JP5970287B2 - 研磨布 - Google Patents
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Description
特許文献2の研磨布のように、その縦長の発泡は略水滴状でありシート状樹脂発泡体の厚さ15%まで平均25μmの孔径を維持しても、深くなるに従って大きく拡大し、発泡の数もシート状樹脂発泡体の内部に行くにしたがって少なくなっている。
具体的には、シート状樹脂発泡体の銀面表面よりの厚み5%で10μmであった発泡径は、厚み20%では20μmを越え、2倍以上となっている。発泡数もシート状樹脂発泡体の厚み5%では約60個あったが、厚み20%では30個以下と半分になっている。
特許文献3記載の研磨布においても研磨面から200μmの深さ位置までの縦長の発泡の径の拡大は抑制されているが、それより深い位置においては急に拡大している。
特許文献4記載の研磨布においては、研削処理により研磨面の裏面である基礎となる部分がなく、さらに研磨布の中ほどより下方にある大きな発泡が研削面において大きく開孔しているため、シート状樹脂発泡体に基材を接着すると、接着時の加圧と圧戻しによる歪みが研磨布の研磨面に現れる。また、銀面表面を残した特許文献4のような研磨布では、研磨加工開始時にドレス処理を行なうと、銀面表面の歪みやうねりにより研磨面に筋が発生する。この発生した筋を無くすため、更にドレス処理を行なう必要があった。
上記第1の課題解決手段による作用は、発泡層の縦長の発泡を銀面表面より厚み方向に細く、一様に伸びる形状に揃えることができる。
図1(a)は、湿式凝固法により作製したシート状樹脂発泡体および発泡層の一実施形態を概略的に示す断面図である。従来は、同図に示すシート状樹脂発泡体1をそのまま、もしくはその表面または裏面を浅く研削処理し、図3に示すような研磨布14、16としていた。
本発明の上発泡層3とは、図2に示すように銀面表面からシート状樹脂発泡体の厚みが増すにつれ、増える空孔率が0.6以上とならないシート状樹脂発泡体の厚み部分である。
上発泡層3としては0.5以下となることが好ましい。さらに好ましくは、空孔率が0.45以下である。
上発泡層3の空孔率が0.6以上の場合は、発明の効果を得られにくい。これは、空孔率が0.6以上の領域は、小さな発泡5が成膜基材面7の近傍にまで達する縦長の大きな発泡6に集合し、発泡6の空隙が急に大きくなり、ほぼ発泡6のみとなるためである。空孔率の下限には特に制限はないが、一例として、本発明によれば、上発泡層3の空孔率が0.3以上である研磨布が容易に得られる。
ポリウレタンエラストマーは、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系あるいはこれらの共重合体等を用いることができ、目的に応じて単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
また、開孔11の平均径(A)が200μmを越える場合、研磨機の定盤に研磨布を貼り付けた場合、その研磨面に歪みを生じ、本発明の効果を得られない。平均径(A)の下限には特に制限はないが、一例として、本発明によれば、開孔11の平均径(A)が80μm以上である研磨布が容易に得られる。
また、(A)/(B)の値が0.25を超える場合、その圧縮変形量が大きくなる。圧縮変形量が大きいと被研磨物である基板の端部形状に影響を与え、ロール・オフと呼ばれる欠陥を生じる。(A)/(B)の値の下限には特に制限はないが、一例として、本発明によれば、平均径(A)と上発泡層3の厚み9(B)に対する比(A)/(B)の値が0.1以上である研磨布が容易に得られる。
1)開孔11の平均径の測定
裏面10のSEM画像(日立社製走査型顕微鏡S−2150)を撮り、画像解析装置(三谷商事社製 WinRoof Ver.6.4)を用いて平均円相当径を算出した。
2)圧縮変形量の測定
研磨布にW1:300gf/cm2で1分間の荷重をかけ、厚みC1を測定する、次にW2:1800gf/cm2で1分間の荷重をかけて、厚みC2を測定し、数式=〔(C1−C2)〕により算出する。
3)研磨面の開孔径の状態の観察
研磨機の上定盤、下定盤の研磨布の内径部(内径端から20mm)、中心部(内径端から100mm)、外径部(内径端から180mm)の計6ヶ所の研磨面の開孔の状態を100倍のSEM写真により観察した。
4)被研磨物の粗さ
平坦度評価は、ZYGO NEW VIEW200(ZYGO社製)を用い、研磨したアルミニウム基板の表裏4点を測定し、その粗さ(単位Å)を求め、その8点を平均化した。
固形分濃度30%のポリエステル系ポリウレタンエラストマー溶液100質量部に、ジメチルホルムアミド60質量部、発泡助剤1.5質量部、および顔料であるカーボンブラックを20質量%含有するジメチルホルムアミド分散液10質量部を加え、ポリウレタンエラストマー発泡用溶液を作製した。
