JP6608239B2 - 研磨パッド - Google Patents

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Description

本発明は、研磨パッドに関する。
従来、半導体ウエハ、半導体デバイス用シリコンウエハ、各種記録用ディスクの基板及び液晶ディスプレイ用ガラス基板等の被研磨物、特にガラス基板の精密平面研磨を行う場合には、研磨パッドを用いて研磨加工する。より良好な研磨性能を得るために、研磨パッドに対して様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1には、寸法安定性を良好に確保することにより安定的な研磨特性を発現しつつ、吸水率を高めることにより、研磨速度を向上し、研磨後の被研磨材でのディフェクト発生を低減した研磨パッドを提供することを目的として、ジイソシアネート、高分子量ポリオールa、及び低分子量ポリオールを含むプレポリマー原料組成物を反応して得られるイソシアネート末端プレポリマーA、3つ以上のジイソシアネートが付加することにより多量化したイソシアネート変成体、並びに鎖延長剤を含むポリウレタン原料組成物(原料成分である全ポリオール成分の平均水酸基価が500〜590(mgKOH/g)、全ポリオール成分中のエチレンオキサイド単位の含有率が70〜100重量%)のポリウレタン発泡体からなる研磨層を使用することが開示されている。また、特許文献2には、研磨面Pに水滴を滴下して0.5秒後の接触角をCA1とし、水滴の滴下から120.5秒後の接触角をCA2としたときに、{(CA1−CA2)/CA1}×100で表される接触角変化率が10%未満に調整されていることで、スラリの浸潤による劣化を抑制した研磨パッドが開示されている。
特開2009−220251号公報 特開2014−079878号公報
特許文献1に記載されているような研磨パッドを用いた場合、研磨面の吸水性が高いことに起因して、研磨レートを向上させることができる。しかしながら、このような研磨パッドを用いると、研磨パッドと被研磨物との吸着力が増大し、その吸着に起因して、様々な問題が発生してしまう。その問題として、具体的には、スラリの流動性低下による研磨品質の低下、被研磨物の飛び出し、研磨機への負荷の増大が挙げられる。一方、特許文献2に記載されているような研磨パッドを用いた場合、研磨面の吸水性が低くなることに起因して、一定程度の被研磨物との吸着の抑制を図ることができるが、100%モジュラスが10MPa以下であるような軟質な樹脂からなり、研磨面を有する樹脂シートを備える研磨パッドとしたときは、当該樹脂自体が有する粘着性に起因して、被研磨物との吸着の抑制を十分に図ることができない。
そこで、本発明は、高い研磨レートを維持しつつ、かつ、研磨パッドと被研磨物との吸着を抑制した、研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定値以下の100%モジュラスであるポリウレタン樹脂からなり、研磨面を有するポリウレタン樹脂シートを備える研磨パッドであって、該ポリウレタン樹脂シートが、所定値以上の平均開口径及び所定値以上の開口率を有し、撥水剤を含有し、当該研磨面と水との接触角が所定値以上である研磨パッドを用いることで、高い研磨レートを維持しつつ、かつ、研磨パッドと被研磨物との吸着を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
被研磨物を研磨するための研磨面を有し、100%モジュラスが10MPa以下であるポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂シートを備え、
前記ポリウレタン樹脂シートの平均開口径が、40μm以上であり、かつ、前記ポリウレタン樹脂シートの開口率が、15%以上であり、
前記ポリウレタン樹脂シートは、撥水剤を含有し、
前記研磨面と水との接触角が、100度以上である、研磨パッド。
[2]
前記撥水剤は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤を含有する、[1]に記載の研磨パッド。
[3]
前記ポリウレタン樹脂シートは、カーボンブラックをさらに含む、[1]又は[2]に記載の研磨パッド。
[4]
前記ポリウレタン樹脂シートのA硬度が、20度以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の研磨パッド。
[5]
前記被研磨物は、ガラス基板である、[1]〜[4]のいずれかに記載の研磨パッド。
[6]
前記ポリウレタン樹脂シートにおいて、繊維の含有量が、該ポリウレタン樹脂シートの総量に対して、10000質量ppm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨パッド。
本発明に係る研磨パッドの一例を模式的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔研磨パッド〕
本実施形態の研磨パッドは、被研磨物を研磨するための研磨面を有し、100%モジュラスが10MPa以下であるであるポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂シートを備える。当該ポリウレタン樹脂シートは、平均開口径が40μm以上であり、かつ、開口径が15%以上であり、撥水剤を含有する。また、上記研磨面と水との接触角は、100度以上である。
