JP2010225304A - 燃料電池用拡散層の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質基材のセパレータとの境界側部分の高排水性及び多孔質基材の薄層化が可能で、発電性能を向上できる拡散層を効率よく製造する。
【解決手段】多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する方法であって、多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材31を用いる。この基材31の表面に拡散層ペースト32を含浸塗布するペースト塗布工程I、上記基材31に含浸された拡散層ペースト32に対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程II、乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材31を焼成する焼成工程V、及び焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材31を2層境界面で剥離して2枚の拡散層42を得る剥離工程VIIを備える。2枚の拡散層42は、各々片面が高排水性を有し、剛性が増して薄層化可能である。
【選択図】図2
【解決手段】多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する方法であって、多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材31を用いる。この基材31の表面に拡散層ペースト32を含浸塗布するペースト塗布工程I、上記基材31に含浸された拡散層ペースト32に対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程II、乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材31を焼成する焼成工程V、及び焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材31を2層境界面で剥離して2枚の拡散層42を得る剥離工程VIIを備える。2枚の拡散層42は、各々片面が高排水性を有し、剛性が増して薄層化可能である。
【選択図】図2
Description
本発明は、多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て拡散層を得る燃料電池用拡散層の製造方法に関するものである。
従来、この種の技術としては特許文献1に記載の方法があった。
これは、多孔質基材の表面に、導電性材料、撥水性樹脂及び溶媒を含むペーストを含浸塗布した後、乾燥させて表面層を形成することにより燃料電池用拡散層を得るという方法である。
これは、多孔質基材の表面に、導電性材料、撥水性樹脂及び溶媒を含むペーストを含浸塗布した後、乾燥させて表面層を形成することにより燃料電池用拡散層を得るという方法である。
上記従来技術では、拡散層に貫通孔を形成することによって拡散層における排水性を向上しているが、貫通孔なしとした場合の多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の排水性の向上については考慮されてなく、排水性が高い拡散層を得ることができなかった。
また、1枚毎の拡散層製造であるため、生産効率が低かった。更に、発電性能向上のための多孔質基材の薄層化や、薄層化された多孔質基材のハンドリングの向上を含めて、薄層化された多孔質基材を用いてなる拡散層の生産性の向上についても考慮されてなく、多孔質基材の薄層化により発電性能を向上した拡散層を効率よく生産することが困難であった。
また、1枚毎の拡散層製造であるため、生産効率が低かった。更に、発電性能向上のための多孔質基材の薄層化や、薄層化された多孔質基材のハンドリングの向上を含めて、薄層化された多孔質基材を用いてなる拡散層の生産性の向上についても考慮されてなく、多孔質基材の薄層化により発電性能を向上した拡散層を効率よく生産することが困難であった。
本発明は、多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の高排水性及び多孔質基材の薄層化が可能で、発電性能を向上できる拡散層を効率よく製造できる燃料電池用拡散層の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は、燃料電池用拡散層の製造方法を下記各態様の構成とすることによって解決される。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴及びそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
以下の各項のうち、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、各々対応する。(3)項及び(4)項は請求項に係る発明ではない。
