JP6868454B2 - 研磨パッド及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、研磨パッド及びその製造方法に関する。特に、半導体ウェハの裏面研磨のための研磨パッド及びその製造方法に関する。
半導体デバイスを製造するにあたっては、100ミクロン以下への薄化加工・ストレスリリーフ(ストレスリリーフとは、研削によるウェハ研削面に発生するダメージ除去を意味する)と共に、ゲッタリング層を形成する必要がある(ゲッタリングとは、環境中からコンタミネーションする金属イオンの捕集を意味する)。
従来、ゲッタリング層は、固定砥粒タイプの研磨パッドや研削砥石を用いた乾式研磨により形成されてきた。例えば、特許文献1には、固定砥粒を使用して半導体ウェハの裏面を研磨することにより、金属不純物のゲッタリングサイトとなる歪層を形成することが開示されている。また、特許文献2には、粒径4μm以下のダイヤモンド砥粒をボンド材で固めた研削砥石で半導体デバイスの裏面を研削することによりゲッタリング加工を行う方法が開示されている。特許文献3には、平均粒径が5μm以下の砥粒を分散させた研磨部材でウェハの裏面を研磨することによりゲッタリング層を好適に付与する加工方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3において用いられる研削砥石等は、いずれもスラリーを用いることなく半導体ウェハを研磨(乾式研磨)するものであるため、これらの乾式研磨によるゲッタリング層形成では、研磨時に粉塵が発生してしまうという欠点があった。また、特許文献3の研磨部材を用いる場合には、ゲッタリング形成の前工程で研磨やエッチングを行って、薄化加工・ストレスリリーフをする必要があり、作業効率やコストの点でも問題があった。
一方、乾式研磨法ではなく湿式研磨法に用いる研磨パッドとしては、例えば、特許文献4に、砥粒とアルカリ粒子を発泡ポリウレタンに含有させた研磨パッドが開示されている。該研磨パッドは、研磨液として純水を用いてウェハ裏面にゲッタリング層を形成させている。また、特許文献5には、ポリエステルフェルトにポリウレタンを含浸させてなる多孔性不織布の表面に砥粒を固定させた研磨布が開示されている。
特開2005−72150号公報 特開2005−317846号公報 特開2007−242902号公報 特開2010−225987号公報 特開2002−231669号公報
しかしながら、特許文献4に記載の研磨パッドは、発泡ポリウレタンからなるものであり、独立気泡を有するため、研磨くず等で目詰まりを起こしやすいという問題があった。また、発泡ポリウレタンに用いる樹脂硬度が高いため、薄化したウェハが割れやすいという欠点を有していた。
また、特許文献5に記載の研磨布を用いて半導体ウェハの裏面研磨を行うと、不織布の繊維が脱落してしまい、半導体ウェハの不良が発生するという問題があった。
本発明は、従来技術の上記問題点に鑑みてなされたものであり、繊維が脱落することなく、半導体ウェハ裏面の研磨(薄化加工、ストレスリリーフ)とゲッタリング層の形成とを良好に行うことができる研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体を研磨層としてなる研磨パッドを用いることにより、繊維が脱落することなく、半導体ウェハの裏面を薄化加工・ストレスリリーフするとともに、ゲッタリング層を形成することもできる研磨パッドが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下を提供する。
〔1〕 ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体を研磨層として有する研磨パッド。
〔2〕 半導体ウェハの裏面を湿式研磨するための、〔1〕に記載の研磨パッド。
〔3〕 半導体ウェハの裏面を湿式研磨してゲッタリング層を形成するための、〔2〕に記載の研磨パッド。
〔4〕 ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリビニルホルマール系樹脂である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の研磨パッド。
〔5〕 シリコンカーバイドが、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に、30〜70質量%の範囲内で含まれる、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の研磨パッド。
〔6〕 シリコンカーバイドの粒径が、0.3〜5.0μmの範囲内である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の研磨パッド。
〔7〕 ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に、5〜25質量%の範囲内で含まれる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の研磨パッド。
〔8〕 ポリウレタン樹脂が、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に、15〜60質量%の範囲内で含まれる、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の研磨パッド。
〔9〕 ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体が、フッ素系撥水剤を更に含む、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の研磨パッド。
〔10〕 ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含むポリウレタン樹脂溶液を調製する工程、
ポリウレタン樹脂溶液をポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に含浸させる工程、及び
