JP6940363B2 - 保持パッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保持パッド及びその製造方法に関する。
近年、液晶ディスプレイ用等に用いるガラス基板は厚みの高精度化や薄膜化が進んでいる。このような被研磨物を研磨加工する際には、保持パッドで被研磨物を保持し、研磨パッドによって研磨することで行われるが、保持パッドは研磨加工時に被研磨物に横ずれが生じないよう保持パッドの吸着力は高いことが望ましいとされる。しかし、一方で、このような被研磨物を研磨加工に供する場合、保持パッドの吸着力が高すぎると研磨加工後に被研磨物を保持パッドから剥離する際に割れが生じやすくなるという問題が生じる。この剥離の際の割れの問題は、ガラス基板などの被研磨物の薄膜化に加え更に大型化によってもより深刻なものとなっている。
このような被研磨物の割れを抑制するためには、保持パッドの吸着力を抑えるような調整をすることが有効である。例えば、特許文献1には、保持パッド表面上に凹部を設け、被研磨物の保持性を確保しつつ、研磨後の剥離性をコントロールすることが開示されている。また、特許文献2には、多孔質軟質樹脂からなる保持パッド表面上に0.1〜1.0mmの細孔を所定の間隔で設けることにより、研磨後のガラス基板の剥離性を改善することが開示されている。
特開2013−107137号公報 特開2004−154920号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、保持パッドの保持面に形成された凹部が研磨加工時の研磨圧により被研磨物の表面に転写され、結果として得られる被研磨物の平坦性が悪化するという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法においては、保持パッドの保持面に設けられた細孔から、多孔質軟質樹脂からなる保持パッド内にスラリーが浸入しやすく、スラリーの浸入により保持パッドが化学的に劣化・膨潤・破損を誘発するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、研磨時の横ずれなどが生じないように吸着力を発揮できる一方で、被研磨物を剥離する際において割れを抑制することができ、特に薄膜化及び大型化された被研磨物を保持するのに好適な保持パッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題点を解決するために鋭意検討した。その結果、保持面が所定の浸透性を有することにより、上記課題を解決し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートを備える保持パッドであって、
下記式(1)で表されるエタノールの前記保持面への浸透速度が、1.0〜2.0度/秒であり(但し、滴下から20秒経過しないうちに保持面にエタノールが完全に浸透する場合を除く)、
前記保持面に形成された微細孔の平均微細孔径が、0.1〜5.0μmであり、
前記樹脂シートが、撥水剤を含有する、
保持パッド。
浸透速度=(C0−C20)/20 ・・・ (1)
0:前記保持面にエタノールを滴下した直後の前記保持面に対する前記エタノールの接触角
20:前記エタノールの滴下から20秒後の前記保持面に対する前記エタノールの前記接触角
〔2〕
前記保持面に水を滴下し、前記水の滴下直後の前記保持面に対する前記水の接触角W0が、100〜150度である、
〔1〕に記載の保持パッド。
〔3〕
前記保持面に形成された微細孔の微細孔面積が、保持面1cm2当たり、5.0×104〜5.0×106μm2である、
〔1〕又は〔2〕に記載の保持パッド。
〔4〕
前記樹脂シートをN,N−ジメチルホルムアミドで溶解し、得られた溶解液を乾燥させて得られる無発泡樹脂シートの破断強度が、30MPa以上である、
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔5〕
前記樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスが、3.0〜10MPaである、
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔6〕
前記樹脂シートが、ポリウレタン系樹脂を含有する、
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔7〕
前記樹脂シートが、ポリウレタン樹脂シートを延伸したものである、
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔8〕
前記撥水剤が、炭素数が6〜8のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤を含む、
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔9〕
前記撥水剤の含有量が、前記樹脂シートの総量に対して、0.5〜5.0質量%である、
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法であって、
樹脂を溶媒中に混合溶解して樹脂溶液を調製する溶液調製工程と、