(1) 多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する燃料電池用拡散層の製造方法であって、前記多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材を用い、この多孔質基材に片面から拡散層ペーストを含浸塗布するペースト塗布工程と、前記多孔質基材に含浸された拡散層ペーストに対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程と、前記乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を焼成する焼成工程と、焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、その2層境界面において剥離して2枚の拡散層を得る剥離工程とを、具備することを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。
(2) 多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する燃料電池用拡散層の製造方法であって、前記多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材を用い、この多孔質基材に両面から拡散層ペーストを含浸塗布するペースト塗布工程と、前記多孔質基材に含浸された拡散層ペーストに対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程と、前記乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を焼成する焼成工程と、焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、その2層境界面において剥離して2枚の拡散層を得る剥離工程とを、具備することを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。
(3) 2層積層構造の多孔質基材が帯状に形成されて長さ方向に搬送され、前記ペースト塗布工程、ペースト乾燥工程、焼成工程及び剥離工程を経ることによって2枚の帯状に連続する拡散層を得ることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の燃料電池用拡散層の製造方法。
本項に記載の発明によれば、連続的かつ高効率に拡散層を製造できる。
(4) 前記焼成工程と剥離工程との間、又は前記剥離工程の後段に、前記焼成工程を経た拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、又は前記剥離工程を経た2枚の帯状に連続する拡散層を、長さ方向に定寸法で切断、分離する裁断工程を備えることを特徴とする(3)項に記載の燃料電池用拡散層の製造方法。
本項に記載の発明によれば、ペースト塗布工程から裁断工程まで連続するラインに、剥離工程を連ねることで単体の拡散層を2枚、連続的かつ高効率に拡散層を製造できる。
(2) 多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する燃料電池用拡散層の製造方法であって、前記多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材を用い、この多孔質基材に両面から拡散層ペーストを含浸塗布するペースト塗布工程と、前記多孔質基材に含浸された拡散層ペーストに対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程と、前記乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を焼成する焼成工程と、焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、その2層境界面において剥離して2枚の拡散層を得る剥離工程とを、具備することを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。
(3) 2層積層構造の多孔質基材が帯状に形成されて長さ方向に搬送され、前記ペースト塗布工程、ペースト乾燥工程、焼成工程及び剥離工程を経ることによって2枚の帯状に連続する拡散層を得ることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の燃料電池用拡散層の製造方法。
本項に記載の発明によれば、連続的かつ高効率に拡散層を製造できる。
(4) 前記焼成工程と剥離工程との間、又は前記剥離工程の後段に、前記焼成工程を経た拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、又は前記剥離工程を経た2枚の帯状に連続する拡散層を、長さ方向に定寸法で切断、分離する裁断工程を備えることを特徴とする(3)項に記載の燃料電池用拡散層の製造方法。
本項に記載の発明によれば、ペースト塗布工程から裁断工程まで連続するラインに、剥離工程を連ねることで単体の拡散層を2枚、連続的かつ高効率に拡散層を製造できる。
(1)項に記載の発明によれば、多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の高排水性及び多孔質基材の薄層化が可能で発電性能を向上できる拡散層を効率よく製造できる。しかも、多孔質基材への拡散層ペーストの塗布に用いる塗布手段が1つで済むという効果を有する。
(2)項に記載の発明によれば、多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の高排水性及び多孔質基材の薄層化が可能で発電性能を向上できる拡散層を効率よく製造できる。しかも、多孔質基材への拡散層ペーストの含浸塗布を迅速、高効率に行えるという効果を有する。
なお、(3)項、(4)項に記載の発明は、本発明(特許請求の範囲に記載した発明)ではないので、上記課題を解決するための手段の欄に、その効果を述べた。