図1は、本実施形態に係る研磨パッドの一例を示す模式断面図である。研磨パッド110は、ポリウレタン樹脂シート(以下、単に「樹脂シート」という。)112と基材114とをこの順に積層して含む。樹脂シート112と基材114は、直接又は間接的に、互いに接合されており、この例では、樹脂シート112と基材114とは接着層116を介して接合されている。
<樹脂シート>
本実施形態の樹脂シート112の厚さは、特に限定されないが、0.2mm以上5.0mm以下であることが好ましく、0.3mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。樹脂シート112の厚さは、JIS K 6550(1994)に記載された測定方法に準拠して測定される。つまり、樹脂シート112の厚み方向に初荷重として1cm2当たり100gの荷重をかけた(負荷した)ときの厚さである。
本実施形態の樹脂シート112の密度(かさ密度)は、特に限定されないが、25℃において0.15g/cm2以上0.35g/cm2以下であると好ましい。この密度が0.15g/cm2以上であることにより、樹脂シート112の永久歪みが生じ難くなり、また、0.35g/cm2以下であることにより、樹脂シート112の全体に亘って被研磨物をより均一に研磨しやすくなる。
本実施形態の樹脂シート112の圧縮率は、特に限定されないが、10%以上70%以下であると好ましく、20%以上60%以下であるとより好ましい。圧縮率が上記範囲内にあることにより、研磨パッド110が、研磨加工時に被研磨物上に存在する研磨屑等を、適度に拭き取って除去することができる傾向にある。したがって、特に研磨屑等の凝集物に起因する微小欠陥を抑制することができる傾向にある。圧縮率は、例えば、樹脂シート112における、研磨面Pに通じた開孔の大きさや数を調整することにより制御することができる。圧縮率は、下記の方法に準じて測定される。
本実施形態の樹脂シート112の圧縮弾性率は、特に限定されないが、50%以上100%以下であると好ましく、80%以上100%以下であるとより好ましい。圧縮弾性率が上記範囲内にあることにより、被研磨物の微小欠陥をより低減することができる傾向にある。圧縮弾性率は、例えば、樹脂シート112に用いる樹脂の種類や組成を調整することにより、制御することができる。圧縮弾性率は、下記の方法に準じて測定される。
樹脂シート112の圧縮率及び圧縮弾性率は、JIS−L1021−6に準拠して、ショッパー型厚み測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて求める。具体的には、室温において、無荷重の状態から初荷重を30秒間かけた後の厚みt0を測定し、次に厚みt0の状態から最終圧力をかけて、そのまま1分間放置後の厚みt1を測定する。更に厚みt1の状態から全ての荷重を除き、1分間放置後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚みt0’を測定する。これらから、圧縮率及び圧縮弾性率を下記式:
圧縮率(%)=(t0−t1)/t0×100
圧縮弾性率(%)=(t0’−t1)/(t0−t1)×100
により算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2
する。
本実施形態の樹脂シート112の研磨層を構成するポリウレタン樹脂の100%モジュラスは、10MPa以下であり、3.0MPa以上10MPa以下であると好ましく、4.0MPa以上8.0MPa以下であるとより好ましい。100%モジュラスが10MPa以下であるポリウレタン樹脂を用いることにより、被研磨物にスクラッチが発生することを抑制し、高精度の研磨を行うことができる。また、100%モジュラスが3.0MPa以上であるポリウレタン樹脂を用いることにより、被研磨物との吸着をより抑制することができる傾向にある。100%モジュラスは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%(元の長さの2倍の長さまで)伸ばしたときにかかる荷重を単位面積で除した値である。この値が大きくなるほど、硬い樹脂であることを意味する。
本実施形態の樹脂シート112のA硬度は、特に限定されないが、5.0度以上20度以下であると好ましく、7.0度以上10度以下であるとより好ましい。A硬度が5.0度以上であることにより、研磨レートをより高めることができると共に、研磨加工後の被研磨物における被研磨面のグローバル平坦性をより向上することができる傾向にある。また、A硬度が20度以下であることにより、被研磨物の微小欠陥をより低減することができる傾向にある。硬さは、25℃におけるものであり、日本工業規格(JIS K 6253)に準拠して測定される。より詳しくは、寸法が30mm×30mmの試料について、JIS K 7311に従って、ショアA デュロメータを用いて測定される。
本実施形態の樹脂シート112における、研磨面Pに通じた開孔の平均開孔径は、40μm以上であり、40μm以上70μm以下であると好ましく、50μm以上65μm以下であるとより好ましく、55μm以上60μm以下であるとさらに好ましい。平均開口径が40μm以上であることにより、研磨剤(砥粒)の捕集能力を高めることに起因して、研磨レートを向上させることができ、研磨面と被研磨物との吸着を抑制できる。また、開孔の開孔率は、15%以上であり、15%以上30%以下であると好ましく、20%以上30%以下であるとより好ましい。開口率が15%以上であることにより、研磨剤(砥粒)の捕集能力を高めることに起因して、研磨レートを向上させることができ、研磨面と被研磨面との吸着を抑制できる。研磨層110の平均開孔径及び開孔率は、下記のようにして測定される。すなわち、まず、樹脂シート112の研磨面Pの任意に選択した1.0mm×1.4mmの矩形領域を、レーザー顕微鏡(例えばKEYENCE社製商品名「VK−X105」)で200倍に拡大して観察し、その画像を得る。次いで、得られた画像を画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製商品名「WinRoof」)により二値化処理することで、開孔とそれ以外の部分とを区別する。そして、区別した各々の開孔の面積から円相当径、すなわち開孔が真円であると仮定して開孔径を算出する。そして、各々の開孔の開孔径を相加平均して平均開孔径(μm)とする。また、上記の開孔とそれ以外の部分との合計面積に対する上記開孔の面積を、開孔率(%)とする。
