JP6818489B2 - 研磨パッド及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨パッド及びその製造方法に関する。特には、シリコン、ハードディスク、液晶ディスプレイ用のマザーガラス、半導体デバイスを研磨するための研磨パッド及びその製造方法に関する。
光学材料、半導体デバイス、ハードディスク、ガラス基板などの材料の表面には平坦性が求められるため、研磨パッドを用いた遊離砥粒方式の研磨が行われている。遊離砥粒方式は、研磨パッドと被研磨物の間に砥粒を含むスラリー(研磨液)を供給しながら被研磨物の加工面を研磨加工する方法である。
シリコン、ハードディスク、液晶ディスプレイ用のマザーガラス、半導体デバイス等の各種材料では、平坦性を確保するために研磨パッドを使用した研磨加工が行われている。
半導体デバイス等の研磨に用いる研磨パッドは、被研磨物の無欠陥化、平坦化特性が高度に要求されるようになり、仕上げ研磨工程を中心に軟質研磨パッドを利用するケースが増えている。
CMP技術では、生産性の効率化や歩留まり向上の観点から研磨レートを安定化させる必要がある。特に、研磨開始時の研磨速度は、定常状態での研磨速度に比べて小さくなるため、研磨速度がほぼ一定となるまでダミー研磨にかかる時間(立ち上げ処理時間)をより短縮することが求められる。
研磨布のナップ層の開口部の平均径を規定して、孔の開口している部分の面積よりも開口していない壁となる部分の面積を多くすることにより、立ち上げ処理時間を低減させる軟質研磨パッドが提案されている(特許文献1)。
ナップ層の表面に開口した気泡の開口径と表面から開口した気泡の最深部までの距離の比を規定して、研磨中において開口した気泡への研磨スラリーの流入、保持、排出が円滑に行われることにより、研磨レートの向上や安定した研磨特性を得るとともに、立ち上げ処理時間を短縮して生産性を向上させる軟質研磨パッドが提案されている(特許文献2)。
特開2006−075914号公報 特開2007−160474号公報
しかしながら、従来の軟質研磨パッドでは、被研磨物を何枚も研磨していくと研磨レートが変動してしまい、安定した研磨レートが得られなかった。そのため、被研磨物の研磨量にバラツキが生じやすく、製品の品質を一定に保つことが難しかった。
また、従来の軟質研磨パッドでは、立ち上げ処理に依然として時間を要しており、さらなる時間の短縮が必要とされていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、安定した研磨レートで継続的に被研磨物を研磨することができる研磨パッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、立ち上げ処理時間を無くす或いは極力短くすることができる研磨パッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。
<1> 湿式成膜法により形成される複数の涙形状気泡と、当該涙形状気泡よりもサイズの小さい複数の微小気泡とを内在するポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、
前記ポリウレタン樹脂シートは、被研磨物を研磨するための研磨面を有し、
前記微小気泡は、前記ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、1〜20μmの開口径を有する開口部を形成する気泡であり、且つ、
前記厚さ方向の任意の切断面において、前記1〜20μmの開口径を有する開口部の総面積に占める10〜20μmの開口径を有する開口部の総面積の割合が15〜60%である、前記研磨パッド。
<2> 前記ポリウレタン樹脂シートの前記切断面において、前記1〜20μmの開口径を有する開口部の個数に占める前記10〜20μmの開口径を有する開口部の個数の割合が、4.5〜30%である、<1>に記載の研磨パッド。
<3> 前記研磨パッドの20℃における厚みをAとし、前記研磨パッドの20〜60℃の間で最も厚みが大きくなる温度での厚みをBとするとき、下記式で求められる熱膨張率Xが3%未満である、<1>又は<2>に記載の研磨パッド。
熱膨張率X=(B−A)/A×100
<4> 前記ポリウレタン樹脂シートの前記切断面において、10000μm2あたり10〜20μmの開口径を有する開口部が6〜50個存在する、<1>〜<3>のいずれかに記載の研磨パッド。
<5> ポリウレタン樹脂及び酢酸セルロースを含むポリウレタン樹脂含有溶液を調製する工程、
前記ポリウレタン樹脂含有溶液を成膜基材上に塗布する工程、及び
前記溶液が塗布された成膜基材を凝固液に浸漬して前記溶液を凝固する工程、
を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法。
<6> 前記ポリウレタン樹脂含有溶液を1.3〜3.0mmの厚みで成膜基材上に塗布する、<5>に記載の製造方法。
<7> 前記ポリウレタン樹脂含有溶液が、疎水性添加剤を更に含む、<5>又は<6>に記載の製造方法。
本発明の研磨パッドは、安定した研磨レートで継続的に被研磨物を研磨することができる。また、本発明の研磨パッドは、立ち上げ処理時間を無くす或いは極力短くすることができる。
