JP2020157458A - 保持パッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
片面研磨機を使用した研磨加工では、保持定盤および研磨パッド間の平行度のバラツキや研磨加工中に発生する偏荷重を吸収し、被研磨物を保持定盤に略平坦に保持する目的で、保持定盤に保持パッドが装着されている。例えば、保持パッドとして、湿式成膜法で形成されたポリウレタン樹脂製の発泡シートが使用されている。湿式成膜法では、ポリウレタン樹脂を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜基材に塗布後、水系凝固液中に浸漬することで樹脂がシート状に凝固再生される。得られた発泡シートでは、被研磨物と接触する面(保持面)側にスキン層を有し、スキン層より内側に厚さ方向に縦長で、スキン層の反対の面側で拡径された複数の気泡(涙型気泡)と、当該涙型気泡の大きさより小さい多数の微細孔で連続状に形成された構造を有している。このような構造を有することで、研磨加工中にクッション性が発揮され、被研磨物を略平坦に保持することができる。スキン層は、表面が平坦で被研磨物との接触性に優れ、水張り吸着により固定することで被研磨物を確実に保持できる。つまり、スキン層の表面が被研磨物を保持するための保持面となる。
また、特許文献2には、ポリウレタン含有溶液100重量部に対して0.01〜2.00重量部の界面活性剤を含む発泡層組成物から得られる保持材を用いることにより、研磨時に発生する界面活性剤由来の泡を抑制することができることが開示されている。
また、特許文献2の保持材は、界面活性剤由来の泡の発生を抑制することはできるものの、保持面の被研磨物周縁部に生じるスラリー凝集の問題や、研磨枚数が増えるにつれて生じる保持力の低下やスクラッチ、研磨ムラなどの問題には着目していない。また、特許文献2の実施例で開示されている保持パッドを構成する樹脂は、ポリオール及びジアミンが使用されていることから、より正確にはポリウレタンポリウレア樹脂である。ウレア結合はスラリー凝集を促進する方向に機能する傾向にあるが、特許文献2は、このスラリー凝集に起因する保持力の低下や、スクラッチや研磨ムラなどの欠点を低減する手段を提供していない。
従って、保持面の被研磨物周縁部に発生するスラリー凝集を抑制することのできる保持パッドに対する高い需要が存在する。
すなわち、本発明は以下を提供する。
前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である、前記保持パッド。
〔2〕 前記ポリウレタンシートを構成するポリウレタン樹脂が実質的にウレア結合を含まない、〔1〕に記載の保持パッド。
〔3〕 前記ポリウレタンシートが、コハク酸又はコハク酸誘導体を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の保持パッド。
〔4〕 前記ポリウレタンシートが、ポリビニル系化合物を含まない、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔5〕 前記ポリウレタンシートが、カーボンブラックを含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔6〕 前記ポリウレタンシートが、ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜50質量部の量のカーボンブラックを含む、〔5〕に記載の保持パッド。
〔7〕 前記ポリウレタンシートは、その保持面側にスキン層を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔8〕 ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸又はコハク酸誘導体を0.1〜5.0質量部の割合で含む溶液を凝固浴処理して得られるポリウレタンシートを含む、〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の保持パッド。
〔9〕 ポリウレタン樹脂を含む溶液を調製する工程、
ポリウレタン樹脂を含む溶液を凝固液に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固させ、ポリウレタンシートを得る工程、
を含む、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法であって、
前記ポリウレタンシートは、前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である、前記製造方法。
〔10〕 前記ポリウレタン樹脂が実質的にウレア結合を含まない、〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕 ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸又はコハク酸誘導体を0.1〜5.0質量部の割合で添加する工程を含む、〔9〕又は〔10〕に記載の製造方法。
〔12〕 前記ポリウレタン樹脂の100質量%に対し、撥水剤を0.5〜5.0質量%を添加する工程を含む、〔9〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法。
〔13〕 被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを含む保持パッドの製造方法であって、
前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬し、浸漬部と非浸漬部の色差を測定する工程、及び