ポリウレタン樹脂溶液を含浸させたポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を凝固液に浸漬して、ポリウレタン樹脂を凝固させる工程、
を含む、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法。
本発明によれば、繊維が脱落することなく、半導体ウェハ裏面の研磨とゲッタリング層の形成とを行うことのできる研磨パッドを提供することが出来る。
<<研磨パッド>>
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体(以下、ポリウレタン樹脂含有発泡体ということがある)を研磨層として有する研磨パッドであることを特徴とする。
本明細書及び特許請求の範囲において、「ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体」とは、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含む溶液をポリビニルアセタール系樹脂発泡体に含浸させた後、湿式凝固処理によりポリウレタン樹脂を凝固させて得られるものをいう。上記表現は、溶媒中に溶解したポリウレタン樹脂と、溶媒中に溶解したポリビニルアセタール系樹脂と、シリコンカーバイドとを混合した後、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアセタール系樹脂を凝固して得られる生成物と区別するために用いられる。
上記表現は、例えば、発泡体空隙部にポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含むポリビニルアセタール系樹脂発泡体と言い換えることが出来る。
(ポリビニルアセタール系樹脂発泡体)
本発明の研磨パッドにおいて、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含ませるための基体として用いられる、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体は、空隙部を有するスポンジ状の構造を有する。ポリビニルアセタール系樹脂発泡体は、ポリビニルアセタール系樹脂を発泡させることにより得ることができる。
ポリビニルアセタール系樹脂は、樹脂を構成する基本単位(構造単位、繰り返し単位)として、ビニルアセタール単位を有する。ビニルアセタール単位は、下記構造の単位であることが好ましい。
Figure 0006868454
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
Rは、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
ビニルアセタール単位は、ビニルホルマール単位(上記式中、R=水素原子)又はビニルブチラール単位(上記式中、R=炭素数3のアルキル基)であることが好ましく、ビニルホルマール単位であることがより好ましい。従って、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルホルマール系樹脂又はポリビニルブチラール系樹脂が好ましく、ポリビニルホルマール系樹脂がより好ましい。
ポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、酸を触媒として、ポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させてアセタール化することにより得ることができる。また、ポリビニルアセテートを加水分解してポリビニルアルコールを得た後、得られたポリビニルアルコールを、酸を触媒としてアルデヒドと反応させてアセタール化することにより得ることができる。ポリビニルアルコール又はポリビニルアセテートを完全に反応させて全てポリビニルアセタールにすることは難しいため、ポリビニルアセタール系樹脂は、一般的に、樹脂を構成する構造単位(繰り返し単位)として、ビニルアセタール単位以外にも、ビニルアルコール単位(−CH2−CH(OH)−)及び/又はビニルアセテート単位(−CH2−CH(OCOCH3)−)を有し得る。
本明細書及び特許請求の範囲において、「ポリビニルアセタール系樹脂」とは、ビニルアセタール単位を含み、且つビニルアルコール単位及び/又はビニルアセテート単位を有していてもよい樹脂をいう。
ポリビニルアセタール系樹脂を構成する全構造単位に占める、ビニルアセタール単位、ビニルアルコール単位及びビニルアセテート単位の合計は、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらにより好ましく、90モル%以上であることがさらにより好ましく、100モル%であってもよい。
ポリビニルアセタール系樹脂の例としては、例えば、ベルイーターA(株式会社アイオン社製、ポリビニルホルマール系樹脂)などが挙げられる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体又はポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体という場合には、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含む樹脂溶液を含浸させるための基体としてのポリビニルアセタール系樹脂発泡体を指し、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体という場合には、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含む樹脂溶液を含浸し湿式凝固させた後の、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含むポリビニルアセタール系樹脂発泡体を指す。ポリウレタン樹脂溶液を含浸させたポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体という場合には、ポリウレタン樹脂溶液をポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に含浸した後のポリウレタン樹脂溶液を含んだ状態のポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を指す。
ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体として用いることにより、不織布を基体とする研磨パッドにおいて問題となる繊維の脱落を防ぐことができる。また、ドレッシング時の取り代(削り量)を少なくすることができ、研磨パッドの製品寿命を向上させることもできる。
ポリビニルアセタール系樹脂発泡体の製造方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、特開平10−338765号に記載の製造方法により金型でのブロック成型等で得ることができる。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体(ポリウレタン樹脂含有発泡体)中に、ポリビニルアセタール系樹脂が、5〜25質量%の範囲内で含まれることが好ましく、10〜20質量%の範囲内で含まれることがより好ましく、12〜18質量%の範囲内で含まれることがさらにより好ましい。
ポリビニルアセタール系樹脂の含有量が上記範囲内であると、ポリビニルアセタール系樹脂が骨材としてポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを保持し、研磨に寄与することで、ゲッタリング層を形成させることができる。
基体としてのポリビニルアセタール系樹脂発泡体の密度は、0.05〜0.20g/cm3であることが好ましく、0.05〜0.15g/cm3であることがより好ましく、0.06〜0.12g/cm3であることがさらにより好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂発泡体の密度が上記範囲内であると、より多くのシリコンカーバイドを含有したポリウレタン樹脂をポリビニルアセタール系樹脂発泡体に含浸させることができ、シリコンカーバイドの含有率を高くすることができる。
基体としてのポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に存在する気泡の平均気泡径は、1〜10000μmであることが好ましく、5〜5000μmであることがより好ましく、10〜2000μmであることがさらにより好ましく、50〜1500μmであることがさらにより好ましく、80〜1200μmであることがさらにより好ましい。平均気泡径は、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により250倍に拡大し撮影して得た画像を画像処理ソフトにより二値化処理して気泡の個数と面積から算出することにより測定することができる。
基体としてのポリビニルアセタール系樹脂発泡体の厚みとしては、特に制限はなく、例えば、1.0〜20.0mmであってもよく、1.5〜8.0mmであってもよく、2.0〜6.0mmであってもよい。
(シリコンカーバイド)
本発明の研磨パッドはシリコンカーバイド(SiC)を含む。
本発明の研磨パッドで使用されるシリコンカーバイドの粒径は、0.3〜5.0μmが好ましく、0.3〜4.0μmがより好ましく、0.3〜3.0μmがさらにより好ましく、0.3〜2.0μmがさらにより好ましく、0.3〜1.0μmがさらにより好ましく、0.4〜0.8μmがさらにより好ましく、0.6μmが特に好ましい。本明細書及び特許請求の範囲において、シリコンカーバイドの「粒径」とは、メジアン径を意味する。
シリコンカーバイドの粒径が上記範囲内であると、ウェハにダメージを与えることなくシリコン結晶格子の欠陥を形成させ、ゲッタリング性能が十分に得られるゲッタリング層を形成させることができる。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂含有発泡体中に、シリコンカーバイドが、30〜70質量%の範囲内で含まれることが好ましく、35〜65質量%の範囲内で含まれることがより好ましく、40〜60質量%の範囲内で含まれることがさらにより好ましく、45〜60質量%の範囲内で含まれることがさらにより好ましい。
シリコンカーバイドの含有量が上記範囲内であると、シリコン結晶格子の欠陥を十分な密度で形成させることができ、ゲッタリング性能が得られるゲッタリング層を形成させることができる。
(ポリウレタン樹脂)
本発明の研磨パッドの材料となるポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択することができる。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、又はポリカーボネート系の樹脂を1種または2種以上用いることできる。
ポリエステル系の樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。ポリエーテル系の樹脂としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。ポリカーボネート系の樹脂としては、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
これらの中でも、化学的安定性の高い、ポリエーテル系のポリウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂含有発泡体中に、ポリウレタン樹脂が、15〜60質量%の範囲内で含まれることが好ましく、20〜55質量%の範囲内で含まれることがより好ましく、25〜45質量%の範囲内で含まれることがさらにより好ましく、25〜40質量%の範囲で含まれることがさらにより好ましい。
