ポリウレタンシートよりも硬い(A硬度の高い)層が貼り合わされていることが好ましい。ポリウレタンシートよりも硬い層が設けられることにより、作業性が向上する。
複層構造を有する場合には、複数の層同士を両面テープや接着剤などを用いて、必要により加圧しながら接着・固定すればよい。この際用いられる両面テープや接着剤に特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープや接着剤の中から任意に選択して使用することが出来る。
<(4)剥離工程>
本発明の製造方法は、貼り合わせ工程により得られた積層体から粘着性フィルムを剥がす工程を含む。
積層体から粘着性フィルムを剥がすことにより、保持パッドを得ることができる。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシート本体から粘着性フィルムを剥がす(除去する)ことによって得られるものである。従って、本発明の保持パッドは、粘着性フィルムを含まない。
(開口個数比)
本発明の製造方法において、ポリウレタンシート上に粘着性フィルムを貼り合わせる前のポリウレタンシート保持面の開口個数に対する、積層体から粘着性フィルムを剥がした後のポリウレタンシート(保持パッド)の保持面の開口個数の比(以下、単に開口個数比ということがある。)は1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3〜20であることがさらにより好ましく、3〜15であることがさらにより好ましく、4〜12であることがさらにより好ましい。
(平均開口径比)
また、本発明の製造方法において、ポリウレタンシート上に粘着性フィルムを貼り合わせる前のポリウレタンシート保持面に存在する開口部の平均開口径に対する、積層体から粘着性フィルムを剥がした後のポリウレタンシート(保持パッド)の保持面に存在する開口部の平均開口径の比(以下、単に平均開口径比ということがある。)は、1より大きいことが好ましく、1.1以上であることがより好ましく、1.2〜2.0であることがさらにより好ましく、1.2〜1.5であることがさらにより好ましい。
(剥離強度)
本明細書及び特許請求の範囲において、剥離強度は、粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するように貼り合わせた粘着性フィルムとポリウレタンシートを含む積層体を20mm×150mmに切り出して試験片を作製し、試験片の長手方向の一端のポリウレタンシートおよび粘着性フィルム部分をそれぞれ引張試験機の把持部につかみ間隔が10mmとなるように引張試験機に取り付け、毎分200mmの引張速度で引っ張り、長辺方向に長さ50mm分の貼付部分(すなわち、20mm×50mm)を剥離(T字剥離)したときの最大荷重である。
剥離強度は、日本工業規格(JIS K6772)に準じた方法で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、テンシロン万能試験機、RTF−1210)を使用して測定することができる。
本発明の製造方法において、粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するようにして貼り合わされている粘着性フィルムとポリウレタンシートとの間の剥離強度は、0.020〜0.150kg/10mmであることが好ましく、0.023〜0.100kg/10mmであることがより好ましく、0.025〜0.080kg/10mmであることがさらにより好ましく、0.028〜0.075kg/10mmであることがさらにより好ましく、0.030〜0.070kg/10mmであることがさらにより好ましい。剥離強度が上記範囲内であると、保持面の表面平滑性を改善させることができる。また、剥離後のポリウレタンシート保持面の開口個数を剥離前よりも多くすることができ、及び/又は剥離後のポリウレタンシート保持面の開口径を剥離前よりも大きくすることができるため、被研磨物と密着させた際に生じるエア噛み込みがより抑制しやすくなる。
<<研磨方法>>
本発明の研磨方法は、保持パッドを用いて被研磨物を保持しながら、前記被研磨物を研磨パッドで研磨する工程を有する、被研磨物の研磨方法である。
被研磨物(被保持物)としては、例えば、シリコン、ガラスなどの被研磨物、が挙げられる。これらの中でも、被研磨物としては、ガラス基板(特にFPD用ガラス基板やカバーガラス基板)が好ましい。
被研磨物を研磨する方法としては、例えば、酸化セリウム、コロイダルシリカなどから選ばれる研磨材を含む研磨液を用いて、ガラス基板の表面を研磨する方法が挙げられる。
<<作用・効果>>
