JP2017100215A - 研磨用保持具及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックパッドと枠材との間で発生する剥離を抑制可能な研磨用保持具及びその製造方法を提供する。【解決手段】バックパッド12と枠材14からなる研磨用保持具10であって、被研磨物を保持するためのバックパッド12と、被研磨物を囲むための枠材14が、両面テープや接着シート等の接着成分を介さずに、直接的に接合される。接着成分は、酸性スラリーや研磨時の摩擦熱により劣化し、接着成分間で生じる界面破壊による内部剥離の発生につながる。研磨用保持具10は、接着成分を介さずにバックパッド12と枠材14を直接的に接合されるため、内部剥離を抑制することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨用保持具及びその製造方法に関する。
従来、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料やLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)の表面(加工面)では、平坦性が求められるため、機械研磨(ラッピング)や、研磨パッドをスラリーと共に用いる化学機械研磨(CMP)が行われている。
このような研磨加工では、被研磨物を保持するための保持具が使用されている。保持具は、樹脂シート上に、被研磨物の横ずれを抑制するため、例えば、繊維強化樹脂の枠材が貼り合わせられた構造を有する。このような構造を有する保持具の例として、特許文献1には、バックパッドと枠部(枠材)からなる保持具が記載されている。
特許第5421618号明細書
特許文献1に例示される従来の研磨用保持具では、バックパッドと枠材は両面テープやホットメルト接着シート等の接着成分を介して接合されている。しかしながら、CMPでは、酸性スラリーが使用される場合があり、研磨過程において、当該酸性スラリーや研磨時に生じる摩擦熱に起因して接着成分が劣化し得る。その結果、バックパッドと枠材との間で剥離が発生する可能性がある。ラッピングにおいても、特に被研磨物がサファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料であると、高研磨圧に起因して、バックパッドと枠材との間で剥離が発生する可能性がある。
また、接着成分を介して枠材とバックパッドとを貼り合わせる工程において、例えば、熱プレスで接着する場合、一般に軟質でクッション性を有するバックパッドと、薄く硬質な枠材とを、接着成分を介して接着することとなる。この際、接着成分はその硬化により収縮するが、それに伴い、軟質なバックパッドも、圧縮変形した状態で接着成分と接することに加え、接着成分との接触部分において加熱により収縮しやすくなる。その結果、バックパッドの収縮した部分は常に元に戻ろうとする内部応力を有することになるため、接着成分−バックパッド間において接着が不十分となる問題が生じうる。
さらにいえば、上記のとおり、従来の研磨用保持具では接着成分を介しているため、「枠材−接着成分間の界面破壊」、「接着成分−バックパッド間の界面破壊」、「接着成分の劣化による接着層の凝集破壊」と、3つの剥離要因を内包していることとなる。その結果、剥離要因が3つよりも少ない場合と比較して、剥離する可能性が増大する傾向にある。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、その内部での剥離が抑制された研磨用保持具及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、保持具の構成部材を直接的に接合することにより、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
被研磨物を保持するためのバックパッドと、
前記バックパッドに直接的に接合され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、
を備える、研磨用保持具。
[2]
前記枠材の厚さが、500μm以下である、[1]に記載の研磨用保持具。
[3]
前記研磨用保持具が、前記枠材において、研磨時の研磨パッドに対向する面に少なくとも開口を形成した溝部を有する、[1]又は[2]に記載の研磨用保持具。
[4]
前記枠材が、光硬化性樹脂を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の研磨用保持具。
[5]
前記枠材が、チオール系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨用保持具。
[6]
前記枠材が、ガラス繊維を含まない、[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨用保持具。
[7]
被研磨物を保持するためのバックパッドと、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備える研磨用保持具の製造方法であって、
前記バックパッド上に前記枠材を直接的に接合する形成工程を有する、
研磨用保持具の製造方法。
[8]
前記枠材が、光硬化性樹脂から形成され、
前記形成工程が、前記光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程を含む、[7]に記載の研磨用保持具の製造方法。
[9]
前記枠材が、前記バックパッド上に配置された型枠内に前記枠材の材料又はその前駆体を充填し、当該材料の乾燥又は前記前駆体の硬化により形成される、[7]に記載の研磨用保持具の製造方法。
本発明によれば、その内部での剥離が抑制された研磨用保持具及びその製造方法を提供することができる。
(a)は、本実施形態に係る研磨用保持具の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるI−I断面を示す模式図である。 (a)は、本実施形態に係る研磨用保持具において、溝部を有する態様の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるII−II断面を示す模式図である。 被研磨物の研磨の際に本実施形態の研磨用保持具を用いる方法を示す模式図である。 比較例1に係る研磨用保持具の断面模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
〔研磨用保持具〕
本実施形態の研磨用保持具は、被研磨物(以下、「ワーク」ともいう。)を保持するためのバックパッドと、前記バックパッドに直接的に接合され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備えている。本明細書において、「直接的に接合」とは、バックパッドと枠材との間に接着剤が介在することなくこれらが接合していることを意味する。接着剤とは、種々公知の接着材料を意味し、具体例として、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤及び感圧性接着剤が挙げられ、膠等の天然接着剤も含む。本実施形態の研磨用保持具は、バックパッドと枠材とを直接的に接合することにより、(1)バックパッドと枠材との間に、酸性スラリーや研磨時に生じる摩擦熱に起因して劣化しやすかったり、バックパッドを収縮させ得たりする接着剤が介在せず、(2)剥離の要因が枠材とバックパッドとの間の界面破壊のみになる。その結果、本実施形態の研磨用保持具は、その内部での剥離が抑制される。例えば、バックパッドと枠材とが異なる材料から構成され、全体として熱収縮率や圧縮変形量に勾配が生じる場合であっても、本実施形態においては、上記(1)〜(2)に係る特徴により、研磨用保持具の内部での剥離が抑制される。
