以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置100の概略構成を示す全体構成図である。図1に示すインクジェット記録装置(画像記録装置)100は、記録媒体114の片面のみに印刷可能な片面機である。このインクジェット記録装置100は、記録媒体114を供給する給紙部102と、記録媒体114に対して浸透抑制処理を行う浸透抑制処理部104と、記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114に色インクを付与して画像形成を行う印字部108と、記録媒体114に透明UVインクを付与する透明UVインク付与部110と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112とから主に構成される。
給紙部102には、記録媒体114を積載する給紙台120が設けられている。給紙台120の前方(図1において左側)にはフィーダボード122が接続されており、給紙台120に積載された記録媒体114は1番上から順に1枚ずつフィーダボード122に送り出される。フィーダボード122に送り出された記録媒体114は、図1における時計回り方向に回転可能に構成された渡し胴124aを介して、浸透抑制処理部104の圧胴126aの表面(周面)に給紙される。
浸透抑制処理部104には、圧胴126aの回転方向(記録媒体114の搬送方向;図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126aの表面(周面)に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132がそれぞれ設けられている。
用紙予熱ユニット128及び浸透抑制剤乾燥ユニット132には、それぞれ所定の範囲で温度制御可能なヒータが設けられる。圧胴126aに保持された記録媒体114は、用紙予熱ユニット128や浸透抑制剤乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際に、これらユニットのヒータによって加熱される。
浸透抑制剤ヘッド130は、圧胴126aに保持される記録媒体114に対して浸透抑制剤を打滴するものであり、後述する印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと同一構成が適用される。
本例では、記録媒体114の表面に対して浸透抑制処理を行う手段として、インクジェットヘッドを適用したが、浸透抑制処理を行う手段については特に本例に限定されるものではない。例えば、スプレー方式、塗布方式などの各種方式を適用することも可能である。
本例では、浸透抑制剤として、熱可塑性樹脂ラテックス溶液が好適に用いられる。もちろん、浸透抑制剤は、熱可塑性樹脂ラテックス溶液に限定されるものではなく、例えば、平板粒子(雲母等)や撥水剤(フッ素コーティング剤)などを適用することも可能である。
浸透抑制処理部104の後段(記録媒体114の搬送方向下流側)には、処理液付与部106が設けられている。浸透抑制処理部104の圧胴126aと処理液付与部106の圧胴126bとの間には、これらに対接するようにして渡し胴124bが設けられている。かかる構造により、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持された記録媒体114は、浸透抑制処理が行われた後に、図1における時計回り方向に回転可能に構成された渡し胴124bを介して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138がそれぞれ設けられている。
処理液付与部106の各部(用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138)については、上述した浸透抑制処理部104の用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132とそれぞれ同様の構成が適用されるため、ここでは説明を省略する。もちろん、浸透抑制処理部104と異なる構成を適用することも可能である。
本例で用いられる処理液は、処理液付与部106の後段に設けられる印字部108が具備する各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bから記録媒体114に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液である。
処理液乾燥ユニット138のヒータの加熱温度は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド136の吐出動作によって記録媒体114の表面に付与された処理液を乾燥させて、記録媒体114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような温度に設定される。
ここでいう「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、以下に定義する含水率が0〜70%の範囲のものを言うものとする。
本例の如く、記録媒体114上に処理液が付与される前に、用紙予熱ユニット134のヒータによって記録媒体114を予備加熱する態様が好ましい。この場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えることが可能となり、省エネルギー化を図ることができる。
処理液付与部106の後段には印字部108が設けられている。処理液付与部106の圧胴126bと印字部108の圧胴126cとの間には、これらに対接するようにして、図1の時計回り方向に回転可能に構成された渡し胴124cが設けられている。かかる構造によって、処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを介して印字部108の圧胴126cに受け渡される。
印字部108には、圧胴126cの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(黒)、R(赤)、G(緑)、B(青)の7色のインクにそれぞれ対応したインクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと、溶媒乾燥ユニット142a、142bがそれぞれ設けられている。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、上述した浸透抑制剤ヘッド130や処理液ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)が適用される。即ち、各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、それぞれ対応する色インクの液滴を圧胴126cに保持された記録媒体114に向かって吐出する。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、それぞれ圧胴126cに保持される記録媒体114における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図1中不図示、図13に符号161で図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bが圧胴126cの回転方向(記録媒体114の搬送方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
記録媒体114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)について、記録媒体114と各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体114の画像形成領域に1次画像を記録することができる。これにより、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドが適用される場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
