JP2019072801A - 研磨用保持具 - Google Patents

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Abstract

【課題】強化繊維により枠材の強度を確保しつつ当該繊維の脱落を防止し、さらに研磨時における研磨スラリーの供給性ないし循環性をも良好となる研磨用保持具を提供する。【解決手段】被研磨物を保持するための保持パッドと、前記保持パッド上に配され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、前記枠材上に配されるコーティング層と、を備え、前記枠材が、強化繊維を含み、前記コーティング層の接触角が、85°以下である、研磨用保持具。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨用保持具に関する。
従来、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料やLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)の表面(加工面)では、平坦性が求められるため、機械研磨(ラッピング)や、研磨パッドを研磨液(研磨スラリー)と共に用いる化学機械研磨(CMP)が行われている。
CMPにおいては、被研磨物(以下、「ワーク」ともいう。)を保持するための保持具が使用されている。かかる保持具としては、樹脂シートからなる保持パッド上に、強化繊維を含む樹脂からなる枠部(枠材)が形成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構造を有する保持具においては、枠材が十分な強度を有するため、研磨時における枠材の変形等が防止され、結果として被研磨物の横ずれを抑制することができる。
特許第5421618号明細書
しかしながら、特許文献1に例示される従来の研磨用保持具を用いたCMPにおいては、研磨パッドとの接触により枠材が摩耗し、強化繊維が枠材から脱落する場合がある。この場合、脱落した強化繊維が研磨時に研磨パッドと被研磨物との間に入り込むことに起因して傷(研磨傷)が発生する恐れがある。このような問題に対して、枠材の表面において樹脂フィルムを形成し、強化繊維の脱落を防止することも考えられる。しかしながら、従来の研磨用保持具に使用される樹脂フィルムは、必ずしも研磨スラリーとの馴染みが良好とはいえず、研磨時における研磨スラリーの供給性ないし循環性を損なう場合がある。研磨スラリーの供給性ないし循環性が不十分であると、研磨屑が滞留する結果、やはり被研磨物に研磨傷が発生する恐れがある。このように、従来技術においては、強化繊維により枠材の強度を確保しつつ当該繊維の脱落を防止し、さらに研磨時における研磨スラリーの供給性ないし循環性をも良好となる研磨用保持具は得られていない。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、強化繊維により枠材の強度を確保しつつ当該繊維の脱落を防止し、さらに研磨時における研磨スラリーの供給性ないし循環性をも良好にする研磨用保持具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定のコーティング層を有する研磨用保持具とすることにより、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]
被研磨物を保持するための保持パッドと、
前記保持パッド上に配され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、
前記枠材上に配されるコーティング層と、
を備え、
前記枠材が、樹脂と強化繊維とを含み、
前記コーティング層の接触角が、85°以下である、研磨用保持具。
[2]
前記コーティング層の厚さが、20〜100μmである、[1]に記載の研磨用保持具。
[3]
前記コーティング層が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の研磨用保持具。
[4]
前記コーティング層における前記樹脂の含有量が、50質量%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の研磨用保持具。
本発明によれば、強化繊維により枠材の強度を確保しつつ当該繊維の脱落を防止し、さらに研磨時における研磨スラリーの供給性ないし循環性をも良好にする研磨用保持具を提供することができる。
(a)は、本実施形態の一態様に係る研磨用保持具を例示する平面図であり、(b)は、(a)におけるI−I断面を示す模式図である。 図1に例示する研磨用保持具を被研磨物の研磨の際に用いる方法を示す模式図である。 (a)は、比較例1に係る研磨用保持具の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)におけるI−I断面を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
〔研磨用保持具〕