(2)項に記載の発明によれば、多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の高排水性及び多孔質基材の薄層化が可能で発電性能を向上できる拡散層を効率よく製造できる。しかも、多孔質基材への拡散層ペーストの含浸塗布を迅速、高効率に行えるという効果を有する。
なお、(3)項、(4)項に記載の発明は、本発明(特許請求の範囲に記載した発明)ではないので、上記課題を解決するための手段の欄に、その効果を述べた。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
始めに、固体高分子型燃料電池の構成について説明する。
図1は、本発明による拡散層が適用される固体高分子型燃料電池(単セル)の概略構成図である。
図示するように、燃料電池1は、電解質膜11の一方の表面に酸素ガス等の酸化ガス(通常は、空気)が反応するカソード電極12Aを有し、他方の表面に水素ガス等の燃料ガスが反応するアノード電極12Bを有する膜−電極接合体10と、膜−電極接合体10のカソード電極12Aの表面に配置されるカソード側セパレータ20Aと、膜−電極接合体10のアノード電極12Bの表面に配置されるアノード側セパレータ20Bとを備える。膜−電極接合体10は、膜−電極アッセンブリ(Membrane Electrode Assembly:MEA)とも称される。この膜−電極接合体10において、燃料ガス及び酸化ガスが反応して発電出力が取り出される。
始めに、固体高分子型燃料電池の構成について説明する。
図1は、本発明による拡散層が適用される固体高分子型燃料電池(単セル)の概略構成図である。
図示するように、燃料電池1は、電解質膜11の一方の表面に酸素ガス等の酸化ガス(通常は、空気)が反応するカソード電極12Aを有し、他方の表面に水素ガス等の燃料ガスが反応するアノード電極12Bを有する膜−電極接合体10と、膜−電極接合体10のカソード電極12Aの表面に配置されるカソード側セパレータ20Aと、膜−電極接合体10のアノード電極12Bの表面に配置されるアノード側セパレータ20Bとを備える。膜−電極接合体10は、膜−電極アッセンブリ(Membrane Electrode Assembly:MEA)とも称される。この膜−電極接合体10において、燃料ガス及び酸化ガスが反応して発電出力が取り出される。
膜−電極接合体10の電解質膜11は、通常、イオン交換基を有する高分子膜からなる。電解質膜11は、特定のイオンと強固に結合し、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有する。
電解質膜11の表面に形成される電極12(カソード電極12A、アノード電極12B)は、触媒層13(カソード側触媒層13A、アノード側触媒層13B)と、拡散層14(カソード側拡散層14A、アノード側拡散層14B)とを有する。触媒層13は電解質膜11の表面に形成され、この触媒層13において燃料ガス又は酸化ガスが反応する。触媒層13は、白金、金、パラジウム等の貴金属触媒を、カーボンで担持した触媒担持カーボンと、触媒担持カーボンを電解質膜11と接着等する樹脂とを含む。
電解質膜11の表面に形成される電極12(カソード電極12A、アノード電極12B)は、触媒層13(カソード側触媒層13A、アノード側触媒層13B)と、拡散層14(カソード側拡散層14A、アノード側拡散層14B)とを有する。触媒層13は電解質膜11の表面に形成され、この触媒層13において燃料ガス又は酸化ガスが反応する。触媒層13は、白金、金、パラジウム等の貴金属触媒を、カーボンで担持した触媒担持カーボンと、触媒担持カーボンを電解質膜11と接着等する樹脂とを含む。
拡散層14は、ガス透過性及び水透過性を有し、触媒層13の表面に配置される。拡散層14は基材16(カソード側基材16A、アノード側基材16B)と表面層15(カソード側表面層15A、アノード側表面層15B)とを有する。表面層15は触媒層13の表面に配置され、基材16は表面層15の表面に配置される。
表面層15は導電性を有し、この導電性は、カーボンブラック等の粉末状の導電性材料や、炭素繊維等の繊維状の導電性材料により付与される。また表面層15は撥水性を有し、この撥水性は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素系樹脂等の撥水性樹脂により付与される。
基材16は、カーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質材料に撥水処理を施したものからなる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等の導電性材料と、フッ素樹脂等の撥水性樹脂と、水と、界面活性剤とを含む液状混合物を、カーボンペーパーに所定量、含浸させ、含浸後のカーボンペーパーを乾燥することによって基材16を製造できる。
上記のような膜−電極接合体10を備える燃料電池1において、燃料ガス及び酸化ガスが反応して電気が発生する機構、及び電気の発生に伴う水の生成機構について、以下に説明する。
図示する燃料電池1において、外部より燃料ガスがアノード側セパレータ20Bの燃料ガス流路21Bに供給される。燃料ガス流路21Bに沿って流れる燃料ガスのうち、一部がアノード側の拡散層14Bの基材16B側表面より内部へ浸入する。その他の未反応の燃料ガスは、そのまま燃料ガス流路21Bに沿って流れ、オフガスとして燃料電池1の外部へ排出される。
