JP5501719B2 - シート状研磨部材 - Google Patents

シート状研磨部材 Download PDF

Info

Publication number
JP5501719B2
JP5501719B2 JP2009226507A JP2009226507A JP5501719B2 JP 5501719 B2 JP5501719 B2 JP 5501719B2 JP 2009226507 A JP2009226507 A JP 2009226507A JP 2009226507 A JP2009226507 A JP 2009226507A JP 5501719 B2 JP5501719 B2 JP 5501719B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
resin
polishing
adhesive
double
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009226507A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011073093A (ja
Inventor
秀則 武田
栄利 兵頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujibo Holdins Inc
Original Assignee
Fujibo Holdins Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujibo Holdins Inc filed Critical Fujibo Holdins Inc
Priority to JP2009226507A priority Critical patent/JP5501719B2/ja
Publication of JP2011073093A publication Critical patent/JP2011073093A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5501719B2 publication Critical patent/JP5501719B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Description

本発明はシート状研磨部材に係り、特に、湿式成膜法により内部にセルが形成され一面側に表面層を有する樹脂シートの他面側が該樹脂シートの厚みが一様となるように研削処理され、他面側が研磨装置に貼着されるシート状研磨部材に関する。
従来研磨加工には、被研磨物を研磨加工するための研磨パッドや被研磨物を研磨装置に保持させるための保持パッドが使用されている。研磨パッドや保持パッドには、樹脂製のシート状研磨部材が広く用いられており、研磨加工時にこれらのシート状研磨部材が研磨装置に貼着される。研磨装置にシート状研磨部材を貼着するために、シート状研磨部材には両面テープ等の粘着性を有する部材が貼り合わされている。
一方、研磨加工の対象となる被研磨物としては、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、シリコンウェハ、ハードディスク用基板や液晶ディスプレイ用ガラス基板等の材料、といった多岐にわたる材料を挙げることができる。これらの材料の研磨加工においては、例えば、半導体デバイスでは半導体回路の微細化や多層配線化が進められており、配線の各層で高度な平坦性が求められている。このような被研磨物に求められる平坦性が高度化するのに伴い、研磨パッドや保持パッドに対する要求性能も高まっている。
一般に、研磨部材を構成する樹脂シートは、湿式成膜法により作製されており、セルが形成された発泡構造を有している。すなわち、樹脂を水混和性の有機溶媒に溶解させた樹脂溶液をシート状の成膜基材に塗布後、水系凝固液中で樹脂を凝固再生させることで作製されている。得られた樹脂シートでは、表面側に、緻密な微多孔状に形成されたスキン層(表面層)を有している。スキン層の表面が平坦性に優れるため、研磨パッドでは被研磨物を研磨加工するための研磨面を形成し、保持パッドでは被研磨物を保持するための保持面を形成する。研磨加工時には、樹脂シートがスキン層と反対の面側で研磨装置に貼着される。
ところが、湿式成膜法では、樹脂溶液が粘性を有するため、成膜基材への塗布時に厚さバラツキが生じると共に、凝固再生時の有機溶媒と水系凝固液との置換により厚さバラツキが生じやすい。このため、樹脂シート自体の表面平坦性が損なわれる(大きく波打った表面となる)。厚さバラツキが生じた樹脂シートでは、研磨加工時に、厚さの大きな部分で被研磨物にかかる圧力が大きくなるため、当該部分の加工表面が大きく研磨されて平坦性が損なわれる。湿式成膜法により形成されたスキン層を残したまま、樹脂シートの厚さバラツキを低減するため、樹脂シートのスキン層と反対の面(裏面)側にバフ処理等の研削処理(表面サンディング)が施されている。例えば、ポリウレタン樹脂製シートの裏面側が厚さが一様となるようにバフ処理され、バフ処理された面にPET製フィルムが貼り合わされた研磨パッドの技術が開示されている(特許文献1参照)。また、湿式成膜法により形成された樹脂シートの裏面がバフ処理され両面テープと貼り合わされた保持パッドの技術が開示されている(特許文献2参照)。