本実施形態の研磨用保持具は、被研磨物を保持するための保持パッドと、前記保持パッド上に配され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、前記枠材上に配されるコーティング層と、を備え、前記枠材が、強化繊維を含み、前記コーティング層の接触角が、85°以下である。本実施形態の研磨用保持具は、このように構成されているため、強化繊維により枠材の強度を確保しつつ当該繊維の脱落を防止し、さらに研磨時における研磨スラリーの供給性ないし循環性をも良好なものとすることができる。
本実施形態に係る研磨用保持具の構成を図1に例示する。平面図である図1の(a)及びその平面図のI−I断面を示す断面図である(b)に示すように、研磨用保持具10は、略円形の保持パッド12と円環状の枠材14とコーティング層16とを積層して備えるものであり、バックパット12上の外縁部分に枠材14が設けられ、さらに枠材14上の外縁部分にコーティング層16が設けられた構成とすることができる。ただし、本実施形態に係る研磨用保持具は、このような構成に限定されるものではなく、後述するように種々の構成をとりうる。
(保持パッド)
本実施形態における保持パッドとしては、ワークを保持する(保持面を有する)ものである限り、その材質や形状については特に限定されない。保持パッドは、シート状であると好ましく、その場合、シートの表面が保持面となる。ただし、保持パッドの形状はシート状に限定されない。
保持パッドは、その保持面に、好ましくは適量の水を含ませて被研磨物を押し付けることで、保持面と被研磨物の表面との相互作用、保持面の表面に開孔がある場合はその開孔による吸着力、及び、水の表面張力により保持することができる。保持パッドの保持面は、被研磨物を保持しやすいように被研磨物の保持パッドと接触する面よりやや大きく設計されていてもよい。さらに、保持パッドは、複数の被研磨物を同時に保持できるよう構成されていてもよい。本実施形態において、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生を抑制する観点から、保持パッドは、弾性樹脂発泡体を含むことが好ましい。
本実施形態において、「弾性樹脂発泡体」とは、弾性樹脂と、その弾性樹脂内に存在する複数の気泡と、を有するものをいう。このような構造を有することにより、研磨時に被研磨物が研磨パッドから受ける衝撃を弾性樹脂発泡体が吸収することができる。そのため、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生が効果的に抑制される傾向にある。以下、弾性樹脂発泡体の構成についてより詳細に説明する。
(弾性樹脂)
弾性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、トランス−ポリイソプレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂が挙げられる。このなかでも、硬度、粘弾性特性の調整、良好な発泡性、耐摩耗性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、湿式凝固法により製造する場合は例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本実施形態の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、SMP((株)SMPテクノロジーズ社製商品名)、ディアプレックス(三菱重工業(株)社製商品名)、クリスボン(DIC(株)社製商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製商品名)、及びレザミン(大日本精化工業(株)社製商品名)が挙げられる。
上記ポリノルボルネン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、ノーソレックス(日本ゼオン(株)社製商品名)が挙げられる。
上記トランス−ポリイソプレン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、クラレTPI(クラレ(株)社製商品名)が挙げられる。
上記スチレン−ブタジエン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、特に限定されないが、例えば、アスマー(旭化成(株)社製商品名)が挙げられる。
上記弾性樹脂としては、入手及び加工の容易性、及び、本実施形態の目的を一層有効且つ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量は、弾性樹脂の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
一方、弾性樹脂をモールド成型法により製造してもよい。モールド成型法でポリウレタン樹脂を製造する場合は例えば、イソシアネート基含有化合物及び該イソシアネート基含有化合物の末端イソシアネート基と反応する活性水素基を有する活性水素化合物を混合した混合液が調製される。イソシアネート基含有化合物は、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成することができる。得られた混合液が型枠に注型され、型枠内でイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とが反応、硬化してブロック状のポリウレタン成型体が形成される。このポリウレタン成型体がシート状にスライスされてウレタンシートが形成される。また、ブロック状のウレタン成型体をスライスすることに代えて、型枠サイズを変更することで所望の厚さを有するウレタンシートを1枚ずつ成形することも可能である。
