JP2017100215A - 研磨用保持具及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
被研磨物を保持するためのバックパッドと、
前記バックパッドに直接的に接合され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、
を備える、研磨用保持具。
[2]
前記枠材の厚さが、500μm以下である、[1]に記載の研磨用保持具。
[3]
前記研磨用保持具が、前記枠材において、研磨時の研磨パッドに対向する面に少なくとも開口を形成した溝部を有する、[1]又は[2]に記載の研磨用保持具。
[4]
前記枠材が、光硬化性樹脂を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の研磨用保持具。
[5]
前記枠材が、チオール系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨用保持具。
[6]
前記枠材が、ガラス繊維を含まない、[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨用保持具。
[7]
被研磨物を保持するためのバックパッドと、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備える研磨用保持具の製造方法であって、
前記バックパッド上に前記枠材を直接的に接合する形成工程を有する、
研磨用保持具の製造方法。
[8]
前記枠材が、光硬化性樹脂から形成され、
前記形成工程が、前記光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程を含む、[7]に記載の研磨用保持具の製造方法。
[9]
前記枠材が、前記バックパッド上に配置された型枠内に前記枠材の材料又はその前駆体を充填し、当該材料の乾燥又は前記前駆体の硬化により形成される、[7]に記載の研磨用保持具の製造方法。
本実施形態の研磨用保持具は、被研磨物(以下、「ワーク」ともいう。)を保持するためのバックパッドと、前記バックパッドに直接的に接合され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備えている。本明細書において、「直接的に接合」とは、バックパッドと枠材との間に接着剤が介在することなくこれらが接合していることを意味する。接着剤とは、種々公知の接着材料を意味し、具体例として、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤及び感圧性接着剤が挙げられ、膠等の天然接着剤も含む。本実施形態の研磨用保持具は、バックパッドと枠材とを直接的に接合することにより、(1)バックパッドと枠材との間に、酸性スラリーや研磨時に生じる摩擦熱に起因して劣化しやすかったり、バックパッドを収縮させ得たりする接着剤が介在せず、(2)剥離の要因が枠材とバックパッドとの間の界面破壊のみになる。その結果、本実施形態の研磨用保持具は、その内部での剥離が抑制される。例えば、バックパッドと枠材とが異なる材料から構成され、全体として熱収縮率や圧縮変形量に勾配が生じる場合であっても、本実施形態においては、上記(1)〜(2)に係る特徴により、研磨用保持具の内部での剥離が抑制される。
本実施形態におけるバックパッドとしては、ワークを保持する(保持面を有する)ものである限り、その材質や形状については特に限定されない。バックパッドは、シート状であると好ましく、その場合、シートの表面が保持面となる。ただし、バックパッドの形状はシート状に限定されない。
弾性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、トランス−ポリイソプレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂が挙げられる。このなかでも、硬度、粘弾性特性の調整、良好な発泡性、耐摩耗性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態において、弾性樹脂発泡体に存在する気泡としては、特に限定されないが、例えば、複数の気泡が独立して存在する独立気泡、複数の気泡が連通孔でつながっている連続気泡、涙型気泡が挙げられ、これらが混在していてもよい。これらのなかでも、弾性樹脂発泡体は独立気泡を有することが好ましい。例えば、被研磨物を研磨する際には、被研磨物表面を研磨されやすい状態とするため、強酸化剤等を含むスラリーを用いることがある。この際、独立気泡を有すると、強酸化剤が弾性樹脂発泡体内部に浸透することを抑制することができるため、強酸化剤に由来する弾性樹脂発泡体の劣化が効果的に抑制される傾向にある。そのため、独立気泡を有する弾性樹脂発泡体の耐薬品性がより向上する傾向にある。一方、連続気泡とする場合は、バックパッドに要求されるクッション性及び密着性(保持性能)を確保しやすい観点から好ましい。また、湿式成膜法による涙型気泡を有する場合は、バックパッドに要求されるクッション性及び密着性(保持性能)を確保しやすい観点から好ましい。
本実施形態において、バックパッドの硬度は、好ましくはショアA硬度10°以上ショアD硬度70°以下であり、より好ましくはショアA硬度10°以上ショアA硬度80°以下であり、さらに好ましくはショアA硬度10°以上ショアA硬度50°以下である。ショアA硬度が10°以上であることにより、高い研磨圧により研磨加工された際にバックパッドの沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、ショアD硬度が70°以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。バックパッドの硬度は、例えば、バックパッドとしての弾性樹脂発泡体に含まれる気泡の量を制御することにより、調整することができる。なお、ショアA硬度およびショアD硬度は、JIS−K−6253(2012)に準拠して測定することができる。
