JP6696756B2 - 保持具及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保持具及びその製造方法に関する。
従来、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、ハードディスクやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)の表面(加工面)では、平坦性が求められるため、研磨パッドをスラリーと共に用いる化学機械研磨加工が行われている。
このような研磨加工では、被研磨物を保持するための保持具が使用されている。保持具は、樹脂シート上に、被研磨物の横ずれを抑制するため、例えば、繊維強化樹脂の枠材が貼り合わせられた構造を有する。より具体的に、特許文献1には、樹脂シートとして、内部に発泡が形成された軟質プラスチックシートと、該軟質プラスチックシート上に湿式成膜で形成され、軟質プラスチックシート中の発泡より孔径の小さい微多孔を有する微多孔性表面層と、を備えるものを用いることが開示されている。また、特許文献2には、樹脂シートとして、基材シートと、略球状の連続気泡を有するポリウレタン発泡層と、を備える積層シートを用いることが開示されている。
特開2006−255827号公報 特開2007−245571号公報
近年、パワーデバイスなどに適用され得る材料、例えば、サファイア、SiC、GaN及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料を研磨する需要が増えている。このような難加工材料を被研磨物として研磨する場合、特許文献1に開示されるような軟質発泡シートからなる保持具には、研磨に伴い高い研磨圧がかかるため、樹脂シートの沈み込みが大きくなって樹脂シートがつぶれ易くなり、その結果、被研磨物に局所的に研磨圧がかかり、研磨傷が生じやすくなる。その一方で、研磨圧を低くすると、研磨レート(時間当たりの研磨量)が低下するという課題を有する。なお、シリコン基板の加工時間を1として、各基板の加工時間を試算すると、サファイアの加工時間は3倍となり、SiCの加工時間は5〜6倍となり、GaNの加工時間は100〜200倍となり、ダイヤモンドの加工時間は10000倍となる。
また、特許文献1に開示されるような、繊維強化樹脂の枠材が貼り合わせられた構造を有する保持具では、研磨時に樹脂シートと枠材の接着部分が剥離し、被研磨物の横ずれにより被研磨物が保持具から飛び出すおそれがある。また、被研磨物が枠材に衝突することにより繊維が脱落する恐れがある。また、枠材が研磨パッドと接して研磨されることによっても、繊維が脱落する恐れがある。このようにして脱落した繊維は、被研磨物の表面に研磨傷を発生させ得る。
さらに、特許文献2に開示されるような、基材シートと、略球状の連続気泡を有するポリウレタン発泡層と、を備える積層シートでは、高い研磨圧に対応し得る可能性はあるものの、枠材の形成が考慮されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、難加工材料を研磨した場合であっても研磨レートを高く維持することができ、また、得られる研磨物に研磨傷が生じにくい保持具及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の圧縮変化量を有する樹脂からなり、被研磨物(以下、「ワーク」ともいう。)を保持する保持部と枠部とが一体形成された弾性樹脂発泡体を備える保持具であれば、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
被研磨物を保持する保持部と、該保持部により保持された前記被研磨物を囲む枠部とを有する保持具において、前記保持部と前記枠部は境目のない連続した一体の弾性樹脂発泡体からなり、
初荷重300g/cm 2 、最終荷重1800g/cm 2 としたときの、前記保持部の圧縮変形量が、3.0〜15μmである、
保持具。
〔2〕
前記弾性樹脂発泡体の気泡の平均径が、10〜80μmである、前項〔1〕に記載の保持具。
〔3〕
前記弾性樹脂発泡体の気泡の最大径が、150μm以下である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の保持具。
〔4〕
前記弾性樹脂発泡体の独泡率が、50%〜100%である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔5〕
前記弾性樹脂発泡体の表面開孔率が、5〜70面積%である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔6〕
前記弾性樹脂発泡体のショアD硬度が、30〜70°である、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の保持具。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の保持具の製造方法であって、
弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成する発泡体形成工程と、
得られた発泡体を研削して、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された前記弾性樹脂発泡体を得る保持部枠部形成工程と、を有する、
保持具の製造方法。
〔8〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の保持具の製造方法であって、
凹状の型枠内で、弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成させることにより、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された弾性樹脂発泡体を得る製品型枠成形工程を有する、
保持具の製造方法。
本発明であれば、難加工材料を研磨した場合であっても研磨レートを高く維持することができ、また、得られる研磨物に研磨傷が生じにくい保持具及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態の保持具の一態様を表す概略断面図である。 独立気泡と連続気泡を説明する概略図である。 本実施形態の保持具を用いて被研磨物の研磨を行う方法を示す模式図である。 実施例1及び2並びに比較例2の保持具のワーク保持部の断面SEM写真である。(比較例1及び3は図示せず)
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔保持具〕
本実施形態の保持具は、被研磨物を保持する保持部(以下、「ワーク保持部」という。)と、該保持部により保持された前記被研磨物を囲む枠部とを有する保持具において、前記ワーク保持部と前記枠部は境目のない連続した一体の弾性樹脂発泡体からなり、前記ワーク保持部の圧縮変形量が、3.0〜15μmである。
図1に、本実施形態の保持具の一態様を表す概略断面図を示す。図1に示す保持具100は、被研磨物Wを保持するワーク保持部111及び該ワーク保持部111により保持された被研磨物Wを囲むように前記ワーク保持部111と一体形成された枠部112を有する弾性樹脂発泡体110と、該弾性樹脂発泡体110の枠部112が形成された面と反対の面に設けられる基材120と、弾性樹脂発泡体110と基材120とを接着するための接着層(図示せず)と、を備える。
〔弾性樹脂発泡体〕
弾性樹脂発泡体110は、被研磨物Wを保持するワーク保持部111と、該ワーク保持部111を囲むように前記ワーク保持部と一体形成された枠部112と、を有する。このように、ワーク保持部111及び枠部112が一体形成された弾性樹脂発泡体を備える保持具であれば、従来の繊維強化樹脂からなる枠部を設ける必要がないため、繊維の脱落に由来する研磨物表面の研磨傷の発生を抑制することができる。