樹脂シート112は、樹脂等のマトリックスを構成する材料(以下、「マトリックス材料」という。)中に複数の気泡(図示しない。)を有するものであり、所謂湿式成膜法により形成されたものであっても、乾式成型法により形成されたものであってもよいが、本発明の目的をより有効かつ確実に達成する観点から、好ましくは湿式成膜法により形成されたものである。樹脂シート112が湿式成膜法により形成されたものである場合、研磨面P側に図示しない緻密な微多孔が形成されたスキン層を有していてもよい。スキン層の表面は微細な平坦性を有している。一方、スキン層のより内側(樹脂シート112の内部)には、スキン層の微多孔よりも大きな孔径で樹脂シート112の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面三角状の空孔(連続気泡;図示しない。)が形成されていてもよい。その空孔は、研磨面P側の大きさが、研磨面Pと反対の面側よりも小さく形成されていてもよい。樹脂シート112には、スキン層の微多孔よりも大きく空孔よりも小さいサイズの孔(図示しない。)が形成されていてもよい。スキン層の微多孔、空孔及び小さいサイズの孔は互いに連通孔で網目状につながっていてもよい。
研磨面Pの接触角は、研磨面Pにおける水の接触角であり、100度以上であり、100度以上150度以下であることが好ましく、100度以上140度以下であることがより好ましく、110度以上140度以下であることがさらに好ましく、120度以上130度以下がよりさらに好ましい。また、研磨面Pの撥水性をより正確に評価するために、滴下後120秒後に接触角を測定する。接触角が100度以上であることにより、被研磨物との吸着が抑制される。この要因は、接触角が100℃以上であることにより、被研磨物との親和性が低下することに起因するものと推察される(ただし、要因はこれに限定されない)。接触角がこのような範囲にある研磨面Pを得るためには、例えば、後述する撥水剤の種類及び含有量を調整することや樹脂シート112を構成するマトリックス材料の種類及び量を調整すればよい。接触角は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
樹脂シート112を構成するマトリックス材料は、ポリウレタン樹脂の100%モジュラスが所定の範囲を満たしており、かつ、そのポリウレタン樹脂を最も多く含む組成であれば特に限定されず、例えば、樹脂シート112は、そのマトリックス材料の全体量に対して、ポリウレタン樹脂を80質量%以上100質量%以下含むものであってもよい。樹脂シート112は、その全体量(100質量%)に対して、ポリウレタン樹脂を好ましくは85質量%以上100質量%以下含み、より好ましくは90質量%以上100質量%以下含み、さらに好ましくは90質量%以上95質量%以下含む。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、クリスボン(DIC(株)社製、商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製、商品名)、レザミン(大日本精化工業(株)社製、商品名)が挙げられる。ポリウレタン樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂シート112は、ポリウレタン樹脂以外に、ポリサルホン樹脂及び/又はポリイミド樹脂などの他の樹脂を含んでもよい。ポリサルホン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、ユーデル(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)社製、商品名)が挙げられる。ポリイミド樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、オーラム(三井化学(株)社製、商品名)が挙げられる。
樹脂シート112は、マトリックス材料以外に撥水剤を含有する。撥水剤とは、ポリウレタン樹脂シートに含有させることにより、ポリウレタン樹脂シートの表面が有する撥水性を向上させる効果を有するものをいう。ここで、撥水性は、例えば研磨面と水との接触角を指標とすることができる。ポリウレタン樹脂シートが撥水剤を含有することにより、研磨パッドは、高い研磨レートを維持しつつ、かつ、被研磨物との吸着を抑制できる。この要因は、次のように推察される(ただし、要因はこれに限定されない。)。従来の研磨パッドは、研磨レートを向上させる観点から、樹脂シートは撥水剤を含有せず、含有していたとしても、研磨層内部にスラリが過度に浸透することを調整することを目的とし、その添加量も微量であった。これは、研磨面と水との接触角が100度以上となる程度に撥水剤を含有させると、研磨パッドの研磨面の親水性が低くなることに起因して、研磨剤(砥粒)の捕集能力が低くなり、研磨レートを向上させることが難しいと考えられていたからである。