図1は、比較例1の研磨パッドに使用したポリウレタン樹脂シートの厚み方向断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(倍率50倍)である。 図2は、実施例1の研磨パッドに使用したポリウレタン樹脂シートの厚み方向断面のSEM画像(倍率50倍)である。 図3は、比較例1の研磨パッドに使用したポリウレタン樹脂シートの厚み方向断面のSEM画像(倍率200倍)である。 図4は、実施例1の研磨パッドに使用したポリウレタン樹脂シートの厚み方向断面のSEM画像(倍率200倍)である。 図5は、比較例1の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂シートを厚み方向に切断して得られる断面のSEM写真(倍率600倍)である。 図6は、実施例1の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂シートを厚み方向に切断して得られる断面のSEM写真(倍率600倍)である。 図7は、20℃〜60℃の範囲内で実施例1及び比較例1の研磨パッドの温度を変化させた場合に、各研磨パッドの20℃における厚みに対してどの程度厚みが増大したか(熱膨張したか)を示す図である。 図8は、20℃〜60℃の範囲内で実施例2及び比較例2〜4の研磨パッドの温度を変化させた場合に、各研磨パッドの20℃における厚みに対してどの程度厚みが増大したか(熱膨張したか)を示す図である。 図9は、実施例1及び比較例1の研磨パッドを用いて1〜100枚の被研磨物を研磨したときの研磨レートの結果を表す図である。横軸の数値は被研磨物の処理枚数を表す。縦軸の数値は、研磨レートを表す(単位はÅ)。 図10は、実施例2及び比較例2〜4の研磨パッドを用いて1〜100枚の被研磨物を研磨したときの研磨レートの結果を表す図である。横軸は被研磨物の処理枚数を表す。縦軸の数値は、研磨レートを表す(単位はÅ)。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本明細書及び特許請求の範囲において、「開口径」とは、ポリウレタン樹脂シートを任意の断面で切断したときに、当該断面に存在する開口部(開口部とは、当該断面において開口を形成している部分をいう)の面積を基に算出される円相当直径を意味する。円相当直径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)により、600倍で撮影し、ポリウレタン研磨シートの断面画像を二値化処理し、各気泡部分の面積から算出した円相当直径である(すなわち、気泡の断面形状を当該気泡の面積と同一面積を有する円に置き換えたときの、当該円の直径である)。
円相当直径は、以下の式により求めることができる。
π×(D×1/2)2=S
(式中、円相当直径をDとし、開口部の面積をSとする。)
本明細書及び特許請求の範囲において、湿式成膜法とは、成膜する樹脂を有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液をシート状の基材に塗布後、該有機溶媒は溶解するが該樹脂は溶解しない凝固液中に通して該有機溶媒を置換し、凝固させ、乾燥して気泡層を形成する方法を意味する。通常、湿式成膜法によりポリウレタン研磨シートを製造すると、形成された層は多孔質構造に形成されるのであるが、そのメカニズムは前記凝固液中を通して凝固する際に、溶媒が凝固液中に抜ける時に抜け道が空洞となって、この空洞部が研磨シートの気泡(涙形状気泡)となる(図4のP)。この際、涙形状気泡とともに、涙形状気泡よりも小さな微小気泡が該研磨シート全体に形成される(図4のM、図6)。
また、涙形状気泡は、異方性があり、一般的に、研磨パッドの研磨層表面から底部に向けて径が大きい構造を有する。図4を見れば明らかなように、涙形状気泡は、微小気泡に比べるとはるかに大きな断面積又は体積を有する。したがって、涙形状気泡と微小気泡とは容易に区別することができる。
涙形状気泡は、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときに、20μmより大きい開口径を有する。従って、湿式成膜法により形成される複数の涙形状気泡を含むポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときに、20μmより大きい開口径を有する複数の開口部(涙形状の開口部)を含むポリウレタン樹脂シートと言い換えることができる。涙形状気泡は、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときに、30μm以上の開口径を有していてもよく、50μm以上の開口径を有していてもよく、80μm以上の開口径を有していてもよく、100μm以上の開口径を有していてもよい。
また、涙形状気泡は、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときに、400μm2より大きい面積を有していてもよく、900μm2以上の面積を有していてもよく、2500μm2以上の面積を有していてもよく、6400μm2以上の面積を有していてもよく、10000μm2以上の面積を有していてもよい。
本明細書及び特許請求の範囲において、微小気泡は、湿式成膜法により形成される略涙形状の気泡よりも小さい緻密な気泡であって、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときに、1〜20μmの開口径(円相当直径)を有する開口部を形成する気泡である。
本明細書及び特許請求の範囲において、厚さ方向とは、ポリウレタン研磨シートの被研磨物と接触する面(研磨面)と直行する角度で、該研磨面から、該研磨面とは反対側の面へと向かう方向を意味する。
<<研磨パッド>>