内部に浸入した燃料ガスは、基材16Bから表面層15Bに向けて拡散しつつ移動し、触媒層13Bへ到達する。触媒層13Bへ到達した燃料ガス(例えば、水素ガス)は、触媒層13Bにおいて反応し、プロトンと電子とを生じる。生成したプロトンは、電解質膜11の中を、アノード電極12B側からカソード電極12A側へ向けて移動する。生成した電子は、導電性を有するアノード側セパレータ20Bの中へ移動し、その後、燃料電池1の外部の回路(図示せず)を通る。
内部に浸入した燃料ガスは、基材16Bから表面層15Bに向けて拡散しつつ移動し、触媒層13Bへ到達する。触媒層13Bへ到達した燃料ガス(例えば、水素ガス)は、触媒層13Bにおいて反応し、プロトンと電子とを生じる。生成したプロトンは、電解質膜11の中を、アノード電極12B側からカソード電極12A側へ向けて移動する。生成した電子は、導電性を有するアノード側セパレータ20Bの中へ移動し、その後、燃料電池1の外部の回路(図示せず)を通る。
一方、外部より酸化ガスがカソード側セパレータ20Aの酸化ガス流路21Aに供給される。酸化ガス流路21Aに沿って流れる酸化ガスのうち、一部がカソード側の拡散層14Aの基材16A側表面より内部へ浸入する。その他の未反応の酸化ガスは、そのまま酸化ガス流路21Aに沿って流れ、オフガスとして燃料電池1の外部へ排出される。
内部へ浸入した酸化ガスは、基材16Aから表面層15Aの方へ向けて拡散しつつ移動し、触媒層13Aへ到達する。触媒層13Aへ到達した酸化ガス(例えば、酸素ガス)は、触媒層13Aにおいて、電解質膜11中を移動してきたプロトンと反応する。この反応には電子が必要であり、上記アノード電極12Bで生成した電子が、外部の回路(図示せず)を通り、カソード側セパレータ20Aの中を通ってカソード電極12Aの触媒層13Aへ供給される。
内部へ浸入した酸化ガスは、基材16Aから表面層15Aの方へ向けて拡散しつつ移動し、触媒層13Aへ到達する。触媒層13Aへ到達した酸化ガス(例えば、酸素ガス)は、触媒層13Aにおいて、電解質膜11中を移動してきたプロトンと反応する。この反応には電子が必要であり、上記アノード電極12Bで生成した電子が、外部の回路(図示せず)を通り、カソード側セパレータ20Aの中を通ってカソード電極12Aの触媒層13Aへ供給される。
このように、膜−電極接合体10における燃料ガス及び酸化ガスの反応により、電子がアノード電極12Bからカソード電極12Aへ流れることによって電気が発生する。また、カソード電極12Aの触媒層13Aにおいて、酸素ガスがプロトンと電子と反応すると水が生成する。
カソード電極12Aの触媒層13Aにおいて生成した水(生成水)は、拡散層14Aのセパレータ20A側へ排出される。すなわち、カソード側セパレータ20Aの酸化ガス流路21Aに入り、酸化ガスの流れに押されて酸化ガス流路21Aに沿って、オフガスと共に燃料電池1の外部へ排出される。
カソード電極12Aの触媒層13Aにおいて生成した水(生成水)は、拡散層14Aのセパレータ20A側へ排出される。すなわち、カソード側セパレータ20Aの酸化ガス流路21Aに入り、酸化ガスの流れに押されて酸化ガス流路21Aに沿って、オフガスと共に燃料電池1の外部へ排出される。
次に、本実施形態で用いられる多孔質基材について説明する。
燃料電池用拡散層の製造に用いられる多孔質基材(図1中の基材16に相当するもの)は発電性能の向上等のためには薄いほうがよいが、材質がもろいため、余り薄くすると拡散層製造時における搬送、ハンドリングに支障が生じる。1層で適宜の厚さを有する多孔質基材があるが、層厚が比較的薄い多孔質基材を2層積層して1枚の多孔質基材を形成しているもの(2層積層構造の多孔質基材)もある。
本実施形態は、このような2層積層構造の多孔質基材を用いて拡散層を製造する方法である。
燃料電池用拡散層の製造に用いられる多孔質基材(図1中の基材16に相当するもの)は発電性能の向上等のためには薄いほうがよいが、材質がもろいため、余り薄くすると拡散層製造時における搬送、ハンドリングに支障が生じる。1層で適宜の厚さを有する多孔質基材があるが、層厚が比較的薄い多孔質基材を2層積層して1枚の多孔質基材を形成しているもの(2層積層構造の多孔質基材)もある。
本実施形態は、このような2層積層構造の多孔質基材を用いて拡散層を製造する方法である。
図2は、本発明方法の一実施形態の説明図である。
図示するように本実施形態は、2層積層構造の多孔質基材(以下、2層多孔質基材と記す。)31を、拡散層ペースト塗布工程I、拡散層ペースト乾燥工程II、MPLペースト塗布工程III、MPLペースト乾燥工程IV、焼成工程V、裁断工程VI及び剥離工程VIIを順次通して燃料電池用の拡散層を製造する方法である。
図2では、帯状に形成された2層多孔質基材31を長さ方向に搬送させ、上記各工程I〜VIIを順次通して2枚の拡散層を連続的に得る方法を例示している。
2層多孔質基材31は、カーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質材料に撥水処理を施したものが2層積層された多孔質基材である。例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等の導電性材料と、フッ素樹脂等の撥水性樹脂と、水と、界面活性剤とを含む液状混合物を、カーボンペーパーに所定量、含浸させ、含浸後のカーボンペーパーを乾燥することによって製造された1層の多孔質基材を2層積層して製造できる。
図示するように本実施形態は、2層積層構造の多孔質基材(以下、2層多孔質基材と記す。)31を、拡散層ペースト塗布工程I、拡散層ペースト乾燥工程II、MPLペースト塗布工程III、MPLペースト乾燥工程IV、焼成工程V、裁断工程VI及び剥離工程VIIを順次通して燃料電池用の拡散層を製造する方法である。