また、本例では、CMYKRGBの7色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよいし、除いてもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成や、CMYKの4色構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
溶媒乾燥ユニット142a、142bは、上述した用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138と同様に、所定の範囲で温度制御可能なヒータを含んで構成される。後述するように、記録媒体114上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク液滴が打滴されると、記録媒体114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されるとともに、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして記録媒体114上に残った溶媒成分(液体成分)は、記録媒体114のカールだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで、本例では、各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bからそれぞれ対応する色インクが記録媒体114上に打滴された後、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータによって加熱を行い、溶媒成分を蒸発させ、乾燥を行っている。
印字部108の後段には透明UVインク付与部110が設けられている。印字部108の圧胴126cと透明UVインク付与部110の圧胴126dとの間には、これらに対接するように、図1における時計回り方向に回転可能に構成された渡し胴124dが設けられている。これにより、印字部108の圧胴126cに保持された記録媒体114は、各色インクが付与された後に、渡し胴124dを介して透明UVインク付与部110の圧胴126dに受け渡される。
透明UVインク付与部110には、圧胴126dの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置に、印字部108による印字結果を読み取る印字検出部144、透明UVインクヘッド146、第1のUVランプ148a、148bがそれぞれ設けられている。
印字検出部144は、印字部108の印字結果(各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの打滴結果)を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良や、打滴画像のムラ(濃度ムラ)をチェックする手段として機能する。
透明UVインクヘッド146は、印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと同一構成が適用され、各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bによって記録媒体114上に打滴された色インクに重なるように透明UVインクを打滴する。もちろん、印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと異なる構成を適用することも可能である。
第1のUVランプ148a、148bは、記録媒体114に透明UVインクが打滴された後、当該記録媒体114が第1のUVランプ148に対向する位置を通過する際に、記録媒体114上の透明UVインクにUV光(紫外光)を照射して、透明UVインクを硬化させる。
本例では、後述する透明UVインク打滴量制御部180a(図15参照)によって、UV光照射後の透明UVインクの層厚が5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは1〜3μm)となるように、透明UVインクヘッド146のノズルから吐出される液滴量(透明UVインクの打滴量)の制御が行われる。なお、図1において、「UV光照射後の透明UVインクの層厚」とは、後述する第2のUVランプ156によってUV光が照射された後の透明UVインクの層厚とする。即ち、複数のUVランプが設けられる場合は、記録媒体搬送方向に関して最下流側のUVランプによってUV光照射が行われた後の透明UVインクの層厚とする。
透明UVインク付与部110の後段には排紙部112が設けられている。排紙部112には、透明UVインクが打滴された記録媒体114を受ける排紙胴150と、該記録媒体114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパを備えた排紙用チェーン154とが設けられている。
また、これらのスプロケットの間には、第2のUVランプ156が排紙用チェーン154の内側に設けられている。第2のUVランプ156は、透明UVインク付与部110の圧胴126dから排紙胴150に受け渡された記録媒体114が排紙用チェーン154によって排紙台152に搬送されるまでの間に、記録媒体114上の透明UVインクにUV光(紫外光)を照射して、透明UVインクを硬化させる。
〔記録媒体の固定保持の説明〕
次に、記録媒体114を保持した状態で所定の搬送方向に搬送する圧胴126a〜126d及び渡し胴124a〜124dの構造について詳説する。本例では、圧胴126a〜126d及び渡し胴124a〜124dの記録媒体114を保持する構造には共通の構造が適用されるので、ここでは、圧胴126a〜126d及び渡し胴124a〜124dを搬送ドラム10(媒体保持手段)として説明する。
図2は、搬送ドラム10の全体構造を示す斜視図である。同図に示すように、搬送ドラム10は、不図示の回転機構に連結され、軸受け11A,11Bにより支持される回転軸12の周りを、該回転機構の動作によって回転可能に構成される回転体部材である。
また、搬送ドラム10の記録媒体114(図1参照)が保持(固定)される記録媒体保持面(周面)13には、記録媒体保持領域14(ドットハッチで図示した領域)が設けられて、記録媒体保持領域14には多数の吸着穴(開口)が設けられている。一方、搬送ドラム10の軸方向(回転軸12と平行方向)の略中央部は、吸着穴が設けられていない非開口部16となっている。なお、図示の都合上、図2には各吸着穴を個別に図示しないが、図11及び図12に符号50(50’)で吸着穴を図示する。
図2に示す搬送ドラム10の内部には、該吸着穴と連通する真空流路が設けられており、該真空流路は、搬送ドラム10の側面に設けられた真空配管系18(配管、ジョイント等)及び、搬送ドラム10の回転軸12の内部に設けられた真空流路を介して搬送ドラム10の外部に設けられた真空ポンプ(図2中不図示、図15に符号196で図示:吸着圧力発生手段)に接続されている。該真空ポンプを動作させて真空(負圧)を発生させると、吸着穴及び真空流路等を介して記録媒体114に吸着圧力が付与される。即ち、搬送ドラム10は、エア吸着方式により記録媒体保持面13である周面に記録媒体114が保持されるように構成されている。
次に、搬送ドラム10内部の真空流路の構造について説明する
図3は、搬送ドラム10の内部構造を示す分解斜視図である。同図に示すように、搬送ドラム10は、多数の吸着穴が設けられている吸着シート20と、各吸着穴と連通する複数の吸着溝22(開口部を有する流路形成部)が所定の配列パターンに従って設けられている中間シート24と、を含み、更に、各吸着溝22に設けられる絞り部(図3中不図示、図8に符号34で図示)と連通するドラム吸着溝26(圧力発生部)を備えたドラム本体30を含んで構成されている。
更にまた、ドラム本体30に設けられたドラム吸着溝26の端部には、ドラム本体30の内部に設けられる不図示の真空流路と連通するドラム吸着穴28が設けられている。