前記色差が50以下である保持パッドを選別する工程、
を含む、前記保持パッドの製造方法。
本発明の保持パッドは、複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である、前記保持パッドである。
ポリウレタンシートは、複数の涙形状(teardrop-shaped)気泡を有する。涙形状気泡は、湿式成膜法によってポリウレタンシート内部に形成される気泡(異方性があり、樹脂シートの上部から下部(基材と接する側)に向けて径が大きい構造を有する気泡)を意図するものであり、モールド法によって形成される略球状の気泡と区別するために用いられる。従って、本発明の複数の涙形状気泡を有するポリウレタンシートは、湿式成膜法により形成されたポリウレタンシートと言い換えることができる。湿式成膜法とは、成膜する樹脂を有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液をシート状の基材に塗布後、該有機溶媒は溶解するが該樹脂は溶解しない凝固液中に通して該有機溶媒を置換し、凝固させ、乾燥して発泡層を形成する方法を意味する。通常、湿式成膜法によりポリウレタンシートを製造すると、ポリウレタンシート内部に略涙形状のマクロ気泡(涙形状気泡)が複数生じる。
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタンシートとは、ポリウレタン樹脂を主成分(50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上)とするシートを意味しており、他の樹脂(シリコン樹脂など)を主成分とするシートとは明確に区別される。
ポリエステル系の樹脂としては、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリエーテル系の樹脂としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
ポリカーボネート系の樹脂としては、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。
これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートの一部を、酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬した後の、前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である。なお、スラリー中の溶媒は水であることが好ましい。スラリーは、酸化セリウムを水中に10質量%含むスラリーであることが好ましく、酸化セリウムを水中に10質量%含み且つ酸化セリウム以外の研磨材成分を含まないスラリーがより好ましく、酸化セリウムと水とからなるスラリーがより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、ポリウレタンシートをスラリー中に浸漬したときの浸漬部と非浸漬部の「色差」とは、スラリー中に浸漬していたポリウレタンシートをスラリーから取り出し、浸漬部と非浸漬部のRGB値を測定することによって求められるポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差のことをいう。従って、「ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差」とは、ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬した後、前記ポリウレタンシートをスラリーから取り出して浸漬部と非浸漬部のRGB値を測定し、得られたRGB値から求められるポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差のことをいう。
浸漬部及び非浸漬部の測定領域は、それぞれ浸漬部と非浸漬部の境界線から浸漬部側に0〜20mmの領域及び該境界線から非浸漬部側に0〜20mmの領域であることが好ましい。従って、ポリウレタンシートのうち、少なくとも20mmは浸漬させない(非浸漬部を設ける)ことが好ましい。
色差は、画像解析により算出できる。ここでいう色差は、画像からRGB値(0〜255)の平均値を各々算出し、下記式より試料間の色差を算出できる。なお、画像の解像度(画素数)については、色差は対象範囲の平均値を用いて算出するため、浸漬部及び非浸漬部が区別できればよい。例えば、70pixel角以上とすることができる。
より具体的には、色差は、24時間スラリーに浸漬した保持パッド(ポリウレタンシート)をスラリーから取り出し、光度500ルクスの環境下で浸漬部及び非浸漬部を撮影して得られた画像から、対象範囲のRGB値の平均を算出した後、下記式に従って求めることができる。
(R2…浸漬部のR値(赤色)、R1…非浸漬部のR値、G2…浸漬部のG値(緑色)、G1…非浸漬部のG値、B2…浸漬部のB値(青色)、B1…非浸漬部のB値)
本発明の保持パッドは、色差が上記範囲内であることにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができる。その結果、被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減でき、製品寿命を向上させることができる。