図2では、帯状に形成された2層多孔質基材31を長さ方向に搬送させ、上記各工程I〜VIIを順次通して2枚の拡散層を連続的に得る方法を例示している。
2層多孔質基材31は、カーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質材料に撥水処理を施したものが2層積層された多孔質基材である。例えば、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等の導電性材料と、フッ素樹脂等の撥水性樹脂と、水と、界面活性剤とを含む液状混合物を、カーボンペーパーに所定量、含浸させ、含浸後のカーボンペーパーを乾燥することによって製造された1層の多孔質基材を2層積層して製造できる。
以下、各工程I〜VIIについて説明する。
まず、拡散層ペースト塗布工程Iでは、2層多孔質基材31に拡散層ペースト32を含浸塗布する。
図2は、2層多孔質基材31に片面(図示例では上面)から拡散層ペースト32を含浸塗布する例を示しているが、図3に示すように、2層多孔質基材31に両面(図示例では上下面)から拡散層ペースト32を含浸塗布するようにしてもよい。
図2に示す、片面からの拡散層ペースト32の含浸塗布例によれば、拡散層ペースト32の塗布手段が1つで済む。また図3に示す、両面からの拡散層ペースト32の含浸塗布例によれば、拡散層ペースト32の含浸塗布を迅速、高効率に行える。
まず、拡散層ペースト塗布工程Iでは、2層多孔質基材31に拡散層ペースト32を含浸塗布する。
図2は、2層多孔質基材31に片面(図示例では上面)から拡散層ペースト32を含浸塗布する例を示しているが、図3に示すように、2層多孔質基材31に両面(図示例では上下面)から拡散層ペースト32を含浸塗布するようにしてもよい。
図2に示す、片面からの拡散層ペースト32の含浸塗布例によれば、拡散層ペースト32の塗布手段が1つで済む。また図3に示す、両面からの拡散層ペースト32の含浸塗布例によれば、拡散層ペースト32の含浸塗布を迅速、高効率に行える。
拡散層ペースト32は、導電性材料、撥水性樹脂及び溶媒を含むペーストであって、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)混練カーボンペーストが用いられる。
拡散層ペースト32の塗布は、スプレー法、スクリーン印刷法、ロールコート法、ダイコート法等の塗工法により行われる。
図示例では、拡散層ペースト32をダイコート法によって2層多孔質基材31に塗布しており、図中33は、この際、塗布手段として用いられているダイコータを示す。
拡散層ペースト32の塗布は、スプレー法、スクリーン印刷法、ロールコート法、ダイコート法等の塗工法により行われる。
図示例では、拡散層ペースト32をダイコート法によって2層多孔質基材31に塗布しており、図中33は、この際、塗布手段として用いられているダイコータを示す。
拡散層ペースト乾燥工程IIでは、2層多孔質基材31に含浸された拡散層ペースト32に対して乾燥マイグレーションを施す。
乾燥マイグレーションとは、マイグレーション(含浸されたペースト等が、その乾燥が促進される方向に寄って行く現象。以下同じ。)を積極的に発生させながら2層多孔質基材31に含浸された拡散層ペースト32を乾燥することをいう。
乾燥マイグレーションとは、マイグレーション(含浸されたペースト等が、その乾燥が促進される方向に寄って行く現象。以下同じ。)を積極的に発生させながら2層多孔質基材31に含浸された拡散層ペースト32を乾燥することをいう。
図示例では、拡散層ペースト32が含浸塗布された2層多孔質基材31を、上下面に発熱体34を配設した乾燥炉35内を通して乾燥マイグレーションを施している。したがって、含浸された拡散層ペースト32は2層多孔質基材31の上下面側に各々移動しながら乾燥される。拡散層ペースト32を2層多孔質基材31の上下面側に均等に移動させ、2層多孔質基材31の2層境界面部分において拡散層ペースト32が最も疎の状態となるように、2層多孔質基材31に対して上下両面側から均等に加熱し、乾燥する。
2層多孔質基材31の2層境界面部分において拡散層ペースト32が最も疎の状態となるようにすれば、後述する剥離工程VIIにおける2層多孔質基材31の剥離が容易になる。また、本実施形態による拡散層を用いた単セルにおいて、セパレータとの境界側部分における排水性を高め、ひいては発電性能を高めることができる。
2層多孔質基材31の2層境界面部分において拡散層ペースト32が最も疎の状態となるようにすれば、後述する剥離工程VIIにおける2層多孔質基材31の剥離が容易になる。また、本実施形態による拡散層を用いた単セルにおいて、セパレータとの境界側部分における排水性を高め、ひいては発電性能を高めることができる。
MPLペースト塗布工程IIIでは、乾燥マイグレーションが施された2層多孔質基材31の拡散層ペースト32の各表面(図中、上下面)に、MPL成分を含む液状体(MPLぺースト)36をダイコータ37等により含浸塗布する。
例えば、アノード側とカソード側とで異なる拡散層を作製したい場合には上下面で異なる成分のMPLペースト36を、同じ拡散層を作製したい場合には上下面で同じ成分のMPLペースト36を含浸塗布する。