本発明の研磨パッドは、湿式成膜法により形成される複数の涙形状気泡と、当該涙形状気泡よりもサイズの小さい複数の微小気泡とを含むポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、前記ポリウレタン樹脂シートは、被研磨物を研磨するための研磨面を有し、前記微小気泡は、前記ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、1〜20μmの開口径を有する開口部を形成する気泡であり、且つ前記厚さ方向の任意の切断面において、前記1〜20μmの開口径を有する開口部の総面積(S1)に占める10〜20μmの開口径を有する開口部の総面積(S2)の割合(S2/S1×100)が15〜60%である、前記研磨パッドである。
本発明のポリウレタン樹脂シートは、複数の涙形状気泡(図4のP)及び複数の微小気泡(図4のM、図6の気泡)を有する。また、通常、涙形状気泡の周囲に存在する微小気泡は、網目状に連通しており、気泡が連続気泡状に形成された連続気泡構造を有する。本発明のポリウレタン樹脂シートは、従来のポリウレタン樹脂シートに比べて、気泡径の大きな微小気泡を多く含む。涙形状気泡に連通する微小気泡のサイズおよび量が大きいため、研磨スラリーを速やかに保持し、研磨面直下の領域に研磨スラリーをより多く蓄えることができる。これにより、立ち上がり処理時間が早まり、研磨面に十分な量のスラリーを保持することができるため、研磨安定性に優れる。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、1〜20μmの開口径を有する開口部の総面積に占める10〜20μmの開口径を有する開口部の総面積の割合が15〜60%である。前記割合は、15〜50%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましく、30〜50%であることがさらにより好ましく、40〜50%であることが特に好ましい。1〜20μmの開口径を有する開口部の総面積に占める10〜20μmの開口径を有する開口部の総面積の割合が上記範囲内であると、安定した研磨レートで継続的に被研磨物を研磨することができる。また、立ち上げ処理時間を無くす或いは極力短くすることができる。さらには、被研磨物の面全体をムラなく研磨することが出来、研磨均一性に優れる。
ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときの切断面における開口部の開口径の測定は、例えば、当該切断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(好ましくは切断面を100倍〜1000倍、より好ましくは400〜800倍、さらにより好ましくは約600倍に拡大したSEM画像)を用いて行うことができる。このとき、SEM画像の測定領域に涙形状気泡が存在しても存在しなくてもよいが、涙形状気泡が存在しないことが好ましい。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、1〜20μmの開口径を有する開口部の個数に占める前記10〜20μmの開口径を有する開口部の個数の割合が、4.5〜30%であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましく、8〜20%であることがさらにより好ましく、10〜20%であることが特に好ましい。1〜20μmの開口径を有する開口部の個数に占める前記10〜20μmの開口径を有する開口部の個数の割合が上記範囲内であると、研磨レートの安定性を更に向上させることができる。
ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときの切断面における開口部の個数の測定は、例えば、当該切断面のSEM画像(好ましくは切断面を100倍〜1000倍、より好ましくは400〜800倍、さらにより好ましくは約600倍に拡大したSEM画像)を用いて行うことができる。このとき、SEM画像の測定領域に涙形状気泡が存在しても存在しなくてもよいが、涙形状気泡が存在しないことが好ましい。
本発明の研磨パッドは、前記研磨パッドの20℃における厚みをAとし、前記研磨パッドの20〜60℃の間で最も厚みが大きくなる温度での厚みをBとするとき、下記式で求められる熱膨張率Xが3%未満であることが好ましく、2.8%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることがさらにより好ましく、2%以下であることがさらにより好ましい。熱膨張率Xの下限値に特に制限はないが、0%であってもよく、0.1%であってもよく、0.5%であってもよい。
熱膨張率X=(B−A)/A×100
熱膨張率Xが上記範囲内であると、研磨時に研磨摩擦熱により研磨パッドの温度が上昇しても、研磨パッドの膨張が抑制され、形態安定性に優れることから、研磨レート安定性向上に寄与する。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、10000μm2(すなわち、100μm×100μmの断面)あたり10〜20μmの開口径を有する開口部が6〜50個存在することが好ましく、8〜40個存在することがより好ましく、8〜30個存在することがさらにより好ましく、9〜25個存在することがさらにより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときの切断面10000μm2における10〜20μmの開口部の個数の測定は、例えば、当該切断面のSEM画像(好ましくは切断面を200倍〜1000倍、より好ましくは400〜800倍、さらにより好ましくは約600倍に拡大したSEM画像)を用いて行うことができる。このとき、測定領域に巨大な涙形状気泡が存在すると、10〜20μmの開口部の個数が存在し得る領域が実質的に制限されるため、切断面中の測定領域10000μm2の表面に涙形状気泡が存在しないことが好ましい。