本実施形態に係る研磨用保持具の構成を図1に例示する。平面図である図1(a)及びその平面図のI−I断面を示す断面図である(b)に示すように、研磨用保持具10は、略円形のバックパッド12と円環状の枠材14とを積層して備えるものであり、バックパット12上の外縁部分に枠材14が設けられた構成とすることができる。枠材14はバックパッド12に直接的に接合されている。
(バックパッド)
本実施形態におけるバックパッドとしては、ワークを保持する(保持面を有する)ものである限り、その材質や形状については特に限定されない。バックパッドは、シート状であると好ましく、その場合、シートの表面が保持面となる。ただし、バックパッドの形状はシート状に限定されない。
バックパッドは、その保持面に、好ましくは適量の水を含ませて被研磨物を押し付けることで、保持面と被研磨物の表面との相互作用、保持面の表面に開孔がある場合はその開孔による吸着力、及び、水の表面張力により保持することができる。バックパッドの保持面は、被研磨物を保持し易いように被研磨物のバックパッドと接触する面よりやや大きく設計されていてもよい。さらに、バックパッドは、複数の被研磨物を同時に保持できるよう構成されていてもよい。本実施形態において、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生を抑制する観点から、バックパッドは、弾性樹脂発泡体を含むことが好ましい。
本実施形態において、「弾性樹脂発泡体」とは、弾性樹脂と、その弾性樹脂内に存在する複数の気泡と、を有するものをいう。このような構造を有することにより、研磨時に被研磨物が研磨パッドから受ける衝撃を弾性樹脂発泡体が吸収することができる。そのため、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生が効果的に抑制される傾向にある。以下、弾性樹脂発泡体の構成についてより詳細に説明する。
(弾性樹脂)
弾性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、トランス−ポリイソプレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂が挙げられる。このなかでも、硬度、粘弾性特性の調整、良好な発泡性、耐摩耗性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、湿式凝固法により製造する場合は例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本実施形態の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、SMP((株)SMPテクノロジーズ社製商品名)、ディアプレックス(三菱重工業(株)社製商品名)、クリスボン(DIC(株)社製商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製商品名)、及びレザミン(大日本精化工業(株)社製商品名)が挙げられる。
上記ポリノルボルネン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、ノーソレックス(日本ゼオン(株)社製商品名)が挙げられる。
上記トランス−ポリイソプレン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、クラレTPI(クラレ(株)社製商品名)が挙げられる。
上記スチレン−ブタジエン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、アスマー(旭化成(株)社製商品名)が挙げられる。
上記弾性樹脂としては、入手及び加工の容易性、及び、本実施形態の目的を一層有効且つ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量は、弾性樹脂の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
一方、弾性樹脂をモールド成型法により製造してもよい。モールド成型法でポリウレタン樹脂を製造する場合は例えば、イソシアネート基含有化合物および該イソシアネート基含有化合物の末端イソシアネート基と反応する活性水素基を有する活性水素化合物を混合した混合液が調製される。イソシアネート基含有化合物は、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成することができる。得られた混合液が型枠に注型され、型枠内でイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とが反応、硬化してブロック状のポリウレタン成型体が形成される。このポリウレタン成型体がシート状にスライスされてウレタンシートが形成される。また、ブロック状のウレタン成型体をスライスすることに代えて、型枠サイズを変更することで所望の厚さを有するウレタンシートを1枚ずつ成形することも可能である。
弾性樹脂発泡体は、弾性樹脂以外に、必要に応じてその他の添加材を1種又は2種以上含んでもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、発泡剤、触媒、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、親水剤、疎水剤、染料及び顔料等が挙げられる。
(気泡)
本実施形態において、弾性樹脂発泡体に存在する気泡としては、特に限定されないが、例えば、複数の気泡が独立して存在する独立気泡、複数の気泡が連通孔でつながっている連続気泡、涙型気泡が挙げられ、これらが混在していてもよい。これらのなかでも、弾性樹脂発泡体は独立気泡を有することが好ましい。例えば、被研磨物を研磨する際には、被研磨物表面を研磨されやすい状態とするため、強酸化剤等を含むスラリーを用いることがある。この際、独立気泡を有すると、強酸化剤が弾性樹脂発泡体内部に浸透することを抑制することができるため、強酸化剤に由来する弾性樹脂発泡体の劣化が効果的に抑制される傾向にある。そのため、独立気泡を有する弾性樹脂発泡体の耐薬品性がより向上する傾向にある。一方、連続気泡とする場合は、バックパッドに要求されるクッション性及び密着性(保持性能)を確保しやすい観点から好ましい。また、湿式成膜法による涙型気泡を有する場合は、バックパッドに要求されるクッション性及び密着性(保持性能)を確保しやすい観点から好ましい。
気泡が独立気泡である場合には、弾性樹脂発泡体は、弾性樹脂と、その弾性樹脂中に分散する複数の樹脂製の中空微粒子と、を備えてもよい。この場合、中空微粒子は、樹脂製の外殻を有し、その外殻内には気泡が形成されている。
中空微粒子としては、市販のものを入手してもよく、常法により合成することにより得られたものであってもよい。中空微粒子の外殻の材質としては、優れた可撓性を有し圧縮変形が容易である観点から、合成樹脂が好ましく、より具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及び有機シリコーン系樹脂、並びにそれらの樹脂を構成する単量体を2種以上組み合わせた共重合体が挙げられる。また、市販品の中空微粒子としては、特に限定されないが、例えば、エクスパンセルシリーズ(アクゾ・ノーベル社製商品名)、マツモトマイクロスフェア(松本油脂(株)社製商品名)などが挙げられる。これらの中では、可撓性に優れたものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリロニトリル及び塩化ビニリデンの共重合体、及びメタクリル酸メチルが好ましく、可撓性に更に優れる観点から、(メタ)アクリロニトリル及び塩化ビニリデンの共重合体がより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