また、従来の100%モジュラスが10MPa以下である樹脂からなるポリウレタン樹脂シートを備える研磨パッドは、研磨面が軟質であることに起因して、研磨面が被研磨物と吸着してしまう。一方、本実施形態の研磨パッド110は、ポリウレタン樹脂シートを構成するポリウレタン樹脂の100%モジュラスが10MPa以下であっても、ポリウレタン樹脂シートが撥水剤を含有することにより、高い研磨レートの維持と、被研磨物との吸着及び粘着の抑制とが両立している。このうち、被研磨物との吸着抑制は、撥水剤を含有することにより研磨面が撥水性を有してポリウレタン樹脂シートが吸水し難くなることにより、研磨面上に水が浮いた状態となり、その水を弾くハイドロプレーニング現象に類した現象が生じると同時に、被研磨物との粘着を抑制するためと考えられる。一方、撥水剤を含有せず、樹脂自体の撥水性を高くしても、樹脂の100%モジュラスが10MPa以下と軟質な樹脂を研磨層とすると、軟質な樹脂はある程度の粘着性を有していることに起因して、研磨面と被研磨物との吸着を充分に抑制できない。また、後述の研磨パッド110の製造方法において、凝固再生工程を経て樹脂シート112を作製する場合であって、凝固再生工程よりも前の段階で樹脂溶液に撥水剤を含む場合は、凝固ムラが生じ難くなり、結果として樹脂シート112の成膜ムラをより抑制することができる。なお、撥水剤を含有していることは、元素分析等の公知の分析方法を用いることにより、確認することができる。
また、撥水剤は、樹脂シート中に均一に存在することが好ましい。樹脂シート中に均一に存在していることは、例えば、樹脂シートを厚み方向に直交した方向に任意に切断して現れる断面にも撥水剤が存在することで確認できる。撥水剤が樹脂シート中に均一に存在することにより、高い研磨レートを維持と被研磨物との吸着の抑制とを、研磨後においても持続することができる傾向にある。
撥水剤としては、例えば、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤及び炭化水素系撥水剤が挙げられる。これらの中でも、耐薬品性、ポリウレタン樹脂との撹拌均一性等の観点から、フッ素系撥水剤が好ましい。撥水剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フッ素系撥水剤としては、研磨面の粘着性を低下させることで被研磨物との吸着を抑制できる傾向にあることから、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤(化合物)が好ましく、下記式(1)で表されるフッ素テロマーがより好ましい。これは、C−F結合間の結合エネルギーが116kcal/molであり、特に高い安定性を有しており、これが他の分子との結合(粘着)を妨げることに因るもの推察される(ただし、要因はこれに限定されない。)
Rf−R−X (1)
ここで、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、その炭素数は3〜8であり、好ましくは4〜8であり、より好ましくは6〜8であり、さらに好ましくは6である。また、Rは、アルキレン基を表し、その炭素数は2〜6であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2である。Xは、官能基を表し、その官能基として、例えば、水酸基、CH2=CHC(=O)CO−、H(OCH2CH2xO−、YSO3−〔Yは、水素原子又はNH4を表す。〕が挙げられ、好ましくは水酸基である。
また、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤として、樹脂をパーフルオロアルキル基で変性したフッ素系撥水剤も挙げられる。樹脂としては、樹脂シートに対する分散性及び経時安定性を向上させる観点から、研磨パッドの樹脂シートを構成し得る樹脂、例えばポリウレタン樹脂が挙げられ、変性方法としては、例えば、樹脂の末端及び/又は側鎖にパーフルオロアルキル基を導入する方法が挙げられる。パーフルオロアルキル基を有する化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記フッ素テロマーの中でも、本発明の目的をより有効かつ確実に達成する観点から、Rfの炭素数が6であるものが好ましく、さらにRの炭素数が2であるものが好ましい。また、樹脂シートに対する分散性及び経時安定性を考慮すると、樹脂をパーフルオロアルキル基で変性したフッ素系撥水剤として、フッ素テロマーをその樹脂に導入したフッ素系撥水剤、例えば、式(1)のうちのRf−R−で表される基を有する樹脂が好ましく、式(1)のうちのRf−R−で表される基を有するポリウレタン樹脂がより好ましい。そのような樹脂としては、例えば、国際公開第2012/172936号に記載のポリウレタン樹脂が挙げられる。
上記フッ素テロマーは常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、クリスボンアシスター SDシリーズ(DIC株式会社製商品名)、アサヒガードEシリーズ(AGCセイミケミカル株式会社製商品名)、NKガードSシリーズ(日華化学株式会社製商品名)、ユニダインマルチシリーズ(ダイキン工業株式会社製商品名)などが挙げられる。フッ素テロマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂シート112における撥水剤の含有量は、樹脂シート112を構成する全固形分(100質量%)に対して、0.50質量%以上2.0質量%以下であると好ましく、0.70質量%以上1.8質量%以下であるとより好ましい。撥水剤の含有量が全固形分(100質量%)に対して0.50質量%以上であることにより、被研磨物との吸着をより抑制できる傾向にある。また、撥水剤の含有量が全固形分(100質量%)に対して2.0質量%以下であることにより、研磨レートがより向上する傾向にある。