(ワーク保持部)
ワーク保持部111は、その保持面に好ましくは適量の水を含ませて被研磨物Wを押し付けることで、保持面と被研磨物Wの表面との相互作用、保持面の表面に開孔がある場合はその開孔による吸着力、及び、水の表面張力により保持することができる。また、弾性樹脂発泡体110の粘着性により、被研磨物Wがワーク保持部111に保持されてもよい。また、ワーク保持部111の保持面は、被研磨物Wを保持し易いように被研磨物よりやや大きく設計されていてもよい。さらに、ワーク保持部111は、複数の被研磨物を同時に保持できるよう構成されていてもよい。この場合、弾性樹脂発泡体110は、複数のワーク保持部111と、該ワーク保持部111により保持された複数の被研磨物Wを各々囲む枠部112と、を有することができる。
(枠部)
枠部112は、研磨加工中に被研磨物Wが横ずれを起こして、ワーク保持部111の保持面から飛び出すことを防止する(横ずれ範囲を規制する)ものである。そのため、枠部112の形状及び寸法は、被研磨物が研磨領域から飛び出さないようなものであれば特に限定されず、例えば、内径が被研磨物よりやや大きい円形状を有する、すなわち保持穴を有していてもよい。
また、枠部112の厚さH2は、特に限定されず、被研磨物Wの厚さ以下、あるいは被研磨物Wの厚さと同等としてもよい。例えば、枠部112の厚さH2が被研磨物の厚さと同等である場合には、研磨時において、枠部112は、研磨パッドを押し付けるように接することとなる。枠部112で研磨パッドを押し付けることにより、被研磨物Wに接する研磨パッド面の平坦性が向上し、結果として研磨ムラがより抑制される傾向にある。
さらに、枠部112は、ワーク保持部111に向かって広がるテーパー状に設けられていてもよい。枠部112がそのようなテーパー状に設けられていることにより、被研磨物Wの脱着がより容易となる。
本実施形態において、「弾性樹脂発泡体」とは、弾性樹脂110aと、その弾性樹脂110aの間に存在する複数の孔110bと、を有するものをいう。このような構造を有することにより、研磨時に被研磨物Wが研磨パッドから受ける衝撃を弾性樹脂発泡体110が吸収することができる。そのため、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生を抑制することができる。以下、弾性樹脂発泡体110の構成についてより詳細に説明する。
(弾性樹脂)
弾性樹脂110aとしては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、トランス−ポリイソプレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂が挙げられる。このなかでも、硬度、粘弾性特性の調整、良好な発泡性、耐摩耗性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、SMP((株)SMPテクノロジーズ社製商品名)、ディアプレックス(三菱重工業(株)社製商品名)、クリスボン(DIC(株)社製商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製商品名)、及びレザミン(大日本精化工業(株)社製商品名)が挙げられる。
上記ポリノルボルネン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、ノーソレックス(日本ゼオン(株)社製商品名)が挙げられる。
上記トランス−ポリイソプレン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、クラレTPI(クラレ(株)社製商品名)が挙げられる。
上記スチレン−ブタジエン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、アスマー(旭化成(株)社製商品名)が挙げられる。
上記弾性樹脂110aとしては、入手及び加工の容易性、及び、本発明の目的を一層有効且つ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量は、弾性樹脂110aの総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
弾性樹脂発泡体110は、弾性樹脂110a以外に、必要に応じてその他の添加材を1種又は2種以上含んでもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックなどの顔料、親水性添加剤、及び疎水性添加剤が挙げられる。
親水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩のようなアニオン界面活性剤;親水性のエステル系化合物、エーテル系化合物、エステル・エーテル系化合物、アミド系化合物のようなノニオン界面活性剤が挙げられる。親水性添加剤の含有量は、弾性樹脂発泡体110の総量に対して、好ましくは0〜6.0質量%であり、より好ましくは0〜4.0質量%である。
また、疎水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのような炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤が挙げられる。疎水性添加剤の含有量は、弾性樹脂発泡体110の総量に対して、好ましくは3.0〜22質量%であり、より好ましくは4.0〜15質量%である。
さらには、弾性樹脂発泡体110には、弾性樹脂発泡体110の製造過程において用いられた溶媒などの各種の材料が、残存していてもよい。
(孔)
孔110bとしては、特に限定されないが、例えば、複数の気泡が独立して存在する独立気泡(図2(a)参照)、複数の気泡が連通孔でつながっている連続気泡(図2(b)参照)が挙げられる。このなかでも、弾性樹脂発泡体110は独立気泡を有することが好ましい。例えば、被研磨物Wを研磨する際には、被研磨物表面を研磨されやすい状態とするため、強酸化剤等を含むスラリーを用いることがある。この際、独立気泡を有すると、強酸化剤が連通する気泡に一気に浸透することを抑制することができるため、強酸化剤に由来する弾性樹脂発泡体110の劣化を抑制することができる。そのため、独立気泡を有する弾性樹脂発泡体110の耐薬品性がより向上する傾向にある。
孔110bが独立気泡である場合には、弾性樹脂発泡体110は、弾性樹脂110aと、その弾性樹脂110a中に分散する複数の樹脂製の中空微粒子(図示せず)と、を備えてもよい。この場合、中空微粒子は、樹脂製の外殻を有し、その外殻内には気泡が形成されており、この中空微粒子内の気泡が孔110bに相当する。
中空微粒子としては、市販のものを入手してもよく、常法により合成することにより得られたものであってもよい。中空微粒子の外殻の材質としては、優れた可撓性を有し圧縮変形が容易である観点から、合成樹脂が好ましく、より具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及び有機シリコーン系樹脂、並びにそれらの樹脂を構成する単量体を2種以上組み合わせた共重合体が挙げられる。また、市販品の中空微粒子としては、特に限定されないが、例えば、エクスパンセルシリーズ(アクゾ・ノーベル社製商品名)、マツモトマイクロスフェア(松本油脂(株)社製商品名)などが挙げられる。これらの中では、製造容易性、及び、中空微粒子中の孔110bのみを選択的に形成できる観点から、可撓性に優れたものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリロニトリル及び塩化ビニリデンの共重合体、及びメタクリル酸メチルが好ましく、可撓性に更に優れる観点から、(メタ)アクリロニトリル及び塩化ビニリデンの共重合体がより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