前記樹脂溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜を、前記樹脂の貧溶媒である凝固液に浸漬して、樹脂シートを作製する浸漬工
程と、
前記樹脂シートを延伸して、該樹脂シートの表面に微細孔を形成する孔形成工程と、を
有する、
保持パッドの製造方法。
〔11〕
前記樹脂が、ポリウレタン系樹脂を含む、
〔10〕に記載の保持パッドの製造方法。
本発明によれば、研磨時の横ずれなどが生じないように吸着力を発揮できる一方で、被研磨物を剥離する際において割れを抑制することができ、特に薄膜化及び大型化された被研磨物を保持するのに好適な保持パッド及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態の保持パッドの一態様を表す概略断面図である。 本実施形態の保持パッドを用いて被研磨物の研磨を行う方法を示す模式図である。 エタノールの浸透速度の測定方法を表す模式図である。 実施例2〜3と比較例2の時間ごとのエタノールの接触角の変化を示すグラフを示す。 実施例2〜3と比較例2の保持面の表面の顕微鏡写真を示す。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔保持パッド〕
本実施形態の保持パッドは、被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートを備える保持パッドであって、下記式(1)で表されるエタノールの保持面への浸透速度(以下、単に「エタノールの浸透速度」ともいう。)が、1.0〜2.0度/秒である。
浸透速度=(C0−C20)/20 ・・・ (1)
0:保持面にエタノールを滴下した直後の保持面に対するエタノールの接触角
20:エタノールの滴下から20秒後の保持面に対するエタノールの接触角
図1に、本実施形態の保持パッドの一態様を表す概略断面図を示す。図1に示す保持パッド10は、基材11と、被研磨物Wを保持する保持面12aを有する樹脂シート12と、基材11と樹脂シート12との間にこれらを接着するための接着層(図示せず)と、基材11の樹脂シート12側の面と反対面側に保持パッド10を保持定盤に固定するために設けられた接着層14と、を備える。
〔樹脂シート〕
樹脂シートは、被研磨物を保持するための保持面を有する。本実施形態の保持パッドは、樹脂シートの保持面に適量の水を含ませて被研磨物を押し付けることで、保持面と被研磨物の表面との相互作用により被研磨物を保持することができる。樹脂シートの保持面は、被研磨物を保持しやすいように被研磨物よりやや大きく設計されていてもよい。さらに、保持面は、複数の被研磨物を同時に保持できるよう構成されていてもよい。
樹脂シートは、表面には皮膜(スキン層)を備え、シートの内部には厚み方向に縦長の多数の気泡を備え、それらが連通した連続気泡構造を有する。縦長の多数の気泡は、樹脂シートの厚み方向に沿って、スキン層に向かって気泡径が漸次小さくなる形状である。スキン層には、後述するエタノールの浸透速度により評価することのできる微細孔が形成されたものであることが好ましい。
〔保持面〕
保持面は、下記式(1)で表されるエタノールの浸透速度が、1.0〜2.0度/秒であるものである。
(エタノールの浸透速度)
本実施形態において、保持面へのエタノールの浸透速度は、保持面にエタノールを滴下した直後の保持面に対するエタノールの接触角C0と、エタノールの滴下から20秒後の保持面に対するエタノールの接触角C20に基づいて、下記式(1)で示される。
浸透速度=(C0−C20)/20 ・・・ (1)
このエタノールの浸透速度は、保持面の吸着力と剥離性のバランスを示す指標となる。樹脂シートは耐久性の観点より撥水性を有することが好ましい。しかし、撥水性を有すると保持面は水をはじき、浸透しないことから水によって微細孔の状態等を評価することができない。そこで、水の代わりにエタノールを用い、その保持面に対する浸透速度を測定することによって微細孔の状態や樹脂シートの水との親和性などを評価でき、それらから総合的な保持面の吸着力と剥離性のバランスを評価可能であることを発明者らは見出した。
具体的には、エタノールの浸透速度が遅いことは、保持面の微細孔が少ない又はないこと、及び樹脂シートの撥水性が高いことを示唆し、保持面の吸着力が高く、耐久性も高まるものの被研磨物が剥離しにくいことを示す。一方で、エタノールの浸透速度が速いことは、保持面に比較的に大きい微細孔が多数形成されていること、及び樹脂シートの撥水性が低いことを示唆し、研磨後の被研磨物の剥離性は良好であるものの、研磨工程中の吸着力が低下し、横ずれが生じやすいことを示す。また、エタノールの浸透速度が速いことは、スラリーが保持パットに浸入しやすいことともなり、スラリーの浸入により保持パッドの化学的な劣化や破損にもつながる。
このような観点から、本実施形態におけるエタノールの浸透速度は、1.0〜2.0度/秒であり、好ましくは1.0〜1.8度/秒であり、より好ましくは1.0〜1.6度/秒である。エタノールの浸透速度が1.0度/秒未満であると、吸着力が高くなりすぎるため、被研磨物の剥離が困難となる。また、エタノールの浸透速度が2.0度/秒超過であると、吸着力が低下しすぎるために研磨中の被研磨物の横ずれなどの問題が生じる。
