JP6127692B2 - 膜電極接合体の製造装置及び膜電極接合体の製造に用いられる保持部材 - Google Patents

膜電極接合体の製造装置及び膜電極接合体の製造に用いられる保持部材 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池を構成する膜電極接合体の製造装置及び膜電極接合体の製造に用いられる保持部材に関する。
燃料電池は、例えば電解質膜の両面に電極にあたる触媒層を塗布したもの(膜電極接合体という)を一対のセパレータで挟持した燃料電池セルを所定数積層することによって構成される。電解質膜に積層される触媒層を構成する触媒物質は、金属等から構成されるが、電解質膜に付着させる際には溶媒を加えて触媒物質を溶媒に分散させた状態(いわゆる触媒インク)にしている。
触媒インクを電解質膜に付着させる際には、製造設備の一つであり、吸着によって電解質膜を保持する保持部材の上に電解質膜を載置し、保持部材と当接していない一方の面に触媒インクを塗布する。そして、電解質膜を反転させ、電解質膜の他方の面に触媒インクを塗布する、といった方法が採用されている。燃料電池における電解質膜は薄膜であるため、保持部材は触媒インク塗布の際に電解質膜を保持できるように多孔状に形成され、真空引きなどによって、電解質膜を吸着して保持するように構成されている。電解質膜のような被処理物を吸着保持するものには、例えば真空吸着パッドがある(特許文献1参照)。
特開2010−135443号公報
触媒インクの塗布に特許文献1の真空吸着パッドを用いた場合、一方の面に触媒インクを塗布して電解質膜を反転させ、他方の面に触媒インクを塗布して電解質膜を真空吸着パッドから取り去る際に、真空吸着パッドと接していた触媒インクが真空吸着パッドに付着する場合がある。真空吸着パッドに触媒インクが付着する場合が生じる事によって、膜電極接合体を構成する電解質膜に付着するはずの、触媒インクに含まれる触媒物質の量がバラつき、膜電極接合体としての品質を劣化させてしまう、といった問題がある。
そこで本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、電解質膜に付着される触媒インクの付着を抑制可能な膜電極接合体の製造装置及び膜電極接合体の製造に用いられる保持部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、少なくとも電解質膜と当該電解質膜の両面に触媒層とを有する膜電極接合体の製造に用いられる保持部材と、吸引部と、塗布部と、を有する膜電極接合体の製造装置である。当該保持部材は、触媒層を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液を電解質膜の一方の面に付着させた状態で電解質膜の他方の面に触媒溶液を付着させるときに、一方の面に付着した触媒溶液と接触して電解質膜を保持する保持部を有する。吸引部は、保持部材の保持部に対して、一方の面に付着した触媒溶液と接触して電解質膜を吸着させる吸引部を備える。塗布部は電解質膜の両面に触媒物質を付着させる。本発明において、保持部は、通気性を有する多孔質体から形成され、電解質膜を気圧差によって吸着して保持自在であり、多孔質体の平均空孔径が触媒層の粒子径より小さく、触媒溶液に対する接触角が90度を超える表面性状を有することを特徴とする。
上記構成を有する本発明に係る膜電極接合体の製造装置によれば、電解質膜と接触する保持部は疎水性を有する為、触媒溶液が付着した電解質膜を当接させても、保持部に触媒溶液が付着することは難しく、保持部材への触媒溶液の付着を低減または抑制できる。そのため、保持部材に触媒溶液が付着することを防止して、電解質膜に付着する触媒物質の量を維持し、品質の良好な膜電極接合体を製造することができる。また、保持部は、通気性を有する多孔質体から形成され、吸引部により負圧を発生させる、という気圧差を利用して電解質膜を吸着して保持自在であるように構成している。そのため、気圧差を調整して電解質膜の吸着の有無を容易に切り替えることができ、保持部材において電解質膜の両面に迅速に触媒溶液を付着させることができる。また、保持部を構成する多孔質体の平均空孔径は、触媒層の粒子径より小さく構成している。これにより、保持部材に吸引力を生じさせた際の触媒溶液の多孔質体への吸引を防止でき、電解質膜からの触媒層の表面の剥離を防止して、膜電極接合体の品質バラつきや歩留まりの低下を抑制することができる。