ポリウレタン樹脂の含有量が上記範囲内であると、ポリウレタン樹脂に付着したシリコンカーバイドがクッション性を有し、ウェハにダメージを与えることなくゲッタリング性能を得ることが出来る。
ポリウレタン樹脂は、1.0〜60.0MPaの樹脂モジュラスを有することが好ましく、20〜60MPaであることがより好ましく、30〜50MPaであることがさらにより好ましい。樹脂モジュラスが上記範囲内であると、シリコンカーバイドの保持性に優れ、且つ、樹脂の自己崩壊性により研磨特性が安定する。
樹脂モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を断面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。
(撥水剤)
本発明の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂含有発泡体は、撥水剤を更に含んでいてもよい。撥水剤を含むことにより、研磨加工時にスラリーや水を吸収することによって生じ得る研磨パッドの膨潤を抑えることができ、膨潤による研磨パッドの経時的な形態変化を抑制することができる。従って、研磨特性の経時的安定性を向上させることができる。撥水剤としては、NKガードSシリーズ(日華化学社)やクリスボンアシスターSDシリーズ(DIC社)等のフッ素系の撥水剤などが挙げられる。撥水剤としては、1種類の撥水剤を単独で用いてもよく、2種類以上の撥水剤を組み合わせて用いてもよい。
撥水剤は、ポリウレタン樹脂含有発泡体中に、0.1〜5質量%の範囲内で含まれることが好ましく、0.5〜4質量%の範囲内で含まれることがより好ましく、1〜3質量%の範囲内で含まれることがさらにより好ましい。
(架橋剤)
本発明の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂含有発泡体は、架橋剤を更に含んでいてもよい。架橋剤を含むことにより、研磨パッドが硬くなり、研磨加工時にスラリーや水を吸収することによって生じ得る研磨パッドの膨潤を抑えることができ、研磨パッドの形態が安定し研磨特性の安定性を更に向上させることができる。架橋剤としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートや4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等の芳香族ポリイソシアネートなどの多価イソシアネート系の架橋剤などが挙げられる。
架橋剤は、ポリウレタン樹脂含有発泡体中に、2.0〜18.0質量%の範囲内で含まれることが好ましく、6.0〜12.0質量%の範囲内で含まれることがより好ましい。
(他の成分)
本発明の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂含有発泡体は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分以外の他の成分を更に含んでいてもよい。他の成分としては、高級アルコール、ポリエーテル系誘導体、脂肪酸、脂肪酸塩、セルロース誘導体、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、パラフィン、有機シリコーン、カーボン、有機顔料、無機顔料、酸化防止剤などが挙げられる。他の成分を含む場合、当該他の成分は、ポリウレタン樹脂含有発泡体中に、10質量%以下の割合で含まれることが好ましく、3質量%以下の割合で含まれることがより好ましい。
<研磨パッドの物性>
(密度)
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂含有発泡体の密度が、0.40〜0.90g/cm3であることが好ましく、0.50〜0.90g/cm3の範囲とすることがより好ましく、0.50〜0.80g/cm3の範囲とすることがさらにより好ましく、0.50〜0.70g/cm3の範囲とすることがさらにより好ましい。ポリウレタン樹脂含有発泡体の密度が上記範囲内であると、研磨パッドの研磨面と接触する半導体ウェハの裏面にゲッタリング層を形成させやすくなる。
(A硬度)
本明細書において、A硬度とは、JIS K7311に準じて測定した値を意味する。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂含有発泡体のA硬度が、50〜100度であることが好ましく、60〜90度であることがより好ましく、70〜90度であることがさらにより好ましい。A硬度が上記の範囲内であると、適度に硬質であるためキズがつきやすく、研磨ムラやチッピングの発生も低減することができる。
(厚み)
本発明の研磨パッドにおけるポリウレタン樹脂含有発泡体の厚みに特に制限はなく、例えば、0.5〜10.0mm程度、好ましくは1.0〜8.0mm程度、より好ましくは1.5〜6.0mm程度にすることができる。
<<その他の層>>
本発明の研磨パッドは、被研磨物を研磨する面(研磨面)とは反対側の面に他の層(下層、支持層)を貼り合わせてもよい。他の層の種類は特に限定されず、例えばクッション層を貼り合わせることができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、クッション層とは、研磨層よりもA硬度が同等か若しくは小さい層を意味する。クッション層を設けることで、定盤の硬さや平坦性の影響が緩和され、ワークと研磨面の当たりムラを防止することができる。したがって、研磨パッドの耐用期間を延ばし、チッピング(ワーク周辺部の欠け)を防止することができる。
クッション層の材料としては、樹脂含浸不織布、合成ゴム、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等を用いることができる。
クッション層の厚みについては特に限定するものはないが、好ましくは、0.1〜10mmが好ましく、より好ましくは0.5〜3mm程度が研磨機構の機械的制約をうけず、且つ、研磨定盤の影響を十分に小さくできる。