弾性樹脂発泡体は、弾性樹脂以外に、必要に応じてその他の添加材を1種又は2種以上含んでもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、発泡剤、触媒、界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、親水剤、疎水剤、染料及び顔料等が挙げられる。
(気泡)
本実施形態において、弾性樹脂発泡体に存在する気泡としては、特に限定されないが、例えば、複数の気泡が独立して存在する独立気泡、複数の気泡が連通孔でつながっている連続気泡が挙げられ、これらが混在していてもよい。これらのなかでも、弾性樹脂発泡体は保持パッドに要求されるクッション性及び密着性(保持性能)を確保し易いという観点から連続気泡を有することが好ましい。気泡の形状は特に限定されないが、例えば、球形状、略球形状、弾性樹脂発泡体の面方向に扁平になった形状(扁平形状)、涙型形状が挙げられる。このうち、保持パッドに要求されるクッション性及び密着性(保持性能)を確保しやすいという観点から涙型形状であることが好ましい。
弾性樹脂発泡体の密度(かさ密度)は、好ましくは0.16〜1.0g/cm3であり、より好ましくは0.30〜0.90g/cm3であり、さらに好ましくは0.35〜0.70g/cm3である。弾性樹脂発泡体の密度が0.16g/cm3以上であることにより、高い研磨圧で加工された場合においても沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、弾性樹脂発泡体の密度が1.0g/cm3以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。密度は、例えば、弾性樹脂発泡体に含まれる気泡の量を制御することにより、調整することができる。なお、密度はJIS−K−7222(2005)に準拠して測定することができる。
弾性樹脂発泡体は、その表面(ワークの保持面)に開孔を有してもよい。この開孔は、弾性樹脂発泡体中の気泡が表面に露出したものであり、弾性樹脂発泡体のスライス処理もしくはバフ処理により形成される。
(保持パッドの各種物性)
本実施形態において、保持パッドの硬度は、好ましくはショアA硬度10°以上ショアD硬度70°以下であり、より好ましくはショアA硬度10°以上ショアA硬度80°以下であり、さらに好ましくはショアA硬度10°以上ショアA硬度50°以下である。ショアA硬度が10°以上であることにより、高い研磨圧により研磨加工された際に保持パッドの沈み込みが抑制され、被研磨物の一層高度な平坦化が達成される傾向にある。また、ショアD硬度が70°以下であることにより、研磨時の衝撃に由来する研磨物表面の研磨傷の発生をより抑制できる傾向にある。保持パッドの硬度は、例えば、保持パッドとしての弾性樹脂発泡体に含まれる気泡の量を制御することにより、調整することができる。なお、ショアA硬度及びショアD硬度は、JIS−K−6253(2012)に準拠して測定することができる。
保持パッドの圧縮率は、0.10〜40%であることが好ましく、より好ましくは0.40〜25%であり、さらに好ましくは1.0〜10%である。保持パッドの圧縮率が0.10%以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する被研磨物表面の研磨傷の発生がより抑制される傾向にある。また、保持パッドの圧縮率が40%以下であることにより、研磨レートがより向上する傾向にある。圧縮率は下記の方法により測定することができる。なお、保持パッドが弾性樹脂発泡体を含むことは、例えば、上記圧縮率が0.10〜40%であることから確認することができる。
圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることができる。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を60秒間かけた後の厚さt1を測定する。圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t0−t1)/t0の式で算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2とする。
保持パッドの圧縮弾性率は、55〜100%であることが好ましく、より好ましくは60〜100%であり、さらに好ましくは65〜100%である。保持パッドの圧縮弾性率が55%以上であることにより、研磨時の衝撃に由来する被研磨物表面の研磨傷の発生がより抑制される傾向にある。圧縮弾性率は下記の方法により測定することができる。なお、保持パッドが弾性樹脂発泡体を含むことは、例えば、上記圧縮弾性率が55〜100%であることから確認することができる。
圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることができる。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を60秒間かけた後の厚さt1を測定する。厚さt1の状態から全ての荷重を除き、60秒間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定する。圧縮弾性率は、圧縮弾性率(%)=100×(t0’−t1)/(t0−t1)の式で算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2とする。