図3に示すように、搬送ドラム10は、ドラム本体30のドラム吸着溝26と中間シート24の絞り部(流路制御部)の位置合わせがされ、ドラム本体30の周面に中間シート24を巻きつけて密着させて固定するとともに、吸着シート20に設けられる吸着穴が中間シート24の何れかの吸着溝22と連通するように、中間シート24の吸着溝22と吸着シート20の吸着穴の位置合わせがされ、中間シート24の上に吸着シート20を巻きつけて密着させて固定した構造を有している。
吸着シート20に設けられる吸着穴の配置パターンは、中間シート24の吸着溝22のパターンに対応していることが好ましい。なお、吸着穴のうち、吸着溝22と連通しないものがあってもよい。
図4及び図5には、吸着穴50、吸着溝22及びドラム吸着溝26の配置関係を図示する。図4は平面図であり、図5は図4のV−V線に沿う断面図である。ただし、図5は理解を容易にするため、深さ方向に拡大している。
図4に示すように、吸着溝22の幅(図4における上下方向の長さ)は、複数の吸着穴に対応する長さを有し、図4には、吸着溝22の幅が吸着穴50の直径(長軸方向の長さ)の略4倍となる態様を示す。
また、ドラム吸着溝26の幅(図4における左右方向)は、絞り部34の長さよりも短くなっており、図4には、ドラム吸着溝26の幅が絞り部34の長さの略1/2となる態様を示す。更に、絞り部34は、ドラム吸着溝26を超える位置に達する長さを有している。
図4及び図5に示すように、絞り部34の幅は吸着溝22の幅よりも狭く、また、両者の深さは略同一となっている。即ち、絞り部34の断面積は、吸着溝22の断面積よりも小さくなっており、この絞り部34により吸着溝22に流れる流量が制限される。
なお、図5に示すように、吸着シート20の厚みは中間シート24の厚みよりも厚くなっており、図5には吸着シート20の厚みに対する中間シート24の厚みが略1/2となる態様を図示する。
また、ドラム本体30には、吸着シート20及び中間シート24を固定する際に吸着シート20の一方の端部及び中間シート24の一方の端部を挟み込むグリッパー32と、吸着シート20の他方の端部及び中間シート24の他方の端部を固定して、周方向にテンションをかける引張機構33とを備えている。
なお、本例に示す搬送ドラム10は、吸着シート20及び中間シート24を周方向に2枚並べて、搬送ドラム10の全周に所定の真空流路を構成している。即ち、上述したグリッパー32と引張機構33は、周方向の対向する位置の2ヶ所に設けられている。
次に、ドラム本体30の構造について詳説する。
図6はドラム本体30の斜視図であり、図7はドラム本体30の周面30Aの半周分の展開図である。
ドラム本体30の周面30Aには、軸方向(周方向(記録媒体114の搬送方向)と直交する方向)の略中央部に、ドラム本体30の周方向に沿って、ドラム本体30の全周に対応するようにドラム吸着溝26が設けられている。
なお、ドラム本体30は周方向に分割されている。即ち、図1の渡し胴124a〜124dに対応する場合には2分割され、圧胴126a〜126dに対応する場合には3分割されている。各分割領域は同様の構造を有しているので、ここでは、1つの分割領域について説明する。
図6に示すドラム本体30は、図1の渡し胴124a〜124dに対応するものであり、各分割領域について2本のドラム吸着溝26が設けられている。図6には、ドラム本体の半周分に対応して2本のドラム吸着溝26A,26Bが設けられた態様を示す。各ドラム吸着溝26A,26Bの一方の端部にはドラム吸着穴28A,28Bが設けられ、ドラム吸着溝26A,26Bは、それぞれドラム吸着穴28A、28Bを介してドラム本体30の内部に設けられた真空流路(不図示)と連通されている。該真空流路は、ドラム本体30の側面に設けられる真空配管系18及び回転軸12の内部に設けられた真空流路を介して真空ポンプ(不図示)と接続される。
ドラム本体30の周面30Aには、中間シート24や吸着シート20を固定する際に、中間シート24や吸着シート20に設けられた折り返し構造(L字曲げ構造)を挟み込む溝構造(グリッパー)32が設けられるとともに、グリッパー32のドラム本体30をはさんで反対側に、吸着シート20の折り返し構造(L字曲げ構造)を挟み込んだ状態で吸着シート20に周方向に沿ってテンションをかける引張機構33が設けられている。
なお、ドラム本体30のグリッパー32及び引張機構33は、図2に示す吸着シート20及び中間シート24を密着させて固定できる構造であればよい。
図6及び図7には、ドラム本体30の半周分(分割領域)に対して2本ドラム吸着溝26A,26Bを備える態様(同様の構成をドラム本体30の全周にわたって適用すると、4本のドラム吸着溝26を備える態様)を例示したが、ドラム本体30の半周分を1本のドラム吸着溝でカバーしてもよいし、3本以上のドラム吸着溝でドラム本体30の半周分をカバーしてもよい。必要な吸着圧力や真空ポンプの容量によってはドラム本体30の半周分を1本のドラム吸着溝でカバーすることも可能である。しかし、ドラム本体30の半周分を1本のドラム吸着溝でカバーすると、ドラム吸着溝に接続される中間シート24の吸着溝22(図2参照)の数が多くなってしまい、効率が悪くなるので、少なくとも2本のドラム吸着溝によってドラム本体30の半周分をカバーする構造が好ましい。
次に、中間シート24の構造について詳述する。
図8は中間シート24の斜視図であり、図9は図8に図示した中間シート24の展開図である。図8及び図9に示すように、中間シート24には、搬送ドラム10の軸方向に沿い、搬送ドラム10の軸方向の略中央部から両端部に向かう吸着溝22が搬送ドラム10の周方向に沿って等間隔に複数設けられている。
また、中間シート24の一方の端部は、ドラム本体30の溝構造(グリッパー)32に挟み込む折り返し構造(L字曲げ構造)となっており、該折り返し構造をグリッパー32に挟み込むことで、ドラム本体30と中間シート24の位置合わせがなされ、中間シートの一方の端部が固定される。
更に、中間シート24の他方の端部はストレート構造となっているので、ドラム本体30に中間シート24を密着させる際に、ドラム本体30の曲率に合わせることが容易である。
吸着溝22の中間シート24の中央部側の端部には、他の部分よりも溝幅が1/4以下に絞られた構造(しぼり構造)を有し、中間シート24を貫通する絞り部(流路制御部)34が形成されている。絞り部34は、図6,5に示すドラム吸着溝26A,26Bと連通する構造となっており、かつ、吸着シート20の非開口部16によって開口部分がふさがれて、直接的に大気開放されない構造になっている。
絞り部34の溝幅は、0.2mm以上3.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。また、絞り部34の軸方向の長さは2.0mm以上10.0mm以下であることが好ましい。
また、吸着溝22はできるだけ密に配置することが好ましく、所定サイズの記録媒体に対応する吸着溝が50mm以下のピッチで配置される態様が好ましい。
中間シート24に設けられる吸着溝22は、使用される記録媒体114のサイズに応じた長さを有しており、複数のサイズの記録媒体に対応するために、異なる長さの吸着溝22が設けられている。図9には、少なくとも5種類のサイズの記録媒体114に対応するために、4種類の異なる長さを持つ吸着溝22A〜22Dを所定のパターン(使用するサイズの記録媒体114に対応するパターン)で並べた態様を図示する。
図9における符号40〜48で示す二点破線で囲まれた領域は、記録媒体のサイズを表している。符号40で示す領域はA4切(312mm×440mm)に対応し、符号42〜48で示す領域は、それぞれ四六4切(394mm×545mm)、A半裁(440mm×625mm)、菊半(469mm×636mm)、EU半裁(520mm×720mm)に対応している。
例えば、A4切サイズの記録媒体を使用する場合には、符号40で示す領域に合わせて記録媒体114が配置され、当該領域40内に配置される吸着溝22Aに発生する負圧が主として記録媒体114の吸着に作用し、当該領域40内に配置される吸着溝22B〜22Dの絞り部34と反対側の端部及びその近傍、領域40の外側に配置される吸着溝22B〜22Dは大気開放となる。