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、10000μm2(すなわち、100μm×100μmの断面積を有する断面)あたり1〜20μmの開口径を有する開口部が50〜400個存在することが好ましく、70〜400個存在することがより好ましく、80〜300個存在することがさらにより好ましく、90〜250個存在することがさらにより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向の任意の断面で切断したときの切断面10000μm2における1〜20μmの開口部の個数の測定は、例えば、当該切断面のSEM画像(好ましくは切断面を100倍〜1000倍、より好ましくは400〜800倍、さらにより好ましくは約600倍に拡大したSEM画像)を用いて行うことができる。このとき、測定領域に巨大な涙形状気泡が存在すると、1〜20μmの開口部の個数が存在し得る領域が実質的に制限されるため、切断面中の測定領域10000μm2の表面に涙形状気泡が存在しないことが好ましい。
(厚み)
本発明の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂シートの厚みに特に制限はないが、例えば、0.80〜1.50mm、好ましくは0.90〜1.30mmの範囲で用いることができる。
ポリウレタン樹脂シートは、ポリウレタン樹脂を含む。ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、又はポリカーボネート系の樹脂を用いることができる。
ポリエステル系の樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリエーテル系の樹脂としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリカーボネート系の樹脂としては、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
(モジュラス)
モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を断面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。
ポリウレタン樹脂は、1〜20MPaの100%モジュラスを有することが好ましく、2〜10MPaであることがより好ましい。100%モジュラスが上記範囲内であると、被研磨物に対しスクラッチなどの研磨傷の発生を抑制できるため好ましい。
ポリウレタン樹脂シートは、上記成分の他に、酢酸セルロース、疎水性添加剤、カーボンブラックなどのフィラー、発泡助剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面及び/又は研磨面とは反対側の面が研削処理(バフ処理)されていてもよい。これらの中でも、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面が研削処理されていることが好ましい。これにより、研磨面に微小気泡由来の開口部及び涙形状気泡の開口部が多数存在することとなり、当該開口部を通じてスラリーの保持量が増すことで研磨レートの安定性が向上する。
また、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートの研磨面に、溝加工、エンボス加工及び/又は穴加工(パンチング加工)が施されていてもよい。本発明の研磨パッドは、光透過部を備えていてもよい。
また、本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂シートのみからなる単層構造であってもよく、ポリウレタン樹脂シート(研磨層)の研磨面とは反対側の面に基材を貼り合わせた複層からなっていてもよい。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリウレタン樹脂を含浸した不織布製、ポリエチレンフォームなどの発泡体などが挙げられる。基材の特性に特に制限はないが、形態安定性の観点からポリウレタン樹脂シートよりも硬い(A硬度又はD硬度が大きい)ことが好ましい。
本発明の研磨パッドは、シリコン、ハードディスク、ガラス基板、液晶ディスプレイ用マザーガラス、半導体ウエハ、半導体デバイスなどの研磨、特に半導体デバイスの化学機械研磨(CMP)に好適に用いることが出来る。
<<研磨パッドの製造方法>>
本発明の研磨パッドは、例えば、本発明の製造方法により得ることができる。本発明の製造方法は、ポリウレタン樹脂及び酢酸セルロースを含むポリウレタン樹脂含有溶液を調製する工程、前記ポリウレタン樹脂含有溶液を成膜基材上に塗布する工程、及び前記溶液が塗布された成膜基材を凝固液に浸漬して前記溶液を凝固する工程を含む。
以下、各工程について説明する。
<ポリウレタン樹脂含有溶液の調製工程>
本工程では、ポリウレタン樹脂及び酢酸セルロースを、例えばポリウレタン樹脂を溶解することのできる水混和性の有機溶媒に溶解し、ポリウレタン樹脂含有溶液を調製する。以下、ポリウレタン樹脂含有溶液に含まれ得る成分について説明する。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン研磨シートの材料となるポリウレタン樹脂を含む。ポリウレタン樹脂としては、研磨パッドの説明の中で挙げたポリウレタン樹脂を用いることができる。