本発明の保持パッドは、同程度の表面粗さを有する従来の保持パッド(比較例1参照)に比べて、ポリウレタンシート保持面の王研式平滑度が高い。これにより、保持パッドと被研磨物との間の吸着性を向上させることができる。本発明の保持パッドが優れた吸着性を有する理由は定かではないが、以下のように推測される。
王研式平滑度は、ポリウレタンシート表面に存在し得る凸成分及び凹成分の影響を受けるが、このうち凸部の存在の方が凹部よりも測定装置と保持パッドの間の空間が大きくなりやすく空気が漏れやすいため、王研式平滑度に与える影響が大きい。すなわち、ポリウレタンシート上に凸部が多く存在しているほど、或いは凸部のサイズが大きいほど、王研式平滑度が低下する。本発明の保持パッドは、粘着性フィルムをポリウレタンシート上に貼り合わせて積層体を製造した後、当該積層体から粘着性フィルムを剥がすことにより保持パッドを得ている。この際、ポリウレタンシート上に存在する研磨機貼付け前までに付着してしまった異物に起因する局所的凸部が、粘着性シートとともにポリウレタンシートから取り除かれる。また、ポリウレタンシート製造過程で生じた起伏に起因する数ミリから数十ミリの波長を有しミクロンオーダーの凸成分であるうねり成分がポリウレタンシート内部に押し込まれる。これにより、粘着性シート剥離後のポリウレタンシート表面に存在する凸部は大きく低減し、王研式平滑度が大きくなるものと考えられる。凸部は凹部に比べて吸着性に影響を及ぼしやすく、被研磨物の局所的な過研磨を起こしやすいが、本発明の保持パッドは凸部が低減されているため、吸着性及び研磨加工後の被研磨物の平坦性が向上するものと考えられる。
その一方で、本発明の保持パッドは、ポリウレタンシート表面に適度な凹部を有しており、また粘着性シートの剥離により開口個数が増大し得るため、王研式平滑度の値が大きくなり過ぎない。これにより、研磨後の被研磨物の取り外しを良好にすることができると考えられる。また、被研磨物を保持パッドに吸着させる際のエア噛みの発生を抑制し、研磨加工後の被研磨物の平坦性の向上にも寄与すると考えられる。
なお、従来の吸着性の指標である「表面粗さ」は、ポリウレタンシート上に存在する凸部及び凹部を、粗さ曲線の平均線からの鉛直方向高さ(絶対値)の算術平均として算出する。従って、凸部を凹部と切り分けることができない。すなわち、ポリウレタンシート上に存在するのが凸部であっても凹部であっても、その絶対的な高さが同じであれば、表面粗さは同じ値になるため、表面粗さの値から、ポリウレタンシート上に凸部が多く存在するのか凹部が多く存在するのかを判断することができない。また、保持パッド表面に点在する開口により、開口を含んだ面と開口の無い面との測定バラつきが大きく、開口を加味した測定ができない。従って、表面粗さの値を指標として、吸着性や研磨後の被研磨物の平坦性に優れる保持パッドを得ることは困難である(本明細書の比較例1参照)。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例において、特段の指定のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
[実施例1]
実施例1では、ポリウレタン樹脂として、100%モジュラスが6MPaのポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂30%のDMF溶液100部に対して、粘度調整用のDMFの45部、カーボンブラックを10%含むDMF分散液の15部、セルロースアセテートブチレート0.1部、界面活性剤(大日本インキ株式会社製、商品名:クリスボンSD−11)の2部を混合してポリウレタン樹脂溶液を調製し、成膜用基材として、PETフィルムを用意し、そこに、上記樹脂溶液を塗布した。この際、塗布装置のクリアランスを1.2mmに設定した。次いで、得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水と10質量%のDMFとからなる18℃の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生後、凝固浴から取り出し、成膜用基材をポリウレタンシートから剥離した後、水からなる室温の洗浄液(脱溶剤浴)に浸漬し、溶媒であるDMFを除去して樹脂シートを得た。その後、樹脂シートを乾燥しつつ巻き取り、厚さ1mmのポリウレタンシートを得た。得られたポリウレタンシートの保持面と反対の面側を、全体の厚みの10%が除去されるようにバフィングし、厚みを均一化させた後、バフ処理面に両面テープを貼り合わせた。