保持パッドの厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.10〜5.0mmであり、より好ましくは0.20〜2.5mmであり、さらに好ましくは0.30〜1.5mmである。保持パッドの厚さが0.10mm以上であることにより、圧縮変形量がより向上することにより被研磨物の保持性能(密着性)が向上し、また、研磨時に被研磨物への衝撃を吸収して破損等の欠陥が減少する傾向にある。また、保持パッドの厚さが5.0mm以下であることにより、圧縮変形量が高すぎることに起因した、平坦性の悪化や研磨レートの低下を抑制する傾向にある。特に、被研磨物の厚さが薄く、枠材の厚さを500μm以下とする場合はより高い研磨精度が要求されるため、保持パッドの厚さを1.5mm以下とすることで、平坦性と研磨レートの両立ができる傾向にある。なお、保持パッドの厚さは、保持パッドの定盤と接する面から保持パッドのワーク保持面までの距離を意味し、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。また、定盤と接する面に両面テープ等の接着層を有している場合は、公知の画像処理技術等を併用し、接着層の厚みを減算する。
(枠材)
本実施形態における枠材は、研磨加工中に被研磨物が横ずれを起こして、保持パッドのワーク保持面から脱落することを防止する(横ずれ範囲を規制する)ものである。そのため、枠材は、保持パッド上に配され、典型的には、保持パッドのワーク保持面の周囲にある面上に設けられる。また、枠材は、変形等を防止する観点から、樹脂と強化繊維とを含むもの(繊維強化樹脂)である。枠材の形状及び寸法は、被研磨物が研磨領域から飛び出さないようなものであれば特に限定されず、例えば、円形の被研磨物の場合に枠材は、その内径が被研磨物よりやや大きい円形状を有する、すなわち保持穴を有していてもよい。また、枠材は、研磨の際に要求される硬度や耐薬品性、精度の観点から、内部に気泡を有しない樹脂無発泡体でもよいし、枠材としての機能を損なわない範囲で発泡を含んでいてもよい。例えば、枠材表面の開孔径を測定したときの平均開孔径が10μm以下であれば耐久性、耐薬品性が向上する傾向にあり、平均開孔径が5μm以下であればより好ましく、平均開孔径が2μm以下であればさらに好ましい。開孔径の測定方法は公知の方法でよいが、例えば、下記のようにして測定される。レーザー顕微鏡(例えばKEYENCE社製商品名「VK−X105」)で200倍に拡大して観察し、その画像を得る。次いで、得られた画像を画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製商品名「WinRoof」)により二値化処理することで、開孔とそれ以外の部分とを区別する。そして、区別した各々の開孔の面積から円相当径、すなわち開孔が真円であると仮定して開孔径を算出する。そして、各々の開孔の開孔径を相加平均して平均開孔径(μm)とする。
また、枠材の厚さは、特に限定されず、枠材及び後述するコーティング層の厚さの合計が被研磨物(例えば図2に示す被研磨物W)の厚さ以下、あるいは被研磨物の厚さと同等となるように調整することができる。例えば、枠材の厚さ及びコーティング層が被研磨物の厚さと同等である場合には、研磨時において、コーティング層は、研磨パッドを押し付けるようにして研磨パッドと接することとなる。コーティング層で研磨パッドを押し付けることにより、被研磨物に接する研磨パッド面の平坦性が向上し、結果として研磨ムラ、特に端部ダレがより抑制される傾向にある。本実施形態において、枠材及びコーティング層に要求される精度及び強度を確保する観点から、枠材及びコーティング層の厚さの合計は、被研磨物の厚さに対し−50μmから+100μmの間になるように設定することが好ましく、−30μm〜+30μmの間に設定することがより好ましい。なお、枠材及びコーティング層の厚さの合計は、枠材の保持パッドと接する面から枠材の研磨パッドと接する面までの距離を意味し、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。
本実施形態における枠材としての主要成分は、塗工可能な性状の合成樹脂であれば組成や乾燥方法に限定されず、種々公知の樹脂を適用することができる。この合成樹脂としては以下に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、フッ素系樹脂等があり、これら樹脂の2種以上の共重合系や混合系であってもよい。なお、「主要成分」とは、枠材中に50質量%以上含まれる成分をいう。
枠材として形成される工程では、水や各種有機溶媒などの溶媒を併用し、かかる溶媒を蒸発させることによる乾燥固化でも枠材を形成することができるが、溶媒が蒸発することで体積収縮が生じ、設定通りの膜厚や形状が得られないことがある。したがって、特に一定の膜厚や形状を要求する場合は、無溶媒又は固化成分比の多い、一液又は二液以上の反応性樹脂配合物とすることが好ましい。
本実施形態における枠材は、ガラス繊維、天然繊維、合成繊維及び炭素繊維等の強化繊維を含む。強度をより高める観点から、枠材は、ガラス繊維含有エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