本実施形態における枠材は、研磨加工中に被研磨物が横ずれを起こして、バックパッドのワーク保持面から脱落することを防止する(横ずれ範囲を規制する)ものである。そのため、枠材は、バックパッドのワーク保持面の周囲にある面上に設けられる。枠材の形状及び寸法は、被研磨物が研磨領域から飛び出さないようなものであれば特に限定されず、例えば、円形の被研磨物の場合に枠材は、その内径が被研磨物よりやや大きい円形状を有する、すなわち保持穴を有していてもよい。また、枠材は、研磨の際に要求される硬度や耐薬品性、精度の観点から、内部に気泡を有しない樹脂無発泡体でもよいし、枠材としての機能を損なわない範囲で発泡を含んでいてもよい。例えば、枠材表面の開孔径を測定したときの平均開孔径が10μm以下であれば耐久性、耐薬品性が向上する傾向にあり、平均開孔径が5μm以下であればより好ましく、平均開孔径が2μm以下であればさらに好ましい。開孔径の測定方法は公知の方法でよいが、例えば、下記のようにして測定される。レーザー顕微鏡(例えばKEYENCE社製商品名「VK−X105」)で200倍に拡大して観察し、その画像を得る。次いで、得られた画像を画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製商品名「WinRoof」)により二値化処理することで、開孔とそれ以外の部分とを区別する。そして、区別した各々の開孔の面積から円相当径、すなわち開孔が真円であると仮定して開孔径を算出する。そして、各々の開孔の開孔径を相加平均して平均開孔径(μm)とする。
枠材として形成される工程では、水や各種有機溶媒などの溶媒を併用し、かかる溶媒を蒸発させることによる乾燥固化でも枠材を形成することができるが、溶媒が蒸発することで体積収縮が生じ、設定通りの膜厚や形状が得られないことがある。したがって、特に一定の膜厚や形状を要求する場合は、無溶媒又は固化成分比の多い、一液又は二液以上の反応性樹脂配合物とすることが好ましい。
また、耐熱性の観点から、本実施形態における枠材は熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂又は電子線硬化樹脂を含むことが好ましく、無溶媒又は固化成分比を多くする観点、枠材に必要とされる硬度、粘弾性、耐薬品性及び硬化工程の制御の観点から、光硬化性樹脂又は電子線硬化樹脂を含むことがより好ましく、設備コストや生産の簡便性、市販されている樹脂の多様性の観点から、UV(紫外線)硬化性樹脂がさらに好ましい。UV硬化性樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、チオール系樹脂及びエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。チオール系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、チオコールLP(東レ・ファインケミカル社製)等が挙げられる。また、エポキシ系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、HUG(セイコーアドバンス社製)等が挙げられる。ウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、V−9500(DIC社製)、UV FIL(帝国インキ社製)等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、エピクロン(DIC社製)等が挙げられる。ウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、SS−16(東洋インキ社製)等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂が挙げられる。電子線硬化樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂、チオール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂が挙げられる。本実施形態における枠材は、研磨工程に要求される硬度、耐熱性、耐薬品性等を考慮すると、チオール系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含むことがとりわけ好ましい。
本実施形態の研磨用保持具の製造方法は、被研磨物を保持するためのバックパッドと、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備える研磨用保持具の製造方法であって、前記バックパッド上に前記枠材を直接的に接合する形成工程を有する。上記のように構成されているため、本実施形態の研磨用保持具の製造方法によれば、好ましく本実施形態の研磨用保持具を製造することができる。
発泡体形成工程は、弾性樹脂と、その弾性樹脂内に存在する複数の気泡と、を有する発泡体を形成する工程である。発泡体形成方法としては、モールド成型法により発泡体を形成する方法が挙げられる。
まず、モールド成型法により発泡体を形成する方法について説明する。モールド成型法における気泡の形成方法は、特に限定されず、従来知られている方法であってもよい。例えば、中空微粒子を弾性樹脂内に分散させたり、弾性樹脂中に化学発泡剤を配合させてガス発泡させたり、弾性樹脂と不活性ガスとを加圧混練して減圧発泡したりして気泡を形成する方法が挙げられる。