燃料電池を構成する燃料電池セルの断面図である。 図2(A)は本発明の一実施形態に係る膜電極接合体の製造に用いられる保持部材を上方から見た斜視図、図2(B)は同保持部材を下方から見た斜視図である。 同実施形態に係る燃料電池の製造装置の主要部を示す断面図である。 同保持部材の多孔部を示す拡大断面図である。 図5(A)から(C)は本実施形態の対比例であって、一方の面に触媒物質が塗布された電解質膜を保持部材から取り去る様子を示す説明図である。 図6(A)は膜電極接合体を構成する電解質膜を形成する工程について説明する側面図、図6(B)は図6(A)の平面図である。 図7(A)から図7(D)は電解質膜に触媒層を形成する様子を示す説明図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は燃料電池を構成する燃料電池セルを示す断面図、図2(A)は本発明の一実施形態に係る膜電極接合体の製造に用いられる保持部材を上方から見た斜視図、図2(B)は同保持部材を下方から見た斜視図である。図3は同実施形態に係る燃料電池の製造装置の主要部を示す断面図、図4は同保持部材の多孔部を示す拡大断面図である。
本実施形態に係る製造方法又は製造装置、当該製造装置に含まれる保持部材を用いて製造される膜電極接合体210は、燃料電池の構成要素である。燃料電池は、図1に示すように電解質膜220の両面にアノード電極230とカソード電極240とを接合した膜電極接合体210を一対のセパレータ270、280によって挟持した燃料電池セル200を複数積層した積層体を主な構成要素とする。なお、図1において膜電極接合体210の外周部にはフレーム状部材290が取り付けられている。本実施形態に係る膜電極接合体210の製造装置は、膜電極接合体210における電解質膜220にアノード電極230又はカソード電極240を形成する際に電解質膜220を保持する保持部10を有する保持部材100と、保持部材100の保持部10に電解質膜220を吸着させる吸引部Vと、電解質膜220の両面に触媒溶液を付着させる塗布部370と、を有する。なお、膜電極接合体の製造装置におけるその他の構成は公知のものと同様であるため、説明を省略する。
図2〜図4を参照して保持部材100は、電解質膜220と電解質膜220の一方の面にアノード電極230及び他方の面にカソード電極240を構成する触媒層とを有する膜電極接合体210において、触媒層230を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液250を電解質膜220の一方の面に付着させた状態で他方の面に触媒層240を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液260を電解質膜220に付着させる際に特に用いられる。保持部材100は、電解質膜220を保持する保持部10を有し、保持部10は通気性を有する多孔質体20から形成される。また、保持部材100には吸引部Vと接続する吸引口30が設けられている。本実施形態において、保持部10は、触媒溶液250、260に対する接触角が90度を超える表面性状を有している。なお、本実施形態では、まずアノード電極230の触媒層を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液250を電解質膜220に付着させ、次に他方の面にカソード電極240の触媒層を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液260を付着させているが、順番は逆転していてもよい。以下、詳述する。
電解質膜220は、特に限定されず、高分子電解質からなる膜を挙げることができる。また、デュポン社製の各種のNafion(登録商標)やフレミオン(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレンー四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベース高分子とする樹脂膜など、一般的に市販されている高分子型電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