エタノールの浸透速度は、保持面に形成される微細孔若しくはマトリックス材料の撥水性により調整することができる。表面に微細孔を形成する方法は問わないが、一例としては原反の作製において孔形成剤を添加することで微細孔の形成を促進する方法や、樹脂シートを延伸して微細孔を形成することも可能である。
(水の接触角)
保持面に水を滴下し、水の滴下直後の保持面に対する水の接触角W0は、好ましくは100〜150度であり、より好ましくは100〜140度であり、さらに好ましくは100〜130度である。水の接触角W0が100度以上であることにより、樹脂シート表面の撥水性が高いことから、スラリーの侵入が抑制され、保持パッドの耐久性がより向上する傾向にある。また、スラリーの侵入に伴う保持パッドの膨潤も抑制される傾向にある。また、水の接触角W0が150度以下であることにより、保持面に水を用いて被研磨物を保持させる際に、保持面に厚い水膜が形成され難くなり、吸着力が安定する傾向にある。なお、水の接触角W0は、樹脂シートの表面の微細孔の制御及び樹脂溶液の調整において撥水剤を添加することにより調整することができる。また、水の接触角W0は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(平均微細孔径)
保持面に形成された微細孔の平均微細孔径は、好ましくは0.1〜5.0μmであり、より好ましくは0.2〜4.0μmであり、さらに好ましくは0.5〜2.0μmである。平均微細孔径が0.1μm未満であることにより、吸着力がより高く、剥離性が悪化する傾向にある。また、平均微細孔径が5.0μm超過であることにより、剥離性は良好であるものの、吸着力がより低下する傾向にある。また、平均微細孔径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(微細孔面積)
保持面に形成された微細孔の微細孔面積は、保持面1cm2当たり、好ましくは5.0×104〜5.0×106μm2であり、より好ましくは5.0×104〜3.0×106μm2である。微細孔面積が5.0×104μm2未満であると、吸着力が高すぎて剥離性が悪化する傾向にある。また、微細孔面積が5.0×106μm2超過であると、剥離性は良好であるものの、吸着力が低下しすぎる傾向にある。更には、微細孔が被研磨物の表面に転写されやすくなり、被研磨物の平坦性が悪化しやすくなるという問題を露呈する。なお、微細孔面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔樹脂〕
樹脂シートを構成するマトリックス材料である樹脂としては、特に制限されないが、製法上の観点から湿式凝固可能な樹脂が好ましい。そのような樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂が挙げられる。なお、「湿式凝固」とは、樹脂を溶解させた樹脂溶液を塗膜にし、これを凝固液(樹脂に対して貧溶媒である。)の槽に浸漬することにより、含浸した樹脂溶液中の樹脂を凝固再生させるものである。樹脂溶液中の溶媒と凝固液とが置換されることにより樹脂溶液中の樹脂が凝集して凝固される。なお、湿式凝固に用いる観点から、樹脂シートを構成する樹脂は、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる1種以上に可溶であることが好ましい。
上記のなかでも、ポリウレタン系樹脂が好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。このようなポリウレタン系樹脂は水との親和性が低いものの撥水性までは有さず、撥水剤を添加することで撥水性を有するようになる。このため、後述する溶液調製工程における撥水剤の添加部数を調整することで、樹脂シートの撥水性を調整することができ、エタノールの浸透速度にも影響を与える。
(破断強度)
樹脂シートをN,N−ジメチルホルムアミドで溶解し、得られた溶液を乾燥させて得られる無発泡樹脂シートの破断強度は、好ましくは30MPa以上であり、より好ましくは40MPa以上であり、さらに好ましくは50MPa以上である。無発泡樹脂シートの破断強度が30MPa以上であることにより、研磨工程の応力による樹脂シートの破断がより抑制される傾向にある。また、樹脂シートは破断しないことが好ましいため、その観点から破断強度の上限については特に制限はないが、例示するのであれば1000MPa以下である。無発泡樹脂シートの破断強度は、樹脂種の選択により調整することができる。また、無発泡樹脂シートの破断強度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(100%モジュラス)
樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスは、好ましくは3.0〜10MPaであり、より好ましくは3.5〜9.0MPaであり、さらに好ましくは4.0〜8.0MPaである。樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスが3.0MPa以上であることにより、研磨工程の応力により保持面に被研磨物が沈み込む現象が抑制される。これにより、保持面に被研磨物の角が接触して傷が形成され、傷の部分からスラリーが浸入し、保持パッドが化学的に劣化・破損する現象が生じにくくなる。また、樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスが10MPa以下であることにより、吸着力が向上し、研磨工程において被研磨物の保持が適切に行われ、また、樹脂シートのクッション性が向上することにより、研磨工程において局所的に生じ得る過度の研磨負担を適切に吸収することができる結果、得られる被研磨物の平坦性がより向上する傾向にある。なお、樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスは、樹脂種の選択により調整することができる。また、樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスは、実施例に記載の方法により測定することができる。なお、「100%モジュラス」は、樹脂の硬さを表す指標であり、この値が大きくなるほど、硬い樹脂であることを意味する。
〔撥水剤〕
樹脂シートは、撥水剤を含有することが好ましい。撥水剤としては、特に制限されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系撥水剤の他、シリコーン系撥水剤、ポリオレフィン系撥水剤が挙げられる。このなかでも、フッ素系撥水剤が好ましく、炭素数が6〜8のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤がより好ましい。このような撥水剤を用いることにより、スラリーの侵入を抑制することにより保持パッドの耐久性がより向上する傾向にある。撥水剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素数が6〜8のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤としては、特に制限されないが、例えば、下記式(2)で表される化合物、パーフルオロアルキル基で変性した樹脂が挙げられる。
Rf−R−X (2)
式(2)中、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、その炭素数は、3〜8であり、好ましくは4〜8であり、より好ましくは6〜8であり、さらに好ましくは6である。また、Rは、アルキレン基を表し、その炭素数は2〜6であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2である。さらに、Xは、水酸基、CH2=CHC(=O)CO−、H(OCH2CH2xO−、又はYSO3−〔Yは、水素原子又はNH4を表す。〕を表し、好ましくは水酸基である。特に、Rfの炭素数が6であるものが好ましく、さらにRの炭素数が2であるものが好ましい。式(2)で表される化合物は常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、アサヒガードEシリーズ(AGCセイミケミカル株式会社製商品名)、NKガードSシリーズ(日華化学株式会社製商品名)、ユニダインシリーズ(ダイキン工業株式会社製商品名)、クリスボンアシスター(DIC株式会社製商品名)などが挙げられる。
また、パーフルオロアルキル基で変性した樹脂としては、特に制限されないが、例えば、樹脂シート中における撥水剤の分散性及び経時安定性の観点から、パーフルオロアルキル基で変性したポリウレタン樹脂が挙げられる。また、変性方法としては、例えば、樹脂の末端及び/又は側鎖にパーフルオロアルキル基を導入する方法が挙げられる。また、樹脂シート中における撥水剤の分散性及び経時安定性の観点から、式(2)で表される化合物により変性した樹脂、すなわち、Rf−R−で表される基を有する樹脂が好ましく、Rf−R−で表される基を有するポリウレタン樹脂がより好ましい。そのような樹脂としては、例えば、国際公開第2012/172936号に記載のポリウレタン樹脂が挙げられる。
撥水剤の含有量は、樹脂シートの総量に対して、好ましくは0.5〜5.0質量%であり、より好ましくは0.5〜4.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜3.0質量%である。撥水剤の含有量が0.5質量%以上であることにより、エタノールの浸透速度が遅くなり吸着力が向上し、横ずれを抑制するとともに、スラリーの侵入を抑制することにより保持パッドの耐久性がより向上する。また、撥水剤の含有量が5.0質量%以下であることにより、エタノールの浸透速度が速くなり吸着力が低減でき、剥離性を良好に保つことができる。
〔孔形成剤〕
樹脂シートは後述するように孔形成剤を含んでいてもよい。孔形成剤としては、特に制限されないが、例えば、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系化合物が挙げられる。孔形成剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
〔その他の成分〕
本実施形態の保持パッドは、上述の他、目的に応じて、保持パッドに含まれ得る各種添加剤を含んでもよい。そのような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック等の顔料またはフィラー、親水性添加剤、及び疎水性添加剤が挙げられる。