気泡の形状は、特に限定されないが、例えば、球形状、略球形状、弾性樹脂発泡体の面方向に偏平になった形状(偏平形状)、涙型形状が挙げられる。
なお、球形状、略球形状、又は弾性樹脂発泡体の面方向に偏平になった形状を有する気泡は、例えば、後述するモールド成型法により形成することができる。涙型形状の気泡は、例えば、従来公知の湿式凝固法により形成することができる。
弾性樹脂発泡体をモールド成型法により形成する場合、弾性樹脂発泡体の気泡の平均径は、好ましくは10〜150μmであり、より好ましくは15〜145μmであり、さらに好ましくは20〜140μmである。気泡の平均径が10μm以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。また、気泡の平均径が150μm以下であることにより、気泡内へのスラリー浸透量が少ないため、スラリーに対する弾性樹脂発泡体の耐薬品性がより向上する傾向にある。気泡の平均径は、例えば、後述するモールド成型法において用いる中空微粒子の径を制御することにより、調整することができる。気泡の平均径は、断面を走査型電子顕微鏡等で拡大観察することにより測定される。
弾性樹脂発泡体の密度(かさ密度)は、好ましくは0.16〜1.0g/cm3であり、より好ましくは0.30〜0.90g/cm3であり、さらに好ましくは0.35〜0.70g/cm3である。弾性樹脂発泡体の密度が0.16g/cm3以上であることにより、高い研磨圧で加工された場合においても沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、弾性樹脂発泡体の密度が1.0g/cm3以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。密度は、例えば、弾性樹脂発泡体に含まれる気泡の量を制御することにより、調整することができる。なお、密度はJIS−K−7222(2005)に準拠して測定することができる。
弾性樹脂発泡体は、その表面(ワークの保持面)に開孔を有してもよい。この開孔は、弾性樹脂発泡体中の気泡が表面に露出したものであり、弾性樹脂発泡体のスライス処理もしくはバフ処理により形成される。したがって、弾性樹脂発泡体をモールド成型法により形成する場合、開孔の大きさは気泡の大きさに依存する。
弾性樹脂発泡体がその表面に開孔を有する場合、その表面開孔径は、好ましくは10〜150μmであり、より好ましくは15〜145μmであり、さらに好ましくは20〜140μmである。弾性樹脂発泡体の表面開孔径が上記範囲内であることにより、被研磨物をワーク保持面に対して着脱しやすくなる傾向にある。表面開孔径は、例えば、後述するモールド成型法において用いる中空微粒子の径を制御することで、あるいは、発泡剤の役割を果たす水の含有量や製造時の攪拌条件等で調整可能である。なお、表面開孔径は、実施例に記載の方法により測定することができる。一方、弾性樹脂発泡体が開孔を有しない場合は、弾性樹脂発泡体の被研磨物に対する密着性を高めることができ、被研磨物の保持性能を向上させることができる。
(バックパッドの各種物性)
本実施形態において、バックパッドの硬度は、好ましくはショアA硬度10°以上ショアD硬度70°以下であり、より好ましくはショアA硬度10°以上ショアA硬度80°以下であり、さらに好ましくはショアA硬度10°以上ショアA硬度50°以下である。ショアA硬度が10°以上であることにより、高い研磨圧により研磨加工された際にバックパッドの沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、ショアD硬度が70°以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。バックパッドの硬度は、例えば、バックパッドとしての弾性樹脂発泡体に含まれる気泡の量を制御することにより、調整することができる。なお、ショアA硬度およびショアD硬度は、JIS−K−6253(2012)に準拠して測定することができる。
バックパッドの圧縮率は、0.10〜40%であることが好ましく、より好ましくは0.40〜25%であり、さらに好ましくは1.0〜10%である。バックパッドの圧縮率が0.10%以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生がより抑制される傾向にある。また、バックパッドの圧縮率が40%以下であることにより、研磨レートがより向上する傾向にある。圧縮率は、例えば、バックパッドとしての弾性樹脂発泡体の作製に用いるプレポリマの種類や重合度、混合液に配合する水や非反応性気体の量や、中空微粒子、化学発泡剤、水溶性微粒子による発泡量により調整することができる。また、圧縮率は下記の方法により測定することができる。なお、バックパッドが弾性樹脂発泡体を含むことは、例えば、上記圧縮率が0.10〜40%であることから確認することができる。
圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることができる。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を60秒間かけた後の厚さt1を測定する。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t0−t1)/t0の式で算出する。このとき、初荷重は300g/cm2、最終圧力は1800g/cm2とする。
バックパッドの圧縮弾性率は、55〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%であり、さらに好ましくは65〜100%である。バックパッドの圧縮弾性率が55%以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生がより抑制される傾向にある。圧縮弾性率は、例えば、バックパッドとしての弾性樹脂発泡体の作製に用いるプレポリマの種類や重合度、混合液に配合する水や非反応性気体の量や、中空微粒子、化学発泡剤、水溶性微粒子による発泡量により調整することができる。また、圧縮弾性率は下記の方法により測定することができる。なお、バックパッドが弾性樹脂発泡体を含むことは、例えば、上記圧縮弾性率が55〜100%であることから確認することができる。
圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることができる。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を60秒間かけた後の厚さt1を測定する。厚さt1の状態から全ての荷重を除き、60秒間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定する。圧縮弾性率は、圧縮弾性率(%)=100×(t0’−t1)/(t0−t1)の式で算出する。このとき、初荷重は300g/cm2、最終圧力は1800g/cm2とする。