しかし、吸着溝22A〜22Dの絞り部34が作用して、引かれる真空圧力(エアの流量)を制限し、大気開放となった吸着溝22B〜22Dには圧力損失が発生して吸着圧力の抜けが妨げられる。したがって、記録媒体114を吸着している吸着溝22Aの必要な吸着圧力を確保することができる。
また、四六4切サイズの記録媒体114を使用する場合には、領域42(領域40を含む)の吸着溝22A及び吸着溝22Bに発生する吸着圧力が当該記録媒体114に作用し、A半裁サイズ及び菊半サイズに対応する記録媒体114を使用する場合には、領域44(領域40,42を含む)の吸着溝22A〜22Cに発生する吸着圧力が当該記録媒体114に作用する。更に、EU半裁サイズに対応する記録媒体114を使用する場合には、吸着溝22A〜22Dのすべてに発生する吸着圧力が当該記録媒体114に作用する。
本例では、A4切、四六4切、A半裁、菊半、EU半裁のサイズに対応する態様を例示したが、他のサイズの記録媒体114を使用する場合には、中間シート24の吸着溝22の開口形状(配置パターン)を変えることで対応可能である。即ち、他のサイズの記録媒体114に対応した吸着溝22の配置パターンが異なる中間シート24を準備しておき、中間シート24を交換することで様々なサイズの記録媒体114に対応することが可能となる。言い換えると、搬送ドラム10を交換することなく中間シート24の交換で仕向地対応が可能となる。
また、図9に示すように、異なる長さを有する吸着溝22が隣り合うように、吸着溝22の配置パターンを構成することで、中間シート24全体として剛性のバラつきが抑制され、記録媒体114の部分的な変形が防止される。なお、記録媒体114の後端部のコーナーは最も浮き上がりやすいため、記録媒体114の端部のぎりぎりの位置まで各吸着溝22を設けることが好ましい。
中間シート24は薄ければ薄いほど少ない負圧で高い吸着力を得ることが可能であるが、中間シート24が薄いと、紙粉、ゴミ、間違って打滴されたインクなどの異物等による詰まりが起こりやすくなる。このような条件を考慮すると、中間シート24の厚みは0.05mm〜0.5mm程度が好ましい。
次に、吸着シート20について詳述する。
図10は吸着シート20の斜視図であり、図11は図10に示す吸着シート20の一部拡大図である。
図10に示すように、吸着シート20の記録媒体保持領域14には多数の吸着穴(図10中不図示、図11に符号50で図示)が所定の配置パターンに従って設けられている。また、吸着シート20の搬送ドラム10の軸方向の略中央部は、吸着穴50が設けられていない非開口部16となっている。更に、吸着シート20の搬送ドラム10の周方向の両端は、ドラム本体30に固定するための折り返し構造(L字曲げ構造)となっている。
吸着シート20は、中間シート24の絞り部34(図8,7参照)に対応する部分を非開口部16として吸着穴を設けないことで、絞り部34の圧力損失を制限する(圧力損失を絞る)機能を確保している。また、吸着シート20の非開口部16以外の部分に多数の吸着穴を設けることで、対応用紙サイズによって吸着穴のパターンを変更する必要がなく、同じ形状の吸着シートパターンにすることができる。
即ち、使用する記録媒体114のサイズによって開放となる吸着穴(及び吸着溝22;図8,7参照)が存在したとしても、絞り部34が作用して吸着圧力の抜けを制限することができるので、記録媒体114の吸着に寄与しない吸着穴をふさがなくてもよく、大小さまざまなサイズの記録媒体114に対して吸着穴のパターンを変更する必要がない。
吸着シート20は、吸着圧力によって凹まない厚みが必要であり、かつ、ドラム本体30に巻きつけてドラム本体30(中間シート24)に密着させるためには薄いことが好ましい。例えば、ステンレスを用いる吸着シート20の厚みは0.1mm〜0.5mmとすることが好ましく、ステンレスを用いる場合の吸着シート20のより好ましい厚みは0.3mm程度である。ステンレス以外の材料を用いる場合には、使用する材料の剛性及び柔軟性を考慮して、適宜厚みを決めるとよい。
図11には、多数の吸着穴50を高密度に配置するために、吸着穴50が千鳥配置された態様を示す。もちろん、吸着穴50の配置には千鳥配置以外の配置パターンを適用してもよい。
記録媒体114をドラム本体30(図6参照)に固定した状態では、吸着圧力による記録媒体114の変形量は周方向よりも軸方向のほうが大きくなる。したがって、吸着穴50は、周方向を長軸方向、軸方向を短軸方向としただ円形状又は長穴形状とすることで、記録媒体114の周方向の変形と軸方向の変形が均等になり、好ましい。
図11には、長軸の長さxが2mm、短軸の長さyが1.5mmの長穴形状を有する吸着穴50を図示する。長穴形状を有する吸着穴50の長軸の長さxと短軸の長さyの比率(y/x)は0.5以上1.0以下であることが好ましく、より好ましい長軸の長さxと短軸の長さyの比率は、0.7以上0.9以下である。
なお、図12に示す吸着穴50’のように、吸着シート20の開口率を高めるために、開口形状(吸着穴50’の形状)を六角形などの多角形形状にする態様も好ましい。即ち、吸着力は、(開口面積)×(単位面積あたりの圧力)で表すことができるので、開口率を高くすることで、吸着力をより高くすることが可能となる。しかし、開口面積をあまり大きくし過ぎると、吸着シート20の凹みや記録媒体114の凹みが問題となるので、隣り合う吸着穴50’の間の土手の部分を残した構造とし、吸着シート20の剛性を確保することが好ましい。
かかる条件を考慮すると、吸着穴50’(50)の形状は、対角線(最も長い対角線)の長さdが1mm程度の六角形が好ましいといえる。更に、吸着穴50’(50)に角(鋭角)形状があると、角部に応力が集中してしまうので、角部を丸めた形状とすることが好ましい。
なお、記録媒体114に記録面側(搬送ドラム10と反対側)からエアを吹き付けて、記録媒体114の固定を補助する態様も好ましい。
次に、吸着シート20及び中間シート24の固定方法について説明する。
先ず、中間シート24の上に吸着シート20を重ねてドラム本体30に巻きつける。吸着シート20及び中間シート24に位置合わせ用のマーク、形状を設けておくことで、容易に、かつ、正確に2枚のシートの位置を合わせることが可能となる。
次に、吸着シート20の一方の折り曲げ構造及び中間シート24の折り曲げ構造をドラム本体30のグリッパー32に挿入し、固定する。吸着シート20の折り曲げ構造と、中間シート24の折り曲げ構造に切り欠きを設けておき、グリッパー32に該切り欠きと嵌合する凸部を設けておくことで、吸着シート20の一方の折り曲げ構造及び中間シート24の折り曲げ構造をドラム本体30のグリッパー32に挿入したときの、吸着シート20、中間シート24及びドラム本体30の位置合わせを容易、かつ、正確に行うことができる。
吸着シート20の他方の折り曲げ構造をドラム本体30の引張機構33に取り付けるとともに、引張機構33によって周方向に沿ってテンションをかける。中間シート24の折り曲げ構造が設けられていない側の端部は、吸着シート20とドラム本体30の間にはさんで密着させる。
このようにして、ドラム本体30の周面30Aの曲面に沿って、吸着シート20及び中間シート24を密着させた状態で固定することができる。
本例では、2枚のシート(吸着シート20及び中間シート24)を組み合わせて、真空流路の一部を形成する態様を例示したが、吸着シート20及び中間シート24を共通化した1枚のシートに吸着穴50、吸着溝22及び絞り部34を形成してもよい。例えば、1枚のシートの一方の面に吸着穴50の加工を行い、他方の面に吸着溝22及び絞り部34の加工を行うことで、吸着シート20及び中間シート24を1枚のシートで実現することも可能である。
〔印字部の構成〕
次に、印字部108に配置されるインクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの構造について詳説する。なお、インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号160によってインクヘッド(以下、単に「ヘッド」と称することもある。)を示す。