また、撥水剤としてフッ素テロマーのようなフッ素系撥水剤を用い、そのフッ素系撥水剤が炭素数6のRfを有するフッ素系撥水剤を含む場合、樹脂シート112に含まれるフッ素系撥水剤の60モル%以上100モル%以下が、炭素数6のRfを有するフッ素系撥水剤であると好ましい。このことは、炭素数が6を超えるRfを有するフッ素テロマーのようなフッ素原子を多く含む化合物や、炭素数が6未満のRfを有するフッ素テロマーのようなフッ素原子を少なく含む化合物を制限することになる。これにより、フッ素原子を多く含む化合物の含有量を低減して吸水量の低下及び吸着不良をより有効に抑制することができ、また、フッ素原子を少なく含む化合物の含有量を低減して適度な撥水性をより有効に確保することができる。
樹脂シート112は、カーボンブラックをさらに含むことが、研磨レート及び研磨精度をより向上させる観点から好ましい。カーボンブラックを含むことにより、研磨レートが向上する要因は、樹脂シートがカーボンブラックを含むことにより、樹脂シートが均一な発泡形状を形成することできることに起因して、研磨剤(砥粒)の捕集能力がより向上するものと推察される(ただし、要因はこれに限定されない。)。加えて、カーボンブラックは、ポリウレタン樹脂に対して発泡形成を安定化させる作用を有するため、研磨層全体に均一な発泡形成ができる傾向にあり、研磨精度がより向上されるものと推察される。カーボンブラックを含ませる場合には、樹脂溶液を構成する全固形分(100質量%)に対して1.0質量%以上30質量%以下含むことが好ましく、5.0質量%以上25質量%以下含むことがより好ましく、10質量%以上25質量%以下含むことがさらに好ましい。
樹脂シート112は、樹脂、撥水剤、カーボンブラック以外に、本発明の課題解決を阻害しない範囲で、研磨パッドの樹脂シートに通常用いられる材料を含んでもよい。さらには、樹脂シート112には、樹脂シート112の製造過程において用いられた溶媒等の各種の材料が、本発明の課題解決を阻害しない範囲で残存していてもよい。
樹脂シート112において、繊維の含有量が、樹脂シート112の総量に対して、10000質量ppm以下であると好ましく、1000質量ppm以下であるとより好ましい。繊維の含有量が10000質量ppm以下であることにより、樹脂シート112からの繊維の脱落により被研磨物にスクラッチを発生させることを抑制できる傾向にある。繊維の含有量は、公知の方法で測定できる。
樹脂シート112の研磨面Pには微細気孔が存在していてもよい。微細気孔は、例えば、樹脂シート112の成膜時に、研磨面(スキン層)に微細気孔を形成させる添加剤を添加することにより形成することができる。
研磨パッド110に備えられる基材114は、樹脂シート112を支持するためのものであり、特に限定されず、従来の研磨パッドに基材として含まれるものであってもよく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
また、接着層116は、従来知られている研磨パッドに用いられている接着剤又は粘着剤を含むものであってもよい。接着層116の材料としては、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の各種熱可塑性接着剤が挙げられる。
なお、研磨パッド110における、基材114及び接着層116は、それらを備える両面テープ由来のものであってもよい。その両面テープは、基材114の両面に接着剤又は粘着剤を含む接着層を有し、一方の接着層が上記接着層116に相当する。他方の接着層は、研磨機の保持用定盤に研磨パッド110を貼り合わせて装着するためのものである。両面テープは、従来の研磨パッドに含まれるものであってもよく、基材114とは反対側に図示しない剥離紙を有していてもよい。
〔研磨パッドの製造方法〕
次に、本実施形態の研磨パッドの製造方法の一例について説明する。ここでは、樹脂シート112を湿式成膜法で作製する場合を説明するが、樹脂シート112の作製方法は、これに限定されない。この製造方法では、樹脂シート112を準備する工程と、樹脂シート112に基材114を接合して研磨パッド110を得る工程とを有する。
樹脂シート112を準備する工程は、更に、樹脂と溶媒と撥水剤とを含む樹脂溶液を調製する工程(樹脂溶液調製工程)と、樹脂溶液を成膜用基材の表面に塗布する工程(塗布工程)と、樹脂溶液中の樹脂を凝固再生して、前駆体シートを形成する工程(凝固再生工程)と、前駆体シートから溶媒を除去して樹脂シート112を得る工程(溶媒除去工程)と、樹脂シート112をバフ処理又はスライス処理により研削及び/又は一部除去する工程(研削・除去工程)とを有するものである。以下、各工程について説明する。
まず、樹脂溶液調製工程では、上述のポリウレタン樹脂等の樹脂と、その樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、樹脂シート112に含ませる撥水剤及びその他の材料(例えば、カーボンブラック、その他の顔料、親水性活性剤及び疎水性活性剤)とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を調製する。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。)及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。樹脂溶液の全体量に対する樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば10質量%以上50質量%以下の範囲であってもよく、15質量%以上35質量%以下の範囲であってもよい。