バックパッドの厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.10〜5.0mmであり、より好ましくは0.20〜2.5mmであり、さらに好ましくは0.30〜1.5mmである。バックパッドの厚さが0.10mm以上であることにより、圧縮変形量がより向上することにより被研磨物の保持性能(密着性)が向上し、また、研磨時に被研磨物への衝撃を吸収して破損等の欠陥が減少する傾向にある。また、バックパッドの厚さが5.0mm以下であることにより、圧縮変形量が高すぎることに起因した、平坦性の悪化や研磨レートの低下を抑制する傾向にある。特に、被研磨物の厚さが薄く、枠材の厚さを500μm以下とする場合はより高い研磨精度が要求されるため、バックパッドの厚さを1.5mm以下とすることで、平坦性と研磨レートの両立ができる傾向にある。なお、バックパッドの厚さは、バックパッドの定盤と接する面からバックパッドのワーク保持面までの距離を意味し、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。また、定盤と接する面に両面テープ等の接着層を有している場合は、公知の画像処理技術等を併用し、接着層の厚みを減算する。
(枠材)
本実施形態における枠材は、研磨加工中に被研磨物が横ずれを起こして、バックパッドのワーク保持面から脱落することを防止する(横ずれ範囲を規制する)ものである。そのため、枠材は、バックパッドのワーク保持面の周囲にある面上に設けられる。枠材の形状及び寸法は、被研磨物が研磨領域から飛び出さないようなものであれば特に限定されず、例えば、円形の被研磨物の場合に枠材は、その内径が被研磨物よりやや大きい円形状を有する、すなわち保持穴を有していてもよい。また、枠材は、研磨の際に要求される硬度や耐薬品性、精度の観点から、内部に気泡を有しない樹脂無発泡体でもよいし、枠材としての機能を損なわない範囲で発泡を含んでいてもよい。例えば、枠材表面の開孔径を測定したときの平均開孔径が10μm以下であれば耐久性、耐薬品性が向上する傾向にあり、平均開孔径が5μm以下であればより好ましく、平均開孔径が2μm以下であればさらに好ましい。開孔径の測定方法は公知の方法でよいが、例えば、下記のようにして測定される。レーザー顕微鏡(例えばKEYENCE社製商品名「VK−X105」)で200倍に拡大して観察し、その画像を得る。次いで、得られた画像を画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製商品名「WinRoof」)により二値化処理することで、開孔とそれ以外の部分とを区別する。そして、区別した各々の開孔の面積から円相当径、すなわち開孔が真円であると仮定して開孔径を算出する。そして、各々の開孔の開孔径を相加平均して平均開孔径(μm)とする。
また、枠材の厚さは、特に限定されず、被研磨物(例えば図3に示す被研磨物W)の厚さ以下、あるいは被研磨物の厚さと同等としてもよい。例えば、枠材の厚さが被研磨物の厚さと同等である場合には、研磨時において、枠材は、研磨パッドを押し付けるようにして研磨パッドと接することとなる。枠材で研磨パッドを押し付けることにより、被研磨物に接する研磨パッド面の平坦性が向上し、結果として研磨ムラ、特に端部ダレがより抑制される傾向にある。本実施形態において、後述する印刷で枠材を形成する場合、枠材に要求される精度及び強度を確保する観点から、枠材の厚さが、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは50〜450μmであり、さらに好ましくは100〜400μmである。なお、枠材の厚さは、枠材のバックパッドと接する面から枠材の研磨パッドと接する面までの距離を意味し、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。枠材の厚さは、例えば、後述するスクリーン印刷等による形成工程において容易に調整することができる。
本実施形態の研磨用保持具は、スラリーの流動性を高める観点から、枠材に溝部を有することが好ましい。上記溝部は、研磨用保持具における研磨時の研磨パッドに対向する面に少なくとも開口するように形成されたものであり、枠材を貫通するものであってもよく、貫通していなくてもよい。貫通させる場合は、バックパッドの一部に至る溝深さを有するものであってもよい。溝部の形成は、例えば、後述するスクリーン印刷等による形成工程において容易に行うことができ、また、同様にして溝部の形状も容易に調整できる。また、研削加工等の公知の方法を用いてもよく、複数の手段を併用してもよい。
本実施形態に係る研磨用保持具が上記の溝部を有する態様を図2に例示する。平面図である図2(a)及びその平面図のII−II断面を示す断面図である図2(b)に示すように、研磨用保持具20は、略円形のバックパッド22と円環が4箇所に溝部26により4分割された形状である枠材24とを積層して備えるものである。枠材24は、バックパッド22上の外縁部分に設けられている。スラリーの流動性を高める観点からは、溝部の数は特に限定されず、溝部は1つのみでもよい。この例においても、枠材24はバックパッド22に直接的に接合されている。このように、研磨用保持具20は、枠材24において、研磨時の研磨パッドに対向する面に少なくとも開口を形成した溝部26を有するように構成されている。
本実施形態における枠材としての主要成分は、塗工可能な性状の合成樹脂であれば組成や乾燥方法に限定されず、種々公知の樹脂を適用することができる。この合成樹脂としては以下に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び電子線硬化樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含むものとすることができる。利用できる合成樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、フッ素系樹脂等があり、上記の様にこれら樹脂の2種以上の共重合系や混合系であってもよい。なお、「主要成分」とは、枠材中に50質量%以上含まれる成分をいう。
枠材として形成される工程では、水や各種有機溶媒などの溶媒を併用し、かかる溶媒を蒸発させることによる乾燥固化でも枠材を形成することができるが、溶媒が蒸発することで体積収縮が生じ、設定通りの膜厚や形状が得られないことがある。したがって、特に一定の膜厚や形状を要求する場合は、無溶媒又は固化成分比の多い、一液又は二液以上の反応性樹脂配合物とすることが好ましい。
また、耐熱性の観点から、本実施形態における枠材は熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂又は電子線硬化樹脂を含むことが好ましく、無溶媒又は固化成分比を多くする観点、枠材に必要とされる硬度、粘弾性、耐薬品性及び硬化工程の制御の観点から、光硬化性樹脂又は電子線硬化樹脂を含むことがより好ましく、設備コストや生産の簡便性、市販されている樹脂の多様性の観点から、UV(紫外線)硬化性樹脂がさらに好ましい。UV硬化性樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、チオール系樹脂及びエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。チオール系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、チオコールLP(東レ・ファインケミカル社製)等が挙げられる。また、エポキシ系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、HUG(セイコーアドバンス社製)等が挙げられる。ウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、V−9500(DIC社製)、UV FIL(帝国インキ社製)等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、エピクロン(DIC社製)等が挙げられる。ウレタン系樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、SS−16(東洋インキ社製)等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂及びアクリル系樹脂が挙げられる。電子線硬化樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂、チオール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂が挙げられる。本実施形態における枠材は、研磨工程に要求される硬度、耐熱性、耐薬品性等を考慮すると、チオール系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含むことがとりわけ好ましい。