アノード電極230やカソード電極240を構成する触媒層では、水素による酸化反応と水素による還元反応とが進行する。触媒層230、240を構成する触媒物質は、触媒成分、触媒成分を担持する導電性担体、及びプロトン伝導性の高分子電解質を含む。カソード電極240を構成する触媒層では、酸素の還元反応に触媒作用を発揮できるものであれば特に制限はなく、公知の触媒を使用することができる。アノード電極230を構成する触媒層では、酸素の還元反応に触媒作用を有する機能以外に水素の酸化反応に触媒作用を発揮できるものであれば特に制限はなく、公知の触媒、例えば白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、及びそれらの合金などから選択される。
また、導電性担体は、触媒成分を所望の分散状態で担持させるための比表面積を有し、充分な電子導電性を有していればよく、主成分がカーボンである炭素系材料であることが好ましい。具体的にはカーボンブラック等を挙げることができる。
高分子電解質は特に限定されず従来公知の知見が適宜参照されうるが、例えば、上述した電解質膜を構成するイオン交換樹脂が高分子電解質として触媒層に添加されうる。
また、触媒物質に加えられる溶媒は特に限定されないが、水やエタノール等を挙げることができる。触媒物質に溶媒が加えられたものは、溶液または溶液を乾燥させたスラリーのような状態で電解質膜220に塗布される。
保持部10は、触媒溶液250が塗布された電解質膜220の一方の面と接触し、他方の面に触媒溶液260を塗布後、電解質膜220を取り払った際に触媒溶液250が付着しないように表面が研磨されている。保持部10は、図4に示すように算術平均粗さにしてRaが0.5μm以下となるように構成している。表面粗さを0.5μm以下としているのは、触媒層230、240の厚さが一般的に略10μmであり、バラつきも含めて保持部10の表面粗さが触媒層230、240の厚さの5%程度に抑えることを考慮していることによるものである。保持部10の表面が、表面粗さにして0.5μmを超える程度に粗く形成されていれば、電解質膜220に塗布された触媒溶液250,260との接触により、保持部10に付着する触媒溶液250,260が無視できない程に多くなって、膜電極接合体210の歩留まりを低下させてしまう。そのため、保持部10の表面粗さを触媒層230、240の厚さよりも十分に小さい表面粗さに研磨して平滑化することによって、保持部10に触媒溶液250が付着することを抑制して膜電極接合体210の歩留まりの低下を抑制することができる。
また、保持部10の形状は触媒溶液260の塗布の際に触媒層230の表面に転写され、触媒層230の表面の凸凹が大きすぎると燃料電池セルを積層して積層方向の両端から押圧荷重をかける際に特定箇所に押圧荷重が集中するおそれがある。燃料電池セルを積層して押圧する際の押圧力管理は、燃料電池の発電特性に影響を与え、精密な調整が必要となるが、上記のように保持部10の表面粗さを0.5μm以下程度の十分に小さな値にすることによって、特定箇所に押圧力が集中することをも防止して燃料電池の発電特性を良好にできる。
また、保持部10は、電解質膜220との接触部分が例えばフッ素系ポリマー溶液(商品名:エフトーンAT−100 ダイキン製)又はSEPTON(クラレ製品の商標であって、撥水性エラストマー)のジクロロメタン溶液に浸漬等されて、電解質膜220に塗布された触媒溶液250が付着しにくくなるように撥水性を付与する処理加工を施している。当該処理加工について一例を挙げれば、上記撥水性を付与する溶液に保持部材100と保持部材100を収容する容器を浸漬し、容器内の減圧と増圧を繰り返して保持部材100に溶液を十分に浸透させる。そして、容器を溶液から引き上げ、容器内の溶液を吸引しながら保持部材100の乾燥を行う方法がある。この方法によって、保持部材100の保持部10を構成する多孔質体20は、電解質膜220と接触する表面のみならず、保持部10の内部に当る部位も撥水処理されることになり、触媒溶液250の保持部10への付着を強力に防止することができる。つまり、上記処理加工が保持部10における電解質膜220との接触面表面にのみ行われている場合と比べて、機械的接触や酸化劣化などによる撥水処理膜の剥離をより起こりにくくして触媒溶液250の付着を防止することができる。さらに、多孔質体20の目詰まりや吸引不良についてもより強力に防止することができ、保守性を良好にすることができる。なお、保持部10に疎水性を付与するうえでは、少なくとも触媒溶液250が塗布された電解質膜220と接触する保持部10の表面に上記処理加工が施されていればよい。