孔110bの形状は、特に限定されないが、例えば、球形状(図1参照)、略球形状、弾性樹脂発泡体110の面方向に偏平になった形状(偏平形状)が挙げられる。このような形状を有することにより、強酸化剤等を含むスラリーの弾性樹脂発泡体110への浸透量を小さくすることができ、弾性樹脂発泡体110の耐薬品性がより向上する傾向にある。
なお、球形状(図1参照)、略球形状、又は弾性樹脂発泡体110の面方向に偏平になった形状を有する孔110bは、後述する成形方法により形成することができる。
弾性樹脂発泡体110の気泡の平均径は、好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは15〜70μmであり、さらに好ましくは20〜60μmである。気泡の平均径が10μm以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。また、気泡の平均径が80μm以下であることにより、気泡内へのスラリー浸透量が少ないため、スラリーに対する弾性樹脂発泡体110の耐薬品性がより向上する傾向にある。気泡の平均径は、例えば、後述する成形方法において用いる中空微粒子の径を制御することにより、調整することができる。気泡の平均径は、断面を走査型電子顕微鏡等で拡大観察することにより測定される。
弾性樹脂発泡体110の気泡の最大径は、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは120μm以下であり、さらに好ましくは90μm以下である。気泡の最大径が150μm以下であることにより、保持具が局所的につぶれることによる研磨むらの発生をより抑制できたりする傾向にある。なお、気泡の最大径は、例えば、後述する成形方法において用いる中空微粒子の径を制御することにより、調整することができる。気泡の最大径は、弾性樹脂発泡体110の断面を電子顕微鏡や光学顕微鏡等で拡大観察することにより測定される。
弾性樹脂発泡体110が独立気泡を有する場合、弾性樹脂発泡体の独泡率は、好ましくは50〜100%であり、より好ましくは70〜100%であり、さらに好ましくは90〜100%である。独泡率が50%以上であることにより、弾性樹脂発泡体110内部にスラリーが浸透し難く、耐薬品性がより向上する傾向にある。ここで、「独泡率」とは、弾性樹脂発泡体110が有する気泡のうち、他の気泡と連結していない独立した気泡の割合を意味し、「独立気泡率」と同義である。独泡率は、例えば、後述する成形方法において用いる中空微粒子の使用量を制御することにより、調整することができる。なお、独泡率は、ASTM D2856(1998)に準拠して測定することができる。
弾性樹脂発泡体110の密度(かさ密度)は、好ましくは0.60〜1.0g/cm3であり、より好ましくは0.65〜0.95g/cm3であり、さらに好ましくは0.70〜0.90g/cm3である。弾性樹脂発泡体の密度が0.60g/cm3以上であることにより、高い研磨圧で加工された場合においても沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、弾性樹脂発泡体の密度が1.0g/cm3以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。密度は、例えば、弾性樹脂発泡体110に含まれる孔110bの量を制御することにより、調整することができる。なお、密度はJIS−K−7222(2005)に準拠して測定することができる。
弾性樹脂発泡体110は、ワーク保持部の表面に開孔110cを有してもよい。この開孔110cは、弾性樹脂発泡体110中の孔110bが表面に露出したものであり、弾性樹脂発泡体110のスライス処理により形成される。したがって、開孔110cの大きさは孔110bの大きさに依存する。
弾性樹脂発泡体110の表面開孔径は、好ましくは10〜80μmであり、より好ましくは15〜70μmであり、さらに好ましくは20〜60μmである。ワーク保持部の表面開孔径が上記範囲内であることにより、被研磨物をワーク保持部の保持面に対して着脱しやすくなる傾向にある。また、枠部の表面開孔径が上記範囲内であることにより、研磨パッドと枠部が接する状態で研磨を行う態様において、研磨パッドと枠部の滑りがより向上する傾向にある。表面開孔径は、例えば、後述する成形方法において用いる中空微粒子の径を制御することができる。なお、表面開孔径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
弾性樹脂発泡体110の表面開孔率は、単位面積当たり、好ましくは5〜70面積%であり、より好ましくは7〜50面積%であり、さらに好ましくは9〜30面積%である。ワーク保持部の表面開孔率が上記範囲内であることにより、被研磨物をワーク保持部の保持面に対して着脱しやすくなる傾向にある。また、枠部の表面開孔率が上記範囲内であることにより、研磨パッドと枠部が接する状態で研磨を行う態様において、研磨パッドと枠部の滑りがより向上する傾向にある。表面開孔率は、例えば、後述する成形方法において用いる中空微粒子の径及び量を制御することができる。なお、表面開孔率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
弾性樹脂発泡体110のショアD硬度は、好ましくは30〜70°であり、より好ましくは40〜60°であり、さらに好ましくは45〜55°である。ショアD硬度が30°以上であることにより、高い研磨圧により研磨加工された際に弾性樹脂発泡体110の沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、ショアD硬度が70°以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。ショアD硬度は、例えば、弾性樹脂発泡体110に含まれる孔110bの量を制御することにより、調整することができる。なお、ショアD硬度は、JIS−K−6253(2012)に準拠して測定することができる。
ワーク保持部111の圧縮変形量は、3.0〜15μmであり、好ましくは3.0〜12μmであり、より好ましくは3.0〜9μmである。ワーク保持部111の圧縮変形量が3.0μm以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制でき、研磨レートもより向上する。さらに、ワーク保持の吸着性も向上する。また、ワーク保持部111の圧縮変形量が15μm以下であることにより、沈みこみが制限されて被研磨物の平坦性が向上する。また、圧縮変形量は実施例に記載の方法により測定することができる。
ワーク保持部111の圧縮率は、0.10〜5.0%であり、好ましくは0.25〜2.5%であり、より好ましくは0.50〜1.0%である。ワーク保持部111の圧縮率が0.10%以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる。また、ワーク保持部111の圧縮率が5.0%以下であることにより、研磨レートがより向上する。圧縮率は、例えば、弾性樹脂発泡体の作製に用いるプレポリマの種類や重合度、混合液に配合する水や非反応性気体の量や、中空微粒子、化学発泡剤、水溶性微粒子による発泡量により調整することができる。また、圧縮率は実施例に記載の方法により測定することができる。