特開2007−260855号公報 特開2008−23625号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2の技術では、湿式成膜法により作製された樹脂シートの裏面側がバフ処理されており、研磨装置の定盤や研磨加工時にクッション性を付与する役割を果たすクッション材と貼り合わせるために、樹脂シートのバフ処理された面に両面テープ等の粘着部材が貼り合わされている。バフ処理することで、樹脂シートの裏面には、研削痕が残されており、湿式成膜時の厚さバラツキの程度によっては樹脂シートの内部に形成されたセルが開孔することがある。このため、樹脂シートのバフ処理された面と、粘着部材との間に隙間が形成される可能性がある。研磨加工時に供給されるスラリ(研磨粒子を含む研磨液)が樹脂シートと粘着部材との隙間に浸入すると、粘着部材の粘着力が低下し、樹脂シートが剥離してしまうことがある。
本発明は上記事案に鑑み、研磨加工時に研磨装置からの剥離を抑制することができるシート状研磨部材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、湿式成膜法により内部にセルが形成され一面側に表面層を有する樹脂シートの他面側が該樹脂シートの厚みが一様となるように研削処理され、前記他面側が研磨装置に貼着するための粘着部材と貼り合わされたシート状研磨部材において、前記他面側は、樹脂剤を有機溶媒に溶解させたコーティング液補強され前記粘着部材と貼り合わされたことを特徴とする。
本発明では、研削処理された他面側に樹脂剤を有機溶媒に溶解させたコーティング液補強され粘着部材と貼り合わされたことで、研削処理に伴う研削痕により他面側に凹凸が形成され、強度低下が生じても、コーティングの樹脂剤で他面側の凹凸が均されるとともに補強され粘着部材との粘着力が確保されるので、研磨加工時に研磨装置から樹脂シートの剥離を抑制することができる。
この場合において、表面層の表面を、被研磨物を研磨加工するための研磨面または被研磨物を保持するための保持面としてもよい。樹脂剤を、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エチレン含有共重合体、フェノール系樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種とすることができる。粘着部材が基材の両面に樹脂系粘着剤を塗工されていてもよい。このとき、樹脂系粘着剤を、少なくともアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤から選択される1種とすることができる。樹脂シートをポリウレタン樹脂製としてもよい。樹脂シートと粘着部材との剥離強度が19.6N以上の特性を有していることが好ましい。
本発明によれば、研削処理された他面側に樹脂剤を有機溶媒に溶解させたコーティング液補強され粘着部材と貼り合わされたことで、研削処理に伴う研削痕により他面側に凹凸が形成され、強度低下が生じても、コーティングの樹脂剤で他面側の凹凸が均されるとともに補強され粘着部材との粘着力が確保されるので、研磨加工時に研磨装置からの剥離を抑制することができる、という効果を得ることができる。
本発明を適用した実施形態の研磨シートを模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明を適用したシート状研磨部材を備えた研磨シートの実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の研磨シート10は、湿式成膜法により作製されたポリウレタン樹脂製のウレタンシート2を有している。
ウレタンシート2は、湿式成膜法により作製されたシート(樹脂シート)の一面側にスキン層(表面層)4を有している。スキン層4と反対の面(他面)側には、スキン層4の表面が平坦にシートの厚みが一様となるようにバフ処理が施されている。すなわち、バフ処理が施されることで、ウレタンシート2の厚みが均一化されている。スキン層4は、緻密な微多孔状に形成されている。スキン層4側の表面が被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを構成し、スキン層4と反対の面側にバフ処理が施され形成された面がバフ処理面Rを構成している。