親水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩のようなアニオン界面活性剤;親水性のエステル系化合物、エーテル系化合物、エステル・エーテル系化合物、アミド系化合物のようなノニオン界面活性剤が挙げられる。
また、疎水性添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのような炭素数3以上のアルキル鎖が付加したノニオン系界面活性剤が挙げられる。
〔厚さ〕
樹脂シートの厚さは、特に制限されないが、研磨工程中に被研磨物が樹脂シートに沈み込み、加工精度が低下するのを抑制するために、好ましくは3.0mm以下であり、より好ましくは2.0mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。また、樹脂シートの厚さの下限は、特に限定されないが300μm以上が好ましい。樹脂シートの厚さが上記範囲内であることにより、厚さ精度を十分に確保することができる傾向にある。厚さは、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。
〔枠部〕
本実施形態の保持パッドは、保持面上に被研磨物を囲む枠部を有していてもよいし、当該枠部を有さなくてもよい。枠部は、研磨加工中に被研磨物が横ずれを起こして、保持面から飛び出すことを防止する(横ずれ範囲を規制する)ものである。被研磨物の重量が比較的大きい場合等、横ずれが生じにくい場合、枠部は有さなくても良いが、そのような横ずれが発生し得る場合、枠部の形状及び寸法は、被研磨物が研磨領域から飛び出さないようなものであれば特に限定されず、例えば、内径が被研磨物の外径より大きくなるように形成されていてもよい。
〔クッション層〕
本実施形態の保持パッドは、被研磨物を保持する保持面とは反対側の面に、発泡樹脂からなるクッション層を備えてもよいし、当該クッション層を備えなくてもよい。
〔接着層〕
本実施形態の保持パッドは、保持定盤側の面に、保持パッドを保持定盤に固定するための両面テープや面ファスナーのような接着層や粘着層の固定手段を有していてもよい。
〔保持パッドの製造方法〕
本実施形態の保持パッドの製造方法は、樹脂を溶媒中に混合溶解して樹脂溶液を調製する溶液調製工程と、樹脂溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、塗膜を、樹脂の貧溶媒である凝固液に浸漬して、樹脂シートを作製する浸漬工程と、樹脂シートの表面に微細孔を形成する孔形成工程と、を有する。
〔溶液調製工程〕
溶液調製工程は、樹脂を溶媒中に混合溶解して樹脂溶液を調製する工程である。この際、樹脂と溶媒以外の添加剤として、前記孔形成剤、撥水剤、その他成分を用いてもよい。
樹脂、撥水剤、及び孔形成剤としては、特に制限されないが、例えば、上記と同様のもが挙げられる。樹脂の濃度は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜35質量%である。
溶媒としては、特に制限されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。溶媒は、1種の溶媒であっても、2種以上の溶媒を混合したものであってもよい。
〔塗膜形成工程〕
塗膜形成工程は、樹脂溶液の塗膜を形成する工程である。塗膜の形成方法については、特に制限されないが、例えば、成膜用基材の表面に樹脂溶液をナイフコーター等の塗布装置を用いて塗布する方法が挙げられる。このときに塗布する樹脂溶液の厚さは、最終的に得られる樹脂シート112の厚さが所望の厚さになるように、適宜調整すればよい。成膜用基材の材質としては、特に制限されないが、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルム、布帛及び不織布が挙げられる。
〔浸漬工程〕
浸漬工程は、塗膜を、樹脂の貧溶媒である凝固液に浸漬して、樹脂シートを作製する工程である。貧溶媒としては従来知られているものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、水が挙げられる。貧溶媒は、1種の溶媒であっても、2種以上の溶媒を混合したものであってもよい。凝固液には、樹脂の再生速度を調整する観点から、樹脂溶液中の極性溶媒が含まれていてもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されない。
塗膜を凝固液に浸漬すると、初めに、樹脂溶液の塗膜と凝固液との界面に皮膜(スキン層)が形成され、皮膜の直近の樹脂中に無数の緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液の塗膜に含まれる溶媒が凝固液中へ拡散する現象と、塗膜中へ凝固液から貧溶媒が浸入する現象が、協調して起こる結果、表面にはスキン層を備えつつも、塗膜の内部には連続気泡構造を有する樹脂シートが得られる。このとき、成膜用基材が液体を浸透し難いもの(例えばPETフィルム)であると、凝固液がその基材に浸透しないため、塗膜中の溶媒と貧溶媒との置換がスキン層より生じ、スキン層付近よりもその内側にある領域の方に、より大きな空孔が形成される傾向にある。また、このとき、樹脂溶液中に孔形剤が含まれている場合、表面まで微多孔の先端が連通し、表面に微細孔が形成される。