ワーク保持部111の圧縮弾性率は、55〜95%であり、好ましくは60〜90%であり、より好ましくは65〜85%である。ワーク保持部111の圧縮弾性率が55%以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる。また、ワーク保持部111の圧縮弾性率が95%以下であることにより、研磨レートがより向上する。圧縮弾性率は、例えば、弾性樹脂発泡体の作製に用いるプレポリマの種類や重合度、混合液に配合する水や非反応性気体の量や、中空微粒子、化学発泡剤、水溶性微粒子による発泡量により調整することができる。また、圧縮弾性率は実施例に記載の方法により測定することができる。
ワーク保持部111の厚さH1は、特に制限されないが、好ましくは0.10〜5.0mmであり、より好ましくは0.20〜2.5mmであり、さらに好ましくは0.30〜1.5mmである。ワーク保持部111の厚さH1が0.10mm以上であることにより、圧縮変形量がより向上する傾向にある。また、ワーク保持部111の厚さH1が5.0mm以下であることにより、圧縮変形量がより低下する傾向にある。厚さは、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。
枠部112の厚さH2は、被研磨物の厚さに応じ、適宜設定される。好ましくは0.10〜5.0mmであり、より好ましくは0.15〜2.5mmであり、さらに好ましくは0.20〜1.5mmである。厚さは、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。
〔保持具の製造方法〕
本実施形態の保持具の製造方法は、上記保持具の製造方法であって、第一の製造方法として、弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成する発泡体形成工程と、得られた発泡体を研削して、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された弾性樹脂発泡体を得る保持部枠部形成工程と、を有する方法が挙げられる。また、第二の製造方法として、凹状の型枠内で、弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成させることにより、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された弾性樹脂発泡体を得る製品型枠成形工程を有する方法が挙げられる。
〔第一の製造方法〕
〔発泡体形成工程〕
発泡体形成工程は、弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成する工程である。発泡体形成方法としては、モールド成形法とスラブ成形法の何れかの方法により発泡体を形成する方法が挙げられる。モールド成形法はプラスチック又は金属製の型枠(モールド)に原液を注型して発泡させた後、型から取り出すもので、複雑な形状の製品でも寸法精度良く大量に成形する事ができる。スラブ成形法は、連続コンベア上に混合原液を流し、断面が角 又はカマボコ状に連続発泡させた後、所定長さの形状に裁断するもので、色々な形状の製品を切り出し・加工することができる。後述する本実施形態はモールド成形法(以下「乾式成形法」という。)を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
(乾式成形法)
まず、乾式成形法により発泡体を形成する方法について説明する。乾式成形法における孔の形成方法は、特に限定されず、従来知られている方法であってもよい。例えば、中空微粒子を弾性樹脂内110aに分散させたり、弾性樹脂110a中に化学発泡剤を配合させてガス発泡させたり、弾性樹脂110aと不活性ガスとを加圧混練して減圧発泡したりして孔110bを形成する方法が挙げられる。
以下、中空微粒子を用い、弾性樹脂110aとしてポリウレタン樹脂を採用した場合の乾式成形法について説明する。具体的には、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物と、外殻を有する中空状である中空微粒子とを混合した混合液からポリウレタン樹脂発泡体を形成する。
まず、ポリウレタン樹脂の原料であるイソシアネート基含有化合物及び活性水素化合物、原料中空微粒子、並びに、必要に応じて弾性樹脂発泡体110に含ませるその他の材料(例えば、顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤)を混合して混合液を調製する。このとき、原料中空微粒子の混合液中での分散状態を均一化するため、予め活性水素化合物に略均一に混合及び分散させておくと好ましい。
イソシアネート基含有化合物としては、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成したイソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、「プレポリマ」と略記する。)が好ましい。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させる際に、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量よりも大きくすることで、プレポリマを得ることができる。
また、プレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が低下し混合時に略均一に混合することが難しくなる。一方で、温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり(プレポリマの硬化反応が速くなり)、却って混合斑が生じて中空微粒子の分散状態にバラツキが生じる。また、中空微粒子に膨張剤が含まれる場合、温度上昇により膨張剤が発泡してしまい、孔110bの大きさや分散状態にバラツキが生じることもある。反対に粘度が低すぎると、混合液中で中空微粒子が移動してしまい、得られるポリウレタン形成体に略均等、略均一に中空微粒子を分散させることが難しくなる。このため、プレポリマは、温度50〜80℃における粘度を500〜4000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。粘度をこの範囲に設定するには、例えば、プレポリマの分子量(重合度)を制御すればよい。プレポリマは、50〜80℃程度の温度で加熱され流動可能な状態になる。
原料として用いる中空微粒子(以下、「原料中空微粒子」という。)は、最終的に弾性樹脂発泡体110に含まれる中空微粒子になるものである。原料中空微粒子は、中空微粒子の外殻と同じ材料の外殻を有する中空状のものであって、その中空部分に発泡成分を有する未膨張中空微粒子であってもよく、膨張処理を施した既膨張中空微粒子であってもよく、それらの混合物であってもよい。未膨張中空微粒子は、中空部分に、ポリウレタン形成体の形成時にガスを発生して孔110bを形成する膨張剤を有する。膨張剤の含有割合は特に限定されない。
膨張剤としては、常温で固体であり、好ましくは100℃〜260℃で熱分解して分解ガスを発生する化学発泡剤、水を保持させた水溶性物質及び水からなる群より選択される少なくとも1種の成分が用いられる。ポリウレタン形成体の形成時に、膨張剤の分解や気化等で発生するガスにより孔110bが形成される。
化学発泡剤としては、例えば、バリウムアゾジカルボキシレート、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド及びヒドラゾジカルボンアミドからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。化学発泡剤の熱分解温度が100℃以上であると、ポリウレタン形成体の形成時に早期の分解がより抑制され、孔110bの分散状態をより均等かつ均一にすることができ、260℃以下であると、ポリウレタン形成体の形成時に更に良好に分解して、孔110bをより容易に形成することができる。