図13(a)はヘッド160の構造例を示す平面透視図であり、図13(b)はその一部の拡大図であり、図13(c)はヘッド160の他の構造例を示す平面透視図である。また、図14はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図13(a)、(b)中のXIV−XIV線に沿う断面図)である。
記録媒体114上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド160におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド160は、図13(a)、(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル161と、各ノズル161に対応する圧力室162等からなる複数のインク室ユニット163を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体114の搬送方向と略直交する方向に記録媒体114の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図13(a)の構成に代えて、図13(c)に示すように、複数のノズル161が2次元に配列された短尺のヘッドブロック160’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体114の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル161に対応して設けられている圧力室162は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル161と供給口164が設けられている。各圧力室162は供給口164を介して共通流路165と連通されている。共通流路165はインク供給源たるインク供給タンク(不図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。
圧力室162の天面を構成し共通電極と兼用される振動板166には個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、個別電極167に駆動電圧を印加することによって圧電素子168が変形してノズル161からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
本例では、ヘッド160に設けられたノズル161から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子168を適用したが、圧力室162内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット163を図13(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット163を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル161が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録媒体114の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録媒体114の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録媒体114の幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録媒体114の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録媒体114の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
図15は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、UV光照射制御部179、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184、ポンプドライバ195等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ174に記憶される。
メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189、真空ポンプ196を制御する制御信号を生成する。
メモリ174には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ174は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
プログラム格納部190には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ172の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部190はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部190は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示にしたがってモータ188を駆動するドライバである。図15には、装置内の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号188で図示されている。例えば、図15に示すモータ188には、図1の圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124d(図2の搬送ドラム10)、排紙胴150を駆動するモータなどが含まれている。
ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示にしたがって、ヒータ189を駆動するドライバである。図15には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヒータを代表して符号189で図示されている。例えば、図15に示すヒータ189には、図1に示す用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータなどが含まれている。
UV光照射制御部179は、UV光照射手段191の照射制御を行う。図15には、画像記録装置に備えられる複数のUV光照射手段を代表して符号191で図示されている。例えば、図15に示すUV光照射手段191には、図1に示す第1のUVランプ148a、148bや第2のUVランプ156が含まれている。記録媒体114の種類や透明UVインクの種類ごとに、各UVランプ148a、148b、156の最適な照射時間や照射間隔、照射強度が予め求められ、データテーブル化されて所定のメモリ(例えば、メモリ174)に記憶され、記録媒体114の情報や使用インクの情報を取得すると、当該メモリを参照して各UVランプ148a、148b、156の照射時間や照射間隔、照射強度が制御される。
図1に示すインクジェット記録装置100には、上述したように、複数のUVランプ148a、148b、156が備えられる。各UVランプ148a、148b、156の照射時間や照射間隔、照射強度を制御することによって、画像の光沢感(表面形状)を制御することができ、異なる光沢感の画像を実現することができる。例えば、第1のUVランプ148a、148bで記録媒体114との界面付近の透明UVインクを高粘度化して記録媒体114への透明UVインクの浸透を抑制しつつ、第2のUVランプ156によって透明UVインクの内部から表面まで硬化させることができる。各UVランプ148a、148b、156の照射時間や照射間隔、照射強度を制御するのに代えて(或いは、これらの制御とともに)、記録媒体114が搬送される速度を制御するようにしてもよいし、各UVランプ148a、148b、156の位置を変化させるようにしてもよい。また、第1のUVランプ148a、148bと第2のUVランプ156の間に乾燥ユニットを追加して、透明UVインクの打滴が行われた後、第1のUVランプ148a、148bによって記録媒体114への透明UVインクの浸透を抑制しつつ、乾燥ユニットによって透明UVインク中の溶媒を除去してから、第2のUVランプ156によって透明UVインクを硬化させるようにしてもよい。