実施例2では、実施例1と同様の発泡用溶液の塗布量を増やして、1750g/m2塗布し、シート状樹脂発泡体1の厚みを1800μmとし、また裏面10における空孔率を0.45とした。 これ以外は実施例1と同様にし、厚さ820μmの上発泡層3を得た。さらに、基材12を接着し実施例2の研磨布13を作製した。
比較例1では、実施例1と同様の発泡用溶液の塗布量を減らして、1230g/m2塗布し、シート状樹脂発泡体1の厚みを1250μmとし、また裏面10における空孔率を0.6とした。これ以外は実施例1と同様にし、厚さ810μmの上発泡層3を得た。さらに、基材12を接着し比較例1の研磨布13を作製した。
比較例2では、実施例1と同様の発泡用溶液の塗布量を減らして、900g/m2塗布し、シート状樹脂発泡体1の厚みを900μmとし、また裏面10における空孔率を0.6とした。これ以外は実施例1と同様にし、厚さ590μmの上発泡層3を得た。さらに、基材12を接着し比較例2の研磨布13を作製した。
比較例3では、実施例1と同様の発泡用溶液の塗布量を減らして、980g/m2塗布し、シート状樹脂発泡体1の厚みを990μmとした以外は、比較例2と同様にし、厚さ660μmの上発泡層3を得た。さらに、基材12を接着し比較例3の研磨布13を作製した。
比較例4では、図3(a)に示すように、実施例1と同様の発泡用溶液および湿式凝固法により、発泡用溶液の塗布量を減少させ、810g/m2塗布し、厚さ810μmのシート状樹脂発泡体1を形成し発泡層15とした。銀面表面2の反対側に基材12を接着して、比較例4の研磨布14を作製した。
比較例5では、図3(b)に示すように、実施例1と同様の発泡用溶液および湿式凝固法により、発泡用溶液の塗布量を減少させ、890g/m2塗布し、厚さ890μmのポリウレタンエラストマーのシート状樹脂発泡体1を形成後、銀面表面2の反対側から100μmほど研削処理により除去し、銀面表面2の反対面の発泡を開孔させ、発泡層17とした。 その開孔の平均径は310μmであった。次に銀面表面2の反対側に基材12を接着にして、比較例5の研磨布16を作製した。
内径240mm、外径640mmのドーナツ状の研磨布をスピードファム社製「9B−5P−IV」に装着し、台金の表面にダイヤモンド砥粒が固着された研磨布用ドレッサを研磨布表面に4個セットし、純水を流しながら研磨布の研磨面の微細な凹凸を平坦化するために、研磨面のドレッシング加工(ダイヤモンドドレス)を行った。ドレッシング加工後に研磨面の開孔径の状況を上述の方法により観察した。
研磨条件は、加工圧力80g/cm2、定盤回転数45rpm、研磨液供給量100cc/分とした。
また、1000バッチ目に加工したアルミニウム基板の平坦度を上述の方法により測定した。
研磨面の開孔径の大きさを、研磨布の研磨面の写真、図4の各基準に比較し、評価した。
大きさおよびばらつき(小)=A < B < C=大きさおよびばらつき(大)
図4に評価の基準とした、研磨布の上下・外中内部のSEM写真を示す。
図4(a)は評価Aの基準を示す。開孔は同図(b)(c)より小さく、場所による違いはほとんどない。
図4(b)は評価Bの基準を示す。開孔は同図(a)より大きいが、場所による違いは少ない。
図4(c)は評価Cの基準を示す。開孔は同図(a)(b)より大きく、場所によりその大きさが異なる。
[被研磨物の粗さ(Ra)]
被研磨物の粗さ(Ra)を次の基準で評価した。
○:Ra<2.2Å
△:2.2Å≦Ra≦2.5Å
×:2.5Å<Ra
よって、これまでの研磨布に比べ、より長時間に渡り、良好な研磨特性が得られる。
2 銀面表面
3 上発泡層
4 下発泡層
5 発泡
6 発泡
7 成膜基材面
9 厚み
10 裏面
11 開孔
12 基材
8、13 研磨布(本発明)
14、16 研磨布(従来例)
15、17 発泡層
Claims (3)
- 成膜用基材上に発泡用溶液を1300g/m2以上塗布し、その塗布した成膜用基材を水系凝固液中に浸漬して凝固成分を凝固させた後、成膜用基材を剥離し、シート状樹脂発泡体を形成する工程と、前記シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満となる面まで、成膜基材面より切削する工程とを含むことを特徴とする研磨布の製造方法。
- 湿式凝固法によるシート状樹脂発泡体を用いる研磨布において、前記シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満で、かつシート状樹脂発泡体の銀面表面の裏面に平均径150μm以下の研削による発泡の開孔を有することを特徴とする研磨布。
- 前記シート状樹脂発泡体の銀面表面からの深さ100μmにおける断面の発泡径が平均30μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の研磨布。
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