水溶性物質としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルキチン、デキストリン及びシクロデキストリン等の水溶性多糖類並びにその誘導体、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ショ糖及びブドウ糖等のオリゴ糖や単糖類;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム及びリン酸カリウム等のアルカリ成分又は中性塩;脂肪族アミン塩及び脂肪族アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩及びリン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤;エーテル型、エーテルエステル型及びエステル型等の非イオン系界面活性剤;アミノ酸、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸、並びに、ポリ(メタ)アクリル酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの水溶性物質は、水分を保持しやすいため、ポリウレタン形成体の形成時に水溶性物質に保持された水分がイソシアネート基含有化合物と反応することによりガスを発生し、孔110bが形成される。
次いで、型枠内に混合液を注型して、混合液中のイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを反応及び硬化させて、ブロック状のポリウレタン樹脂発泡体を形成する。このとき、イソシアネート基含有化合物が活性水素化合物との反応(高分子化又は架橋)により硬化する。通常、ポリウレタン樹脂発泡体を形成する型枠の上部が開放されているため、大気圧下で反応(高分子化・架橋)による硬化が進行し、弾性樹脂110aを有するポリウレタン樹脂発泡体が形成される。また、原料中空微粒子が未膨張中空微粒子である場合、この反応により生じた反応熱により、未膨張中空微粒子の中空部分に存在した膨張剤がガスを発生し膨張することにより、中空微粒子が形成される。一方、原料中空微粒子が既膨張中空微粒子である場合、既に膨張処理を施されているため、既膨張中空微粒子はそのまま中空微粒子であるか、あるいは、その中の気泡が僅かに膨張して中空微粒子となる。原料中空微粒子が、混合液中に略均等かつ略均一に分散されているため、原料中空微粒子の周囲で架橋硬化が進行する。これにより、ポリウレタン形成体において、弾性樹脂110aの中に、中空微粒子及びその中に存在する孔110bが、略均等かつ略均一に形成される。
混合液中のイソシアネート基含有化合物の含有割合は、特に限定されないが、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、モル比(当量比)として、活性水素化合物に対して0.80〜1.2であると好ましく、0.90〜1.1であるとより好ましい。
上記工程は、ポリウレタン樹脂発泡体を形成するための従来知られている装置を用いて、連続的に行われてもよい。
〔保持部枠部形成工程〕
保持部枠部形成工程は、得られた発泡体を研削して、ワーク保持部と枠部とが一体的に形成された弾性樹脂発泡体を得る工程である。本実施形態の保持具の製造方法においては、ワーク保持部と枠部とを一体的に形成するため、別途、繊維強化樹脂からなる枠材を接合させる工程を省くことができる。上記形成方法としては、特に限定されないが、例えば、得られたブロック状の発泡体にスライス処理後、表面研削処理を施す方法が挙げられる。
スライス処理では、一般的なスライス機を用いることができる。このスライス処理では、例えば、直方体形状の発泡体を、その一面側で保持し、その一面に対向する面側から順に所定厚さにスライスし、弾性樹脂発泡体を得る。
次いで、表面研削処理では、得られた弾性樹脂発泡体の表面を、ルーター装置等を使用して切削することにより、円形状や矩形状等の所望の被研磨物形状に応じた保持部を形成する。これにより、被研磨物を保持する保持部と、該保持部により保持された被研磨物を囲むように保持部と一体形成された枠部と、を有する弾性樹脂発泡体を得ることができる。さらに、複数の被研磨物を同時に保持できるよう構成されるように、弾性樹脂発泡体には、複数の保持部と、該保持部により保持された複数の被研磨物を各々囲む枠部と、を形成することができる。
なお、弾性樹脂発泡体の厚さの均一化を図るために、発泡体又はスライス処理後の発泡体にバフ処理等の表面研削処理を施してもよい。バフ処理では、一般的なバフ機を用いることができる。これにより、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の損傷を更に抑制すると共に被研磨物の平坦性を向上させることができる。
また、上記のようなスライス処理及び/又は表面研削処理により、弾性樹脂発泡体の表面に開孔が形成されると、被研磨物Wの着脱性が向上し、また、研磨均一性が向上する傾向にある。
〔第二の製造方法〕
〔製品型枠成形工程〕
他方、上記保持部枠部形成工程によらず、凹状の型枠内で、弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成させることにより、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された弾性樹脂発泡体を得る製品型枠成形工程としてもよい。得られた混合液を、求める製品形状の凹状の型枠内に注型して熱硬化させ、ワーク保持部と枠部とが一体的に形成された樹脂発泡体を得ることができる。この方法により、スライス処理及び/又は表面研削処理の工程を省くことができる。なお、製品型枠成形工程では、樹脂発泡体の表面に、スキン層と呼ばれる数μm程度の高密度層が形成されるため、バフ処理等による表面研削処理を施し、スキン層を除去し、表面に開孔が形成されることが好ましい。
〔接合工程〕
本実施形態の保持具の製造方法は、弾性樹脂発泡体110の枠部112が形成された面と反対の面に基材120を接合する接合工程をさらに有していてもよい。接合方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層を介して接合する方法が挙げられる。また、基材120の弾性樹脂発泡体110が接合された面と反対の面に、粘着層を介して離型層130を接合する工程をさらに有していてもよい。
本実施形態の保持具100の製造方法において、上述のようにして得られた保持具用シートを、そのまま保持具として用いてもよく、更に、所望の平面形状を有するように裁断したものを保持具として用いてもよい。また、保持具を用いて研磨加工を施す前に、その保持具に汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行ってもよい。
〔研磨物の製造方法〕
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記保持具により保持した被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨し、研磨物を得る研磨工程を有する。研磨工程は、一次研磨(粗研磨)であってもよく、仕上げ研磨であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