ここで保持部10の表面における接触角について説明する。図5(A)から(C)は本実施形態の対比例であって、一方の面に触媒溶液が塗布された電解質膜を保持部材から取り去る様子を示す説明図である。
電解質膜220の各面に触媒層230、触媒層240を形成する際は、後述するように、一方の面に触媒溶液250を塗布して乾燥させて触媒層230を形成する。その後、電解質膜220を反転させて他方の面に触媒溶液260を塗布して乾燥させて触媒層240を形成している。触媒溶液250、260には電解質の樹脂が含まれることがある。一方の面に触媒溶液250を塗布して反転させた際に触媒溶液250の乾燥が不十分だと、保持部材に触媒層230の触媒物質に含まれる電解質の樹脂が、真空引き等によって吸着パッドに引き寄せられ、図5(A)に示す吸着パッドに形成された空孔20aに浸透し、図5(B)に示すように固着してしまう。また、一方の面に塗布した触媒溶液250を乾燥させた状態で電解質膜220の一方の面を保持部材に接触させたとしても、他方の面に触媒溶液260を塗布した際に、他方の面に塗布した触媒溶液260の溶媒が電解質膜220を浸透して触媒層230の触媒物質を湿潤させてしまう。そして、触媒物質に含まれる電解質の樹脂が溶媒に溶解し、真空引き等によって吸着パッドに引き寄せられ、吸着パッドに形成された空孔20aに浸透して固着してしまう。この状態で吸着パッドから電解質膜220を取り去ると、空孔20aで固着した電解質の樹脂251によって、図5(C)に示すように電解質膜220を取り去る際に触媒溶液250から構成される触媒層230の表面が剥がれる場合がある。触媒層230の表面が剥がれた場合、完成した膜電極接合体を有する燃料電池の発電特性に影響を及ぼすおそれがあると判断され、歩留まりを低下させるおそれがある。
これに対し、本実施形態では多孔質体20から形成される保持部10の触媒溶液に対する接触角を90度を越えるように構成している。接触角が90度を超えるということは、触媒溶液250,260と接触する保持部10の表面が濡れにくく、疎水性を備えていることと等しい。そのため、保持部10が接触角にして90度を超えるように構成することによって、多孔質体20への電解質の樹脂の浸透を防止して電解質膜220の表面が剥がれを防止し、完成品である膜電極接合体の歩留まりを向上させ、品質のバラつきを低減して、良好な品質を維持することができる。
また、保持部10の接触角が90度を超えるか否かを判別する測定方法としては、例えばJIS R3257に規定される静摘法や浸透速度法を挙げることができる。上記のように保持部10の内部まで接触角を90度超にする場合には浸透速度法によって確認することができる。
また、保持部10に電解質膜220に塗布された触媒溶液250を載置して乾燥させる際には、触媒溶液250によって表面が変質し、接触角や表面粗さが変わるおそれがあるため、熱耐久性や耐溶剤性の処理加工を行うことが好ましい。
保持部10の材料は特に限定されないが、カーボンや金属酸化物、タングステンカーバイド等を主に含むセラミックを挙げることができる。この中でもカーボンは、触媒溶液250を塗布した電解質膜220を載置して触媒溶液260を塗布する作業を繰り返しても、保持部に当る形状がふやけるような変形や強酸性の電解質溶液による劣化や腐食が起こり難いため、より好ましい。
多孔質体20は、保持部材100が真空ポンプなどの負圧を発生させる吸引部Vと接続されることによって、吸引部Vによって生じた負圧を保持部10における電解質膜220との接触面にまで通じさせるように通気性を有する。多孔質体20は、図4に示す平均空孔径davが0.5μm以下に構成されている。触媒層230、240を構成する触媒物質の平均粒子径は一般的に0.5μm以下で構成されることが多い。そのため、多孔質体20の平均空孔径davを触媒物質の粒子径以下にすることによって、保持部10に吸引力を発生させた際に触媒物質が多孔質体20から吸引されて電解質膜220上の触媒物質が奪われることを防止し、これによる膜電極接合体210の歩留まりの低下や品質のバラつきを抑制することができる。