次に、粘着力が0.45N/25mmのアクリル酸エステル系粘着剤が片面に付いたポリエチレンフィルム(粘着性フィルム)を用意し、ポリエチレンフィルムの粘着剤が付着した面(粘着層)がポリウレタンシートの保持面と接するようにして、ポリエチレンフィルムをポリウレタンシートの保持面側にラミネート機により貼りあわせ、保持パッドに用いるための積層体を製造した。各評価試験の直前に、積層体から粘着性フィルムを剥がし、保持パッドとした。
なお、積層体において、アクリル系粘着剤が片面に付いたポリエチレンフィルムとポリウレタンシートとの間の剥離強度は、0.060kg/10mmであった。
剥離強度は、日本工業規格(JIS K6772)に準じた方法で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、テンシロン万能試験機、RTF−1210)を使用して測定した。すなわち、ポリウレタンシートおよび粘着性フィルムを(粘着層が保持面と接するようにして)貼り合わせ20mm×150mmに切り出した試験片を作製し、試験片の長手方向の一端のポリウレタンシートおよび粘着性フィルムをそれぞれ引張試験機の把持部につかみ間隔が10mmとなるように引張試験機に取り付けた。毎分200mmの引張速度で長さ50mm分の貼付部分を剥離し(T字剥離)、最大荷重を求めた。測定回数を2回とし、平均値を評価した。
[実施例2]
粘着力が0.25N/25mmのアクリル酸エステル系粘着剤が片面に付いたポリエチレンフィルムを使用する以外実施例1と同様にして保持パッド積層体を製造した。なお、実施例2の積層体において、アクリル系粘着剤が片面に付いたポリエチレンフィルムとポリウレタンシートとの間の剥離強度は、0.040kg/10mmであった。
[実施例3]
孔形成剤の量を0.01部とした以外実施例1と同様にして保持パッド積層体を製造した。
[比較例1]
粘着性フィルムを貼り合わせなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の保持パッドを得た。
実施例1〜3及び比較例1の保持パッドについて、下記の方法により、表面粗さ、王研式平滑度、60度鏡面光沢度、75度鏡面光沢度、開口個数、平均開口径、ショアA硬度、圧縮率を測定した。
<表面粗さ>
表面粗さRaの測定では、粗さ測定機(株式会社東京精密製、サーフコム480A)を用い、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に基づき測定した。具体的には、先端半径2μm、円錐型60°ダイヤモンドの触針を使用して、0.75mNの測定力で、表面測定速度0.6mm/secにて測定距離を4mmとし、保持パッドの表面4方向についてそれぞれ2回ずつ測定を行った。カットオフ値は0.8mmとし、それ以上の値を測定値から除外した。測定結果を表1に示す。
<王研式平滑度>
実施例1〜3及び比較例1の保持パッドの保持面側の面を、王研式透気度試験機(熊谷理機工業製)の測定ヘッド面に押し付け、JIS P8155に準じて、王研式平滑度を測定した。測定結果を表1に示す。
<60度鏡面光沢度>
「鏡面光沢度−測定方法(JIS Z 8741)」に準拠して、光沢度計(日本電飾工業株式会社製「VG7000」)を用いて、サンプル表面の60度鏡面光沢度を測定した。サンプルは実施例1〜3及び比較例1の各保持パッドを210×297mmサイズに切り出し、測定箇所が重ならないようにしてその保持面の3点を測定し、その平均値を光沢度とした。測定結果を表1に示す。
<75度鏡面光沢度>
「紙および板紙の75°鏡面光沢度の測定方法(JIS P 8142)」に準拠した、TAPPI方式75°光沢度に基づき光沢度計(株式会社村上色彩技術研究所製「GM−26D」)を用いて、サンプル表面の光沢度75°を測定した。サンプルは実施例1〜3及び比較例1の各保持パッドを1シート210×297mmサイズに切り出し、測定箇所が重ならないようにして1シートの保持面当たり3点を測定し、測定を4シート分繰り返し、合計12点の平均値を光沢度とした。また、併せて光沢度の標準偏差を求めた。測定結果を表1に示す。
<開口個数、平均開口径>
実施例1〜3において、粘着層を片面に有する粘着性フィルムを貼り付ける前のポリウレタンシートの保持面の開口部の開口個数(保持面10000μm2あたり)及び平均開口径、及び粘着性フィルムを剥がした後のポリウレタンシート(保持パッド)の保持面の開口部の開口個数及び平均開口径を測定した。また、比較例1の保持パッドの開口部の開口個数及び平均開口径を測定した。開口個数及び平均開口径は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5500LV)で約5mm四方の範囲を1000倍に拡大し9カ所観察した。この画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3、ニコン製)により二値化処理して開口個数を確認し、各々の開口の面積から円相当径及びその平均値を平均開口径として算出した。その結果を表1に示す。