ポンプドライバ195は、圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124d(図2の搬送ドラム10)に記録媒体114を固定保持するための吸着圧力を発生させる真空ポンプ196の制御を行う。例えば、所定の処理を終えた記録媒体114が第1の印字部108Aの圧胴126cに供給されると、圧胴126cの真空流路と接続された真空ポンプ196を動作させて、記録媒体114の種類やサイズ、曲げ剛性に応じた真空(負圧)を発生させる。
即ち、システムコントローラ172が記録媒体114の種類の情報を取得すると、当該記録媒体114の情報がポンプドライバ195に送られる。ポンプドライバ195は、当該記録媒体114の情報に応じて吸着圧力を設定し、その設定に従って真空ポンプ196のオンオフ及び発生圧力を制御する。
例えば、薄紙等の曲げ剛性の低い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定し、厚紙等の曲げ剛性の高い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定する。また、記録媒体114の厚みに応じて、厚い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定し、薄い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定する。なお、記録媒体114の種類(厚み、曲げ剛性)と吸着圧力を対応付けしてデータテーブル化しておき、所定のメモリ(例えば、図15のメモリ174)に記憶しておくとよい。
図15には、真空ポンプ196を1つだけ図示したが、圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124dのそれぞれに真空ポンプ196を備えてもよいし、制御弁などの切換手段を真空流路の途中に設け、1つの真空ポンプを選択的に切り換えて、複数の圧胴126及び複数の渡し胴124に対応してもよい。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、メモリ174内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部180において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ184を介してヘッド192の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図15には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヘッド(インクジェットヘッド)を代表して符号192で図示されている。例えば、図15に示すヘッド192には、図1の浸透抑制剤ヘッド130、処理液ヘッド136、インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140B、透明UVインクヘッド146が含まれている。
また、プリント制御部180には、図1に示す透明UVインクヘッド146の打滴量を制御する透明UVインク打滴量制御部180aが設けられている。透明UVインク打滴量制御部180aは、記録媒体114上の色インクに重なるように打滴された透明UVインクの層厚が5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは1〜3μm)となるように、ヘッドドライバ184を介して透明UVインクヘッド146の打滴量を制御する。
また、プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる画像データに基づいてヘッド192の圧電素子168に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子168に印加して圧電素子168を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図15に示すヘッドドライバ184には、ヘッド192の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印字検出部144は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録媒体114に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部144から得られる情報に基づいてヘッド192に対する各種補正を行う。また、印字検出部144を用いて画像のムラを測定し、記録媒体114の凹みによるムラが発生している場合には、システムコントローラ172からポンプドライバ195に制御信号を送り、真空ポンプ196の流量を減らすように制御する態様も好ましい。
なお、図1の渡し胴124aの前段に印字検出部144と同様の構成(記録媒体検出用センサ)を設けて、当該記録媒体検出用センサを用いて記録媒体114の厚みや表面性を読み取り、その情報に基づいて記録媒体114の種類を判断する態様も好ましい。
このように構成されたインクジェット記録装置100の画像形成方法について説明する。
給紙部102の給紙台120からフィーダボード122に記録媒体114が送り出される。記録媒体114は、渡し胴124aを介して、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持され、用紙予熱ユニット128によって予備加熱され、浸透抑制剤ヘッド130によって浸透抑制剤が打滴される。その後、圧胴126aに保持された記録媒体114は、浸透抑制剤乾燥ユニット132によって加熱され、浸透抑制剤の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。
こうして浸透抑制処理が行われた記録媒体114は、浸透抑制処理部104の圧胴126aから渡し胴124bを介して、処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。圧胴126bに保持された記録媒体114は、用紙予熱ユニット134によって予備加熱され、処理液ヘッド136によって処理液が打滴される。その後、圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液乾燥ユニット138によって加熱され、処理液の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。これにより、記録媒体114上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された記録媒体114は、処理液付与部106の圧胴126bから渡し胴124cを介して、印字部108の圧胴126cに受け渡される。圧胴126bに保持された記録媒体114には、入力画像データに応じて、各インクヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bからそれぞれ対応する色インクが打滴される。
凝集処理剤層上にインク液滴が着弾すると、飛翔エネルギーと表面エネルギーとのバランスにより、インク液滴と凝集処理剤層との接触面が所定の面積にて着弾する。インク液滴が凝集処理剤上に着弾した直後に凝集反応が始まるが、凝集反応はインク液滴と凝集処理剤層との接触面から始まる。凝集反応は接触面近傍のみで起こり、インク着弾時における所定の接触面積で付着力を得た状態でインク内の色材が凝集されるため、色材移動が抑止される。