(酢酸セルロース)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン樹脂以外に、酢酸セルロースを含む。酢酸セルロースを含むことにより、微小気泡のサイズを大きくすることができ、ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の断面において1〜20μmの開口径を有する開口部に対する10〜20μmの開口径を有する開口部の面積割合及び個数割合を増大させることができる。
酢酸セルロースは、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部の量でポリウレタン樹脂含有溶液に含まれることが好ましく、0.2〜5質量部の量がより好ましく、0.5〜3質量部の量がさらにより好ましい。
(有機溶媒)
前記有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解することができ且つ水混和性であれば特に制限なく用いることが出来る。例としては、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトンなどが挙げられる。これらの中でも、DMF又はDMAcが好ましく用いられる。
有機溶媒は、ポリウレタン樹脂含有溶液中の固形分濃度が、好ましくは15〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%であり、さらにより好ましくは20〜35質量%となるような量でポリウレタン樹脂含有溶液中に含まれることが好ましい。上記範囲内の濃度であれば、ポリウレタン樹脂含有溶液が適度な流動性を有し、後の塗布工程において成膜基材上に均一に塗布することができる。
(水)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリウレタン樹脂及び酢酸セルロース以外に、水を含むことが好ましい。水を含むことにより、微小気泡のサイズを更に大きくすることができる。また、成膜性が向上する。
水は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部含まれることが好ましく、1〜20質量部含まれることがより好ましく、5〜18質量部含まれることがさらにより好ましい。
(疎水性添加剤)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、上記成分に加えて、疎水性添加剤を更に含むことが好ましい。すなわち、疎水性添加剤を、他の成分とともに有機溶媒に溶解し、ポリウレタン樹脂含有溶液を得ることが好ましい。
疎水性添加剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどのノニオン性界面活性剤や、アルキルカルボン酸などのアニオン性界面活性剤、あるいは、シリコン系ノニオン性界面活性剤などのシリコン系界面活性剤が挙げられる。これらの中で、シリコン系ノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
疎水性添加剤は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部含まれることが好ましく、0.1〜20質量部含まれることがより好ましく、1〜20質量部含まれることがさらにより好ましく、3〜18質量部含まれることがさらにより好ましい。
(その他の成分)
ポリウレタン樹脂含有溶液は、上記成分の他に、カーボンブラック、発泡助剤、界面活性剤などを更に含んでいてもよい。
<塗布工程>
上記で得られたポリウレタン樹脂含有溶液を、例えば、ナイフコーター、リバースコーター等により成膜基材上に略均一となるように、連続的に塗布する。成膜基材としては、本技術分野で通常用いられる基材であれば特に制限なく用いることができる。成膜基材の例としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の可撓性のある高分子フィルム、弾性樹脂を含浸固着させた不織布等が挙げられ、中でもポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
塗布工程では、前記ポリウレタン樹脂含有溶液を1.3〜3.0mmの厚みで成膜基材上に塗布することが好ましく、1.3〜2.5mmの厚みで成膜基材上に塗布することがより好ましく、1.4〜2.0mmの厚みで成膜基材上に塗布することがさらにより好ましい。上記範囲内の厚みで塗布することにより、微小気泡が十分に形成され、形成されるポリウレタン樹脂シートの厚みの均一性も維持することができる。
上記範囲内の厚みで塗布する方法に特に制限はないが、例えば、ナイフコーターと成膜基材との間隙(クリアランス)を調製することにより、上記範囲内の厚みで塗布することができる。
<凝固工程>
ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された基材を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液に浸漬する。
凝固液としては、水、水とDMF等の極性溶媒との混合溶液などが用いられる。極性溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解するのに用いた水混和性の有機溶媒、例えばDMF、DMAc、THF、DMSO、NMP、アセトンが挙げられる。また、混合溶媒中の極性溶媒の濃度は0.5〜30質量%が好ましい。
凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば5〜80℃(好ましくは5〜30℃)で5〜100分間(好ましくは40〜80分間)浸漬すればよい。
<洗浄乾燥>
凝固浴で凝固させて得られたシート状のポリウレタン樹脂を成膜基材から剥離した後又は剥離せずに、洗浄、乾燥処理を行う。