色差(スラリー凝集)は、様々な要素が相互作用的に影響するものと考えられる。例えば、保持パッドに整泡剤や成膜助剤として用いられる界面活性剤や疎水剤、親水剤、油分等の添加剤にはスラリーの凝集を促進させる場合があるため、その場合は添加量を減らす、又は変更することで色差を低くすることができる傾向にある。加えて、保持パッドの樹脂組成や表面状態、発泡構造等が影響する可能性があり、これらの要素は相互的に作用すると考えられる。このように調整しつつ色差が上記範囲内の保持パッドを製造することにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができる。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートを製造する際において、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜5.0質量部の量の親水性界面活性剤を添加することが好ましく、0.5〜4.0質量部の親水性界面活性剤を添加することがより好ましく、1.0〜3.5質量部の親水性界面活性剤を添加することがさらにより好ましく、1.5〜3.0質量部の親水性界面活性剤を添加することがさらにより好ましく、2.0〜2.2.5質量部の親水性界面活性剤を添加することがさらにより好ましい。
親水性界面活性剤の一部又は多くは、ポリウレタンシートの成膜時(湿式凝固処理時)に溶媒とともに流出するが、親水性界面活性剤の添加量が上記範囲内であると、色差を50以内に制御しやすくなる。これにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができる。また、成膜安定性や発泡制御の観点から被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減でき、製品寿命を向上させることができる。さらには、保持パッドとしての使用に耐え得る保持パッドを得ることができる。
製造後のポリウレタンシートには、親水性界面活性剤が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。ポリウレタンシートは、ポリウレタン樹脂100質量部に対して親水性界面活性剤を0〜5.0質量部含んでいてもよく、0.1〜4.0質量部含んでいてもよく、0.1〜3.0質量部含んでいてもよく、0.1〜2.5質量部含んでいてもよい。
親水性界面活性剤の量を制御することにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制し、被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどを低減しやすくなる理由は定かではないが、親水性界面活性剤がスラリー成分の保持パッド表面への付着に関与する場合があるのではないかと考えられる。
親水性界面活性剤としては、親水性のイオン性界面活性剤がより好ましく、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤がさらにより好ましい。また、親水性界面活性剤としては、親水性親油性バランス(HLB値)(好ましくは、グリフィン法による)が10〜20である親水性界面活性剤が好ましい。
親水性界面活性剤としてカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、親水性のエステル系、エーテル系、エステル・エーテル系、アミド系等のノニオン界面活性剤が挙げられ、より具体的には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、コハク酸、ドデシルスルフェート、及びそれらの誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられるが、色差を50以内に制御しやすくする観点からコハク酸及びその誘導体が好ましい。コハク酸誘導体としては、例えば、コハク酸カリウム、コハク酸ナトリウム、ジへキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コハク酸アンモニウムが挙げられる。
親水性界面活性剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明の保持パッドは、ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸又はコハク酸誘導体を0.1〜5.0質量部、より好ましくは0.5〜4.0質量部、さらにより好ましくは1.0〜3.5質量部、さらにより好ましくは1.5〜3.0質量部、特に好ましくは2.0〜2.5質量部の割合で含む溶液を凝固浴処理して得られるポリウレタンシートを含むことが好ましい。
コハク酸又はコハク酸誘導体の添加量が上記範囲内であると、色差を50以内に制御しやすくなる。これにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができる。また、成膜安定性や発泡制御の観点から被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減でき、製品寿命を向上させることができる。さらには、保持パッドとしての使用に耐え得る保持パッドを得ることができる。
コハク酸又はコハク酸誘導体の添加量が上記範囲内であると色差を50以内に制御しやすくなる理由は明らかではないが、以下のように推測される。一般に、凝固浴処理を行うと、ポリウレタン樹脂溶液を構成する溶媒が凝固液に置換されつつ凝固浴中に放出される。これにより、ポリウレタン樹脂の内部に気泡が形成され、ポリウレタンシートが形成される。本発明の保持パッドは、ポリウレタン樹脂溶液中に上記範囲量のコハク酸又はコハク酸誘導体が含まれるため、成膜や発泡形成の安定性に寄与しつつも、そのうちの一部が成膜後の樹脂中に残留してもスラリー凝集に寄与しにくい性質を示し、結果的にスラリーの凝集を引き起こしにくいポリウレタンシートが得られるのではないかと推測される。