ウレタンシート2には、厚み方向(図1の縦方向)に沿って縦長で丸みを帯びた断面三角状のセル(気孔)3が略均等に分散した状態で形成されている。セル3は、研磨面P側の孔径がバフ処理面R側の孔径より小さく形成されている。すなわち、セル3は研磨面P側がバフ処理面R側より縮径されている。バフ処理面Rでは、バフ処理によりセル3が開孔しており、開孔5が形成されている。開孔5は、バフ処理により削り取られるポリウレタン樹脂の量(バフ量)により孔径にバラツキが生じている。セル3の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層4の微多孔より大きくセル3より小さい孔径の図示しない微多孔が形成されている。セル3および図示しない微多孔は、不図示の連通孔で網目状に連通している。すなわち、ウレタンシート2は連続発泡構造を有している。ウレタンシート2では、厚みが400〜1000μmの範囲に調整されている。ウレタンシート2の厚みは、湿式成膜時やバフ処理時の条件で調整することができる。
また、研磨シート10では、研磨装置に貼着するために、ウレタンシート2のバフ処理面R側に両面テープ7が貼り合わされている。両面テープ7は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の可撓性フィルムを用いた基材7aを有している。基材7aの一面側には、樹脂系粘着剤が塗工され形成された粘着部材としての粘着剤層7bを有している。基材7aの他面側には、樹脂系粘着剤が塗工され形成された粘着剤層7cを有している。樹脂系粘着剤には、少なくともアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤から選択される1種を用いることができ、本例では、アクリル系粘着剤が用いられている。両面テープ7は、一面側の粘着剤層7bがウレタンシート2のバフ処理面Rと貼り合わされており、他面側の粘着剤層7cが剥離紙8で覆われている。ウレタンシート2と粘着剤層7bとが研磨部材6(シート状研磨部材)を構成している。なお、本例では、両面テープ7の基材7aが研磨シート10の全体を支持する機能も兼ねている。
ウレタンシート2に両面テープ7が貼り合わされるときは、ウレタンシート2のバフ処理面Rに樹脂剤でコーティング処理が施されている。バフ処理面Rでは、バフ処理に用いられるバフ材の砥粒によりポリウレタン樹脂が引きちぎられるように研削されるため、平滑性が低下して荒れた表面が形成されている。このため、バフ処理面Rの樹脂部分には歪もあり、強度低下も生じている。バフ処理面Rの開孔5を除くポリウレタン樹脂の面を樹脂剤でコーティングすることで、バフ処理面Rが補強されている。コーティング処理用の樹脂剤には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エチレン含有共重合体、フェノール系樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種を用いることができる。本例では、樹脂剤としてポリウレタン樹脂が用いられている。コーティング処理により、ウレタンシート2と両面テープ7との粘着力が高められる。このため、研磨シート10では、ウレタンシート2と両面テープ7との剥離強度が19.6N(2.0kgf)以上を示す。
(製造)
研磨シート10は、湿式成膜法により作製されたシートにバフ処理を施した後、得られたウレタンシート2と両面テープ7と貼り合わせることで製造される。湿式成膜法では、ポリウレタン樹脂溶液を調製する準備工程、ポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液中でポリウレタン樹脂をシート状に凝固再生させる凝固再生工程、凝固再生したポリウレタン樹脂を洗浄し乾燥させる洗浄・乾燥工程を経てシートが作製される。以下、工程順に説明する。
準備工程では、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒および添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)やN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等を用いることができるが、本例では、DMFを用いる。ポリウレタン樹脂には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30重量%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、セル3の大きさや量(個数)を制御するカーボンブラック等の顔料、セル形成を促進させる親水性活性剤およびポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を減圧下で脱泡しポリウレタン樹脂溶液を調製する。
凝固再生工程では、準備工程で調製したポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液中でポリウレタン樹脂をシート状に凝固再生させる。ポリウレタン樹脂溶液を、塗布装置により常温下で帯状の成膜基材に略均一に塗布する。塗布装置として、本例では、ナイフコータを用いる。このとき、ナイフコータと成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液の塗布厚み(塗布量)を調整する。本例では、得られるウレタンシートの厚みを上述した範囲とするため、塗布厚みを500〜1200μmの範囲に調整する。成膜基材には、可撓性フィルム、不織布、織布等を用いることができるが、本例では、成膜基材をPET製フィルムとして説明する。