洗浄処理により、ポリウレタン樹脂中に残留する有機溶媒が除去される。洗浄に用いられる洗浄液としては、水が挙げられる。
洗浄後、ポリウレタン樹脂を乾燥処理する。乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば80〜150℃で5〜60分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記の工程を経て、ポリウレタン研磨シートを得ることができる。
本発明の研磨パッドの製造方法においては、必要に応じて、ポリウレタン樹脂シートの研磨面及び/又は研磨面とは反対側の面を研削処理してもよい。また、ポリウレタン樹脂シートの研磨面に、溝加工、エンボス加工及び/又は穴加工(パンチング加工)を施してもよく、基材をポリウレタン樹脂シートと張り合わせてもよい。さらに、ポリウレタン樹脂シート及び/又は研磨パッドに光透過部を設けてもよい。
研削処理の方法に特に制限はなく、公知の方法により研削することができる。具体的には、サンドペーパーによる研削が挙げられる。
溝加工及びエンボス加工の形状に特に制限はなく、例えば、格子型、同心円型、放射型などの形状が挙げられる。
基材を貼り合せて複層構造とする場合には、複数の層同士を両面テープや接着剤などを用いて、必要により加圧しながら接着・固定すればよい。この際用いられる両面テープや接着剤に特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープや接着剤の中から任意に選択して使用することが出来る。
その後、ポリウレタンシートの研磨面とは反対側の面、又は基材のポリウレタンシートと貼り合わされている面とは反対側の面に両面テープが貼り付けられ、所定形状、好ましくは円板状にカットされて、本発明の研磨パッドとして完成する。両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープの中から任意に選択して使用することが出来る。
本発明の研磨パッドを使用するときは、研磨パッドをポリウレタン樹脂シートの研磨面が被研磨物と向き合うようにして研磨機の研磨定盤に取り付ける。そして、研磨剤スラリーを供給しつつ、研磨定盤を回転させて、被研磨物の加工表面を研磨する。
本発明の研磨パッドにより加工される被研磨物としては、ハードディスク、ガラス基板、薄型ディスプレイ用マザーガラス、半導体ウエハ、半導体デバイスなどが挙げられる。中でも、本発明の研磨パッドは、半導体デバイスを化学機械研磨(CMP)加工するのに好適に用いられる。
上記の通り、本発明の研磨パッドは、安定した研磨レートで継続的に被研磨物を研磨することができる。その理由は明らかではないが、次のように推測される。すなわち、被研磨物を何枚も研磨処理すると摩擦熱により研磨パッドの研磨面付近の温度が上昇するが、10〜20μmの開口部の割合が高いポリウレタン樹脂シートを含む本発明の研磨パッドは、同種類のポリウレタンを含むが10〜20μmの開口部の割合が低い従来のポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドに比べて熱膨張しにくい。そのため、研磨パッドの形状が変化しにくく、被研磨物の研磨処理枚数にかかわらず安定した研磨レートが得られるものと考えられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」とは、質量部を意味する。
[比較例1]
100%モジュラス3.5MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂含有DMF溶液(固形分濃度30質量%)(100部)、DMF(40部)、貧溶媒である水(2部)、ノニオン系疎水性添加剤(5部)を混合することにより、樹脂含有溶液を得た。
得られた樹脂含有溶液を、ポリエステルフィルム(厚さ:188μm)上にキャストした。樹脂溶液を成膜基材上に塗布する際に、塗布装置のクリアランスを1.4mmに設定した。その後、樹脂含有溶液をキャストしたポリエステルフィルムを凝固浴(凝固液は水)に18℃で60分間浸漬し、該樹脂含有溶液を凝固させた後、洗浄・乾燥させて、ポリウレタン樹脂シートを得た。
得られたポリウレタン樹脂シートの表面に形成されたスキン層側に研削処理を施した(研削量:200μm)。その後、ポリウレタン樹脂シートの研削処理面とは反対側の面にPET基材を接着剤を介して貼り合わせ、ポリウレタン樹脂シートの研削処理面側を格子状の金型でエンボス加工後、PET基材と両面テープとを貼り合わせ、厚さ1.25mmの研磨パッドを得た。
[実施例1]
100%モジュラス3.5MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂含有DMF溶液(固形分濃度30質量%)(100部)、DMF(40部)、貧溶媒である水(2部)、シリコン系ノニオン性界面活性剤(5部)、および、20%酢酸セルロースDMF溶液(2部)を混合することにより、樹脂含有溶液を得た。
得られた樹脂含有溶液を、ポリエステルフィルム(厚さ:188μm)上にキャストした。樹脂溶液を成膜基材上に塗布する際に、塗布装置のクリアランスを1.4mmに設定した。その後、樹脂含有溶液をキャストしたポリエステルフィルムを凝固浴(凝固液は水)に18℃で60分間浸漬し、該樹脂含有溶液を凝固させた後、洗浄・乾燥させて、ポリウレタン樹脂シートを得た。
得られたポリウレタン樹脂シートの表面に形成されたスキン層側に研削処理を施した(研削量:200μm)。その後、ポリウレタン樹脂シートの研削処理面とは反対側の面にPET基材を接着剤を介して貼り合わせ、ポリウレタン樹脂シートの研削処理面側を格子状の金型でエンボス加工後、PET基材と両面テープとを貼り合わせ、厚さ1.25mmの研磨パッドを得た。