本実施形態における枠材は、ガラス繊維を含まないことが好ましい。従来、枠材にはガラス繊維を含むものが一般的に知られているが、そのような枠材を用いると、枠材の摩耗によるガラス繊維の露出又は脱落に起因して、被研磨物にスクラッチが発生する場合がある。そのようなスクラッチを防止する観点から、枠材はガラス繊維を含まないことが好ましい。なお、ガラス繊維以外に、天然繊維、合成繊維及び炭素繊維等の繊維であっても被研磨物の端部や段差部等に異物としての付着する場合がある。したがって、そのような異物の混入を更に有効に防止する観点から、枠材は、ガラス繊維に加えて、天然繊維、合成繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維を含まないことがより好ましい。また、枠材は、従来、ガラス繊維を含む材料として枠材に一般的に用いられるガラス繊維強化エポキシ樹脂を含まないことが好ましい。さらに、薄い被研磨物への適用を考慮すると、枠材を薄くすることが好ましく、硬質の繊維を含有する樹脂(例えば、ガラス繊維強化エポキシ樹脂)の加工により生じうる厚み精度の低下や反りを防止する観点からも、本実施形態における枠材は、ガラス繊維を含まないことが好ましく、ガラス繊維に加えて、天然繊維、合成繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維も含まないことが好ましい。
〔研磨用保持具の製造方法〕
本実施形態の研磨用保持具の製造方法は、被研磨物を保持するためのバックパッドと、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備える研磨用保持具の製造方法であって、前記バックパッド上に前記枠材を直接的に接合する形成工程を有する。上記のように構成されているため、本実施形態の研磨用保持具の製造方法によれば、好ましく本実施形態の研磨用保持具を製造することができる。
本実施形態の研磨用保持具の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)において、例えば、バックパッドは次のようにして得ることができる。すなわち、本実施形態の製造方法は、上述した弾性樹脂と、その弾性樹脂内に存在する複数の気泡と、を有する発泡体を形成する発泡体形成工程を含む。
〔発泡体形成工程〕
発泡体形成工程は、弾性樹脂と、その弾性樹脂内に存在する複数の気泡と、を有する発泡体を形成する工程である。発泡体形成方法としては、モールド成型法により発泡体を形成する方法が挙げられる。
(モールド成型法)
まず、モールド成型法により発泡体を形成する方法について説明する。モールド成型法における気泡の形成方法は、特に限定されず、従来知られている方法であってもよい。例えば、中空微粒子を弾性樹脂内に分散させたり、弾性樹脂中に化学発泡剤を配合させてガス発泡させたり、弾性樹脂と不活性ガスとを加圧混練して減圧発泡したりして気泡を形成する方法が挙げられる。
以下、中空微粒子を用い、弾性樹脂としてポリウレタン樹脂を採用した場合のモールド成型法について説明する。具体的には、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物と、外殻を有する中空状である中空微粒子とを混合した混合液からポリウレタン樹脂発泡体を形成する。
まず、ポリウレタン樹脂の原料であるイソシアネート基含有化合物及び活性水素化合物、原料として用いる中空微粒子(以下、「原料中空微粒子」という。)、並びに、必要に応じて弾性樹脂発泡体に含ませるその他の材料(例えば、発泡剤、触媒、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、親水剤、疎水剤、染料及び顔料等)を混合して混合液を調製する。このとき、原料中空微粒子の混合液中での分散状態を均一化するため、予めイソシアネート基含有化合物又は活性水素化合物に略均一に混合及び分散させておくと好ましい。
イソシアネート基含有化合物としては、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成したイソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、「プレポリマ」と略記する。)が好ましい。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させる際に、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量よりも大きくすることで、プレポリマを得ることができる。
また、プレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が低下し混合時に略均一に混合することが難しくなる。一方で、温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり(プレポリマの硬化反応が速くなり)、却って混合斑が生じて中空微粒子の分散状態にバラツキが生じる。また、中空微粒子に膨張剤が含まれる場合、温度上昇により膨張剤が発泡してしまい、気泡の大きさや分散状態にバラツキが生じることもある。反対に粘度が低すぎると、混合液中で中空微粒子が移動してしまい、得られるポリウレタン形成体に略均等、略均一に中空微粒子を分散させることが難しくなる。このため、プレポリマは、温度50〜80℃における粘度を500〜4000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。粘度をこの範囲に設定するには、例えば、プレポリマの分子量(重合度)を制御すればよい。プレポリマは、50〜80℃程度の温度で加熱され流動可能な状態になる。
原料中空微粒子は、最終的に弾性樹脂発泡体に含まれる気泡になるものである。原料中空微粒子は、外殻を有する中空状のものであって、その中空部分に発泡成分を有する未膨張中空微粒子であってもよく、膨張処理を施した既膨張中空微粒子であってもよく、それらの混合物であってもよい。ポリウレタン形成体の形成時にガスを発生して気泡を形成する膨張剤を有してもよい。膨張剤の含有割合は特に限定されない。
膨張剤としては、常温で固体もしくは液体であり、好ましくは100℃〜260℃で熱分解して分解ガスを発生する化学発泡剤、水を保持させた水溶性物質及び水からなる群より選択される少なくとも1種の成分が用いられる。ポリウレタン形成体の形成時に、膨張剤の分解や気化等で発生するガスにより気泡が形成される。水溶性物質の場合は研磨時のスラリーにより研磨面の水溶性物質が溶解して開孔を形成することができる。
化学発泡剤としては、例えば、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びヒドラゾジカルボンアミドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。化学発泡剤の熱分解温度が100℃以上であると、ポリウレタン形成体の形成時に早期の分解がより抑制され、気泡の分散状態をより均等かつ均一にすることができ、260℃以下であると、ポリウレタン形成体の形成時に更に良好に分解して、気泡をより容易に形成することができる。