次に、塗布工程では、樹脂溶液を、好ましくは常温下で、ナイフコータ等の塗布装置を用いて帯状の成膜用基材の表面に塗布して塗膜を形成する。このときに塗布する樹脂溶液の厚さは、最終的に得られる樹脂シート112の厚さが所望の厚さになるように、適宜調整すればよい。成膜用基材の材質としては、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルム、布帛及び不織布が挙げられる。これらの中では、液を浸透し難いPETフィルム等の樹脂フィルムが好ましい。
次いで、凝固再生工程では、成膜用基材に塗布された樹脂溶液の塗膜を、樹脂に対する貧溶媒(例えばポリウレタン樹脂の場合は水)を主成分とする凝固液中に連続的に案内する。凝固液には、樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されず、例えば、15℃以上65℃以下であってもよい。凝固液中では、まず、樹脂溶液の塗膜と凝固液との界面に皮膜(スキン層)が形成され、皮膜の直近の樹脂中に無数の緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液に含まれる溶媒の凝固液中への拡散と、樹脂中への貧溶媒の浸入との協調現象により、好ましくは連続気泡構造を有する樹脂の再生が進行する。このとき、成膜用基材が液を浸透し難いもの(例えばPETフィルム)であると、凝固液がその基材に浸透しないため、樹脂溶液中の溶媒と貧溶媒との置換がスキン層付近で優先的に生じ、スキン層付近よりもその内側にある領域の方に、より大きな空孔が形成される傾向にある。こうして成膜用基材上に前駆体シートが形成される。
次に、溶媒除去工程では、形成された前駆体シート中に残存する溶媒を除去して樹脂シート112を得る。溶媒の除去には、従来知られている洗浄液を用いることができる。また、溶媒を除去した後の樹脂シート112を、必要に応じて乾燥してもよい。樹脂シート112の乾燥には、例えば、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いることができるが、乾燥方法はこれに限定されない。シリンダ乾燥機を用いる場合、前駆体シートがシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。さらに、得られた樹脂シート112をロール状に巻き取ってもよい。
次いで、研削・除去工程では、樹脂シート112の好ましくはスキン層側の主面と、その反対側である裏面とのうちの少なくとも一方を、バフ処理又はスライス処理で研削及び/又は一部除去する。バフ処理やスライス処理により樹脂シート112の厚さの均一化を図ることができるため、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の損傷を更に抑制すると共に被研磨物の平坦性を向上させることができる。また、スキン層側の主面は樹脂シート112において研磨面Pとなる面であるため、裏面を研削処理して被研磨物の研磨均一性を向上させることが好ましい。
次に、樹脂シート112に基材114を接合して研磨パッド110を得る。この工程では、例えば基材114及び接着層116を有する両面テープを用いて、樹脂シート112の研磨面Pとは反対側の面上に接着層116を介して基材114を接合する。さらに、その基材114の接着層116とは反対側に、両面テープの他方の接着層と剥離紙とが備えられてもよい。こうして研磨パッド110が得られる。
次に、本実施形態の研磨パッド110を用いた研磨加工の方法について説明する。研磨加工における被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体、半導体デバイス用シリコンウエハ、ガラス基板、各種記録用ディスクの基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板の材料が挙げられる。これらの中では、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、被研磨物がガラス基板であると、研磨レートをより向上させる観点から好ましい。
研磨加工においては、まず、研磨機の被研磨物ホルダに保持パッドを装着し、保持パッドで被研磨物を保持する。被研磨物ホルダに保持パッドを装着するには、必要に応じて両面テープの剥離紙を取り除き、露出した接着層で保持面が下方(又は上方)に向くように被研磨物ホルダに接着固定する。あるいは、保持パッドが両面テープを備えていない場合は、別に用意した接着剤又は粘着剤で保持パッドを被研磨物ホルダに接着固定する。次に、樹脂シートの保持面に適量の水を含ませて被研磨物を押し付けることで、被研磨物が水の表面張力及び樹脂シートの粘着性により保持パッドを介して被研磨物ホルダに保持される。このとき、被研磨物の被研磨面(加工面)が下方(又は上方)に向いている。一方、被研磨物ホルダの下方(又は上方)で被研磨物ホルダと対向するように配置された研磨用定盤には、表面に研磨パッド110を研磨面Pが上方(又は下方)に向くように装着する。