成膜基材に塗布されたポリウレタン樹脂溶液を、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(水系凝固液)中に案内する。凝固液中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液の表面側にスキン層4を構成する微多孔が厚み数μm程度にわたって形成される。その後、ポリウレタン樹脂溶液中のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂がシート状に凝固再生する。DMFがポリウレタン樹脂溶液から脱溶媒し、DMFと凝固液とが置換することにより、スキン層4より内側のポリウレタン樹脂中にセル3および図示しない微多孔が形成され、セル3および図示しない微多孔を網目状に連通する不図示の連通孔が形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液の表面側(スキン層4側)で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きなセル3が形成される。
洗浄・乾燥工程では、凝固再生した帯状(長尺状)の成膜樹脂を洗浄した後乾燥させる。すなわち、成膜樹脂を、成膜基材から剥離した後、水等の洗浄液中で洗浄して成膜樹脂中に残留するDMFを除去する。洗浄後、成膜樹脂をシリンダ乾燥機で乾燥させる。シリンダ乾燥機は内部に熱源を有するシリンダを備えている。成膜樹脂がシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。乾燥後の成膜樹脂をロール状に巻き取る。
バフ処理を行うときは、洗浄・乾燥工程で乾燥させた成膜樹脂のスキン層4と反対の面側にバフ処理を施す。成膜基材に形成された成膜樹脂では、湿式成膜時に厚みバラツキが生じている。成膜基材を剥離した後、スキン層4側の表面に、表面が平坦な圧接治具を圧接することで、スキン層4と反対の面側に凹凸が出現する。この凹凸をバフ処理で除去する。本例では、連続的に製造された成膜樹脂が帯状のため、圧接ローラを圧接しながら、連続的にバフ処理を施す。成膜樹脂がバフ処理されてバフ処理面Rが形成されたウレタンシート2では厚みが均一化され、バフ処理面Rに開孔5が形成される。
バフ処理されたウレタンシート2のバフ処理面R側に両面テープ7を貼り合わせる。ウレタンシート2および両面テープ7を貼り合わせるときは、ウレタンシート2のバフ処理面Rにポリウレタン樹脂でコーティング処理を施す。コーティング処理では、ポリウレタン樹脂を、例えば、アセトン、DMF等の有機溶媒に、5〜50dPa・s(デシパスカル・秒)の粘度、好ましくは10〜30dPa・sの粘度となるように溶解させたコーティング液を調製する。バフ処理面Rにコーティング液を塗布する方法としては、例えば、刷毛で塗る方法、スプレーガンで吹き付ける方法、ロールコータで塗る方法等を挙げることができる。コーティング液を塗布した後、このコーティング液が乾燥する前に、バフ処理面Rに両面テープ7を一面側の粘着剤層7bで貼り合わせる。このとき、ウレタンシート2および両面テープ7を2つの平坦な治具間で挟み込み加圧して貼り合わせる。そして、円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、キズや汚れ、異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨シート10を完成させる。
研磨シート10で被研磨物30の研磨加工を行うときは、例えば、対向する2つの定盤を備えた両面研磨機(研磨装置)が使用される。2つの定盤には、それぞれ研磨シート10を貼着する。定盤に研磨シート10を貼着するときは、剥離紙8を取り除き露出した粘着剤層7cで貼着する。被研磨物および研磨シート10間に研磨粒子を含む研磨液(スラリ)を循環供給すると共に、被研磨物に圧力(研磨圧)をかけながら少なくとも一方の定盤を回転させることで、被研磨物を研磨加工する。
(作用)
次に、本実施形態の研磨シート10の作用等について説明する。
本実施形態では、ウレタンシート2のスキン層4と反対の面側にバフ処理が施されバフ処理面Rが形成されている。バフ処理面Rに両面テープ7を貼り合わせるときは、バフ処理面Rにポリウレタン樹脂でコーティング処理が施されている。通常、バフ処理ではウレタンシート(成膜樹脂)の表面が削り取られることから、バフ処理面Rには筋状のキズ(研削痕)が生じて凹凸が形成されている。コーティング処理を施すことにより、バフ処理面Rの凹凸が均され平坦化される。このため、両面テープ7を構成する粘着剤層7bの粘着剤とウレタンシート2との接着面積が増大することとなり、接着力を確保することができる。これにより、研磨加工時には、バフ処理面Rと両面テープ7の粘着剤層7bとの間に隙間が形成されることなくウレタンシート2と両面テープ7との剥離を抑制することができる。従って、研磨シート10が両面研磨機の定盤から剥離することなく研磨加工を安定して継続することができ、被研磨物の平坦性向上を図ることができる。また、研磨シート10の剥離が抑制されることで、研磨加工に使用可能な期間を長くすることができ、ライフの向上を図ることができる。また、バフ処理面Rの樹脂部分ではバフ処理により引きちぎられた状態で削られている。この結果、研削部分の樹脂は歪や切れ残り等で強度が低下する。コーティング処理により補強することでバフ処理面Rの強度を維持向上させることができる。