研磨パッドが複層構造を形成する場合には、複数の層同士を両面テープや接着剤などを用いて、必要により加圧しながら接着・固定すればよい。この際用いられる両面テープや接着剤に特に制限はなく、当技術分野において公知の両面テープや接着剤の中から任意に選択して使用することが出来る。
(用途)
本発明の研磨パッドは、対象物(被研磨物)を湿式研磨するための研磨パッドとして好適に用いることができる。本明細書及び特許請求の範囲において、湿式研磨とは、スラリーや水等を用いて研磨加工を行う研磨方法であり、スラリーや水等を用いることなく研磨パッドを対象物(被研磨物)に直接接触させて研磨加工を行う乾式研磨とは明確に区別される。
本発明の研磨パッドは、シリコンウェハ、SiC、GaAs、GaNなどの半導体ウェハ、サファイヤなどの化合物系ウェハの裏面(ここで、裏面とは、ウェハにおける半導体素子が形成される面とは反対側の面を意味する。)を湿式研磨するための研磨パッドとして好適に用いることができる。これらの中でも、本発明の研磨パッドは、シリコン系半導体ウェハの裏面を湿式研磨するための研磨パッドとして特に好適に用いることができ、半導体ウェハの裏面を湿式研磨してゲッタリング層を形成するための研磨パッドとして好適に用いることができる。
本発明で使用するシリコンカーバイドは、非常にハンドリング性が悪い(機械研磨性が高い、分散性が悪い、沈降速度が速い、廃液処理が困難である)。したがって、例えば、従来の研磨パッドにシリコンカーバイドを砥粒として含むスラリーを滴下して半導体ウェハ裏面にゲッタリングを形成する場合、機械負荷を高めてシリコンカーバイドの分散性を向上させる必要がある。しかしながら、機械負荷を高めると、スラリーが管などを通って研磨パッド表面に運ばれるまでの間にシリコンカーバイドが管などの機械表面を研磨してしまい、装置摩耗によるコンタミが生じる。また、シリコンカーバイド沈降速度が速いため、取扱い自体が困難という問題もある。
発泡ポリウレタンタイプの研磨パッドにシリコンカーバイドを内添させた場合にも、同様の問題が生じる。すなわち、発泡ポリウレタンタイプの研磨パッドでは、シリコンカーバイドを高粘度樹脂と混合しなければならないため、シリコンカーバイドの分散性が更に悪くなる。したがって、分散性を高めるために機械負荷を上げることになり、シリコンカーバイドによる機械摩耗が発生しやすくなる。その結果、研磨パッド中にコンタミが発生し、研磨及びゲッタリング形成に悪影響を及ぼす。
一方、本発明の研磨パッドでは、シリコンカーバイドがポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に含まれているため、シリコンカーバイドをスラリー中で用いる場合の問題が生じない。すなわち、本発明の研磨パッドは、樹脂溶液中にシリコンカーバイドを分散させた上でポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に該樹脂溶液を含浸するため、機械負荷を上げなくとも均一に分散させることができる。その結果、装置摩耗によるコンタミも少ない。シリコンカーバイドの沈降速度を考慮する必要もない。さらには、自己崩壊性があるため、ドレッサーでコンディショニングすることにより、研磨面を再生することができ、本発明の効果を長期間持続させることができる。
本発明の研磨パッドは、好ましくは下記の方法により製造することができる。
<<研磨パッドの製造方法>>
本発明の研磨パッドの製造方法は、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含むポリウレタン樹脂溶液を調製する工程;ポリウレタン樹脂溶液をポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に含浸させる工程、及びポリウレタン樹脂溶液を含浸させたポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を凝固液に浸漬して、ポリウレタン樹脂を凝固させる工程を含むことを特徴とする。
<樹脂溶液の調製工程>
本調製工程において、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含むポリウレタン樹脂溶液を調製する。原料となる樹脂としては、上記<<研磨パッド>>の項で記載した樹脂を使用することができる。また、樹脂を溶解させる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)等及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、DMFが好ましい。
シリコンカーバイドは、樹脂を溶媒に溶解させる前の溶媒に添加してもよく、樹脂を溶媒に溶解させた後に添加してもよい。このようにすることによりシリコンカーバイドは凝集を抑制し、樹脂溶液中に均一に分散させることが出来る。
使用するポリウレタン樹脂の量は、溶媒100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましく、15〜30質量部がさらにより好ましい。
使用するシリコンカーバイドの量は、溶媒100質量部に対して10〜60質量部が好ましく、15〜55質量部がより好ましく、30〜50質量部がさらにより好ましい。
また、調製工程では、上記成分以外の成分を添加してもよい。その他の成分としては、撥水剤や架橋剤などが挙げられる。撥水剤や架橋剤を添加することにより、得られた研磨パッドの研磨加工時にスラリーや水を吸収することによる膨潤を抑え、研磨パッドの形状を保持することができる。これにより、研磨特性の安定性を更に向上させることができる。撥水剤及び架橋剤としては、上記<<研磨パッド>>の項で記載したものを用いることができる。
撥水剤を添加する場合、使用する撥水剤の量は、溶媒100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.5〜4質量部がより好ましく、1〜3質量部がさらにより好ましい。