親水性界面活性剤の添加量やコハク酸又はコハク酸誘導体の割合が上記範囲内であると、色差を50以内に制御しやすくなる。これにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができる。また、成膜安定性や発泡制御の観点から被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減でき、製品寿命を向上させることができる。さらには、保持パッドとしての使用に耐え得る保持パッドを得ることができる。
親水性界面活性剤の添加量やコハク酸又はコハク酸誘導体の割合が上記範囲内であると色差を50以内に制御できる理由は明らかではないが、以下のように推測される。一般に、凝固浴処理を行うと、ポリウレタン樹脂溶液を構成する溶媒が凝固液に置換されつつ凝固浴中に放出される。これにより、ポリウレタン樹脂の内部に気泡が形成され、ポリウレタンシートが形成される。本発明の保持パッドは、ポリウレタン樹脂溶液中に上記量の親水性界面活性剤(コハク酸又はコハク酸誘導体)が含まれるため、成膜や発泡形成の安定性に寄与しつつも、そのうちの一部が成膜後の樹脂中に残留してもスラリー凝集を寄与しにくい性質を示し、結果的にスラリーの凝集を引き起こしにくいポリウレタンシートが得られるのではないかと推測される。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートが、ポリビニル系化合物を含まないことが好ましい。ポリビニル系化合物は、ポリマーを構成するモノマー単位がビニル化合物のみからなるポリマー化合物か、あるいはポリマーを構成するモノマー単位がビニル化合物及び他のモノマーを含み且つ全モノマー単位のうちビニル化合物が最も多くの割合(モノマー数)を占めるポリマー化合物をいう。
ポリビニル系化合物としては、成膜助剤として使用される化合物が挙げられ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等と、それらの共重合体などが挙げられる。
ポリビニル系化合物を含まないことにより、色差を50以内に制御しやすくなる。これにより、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができる。また、被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減でき、製品寿命を向上させることができる。
成膜を制御する観点から、本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートが、カーボンブラックを含むことが好ましい。また、本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートが、ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜50質量部の量のカーボンブラックを含むことが好ましく、5〜40質量部のカーボンブラックを含むことがより好ましく、10〜30質量部のカーボンブラックを含むことがさらにより好ましく、15〜25質量部のカーボンブラックを含むことがさらにより好ましい。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートが、疎水性整泡剤を含んでいてもよい。疎水性整泡剤を含む場合、ポリウレタンシート中のポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部の量の疎水性整泡剤を含むことが好ましく、0.5〜10質量部の疎水性整泡剤を含むことがより好ましく、1〜8質量部の疎水性整泡剤を含むことがさらにより好ましい。
疎水性整泡剤としては、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイルなどのシリコーン系化合物が挙げられる。
疎水性整泡剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートが、撥水剤を含んでいても含んでいなくてもよいが、撥水剤を含んでいることが好ましい。本発明の保持パッドは、撥水剤を、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部、より好ましくは1.0〜4.5質量部、さらに好ましくは1.5〜4.0質量部の割合で含む溶液を凝固浴処理して得られるポリウレタンシートを含むことが好ましい。
撥水剤の添加量が上記範囲内であると、保持パッド内部へのスラリー吸収を抑えつつ、十分な成膜性及び保持面形成能を確保することが出来る。これにより、保持パッド表面へのスラリー凝集低減に貢献することができる。
撥水剤としては、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤などが挙げられる。
撥水剤は1種類を用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
ポリウレタンシートは、被研磨物を保持する保持面側にスキン層を有することが好ましい。スキン層とは、湿式成膜法によってポリウレタンシート表面(保持面側表面)に形成される、ポリウレタンシート内部よりも気泡の少ない緻密な層のことである。スキン層は、ポリウレタンシート内部に比べて気泡が少ない(或いは気泡サイズが小さい)ため、シート内部よりも密度が大きくなっている。従って、スキン層は、湿式成膜法によって形成されるポリウレタンシート表面(保持面側表面)に形成されている緻密層と言い換えることができる。スキン層を有することにより、被研磨物を保持面に吸着させやすくなる。