水溶性物質としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルキチン、デキストリン及びシクロデキストリン等の水溶性多糖類並びにその誘導体、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ショ糖及びブドウ糖等のオリゴ糖や単糖類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム及びリン酸カリウム等のアルカリ成分又は中性塩;脂肪族アミン塩及び脂肪族アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩及びリン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤;エーテル型、エーテルエステル型及びエステル型等の非イオン系界面活性剤;アミノ酸、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸、並びに、ポリ(メタ)アクリル酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの水溶性物質は、水分を保持しやすいため、ポリウレタン形成体の形成時に水溶性物質に保持された水分がイソシアネート基含有化合物と反応することによりガスを発生し、気泡が形成される。
次いで、混合液中のイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを反応及び硬化させて、ブロック状のポリウレタン樹脂発泡体を形成する。このとき、イソシアネート基含有化合物が活性水素化合物との反応(高分子化又は架橋)により硬化する。通常、ポリウレタン樹脂発泡体を形成する型枠の上部が開放されているため、大気圧下で反応(高分子化・架橋)による硬化が進行し、弾性樹脂を有するポリウレタン樹脂発泡体が形成される。また、原料中空微粒子が未膨張中空微粒子である場合、この反応により生じた反応熱により、未膨張中空微粒子の中空部分に存在した膨張剤がガスを発生もしくは気化し膨張することにより、中空微粒子が形成される。一方、原料中空微粒子が既膨張中空微粒子である場合、既に膨張処理を施されているため、既膨張中空微粒子はそのまま中空微粒子であるか、あるいは、その中の気泡が僅かに膨張して中空微粒子となる。原料中空微粒子が、混合液中に略均等かつ略均一に分散されているため、原料中空微粒子の周囲で架橋硬化が進行する。これにより、ポリウレタン形成体において、弾性樹脂の中に、中空微粒子及びその中に存在する気泡が、略均等かつ略均一に形成される。
混合液中のイソシアネート基含有化合物の含有割合は、特に限定されないが、本実施形態による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、モル比(当量比)として、活性水素化合物に対して0.80〜1.2であると好ましく、0.90〜1.1であるとより好ましい。
上記工程は、ポリウレタン樹脂発泡体を形成するための従来知られている装置を用いて、連続的に行われてもよい。また、モールド成型法による製造方法を例示したが、従来知られている湿式凝固法によってポリウレタン樹脂発泡体を形成してもよい。
(枠材の形成工程)
本実施形態におけるバックパッドに前記枠材を直接的に接合する形成工程は、バックパッドと枠材とが直接的に接合されるものであれば特に限定されない。
より詳細には、本実施形態において、バックパッドの一部に対して枠材の一部が、あるいは、枠材の一部に対してバックパッドの一部が、含浸、浸透又は溶解凝固する方法等が挙げられる。これにより、バックパッドと枠材が、その一部において互いに絡み合ったり混ざり合ったりするので、強力に接合することができる。また、枠材の一部が、分子間力、共有結合を介して直接的にバックパッドに接合していてもよい。
このように、枠材とバックパッドが直接的に接合していることにより、剥離の要因となりえる因子が「枠材−バックパッド間の界面破壊」のみとなり、弾性変形を介した(加圧)接着工程も不要となる。したがって、枠材が薄く、バックパッドと枠材とに硬度、圧縮率、熱収縮性等の物性に差がある場合であっても、反りや剥離の発生を抑制でき、枠材とバックパッドの物性を個別に適宜設計できる。
本実施形態において、枠材が光硬化性樹脂から形成されることが好ましく、また、上記の形成工程が、光硬化性樹脂を印刷する工程を含むことが好ましい。印刷の具体的な手法としては公知のものを採用することができ、以下に限定されないが、例えば、スクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷等が挙げられる。これらの中でも、多品種少量生産の容易性、溝等の表面形状形成の容易性、設備コスト、生産性、対応する樹脂の多様さ、厚みや精度の観点から、スクリーン印刷が好ましい。すなわち、本実施形態の研磨用保持具において、枠材が、バックパッド上へのスクリーン印刷により形成されることが好ましい。スクリーン印刷とは、典型的には、紗と呼ばれる極細の網(スクリーン)目を通じてパターンを形成する手法である。本実施形態における形成工程に、スクリーン印刷を適用することで、厚さが数十μmから数百μm程度に小さい(薄い)枠材をバックパッド上に好適に形成することができる。なお、従来、被研磨物が薄い場合は、バックパッド上に枠材を配置することに代えて、又はそれに加えて、枠材の保持貫通口内にバックパッドを貼り、厚み差を利用することで対応している(いわゆるインサートタイプ)。しかしながら、この場合は、保持貫通口の開口サイズと同等のサイズのバックパッドを貼る必要があるため、バックパッドを貼る位置がずれると、枠材の一部にバックパッドが貼り付いてバックパッドの保持面が傾く又は湾曲したり又はエア咬みして盛り上がったり、貼り付けたバックパッドを剥がして貼り直すという煩雑な作業を伴ったりする。一方、本実施形態におけるスクリーン印刷を適用することで、薄い被研磨物に対応する際のバックパッドの保持面の傾きや湾曲を防止できると共に上記煩雑な作業を簡素化し、製造コストを削減できる。それだけでなく、枠材を精度良く薄くすることができる(枠材の反りの防止)。また、接着工程が不要となるため、製造コストが削減できる。さらに、スクリーン印刷によれば、スクリーンの設定により、形成される枠材の形状を容易に調整することができる。したがって、前述の枠材に溝部を設ける場合であっても、溝部を設けた枠材を容易に形成することができる。
上記スクリーン印刷する工程としては、例えば、所望するデザインが印刷できるように、かつ、枠材が印刷された後に要望される厚さとなるために、シルクスクリーン紗の番手の選定とシルクスクリーン紗へのデザイン転写(印刷しない箇所をマスクし、印刷する箇所のマスクを溶かす工程)を含むシルクスクリーンの作成工程と、硬化性樹脂等の枠材の原料を含むスラリーを調製する工程と、当該スラリーを当該スクリーンを介してバックパッド上に塗布する工程と、塗布したスラリーを硬化させる工程と、を含むものとすることができる。シルクスクリーン紗は、シルク等の天然繊維を含むものに限定されず、ポリエステル等の合成繊維、ステンレススチール等の金属繊維を含むものでもよく、その他の公知のスクリーン紗も要求性能に応じて利用できる。スラリーを調整する工程は、例えば、硬化性樹脂の前駆体と硬化剤を混合、撹拌、脱泡する工程を含んでもよい。また、スラリーの粘度を調整するために溶媒を加えてもよいが、溶媒が蒸発することによる体積収縮を防止する観点から、溶媒の添加量は可能な限り少なくした方が好ましい。溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、イソホロン、キシレンが挙げられる。また、スラリーには、必要に応じて増粘剤、撥水剤、親水剤等の公知の添加剤や、カーボンブラック等の顔料を添加してもよい。また、要求物性に応じて、枠材印刷の前後に任意の印刷や塗工工程(例えば、アンカーコートや撥水表面処理等)を設けてもよい。スラリーを硬化させる工程は、使用される樹脂に応じて適宜条件を設定できるが、例えば、加熱、乾燥、UV(紫外線)の照射、EB(電子線)の照射、冷却、静置等の工程を含んでいてもよい。