図3に、本実施形態の保持具100を用いて被研磨物Wの研磨を行う場合の模式図を示す。まず、研磨機の被研磨物ホルダ1に保持具100を装着し、保持具110で被研磨物Wを保持させる。次いで、保持具100のワーク保持部111に被研磨物Wを保持した状態で、研磨装置の研磨用定盤3に設置された研磨パッド2を回転することにより、被研磨物Wを研磨することができる。
被研磨物ホルダ1に保持具100を装着する方法としては、特に限定されないが、保持具100が両面テープを備えている場合には、両面テープの剥離紙を取り除き、露出した接着層で保持面が下方に向くように被研磨物ホルダ1に接着固定する。また、保持具100が両面テープを備えていない場合は、別に用意した接着剤又は粘着剤で保持具100を被研磨物ホルダ1に接着固定してもよい。
次に、枠部112の略中央部に露出しているワーク保持部111に、必要に応じて適量の水を含ませて、被研磨物Wを押し付けることで、被研磨物Wが弾性樹脂発泡体110の粘着性(相互作用)、ワーク保持部111が保持面に開孔を有する場合はその開孔による吸着性、並びに、水を用いた場合は水の表面張力によりワーク保持部111に保持される。このとき、被研磨物Wの被研磨面(加工面)が下方に向くよう被研磨物Wを保持する。
一方、被研磨物ホルダ1の下方で被研磨物ホルダ1と対向するように配置された研磨用定盤3には、表面に研磨パッド2(研磨布)を研磨面が上方に向くように装着する。
次に、被研磨物Wの被研磨面が研磨パッド2の研磨面に接触するように、被研磨物ホルダ1を研磨用定盤3の方へ移動させ被研磨物を搬送する。そして、被研磨物Wと研磨パッド2との間に、砥粒(研磨粒子;例えば、SiO2、Al23、CeO2)及び過酸化水素に代表される酸化剤などの化学成分を含むスラリーを循環供給する。それと共に、被研磨物ホルダ1で被研磨物Wを研磨パッド2側に押圧しながら、被研磨物ホルダ1と研磨用定盤3とを回転させることで、被研磨物の加工面が研磨パッドで化学機械研磨(CMP)により研磨加工される。被研磨物ホルダ1と研磨用定盤3は、互いに異なる回転速度で同方向に回転しても、異方向に回転してもよい。また、被研磨物Wは、研磨加工中に、枠部112の内側で移動(自転)しながら研磨加工されてもよい。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(シリコンカーバイト)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラス、ハードディスクやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)が挙げられる。このなかでも、本実施形態の研磨物の製造方法は、パワーデバイスなどに適用され得る材料、例えば、サファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンドなど、研磨加工の困難な難加工材料の製造方法として好適に用いることができる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。例えば、上記本実施形態では、弾性樹脂発泡体110と基材120との接合に接着層を用いているが、それらの接合は接着層を用いることに限定されない。さらに、本発明の保持具は、基材を備えていなくてもよいが、保持具の取扱い性の観点から、基材を備えることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔ワーク保持部の厚さ〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、ワーク保持部の厚さを測定した。具体的には、ワーク保持部を10cm×10cmに切り出した試料片3枚用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定する。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求めた。
〔ワーク保持部の圧縮率及び圧縮弾性率〕
ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、ワーク保持部の圧縮率及び圧縮弾性率を測定した。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終圧力のもとで1分間放置後の厚さt1を測定した。全ての荷重を除き、1分間放置後、再び初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0’を測定した。このとき、初荷重は300g/cm2、最終圧力は1800g/cm2であった。圧縮率は、下記数式(1)で算出し、圧縮弾性率は、下記数式(2)で算出した。
数式(1):圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
数式(2):圧縮弾性率(%)=(t0’−t1)/(t0−t1)×100
〔圧縮変形量〕
ワーク保持部の圧縮変形量は、下記式により算出した。
圧縮変形量=厚さ(μm)×圧縮率(%)
〔弾性樹脂発泡体の気泡の平均径〕
マイクロスコープ(商品名「VH−6300」、KEYENCE社製)を用いて、弾性樹脂発泡体のワーク保持部及び枠部で、該ワーク保持部は被研磨物に対向する表面、及び該枠部は研磨パッドに対向する表面、の各々約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して撮影し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver. 1.3、ニコン製)により二値化処理し、各々の気泡の面積から円相当径及びその平均値(気泡の平均径)を算出した。なお、気泡の径のカットオフ値(下限)を10μmとし、ノイズ成分を除外した。
〔弾性樹脂発泡体の気泡の最大径〕
気泡の最大径は、上記気泡の平均径を測定した際の最大経であり、具体的には、二値化処理画像のうち最大径を示すものを気泡の最大径とした。
〔弾性樹脂発泡体の独泡率〕
(連続気泡の体積割合)
弾性樹脂発泡体を3cm×3cmに切り出し、試料片とし、乾燥質量(初期質量)W1を測定した。1Lビーカーに20±2℃の水300mLを入れ、クリップをつけた前記試料片をビーカーに投入し、ベルジャーを被せた。ベルジャー下に磁気スターラーをおいて磁力で前記試料片を沈めた。次に、ベルジャー中でアスピレーターにて20分間陰圧にして脱気・浸水させた。クリップを外した前記試料片をキムタオルでくるみ、表面水分をふき取り、吸水後の質量W2を測定した。式:W2−W1により試料片内に取り込まれた吸水量W3(連続気泡体積)を算出した。試料片の体積Vb(3cm×3cm×試料片厚み)に対する吸水量W3の百分率[100×(W3/Vb)]により、連続気泡の体積割合を算出した。
(樹脂部の体積割合)
試料片の乾燥質量W1をウレタン真比重(1.2g/cm3)で除することにより、樹脂部の体積Vtを算出した。試料片の体積Vbに対する樹脂部の体積Vtの百分率[100×(Vt/Vb)]により、樹脂部の体積割合を算出した。
(独立気泡の体積割合)
式:Vb−Vtにより発泡空間体積(独立気泡と連続気泡との合計体積)Vを算出した。次に、式:V−W3により独立気泡体積を算出した。試料片の体積Vbに対する独立気泡体積の百分率[100×(V−W3)/Vb]により、独立気泡の体積割合を算出した。
(独立気泡率(独泡率))
独立気泡の体積割合及び連続気泡の体積割合の合計に対する独立気泡の体積割合の百分率により独立気泡率(独泡率)を算出した。
〔密度〕
弾性樹脂発泡体を10cm×10cmに切り出し、試料片とし、その質量を測定し、上記サイズから求めた体積と上記質量から、弾性樹脂発泡体の密度(かさ密度)(g/cm3)を算出した。
〔弾性樹脂発泡体の表面開孔径及び表面開孔率〕