本実施形態におけるバックパッドに前記枠材を直接的に接合する形成工程は、バックパッドと枠材とが直接的に接合されるものであれば特に限定されない。
このように、枠材とバックパッドが直接的に接合していることにより、剥離の要因となりえる因子が「枠材−バックパッド間の界面破壊」のみとなり、弾性変形を介した(加圧)接着工程も不要となる。したがって、枠材が薄く、バックパッドと枠材とに硬度、圧縮率、熱収縮性等の物性に差がある場合であっても、反りや剥離の発生を抑制でき、枠材とバックパッドの物性を個別に適宜設計できる。
本実施形態の研磨用保持具の製造方法は、バックパッドの、枠材が形成された面とは反対の面に対して、基材を貼り合せる積層工程をさらに有していてもよい。このようにして得られる研磨用保持具と基材の複合体を保持具用シートともいう。積層方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層を介して積層する方法が挙げられる。また、基材の、バックパッドが積層された面とは反対の面に対して、粘着層を介して離型層を積層する工程をさらに有していてもよい。基材としては、以下に限定されないが、例えば、湿式凝固法により得られるウレタンシート、モールド成型法により得られるウレタンシート、ポリエチレン等のスポンジフォーム、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のフィルム、不織布、織布等を使用することができる。また、基材を用いず、直接、弾性樹脂発泡体の枠材が形成された面と反対の面に粘着層を介して離型層を積層してもよい。
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記研磨用保持具により保持した被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨し、研磨物を得る研磨工程を有する。研磨工程は、一次研磨(粗研磨)であってもよく、仕上げ研磨であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
A型硬度計またはD型硬度計(テクロック社製)を用いて、JIS K 6253(2012)に準拠して、バックパッドのショアA硬度及びショアD硬度を測定した。具体的には、試料を少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように重ねて測定用の試料を作製し、その試料のショアA硬度及びショアD硬度を求めた。
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、枠材の厚さを測定した。具体的には、保持具の枠材を含む箇所と、枠材を含まない箇所を切り出した試料片をそれぞれ用意し、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に測定してそれぞれ厚さを求めた。保持具の枠材を含む箇所の厚みから、枠材を含まないバックパッドの厚みを減算して枠材の厚さを算出した。
研磨用保持具を片面研磨試験機の研磨定盤に、両面テープを介して貼りつけた。保持具内に、水を介して被研磨物を吸着(水吸着)させ、研磨試験を実施した。より詳細には、研磨試験を以下に示す条件で行った。
研磨装置:不二越機械工業社製片面研磨装置
被研磨物:8インチ シリコンウェハ
スラリー:フジミインコーポレーテッド社製 コロイダルシリカタイプ
スラリー流量:600mL/min
研磨定盤回転速度:60rpm
研磨圧:200gf/cm2
研磨時間:60min×2回(計2バッチ)
バックパッドを次のようにして調製した。すなわち、モールド成型により、厚さ1.3mmの円形のバックパッドを得た。このバックパッドのショアA硬度は20であり、内部に連続気泡を有していた。より具体的には、次のようにしてバックパッドを得た。まず、第1成分のプレポリマとして、2,4−トリレンジイソシアネート、数平均分子量約650のポリテトラメチレンエーテルグリコール及びジエチレングリコールを質量比で39/56/5の割合で反応させることで、イソシアネート基含有量が10%のウレタンプレポリマを準備し、これを40℃に加熱し、減圧下で脱泡した。第2成分の硬化剤として、MOCA(3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン)を用い120℃で溶解させ、減圧下で脱泡した。第3成分の硬化剤として、数平均分子量約1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを50℃に加熱し、減圧化で脱泡した。第4成分の分散液として、数平均分子量が約200であるポリエチレングリコール、水、触媒(N,N−ジメチルピリジン−4−アミン)、シリコーン系界面活性剤(ダウコーニング社製商品名「SZ−1605」)を85:3:6:6の配合比(質量比)で撹拌したものを準備した。第1成分:第2成分:第3成分:第4成分を質量比で62.9:7.6:26.8:2.7の割合で混合機に導入し、得られた混合液を型枠に注型して硬化させた。形成された硬化体を型枠から抜き出し、厚さ1.3mmになるようスライス処理し、さらに円形状の平面形状に切り出して、円形のバックパッドを得た。次いで、ウレタン系UV硬化樹脂(商品名「レイキュアー」、十条ケミカル社製)を、バックパッドの保持面上に、200番手のナイロンメッシュを用いて円環状にスクリーン印刷し、紫外線を3分間照射することで硬化して無発泡体からなる枠部を形成し、実施例1に係る研磨用保持具を得た。この際、樹脂厚さ(枠材厚さ)が200μmになるように設定した。なお、バックパッドの定盤側表面に両面テープを貼り、定盤に固定した。