また、保持部10が通気性を有する多孔質体20から形成され、吸引部Vを用いて負圧を発生させる、という気圧差を利用することによって、保持部10は電解質膜220を吸着して自在に保持することができる。そのため、気圧差を調整して電解質膜220の吸着の有無を容易に切り替えることができ、保持部材100によって電解質膜220の両面に触媒溶液250、260を迅速に塗布することができる。
吸引口30は、保持部10に吸引力を発生させるために設けられており、吸引口30は真空ポンプなどの吸引部Vと接続される。
次に本実施形態に係る保持部材を用いた膜電極接合体の製造について説明する。図6(A)は膜電極接合体を構成する電解質膜を形成する工程について説明する側面図、図6(B)は図6(A)の平面図である。また、図7(A)から図7(D)は電解質膜に触媒層を形成する様子を示す説明図である。膜電極接合体を構成する電解質膜は、市場で流通するものを取得した際にはロール状となっている。そのため、例えば図6(A)に示すように、ロール状の電解質膜220Rを送り出しロール310と巻き出しロール320とが対になった装置において送り出しロール310側に巻き付ける。そして、送り出しロール310から巻き出しロール320までの間に配置された搬送台330上において、例えば矩形状かつ四辺が刃付けされたカッター340を用いて電解質膜ロール220Rから矩形状の電解質膜220を打ち抜く。打ち抜かれた電解質膜220は、図6(B)に示すように、例えば電解質膜220をロール外へ移動させる搬送部材350によって、ロールの外へ送り出され、トレイ360に収集される。
電解質膜220に触媒層230、240を形成する工程は、触媒層230を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液250を電解質膜220の一方の面に付着させて触媒層230を形成する第1触媒層形成工程(図7(A)、7(B)参照)と、一方の面に触媒物質が付着した状態で他方の面に触媒溶液260を付着させて触媒層240を形成する第2触媒層形成工程(図7(C)、(D)参照)と、を有する。
矩形状に加工された電解質膜220は、ロボットハンドなどの搬送設備によって、図3に示す保持部材100上に載置される。第1触媒層形成工程において、電解質膜220を保持部材100に載置したら、保持部材100の吸引口30と接続された吸引部Vを作動させる。そして、保持部10に吸引力を発生させて、電解質膜220を保持し、図7(A)に示すようにスプレー塗布を行うノズル370によって、触媒溶液250を電解質膜220の一方の面に塗布し、所定時間乾燥を行う。これにより、図7(B)に示すように電解質膜220の一方の面に塗布された触媒溶液250の溶媒が蒸発して、触媒層230が形成される。
電解質膜220の片面に触媒層230を形成したら、第2触媒層形成工程において、電解質膜220を反転させて、図7(C)に示すように電解質膜220の他方の面に触媒溶液260を塗布し、所定時間乾燥を行う。これにより、図7(D)に示すように電解質膜220において触媒層230と反対側の面に塗布された触媒溶液260の溶媒が蒸発し、触媒層240が形成される。
電解質膜220の両面に触媒層230、240を形成できたら、触媒層230、240を傷付けないようにロボットハンド等で把持し、必要に応じてカーボンブラックなどからなるガス拡散層を積層し、ホットプレスを行って、各部材を一体化させる。これにより、膜電極接合体210が形成される。
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。触媒層を構成する触媒物質に溶媒を加えた触媒溶液を電解質膜に塗布する際、電解質膜は非常に薄いため、塗布の際には真空引きを行い、吸引力を生じさせて電解質膜を保持している。その場合、電解質膜の一方の面に触媒溶液を塗布し、反転させて他方の面に触媒溶液を塗布する際には、一方の面に塗布した触媒溶液が保持部材に付着することがある。当該部材に触媒溶液が付着すれば、触媒溶液に含まれる触媒物質が保持部材に付着してしまい、電解質膜上に触媒物質を規定量付着できていないことになり、完成品である膜電極接合体の品質のバラつきを生じさせたり、歩留まりを低下させる要因を生じさせてしまう。少量生産や試作段階であれば、作業者による調整で対応できるが、量産段階において同様の手法を採用すれば、生産性は著しく低下してしまう。