本実施形態では、バフ処理面Rにコーティング処理を施したウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせることで、ウレタンシート2と両面テープ7との剥離強度が19.6N以上の特性を示す。このため、研磨加工時に研磨液(スラリ)が浸潤しても十分な接着力が発揮されることでウレタンシート2の剥離を抑制することができる。
従来、研磨加工時に研磨装置に貼着される樹脂製シート材としては、研磨シートや保持シートが用いられている。これらのシート材では、研磨装置の定盤に貼着するために両面テープ等の粘着部材が用いられている。ところが、シート材を湿式成膜法により作製した場合には、厚さバラツキが生じるため、バフ処理を施すことで厚さの均一化が図られている。バフ処理を施すことでシート材の表面にキズ等が生じるため、研磨加工時には、シート材と粘着部材との間に隙間が形成されることがある。この隙間にスラリが浸入することでシート材と粘着部材との間の粘着力が低下しシート材の剥離を招くことがある。また、このような隙間が形成されることで、被研磨物にかかる研磨圧に局所的にバラツキが生じる可能性がある。このような場合は、被研磨物が均等に研磨加工されず平坦性を損なうこととなる。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨シートである。
なお、本実施形態では、コーティング処理の樹脂剤としてポリウレタン樹脂を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。通常の表面処理に用いられる樹脂剤を用いるようにしてもよく、このような樹脂剤として上述した各種の樹脂剤を挙げることができる。また、バフ処理面Rにコーティング処理を施すことに代えて、バフ処理面Rと貼り合わされる両面テープ7の一面側の粘着剤層7bの表面にコーティング処理を施すようにしてもよい。この場合でも、塗布したコーティング液が乾燥する前にバフ処理面Rと貼り合わせることが好ましい。樹脂剤を塗布する方法として、刷毛、スプレーガン、ロールコータを例示したが、バフ処理面Rや粘着剤層7bの表面に均等、均一に塗布することができる方法であれば、特に制限されるものではない。更に、本実施形態では、ウレタンシート2の厚みが一様となるようにバフ処理を施す例を示したが、本発明は、バフ処理に限定されるものではなく、例えば、スライス処理等の研削処理を施すようにしてもよい。このような処理でも、ウレタンシートの処理された面に凹凸が形成される可能性のあることを考えれば、本発明を適用することで上述した効果を得ることができる。
また、本実施形態では、ウレタンシート2と両面テープ7とを貼り合わせる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。両面テープ7に代えて、粘着剤のみで構成される粘着シートを用いることも可能であり、この場合でも上述した効果を得ることができる。また、両面テープ7を構成する粘着剤層7bの粘着剤として、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤を例示したが、本発明はこれらに制限されるものではない。ウレタンシート2を定盤に貼着することができるような粘着剤であれば、いかなる粘着剤でも使用することができる。本実施形態では、両面テープ7の基材7aが研磨シート10の全体を支持する機能も兼ねているが、両面テープ7以外に更に別の基材を貼り合わせるようにしてもよいことはもちろんである。
更に、本実施形態では、樹脂シートとしてウレタンシートを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリビニルクロライド等の樹脂を用いてもよい。湿式成膜法により連続状の発泡構造が形成されることで研磨性能の向上が期待できることを考慮すれば、ポリウレタン樹脂製とすることが好ましい。
また更に、本実施形態では、研磨部材6が、被研磨物を研磨加工するための研磨シート10を構成する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。研磨加工時に研磨装置に貼着されるシート状研磨部材としては、研磨シート以外に、被研磨物を保持するための保持面を有する保持シートを挙げることができる。換言すれば、本発明におけるシート状研磨部材では、研磨加工時に使用される研磨シートや保持シートが含まれるものである。保持シートでも、定盤に貼着するために粘着部材が用いられているため、本実施形態の研磨シート10と同様にコーティング処理したバフ処理面に両面テープを貼り合わせることで、上述した効果を得ることができる。