<ショアA硬度>
ショアA硬度の測定は、10cm×10cmに裁断した試料片(保持パッド)を用意し、複数の試験片を厚さが4.5mm以上となるように重ね、A型硬度計(日本工業規格、JIS K 7311)にて測定した。例えば、1枚の試料片の厚さが1mmの場合は5枚を重ねて測定した。その結果を表1に示す。
<圧縮率>
圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して測定した。具体的には以下の通りである。無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を5分間かけた後の厚さt1を測定した。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t0−t1)/t0の式で算出した。このとき、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2であった。その結果を表1に示す。
次に、実施例1〜3及び比較例1の保持パッドについて、下記の方法により、吸着性、剥離性及び被研磨物を保持して研磨した後の被研磨物の平坦性を評価した。
(評価試験1:吸着力試験)
実施例1〜3及び比較例1の保持パッドを約100mm×100mmの正方形に切り出した。また、吸着対象物として直径φ60mm、厚さ約1mmのガラス基板を準備した。固定した定盤上に、切り出した保持パッドを装着した。次いで、保持パッドに備えられる樹脂シートの保持面に適量の水を吹き付け、適度に水切りをした後、ガラス基板を保持パッドにしっかり押し付けて吸着させた。次に、ガラス基板の保持パッド側とは反対側の面に、ガラス基板と同じサイズの両面テープを介して、引張用の治具をしっかり押し付けて貼り付けた。その後、引張用の治具をガラス基板とは反対側に引っ張り、ガラス基板が保持パッドから引き離された際の引張荷重の最大値を読み取った。引張試験機としてTENSILON(ORIENTEC社製)を用いた。被研磨物ホルダに装着した保持パッドを交換することなく、上記操作を40回繰り返して(ただし、2回目以降は、引張用の治具がガラス基板に貼り付けられた状態でガラス基板を保持パッドに吸着させた。)全データを相加平均して吸着力とした。被研磨物の吸着力を下記の基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
[評価基準]
A:引張荷重の最大値の相加平均が20kgf以上
B:引張荷重の最大値の相加平均が20kgf未満
(評価試験1の結果)
実施例1〜3の保持パッドは20kgf以上の吸着力を有し、良好な吸着力を示した。一方、比較例1の保持パッドは吸着力が18kgfであり、実施例1〜3に比べて吸着力が弱かった。
(評価試験2:研磨試験)
各実施例および比較例の保持パッドを用い、以下に示す研磨条件にてガラス基板の研磨加工を行い、被研磨物の研磨後の平坦性を評価した。この評価では、日本工業規格(JIS B0601:’82)に準じた方法で、ろ波中心うねりから平坦度aを測定した。平坦度aの測定では、表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密製、サーフコム480A)を使用し、以下に示す測定条件に設定した。研磨加工後のガラス基板表面の凹凸に起因して得られる測定曲線から、隣り合う凸部(山部)と凸部との間の幅W、および、凸部と凹部(谷部)との高さSを算出した後、幅Wを横軸、高さSを縦軸とした散布図を作成した。得られた散布図から、一次式S=aWの近似直線を求め、傾きaを研磨加工後の最終の平坦度aとした。一般に、平坦性が高くなるほど幅Wが大きくなり高さSが小さくなるため、傾きaが小さいほど平坦性に優れることを示すこととなる。平坦度aの測定結果を表1に示す。研磨条件は以下の通りである。
・被保持物(被研磨物):ガラス基板(370mm×235mm×0.4mm)
・研磨パッド:硬質発泡ウレタン
・使用研磨機:オスカー研磨機(スピードファム社製、SP−1200)
・研磨速度(回転数):30rpm
・加工圧力:100gf/cm2
・スラリ:セリウムスラリ
・研磨時間:20分
平坦度の評価は平坦度aが0.005未満をA、0.005以上をBとした。
(評価試験2の結果)
実施例1、2の保持パッドを用いた場合、比較例1よりもうねりが低減し、被研磨物の平坦性が向上していた。
(評価試験3:研磨後の剥離性)