ここで、MPLとはマイクロポーラス層(微多孔質層)を指し、例えばPTFE等の撥水性樹脂とカーボンブラック等の導電性材料を主成分とするコーティング薄膜であり、本実施形態による拡散層構成に必須ではない。したがって、このMPLは用いなくてもよいが、水管理上で重要な役割を担っている。すなわちMPLは、成分比を適宜設定することによって、電解質膜中により多くの水分を保持する働きやMEA中の余分な水分を効率よく排出し、フラッディング(水詰まり)を抑えるという働きをする。
例えば、アノード側とカソード側とで異なる拡散層を作製したい場合には上下面で異なる成分のMPLペースト36を、同じ拡散層を作製したい場合には上下面で同じ成分のMPLペースト36を含浸塗布する。
ここで、MPLとはマイクロポーラス層(微多孔質層)を指し、例えばPTFE等の撥水性樹脂とカーボンブラック等の導電性材料を主成分とするコーティング薄膜であり、本実施形態による拡散層構成に必須ではない。したがって、このMPLは用いなくてもよいが、水管理上で重要な役割を担っている。すなわちMPLは、成分比を適宜設定することによって、電解質膜中により多くの水分を保持する働きやMEA中の余分な水分を効率よく排出し、フラッディング(水詰まり)を抑えるという働きをする。
MPLペースト乾燥工程IVでは、上記のようにMPLペースト36が含浸塗布された2層多孔質基材31に対して乾燥マイグレーションを施す。
この乾燥マイグレーションは、マイグレーションを積極的に発生させながら2層多孔質基材31上の拡散層ペースト32の各表面(図中、上下面)に含浸塗布されたMPLペースト36を乾燥することをいう。
この乾燥マイグレーションは、マイグレーションを積極的に発生させながら2層多孔質基材31上の拡散層ペースト32の各表面(図中、上下面)に含浸塗布されたMPLペースト36を乾燥することをいう。
図示例では、上記のようにMPLペースト36が含浸塗布された拡散層ペースト含浸塗布済みの2層多孔質基材31を、上下面に発熱体38を配設した乾燥炉39内を通して乾燥マイグレーションを施している。したがって、含浸塗布されたMPLペースト36は拡散層ペースト32の各表面(図示例では上下面)側に各々移動しながら乾燥される。MPLペースト36が2層多孔質基材31の各表面側に均等に移動し、かつ、2層多孔質基材31の各表面側が、MPLペースト36が密の状態となることが望ましいため、2層多孔質基材31に対して上下両面側から均等に加熱し、乾燥する。
MPLを用いない、つまりMPLペースト塗布工程IIIが省略される場合には、このMPLペースト乾燥工程IVも省略されることはいうまでもない。
MPLを用いない、つまりMPLペースト塗布工程IIIが省略される場合には、このMPLペースト乾燥工程IVも省略されることはいうまでもない。
焼成工程Vでは、MPLペースト乾燥マイグレーション工程IVを経た2層多孔質基材31を、例えば上下面に発熱体40を配設した焼成炉41内を通して焼成する。MPLペースト塗布工程III及びMPLペースト乾燥工程IVを省略した場合には、拡散層ペースト乾燥工程IIを経た2層多孔質基材31を、焼成炉41内を通して焼成する。
裁断工程VIでは、焼成工程Vを経た2層多孔質基材31を長さ方向に定寸法で切断、分離する。
裁断工程VIでは、焼成工程Vを経た2層多孔質基材31を長さ方向に定寸法で切断、分離する。
剥離工程VIIでは、裁断工程VIを経て分離された2層多孔質基材31につき、その2層境界面において剥離して2枚の拡散層42,42を得る。
得られた2枚の拡散層42,42は、いずれもMPLペースト36(MPLペースト36が省略されている場合は拡散層ペースト32)の表面、図示例では上に示す拡散層42においては図中、上側の面を、下に示す拡散層42においては図中、下側の面を、燃料電池(単セル)の触媒層側に向けて同触媒層に接合される。
得られた2枚の拡散層42,42は、いずれもMPLペースト36(MPLペースト36が省略されている場合は拡散層ペースト32)の表面、図示例では上に示す拡散層42においては図中、上側の面を、下に示す拡散層42においては図中、下側の面を、燃料電池(単セル)の触媒層側に向けて同触媒層に接合される。
以上述べたように本実施形態によれば、2層多孔質基材31が2枚に剥がされて基材部分の厚みが薄くなった拡散層42を製造できるので発電性能を向上できる。
この場合、多孔質基材部分のハンドリングは、単に薄くしただけの単体の多孔質基材に対しては行われない。本実施形態では、基材として2層多孔質基材31が用いられ、更に、この2層多孔質基材31の両面に拡散層ペースト32及びMPLペースト36(少なくとも拡散層ペースト32)を含浸塗布した後に焼成し、この焼成後の2層多孔質基材31を、又はこれを2枚に剥がして得られた多孔質基材(拡散層42)に対してハンドリングが行われる。
すなわち、多孔質基材単体の場合に比べて厚み、剛性共に増したペースト含浸塗布、焼成後の多孔質基材に対してハンドリングが行われることになり、多孔質基材部分のハンドリングは容易になる。また、最終的には2層多孔質基材31を2枚に剥がして2枚の、多孔質基材部分の厚みが薄い拡散層42,42を容易に製造できる。
この場合、多孔質基材部分のハンドリングは、単に薄くしただけの単体の多孔質基材に対しては行われない。本実施形態では、基材として2層多孔質基材31が用いられ、更に、この2層多孔質基材31の両面に拡散層ペースト32及びMPLペースト36(少なくとも拡散層ペースト32)を含浸塗布した後に焼成し、この焼成後の2層多孔質基材31を、又はこれを2枚に剥がして得られた多孔質基材(拡散層42)に対してハンドリングが行われる。
すなわち、多孔質基材単体の場合に比べて厚み、剛性共に増したペースト含浸塗布、焼成後の多孔質基材に対してハンドリングが行われることになり、多孔質基材部分のハンドリングは容易になる。また、最終的には2層多孔質基材31を2枚に剥がして2枚の、多孔質基材部分の厚みが薄い拡散層42,42を容易に製造できる。