以下、本実施形態に従い製造した研磨シート10の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨シートについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、ポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。このポリウレタン樹脂を30重量%含むDMF溶液の100部に対して、粘度調整用のDMFの45部、顔料のカーボンブラックを30重量%含むDMF分散液の40部を混合してポリウレタン樹脂溶液を調製し、湿式成膜法によりウレタンシートを作製した。得られたウレタンシートのスキン層と反対の面側にバフ処理を施すことでウレタンシート2を得た。ウレタンシート2のバフ処理面Rに粘度20dPa・sに調整したポリウレタン樹脂でコーティング処理を施し、コーティング液が乾燥する前に両面テープ7を貼り合わせて実施例1の研磨シート10を製造した。
(実施例2)
実施例2では、コーティング処理を、両面テープ7の一面側の粘着剤層7bの表面に施す以外は実施例1と同様にして実施例2の研磨シート10を製造した。
(比較例1)
比較例1では、バフ処理面Rにコーティング処理を施さない以外は実施例1と同様にして比較例1の研磨シートを製造した。すなわち、比較例1は従来の研磨シートである。
(評価)
次に、各実施例および比較例の研磨シートについて、ウレタンシート2および両面テープ7間の剥離強度を測定した。剥離強度は、日本工業規格(JIS K 6772、「ビニルレザークロス」)に準拠して測定した。すなわち、ウレタンシート2および両面テープ7を貼り合わせた試験片を作製し、試験片の一端のウレタンシート2および両面テープ7をそれぞれ引張試験機の把持部に把持させて一定スピードで反対方向(試験片を一端から引き剥がす方向)に引っ張ることで測定した。引張スピードは、200mm/min.に設定した。剥離強度の測定結果を下表1に示した。なお、表1では、剥離強度の単位系を「kgf」で示しているが、国際単位系で表すと1kgfが9.8Nに相当する。
Figure 0005501719
表1に示すように、バフ処理面Rをコーティング処理していない比較例1の研磨シートでは、剥離強度が1.49kgf程度のため、研磨加工中に研磨液等が浸潤すると、ウレタンシート2と両面テープ7とが剥離するおそれがある。これに対して、バフ処理面Rにコーティング処理を施した実施例1の研磨シート10、両面テープ7の粘着剤層7bの表面にコーティング処理を施した実施例2の研磨シート10では、剥離強度がそれぞれ2.42kgf、2.14kgfの優れた結果を示した。このことから、研磨シート10ではウレタンシート2と両面テープ7とが強固に貼り合わされていることが判った。これは、コーティング処理を施すことで、バフ処理により生じたキズ等の凹凸が均され接着力が向上したためと考えられる。
本発明は研磨加工時に研磨装置からの剥離を抑制することができるシート状研磨部材を提供するものであるため、研磨シートや保持シートの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
P 研磨面
R バフ処理面
2 ウレタンシート(樹脂シート)
3 セル
4 スキン層(表面層)
5 開孔
6 研磨部材(シート状研磨部材)
7 両面テープ
7a 基材
7b 粘着剤層(粘着部材)
7c 粘着剤層
10 研磨シート

Claims (7)

  1. 湿式成膜法により内部にセルが形成され一面側に表面層を有する樹脂シートの他面側が該樹脂シートの厚みが一様となるように研削処理され、前記他面側が研磨装置に貼着するための粘着部材と貼り合わされたシート状研磨部材において、前記他面側は、樹脂剤を有機溶媒に溶解させたコーティング液補強され前記粘着部材と貼り合わされたことを特徴とするシート状研磨部材。
  2. 前記表面層の表面は、被研磨物を研磨加工するための研磨面または被研磨物を保持するための保持面を形成することを特徴とする請求項1に記載のシート状研磨部材。
  3. 前記樹脂剤は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エチレン含有共重合体、フェノール系樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のシート状研磨部材。
  4. 前記粘着部材は、基材の両面に樹脂系粘着剤が塗工されていることを特徴とする請求項3に記載のシート状研磨部材。
  5. 前記樹脂系粘着剤は、少なくともアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤から選択される1種であることを特徴とする請求項4に記載のシート状研磨部材。
  6. 前記樹脂シートは、ポリウレタン樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のシート状研磨部材。