なお、上記のとおり、スキン層は、ポリウレタンシート中に存在する高密度で緻密な層であり、ポリウレタンシートと同一原料から得られるものである。スキン層は、ポリウレタンシート上に積層されたポリウレタンシートとは異なる層ではない。
ポリウレタンシートの厚みに特に制限はないが、0.3〜3mmであることが好ましく、0.5〜2.5mmであることがより好ましく、0.5〜2mmであることがさらにより好ましい。
本発明の保持パッドは、ポリウレタンシート表面(保持面)が被研磨物と接触することを前提としたものである。従ってポリウレタンシートの保持面上に他の樹脂層が存在しないことが好ましい。
その一方で、本発明の保持パッドは、ポリウレタンシートの被研磨物を保持する面(保持面)とは反対側の面には、他の樹脂層(下層、支持層)が貼り合わせられていてもよく、他の樹脂層が貼り合わされていなくてもよい。他の樹脂層の特性は特に限定されるものではないが、ポリウレタンシートよりも硬い(A硬度の高い)層が貼り合わされていることが好ましい。ポリウレタンシートよりも硬い層が設けられることにより、作業性が向上する。
本発明の保持パッドは、シリコン、ガラス、SiC、サファイア、金属などの被研磨物を研磨する際の保持パッドとして好適に用いることができる。これらの中でも、本発明の保持パッドは、ガラス基板(特にフラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板やカバーガラス基板)の保持パッドとして、好適に用いることが出来る。
本発明の保持パッドの製造方法は、ポリウレタン樹脂を含む溶液を調製する工程、ポリウレタン樹脂を含む溶液を凝固液に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固させ、ポリウレタンシートを得る工程を含む、保持パッドの製造方法であって、前記ポリウレタンシートは、前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である、保持パッドの製造方法である。
以下、各工程について詳しく説明する。
ポリウレタンシートの原料となるポリウレタン樹脂を、ポリウレタン樹脂を溶解することのできる水混和性の有機溶媒に溶解することにより、ポリウレタン樹脂を含む溶液(以下、単にポリウレタン樹脂含有溶液ということがある)を調製する。また、有機溶媒に溶解後、得られた溶液を減圧下で脱泡してもよい。
ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、上記保持パッドの項で例示したポリエステル系、ポリエーテル系、又はポリカーボネート系の樹脂を用いることができる。
ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂含有溶液中に含まれる全固形分に対して50〜98質量%含まれることが好ましく、60〜95質量%含まれることがより好ましく、70〜90質量%含まれることがさらにより好ましい。
ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合以外の結合(例えば、ウレア結合)を含んでいても含んでいなくてもよいが、実質的に又は完全にウレア結合を含まないことが好ましい。実質的にウレア結合を含まないとは、ポリウレタン樹脂の原料中に不純物としてポリアミン化合物が含まれていることによって、結果としてウレア結合が含まれることになる場合を除いて、ウレア結合を含まないことを意味する。ウレア結合は、ポリイソシアネート化合物とポリアミン化合物との重合により生じる。このウレア結合は水素結合により隣接分子の当該セグメントと強い凝集力を及ぼし、保持面へのスラリー凝集を促進させる場合がある。ポリウレタン樹脂が、その構成成分(構成単位)としてポリアミン化合物を実質的に又は完全に含まないことにより、保持面へのスラリー凝集を低減させやすくなる。
モジュラスとは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を単位面積で割った値である(以下、100%モジュラスと呼ぶことがある。)。この値が高い程、硬い樹脂である事を意味する。
ポリウレタン樹脂は、1〜20MPaの樹脂モジュラスを有することが好ましく、2〜10MPaであることがより好ましく、3〜8MPaであることがさらにより好ましい。樹脂モジュラスが上記範囲内であると、研磨後の被研磨物の平坦性を良好にでき、かつ被保持物に対する吸着性を上げることができる。
ポリウレタン樹脂含有溶液は、親水性界面活性剤を含むことが好ましい。従って、調製工程は、親水性界面活性剤をポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂含有溶液に添加する工程を含むことが好ましい。親水性界面活性剤としては、上記保持パッドの説明の中で挙げたものを用いることができる。親水性界面活性剤は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜5.0質量部の量で添加することが好ましく、0.5〜4.0質量部の量がより好ましく、1.0〜3.5質量部の量がさらにより好ましく、1.5〜3.0質量部の量がさらにより好ましく、2.0〜2.5質量部の量がさらにより好ましい。
また、親水性界面活性剤は、親水性界面活性剤の全量100質量%に対して、コハク酸又はコハク酸誘導体を30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%含むことがさらにより好ましく、70質量%以上含むことがさらにより好ましく、90質量%以上含むことがさらにより好ましい。
(B’)コハク酸又はコハク酸誘導体