更に、2枚の拡散層42,42を剥離工程VIIまで1ラインで連続的に同時に製造でき、生産効率が高い。2枚の拡散層42,42を連続的に同時に製造できことは、1つのMEAについてアノード側、カソード側の2枚の拡散層42,42を必要とすることから、その実用性は高い。
本実施形態では、拡散層ペースト32はアノード側、カソード側の2枚の拡散層42,42について共通なものとなるが、MPLペースト36については、多孔質基材31の拡散層ペースト32の各表面(図中、上下面)で異なる成分のMPLぺースト36を含浸塗布できる。したがって、アノード側、カソード側で異なる特性を有する2枚の拡散層42,42も得ることができ、しかもこの場合も、2枚の拡散層42,42を剥離工程VIIまで1ラインで連続的に同時に製造できる。
本実施形態では、拡散層ペースト32はアノード側、カソード側の2枚の拡散層42,42について共通なものとなるが、MPLペースト36については、多孔質基材31の拡散層ペースト32の各表面(図中、上下面)で異なる成分のMPLぺースト36を含浸塗布できる。したがって、アノード側、カソード側で異なる特性を有する2枚の拡散層42,42も得ることができ、しかもこの場合も、2枚の拡散層42,42を剥離工程VIIまで1ラインで連続的に同時に製造できる。
拡散層ペースト成分が2層多孔質基材31の2層境界面部分に含浸したままになっていると、この拡散層ペースト成分が熱可塑性を有するためにバインダ(のり)として機能してしまい、2層多孔質基材31の剥離が困難になる。
本実施形態では、拡散層ペースト乾燥工程IIにおいて、2層多孔質基材31に含浸された拡散層ペースト32に対して乾燥マイグレーションを施している。したがって、2層多孔質基材31の2層境界面部分においては拡散層ペースト32の成分がない状態となっており、剥離工程VIIにおける2層多孔質基材31の剥離が容易になるという効果もある。
本実施形態では、拡散層ペースト乾燥工程IIにおいて、2層多孔質基材31に含浸された拡散層ペースト32に対して乾燥マイグレーションを施している。したがって、2層多孔質基材31の2層境界面部分においては拡散層ペースト32の成分がない状態となっており、剥離工程VIIにおける2層多孔質基材31の剥離が容易になるという効果もある。
また、拡散層ペースト32に対する乾燥マイグレーションによっては、拡散層ペースト成分が拡散層42の片面側に偏在するようになる。したがって、この拡散層42の片面側を燃料電池の触媒層側に向け、これとは反対側の面(拡散層ペースト成分の少ない面)をガス、生成水の流路側に向けることにより、フラッディングが生じ難い拡散層42として用いることができる。すなわち、多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の高排水性が可能となって発電性能を向上できる。
更に、拡散層ペースト32に対する乾燥マイグレーションによっては、2層多孔質基材31の各表面(図中、上下面)側から2層境界面側に向けて、つまり、CCM(catalyst costing membrane:触媒被覆膜)方向からガス流路方向に向けて細孔径が大きくなるような傾斜構造をもたせることが可能となり、生成水の排水を促進することができる。
従来の1層の多孔質基材において、厚み方向に細孔径の傾斜構造をもたせると、細孔径の小さい方に収縮力が働くため多孔質基材に反りが発生する。この反りは、後処理時、例えばMPLペースト含浸塗布等の処理時において、ペースト塗布面の平面性を低下させ、ひいてはペースト塗布厚さを不均一とするため、好ましくない。
本実施形態では、2層多孔質基材31に含浸塗布された拡散層ペースト32に対して、2層多孔質基材31の各表面(図中、上下面)側から2層境界面側に向けて細孔径が大きくなるような傾斜構造をもたせるので、2層多孔質基材31の反りの発生は従来の1層の多孔質基材に比べて小さい。したがって後処理時、本実施形態ではMPLペースト含浸塗布等の処理時において、ペースト塗布面の平面性を低下させることはなく、ペースト塗布厚さを不均一とすることはない。
単体の拡散層42は、その後の剥離工程VIIを経て同時に2枚得られるもので、いずれの拡散層42共に、個々の多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の排水性は高い。
従来の1層の多孔質基材において、厚み方向に細孔径の傾斜構造をもたせると、細孔径の小さい方に収縮力が働くため多孔質基材に反りが発生する。この反りは、後処理時、例えばMPLペースト含浸塗布等の処理時において、ペースト塗布面の平面性を低下させ、ひいてはペースト塗布厚さを不均一とするため、好ましくない。
本実施形態では、2層多孔質基材31に含浸塗布された拡散層ペースト32に対して、2層多孔質基材31の各表面(図中、上下面)側から2層境界面側に向けて細孔径が大きくなるような傾斜構造をもたせるので、2層多孔質基材31の反りの発生は従来の1層の多孔質基材に比べて小さい。したがって後処理時、本実施形態ではMPLペースト含浸塗布等の処理時において、ペースト塗布面の平面性を低下させることはなく、ペースト塗布厚さを不均一とすることはない。
単体の拡散層42は、その後の剥離工程VIIを経て同時に2枚得られるもので、いずれの拡散層42共に、個々の多孔質基材の裏面側部分(セパレータとの境界側部分)の排水性は高い。
[実施例1]