[比較例2]
100%モジュラス6.0MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂含有DMF溶液(固形分濃度30質量%)(100部)、DMF(30部)、及び貧溶媒である水(5部)を混合することにより樹脂含有溶液を得た。
得られた樹脂含有溶液を用いて、比較例1と同様にして厚さ1.25mmの研磨パッドを作製した。
[実施例2]
100%モジュラス6.0MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂含有DMF溶液(固形分濃度30質量%)(100部)、DMF(30部)、貧溶媒である水(5部)、および、20%酢酸セルロースDMF溶液(2部)を混合することにより樹脂含有溶液を得た。
得られた樹脂含有溶液を用いて、実施例1と同様にして厚さ1.25mmの研磨パッドを作製した。
[比較例3]
塗布装置のクリアランスを1.2mmに設定する以外、比較例2と同様にして厚さ1.05mmの研磨パッドを作製した。
[比較例4]
塗布装置のクリアランスを1.2mmに設定する以外、実施例2と同様にして厚さ1.050mmの研磨パッドを作製した。
実施例1〜2及び比較例1〜4の各研磨パッドについて、開口径1〜20μmの開口部の総面積に占める開口径10〜20μmの開口部の総面積の割合(%)、開口径1〜20μmの開口部の個数に占める開口径10〜20μmの開口部の個数の割合(%)、切断面10000μm2あたりの1〜20μm及び10〜20μmの開口部の個数、20〜60℃における熱膨張量(μm)、20〜60℃における熱膨張率(%)を測定した。その結果を表1〜2に示す。
なお、各項目の測定方法は以下の通りである。
<開口面積、開口数の測定>
(1)開口径1〜20μmの開口部の総面積に占める開口径10〜20μmの開口部の総面積の割合(%)、開口径1〜20μmの開口部の個数に占める開口径10〜20μmの開口部の個数の割合(%)の測定:
ポリウレタン樹脂シート内部断面の開口径及び開口数の測定は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−5500LV)で約5mm四方の範囲を600倍に拡大し9ヶ所観察した。この画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3、ニコン製)により二値化処理して計測領域面積30929.883μm2の範囲における開口個数を確認し、各々の開口部の面積から円相当直径を開口径として算出した。ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向に切断して得られた断面9ヶ所を観察し、開口径1〜20μmの開口部の総面積に占める開口径10〜20μmの開口部の総面積の割合(%)を求めた。また、開口径を1μmごとにサイズ分けして各サイズの開口個数を集計し、開口径1〜20μmの開口部の個数に占める開口径10〜20μmの開口部の個数の割合(%)を求めた。その結果を表1〜2に示す。
測定の際は、SEM画像より認識できる開口部を二値化処理で的確にとらえることができるように、コントラストを調整した。本実施例では、SEM倍率600倍、加速電圧20kV、スポットサイズ25、作動距離21mmの条件でSEM画像を撮影し、二値化処理時に開口部を正しく捉えられるようにした。
(2)切断面10000μm2あたりの1〜20μm及び10〜20μmの開口部の個数の測定:
ポリウレタン樹脂シートを厚さ方向に切断して得られた断面10000μm2あたりに存在する1〜20μmの開口径を有する開口部の数及び10〜20μmの開口径を有する開口部の数を計測した。その結果を表1〜2に示す。なお、測定断面としては、涙形状気泡を有さない断面を選択した。
<20〜60℃における熱膨張量及び熱膨張率の測定>
TA・インスツルメント・ジャパン製の熱機械分析装置「RSAIII」を用いて、実施例および比較例の両面テープの離型紙を剥離した研磨パッドを幅8mm×長さ12mmに切り出し、エンボス加工された面に100g(圧力として104gf/cm2)の圧縮荷重をかけ、昇温速度5℃/分にて0℃から100℃まで昇温し、研磨温度相当の温度領域20〜60℃範囲で研磨パッドの厚みを測定した。室温20℃における研磨パッドの厚み(A)と、20℃〜60℃の間で最も熱膨張量が大きかった温度における研磨パッドの厚み(B)の値を基に、B−Aにより研磨パッドの熱膨張量(変位量)を求めた。また、(B−A)/A×100により研磨パッドの熱膨張率(%)を求めた。測定は2回行い、平均値を測定結果とした。なお、試料片は、エンボスサイズや形状に応じて凸部の数や面積を調整すればよく、本測定では、凸部が部分的に包含された試料片ではなく、凸部が完全に包含された試料片を利用した。その結果を表1〜2及び図7〜8に示す。
<評価>
実施例1〜2及び比較例1〜4の研磨パッドを用いて、研磨レート安定性、研磨均一性、立ち上げ処理枚数を評価した。研磨レートは、研磨加工前後の膜厚の差である研磨量を、研磨時間で除して表したものであり、研磨加工前後のシリコンウェハについて各々121箇所の厚み測定結果の平均値から求めた。厚み測定には、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、商品名「ASET−F5x」、測定:DBSモード)を用いた。被研磨物としては、12インチのシリコンウェハ上にテトラエトキシシランをCVDで絶縁膜を1μmの厚さになるように形成した基板(均一性(CV%)が13%)を用いた。なお、上記試験で用いた研磨条件は以下の通りである。