次に、被研磨物の被研磨面が研磨パッド110の研磨面Pに接触するように、被研磨物ホルダを研磨用定盤の方へ移動させ被研磨物を搬送する。そして、被研磨物と研磨パッドとの間に、砥粒(研磨粒子;例えば、SiO2、CeO2)及び過酸化水素に代表される酸化剤等の化学成分を含む研磨スラリを循環供給する。それと共に、被研磨物ホルダで被研磨物を研磨パッド110側に押圧しながら、被研磨物ホルダと研磨用定盤とを回転させることで、被研磨物の加工面が研磨パッドでCMPにより研磨加工される。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。例えば、上記本実施形態では、樹脂シート112と基材114との接合に接着層116を用いているが、それらの接合は接着層116を用いることに限定されない。さらには、本発明の研磨パッドは、基材を備えていなくてもよいが、研磨パッドの取扱い性の観点から、基材を備えることが好ましい。また、研磨パッドの製造方法において、研削・除去工程を省略してもよい。
さらに、研磨パッドの製造方法において、樹脂溶液に撥水剤を添加することに代えて、又はそれに加えて、得られた樹脂シートに撥水剤を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより、樹脂シートに撥水剤を含有させてもよい。撥水剤の塗布方法としては、例えば、ディップ法及びスプレー法が挙げられる。ただし、上記樹脂溶液に撥水剤を添加し、樹脂シートが撥水剤を含有することが好ましい。樹脂溶液の調製時に撥水剤を添加することにより、研磨面Pが研磨により消耗した場合においても、研磨面Pに撥水剤が存在することにより、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
(実施例1)
原料の樹脂として、100%モジュラスが6.0MPaのポリエステル系MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂をDMFに溶解させた20質量%の溶液100質量部に対して、溶媒としてDMFを45質量部、顔料としてカーボンブラックを15質量%含むDMF分散液40質量部(全固形分に対する含有量は22.8質量%)と、撥水剤として、パーフルオロヘキシル化合物を含むDIC株式会社製の商品名「クリスボンアシスター SD−38」(有効成分は、全量に対して60質量%)を0.60質量部(全固形分に対する有効成分の含有割合が1.4質量%)添加して、混合撹拌し、樹脂溶液を調製した。次に、成膜用基材として、PETフィルムを用意し、そこに、上記樹脂溶液を塗布した。この際、塗布装置のクリアランスを0.72mmに設定した。
次いで、得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水と10質量%のDMFとからなる18℃の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生して前駆体シートを得た。前駆体シートを凝固浴から取り出し、成膜用基材を前駆体シートから剥離した後、前駆体シートを水からなる室温の洗浄液(脱溶剤浴)に浸漬し、溶媒であるDMFを除去して樹脂シートを得た。その後、樹脂シートを乾燥しつつ巻き取った。次に、樹脂シートの表面スキン層(成膜用基材に接触していなかった面)に対してバフ処理を施して、0.4mmの厚さとした。その後、樹脂シートの表面側から表面をエンボス加工し、表面に溝(溝幅(凹部と凹部との幅):3.0mm、溝間隔(凸部と凸部との幅):17mm、平面形状:格子状、断面形状:矩形状)を設けた研磨パッドを得た。
次に、樹脂シートのバフ処理を施した面に対して反対側の面に、PET製の基材の両面に接着層(材質:アクリル系樹脂)を有し、更に片面に剥離紙を有する両面テープを、その剥離紙とは反対側の接着層で貼り合わせた後、外径90cmの円形に裁断し研磨パッドを得た。
(接触角)
研磨パッドについて、接触角を次のように測定した。接触角計として固液界面解析装置(協和界面科学社製、商品名「DropMaster500」)を用い、温度20℃、湿度60%の条件の下、注射針から水滴1滴(2μL)を研磨パッドの研磨面に滴下し、120秒後の接触角(研磨前)を測定した。測定結果を表1に示す。表中の「測定不可」とは、滴下した水滴が研磨パッドに吸水されてしまい、測定できなかったことを示す。
(吸着力)
研磨パッドについて、被研磨物との吸着力を次のように測定した。80mm角試料に加工した研磨パッドを水に15分以上浸漬した後、付着した水を拭き取らずに100mm角ガラスに試料を貼り付けた。その後、100mm角ガラスの上に10kgの重りを乗せ、1分間保持した。重りを乗せたまま、速度100mm/minで、測定装置(エー・アンド・デイ社製の商品名「テンシロン万能試験機RTC」)により100mm角ガラスを1cm程度の距離を、滑車を介して水平方向に引っ張り、荷重ピーク値を測定した。さらに、この荷重ピーク値の測定を5回繰り返し、計6回の荷重ピーク値の平均を吸着力(研磨前)とした。また、後述する研磨パッド(研磨後)の試料を用いて、上記同様に吸着力(研磨後)を測定した。測定結果を表1に示す。
(研磨レート)