厚さ200μmの2層多孔質基材(カーボンペーパーに撥水処理を施したものを2層積層してなる多孔質基材)の両面よりPTFE混練カーボンペーストからなる拡散層ペーストを塗布して室温で乾燥後、300℃にて焼成し、得られた2層多孔質基材の2層境界面において剥離して2枚の拡散層を作製した。
厚さ200μmの2層多孔質基材(カーボンペーパーに撥水処理を施したものを2層積層してなる多孔質基材)の両面よりPTFE混練カーボンペーストからなる拡散層ペーストを塗布して室温で乾燥後、300℃にて焼成し、得られた2層多孔質基材の2層境界面において剥離して2枚の拡散層を作製した。
[比較例1]
厚さ100μm(ハンドリング性を損なわない下限値)の、カーボンペーパーに撥水処理を施してなる多孔質基材の片面よりPTFE混練カーボンペーストからなる拡散層ペーストを塗布して室温で乾燥後、300℃にて焼成し、1枚の拡散層を作製した。
厚さ100μm(ハンドリング性を損なわない下限値)の、カーボンペーパーに撥水処理を施してなる多孔質基材の片面よりPTFE混練カーボンペーストからなる拡散層ペーストを塗布して室温で乾燥後、300℃にて焼成し、1枚の拡散層を作製した。
実施例1、比較例1における拡散層を用いた燃料電池100セル試作時の破断不具合の発生率(百分率)を示せば、以下の通りである。
実施例1… 0〔%〕
比較例1… 11〔%〕
実施例1… 0〔%〕
比較例1… 11〔%〕
実施例1によれば、1枚(1層)当たりの厚さが比較例1と同程度(ほぼ100μm)でありながら、破断不具合のない拡散層を作製できた。
比較例1においては、撥水剤の塗工時に撥水剤の重み、若しくは撥水剤塗出圧に、多孔質基材をなすカーボンペーパーの剛性が負け、搬送途中での破断が発生していた。
しかし実施例1においては、撥水剤の乾燥、更に焼成後に、2層多孔質基材の2層境界面において剥離して2枚の拡散層を作製する。つまり、2枚の厚みの薄い多孔質基材(カーボンペーパー)を得るという手順をとるため、製造工程内における破断不具合が発生し難くなったと考えられる。
比較例1においては、撥水剤の塗工時に撥水剤の重み、若しくは撥水剤塗出圧に、多孔質基材をなすカーボンペーパーの剛性が負け、搬送途中での破断が発生していた。
しかし実施例1においては、撥水剤の乾燥、更に焼成後に、2層多孔質基材の2層境界面において剥離して2枚の拡散層を作製する。つまり、2枚の厚みの薄い多孔質基材(カーボンペーパー)を得るという手順をとるため、製造工程内における破断不具合が発生し難くなったと考えられる。
なお、図2に示した実施形態では、裁断工程VIを剥離工程VIIの前段に置いたが、図4に例示するように、剥離工程VIIを裁断工程VIの前段に置いもよい。
裁断工程VIにつき、前者によれば1ライン済む(したがって工程I〜工程VIまでが1ラインとなる)のに対して、後者によれば2ライン(工程I〜工程V及び工程VIIまでが1ライン)となる。しかし剥離工程VIIについては、後者によれば焼成工程Vを経た2層多孔質基材31(帯状に連続する拡散層)について裁断工程VI前に連続的に剥離できる利点がある。
裁断工程VIにつき、前者によれば1ライン済む(したがって工程I〜工程VIまでが1ラインとなる)のに対して、後者によれば2ライン(工程I〜工程V及び工程VIIまでが1ライン)となる。しかし剥離工程VIIについては、後者によれば焼成工程Vを経た2層多孔質基材31(帯状に連続する拡散層)について裁断工程VI前に連続的に剥離できる利点がある。
31:2層多孔質基材(2層積層構造の多孔質基材)、32:拡散層ペースト、I:拡散層ペースト塗布工程、II:拡散層ペースト乾燥工程、V:焼成工程、VI:裁断工程、VII:剥離工程。
Claims (2)
- 多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する燃料電池用拡散層の製造方法であって、
前記多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材を用い、
この多孔質基材に片面から拡散層ペーストを含浸塗布するペースト塗布工程と、
前記多孔質基材に含浸された拡散層ペーストに対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程と、
前記乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を焼成する焼成工程と、
焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、その2層境界面において剥離して2枚の拡散層を得る剥離工程とを、
具備することを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。 - 多孔質基材に拡散層ペーストを含浸塗布し、乾燥及び焼成を含む工程を経て燃料電池用の拡散層を製造する燃料電池用拡散層の製造方法であって、
前記多孔質基材として2層積層構造の多孔質基材を用い、
この多孔質基材に両面から拡散層ペーストを含浸塗布するペースト塗布工程と、
前記多孔質基材に含浸された拡散層ペーストに対して乾燥マイグレーションを施すペースト乾燥工程と、
前記乾燥マイグレーションが施された拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を焼成する焼成工程と、
焼成した拡散層ペースト含浸塗布済みの多孔質基材を、その2層境界面において剥離して2枚の拡散層を得る剥離工程とを、
具備することを特徴とする燃料電池用拡散層の製造方法。
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