上記浸漬工程の後、得られた樹脂シートを洗浄・乾燥工程に供することが好ましい。まず、樹脂シートを水等の洗浄液中で洗浄し、樹脂シート中に残存するDMF等の溶媒を除去する。その後、樹脂シートを乾燥機中で乾燥させてもよい。
〔孔形成工程〕
孔形成工程は、樹脂シートの表面に微細孔を形成することができれば方法は特に問わないが、樹脂溶液への孔形成剤の添加による形成や、樹脂シートを延伸して微細孔を形成する方法などが挙げられる。なお、孔形成剤を添加する場合には、浸漬工程と孔形成工程とが同時に行われる。
樹脂シートを延伸して微細孔を形成する場合は、樹脂シートの延伸率は105〜300%(元長に対して1.05倍〜3倍の長さの意味)であり、より好ましくは120〜250%である。原反シートには用いる樹脂の種類によって異なるが、延伸率が105%未満であると、適切に微細孔が形成されず、また、樹脂シートの延伸率は300%超過であると破断しやすくなるため好ましくない。
〔研磨物の製造方法〕
本実施形態の研磨物の製造方法は、上記保持パッドにより保持した被研磨物を、研磨パッドを用いて研磨する研磨工程を有する。研磨工程は、一次研磨(粗研磨)であってもよく、二次研磨(仕上げ研磨)であってもよく、それら両方の研磨を兼ねるものであってもよい。以下、化学機械研磨を例に本実施形態の研磨物の製造方法を説明するが、本実施形態の研磨物の製造方法は以下に限定されない。
図2に、本実施形態の保持パッド10を用いて被研磨物Wの研磨を行う場合の模式図を示す。まず、研磨機の保持定盤1上に保持パッド10を固定し、被研磨物Wを保持させる。次いで、保持パッド10の保持面に被研磨物Wを保持した状態で、研磨液を供給し、研磨装置の研磨用定盤3に装着された研磨パッド2を被研磨物Wに押し当てて回転することにより、被研磨物Wを研磨することができる。
保持定盤1に保持パッド10を固定する方法としては、特に限定されないが、保持パッド10が両面テープを備えている場合には、両面テープの剥離紙を取り除き、露出した接着層で保持面が上方に向くように保持定盤1に接着固定する。また、保持パッド10が両面テープを備えていない場合は、別に用意した接着剤又は粘着剤で保持パッド10を保持定盤1に接着固定してもよい。
保持面に被研磨物Wを固定する方法としては、保持パッド10における保持面に、適量の水を含ませて被研磨物Wを押し付けることで、被研磨物Wが保持面に保持される。このとき、被研磨物Wの被研磨面(加工面)が上方に向くよう被研磨物Wを保持する。
一方、保持定盤1の上方で保持定盤1と対向するように配置された研磨用定盤3に、表面に研磨パッド2(研磨布)を研磨面が下方に向くように装着する。
次に、被研磨物Wの被研磨面が研磨パッド2の研磨面に接触するように、研磨定盤1を下降させ保持定盤3の方へ移動させる。そして、被研磨物Wと研磨パッド2との間にスラリーを供給する。スラリーは、被研磨物や研磨条件等に応じて、水、過酸化水素に代表される酸化剤などの化学成分、添加剤、砥粒(研磨粒子;例えば、SiC、SiO2、Al23、CeO2)等を含んでいてもよく、スラリーは循環しながら供給してもよい。それと共に、保持定盤1上の被研磨物Wを研磨パッド2で押圧しながら、保持定盤1と研磨用定盤3とを相対的に回転させることで、被研磨物Wの加工面が研磨パッド2で化学機械研磨(CMP)により研磨加工される。保持定盤1と研磨用定盤3は、互いに異なる回転速度で同方向に回転しても、異方向に回転してもよい。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板等の薄型基板、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(シリコンカーバイト)基板、GaAs(ガリウム砒素)基板が挙げられる。なお、液晶ディスプレイ用ガラス基板においては、G10と称されるサイズ(3130mm×2880mm)で、且つ、厚み0.3〜0.7mmのものにおいて好適に研磨加工を行うことができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔破断強度〕
樹脂シートをN,N−ジメチルホルムアミドで溶解し、得られた溶液を乾燥させて無発泡樹脂シート(試験片)を得た。得られた樹脂シートをダンベル形状(JIS K 6550記載)に打ち抜き、測定試料を測定機の上下エアチャックにはさみ、引張速度100mm/min、初期つかみ間隔50mmで測定を開始し、測定値がピーク(切断)に達した値を強力(最大荷重)として得た。測定は3回行い、破断強度(kgf/mm2)=強力(最大荷重)kgf/(厚さ(mm)×試料巾(10mm))より破断強度を算出し、その平均値から破断強度を算出した。尚、試料厚みは、測定試料をチャック装着する際、厚み計を用いて測定した。
破断強度は引張万能試験機(「テンシロン」、A&D社製、RTC−1210A)を用い、日本工業規格(JIS K 6550)に準拠した方法によって測定した。
〔100%モジュラス〕
樹脂シートを構成する樹脂を用いて無発泡の樹脂シート(試験片)を成形し、その試験片を25℃において100%(元の長さの2倍の長さまで)伸ばしたときにかかる荷重(引張力)を試験片の初期断面積で除した値を100%モジュラスとして用いた。
〔実施例1〕