・使用研磨機:EBARA F−REX300
・研磨圧力:2.5 psi
・研磨剤:Planer CuBM用スラリー
・研磨剤温度:室温
・使用ワーク(被研磨物):300mmφSIO2(TEOS)
・ドレッシング:3M製A188
・パッドブレイク 9N×30分、ダイヤモンドドレッサー54rpm、定盤回転数80rpm、超純水200ml/min
・研磨 定盤回転数70rpm、ヘッド回転数71rpm、スラリー流量200ml/min、研磨時間60秒
(1)研磨レート安定性及び研磨均一性の評価
ウエハの研磨処理枚数1〜100枚までの各研磨レートを求め、10〜100枚までの各研磨レートについて研磨レートの最大値、最小値、平均値、及び研磨レートの標準偏差を求め、下記式により研磨レート変動性及び研磨不均一性を算出した。
研磨レート変動性(%)=(研磨レート最大値−研磨レート最小値)/研磨レート平均値×100
研磨不均一性(%)=(研磨レート標準偏差/研磨レート平均値)×100
研磨レート変動性の数値が低いほど研磨レート安定性が高いと評価した。また、研磨不均一性の数値が低いほど、研磨ムラが少なくウエハ面内が均一に研磨されている、すなわち、研磨均一性に優れていると評価した。その結果を表3〜4に示す。
(2)立ち上げ処理枚数の評価
研磨初期の研磨レートが速やかに安定化するか否かを下記のように評価した。すなわち、ウエハの研磨処理枚数に対する研磨レートを追跡し、傾向としての研磨レートの増加が見られなくなった研磨処理枚数を「立ち上げ処理枚数」とした。この「立ち上げ処理枚数」が少ないほど、研磨初期の研磨レートが速やかに安定化することを意味する。その結果を図9〜10に示す。
表3及び図9の結果から判る通り、開口径1〜20μmの開口部の総面積に対する開口径10〜20μmの開口部の面積割合が小さい比較例1の研磨パッドは、研磨初期時に研磨レートがある程度安定するまでに10枚程度被研磨物を研磨する必要があり、立ち上がり性が悪かった(立ち上げ処理時間が長かった)。また、10〜100枚の被研磨物を研磨する間で研磨レートの変動が大きく、研磨レート安定性が悪かった。これに対し、開口径10〜20μmの開口部の面積割合が45.1%と大きい実施例1の研磨パッドは、立ち上がりに時間がかからず、研磨レート安定性にも優れていた。また、研磨均一性にも優れていた。
表4及び図10の結果から判る通り、開口径1〜20μmの開口部の総面積に対する開口径10〜20μmの開口部の面積割合が小さい比較例2〜4の研磨パッドは、10〜100枚の被研磨物を研磨する間で研磨レートの変動が大きく、研磨レート安定性が悪かった。また、研磨均一性にも劣っていた。これに対し、開口径10〜20μmの開口部の面積割合が17.1%と大きい実施例2の研磨パッドは、研磨レートの変動が非常に小さく、研磨レート安定性に優れていた。また、研磨均一性も良好であった。
本発明の研磨パッドは、安定した研磨レートで継続的に被研磨物を研磨することができる。また、立ち上げ処理時間を無くす或いは極力短くすることができる。よって、本発明の研磨パッド及びその製造方法は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 湿式成膜法により形成される複数の涙形状気泡と、当該涙形状気泡よりもサイズの小さい複数の微小気泡とを内在するポリウレタン樹脂シートを含む研磨パッドであって、
    前記ポリウレタン樹脂シートは、被研磨物を研磨するための研磨面を有し、
    前記微小気泡は、前記ポリウレタン樹脂シートの厚さ方向の任意の切断面において、1〜20μmの開口径を有する開口部を形成する気泡であり、且つ、
    前記厚さ方向の任意の切断面において、前記1〜20μmの開口径を有する開口部の総面積に占める10〜20μmの開口径を有する開口部の総面積の割合が15〜60%である、前記研磨パッド。
  2. 前記ポリウレタン樹脂シートの前記切断面において、前記1〜20μmの開口径を有する開口部の個数に占める前記10〜20μmの開口径を有する開口部の個数の割合が、4.5〜30%である、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記研磨パッドの20℃における厚みをAとし、前記研磨パッドの20〜60℃の間で最も厚みが大きくなる温度での厚みをBとするとき、下記式で求められる熱膨張率Xが3%未満である、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
    熱膨張率X=(B−A)/A×100
  4. 前記ポリウレタン樹脂シートの前記切断面において、10000μm2あたり10〜20μmの開口径を有する微小気泡由来の開口部が6〜50個存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  5. ポリウレタン樹脂及び酢酸セルロースを含むポリウレタン樹脂含有溶液を調製する工程、
    前記ポリウレタン樹脂含有溶液を成膜基材上に塗布する工程、及び
    前記溶液が塗布された成膜基材を凝固液に浸漬して前記溶液を凝固する工程、
    を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  6. 前記ポリウレタン樹脂含有溶液を1.3〜3.0mmの厚みで成膜基材上に塗布する、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記ポリウレタン樹脂含有溶液が、疎水性添加剤を更に含む、請求項5又は6に記載の製造方法。
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