また、ポリウレタン樹脂含有溶液は、コハク酸又はコハク酸誘導体を含むことが好ましい。従って、調製工程は、コハク酸又はコハク酸誘導体をポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂含有溶液に添加する工程を含むことが好ましい。コハク酸又はコハク酸誘導体は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜5.0質量部の量で添加することが好ましく、0.5〜4.0質量部の量がより好ましく、1.0〜3.5質量部の量がさらにより好ましく、1.5〜3.0質量部の量がさらにより好ましく、2.0〜2.5質量部の量がさらにより好ましい。
ポリウレタン樹脂含有溶液は、ポリビニル系化合物を含まないことが好ましい。従って、調製工程は、ポリビニル系化合物をポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂含有溶液に添加する工程を含まないことが好ましい。ポリビニル系化合物としては、上記保持パッドの説明の中で記載したものが挙げられる。
上記調製工程において、ポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂含有溶液にカーボンブラックを添加することが好ましい。カーボンブラックは、ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜50質量部の量で添加することが好ましく、5〜40質量部の量がより好ましく、10〜30質量部の量がさらにより好ましく、15〜25質量部の量がさらにより好ましい。
上記調製工程において、ポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂含有溶液に疎水性整泡剤を添加してもよい。疎水性整泡剤を添加する場合、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部の量で添加することが好ましく、0.5〜10質量部の量がより好ましく、1〜8質量部の量がさらにより好ましい。疎水性整泡剤としては、上記保持パッドの説明の中で記載したものが挙げられる。
前記有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解することができ且つ水混和性であれば特に制限なく用いることが出来る。例としては、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などが挙げられる。これらの中でも、DMF又はDMAcが好ましく用いられる。
ポリウレタン樹脂含有溶液中の固形分濃度は、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは15〜35質量%である。上記範囲内の濃度であれば、ポリウレタン樹脂含有溶液が適度な流動性を有し、後の塗布工程において成膜基材に均一に塗布することができる。
上記調製工程において、ポリウレタン樹脂又はポリウレタン樹脂含有溶液に撥水剤を添加しても添加しなくてもよいが、添加することが好ましい。撥水剤は、ポリウレタン樹脂100質量部に対して0.5〜5.0質量部の量で添加することが好ましく、1.0〜4.5質量部の量がより好ましく、1.5〜4.0質量部の量がさらに好ましい。
上記で得られたポリウレタン樹脂含有溶液を、ナイフコーター、リバースコーター等により成膜基材上に略均一となるように、連続的に塗布する。このとき、ナイフコーター等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ウレタン樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)が調整される。成膜基材としては、本技術分野で通常用いられる基材であれば特に制限なく用いることができる。例としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の可撓性のある高分子フィルム、弾性樹脂を含浸固着させた不織布等が挙げられ、中でもポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
ポリウレタン樹脂含有溶液が塗布された基材を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(凝固浴)に浸漬する。
凝固液としては、水、水とDMF等の極性有機溶媒との混合溶液などが用いられる。極性有機溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解するのに用いた水混和性の有機溶媒、例えばDMF、DMAc、THF、DMSO、NMP、アセトンが挙げられる。また、混合溶媒中の極性有機溶媒の濃度は0〜20質量%が好ましい。これらの中でも、凝固液としては、水又は水とDMFとの混合液が好ましく、水とDMFとの混合液(混合液中のDMFの割合は1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい)がより好ましい。
凝固液の温度や浸漬時間に特に制限はなく、例えば10〜60℃(好ましくは15〜50℃)で5〜120分間浸漬すればよい。
凝固液中では、まず、ウレタン樹脂溶液の凝固浴との界面に緻密なスキン層が形成される。その後、スキン層を通じてウレタン樹脂溶液中の溶媒と凝固液との置換が進行し、ウレタン樹脂が成膜基材上にシート状に凝固再生されて内部に涙形状気泡が複数形成された樹脂シートが形成される。
凝固浴で凝固させて得られたシート状のポリウレタン樹脂を成膜基材から剥離した後又は剥離せずに、洗浄、乾燥処理を行う。
洗浄処理により、ポリウレタン樹脂中に残留する有機溶媒が除去される。洗浄に用いられる洗浄液としては、水が挙げられる。