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(破断強度:55MPa、100%モジュラス:6.0MPa)の30%DMF溶液100質量部に対して、DMF47質量部、撥水剤(固形分60質量%)0.6質量部、孔形成剤(セルロースアセテートブチレート)0.2質量部を添加して混合撹拌し、樹脂溶液を調製した。次に、成膜用基材として、PETフィルムを用意し、そこに、上記樹脂溶液を、ナイフコーターを用いて塗布し、厚さ1.0mmの塗膜を得た。
次いで、得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水に浸漬し、樹脂を凝固再生して樹脂シートを得た。樹脂シートを凝固浴から取り出し、成膜用基材を樹脂シートから剥離した後、樹脂シートを水からなる洗浄液に浸漬し溶媒であるDMFを除去した。その後、樹脂シートを乾燥しつつ巻き取った。次に、樹脂シートの裏面(成膜用基材を剥離した側の面であって、成膜基材に接触していた面)に対してバフ処理を施して、0.8mmの厚さとした。次に、樹脂シートのバフ処理を施した面に、両面テープを貼り合わせ、保持パッドを得た。
〔実施例2〕
孔形成剤を使用せずに樹脂シートを作製し、得られた樹脂シートを幅方向に120%延伸したこと以外は、実施例1と同様に樹脂シートを作製して、保持パッドを得た。
〔実施例3〕
孔形成剤を使用せずに樹脂シートを作製し、得られた樹脂シートを幅方向に250%延伸したこと以外は、実施例1と同様に樹脂シートを作製して、保持パッドを得た。
〔比較例1〕
孔形成剤を使用せずに樹脂シートを作製し、得られた樹脂シートを幅方向に310%延伸することを試みた以外は、実施例1と同様に樹脂シートを作製したが、延伸の際に樹脂シートが破断し、保持パッドを得ることが出来なかった。
〔比較例2〕
孔形成剤を使用せずに樹脂シートを作製した以外は、実施例1と同様に保持パッドを得た。
〔比較例3〕
比較例2と同様に保持パッドを作製した後、ミシン針を用いて保持面上から細孔(直径0.4mm、間隔3mm、深さ0.8mm)を形成した。
〔比較例4〕
比較例2と同様に樹脂シートを作製した後、保持面側もバフ処理を行い、保持面に連続気泡に由来する気孔を形成したこと以外は、比較例1と同様に樹脂シートを作製して保持パッドを得た。
〔エタノールの浸透速度〕
保持パッドについて、エタノールの接触角を次のように測定した。接触角計として固液界面解析装置(協和界面科学社製、商品名「DropMaster500」)を用い、温度20℃、湿度60%の条件の下、注射針からエタノール(濃度:99%)1滴(5μL)を保持パッドの保持面に滴下した。そして、滴下直後の接触角をC0、20秒後の接触角をC20とし、下記式(1)にてエタノールの浸透速度を算出した。なお、滴下から20秒経過しないうちに保持面にエタノールが完全に浸透した比較例3〜4については、完全に浸透する直前であるt秒後の接触角をCtとし、(C0−Ct)/tの式によって、参考値を算出した(表中*1をつけて示す。)。また、上記試験は密閉系で行った。
浸透速度=(C0−C20)/20 ・・・ (1)
なお、図3に、エタノールの浸透速度の測定方法を表す模式図を示す。また、図4に、実施例2〜3と比較例1の時間ごとのエタノールの接触角の変化を示すグラフを示す。
〔水の接触角〕
保持パッドについて、水の接触角を次のように測定した。接触角計として固液界面解析装置(協和界面科学社製、商品名「DropMaster500」)を用い、温度20℃、湿度60%の条件の下、注射針から水滴1滴(1μL)を保持パッドの保持面に滴下し、滴下直後の接触角を測定した。なお、保持面をバフした比較例4については、水の滴下と同時に保持パッド内に浸透し、水が保持面上に付着しなかったため、接触角の測定が出来なかった。
〔平均微細孔径、及び、1cm2あたりの微細孔面積〕
平均微細孔径(μm)及び1cm2あたりの微細孔面積(μm2)の測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5500LV)で約100μm四方の範囲を1000倍に拡大し9カ所観察した。この画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3、ニコン製)により二値化処理して微細孔個数(気泡個数)を確認し、各々の微細孔(気泡)の面積から面積円相当径及びその平均値を平均微細孔径として算出した。そして、微細孔の面積の割合から、1cm2あたりの微細孔面積を求めた。なお、気泡径のカットオフ値(下限)を設定しなかった。また、比較例1、3では微細孔が確認されなかった。なお、保持面に細孔を形成させた比較例3および保持面にバフ処理を施した比較例4については、微細孔は確認されなかったものの、細孔およびバフ処理に由来する開口が確認された。確認された開口の平均径および1cm2あたりの面積を参考値として算出した(表中*2をつけて示す。)
〔吸着力〕
100mm角試料に加工した保持パッドの保持面に霧吹きで水を吹き付け、付着した水を拭き取らずに60mmφ(厚さ約1mm)ガラスを試料に押しつけて吸着させた。次に、ガラスの上から10kgの重りを乗せ1分間静止した。重りを乗せたまま、ガラスに取り付けられたワイヤーを速度100mm/minで、引張万能試験機(「テンシロン」、A&D社製、RTC−1210A)により垂直方向に引っ張り、荷重ピーク値を測定した。さらに、この荷重ピーク値の測定を5回繰り返し、計6回の荷重ピーク値の平均を吸着力とした。
(評価基準)
○:吸着力が5kgf以上25kgf以下