架橋剤を添加する場合、使用する架橋剤の量は、溶媒100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
<含浸工程>
次に、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を用意し、該ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体をポリウレタン樹脂溶液に浸漬(含浸)する。ポリビニルアセタール系樹脂発泡体及び当該発泡体を構成するポリビニルアセタール系樹脂としては、上記<<研磨パッド>>の項で記載したポリビニルアセタール系樹脂発泡体及びポリビニルアセタール系樹脂を用いることができる。ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体にポリウレタン樹脂溶液が十分に染み込む限り、浸漬処理時の温度や時間に特に制限はなく、例えば、5〜30℃程度で1〜20分程度浸漬すればよい。
<凝固工程>
次に、湿式凝固法により、ポリウレタン樹脂を凝固させる。
湿式凝固法とは、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に樹脂溶液を含浸させた後の樹脂含浸ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を、樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする水系凝固液に浸漬することで樹脂を凝固再生させる方法である。凝固液中で、樹脂含浸ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に含まれる樹脂溶液の溶媒(例えばDMF)と凝固液とが置換され、ポリウレタン樹脂が凝固再生される。
凝固液としては、水、水とDMF等の極性溶媒との混合溶液などが用いられる。極性溶媒としては、水混和性の有機溶媒、例えばDMF、DMAc、THF、DMSO、NMP、アセトン、IPA、エタノール、メタノールなどが挙げられる。また、混合溶媒中の極性溶媒の濃度は0.01〜20.0質量%が好ましい。
凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば10〜50℃で5〜2000分間浸漬すればよい。
本発明の製造方法により得られる研磨パッドは、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体にポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させて、湿式凝固させているため、ゲッタリング層形成に適した密度、硬度及び/又はシリコンカーバイドを含有した研磨パッドを作成できる。
<洗浄乾燥工程>
凝固浴処理によりポリウレタン樹脂を凝固させて得られたポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を、洗浄し、乾燥させる。
洗浄処理により、凝固処理後のポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に残留する溶媒が除去される。洗浄に用いられる洗浄液としては、水が挙げられる。
洗浄後、得られたポリビニルアセタール系樹脂発泡体を乾燥処理する。乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば50〜100℃で20〜1200分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記の工程を経て、ポリウレタン樹脂含有発泡体(研磨層)を得ることができる。
また、前記乾燥後、ポリウレタン樹脂含有発泡体の片面又は両面にバフ処理又はスライス処理工程を行ってもよい。
<<半導体ウェハの研磨(ゲッタリング層形成)>>
本発明の研磨パッドは、例えば、研磨装置に本発明の研磨パッド及び半導体ウェハをそれぞれセットし、研磨剤を研磨パッドに滴下しつつ、半導体ウェハの裏面を研磨パッドに押し付けながら半導体ウェハを研磨することにより、半導体ウェハの裏面研磨及びゲッタリング層形成を1工程でまとめて行うことができる。研磨剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、ダイヤモンド、窒化ホウ素、炭化ケイ素などの分散液を用いることができる。
また、上記の方法の他に、コロイダルシリカ、アルミナなどの研磨剤及び本発明の研磨パッドを用いて、半導体ウェハの薄化及びストレスリリーフを行った後、研磨剤を水などに変更して半導体ウェハの裏面にゲッタリング層を形成させることもできる。この方法では、1種類の研磨パッドを用いて、半導体ウェハの裏面研磨及びゲッタリング層形成を連続的に行うことが出来る。
本発明の研磨パッドは、半導体ウェハの裏面研磨(薄化加工及びストレスリリーフ)とゲッタリング層形成を1工程でまとめて或いは連続的に行うことができる。また、本発明の研磨パッドは、スクラッチが発生しにくく、良好な研磨レートが得られる。また、本発明の研磨パッドは、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体とするため、不織布基体から製造される研磨パッドに比べて、基体くずが発生しにくく、基体くずが発生しても繊維状でないため、洗浄により除去しやすい。さらに、本発明の研磨パッドは、湿式研磨に用いるものであるため、研磨時に粉塵が発生しない。
<<研磨パッドの製造>>
以下の材料及び製造方法を用いて、実施例1〜2及び比較例1の研磨パッドを製造した。
<実施例1:ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体として含む研磨パッドの製造>
(1)樹脂溶液の調製工程
