JP5127026B2 - 油性化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は油性化粧料に関し、更に詳しくは、特定の糖重合度及び特定の脂肪酸エステル化度を有するフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルと、長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンとシリコーン油以外の液状油とを含有する油性化粧料に関するものであり、塗付時にソフトな感触で均一にのびひろがり、肌や口唇の凹凸を目立たなくして油光りを抑えて自然できれいな化粧膜を持続し、更には乾燥を防ぎエモリエント効果に優れた油性化粧料に関する。
従来、液状油をワックスなどの固形油で固めた油性化粧料は、耐水性の高い塗布膜を形成するが、油性感が強く、経時での化粧持ちの悪さなどの問題があった。さらには、液状油の固形化に一般的に使用されている高融点ワックスは、融点が高いため、体温付近では硬さがあり、のびの重さなどの問題があった。
そこで、硬さをコントロールするために、固形油と、ペースト状油剤やデキストリン脂肪酸エステルに代表されるような油ゲル化剤との組合せなどが提案されている(特許文献1、2)。一方、油性化粧料の油性感や油光りを低減するために、各種オルガノポリシロキサン化合物を配合したり(例えば特許文献3)、フッ素化合物を配合したり(例えば特許文献4)、光拡散性の高い多孔質粉体や球状粉体を配合したり(例えば特許文献5)することが報告がされている。
特開2004‐137226号公報 特開2002‐265328号公報 特開平9−175928号公報 特開平9−77652号公報 特開2002−241229号公報
しかしながら、油性化粧料において、従来のワックスなどの固形油と他の油ゲル化剤を組み合わせて硬さを調整する方法では、ワックスの構造性が弱まり、特に油性固形化粧料の場合には、必要とされる硬さや強度の確保が困難な場合があった。また、油性感や油光りを低減するためにオルガノポリシロサンを配合した油性化粧料は、さっぱりした感触を有し、油性感は抑えられるが、肌や口唇の凹凸を目立たなくする効果は満足できるものではなかった。フッ素化合物を配合した油性化粧料は、フッ素化合物が炭化水素やトリグリセライドなどの一般油剤との相溶性が悪く、顔料凝集や発汗などの問題があった。また多孔質粉体や球状粉体を配合した油性化粧料は、これらを多く配合すると、のびが重くなったり、仕上がりがマットで不自然な仕上がりになったり、肌や口唇が乾燥したり、満足の行くものではなかった。本発明は、塗付時にソフトな感触で均一にのびひろがり、肌や口唇の凹凸を目立たなくして油光りを抑えて自然できれいな化粧膜を持続し、更には乾燥を防ぎエモリエント効果に優れる油性化粧料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の糖重合度及び特定の脂肪酸エステル化度を有するフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルと、長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンと、シリコーン油以外の液状油とが、好適なゲル組成物を形成し、これを含有する油性化粧料が、上記課題の性質を備えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C):
(A)糖平均重合度が10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル0.1〜30質量%
(B)炭素数8〜30の長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン0.001〜15質量%
(C)シリコーン油以外の液状油1〜90質量%
を含有することを特徴とする油性化粧料油性化粧料である。
また、本発明は、上記成分(A)〜(C)に加え、更に成分(D)として、固形油を含有する油性化粧料である。上記成分(A)の糖平均重合度が10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、その総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基又はドコサノイル基から選ばれる1種又は2種以上であるフラクトオリゴ脂肪酸エステルが好ましい。また、上記成分(C)のシリコーン油以外の液状油は、分子内に少なくとも1個以上のエステル結合を含有する液状油が好ましい。また、成分(C)のシリコーン油以外の液状油は、分子内に水酸基を有する分子量300〜1000の常温で液体のエステル油が好ましい。
本発明の油性化粧料に配合した、糖平均重合度が10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、シリコーン油以外の液状油をゲル化させ、均一で滑らかな光沢のある安定なゲルを形成する。このゲル化物は、粘度や硬さの適宜調整が容易で、塗付時にのびが軽くて油性感が少なく、エモリエント効果に優れている。本発明の油性化粧料は、このゲル化物と長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンとが相俟って、塗付時にソフトな感触で均一にのびひろがり使用性が良く、肌や口唇の凹凸を目立たなくして油光りを抑えて自然できれいな化粧膜を持続し、更には乾燥を防ぎエモリエント効果に優れる。また、更に固形油を配合したものは、柔軟で光沢のある被膜を形成して、化粧膜の強度を高め、化粧持続性、移行防止効果にも優れている。
フラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは公知である(特開平3−197409号公報、特開2002−193732号公報)。本発明の成分(A)の糖平均重合度が10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、糖平均重合度が10以上60以下のフラクトオリゴ糖の水酸基における水素原子が、アシル基RCO−(ここでRは炭素数7〜31の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を示す)で一単糖単位当たり平均2.2個以上置換されたフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルである。