(コーティング層)
本実施形態におけるコーティング層は、枠材上に配されていることで、研磨パッドやワークとの接触による枠材の摩耗を防止でき、結果として強化繊維が枠材から脱落することを防止することができる。かかる観点から、コーティング層は、研磨パッドと接する枠材の表面の少なくとも一部を被覆するものであればよい。例えば、図1に示すように、少なくとも研磨パッドと接触する枠材の表面を被覆するものであってもよく、さらに研磨パッドと接触する面以外の枠材表面から強化繊維が脱落することを防止する観点から、ワークと接触する枠材の表面も被覆するものであってもよく、枠材の全体を被覆するものであってもよい。さらに、本実施形態におけるコーティング層は、接触角が85°以下である。ここでいう接触角とは、コーティング層の研磨パッドに接する側の表面を対象とし、JIS3257(1999)に準拠して、水を滴下して30秒後の水の接触角を測定して得られるものを意味する。より詳細には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。本実施形態におけるコーティング層は上記のような接触角を有するため、研磨スラリーとの馴染みが良く、研磨時の研磨スラリーの供給性ないし循環性が向上する。このように、本実施形態におけるコーティング層により、強化繊維の脱落が防止されると共に研磨時の研磨スラリーの供給性ないし循環性が向上するため研磨屑の滞留も防止でき、研磨傷の発生を好ましく抑制することができ、さらに研磨レートを向上させることができる。上記同様の観点から、上記接触角は85°以下であることが好ましく、75°以下であることがより好ましい。上記接触角は、コーティング層の形成材料として親水性のものを選択すること、バフ処理を行うこと等により上述した範囲に調整することができる。
本実施形態において、コーティング層の研磨パッドに接する側の表面を対象として測定される表面粗さRaは、研磨レートをより向上させる観点から、0.05〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。
本実施形態において、コーティング層の厚さ、特に研磨パッドと接触する部分での厚さ、は限定されないが、枠材の摩耗をより効果的に防止すると共に研磨レートをより向上させる観点から、20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは30〜80μmである。
本実施形態において、研磨時の研磨スラリーの供給性ないし循環性をより向上させる観点から、コーティング層は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含むことが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂等に比べると、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂は、耐酸性にも優れているということができ、かかる観点からもエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂はコーティング層の形成材料として好ましい材料といえる。同様の観点から、コーティング層は、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含むことがより好ましい。
本実施形態において、研磨時の研磨スラリーの供給性ないし循環性をより向上させる観点から、コーティング層中の樹脂含有量が、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
〔研磨用保持具の製造方法〕
本実施形態の研磨用保持具の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)としては、上述した構成を有する研磨用保持具が得られる限り特に限定されないが、例えば、保持パッドを得る工程と、当該保持パッド上に前記枠材を形成する形成工程と、当該枠材上にコーティング層を形成する工程と、を有するものとすることができる。例えば、保持パッドは次のようにして得ることができる。すなわち、本実施形態の製造方法においては、樹脂と溶媒とを含む樹脂溶液を調製する工程(樹脂溶液調製工程)と、樹脂溶液を成膜用基材の表面に塗布する工程(塗布工程)と、樹脂溶液中の樹脂を凝固再生して、前駆体シートを形成する工程(凝固再生工程)と、前駆体シートから溶媒を除去して樹脂シートを得る工程(溶媒除去工程)と、樹脂シートをバフ処理又はスライス処理により研削する工程(研削工程)とを有する、いわゆる湿式成膜法によって保持パッドを得ることができる。
〔樹脂溶液調製工程〕