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びイソプロピルアルコール(IPA)を質量で9:1の割合で混合した溶媒に熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタン樹脂(100%モジュラス:47MPa)を溶解させた溶液に砥粒としてシリコンカーバイド(SiC)(粒径:0.6μm、粒度:♯10000)を加えた砥粒含有ポリウレタン樹脂溶液を準備した。
溶媒に添加するポリウレタン樹脂の量は、溶媒100質量部に対して25.2質量部とした。
溶媒に添加するSiCの量は、溶媒100質量部に対して43.9質量部とした。
(2)含浸工程
ポリビニルアセタール系樹脂発泡体(ポリビニルホルマール系樹脂発泡体、厚み:2.111mm、密度:0.087g/cm3、気泡径:1000μm)に上記(1)で作製したポリウレタン樹脂溶液を25℃で5分含浸した。
(3)凝固工程
上記(2)で得られた、ポリウレタン樹脂溶液の含浸したポリビニルアセタール系樹脂発泡体を、凝固液として水を用いて、20℃で1440分間湿式凝固した。湿式凝固後の樹脂含有ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を水洗浄し、80℃で480分間乾燥を行い、研磨面とは反対側の面に両面テープを貼付して、実施例1の研磨パッドを得た。
<実施例2:ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体として含み且つ撥水剤を含む研磨パッドの製造>
(1)樹脂溶液の調製工程
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びイソプロピルアルコール(IPA)を質量で9:1の割合で混合した溶媒に熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタン樹脂(100%モジュラス:47MPa)を溶解させた溶液に砥粒としてシリコンカーバイド(SiC)(粒径:0.6μm、粒度:♯10000)とフッ素系撥水剤を加えた砥粒含有ポリウレタン樹脂溶液を準備した。
溶媒に添加するポリウレタン樹脂の量は、溶媒100質量部に対して24.9質量部とした。
溶媒に添加するSiCの量は、溶媒100質量部に対して43.3質量部とした。
溶媒に添加する撥水剤は、溶媒100質量部に対して2.0質量部とした。
(2)含浸工程
ポリビニルアセタール系樹脂発泡体(ポリビニルホルマール系樹脂発泡体、厚み:5.00mm、密度:0.09g/cm3、気泡径:100μm)に上記(1)で作製したポリウレタン樹脂溶液を25℃で5分含浸した。
(3)凝固工程
上記(2)で得られた、ポリウレタン樹脂溶液の含浸したポリビニルアセタール系樹脂発泡体を、凝固液として水を用いて、20℃で1440分間湿式凝固した。湿式凝固後の樹脂含有ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を水洗浄し、80℃で480分間乾燥を行い、研磨面とは反対側の面に両面テープを貼付して、実施例2の研磨パッドを得た。
<比較例1:ポリエステル不織布を基体として含む研磨パッドの製造>
(1)樹脂溶液の調製工程
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びイソプロピルアルコール(IPA)を質量で9:1の割合で混合した溶媒に熱可塑性ポリエーテル系ポリウレタン樹脂(100%モジュラス:47MPa)を溶解させた溶液に砥粒としてSiC(粒径:0.6μm、粒度:#10000)を加えた砥粒含有ポリウレタン樹脂溶液を準備した。
溶媒に添加するポリウレタン樹脂の量は、溶媒100質量部に対して25.2質量部とした。
溶媒に添加するSiCの量は、溶媒100質量部に対して43.9質量部とした。
(2)含浸工程
不織布(フジボウ愛媛株式会社製、厚み:4.5mm、密度:0.126g/cm3)に上記(1)で作製したポリウレタン樹脂溶液を25℃で5分含浸した。
(3)凝固工程
上記(2)で得られた、ポリウレタン樹脂溶液の含浸した不織布を、凝固液として水を用いて、20℃で1440分間湿式凝固した。湿式凝固後の樹脂含有不織布を水洗浄し、85℃で480分間乾燥を行い、研磨面とは反対側の面に両面テープを貼付して、比較例1の研磨パッドを得た。
Figure 0006868454
Figure 0006868454
Figure 0006868454
<<物性>>
実施例1〜2及び比較例1の研磨パッドについて、以下の方法により、厚さ、密度、A硬度を測定した。その結果を表4に示す。
(厚さ)
日本工業規格(JIS K6505)に記載された厚さ測定方法に準じて、研磨パッドの厚さを測定した。すなわち、研磨パッドに厚さ方向に加重として480g/cm2(研磨パッドの厚さ方向)の荷重をかけたときの研磨パッドの厚さを測定した。研磨パッドを縦10cm×横10cmの3ピースに切り分け、1ピースに付き四隅および中心部の厚みをダイヤルゲージを使用して計測し5点の平均値を1ピースの厚みとした。研磨パッドの平均厚みは、3ピースについてそれぞれ測定した厚みの平均値とした。
(密度g/cm3
所定サイズの大きさに切り出した試料の重量(g)を測定し、サイズから体積(cm3)を求めることにより算出した。
(A硬度)
A硬度は、JIS K7311に準じて測定した。
Figure 0006868454
<<評価>>
実施例1〜2及び比較例1の研磨パッドを用いて、以下の研磨方法にて研磨を用い、研磨レート、キズ密度及び欠陥キズの有無を評価した。
(研磨方法)
研磨装置(不二越機械工業株式会社製:MCP−150X)に、シリコンウェハと、実施例1〜2又は比較例1の研磨パッドとをセットし、研磨剤を研磨パッドに滴下しながら研磨した。
研磨剤はCOMPOL80(株式会社フジミインコーポレーテッド製)と水とを3:7で混合したものを用い、1分間に200mlを研磨パッドに滴下した。定盤の回転速度は80rpmとした。加圧ヘッドによりシリコンウェハを研磨パッドに押し付ける圧力は300g/cm2とした。なお、シリコンウェハは6インチ(直径152.4mm)を使用し、研磨時間は10分間であった。