  7. 前記樹脂シートと粘着部材との剥離強度が19.6N以上の特性を有することを特徴とする請求項6に記載のシート状研磨部材。
JP2009226507A 2009-09-30 2009-09-30 シート状研磨部材 Active JP5501719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009226507A JP5501719B2 (ja) 2009-09-30 2009-09-30 シート状研磨部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009226507A JP5501719B2 (ja) 2009-09-30 2009-09-30 シート状研磨部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011073093A JP2011073093A (ja) 2011-04-14
JP5501719B2 true JP5501719B2 (ja) 2014-05-28

Family

ID=44017637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009226507A Active JP5501719B2 (ja) 2009-09-30 2009-09-30 シート状研磨部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5501719B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3909155B2 (ja) * 1998-07-24 2007-04-25 株式会社Filwel 被研磨部材の保持材及びその製造方法
JP4659273B2 (ja) * 2001-05-31 2011-03-30 ニッタ・ハース株式会社 被研磨物保持用のバッキング材の製造方法
JP4540502B2 (ja) * 2005-03-01 2010-09-08 富士紡ホールディングス株式会社 保持パッド
JP5078527B2 (ja) * 2007-09-28 2012-11-21 富士紡ホールディングス株式会社 研磨布
JP5160265B2 (ja) * 2008-02-29 2013-03-13 富士紡ホールディングス株式会社 保持具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011073093A (ja) 2011-04-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5297096B2 (ja) 研磨布
JP4961191B2 (ja) 保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法
WO2011027412A1 (ja) 保持パッド
JP4948935B2 (ja) 研磨布
JP5274286B2 (ja) 研磨パッドの製造方法
JP2010201534A (ja) 保持具
JP5324998B2 (ja) 保持パッド
JP2006062059A (ja) 保持パッド及び保持パッドの製造方法
JP5004428B2 (ja) 研磨布及び研磨布の製造方法
JP2016190313A (ja) 研磨パッド
JP5216238B2 (ja) 保持パッドおよび保持パッドの製造方法
JP4364291B1 (ja) 研磨パッド
JP5502542B2 (ja) 研磨パッド
JP5567280B2 (ja) 研磨パッド
JP5501719B2 (ja) シート状研磨部材
JP5534694B2 (ja) 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
JP5968179B2 (ja) 保持パッド
JP5503049B2 (ja) 保持パッド
JP5615589B2 (ja) 枠材および枠材を有する保持具
JP5457897B2 (ja) 保持材
JP5421618B2 (ja) 保持具
JP5322730B2 (ja) 研磨パッド
JP5355004B2 (ja) 研磨パッドおよびその製造方法
JP5502383B2 (ja) 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
JP2009061524A (ja) 保持パッド

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130924

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130930

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5501719

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250