JP6178191B2 - 研磨パッド - Google Patents
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Description
図1に示すように、本実施形態の研磨パッド10は、湿式成膜法によりポリウレタン樹脂で形成された軟質プラスチックシートとしてのポリウレタンシート2を備えている。ポリウレタンシート2は、湿式成膜時に、発泡形成を安定化させるためのカーボンブラックおよび発泡形成の促進機能を有する親水性活性剤が無添加の状態、つまり、カーボンブラックおよび親水性活性剤を含有させずに形成されたものである。
研磨パッド10の製造では、湿式成膜法によりポリウレタンシート2を作製し、得られたポリウレタンシート2と両面テープ8とを貼り合わせる。湿式成膜法では、有機溶媒にポリウレタン樹脂を溶解させた樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液中で樹脂溶液を凝固させてポリウレタン樹脂をシート状に再生させ、洗浄後乾燥させて帯状(長尺状)のポリウレタンシート2を作製する。以下、工程順に説明する。
次に、本実施形態の研磨パッド10の作用等について説明する。
実施例1では、ポリウレタン樹脂として、セバシン酸と、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを構成単位とするポリオール(エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの構成単位比率は5:5の当量比)とを反応させて得られるポリエステルジオールを含む30%ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂溶液の100部に対して、粘度調整用のDMFの32部を混合し樹脂溶液を調製した。用いたポリウレタン樹脂の樹脂モジュラスは、6MPaである。得られた樹脂溶液を用い、成膜基材に樹脂溶液を塗布するときの塗布厚を1.30mmとして、湿式成膜法によりポリウレタンシート2を作製した。得られたポリウレタンシート2のスキン層側をバフ処理量0.14mmとしバフ番手♯180のサンドペーパーを使用してバフ処理し、両面テープ8を貼り合わせて研磨パッド10を製造した。
実施例2では、ポリウレタン樹脂として、アジピン酸と、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを構成単位とするポリオール(エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの構成単位比率は4:6の当量比)とを反応させて得られるポリエステルジオールを含むポリエステルMDIポリウレタン樹脂を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂溶液を調製し、研磨パッド10を製造した。用いたポリウレタン樹脂の樹脂モジュラスは、6MPaである。
実施例1で作製したポリウレタンシート2の研磨面P側に溝を形成すること以外は実施例1と同様にして研磨パッド10を製造した。溝の形成では、溝幅を1mm、溝間隔を3mmとした断面矩形状で格子パターンの溝を、エンボス加工により形成した。
比較例1では、ポリウレタン樹脂として、アジピン酸と、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを構成単位とするポリオール(エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの構成単位比率は7:3の当量比)とを反応させて得られるポリエステルジオールを含む30%ポリエステルMDIポリウレタン樹脂溶液の100部に対して、ノニオン界面活性剤の4部を添加し、粘度調整用のDMFの32部を混合し樹脂溶液を調製した。ノニオン界面活性剤は、ポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる機能も有しているが、ポリウレタンシートの親水性の度合を変えるために添加したものである。得られた樹脂溶液を用い、湿式成膜法によりポリウレタンシートを作製し、研磨パッドを製造した。用いたポリウレタン樹脂の樹脂モジュラスは、6MPaである。
比較例2では、樹脂溶液にカーボンブラックを全固形分量の5.0質量%の割合で添加し、混合した以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。
比較例3では、樹脂モジュラスが15MPaのポリウレタン樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。