マイクロスコープ(商品名「VH−6300」、KEYENCE社製)を用いて、弾性樹脂発泡体のワーク保持部及び枠部で、該ワーク保持部は被研磨物に対向する表面、及び該枠部は研磨パッドに対向する表面、の各々約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して撮影し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver. 1.3、ニコン製)により二値化処理し、各々の気泡の面積から円相当径及びその平均値(ワーク保持部の表面開孔径)を算出した。また、二値化処理画像に基づいて単位面積当たりの表面開孔率を算出した。なお、気泡の径のカットオフ値(下限)を10μmとし、ノイズ成分を除外した。
〔弾性樹脂発泡体のショアD硬度〕
D型硬度計(テクロック社製)を用いて、JIS K 6253(2012)に準拠して、弾性樹脂発泡体のショアD硬度を測定した。具体的には、弾性樹脂発泡体を10cm×10cmに切り出し、試料片とし、厚さ6mm以上になるように複数枚重ねて設定した。
〔研磨試験〕
保持具から離型紙を剥離し、研磨定盤の所定位置に設置した。次いで、水張り吸着により保持具に被研磨物として2インチ径(厚さ0.42mm)サファイヤウェハを6枚保持した。被研磨物に対して、下記条件にて研磨加工を施す研磨試験を行った。
(研磨条件)
装置条件
使用研磨機 :不二越機械工業社製 MCP−150X
研磨パッド :含浸不織布研磨パッド(フジボウ愛媛社製 品番:CL705B−203U−HM2)
ドレス条件
ダイヤモンドドレス:MCX−G5291#100A/旭ダイヤモンド社製)
ドレス時間 :5分
ドレス圧 :22gf/cm2
回転数 :トップリング60rpm/定盤回転数60rpm
研磨条件
荷重 :400gf/cm2
研磨速度 :トップリング70rpm/定盤回転数70rpm
スラリー :フジミインコーポレーテッド社製
コンポールEX3を水:スラリー=1:1(質量比)に希釈
スラリー流量 :600mL/分(循環)
研磨時間 :1時間/バッチ
(研磨レート)
ダミー用の被研磨物6枚を1バッチ研磨加工後、続けて測定用の被研磨物6枚を1バッチ研磨加工し、研磨レートを測定した。研磨レートは、1時間あたりの研磨量を厚さ(nm)で表したものであり、研磨加工前後の被研磨物の研磨面について被研磨物6枚の各々17箇所の厚さ測定の結果から平均値を求めた。なお、厚さ測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、商品名「ASET−F5x」)のDBSモードにて測定した。
(研磨傷(スクラッチ))
上記研磨後の測定用の被研磨物6枚の表面をウェハ表面検査装置(KLAテンコール社製、商品名「Surfscan SP1DLS」)の高感度測定モードにて測定し、被研磨物表面におけるスクラッチの有無をカウントし、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:スクラッチが入った研磨物が無い場合
×:スクラッチが入った研磨物が1枚以上ある場合
(耐薬品性)
上記研磨後の保持具の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率100倍で観察し、耐薬品性を下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:ワーク保持部の表面の劣化または枠部の剥離が認められない。
△:ワーク保持部の表面の劣化または枠部の剥離の何れがやや認められる。
×:ワーク保持部の表面の劣化または枠部の剥離の何れが認められる。
(ワーク吸着性)
ワーク保持部に水を介在させた後にワークを押し当て、ワークが脱落しないか観察し、ワーク吸着性を下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:脱落せず吸着補助が不要な場合
×:脱落し吸着補助が必要な場合
(プレポリマの準備)
イソシアネート基含有化合物として4種類のプレポリマを準備した。
(プレポリマ1)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール600質量部、ジエチレングリコール40質量部を用い、ジイソシアネート化合物として2,4−トリレンジイソシアネート300質量部を用い、それらを反応させることによって、NCO当量が460である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマ(プレポリマ1)を合成した。これを45℃に加熱して減圧下で脱泡した。
(プレポリマ2)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール556質量部、ジエチレングリコール54質量部、トリメチロールプロパン2質量部を用い、ジイソシアネート化合物として2,4−トリレンジイソシアネート388質量部を用い、それらを反応させることによって、NCO当量が440である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマ(プレポリマ2)を合成した。これを45℃に加熱して減圧下で脱泡した。
(プレポリマ3)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール675質量部を用い、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネート325質量部を用い、それらを反応させることによって、NCO当量が420である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマ(プレポリマ3)を合成した。これを80℃に加熱して減圧下で脱泡した。
(プレポリマ4)
ポリオール化合物として数平均分子量が約1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール284質量部、ジエチレングリコール64質量部を用い、ジイソシアネート化合物として、2,4−トリレンジイソシアネート279質量部を用い、それらを反応させることによって、NCO当量が440である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマ(プレポリマ4)を合成した。これを45℃に加熱して減圧下で脱泡した。
〔実施例1〕
活性水素化合物として3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンビス−o−クロロアニリン)(以下、「固形MOCA」ともいう。)を用い、その固形MOCAを120℃で加熱溶融させ、更に減圧脱泡して固形MOCA溶融液を得た。
次に、微小中空球体(エクスパンセル社製商品名「EXPANCEL461DE」)を用い、プレポリマ1と固形MOCA溶融液と微小中空球体とを、それらの質量比がプレポリマ1:固形MOCA溶融液:微小中空球体=97:25:3となる割合で攪拌混合して混合液を得た。
得られた混合液を、型枠に注型して、130〜140℃にて硬化させた。形成された熱硬化性ポリウレタン成形体を型枠から抜き出し、スライス処理を施し弾性樹脂発泡体を得た。次に、スライス処理後の弾性樹脂発泡体を、直径240mmの円状の平面形状に切り出した。そして、切り出した後の熱硬化性ポリウレタン成形体の表面に、直径51.1mm、深さ0.28mmの円孔を6箇所切削して、ワークを保持する孔部を6箇所形成し、ワーク保持部と枠部を一体形成した保持具を得た。
〔実施例2〕
活性水素化合物として固形MOCAを用い、その固形MOCAを120℃で加熱溶融させ、更に減圧脱泡して固形MOCA溶融液を得た。また、数平均分子量が約3000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール50質量部と、水0.5質量部と、触媒(東ソー株式会社製商品名「トヨキャットET」)0.7質量部と、シリコーン系界面活性剤(ダウコーニング社製商品名「SH 193」)5質量部とを撹拌混合して分散液を得た。