×:吸着力が5kgf未満又は25kgf超過
〔剥離性〕
100mm角試料に加工した保持パッドの保持面に霧吹きで水を吹き付け、付着した水を拭き取らずに60mmφ(厚さ約0.5mm)ガラスを試料に押しつけて吸着させた。次に、ガラスを保持面に対して2度斜め上方向の角度に速度10mm/minで、引張万能試験機(「テンシロン」、A&D社製、RTC−1210A)により引張、保持面からガラスを剥離させた。測定は10枚のガラスに対して行い、以下の評価基準に従って評価を行った。
(評価基準)
○:1枚も割れが確認できなかった。
×:1枚以上で割れが確認された。
なお、図5に、実施例2〜3と比較例2の保持面の表面の顕微鏡写真を示す。
Figure 0006940363
0 :エタノールを滴下した直後の保持面に対するエタノールの接触角
20 :エタノールの滴下から20秒後の保持面に対するエタノールの接触角
(C0−C20)/20:エタノールの浸透速度(度/秒)
0 :保持面に水を滴下した直後の保持面に対する水の接触角
*1 :(C0−Ct)/tの式によって求めた参考値
*2 :細孔およびバフ処理由来の開口の平均径および面積
エタノールの浸透速度が1.0〜2.0度/秒である実施例1〜3は吸着力が良好であり、剥離性も良好であった。また、エタノールの浸透速度が1.0未満であった比較例2は、吸着力が高すぎて、基板を剥離する際に割れが生じる場合があった。さらに、エタノールの浸透が速すぎて浸透速度が測定できなかった比較例3〜4は、実施例1〜3よりも吸着力が低く、剥離性に問題はなかったものの、研磨中の被研磨物の横ずれなどの問題が懸念された。
本実施形態の保持パッドは、研磨加工分野の被研磨物の保持パッドとして産業上の利用可能性を有する。

Claims (11)

  1. 被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートを備える保持パッドであって、
    下記式(1)で表されるエタノールの前記保持面への浸透速度が、1.0〜2.0度/秒であり(但し、滴下から20秒経過しないうちに保持面にエタノールが完全に浸透する場合を除く)、
    前記保持面に形成された微細孔の平均微細孔径が、0.1〜5.0μmであり、
    前記樹脂シートが、撥水剤を含有する、
    保持パッド。
    浸透速度=(C0−C20)/20 ・・・ (1)
    0:前記保持面にエタノールを滴下した直後の前記保持面に対する前記エタノールの接触角
    20:前記エタノールの滴下から20秒後の前記保持面に対する前記エタノールの前記接触角
  2. 前記保持面に水を滴下し、前記水の滴下直後の前記保持面に対する前記水の接触角W0が、100〜150度である、
    請求項1に記載の保持パッド。
  3. 前記保持面に形成された微細孔の微細孔面積が、保持面1cm2当たり、5.0×104〜5.0×106μm2である、
    請求項1又は2に記載の保持パッド。
  4. 前記樹脂シートをN,N−ジメチルホルムアミドで溶解し、得られた溶液を乾燥させて得られる無発泡樹脂シートの破断強度が、30MPa以上である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の保持パッド。
  5. 前記樹脂シートを構成する樹脂の100%モジュラスが、3.0〜10MPaである、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の保持パッド。
  6. 前記樹脂シートが、ポリウレタン系樹脂を含有する、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の保持パッド。
  7. 前記樹脂シートが、ポリウレタン樹脂シートを延伸したものである、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の保持パッド。
  8. 前記撥水剤が、炭素数が6〜8のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤を含む、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の保持パッド。
  9. 前記撥水剤の含有量が、前記樹脂シートの総量に対して、0.5〜5.0質量%である、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の保持パッド。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法であって、
    樹脂を溶媒中に混合溶解して樹脂溶液を調製する溶液調製工程と、
    前記樹脂溶液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜を、前記樹脂の貧溶媒である凝固液に浸漬して、樹脂シートを作製する浸漬工程と、
    前記樹脂シートを延伸して、該樹脂シートの表面に微細孔を形成する孔形成工程と、を有する、
    保持パッドの製造方法。
  11. 前記樹脂が、ポリウレタン系樹脂を含む、
    請求項10に記載の保持パッドの製造方法。
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