実施例1〜3及び比較例1の保持パッドについて、研磨後の剥離性を以下の方法で評価した。面積42cm2の6角形にカットした保持パッドの保持面と反対側の面の両面テープの粘着剤層で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、テンシロン万能試験機、RTF−1210)の台に貼り付けた。保持パッドの保持面に水をスプレーで吹き付けた後、表面の水をワイパーで軽く除いた。次に、保持面上に厚さ1mm、直径150mmの円形ガラス板を載置した。ガラス板の上面全面に均等に面圧500g/cm2の荷重がかかるように吸着させ、保持面に対して2度斜め上方向の角度に10mm/分の速度で引っ張った。保持パッドからガラス板が徐々に剥がれていくので、剥離の開始から完全に剥離するまでの時間と引きはがしに要した引張荷重を測定した。剥がれるまでの時間や引張荷重が大きすぎると、被研磨物を保持する能力に優れるものの保持パッドの取り外しに時間がかかり、作業効率が低下するという問題や、被研磨物に過剰な負荷がかかるという問題を生ずる。従って、保持パッドには、十分な保持力を備えつつ、取り外す際には必要以上に時間や引張荷重を要しない程度の剥離性が求められる。以上を踏まえ、剥離性については以下の基準に従って評価した。その結果を表1に示す。
[評価基準]
A:ガラス板が保持パッドから剥がれるまでの時間が6秒以下
かつ、引きはがし荷重が20kgf以下
B:ガラス板が保持パッドから剥がれるまでの時間が6秒超過
あるいは、引きはがし荷重が20kgf超過
(評価試験3の結果)
剥離性評価の結果、実施例1〜3及び比較例1の保持パッドは、被研磨物から剥離するのにそれほど力を要さず、短時間で被研磨物から剥離することができた。従って、いずれの保持パッドも剥離性に優れていた。
Figure 2019058986
従来の表面粗さによる評価では、実施例2の保持パッドよりも比較例1の保持パッドの方が表面粗さの値が小さく、優れた保持パッドであるようにみえる。しかしながら、比較例1の保持パッドは、被研磨物の平坦性及び吸着力のいずれも実施例2の保持パッドに劣っていた。また、いずれの保持パッドも、計8回の測定で得られた表面粗さの数値が大きくバラついていた。このことから、表面粗さを指標とする従来の評価方法では、保持パッドの性能を十分に評価できないことが分かった。
一方、王研式平滑度による本発明の評価に基づくと、平滑度が1150〜2000秒である本発明の保持パッドは、平滑度が1150秒未満の比較例1の保持パッドに比べて、優れた平坦性及び吸着力を有していた。従って、王研式平滑度を指標として、吸着性及び被研磨物の平坦性に優れた保持パッドを評価できることが分かった。
本発明の保持パッドは、従来の保持パッドに比べて、吸着性及び被研磨物の平坦性に優れる。よって、本発明の保持パッド及びその製造方法は、産業上極めて有用である。

Claims (8)

  1. 複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、
    前記保持面におけるJIS P 8155による王研式平滑度が、1150秒〜2000秒である、前記保持パッド。
  2. 前記保持面10000μm2当たりに存在する開口部の個数が、5〜800個である、請求項1に記載の保持パッド。
  3. 前記保持面に存在する開口部の平均開口径が、0.30〜1.00μmである、請求項1又は2に記載の保持パッド。
  4. 前記ポリウレタンシートは、その保持面側にスキン層を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持パッド。
  5. ショアA硬度が30〜70度の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持パッド。
  6. ポリウレタンシートの圧縮率が20〜40%の範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保持パッド。
  7. 複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを用意する工程;
    フィルムの片面に粘着層を有する粘着性フィルムを用意する工程;及び
    粘着性フィルムの粘着層がポリウレタンシートの保持面に接するように粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせて積層体を得る工程、
    積層体から粘着性フィルムを剥がす工程
    を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法。
  8. 加熱することなく前記粘着性フィルムとポリウレタンシートとを貼り合わせる、請求項7に記載の製造方法。
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