本発明の成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルの原料として用いられるフラクトオリゴ糖とは、フルクトースを主要構成糖とするオリゴ糖を示す。フラクトオリゴ糖はいろいろな植物、例えばキク科、イネ科及びユリ科の根、茎、葉、種子等に含まれており、その構造は主鎖の結合様式が2→1結合のものと、2→6結合のものの2種類がある。2→1結合のものとしてはイヌリン、アスパラゴシン、アスホデラン、トリチカン、クリテザン、バクモンドウ由来のフラクトオリゴ糖等が挙げられ、2→6結合のものとしてはフレアン、レバン、セラカン等が挙げられる。本発明においては、これらのフラクトオリゴ糖の中でも、とりわけイヌリンが物性や供給面から好ましい。
本発明の成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、好ましくはフラクトオリゴ糖と式RCOOH(ここでRは前記と同じ)であらわされる脂肪酸又はその誘導体とを反応させることにより製造される。脂肪酸の誘導体としては酸ハライド、酸無水物等が例示できる。フラクトオリゴ糖と脂肪酸又はその誘導体との反応は、従来公知の方法により行なうことができる。例えば、フラクトオリゴ糖をジメチルホルムアミド及びピリジン中に分散させ、これに脂肪酸ハライド又は脂肪酸無水物を加え、60℃前後で約2時間反応させることにより得ることができる。
本発明の成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、本発明の成分(C)のシリコーン油以外の油剤、とりわけ分子中に少なくとも1個以上のエステル結合を含有する極性油剤のゲル化能に優れ、均一かつ滑らかで光沢に優れるゲル組成物を得ることが可能であり、低い粘性からペースト状そしてハードゲルまで幅広い範囲で粘性をコントロールできる。その糖平均重合度が10以上の範囲でなければ成分(C)のシリコーン油以外の油剤、とりわけ極性油剤に対し高いゲル構造性を発揮することができない。ここで、高いゲル構造性とは、低濃度で油剤全体をゲル化(逆さにして流動性を持たない状態)でき、硬さと使用に耐えうる強度を備えることをいう。フラクトオリゴ糖の糖平均重合度の測定法は、例えばL. De Leenheer, Starch 46(5),p193-196(1994)、Carbohydrates as Organic Raw Materials,Vol.III,p67-92(1996)に記載されている。
本発明の成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルにおいて、一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度は2.2以上である。置換度が2.2以上であると、成分(C)のシリコーン油以外の油剤、とりわけ極性油剤への溶解性及びゲル構造性の付与効果がより高いものとなり、安定性がより向上して分離などが起きにくい。一方、置換度が2.2より低いと、成分(C)のシリコーン油以外の油剤、とりわけ極性油への溶解性が低いためゲル構造をつくりにくく、安定性の確保が困難な場合がある。
また、本発明の成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上がヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基又はドコサノイル基から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。これらのアシル基総量が60モル%以上であれば、本発明の油性化粧料の安定性がより向上する。アシル基の炭素鎖長に関し、ヘキサデカノイル基より炭素数の少ないアシル基ではゲル構造性の付与が充分でない場合があり、反対にドコサノイル基より炭素数の多いアシル基では使用時に重い感触を伴ったり、経時的にゲル化剤が析出する場合もある。
上記の総アシル基の60モル%以上がヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基又はドコサノイル基から選ばれる1種又は2種以上であるフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルにおいて、他のアシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、テトラコサノイル基、ヘキサコサノイル基、オクタコサノイル基、トリアコンタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等を例示することができる。
なお、本発明の油性化粧料に、安定性の確保と同時に流動性を得たい場合には、成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルのアシル基において、分岐炭化水素骨格を有するアシル基を含有させればよい。この場合、分岐炭化水素骨格を有するアシル基は炭素数22以下であることが好ましく、炭素数18以下が特に好ましい。好適に使用される分岐炭化水素骨格を有するアシル基を例示すると、イソステアロイル基、イソヘキサデカノイル基、イソデカノイル基、イソオクタノイル基等を挙げることができる。
本発明の油性化粧料において、成分(A)の糖平均重合度が10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は油性化粧料中に0.1〜30質量%(以下単に「%」で示す。)であり、1〜20%が好ましい。この範囲で用いると成分(C)のシリコーン油以外の液状油、とりわけ極性油とより安定なゲルを形成し、化粧料の使用性(使い勝手)や使用感に関わる硬さの調整が広い範囲で容易にでき、更に化粧料の安定性の点においても好ましい。
本発明の成分(B)の長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンは、部分的に架橋結合を有する三次元構造を呈するシリコーン系エラストマーであって、分子中に長鎖アルキル基を有する化合物である。上記長鎖アルキル基としては、炭素数8〜30のアルキル基であり、炭素数8〜30の直鎖状のアルキル基が好ましい。かかる成分(B)は、例えば、SiO単位、HSiO1.5単位、RSiO1.5単位、RHSiO単位、RSiO単位、RSiO0.5単位及びRHSiO0.5単位(ここで、Rは脂肪族不飽和基を除く、置換もしくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、Rの一部は炭素数8〜30の一価炭化水素基である)からなる群から選択された構造単位で構成され、且つケイ素原子に結合した水素原子を平均で1.5個以上分子中に含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、SiO単位、(CH=CH)SiO1.5単位、RSiO1.5単位、R(CH=CH)SiO単位、RSiO単位、RSiO0.5単位及びR(CH=CH)SiO0.5単位、(ここでRは脂肪族不飽和基を除く置換もしくは非置換の炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、Rの一部は炭素数8〜30の一価炭化水素基である)からなる群から選択された構造単位で構成される、且つ分子中にケイ素原子に結合したビニル基を平均で1.5個以上含有するオルガノポリシロキサン、もしくは次式の一般式(イ)