次にパッド表面を#200のダイヤモンドドレッサーにてパッド表面を軽くドレッシングし、純水を用い1分間に200ml研磨パッドに滴下した。上記と同条件にて処理しゲッタリング層の形成を行った。
(研磨レート)
分析用電子天秤(株式会社エーアンドディー製:GH−300)を使用し、研磨前後のシリコンウェハの質量の差を計測し、その値をSi密度(g/cm3)と表面積(cm2)の積で除して、さらに値をμmに直した後、研磨時間で除して研磨レート(μm/分)を算出し、表5の基準に従って評価した。その結果を表10に示す。
Figure 0006868454
(キズ密度及び欠陥キズの有無)
研磨後のシリコンウェハの表面を光学顕微鏡(暗視野検鏡 倍率200倍)で下記表6〜7の基準に従って目視判定した。
なお、ゲッタリング層が付与されたウェハは、通常鏡面に見えるがウェハに光を当てることによってキズが確認されるが、欠陥キズは光を当てなくとも確認されるものである。したがって、キズ密度におけるキズは、光を当てることによって確認できるキズを意味しており、欠陥キズは、光を当てずに確認できるキズを意味している。
その結果を表10に示す。
Figure 0006868454
Figure 0006868454
(繊維の脱落)
研磨後のシリコンウェハの表面を光学顕微鏡(暗視野検鏡 倍率200倍)で、下記表8の基準に従って目視判定した。その結果を表10に示す。
Figure 0006868454
(形態安定性)
実施例1〜2及び比較例1の研磨パッド各々について、20±2℃、相対湿度65±5%の条件下に2時間以上放置した後(乾燥状態)の厚さと、脱イオン水中に一晩浸漬して膨潤させた後(湿潤状態)の厚さとをそれぞれ測定した。
乾燥状態と湿潤状態の研磨パッドの厚さの差を算出し、下記表9の基準に従って形態安定性を判定した。その結果を表10に示す。
Figure 0006868454
Figure 0006868454
表10から明らかなように、不織布を基体とする比較例1の研磨パッドは、繊維の脱落が観察されたのに対し、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体とする本発明の研磨パッドは、繊維の脱落がなかった(実施例1〜2)。また、不織布とは全く異なるポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体とするにもかかわらず、不織布を基体とする比較例1の研磨パッドと同等の研磨レートを有し、ゲッタリング層に適したキズ密度が認められた。さらには、欠陥キズも存在しなかった。さらに、ポリビニルアセタール系樹脂発泡体を基体とし且つ撥水剤を含む実施例2の研磨パッドは、比較例1の研磨パッドよりも乾燥状態と湿潤状態における研磨パッドの厚さの差が小さく、形態安定性が高かった。従って、実施例2の研磨パッドは、研磨加工時にスラリーや水を吸収することによる研磨パッドの膨潤を抑えることができ、膨潤による研磨特性の経時的な変化を抑えることができると考えられる。
本発明によれば、繊維が脱落することなく、シリコンウェハ裏面の研磨とゲッタリング層の形成とを行うことのできる研磨パッドを提供することができる。したがって、産業上、極めて有用である。

Claims (10)

  1. ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体を研磨層として有する研磨パッド。
  2. 半導体ウェハの裏面を湿式研磨するための、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 半導体ウェハの裏面を湿式研磨してゲッタリング層を形成するための、請求項2に記載の研磨パッド。
  4. ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリビニルホルマール系樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  5. シリコンカーバイドが、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に、30〜70質量%の範囲内で含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  6. シリコンカーバイドの粒径が、0.3〜5.0μmの範囲内である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  7. ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に、5〜25質量%の範囲内で含まれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  8. ポリウレタン樹脂が、ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体中に、15〜60質量%の範囲内で含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  9. ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含浸させてなるポリビニルアセタール系樹脂発泡体が、フッ素系撥水剤を更に含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  10. ポリウレタン樹脂及びシリコンカーバイドを含むポリウレタン樹脂溶液を調製する工程、
    ポリウレタン樹脂溶液をポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体に含浸させる工程、及び
    ポリウレタン樹脂溶液を含浸させたポリビニルアセタール系樹脂発泡体基体を凝固液に浸漬して、ポリウレタン樹脂を凝固させる工程、
    を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
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