また、本実施形態の形成工程において、枠材が、バックパッド上に配置された型枠内に枠材の材料(例えば、光硬化性ポリウレタン)又はその前駆体(例えば、熱硬化性ポリウレタンプレポリマーおよびその硬化剤)を充填し、当該材料の乾燥又は前駆体の硬化により形成されてもよい。すなわち、本実施形態の研磨用保持具において、枠材が、バックパッド上に配置された型枠内に枠材の材料又はその前駆体を充填し、当該材料の乾燥又は前駆体の硬化により形成することができる。上記型枠の形状は、所望とする枠材の形状に応じて任意のものとすることができる。
〔積層工程〕
本実施形態の研磨用保持具の製造方法は、バックパッドの、枠材が形成された面とは反対の面に対して、基材を貼り合せる積層工程をさらに有していてもよい。このようにして得られる研磨用保持具と基材の複合体を保持具用シートともいう。積層方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層を介して積層する方法が挙げられる。また、基材の、バックパッドが積層された面とは反対の面に対して、粘着層を介して離型層を積層する工程をさらに有していてもよい。基材としては、以下に限定されないが、例えば、湿式凝固法により得られるウレタンシート、モールド成型法により得られるウレタンシート、ポリエチレン等のスポンジフォーム、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のフィルム、不織布、織布等を使用することができる。また、基材を用いず、直接、弾性樹脂発泡体の枠材が形成された面と反対の面に粘着層を介して離型層を積層してもよい。
本実施形態の研磨用保持具の製造方法において、上述のようにして得られた保持具用シートを、そのまま研磨用保持具として用いてもよく、更に、所望の平面形状を有するように裁断したものを研磨用保持具として用いてもよい。また、研磨用保持具を用いて研磨加工を施す前に、その研磨用保持具に汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行ってもよい。また、枠材の厚みや形状を調整するために研削処理等の工程を有していてもよい。
〔研磨物の製造方法〕
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記研磨用保持具により保持した被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨し、研磨物を得る研磨工程を有する。研磨工程は、一次研磨(粗研磨)であってもよく、仕上げ研磨であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
図3に、本実施形態の研磨用保持具を用いて被研磨物の研磨を行う場合の模式図を示す。まず、研磨機の被研磨物ホルダ1に研磨用保持具10を装着し、研磨用保持具10で被研磨物Wを保持させる。図3に示すように、研磨用保持具10はバックパッド12上の被研磨物Wを枠材14の枠内で保持している。一方、研磨装置の研磨用定盤3上には研磨パッド2が設けられており、被研磨物Wと接した状態にある。この状態で、研磨パッド2を研磨用定盤3と共に回転することにより、被研磨物Wを研磨することができる。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(シリコンカーバイト)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料やLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)が挙げられる。このなかでも、本実施形態の研磨物の製造方法は、パワーデバイスなどに適用され得る材料、例えば、サファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料の製造方法として好適に用いることができる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は上記した内容に限定されるものではない。例えば、本実施形態の研磨用保持具は、各部材の発泡の有無に限定はなく、バックパッドが樹脂無発泡体であり、かつ、枠材が樹脂発泡体であってもよく、バックパッドと枠材の両方が樹脂発泡体又は樹脂無発泡体であってもよい。また、本実施形態の研磨用保持具は、バックパッド及び枠材の硬さに限定されないが、バックパッドに比べて枠材の方が硬度が高い、及び/又は、圧縮率が低い方が、研磨ムラ、特に端部ダレの抑制と、バックパッドの保持性能(密着性)を両立できる傾向にある。このことは、研磨用保持具の枠材の部分のみと、バックパッドの部分のみとを、それぞれ少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように同じ枚数を重ねて測定用の試料を作製し、硬度及び圧縮率を比較することで確認できる。また、バックパッドの保持表面に撥水剤、親水剤等による公知の表面処理をしてもよく、バックパッドの保持表面に研削、押圧等公知の手段による形状加工をしてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔バックパッドのショアA硬度およびショアD硬度〕
A型硬度計またはD型硬度計(テクロック社製)を用いて、JIS K 6253(2012)に準拠して、バックパッドのショアA硬度及びショアD硬度を測定した。具体的には、試料を少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように重ねて測定用の試料を作製し、その試料のショアA硬度及びショアD硬度を求めた。
〔枠材の厚さ〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、枠材の厚さを測定した。具体的には、保持具の枠材を含む箇所と、枠材を含まない箇所を切り出した試料片をそれぞれ用意し、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に測定してそれぞれ厚さを求めた。保持具の枠材を含む箇所の厚みから、枠材を含まないバックパッドの厚みを減算して枠材の厚さを算出した。
<研磨試験条件>
研磨用保持具を片面研磨試験機の研磨定盤に、両面テープを介して貼りつけた。保持具内に、水を介して被研磨物を吸着(水吸着)させ、研磨試験を実施した。より詳細には、研磨試験を以下に示す条件で行った。
研磨装置:不二越機械工業社製片面研磨装置
被研磨物:8インチ シリコンウェハ
スラリー:フジミインコーポレーテッド社製 コロイダルシリカタイプ
スラリー流量:600mL/min
研磨定盤回転速度:60rpm
研磨圧:200gf/cm2
研磨時間:60min×2回(計2バッチ)
(実施例1)