上述のポリウレタン樹脂などのマトリックス樹脂と、そのマトリックス樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じて樹脂シートに含ませるその他の材料(例えば、顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤)とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を調製する。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。)及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。樹脂溶液について、B型回転粘度計を用いて25℃で測定した粘度が3〜50Pa・sの範囲であると好ましく、5〜20Pa・sの範囲であるとより好ましい。そのような粘度の数値範囲にある樹脂溶液を得る観点、並びに後述の凝固スピードを調整する観点から、例えば、マトリックス樹脂を、樹脂溶液の全体量に対して10〜30質量%の範囲、より好ましくは15〜25質量%の範囲で溶媒に溶解させてもよい。樹脂溶液の粘性は、用いるマトリックス樹脂の種類及び分子量にも依存するため、これらを総合的に考慮し、マトリックス樹脂の選定、濃度設定等を行うことが重要である。また、発泡を促進させる親水性添加剤及び凝固再生を安定化させる疎水性添加剤の種類及び添加量も、適宜選択及び調整することが重要である。
〔塗布工程〕
樹脂溶液を、好ましくは常温下で、ナイフコータ等の塗布装置を用いて帯状の成膜用基材に塗布して塗膜を形成する。このときに塗布する樹脂溶液の厚さは、最終的に得られる樹脂シートの厚さが所望の厚さになるように、適宜調整すればよい。成膜用基材の材質としては、例えば、PETフィルムなどの樹脂フィルム、布帛及び不織布が挙げられる。これらの中では、液を浸透し難いPETフィルムなどの樹脂フィルムが好ましい。
〔凝固再生工程〕
成膜用基材に塗布された樹脂溶液の塗膜を、マトリックス樹脂に対する貧溶媒(例えばポリウレタン樹脂の場合は水)を主成分とする凝固液中に連続的に案内する。凝固液には、マトリックス樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、マトリックス樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されないが、マトリックス樹脂がポリウレタン樹脂である場合、15〜65℃が好ましい。凝固液中では、まず、樹脂溶液の塗膜と凝固液との界面に皮膜(スキン層)が形成され、皮膜の直近のマトリックス樹脂中に無数の緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液に含まれる溶媒の凝固液中への拡散と、マトリックス樹脂中への貧溶媒の浸入との協調現象により、好ましくは連続気泡構造を有するマトリックス樹脂の再生が進行する。このとき、成膜用基材が液を浸透し難いもの(例えばPETフィルム)であると、凝固液がその基材に浸透しないため、樹脂溶液中の溶媒と貧溶媒との置換がスキン層付近より優先的に生じ、スキン層付近よりもその内側にある領域の方に、より大きな空孔が形成される傾向にある。こうして成膜用基材上に前駆体シートが形成される。
〔溶媒除去工程〕
形成された前駆体シート中に残存する溶媒を除去して樹脂シートを得る。溶媒の除去には、従来知られている洗浄液を用いることができる。また、溶媒を除去した後の樹脂シートを、必要に応じて乾燥してもよい。樹脂シートの乾燥には、例えば、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いることができるが、乾燥方法はこれに限定されない。シリンダ乾燥機を用いる場合、前駆体シートがシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。さらに、得られた樹脂シートをロール状に巻き取ってもよい。
〔研削工程〕
樹脂シートの好ましくはスキン層側の主面と、その反対側である裏面とのうちの少なくとも一方を、バフ処理で研削又はスライス処理で除去する。バフ処理やスライス処理により樹脂シートの厚さの均一化を図ることができるため、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の損傷を更に抑制すると共に被研磨物の平坦性を向上させることができる。また、スキン層側の主面は樹脂シートにおいて保持面となる面であり、バフ処理又はスライス処理により開気孔が形成されると、被研磨物の研磨均一性が向上するので好ましい。
上記工程は、弾性樹脂発泡体を形成するための従来知られている装置を用いて、連続的に行われてもよい。また、湿式凝固法による製造方法を例示したが、従来知られているモールド成型法によってポリウレタン樹脂発泡体を形成してもよい。
(枠材及びコーティング層の形成工程)
本実施形態における保持パッドに枠材を形成する工程は、保持パッドと枠材とが接合されるものであれば特に限定されない。また、枠材上にコーティング層を形成する工程としても、枠材とコーティング層が接合されるものであれば特に限定されない。これらの接合方法としては、例えば、所定厚さの感熱接着フィルムを介して接合することが挙げられ、かかる接合も種々公知の条件にて実施することができる。
〔積層工程〕
本実施形態の研磨用保持具の製造方法は、保持パッドの、枠材が形成された面とは反対の面に対して、基材を貼り合せる積層工程をさらに有していてもよい。このようにして得られる研磨用保持具と基材の複合体を保持具用シートともいう。積層方法としては、特に限定されないが、例えば、接着層を介して積層する方法が挙げられる。また、基材の、保持パッドが積層された面とは反対の面に対して、粘着層を介して離型層を積層する工程をさらに有していてもよい。基材としては、以下に限定されないが、例えば、湿式凝固法により得られるウレタンシート、モールド成型法により得られるウレタンシート、ポリエチレン等のスポンジフォーム、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のフィルム、不織布、織布等を使用することができる。また、基材を用いず、直接、保持パッドの枠材が形成された面と反対の面に粘着層を介して離型層を積層してもよい。