2n-1O(C24O)(C36O)2n-1 ・・・(イ)
(式中、nは2〜6の整数、pは2〜200の整数、qは0〜200の整数、p+qは3〜200の整数、をそれぞれ示す)
で表わされるポリオキシアルキレンとの付加反応によって得ることができる。ここで、Rの30モル%以上がメチル基であり、且つ、5〜50モル%が炭素数10〜22の炭化水素基が好ましく、特に好ましくは炭素数10〜22の炭化水素基が10〜40モル%である。そうすることで、シリコーン油を除く油剤との親和性が良好で、安定なゲル組成物が得られる。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子、ビニル基含有オルガノポリシロキサンもしくは不飽和基含有ポリオキシアルキレンの不飽和基の少なくとも一方の含有量が、ケイ素原子に結合している有機基と水素原子との合計あたり20モル%よりも小さくなるよう選択される。これにより付加反応により得られる成分(B)の長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンの架橋度が好適な状態となり、シリコーン油を除く油剤とへの膨潤性が良好となる。
このような長鎖アルキル基を含有する部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物としては、例えばINCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。市販品としては、例えば、長鎖アルキル基を含有する部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物に炭化水素油又はエステル油を配合したシリコーンゲルを挙げることができる。例えば、KSG−310、KSG−41(ミネラルオイルを65〜75%含有)、KSG−320、KSG−42(イソドデカンを70〜80%含有)、KSG−330、KSG−43(トリオクタノイン(トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル)を65〜75%含有)、KSG−340、KSG−44(スクワランを65〜75%含有)(いずれも信越化学工業社製)等がある。
本発明の油性化粧料において、本発明の成分(B)の長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンは目的に応じてその1種又は2種以上を用いることができ、その含有量は油性化粧料中0.001〜15%であり、0.1〜10%が好ましい。この範囲で用いると油系全体の相溶性を高めることができ、粉体を配合する場合は油系と均一に混合することができるため、肌への密着性を向上させることができる。
本発明の成分(C)のシリコーン油以外の液状油は、常温で液状の天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油などである。具体的には、天然動植物油及び半合成油としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、胚芽油、パーシック油、パーム油、レッドパーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、ポリイソプチレン、α−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−ジ−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジ−2−エチルへキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、炭酸ジアルキル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸−2−ヘプチルウンデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
グリセライド油としては、アセトグリセライド、トリイソオクタン酸グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド、テトライソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
これらの中でも、上記成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルと組み合わせて高いゲル構造性が得られる液体油としては、分子中に少なくとも1個以上のエステル結合を有する極性油剤で、エステル油、グリセライド油が好ましい。更に、分子内に水酸基を有する分子量300〜1000の常温で液体のエステル油やグリセライド油に対しては特にゲル化力が高くゲル構造性を高めることができ、安定性や使用性の点で更に好ましい。具体的には、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
本発明の化粧料において、本発明の成分(C)のシリコーン油以外の液状油は、必要に応じて1種又は2種以上用いることができ、その含有量は、油性化粧料中に1〜90%であり、5〜70%が好ましい。この範囲で用いるとのびの軽さとエモリエント効果の付与の点で好ましい。
本発明のゲル組成物及びそれを含有する化粧料は、更に成分(D)として、常温で固形油を含有することにより、油性化粧料の安定性をより一層向上させ、また感触調整に役立たせることができる。成分(D)は、具体的には、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリン等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、モクロウ、カカオ油脂等の油脂、キャンデリラレジン等の樹脂類、硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル、ステアリル変性シリコーン、ベヘニル変性シリコーン等のシリコーンワックスなどである。