バックパッドを次のようにして調製した。すなわち、モールド成型により、厚さ1.3mmの円形のバックパッドを得た。このバックパッドのショアA硬度は20であり、内部に連続気泡を有していた。より具体的には、次のようにしてバックパッドを得た。まず、第1成分のプレポリマとして、2,4−トリレンジイソシアネート、数平均分子量約650のポリテトラメチレンエーテルグリコール及びジエチレングリコールを質量比で39/56/5の割合で反応させることで、イソシアネート基含有量が10%のウレタンプレポリマを準備し、これを40℃に加熱し、減圧下で脱泡した。第2成分の硬化剤として、MOCA(3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン)を用い120℃で溶解させ、減圧下で脱泡した。第3成分の硬化剤として、数平均分子量約1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを50℃に加熱し、減圧化で脱泡した。第4成分の分散液として、数平均分子量が約200であるポリエチレングリコール、水、触媒(N,N−ジメチルピリジン−4−アミン)、シリコーン系界面活性剤(ダウコーニング社製商品名「SZ−1605」)を85:3:6:6の配合比(質量比)で撹拌したものを準備した。第1成分:第2成分:第3成分:第4成分を質量比で62.9:7.6:26.8:2.7の割合で混合機に導入し、得られた混合液を型枠に注型して硬化させた。形成された硬化体を型枠から抜き出し、厚さ1.3mmになるようスライス処理し、さらに円形状の平面形状に切り出して、円形のバックパッドを得た。次いで、ウレタン系UV硬化樹脂(商品名「レイキュアー」、十条ケミカル社製)を、バックパッドの保持面上に、200番手のナイロンメッシュを用いて円環状にスクリーン印刷し、紫外線を3分間照射することで硬化して無発泡体からなる枠部を形成し、実施例1に係る研磨用保持具を得た。この際、樹脂厚さ(枠材厚さ)が200μmになるように設定した。なお、バックパッドの定盤側表面に両面テープを貼り、定盤に固定した。
(比較例1)
従来の接着剤を介して枠材を接着した保持具を使用した。具体的な製造方法は以下のとおりとした。まず、湿式成膜により円形のバックパッドを得た。このバックバッドのショアA硬度は25であり、厚みは0.6mmであった。より具体的には、次のようにしてバックパッドを得た。まず、100%モジュラスが10MPaであるポリエステル系ポリウレタン樹脂のDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液(濃度30%)100質量部に対して、粘度調整用のDMF44質量部と、カーボンブラック3質量部とを混合して樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を、成膜用基材であるPETフィルムに塗布して塗膜を得た。得られた塗膜を、凝固液である水からなる室温の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生して前駆体シートを得た。前駆体シートを凝固浴から取り出し、成膜用基材から前駆体シートを剥離した後、水からなる室温の洗浄液(脱溶媒浴)に浸漬し、溶媒であるDMFを除去して得られた樹脂シートを乾燥しつつ巻き取ることでシートを得て、表面をバフィングし、バックパッドを得た。次いで、内部に気泡を有しないガラス繊維強化エポキシ樹脂製の枠材(円環状、厚み600μm、ショアD硬度99以上(測定上限))に、ウレタン系ホットメルト接着シートを貼り付け不要分をカットして除去した。次いで、上記接着シートを貼り合せた枠材を上記したバックパッドの保持(バフィング)面に貼り付け、熱プレス機にて熱接着して比較例1に係る研磨用保持具を得た。比較例1に係る研磨用保持具の断面模式図を図4に示す。図4からわかるように、比較例1に係る研磨用保持具は、バックパッド42上にウレタン系ホットメルト接着シート46を介して枠材44が形成されていた。なお、バックパッド42の定盤側表面は、定盤と接着するための両面テープ(図示しない)を備えていた。
(比較例2)
従来の接着剤を介して枠材を接着した保持具を使用した。具体的な製造方法は以下のとおりとした。まず、実施例1と同様にして円形のバックパッドを得た。次いで、内部に気泡を有しないガラス繊維強化エポキシ樹脂製の枠材(円環状、厚み400μm、ショアD硬度99以上(測定上限))に、ウレタン系ホットメルト接着シートを貼り付け不要分をカットして除去した。次いで、上記接着シートを貼り合せた枠材を上記したバックパッドの保持面に貼り付け、熱プレス機にて熱接着して比較例2に係る研磨用保持具を得た。なお、保持パッドの定盤側表面は、定盤と接着するための両面テープを備えていた。
<結果>
比較例1及び2に示す従来の研磨用保持具では、上記研磨試験後、枠材と保持面との間において一部剥離していることが目視にて確認された。一方、実施例1の研磨用保持具では、上記研磨試験後も剥離は見られなかった。また、目視により保持具の反りを確認したところ、比較例1では反りが認められなかった。実施例1ではわずかに反りが認められたものの、研磨用保持具として問題のあるものではなかった。一方、比較例2では、枠材の厚みが400μmと比較的薄いため、接着成分の収縮または熱プレス工程時におけるバックパッドの収縮(圧縮)による内部応力が枠材の剛性を上回ったことに起因すると思われる反りが確認された。この保持具では、水平な台に静置した際に反りや波打ちによって浮き上がった箇所の内、水平な台と保持具底面との高さが最も高い箇所を測定した浮き上がり高さが5mmを上回る程度に反りが大きかった。このような保持具では、保持定盤にエア噛みなく貼りつける作業において細心の注意を要するため作業性が悪く、また、保持定盤からの保持具が剥離したり、保持面が波打つ場合もあるため、好ましくないと評価した。
本発明は、研磨加工分野の被研磨物の保持具として産業上の利用可能性を有する。
1 被研磨物ホルダ
2 研磨パッド
3 研磨用定盤
10,20 研磨用保持具
12,22,42 バックパッド
14,24,44 枠材
26 溝部
46 ウレタン系ホットメルト接着シート
W 被研磨物

Claims (9)

  1. 被研磨物を保持するためのバックパッドと、
    前記バックパッドに直接的に接合され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、
    を備える、研磨用保持具。
  2. 前記枠材の厚さが、500μm以下である、請求項1に記載の研磨用保持具。
  3. 前記研磨用保持具が、前記枠材において、研磨時の研磨パッドに対向する面に少なくとも開口を形成した溝部を有する、請求項1又は2に記載の研磨用保持具。
  4. 前記枠材が、光硬化性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
  5. 前記枠材が、チオール系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
  6. 前記枠材が、ガラス繊維を含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
  7. 被研磨物を保持するためのバックパッドと、前記被研磨物を囲むための枠材と、を備える研磨用保持具の製造方法であって、
    前記バックパッド上に前記枠材を直接的に接合する形成工程を有する、
    研磨用保持具の製造方法。
  8. 前記枠材が、光硬化性樹脂から形成され、
    前記形成工程が、前記光硬化性樹脂をスクリーン印刷する工程を含む、請求項7に記載の研磨用保持具の製造方法。
  9. 前記枠材が、前記バックパッド上に配置された型枠内に前記枠材の材料又はその前駆体を充填し、当該材料の乾燥又は前記前駆体の硬化により形成される、請求項7に記載の研磨用保持具の製造方法。
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