本実施形態の研磨用保持具の製造方法において、上述のようにして得られた保持具用シートを、そのまま研磨用保持具として用いてもよく、更に、所望の平面形状を有するように裁断したものを研磨用保持具として用いてもよい。また、研磨用保持具を用いて研磨加工を施す前に、その研磨用保持具に汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行ってもよい。また、枠材の厚みや形状を調整するために研削処理等の工程を有していてもよい。
〔研磨物の製造方法〕
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記研磨用保持具により保持した被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨し、研磨物を得る研磨工程を有する。研磨工程は、一次研磨(粗研磨)であってもよく、仕上げ研磨であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。
図2に、本実施形態の研磨用保持具を用いて被研磨物の研磨を行う場合の模式図を示す。まず、研磨機の被研磨物ホルダ1に研磨用保持具10を装着し、研磨用保持具10で被研磨物Wを保持させる。図2に示すように、研磨用保持具10は保持パッド12上の被研磨物Wを枠材14及びコーティング層16の内側で保持している。一方、研磨装置の研磨用定盤3上には研磨パッド2が設けられており、被研磨物Wと接した状態にある。この状態で、研磨液を流し研磨パッド2を研磨用定盤3と共に回転することにより、被研磨物Wを研磨することができる。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(シリコンカーバイト)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料やLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)が挙げられる。このなかでもSi基板(シリコンウェハ)の製造方法として好適に用いることができる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は上記した内容に限定されるものではない。例えば、本実施形態の研磨用保持具は、各部材の発泡の有無に限定はなく、保持パッドが樹脂無発泡体であり、かつ、枠材が樹脂発泡体であってもよく、保持パッドと枠材の両方が樹脂発泡体又は樹脂無発泡体であってもよい。また、本実施形態の研磨用保持具は、保持パッド及び枠材の硬さに限定されないが、保持パッドに比べて枠材の方が硬度が高い、及び/又は、圧縮率が低い方が、研磨ムラ、特に端部ダレの抑制と、保持パッドの保持性能(密着性)を両立できる傾向にある。このことは、研磨用保持具の枠材の部分のみと、保持パッドの部分のみとを、それぞれ少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように同じ枚数を重ねて測定用の試料を作製し、硬度及び圧縮率を比較することで確認できる。また、保持パッドの保持表面に撥水剤、親水剤等による公知の表面処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
保持パッドを次のようにして調製した。まず、マトリックス樹脂となる原料樹脂であるポリエステル系ポリウレタン樹脂の35%DMF溶液100質量部に対して、粘度調整用のDMF50質量部、水8質量部、顔料であるカーボンブラックを6.7質量%含むDMF分散液を44質量部、疎水性添加剤(ポリプロピレングリコール)2.5質量部、親水性添加剤(ラウリル硫酸ナトリウム)1.0質量部を添加して、混合撹拌し、樹脂溶液を調製した。次に、成膜用基材として、PETフィルムを用意し、そこに、上記樹脂溶液を、ナイフコータを用いて塗布し塗膜を得た。次いで、得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水からなる18℃の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生して前駆体シートを得た。前駆体シートを凝固浴から取り出し、PETフィルムを前駆体シートから剥離した後、前駆体シートを水からなる室温の洗浄液(脱溶剤浴)に浸漬し、溶媒であるDMFを除去して樹脂シートを得た。その後、樹脂シートを乾燥し保持パッドを得た。
次いで、ガラス繊維含有エポキシ樹脂板を用意し、その上面にコーティング層としてエポキシ系樹脂(ソマール社製ソマフォーム(商標登録)EP-0202EF)を接合させ、円環状に加工したものを保持パッドに貼り付け、実施例1に係る研磨用保持具をとした。
(実施例2)
コーティング層の形成材料として、エポキシ系樹脂の代わりにウレタン系樹脂(TOYO CHEM社製 TSU)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2に係る研磨用保持具を得た。