洗浄後、ポリウレタン樹脂を乾燥処理する。乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば80〜150℃で5〜60分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記の工程を経て、ポリウレタンシートを得ることができる。
本発明の研磨方法は、保持パッドを用いて被研磨物を保持しながら、前記被研磨物を研磨パッドで研磨する工程を有する、被研磨物の研磨方法である。
被研磨物(被保持物)としては、例えば、シリコン、ガラス、SiC、サファイア、金属などの被研磨物、が挙げられる。これらの中でも、被研磨物としては、ガラス基板(特にFPD用ガラス基板やカバーガラス基板)が好ましい。
被研磨物を研磨する方法としては、例えば、酸化セリウム、コロイダルシリカなどから選ばれる研磨材を含む研磨液を用いて、ガラス基板の表面を研磨する方法が挙げられる。
本発明の製造方法は、被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを含む保持パッドの製造方法であって、前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬し、前記保持パッドの浸漬部と非浸漬部の色差を測定する工程、及び前記色差が50以下である保持パッドを選別する工程を含む、前記保持パッドの製造方法である。当該製造方法は、保持パッドの選別方法でもある。
本製造方法を用いることにより、被研磨物を保持して研磨した時に保持面上にスラリーが凝集するのを抑制できる保持パッドを容易に製造することができる。
本発明の保持パッドは、従来の保持パッドに比べて、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制することができ、その結果被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減でき、製品寿命を向上させることができる。その理由は定かではないが、以下のように推測される。被研磨物を保持パッドの保持面上に保持しつつ研磨パッドで研磨する場合、スラリーが用いられる。スラリーには酸化セリウムなどの固形分が含まれ、この固形分の一部が保持パッドの表面、特に保持パッド表面の被研磨物周縁部分に付着し、研磨枚数が増えるにつれて付着量は増大する。本件発明の保持パッドは、スラリー浸漬部と非浸漬部の色差が50以下と小さいため、スラリーと長時間接していても保持パッド表面へのスラリー成分の付着を抑制し、浸漬前の状態を高度に維持しているものと考えられる。その結果、保持パッド表面へのスラリー凝集が生じにくくなり、被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどを低減でき、製品寿命を向上させることができるものと考えられる。
各実施例及び比較例において、特段の指定のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
ポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂(モジュラス:6.0MPa)を用いた。
このポリウレタン樹脂を30質量%の割合で溶解させた溶液の100部に対して、溶媒のDMFの50部、顔料としてカーボンブラックの30質量%を含むDMF分散液の20部を添加した。また、親水性界面活性剤としてコハク酸誘導体0.7部、撥水剤としてフッ素系撥水剤1.0部を添加した。
上記により得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に塗布した後、凝固液(組成:水)中に20℃で100分間浸漬してポリウレタン樹脂を凝固させ、厚み0.8mmの保持パッドを得た。
ポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。
このポリウレタン樹脂を30質量%の割合で溶解させた溶液の100部に対して、溶媒のDMFの50部、顔料としてカーボンブラックの30質量%を含むDMF分散液の20部を添加した。また、親水性界面活性剤としてコハク酸誘導体0.7部、疎水性整泡剤(変性シリコーン)2.0部、撥水剤としてフッ素系撥水剤1.0部を添加した。
上記により得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に塗布した後、実施例1と同様の方法でポリウレタン樹脂を凝固させ、厚み0.8mmの保持パッドを得た。
親水性界面活性剤及びフッ素系撥水剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の保持パッドを得た。
ポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。
このポリウレタン樹脂を30質量%の割合で溶解させた溶液の100部に対して、溶媒のDMFの50部、顔料としてカーボンブラックの30質量%を含むDMF分散液の20部を添加した。また、親水性界面活性剤としてコハク酸誘導体0.8部、成膜助剤としてポリビニル系化合物を0.4部、撥水剤としてフッ素系撥水剤1.0部添加した。
上記により得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に塗布した後、実施例1と同様の方法でポリウレタン樹脂を凝固させ、厚み0.8mmの保持パッドを得た。
実施例1〜2及び比較例1〜2のうち、比較例1の保持パッドは発泡構造が不均一であり、被研磨物を保持できず、保持パッドとしての使用に耐えうるものではないため、色差測定及び研磨試験の評価対象から除外した。
実施例1〜2及び比較例2の保持パッドについて、色差を測定した。具体的な色差の測定方法は以下のとおりである。
(色差の測定)