これに対し、膜電極接合体の製造に用いられる本実施形態に係る保持部材100は、電解質膜220と接触する保持部10の触媒溶液250,260に対する接触角が90度を超える表面性状を有するように構成している。表面性状とは、表面の形状や表面に施された表面処理加工を含み、これらによって接触角が90度を超えるように調整している。接触角が90度を超えるということは、電解質膜220と当接する保持部10が濡れ難いことと等価であり、液体が表面に付着しにくい性質を有することと等価になる。そのため、触媒溶液250を保持部10に付着しにくくすることができ、膜電極接合体210の品質バラつきを抑制して良好な品質を維持できるとともに歩留まりの低下をも抑制できる。また、作業者による調整を行わなくても膜電極接合体210の品質を良好にできるため、量産にも耐えうる生産性を実現することができる。
また、保持部10は、表面粗さRaを触媒層230の厚さの5%以下である0,5μm以下に形成している。表面が粗ければ触媒溶液250との接触面積が増えて、触媒溶液250が保持部10に付着しやすくなってしまうが、保持部10の表面を触媒層230の厚さの5%といった、触媒層230の厚さよりも十分に小さい表面粗さにまで平滑化することによって、触媒溶液250の保持部10への付着力を抑制して膜電極接合体210の品質バラつきや歩留まりの低下を抑制することができる。
また、保持部10は、通気性を有する多孔質体20から形成され、吸引部Vにより負圧を発生させる、という気圧差を利用して電解質膜220を吸着して保持自在であるように構成している。そのため、気圧差を調整して電解質膜220の吸着の有無を容易に切り替えることができ、保持部材100において電解質膜220の両面に迅速に触媒溶液250、260を付着させることができる。
また、保持部10を構成する多孔質体20の平均空孔径davは、触媒溶液250の粒子径の大きさ以下となるように構成している。これにより、保持部材100に吸引力を生じさせた際の触媒溶液250の多孔質体20への吸引を防止でき、電解質膜220からの触媒層230の表面の剥離を防止して、膜電極接合体210の品質バラつきや歩留まりの低下を抑制することができる。
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されず、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
保持部材100は、吸引部Vの発生する負圧による吸引力で触媒溶液250が付着した電解質膜220を保持する実施形態について説明したが、これに限定されない。上記以外にも、例えば静電気によって電解質膜220を吸着させて保持するように構成してもよい。
10 保持部、
100 保持部材、
20 多孔質体、
30 吸引口、
200 燃料電池セル、
210 膜電極接合体、
220 電解質膜、
220R ロール状の電解質膜、
230 アノード電極(触媒層)、
240 カソード電極(触媒層)、
250、260 触媒溶液、
251 触媒溶液中の電解質の樹脂、
270、280 セパレータ、
290 フレーム部材、
310 送り出しロール、
320 巻き出しロール、
330 搬送台、
340 カッター、
350 搬送部材、
360 トレイ、
370 塗布部、
V 吸引部。

Claims (2)

  1. 電解質膜と前記電解質膜の両面に触媒層とを有する膜電極接合体を製造するために用いられ、前記触媒層を構成する前記触媒物質に溶媒が加えられた触媒溶液を前記電解質膜の一方の面に付着させた状態で前記電解質膜の他方の面に前記触媒溶液を付着させるときに、前記一方の面に付着した前記触媒溶液と接触して前記電解質膜を保持する保持部を有する保持部材と、
    前記保持部材の前記保持部に対して、前記一方の面に付着した前記触媒溶液と接触して前記電解質膜を吸着させる吸引部と、
    前記電解質膜の両面に前記触媒物質を付着させる塗布部と、を有し、
    前記保持部は、通気性を有する多孔質体から形成され、前記電解質膜を気圧差によって吸着して保持自在であり、前記多孔質体の平均空孔径が前記触媒層の粒子径より小さく、前記触媒溶液に対する接触角が90度を超える表面性状を有している、膜電極接合体の製造装置
  2. 前記保持部は、表面粗さが算術平均粗さにおいてRa≦0.5となる表面形状を有する請求項1に記載の膜電極接合体の製造装置
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