このインク液滴に隣接して他のインク液滴が着弾しても先に着弾したインクの色材は既に凝集化しているので後から着弾するインクとの間で色材同士が混合せず、ブリードが抑止される。なお、色材の凝集後には、分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が記録媒体114上に形成される。
そして、圧胴126cに保持された記録媒体114は溶媒乾燥ユニット142a、142bによって加熱され、記録媒体114上でインク凝集体と分離した溶媒成分(液体成分)は蒸発し、乾燥する。この結果、記録媒体114のカールが防止されるとともに、溶媒成分に起因する画像品質の劣化を抑えることができる。
印字部108によって色インクが付与された記録媒体114は、印字部108の圧胴126cから渡し胴124dを介して、透明UVインク付与部110の圧胴126dに受け渡される。圧胴126dに保持された記録媒体114は、印字検出部144によって印字部108の印字結果が読み取られた後、透明UVインクヘッド146から記録媒体114上の色インクに重なるように透明UVインクが打滴される。
続いて、圧胴126dに保持された記録媒体114は、第1のUVランプ148a、148bに対向する位置を通過する際、第1のUVランプ148a、148bによってUV光が記録媒体114上の透明UVインクに対して照射される。これにより、記録媒体114上の透明UVインクは、記録媒体114との界面が高粘度化され、記録媒体114への透明UVインクの浸透が抑制される。
更に、その後、記録媒体114が圧胴126dから排紙胴150に受け渡され、排紙用チェーン154によって排紙台152まで搬送されるときに第2のUVランプ156に対向する位置を通過する際、第2のUVランプ156によってUV光が記録媒体114上の透明UVインクに対して照射される。これにより、記録媒体114上の透明UVインクは表面から内部まで硬化した状態となる。
透明UVインク付与部110において、記録媒体114上に透明UVインクが付与される際、図15に示した透明UVインク打滴量制御部180aによって、UV光照射後の透明UVインクの層厚が5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは1〜3μm)となるように、透明UVインクヘッド146の打滴量が制御される。従って、第1のUVランプ148a、148b及び第2のUVランプ156によるUV光照射によって、記録媒体114上の色インクを覆うように透明UVインクから成る薄膜層(透明UVコート層)が形成され、オフセット印刷と同様の光沢感の画像が記録媒体114上に実現される。
このようにして画像形成が行われた記録媒体114は、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置100によれば、記録媒体114を保持した状態で所定の方向に搬送する圧胴126a〜126d及び渡し胴124a〜124d(搬送ドラム10)の周面(記録媒体保持面13)に吸着穴50を設け、吸着穴50と連通する吸着溝22に他の部分の溝幅よりも小さい溝幅を有する絞り部34を設け、絞り部34(及び吸着溝22、吸着穴50)を介して記録媒体114に吸着圧力を付与することで、記録媒体114に作用する吸着圧力をより高くすることができ、厚紙等のコシの強い紙を用いる場合でも、曲率半径の小さい搬送ドラムに対して記録媒体114を密着させて固定することができる。
また、使用される記録媒体114のサイズに対応して、吸着溝22の軸方向の長さ及び吸着溝22の配置パターンが決められるので、メカ的な変更をすることなく複数のサイズの記録媒体114に対応することが可能であり、記録媒体114のサイズを変更する際に真空流路の切り換え等の制御が不要である。なお、対応サイズの変更や仕向地対応は、吸着溝22の配置パターンが異なる中間シート24を準備しておき、中間シート24を変更することで対応可能である。
更に、記録媒体114の表面から突出する部材を使わずに、記録媒体114を搬送ドラム10に固定することができるので、スローディスタンスを短くすることができ、ヘッドから吐出されるインク液滴の着弾精度を高めることができる。
更にまた、絞り部34の機能によって、少ない流量で高い吸着圧力を発生させることができるので、様々なサイズの記録媒体114や、様々な種類の記録媒体への対応が可能である。
なお、本例ではドラム形状(回転体形状)の記録媒体固定保持部材を例示したが、本発明はベルト状部材やフラットベッドタイプの記録媒体固定保持部材などの直動系にも適用可能である。
〔応用例〕
本発明は、図16に示す両面機(インクジェット記録装置200)にも適用可能である。図16中、図1と共通又は類似する部材には同一の番号を付して説明を省略する。
図16に示すインクジェット記録装置200は、記録媒体114の両面に印刷可能な両面機である。このインクジェット記録装置200は、記録媒体114の搬送方向(図16の右から左へ向かう方向)の上流側から順に、給紙部102と、第1の浸透抑制処理部104Aと、第1の処理液付与部106Aと、第1の印字部108Aと、第1の透明UVインク付与部110Aと、記録媒体114の記録面(画像形成面)の反転を行う反転部202と、第2の浸透抑制処理部104Bと、第2の処理液付与部106Bと、第2の印字部108Bと、第2の透明UVインク付与部110B、排紙部112とを備えている。つまり、反転部202の前後に、図1に示すインクジェット記録装置100の浸透抑制処理部104、処理液付与部106、印字部108、及び透明UVインク付与部110をそれぞれ配置した構成に相当するものである。
本例のインクジェット記録装置200では、まず、図1に示すインクジェット記録装置100と同様にして、給紙部102から給紙された記録媒体114の一方の面に対して、第1の浸透抑制処理部104A、第1の処理液付与部106A、第1の印字部108A、及び第1の透明UVインク付与部110Aによって、浸透抑制処理、処理液の打滴、色インクの打滴、透明UVインクの打滴などが順次行われる。
このようにして記録媒体114の一方の面に画像が形成された後、第1の透明UVインク付与部110Aの圧胴126dから渡し胴206を介して、記録媒体114が反転胴204に受け渡される際、記録媒体114の反転が行われる。なお、記録媒体114の反転機構は公知のものを適用すればよいため具体的な説明については省略する。また、反転胴204の表面に対向する位置には、第2のUVランプ156が設けられており、第1の透明UVインク付与部110Aの第1のUVランプ148a、148bとともに、記録媒体114上に付与された透明UVインクを硬化させる役割を果たしている。
反転後の記録媒体114は、反転胴204から渡し胴208を介して、第2の浸透抑制処理部104Bの圧胴126aに受け渡される。そして、記録媒体114の他方の面に対して、第2の浸透抑制処理部104B、第2の処理液付与部106B、第2の印字部108B、及び第2の透明UVインク付与部110Bによって、浸透抑制処理、処理液の打滴、色インクの打滴、透明UVインクの打滴などが順次行われる。
このようにして記録媒体114の両面に画像が形成された後、記録媒体114は、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
〔第1変形例〕
次に、上述したインクジェット記録装置100(200)の第1変形例について説明する。
図17は、第1変形例に係るドラム本体30’の概略構成を示す斜視図である。同図に示すドラム本体30’には、軸方向の略中央に設けられたドラム吸着溝26A,26Bに加えて、軸方向の中央部以外の領域(非中央部)にもドラム吸着溝220A、220B,222A,222B,224A,224B,226A,226Bが設けられている。
また、ドラム吸着溝220A、220B,222A,222B,224A,224B,226A,226Bの一方の端部には、ドラム本体30’の内部に設けられる真空流路(不図示)と連通するドラム吸着穴230A,230B,232A,232B,234A,234B,236A,236Bが設けられている。