成分(D)の固形油は、なかでもエチレン・プロピレンコポリマーを含有することで、油性化粧料の形状や皮膚への付着性を更に向上させることができる。エチレン・プロピレンコポリマーは、市販品としてはEP−700、EP−1100(いずれもニューフェーズテクノロジー社製)、TRILENE CP−40、TRILENE CP−80(いずれもユニロイヤルケミカル社製)、EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)等が挙げられる。
成分(D)の固形状油分は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。配合量は特に限定されないが、0.1〜30%であれば安定性に優れ好ましい。
本発明の油性化粧料には、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用される成分、例えば成分(C)、(D)以外の油剤、界面活性剤、アルコール類、保湿剤、成分(A)以外のゲル化剤及び増粘剤、粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸等を配合することができる。
成分(C)、(D)以外の油剤として、例えばとしては、揮発性オルガノポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等のシリコーン油が挙げられる。
界面活性剤としては通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N−アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N−[3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
アルコール類として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール類等が例示される。
保湿剤としては尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
水系増粘剤、ゲル化剤としてはアラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系増粘剤、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
油ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。
粉体としては無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等が挙げられ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、何れのものも使用することができる。無機粉体として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカ等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプン、ラウロイルリジン等が挙げられる。
金属石鹸粉末(界面活性剤金属塩粉末)としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の各粉末が挙げられる。有色顔料としては酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
パール顔料としては酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられ、また、金属粉末としてはアルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。タール色素としては赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられ、天然色素としてはカルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
これらの粉体はそのまま使用しても良いが、これらを粉体を複合化したり、油剤やシリコーン、フッ素化合物等で表面処理を行なって使用してもよい。上記粉体は必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤としてはパラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
酸化防止剤としてはトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としてはアラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン等、清涼剤としてはL−メントール、カンファ、薄荷油、ペパーミント油、ユーカリ油等、抗炎症剤としてはアラントイン、グリチルレチン酸塩、グリチルレチン誘導体、トラネキサム酸、アズレン等が夫々挙げられる。
美肌用成分としてはアルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
ビタミン類としてはビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が挙げられる。
アミノ酸類としてはアルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、グリシン、プロリン等、核酸としてはデオキシリボ核酸等が挙げられる。
本発明の油性化粧料では、形状は、固形状、半固形状、液状が挙げられるが、固形状、半固形状において本発明の効果がより発揮されるので、固形状、半固形状が好ましい。形態としては、アイクリーム、ヘアクリーム、ヘアワックス等の基礎化粧品や頭髪化粧品や、口紅、コンシーラー、ファンデーション、アイ製品、毛穴補正用化粧料等のメイクアップ製品等に用いることができる。とりわけ、本発明の技術は特にメイクアップ製品において好適に用いることができ、発明の効果を十分に利用することができる。
以下に、本発明で用いる成分(A)のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルの合成例及び本発明の油性化粧料の実施例を挙げて、本発明を更に説明する。
合成例1
イヌリン(商品名「ラフティリンLS」ORAFTI社製、糖平均重合度10)10.8gにジメチルホルムアミド500gを加え、60℃で攪拌して溶解した。これにピリジン16gを加えて攪拌しながら塩化ステアロイル60.5g滴下し、2時間反応後ピリジン塩を濾別し、ジメチルホルムアミドを留去した。残渣にトルエンを加えて抽出し、ボウ硝にて乾燥後溶媒を留去した。残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンステアリン酸エステル45gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す)は2.7であった。