比較例4では、ポリウレタン樹脂として、アジピン酸と、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを構成単位とするポリオール(エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの構成単位比率は7:3の当量比)とを反応させて得られるポリエステルジオールを含むポリエステルMDIポリウレタン樹脂を用い、親水性添加剤および疎水性添加剤を添加せずに樹脂溶液を調製した。用いたポリウレタン樹脂の樹脂モジュラスは、6MPaである。得られた樹脂溶液を用い、湿式成膜法によりポリウレタンシートを作製したところ、成膜不良のため研磨パッドとして製造することができなかった。
実施例および比較例の各研磨パッドについて、水の接触角変化率および吸水速度を算出した。接触角は、接触角計として固液界面解析装置(DropMaster500:協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。接触角の測定では、温度20℃、湿度60%の条件の下にて、注射針から水滴1滴を研磨パッド表面に滴下し、滴下してから300秒までの動的接触角の経時変化を測定した。水滴を滴下して0.5秒後に測定した接触角CA1と、水滴の滴下から120.5秒後に測定した接触角CA2とから、{(CA1−CA2)/CA1}×100により接触角変化率を算出した。また、吸水速度は、接触角CA1から10度低下するまでに要した時間Tを測定し、10/Tにより算出した。接触角変化率、吸水速度の結果を下表1に示す。なお、測定は4回行い、その平均値を示した。
実施例および比較例の各研磨パッドについて、以下の研磨条件で研磨加工を行い、研磨レートおよび研磨均一性を測定した。測定では、研磨パッドを研磨機の所定位置に装着し、ワーク(被研磨物)であるシリコンウェハに対して、10枚のダミーウェハを研磨加工後、500枚のシリコンウェハについて研磨加工を行った。研磨レートは、研磨加工前後の膜厚の差である研磨量を、研磨時間で除して表したものであり、研磨加工前後のシリコンウェハについて各々121箇所の厚み測定結果の平均値から求めた。厚み測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、商品名「ASET−F5x」、測定:DBSモード)を用い、100枚目ごとに測定した。研磨均一性は、研磨レートの評価時に測定した121箇所の厚みのバラツキを表したものであり、{(研磨レートの標準偏差(1σ))/(研磨レートの平均値)}×100により算出した。研磨レートおよび研磨均一性の評価結果を、下表2および下表3にそれぞれ示す。なお、研磨パッドの表面は、予め、ダイヤモンドドレッサを用いて、圧力9N、研磨ヘッドおよび研磨定盤の回転数54rpm、超純水供給量200ml/min、ドレッシング時間30分のドレッシング条件でドレッシングしてから研磨評価に用いた。
<研磨条件>
使用研磨機:(株)荏原製作所製、商品名「F−REX300」
研磨速度(定盤回転数):70rpm
加工圧力:176g/cm2
スラリ:コロイダルシリカスラリ(pH:11.5)
スラリ流量:200mL/分
研磨時間:60秒
被研磨物:TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)付きシリコンウェハ
2 ポリウレタンシート(軟質プラスチックシート)
3 発泡
4 発泡
5 開孔
6 開孔
10 研磨パッド
Claims (5)
- 湿式成膜法により、発泡形成を安定化させるためのカーボンブラックおよび発泡形成を促進させる機能を有する親水性活性剤を含有させずに形成され、発泡が連続状に形成された軟質プラスチックシートを備えた研磨パッドにおいて、前記軟質プラスチックシートは、被研磨物を研磨加工するための研磨面に開孔が形成されており、前記研磨面は、該研磨面に水滴を滴下して0.5秒後の接触角をCA1とし、水滴の滴下から120.5秒後の接触角をCA2としたときに、{(CA1−CA2)/CA1}×100で表される接触角変化率が10%未満であることを特徴とする研磨パッド。
- 前記軟質プラスチックシートは、前記接触角CA1が10度低下するまでに要した時間をTとしたときに、10/Tで表される吸水速度が0.1度/秒以内であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
- 前記軟質プラスチックシートは、前記研磨面側に溝加工またはエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項2に記載の研磨パッド。
- 前記軟質プラスチックシートは、前記研磨面側に、放射状パターン、格子状パターンおよび螺旋状パターンから選択される少なくとも1つのパターン形状の溝が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の研磨パッド。
- 前記軟質プラスチックシートは、樹脂モジュラスが10MPa以下のポリウレタン樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
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