(実施例3)
実施例1の研磨用保持具において、コーティング層の表面をシートバフ機で表面をバフ処理し、実施例3に係る研磨用保持具を得た。
(比較例1)
コーティング層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1に係る研磨用保持具を得た。比較例1に係る研磨用保持具の断面模式図を図3に示す。図3からわかるように、比較例1に係る研磨用保持具は、保持パッド12上に枠材14が形成されているのみであり、コーティング層は有していなかった。
(比較例2)
比較例1の研磨用保持具において、枠材の表面をシートバフ機で実施例3と同じバフ処理量となるようにバフ処理し、比較例2に係る研磨用保持具を得た。
〔接触角〕
実施例及び比較例に係る研磨用保持具におけるコーティング層の研磨パッドに接する側の表面を対象とし、接触角を測定した。すなわち、測定装置として固液界面解析装置(協和界面科学社製、商品名「DropMaster500」)を用い、温度20℃、湿度60%の条件の下、注射針から水滴1滴(2μL)を滴下し、30秒後の接触角を測定した。
〔表面粗さ〕
実施例及び比較例に係る研磨用保持具におけるコーティング層の研磨パッドに接する側の表面を対象とし、表面粗さを評価した。すなわち、測定装置として表面粗さ測定機(株式会社東京精密製、サーフコム480B)を用い、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に基づき測定した。具体的には、測定速度0.6mm/secにて測定距離を4mmとし、保持パッド用のシートの表面5区間測定を行った。カットオフ値は0.8mmとした。
接触角及び表面粗さの測定結果を次の表1に示す。
〔研磨レート評価〕
実施例及び比較例に係る研磨用保持具を適用した研磨装置(図2参照)を用い、以下の条件にて研磨試験を行い、研磨レートを評価した。
(研磨条件)
研磨パッド:フジボウ愛媛(株)社製不織布パッドFPK550
回転数:(定盤)40rpm/(トップリング)41rpm
研磨圧:100g/cm2
揺動:20mm
研磨剤:フジミインコーポレーテッド社製 GLANZOX 1306
(原液:水=1:20)
被研磨物:12インチシリコンウエーハ(厚み780μm)
(研磨レート)
ダミー用の被研磨物6枚を1バッチ研磨加工後、続けて測定用の被研磨物6枚を1バッチ研磨加工し、研磨レートを測定した。研磨レートは、1時間あたりの研磨量を厚さ(nm)で表したものであり、研磨加工前後の被研磨物の研磨面について被研磨物6枚の各々17箇所の厚さ測定の結果から平均値を求め、比較例を1.0として、実施例ではその比を表した。なお、厚さ測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、商品名「ASET−F5x」)のDBSモードにて測定した。
(スクラッチ発生の有無)
上記研磨試験後の被研磨物6枚の表面を対象とし、ウェハ表面検査装置(KLAテンコール社製、商品名「Surfscan SP1DLS」)の高感度測定モードにて測定し、被研磨物表面におけるスクラッチの有無をカウントし、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:スクラッチが入った研磨物が無い場合
×:スクラッチが入った研磨物が1枚以上ある場合
研磨レート及びスクラッチ発生の有無の評価結果を次の表2に示す。
表2より、枠材にコーティング層を備えた接触角85°以下の実施例1および実施例2の研磨用保持具を用いて研磨したところ、コーティング層を設けていない比較例1に比べて研磨レートが向上し、被研磨物のスクラッチも確認できなかった。さらに、コーティング層をバフ処理した実施例3の研磨用保持具を用いた場合では、実施例1よりも接触角が低下し、研磨レートがさらに向上し、スクラッチも確認できなかった。一方、コーティング層を設けていない比較例1の枠材の表面をバフ処理した比較例2の研磨用保持具を用いた場合、研磨レートは比較例1に比べて向上したが、スクラッチが大量に発生した。これは、バフ処理によって枠材からガラス繊維が脱落したことによるものと考えられる。
本発明は、研磨加工分野の被研磨物の保持具として産業上の利用可能性を有する。
1…被研磨物ホルダ、2…研磨パッド、3…研磨用定盤、10…研磨用保持具、12…保持パッド、14…枠材、16…コーティング層、W…被研磨物。

Claims (4)

  1. 被研磨物を保持するための保持パッドと、
    前記保持パッド上に配され、かつ、前記被研磨物を囲むための枠材と、
    前記枠材上に配されるコーティング層と、
    を備え、
    前記枠材が、樹脂と強化繊維とを含み、
    前記コーティング層の接触角が、85°以下である、研磨用保持具。
  2. 前記コーティング層の厚さが、20〜100μmである、請求項1に記載の研磨用保持具。
  3. 前記コーティング層が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、請求項1又は2に記載の研磨用保持具。
  4. 前記コーティング層における前記樹脂の含有量が、50質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨用保持具。
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