従来の接着剤を介して枠材を接着した保持具を使用した。具体的な製造方法は以下のとおりとした。まず、湿式成膜により円形のバックパッドを得た。このバックバッドのショアA硬度は25であり、厚みは0.6mmであった。より具体的には、次のようにしてバックパッドを得た。まず、100%モジュラスが10MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液(濃度30%)100質量部に対して、粘度調整用のDMF44質量部と、カーボンブラック3質量部とを混合して樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を、成膜用基材であるPETフィルムに塗布して塗膜を得た。得られた塗膜を、凝固液である水からなる室温の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生して前駆体シートを得た。前駆体シートを凝固浴から取り出し、成膜用基材から前駆体シートを剥離した後、水からなる室温の洗浄液(脱溶媒浴)に浸漬し、溶媒であるDMFを除去して得られた樹脂シートを乾燥しつつ巻き取ることでシートを得て、表面をバフィングし、バックパッドを得た。次いで、内部に気泡を有しないガラス繊維強化エポキシ樹脂製の枠材(円環状、厚み600μm、ショアD硬度99以上(測定上限))に、ウレタン系ホットメルト接着シートを貼り付け不要分をカットして除去した。次いで、上記接着シートを貼り合せた枠材を上記したバックパッドの保持(バフィング)面に貼り付け、熱プレス機にて熱接着して比較例1に係る研磨用保持具を得た。比較例1に係る研磨用保持具の断面模式図を図4に示す。図4からわかるように、比較例1に係る研磨用保持具は、バックパッド42上にウレタン系ホットメルト接着シート46を介して枠材44が形成されていた。なお、バックパッド42の定盤側表面は、定盤と接着するための両面テープ(図示しない)を備えていた。
従来の接着剤を介して枠材を接着した保持具を使用した。具体的な製造方法は以下のとおりとした。まず、実施例1と同様にして円形のバックパッドを得た。次いで、内部に気泡を有しないガラス繊維強化エポキシ樹脂製の枠材(円環状、厚み400μm、ショアD硬度99以上(測定上限))に、ウレタン系ホットメルト接着シートを貼り付け不要分をカットして除去した。次いで、上記接着シートを貼り合せた枠材を上記したバックパッドの保持面に貼り付け、熱プレス機にて熱接着して比較例2に係る研磨用保持具を得た。なお、保持パッドの定盤側表面は、定盤と接着するための両面テープを備えていた。
比較例1及び2に示す従来の研磨用保持具では、上記研磨試験後、枠材と保持面との間において一部剥離していることが目視にて確認された。一方、実施例1の研磨用保持具では、上記研磨試験後も剥離は見られなかった。また、目視により保持具の反りを確認したところ、比較例1では反りが認められなかった。実施例1ではわずかに反りが認められたものの、研磨用保持具として問題のあるものではなかった。一方、比較例2では、枠材の厚みが400μmと比較的薄いため、接着成分の収縮または熱プレス工程時におけるバックパッドの収縮(圧縮)による内部応力が枠材の剛性を上回ったことに起因すると思われる反りが確認された。この保持具では、水平な台に静置した際に反りや波打ちによって浮き上がった箇所の内、水平な台と保持具底面との高さが最も高い箇所を測定した浮き上がり高さが5mmを上回る程度に反りが大きかった。このような保持具では、保持定盤にエア噛みなく貼りつける作業において細心の注意を要するため作業性が悪く、また、保持定盤からの保持具が剥離したり、保持面が波打つ場合もあるため、好ましくないと評価した。
2 研磨パッド
3 研磨用定盤
10,20 研磨用保持具
12,22,42 バックパッド
14,24,44 枠材
26 溝部
46 ウレタン系ホットメルト接着シート
W 被研磨物
Claims (9)
- 被研磨物を保持するためのバックパッドと、
前記バックパッドに直接的に接合され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、
を備える、研磨用保持具。 - 前記枠材の厚さが、500μm以下である、請求項1に記載の研磨用保持具。
- 前記研磨用保持具が、前記枠材において、研磨時の研磨パッドに対向する面に少なくとも開口を形成した溝部を有する、請求項1又は2に記載の研磨用保持具。
- 前記枠材が、光硬化性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
- 前記枠材が、チオール系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
- 前記枠材が、ガラス繊維を含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
- 被研磨物を保持するためのバックパッドと、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備える研磨用保持具の製造方法であって、
前記バックパッド上に前記枠材を直接的に接合する形成工程を有する、
研磨用保持具の製造方法。 - 前記枠材が、光硬化性樹脂から形成され、
前記形成工程が、前記光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程を含む、請求項7に記載の研磨用保持具の製造方法。 - 前記枠材が、前記バックパッド上に配置された型枠内に前記枠材の材料又はその前駆体を充填し、当該材料の乾燥又は前記前駆体の硬化により形成される、請求項7に記載の研磨用保持具の製造方法。
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