次に、プレポリマ2と固形MOCA溶融液と分散液とを、それらの質量比がプレポリマ2:固形MOCA溶融液:分散液=100:20:6となる割合で、混合槽中で十分に撹拌混合して混合液を得た。得られた混合液を、実施例1と同様に注型、硬化及び加工して、保持具を得た。
〔実施例3〕
実施例1と同様の方法で得られた混合液を、直径240mm、高さ1.5mmの円柱状内に、所望の直径、深さの円孔を6箇所有する金型に注型し、130〜140℃にて硬化させた後、ワーク保持部及び枠部のスキン層を除去し、ワークを保持する孔部を6箇所形成し、ワーク保持部と枠部を一体形成した保持具を得た。
〔比較例1〕
活性水素化合物として固形MOCAを用い、その固形MOCAを120℃で加熱溶融させ、更に減圧脱泡して固形MOCA溶融液を得た。次に、プレポリマ3と固形MOCA溶融液とを、それらの質量比がプレポリマ3:固形MOCA溶融液=1:1となる割合で、混合槽中で十分に撹拌混合して混合液を得た。得られた混合液を、実施例1と同様に注型、硬化及び加工して、保持具を得た。
〔比較例2〕
活性水素化合物として固形MOCAを用い、その固形MOCAを120℃で加熱溶融させ、更に減圧脱泡して固形MOCA溶融液を得た。また、数平均分子量が約2000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール50質量部と、水2質量部と、触媒(東ソー株式会社製商品名「トヨキャットET」)1質量部と、シリコーン系界面活性剤(ダウコーニング社製商品名「SH 193」)5質量部とを撹拌混合して分散液を得た。次に、プレポリマ4と固形MOCA溶融液とを、それらの質量比がプレポリマ4:固形MOCA溶融液:分散液=100:10:5となる割合で、混合槽中で十分に撹拌混合して混合液を得た。得られた混合液を、実施例1と同様に注型、硬化及び加工して、保持具を得た。
〔比較例3〕
実施例1と同様の方法で枠部を有しない弾性樹脂発泡体による直径240mmの円状の平面形状を作製後、その保持面側に、直径240mm、厚さ0.28mmの円状の平面形状に、直径51.1mmの貫通孔を6箇所有するガラスエポキシ樹脂からなる枠材を接着した。枠材の接着にはホットメルトを使用し、加熱加圧処理により貼り合せし、ワーク保持部と枠部とが別々に形成された保持具を得た。
なお、図4に、実施例1及び2並びに比較例2の保持具のワーク保持部の断面SEM写真を示す。(実施例3、比較例1及び3は図示せず)
※1 一体型:ワーク保持部と枠部とが一体形成されているもの
※2 分離型:ワーク保持部と枠部とが別々に形成されているもの
(評価)
〔比較例1〕
圧縮変形量が3μm未満で、無発泡の弾性樹脂体による一体型の比較例1の保持具では、圧縮変形量が乏しく、研磨圧による沈み込みが過剰に抑制されるため、良好な研磨レートは得られなかった。また、圧縮変形量が乏しく、研磨時の衝撃を十分吸収できずにスクラッチが発生した。さらに、圧縮変形量が乏しく、ワーク保持部の表面に開孔が無いため、ワーク保持部に被研磨物が吸着せず、吸着補助を要した。
〔比較例2〕
圧縮変形量が15μm超で、平均気泡径が80μm超、最大気泡径が150μm超の弾性樹脂発泡体からなる一体型の比較例2では、良好な研磨レートを得られたものの、圧縮変形量が過剰であるため、研磨圧による沈みこみが起こると共に、局所的な研磨圧が加わり、被研磨物にスクラッチが発生した。スクラッチを抑制するため、適度な研磨圧に下げた場合は、研磨レートの低下が推察された。また、研磨後の保持具の耐薬品性の評価において、ワーク保持部の表面の劣化が認められた。これは、平均気泡径、最大気泡径共に大きく、さらに表面開孔率が高く、連続気泡を多数有するため、保持具の気泡内にスラリーが浸透したためと考えられる。
〔比較例3〕
圧縮変形量が3〜15μmの範囲内で、弾性樹脂発泡体からなる保持部と、ガラスエポキシ樹脂と、からなる分離型の比較例3の保持具では、良好な研磨レートを得られたものの、研磨時にガラスエポキシ樹脂の枠部からガラス繊維が脱落し、被研磨物にスクラッチが発生した。また、研磨後の保持具の耐薬品性の評価において、保持具のワーク保持部とガラエポ枠部との接着部分の剥離が認められた。
〔実施例1、実施例2〕
圧縮変形量が3〜15μmの範囲内で、弾性樹脂発泡体からなる一体型の実施例1、実施例2の夫々の保持具では、研磨レート、スクラッチ、ワーク吸着性の何れの評価においても良好な結果であった。また、研磨後の保持具の耐薬品の評価において、実施例2では、比較例2と同様、表面開孔率が高く、連続気泡を多数有するため、ワーク保持部の劣化がやや認められたものの、実施例1では、表面開孔率が低く、独泡率が高いため、ワーク保持部の劣化が認められなかった。
〔実施例3〕
圧縮変形量が3〜15μmの範囲内で、弾性樹脂発泡体からなる一体型の保持具であるため、研磨レート、スクラッチの評価において良好な結果であった。また、スキン層を有さず、表面が開孔されているため、ワーク吸着性にも良好な結果であった。さらに、表面開孔率が低く、独泡率が高いため、耐薬品性の評価においてワーク保持部の劣化が認められなかった。
本発明は、研磨加工分野の被研磨物の保持具として産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 被研磨物を保持する保持部と、該保持部により保持された前記被研磨物を囲む枠部とを有する保持具において、前記保持部と前記枠部は境目のない連続した一体の弾性樹脂発泡体からなり、
    初荷重300g/cm 2 、最終荷重1800g/cm 2 としたときの、前記保持部の圧縮変形量が、3.0〜15μmである、
    保持具。
  2. 前記弾性樹脂発泡体の気泡の平均径が、10〜80μmである、請求項1に記載の保持具。
  3. 前記弾性樹脂発泡体の気泡の最大径が、150μm以下である、請求項1又は2に記載の保持具。
  4. 前記弾性樹脂発泡体の独泡率が、50〜100%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持具。
  5. 前記弾性樹脂発泡体の表面開孔率が、5〜70面積%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持具。
  6. 前記弾性樹脂発泡体のショアD硬度が、30〜70°である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保持具。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の保持具の製造方法であって、
    弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成する発泡体形成工程と、
    得られた発泡体を研削して、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された前記弾性樹脂発泡体とを得る保持部枠部形成工程と、を有する、
    保持具の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の保持具の製造方法であって、
    凹状の型枠内で、弾性樹脂と、その弾性樹脂の間に存在する複数の孔と、を有する発泡体を形成させることにより、前記保持部と前記枠部とが一体的に形成された弾性樹脂発泡体を得る製品型枠成形工程を有する、
    保持具の製造方法。
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