搬送ドラム10の軸方向の両端部近傍に設けられるドラム吸着溝220A,220B,226A,226Bは、記録媒体114が置かれない非記録媒体配設領域に設けられ、ドラム本体30’に吸着シート20(図10参照)及び中間シート24(図8参照)を密着させる際に機能するものである。
即ち、吸着シート20及び中間シート24をドラム本体30’に巻きつけるときに、ドラム吸着溝220A,220B,226A,226Bから吸着シート20及び中間シート24に吸着圧力を作用させることで、ドラム本体30’と吸着シート20及び中間シート24の密着性を高めることができる。なお、吸着シート20は、ドラム吸着溝220A,220B,226A,226Bに対応する位置に吸着穴50を設けないように構成され、中間シート24には、ドラム吸着溝220A,220B,226A,226Bに対応する位置に開口(図18に符号228で図示)が設けられている。
図17に示すドラム吸着溝222A,222Bは、図18に示す中間シート240の吸着溝242G〜242Jと連通し、図17のドラム吸着溝224A,224Bは、図18の中間シート240の吸着溝242B〜242Eと連通するものである。
図18に示す中間シート240は、搬送ドラム10(図2参照)の軸方向(図18における左右方向)の中央部をはさんで中間シート240の軸方向の全長の略1/2の長さを有する中央領域240Bでは、必要最小限の数の吸着溝242A,242Fを並べた構造を有している。
中央領域240Bに設けられる吸着溝242A,242Fは、軸方向の中央部側の端部に絞り部34が設けられ、絞り部34を介して搬送ドラム10の軸方向の中央部に設けられるドラム吸着溝26A,26Bと連通し、かつ、ドラム本体30’のドラム吸着溝222A,222B,224A,224Bに対応する位置に達しない長さを有している。
中間シート240の中央領域240Bでは、吸着溝242A,242Fが密集しないので、中間シート240の剛性が確保される。
また、中央領域240Bの外側の周辺領域240C,240Dでは、中央領域240Bよりも吸着溝242B〜242E,242G〜242Jを密に、かつ、より多く並べた構造を有している。
周辺領域240Cに設けられる吸着溝242B〜242Eは、軸方向の中央部側の端部に絞り部34が設けられ、絞り部34を介して、図17に示すドラム本体30’のドラム吸着溝224A,224Bと連通し、ドラム吸着溝226A,226Bの位置に達しない長さを有している。
周辺領域240Dに設けられる吸着溝242G〜242Jは、軸方向の中央部側の端部に絞り部34が設けられ、絞り部34を介して、図17に示すドラム本体30’のドラム吸着溝222A,222Bと連通し、ドラム吸着溝220A,220Bの位置に達しない長さを有している。
中間シート240の周辺領域240C,240Dでは、図9に示す吸着溝22よりも軸方向の長さが短くなるので、中間シート240の周辺領域240C,240Dにおいても剛性が低くなることが防止される。
上述した第1変形例によれば、絞り部34を搬送ドラム10の軸方向に複数設けたので、中間シート240の剛性が確保され、中間シート240の取り扱い性の向上が見込まれる。また、記録媒体保持領域14の外側に吸着シート20及び中間シート240の吸着するためのドラム吸着溝220A,220B,226A,226Bを設けたので、吸着シート20及び中間シート240をドラム本体30’に真空密着させることができる。
〔第2変形例〕
次に、本発明の実施形態に係る第2変形例について説明する。以下に説明する第2変形例は、搬送ドラム10(図2参照)の周方向に吸着溝322が設けられ、軸方向にドラム吸着溝326が設けられている。
図19は、第2変形例に係る中間シート324の展開図である。なお、同図には、本変形例の理解を容易にするために、図19に図示されていないドラム本体(図6参照)に設けられるドラム吸着溝326を破線で図示している。
図19に示す中間シート324は、搬送ドラム10(図2参照)の周方向に沿う複数の吸着溝322A〜322Eが所定の配置ピッチで軸方向に沿って並べられた構造を有し、吸着溝322の一方の端部(図19の上側の端部)には、他の部分よりも溝幅が小さく絞られた絞り部334が設けられている。
図19に示す吸着溝322A〜322Eは、使用される記録媒体114のサイズに対応して異なる長さを有している。図19における最も内側の領域340はA3サイズ(297mm×420mm)の記録媒体114に対応し、領域342は四六4切サイズ(394mm×545mm)の記録媒体114に対応し、領域344は菊半裁サイズ(469mm×636mm)の記録媒体114に対応し、領域346はEU半裁サイズ(520mm×720mm)の記録媒体114に対応している。
また、ドラム本体(不図示;図6参照)には、中間シート324の絞り部334に対応する位置に、搬送ドラム10の軸方向に沿ってドラム吸着溝326が設けられ、吸着シート(不図示;図10,9参照)には、図19に示す吸着溝322A〜322Eと連通するように、吸着穴(図11参照)が設けられている。
上述した第2変形例によれば、少ない数のドラム吸着溝で複数のサイズの記録媒体に対応することができる。
〔第3変形例〕
次に、本発明の実施形態に係る第3変形例について説明する。
図20(a),(b)には、中間シート(図9,17参照)の吸着溝22に設けられた、吸着シート(図10,9参照)の変形防止形状400を図示する。図20(a)は、当該中間シートを裏側(ドラム本体と接触する面側)から見た図であり、図20(b)は、
表側(吸着シートと接触する面側)から見た図である。
なお、本変形例の理解を容易にするために、図20(a),(b)には、中間シートに設けられていない吸着穴50を図示してある。
図20(a),(b)に示すように、吸着溝22の幅方向の略中央部には、吸着溝22に沿って変形防止形状(島形状)400が設けられている。同図に示すように、島形状400によって吸着シートが支持され、吸着圧力による吸着シート(形状)の変形(凹み)が防止される。
図20(a),(b)に示す変形防止形状400を形成するには、中間シートの両側から異なるパターンでエッチングしてもよいし、ドラム本体の表面に変形防止形状400となる形状を加工してもよい。
〔第4変形例〕
次に、本発明の実施形態に係る第4変形例について説明する。
吸着シート(図10,9参照)の開口形状は、必ずしも穴でなくてもよく、吸着領域を規定する流路形成部(溝形状)でもよい。この場合には、吸着圧力による記録媒体の凹みを防止するために、当該溝の幅はできるだけ狭いほうがよい。
図21(a)〜(c)には、吸着穴50(図11参照)に代わり、溝形状550を備えた吸着シート520を示す。図21(a)は、吸着シート520を表側(記録媒体保持面側)から見た図であり、図21(b)は、裏側(中間シートと接触する面側)から見た図である。また、図21(c)は、図21(a)と図21(b)を合成した透視平面図である。
図21(a)に示す記録媒体保持面には、吸着シート520を貫通しない非貫通溝550Aが設けられ、非貫通溝550Aの一方の端部には吸着シート520を貫通する貫通穴550Bが設けられている。
また、図21(b)に示す裏側面には、貫通穴550Bと連通する非貫通溝550Cが設けられている。更に、裏側面の非貫通溝550Cは、一体となって1つの溝となる形状を有し、3本の吸着溝(非貫通溝550A、550C)に共通の絞り部(不図示)が設けられている。なお、図21には、3本の吸着溝に対して絞り部を1つ設ける態様を示したが、1本の吸着溝に対して1つの絞り部を設けてもよいし、2本の吸着溝又は4本以上吸着溝に対して1つの絞り部を設けてもよい。
このように構成された第4変形例によれば、吸着圧力による吸着シートの変形を更に低減することができる。
〔他の装置構成例〕
上述したインクジェット記録装置100、200は、インクジェット方式だけでなく、レーザ記録にも適用可能である。特に小さいビーム径で高精細の記録を行う高NA光学系においては、最終レンズと記録媒体の距離が数mm以下となる場合も多く、本発明を適用すると効果的である。
以上、本発明の画像形成方法及び画像記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。