実施例1〜2および比較例2の保持パッドから採取した短冊形サンプルを、スラリーに45℃で24時間浸漬した。このとき、比較のために少なくとも20mmはスラリーに浸漬しないようにした。24時間浸漬した後、浸漬部と非浸漬部の境界線から浸漬部側20mm、非浸漬部側20mmの領域(各々20mm角の範囲)を含む領域について光度500ルクスの環境下で撮影した。得られた画像から、浸漬部と非浸漬部の境界線から浸漬部側20mm、非浸漬部側20mmの領域(各々20mm角の範囲)について、それぞれのRGB値の平均を算出し、下記式に従って色差を求めた。
(R2…浸漬部のR値、R1…非浸漬部のR値、G2…浸漬部のG値、G1…非浸漬部のG値、B2…浸漬部のB値、B1…非浸漬部のB値)
サンプル幅:20mm
浸漬深さ:60mm
スラリー温度:45℃(研磨中のスラリー温度を想定)
スラリー:水および酸化セリウムの混合液スラリー(スラリー中の酸化セリウム10質量%)
その結果を表1及び図1に示す。
次に、実施例1〜2及び比較例2の保持パッドについて、下記の方法により、被研磨物を保持して研磨したときの耐久性を評価した。なお、試験は、スラリー凝集により被研磨物にスクラッチ又は研磨ムラの欠点が発生するまでに研磨した被研磨物の枚数を測定した。
・被保持物(被研磨物):ガラス基板(厚さ1mm)
・研磨パッド:フジボウ愛媛株式会社製 POLYPAS TM7
・使用研磨機:スピードファム社製 SP1200
・研磨速度(回転数):40rpm
・加工圧力:100gf/cm2
・スラリ:水および酸化セリウム(平均一次粒子径1.0μm)の混合液スラリー(スラリー中の酸化セリウム10質量%)
その結果を表1に示す。
研磨試験の結果、色差が50以下である実施例1〜2の保持パッドは、スラリー凝集により被研磨物に欠点が発生するまでに約1300枚のガラス基板を研磨することができた。一方、色差が50を超える比較例2の保持パッドは、約1000枚を研磨した時点でスラリー凝集が生じ、被研磨物に欠点が観察された。
以上の結果から、本発明の保持パッドは、保持パッド表面へのスラリー凝集を抑制させることで、被研磨物のスクラッチや研磨ムラなどの欠点の低減し、その結果製品寿命を向上できることが分かった。
Claims (13)
- 複数の涙形状気泡を有し且つ被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを有する保持パッドであって、
前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの前記ポリウレタンシートの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である、前記保持パッド。 - 前記ポリウレタンシートを構成するポリウレタン樹脂が実質的にウレア結合を含まない、請求項1に記載の保持パッド。
- 前記ポリウレタンシートが、コハク酸又はコハク酸誘導体を含む、請求項1又は2に記載の保持パッド。
- 前記ポリウレタンシートが、ポリビニル系化合物を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持パッド。
- 前記ポリウレタンシートが、カーボンブラックを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持パッド。
- 前記ポリウレタンシートが、ポリウレタン樹脂100質量部に対して1〜50質量部の量のカーボンブラックを含む、請求項5に記載の保持パッド。
- 前記ポリウレタンシートは、その保持面側にスキン層を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の保持パッド。
- ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸又はコハク酸誘導体を0.1〜5.0質量部の割合で含む溶液を凝固浴処理して得られるポリウレタンシートを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の保持パッド。
- ポリウレタン樹脂を含む溶液を調製する工程、
ポリウレタン樹脂を含む溶液を凝固液に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固させ、ポリウレタンシートを得る工程、
を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法であって、
前記ポリウレタンシートは、前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬したときの浸漬部と非浸漬部の色差が50以下である、前記製造方法。 - 前記ポリウレタン樹脂が実質的にウレア結合を含まない、請求項9に記載の製造方法。
- ポリウレタン樹脂100質量部に対してコハク酸又はコハク酸誘導体を0.1〜5.0質量部の割合で添加する工程を含む、請求項9又は10に記載の製造方法。
- 前記ポリウレタン樹脂の100質量%に対し、撥水剤を0.5〜5.0質量%を添加する工程を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の保持パッドの製造方法。
- 被研磨物を保持するための保持面を有するポリウレタンシートを含む保持パッドの製造方法であって、
前記ポリウレタンシートの一部を酸化セリウムを10質量%含むスラリー中に45℃で24時間浸漬し、浸漬部と非浸漬部の色差を測定する工程、及び
前記色差が50以下である保持パッドを選別する工程、
を含む、前記保持パッドの製造方法。
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