研磨パッドについて、以下の研磨条件で研磨加工を行い、研磨レートを測定した。測定では、研磨パッドを研磨機の所定位置に装着し、ワーク(被研磨物)としてシリコンウエハを用い、まず10枚のシリコンウエハ(ダミーウエハ)を研磨加工後、10枚のシリコンウエハについて研磨加工を行い、研磨レートを測定した。研磨レートは、研磨加工前後のシリコンウエハの厚さの差である研磨量を、研磨時間で除して表したものであり、研磨加工前後のシリコンウエハについて、各々121箇所の厚み測定結果の平均値から求めた。厚み測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、商品名「ASET−F5x」、測定:DBSモード)を用い、研磨レート(研磨前)を測定した。なお、研磨パッドは、その表面を、予め、ダイヤモンドドレッサを用いて、圧力9N、研磨ヘッドおよび研磨定盤の回転数54rpm、超純水供給量200mL/min、ドレッシング時間30分のドレッシング条件でドレッシングしてから測定に用いた。また、研磨パッドの樹脂シートの厚さを、初期の厚さに対して、90%の厚さになるまで研磨した研磨パッド(研磨後)を準備した。この研磨パッドを用いて、上記同様に研磨レート(研磨後)を測定した。測定結果を表1に示す。
<研磨条件>
使用研磨機:(株)荏原製作所製、商品名「F−REX300」
研磨速度(定盤回転数):70rpm
研磨ヘッド回転数:71rpm
加工圧力:220g/cm2
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:11.5)
スラリ流量:200mL/分
研磨時間:60秒
被研磨物:TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)付きシリコンウエハ(12インチ)
(実施例2)
撥水剤の添加量を、ポリウレタン樹脂溶液100質量部に対して0.50質量部(全固形分に対する有効成分の含有割合が1.1質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作製し、各測定を行った。各測定の結果を表1に示す。
(比較例1)
撥水剤を添加せず、親水性添加剤としてノニオン界面活性剤を、ポリウレタン樹脂溶液100質量部に対して1.0質量部添加した以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作製し、各測定を行った。各測定の結果を表1に示す。
(比較例2)
原料の樹脂として、100%モジュラスが8.2MPaのポリエステル系MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂をDMFに溶解させた30質量%の溶液100質量部に対して、溶媒としてDMFを55質量部、顔料としてカーボンブラックを15質量%含むDMF分散液16質量部(全固形分に対する含有量は7.3質量%)と、撥水剤を0.90質量部(全固形分に対する有効成分の含有割合が1.6質量%)添加して、混合撹拌し、樹脂溶液を調製した。樹脂溶液の調製工程以降は、実施例1と同様にして研磨パッドを作製し、各測定を行った。各測定の結果を表1に示す。
(比較例3)
撥水剤の添加量を、ポリウレタン樹脂溶液100質量部に対して0.080質量部(全固形分に対する有効成分の含有割合が0.2質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして研磨パッドを作製し、各測定を行った。各測定の結果を表1に示す。
(比較例4)
原料の樹脂として、疎水性の高いポリエーテル系MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。この樹脂の100%モジュラスは、6.0MPaであった。このポリウレタン樹脂をDMFに溶解させた30質量%の溶液100質量部に対して、粘度調整用のDMFの32質量部を混合し、カーボンブラック及び撥水剤を添加せずに樹脂溶液を調製した。樹脂溶液の調製工程以降は、実施例1と同様にして研磨パッドを作製し、各測定を行った。各測定の結果を表1に示す。
Figure 0006608239
本発明の研磨パッドは、半導体、半導体デバイス用シリコンウエハ、各種記録用ディスクの基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板等を被研磨物とする研磨加工に好適には用いられるので、それらの用途に産業上の利用可能性がある。
110…研磨パッド、112…ポリウレタン樹脂シート、114…基材、116…接着層、P…研磨面。

Claims (5)

  1. 被研磨物を研磨するための研磨面を有し、100%モジュラスが10MPa以下であるポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂シートを備え、
    前記ポリウレタン樹脂シートの平均開口径が、40μm以上であり、かつ、前記ポリウレタン樹脂シートの開口率が、15%以上であり、
    前記ポリウレタン樹脂シートは、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤を含有し、
    前記研磨面と水との接触角が、100度以上である、研磨パッド。
  2. 前記ポリウレタン樹脂シートは、カーボンブラックをさらに含む、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記ポリウレタン樹脂シートのA硬度が、20度以下である、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記被研磨物は、ガラス基板である、請求項1〜のいずれか一項に記載の研磨パッド。
  5. 前記ポリウレタン樹脂シートにおいて、繊維の含有量が、該ポリウレタン樹脂シートの総量に対して、10000質量ppm以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の研磨パッド。
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