合成例2
イヌリン(商品名「ラフティリンHP」ORAFTI社製、糖平均重合度23)16.2gにジメチルホルムアミド200g、ピリジン30gを加え、60℃で攪拌しながら溶解した。これに、攪拌しながら塩化ステアロイル91gを滴下し、5時間反応後、精製水1L中に投入して固形分を析出させた。これを濾別し、残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンステアリン酸エステル57gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す)は2.8であった。
合成例3
イヌリン(商品名「ラフティリンHP」ORAFTI社製、糖平均重合度23)16.2gにジメチルホルムアミド200g、ピリジン30gを加え、60℃で攪拌しながら溶解した。これに、攪拌しながら塩化ステアロイル73gを滴下し、5時間反応後、精製水1L中に投入して固形分を析出させた。これを濾別し、残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンステアリン酸エステル53gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す)は2.2であった。
合成例4
イヌリン(商品名「ラフティリンHP」ORAFTI社製、糖平均重合度23)16.2gにジメチルホルムアミド200g、ピリジン30gを加え、60℃で攪拌しながら溶解した。これに、攪拌しながら塩化ベヘノイル108gを滴下し、5時間反応後、精製水1.5L中に投入して固形分を析出させた。これを濾別し、残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンベヘン酸エステル67gを得た。このイヌリンベヘン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す)は2.7であった。
比較合成例1
加水分解イヌリン(商品名「ラフティローズP95」ORAFTI社製、糖重合度2〜7)を用いる以外は、合成例2と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル56gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す)は2.8であった。
実施例1〜3及び比較例1〜4 毛穴補正用化粧下地(半固形状)
表1に示す組成の毛穴補正用化粧下地を以下に示す製造方法により調製し、「滑らかなのび広がり」、「油性感のなさ」「毛穴補正効果」、「エモリエント効果」、「化粧持続性」について、以下に示す評価方法1及び判断基準により評価した。結果を併せて表1に示す。
Figure 0005127026
(製造方法)
A.成分8〜11を均一混合する。(必要に応じて、80℃に加熱する。)
B.成分1〜7を均一混合する。
C.AとBを均一混合する。
D.Cに成分12〜21を添加し、均一分散する。
E.Dを容器に充填して充填し、毛穴補正用化粧下地を得た。
〔評価方法1〕
化粧品評価専門パネル10名に本発明品及び比較品の毛穴補正用下地を使用してもらい、「滑らかなのび広がり」、「油性感のなさ」「毛穴補正効果(毛穴が目立たない)」、「エモリエント効果」、「化粧持続性」について、各自が以下の基準に従って5段階評価し、毛穴補正用下地毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。尚、「化粧持続性」については、塗布直後の状態と塗布後4時間(日常生活)の状態を比較し、評価した。
評価基準:
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
表1の結果から明らかなように、実施例1〜3の毛穴補正用化粧下地は、「滑らかなのび広がり」、「油性感のなさ」「毛穴補正効果」、「エモリエント効果」、「化粧持続性」の全ての項目に優れたものであった。それと比較して比較例1のパルミチン酸デキストリンを配合したものは柔らかく、ずるずるのび広がり油っぽさを感じ、化粧持続性にも劣っていた。糖重合度が10未満のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを配合した比較例2も油性感のなさや化粧持続性が特に劣っていた。球状粉体を配合した比較例3は伸びが重く、粉っぽい仕上がりでエモリエント効果に劣っていた。また、長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサンの代わりに、架橋されていないポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を用いた比較例4は、毛穴を目立たなくさせる効果がみられず、全ての項目で劣っていた。
実施例4: 油性ファンデーション(固形状)
下記組成及び製法にて油性ファンデーションを調製した。
(組成)
(成分) (%)
1.(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー・
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル混合物(注9) 20
2.フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル1(合成例1) 2
3.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(注10) 5
4.エチレン・プロピレンコポリマー(注2) 2
5.2−エチルヘキサン酸セチル 10
6.リンゴ酸ジイソステアリル(注11) 残量
7.シリコーン処理酸化チタン(注12) 12
8.シリコーン処理ベンガラ(注12) 0.5
9.シリコーン処理黄酸化鉄(注12) 3
10.シリコーン処理黒酸化鉄(注12) 0.1
11.シリコーン処理タルク(注12) 15
12.ポリメチルシルセスキオキサン(注13) 5
13.防腐剤 適量
14.香料 適量
注9:KSG−43(信越化学工業社製)
注10:コスモール168ARN(日清オイリオグループ社製)
注11:コスモール222(日清オイリオグループ社製)
注12:メチルハイドロジェンポリシロキサン2%処理粉体
注13:トスパール120(GE東芝シリコーン社製)
(製法)
A:成分2〜6を加温溶解後、成分7〜11を加えて均一に混合する。
B:Aに成分1を加えて均一に混合する。
C:Bに成分12〜14を添加して混合後、皿状容器に充填して油性ファンデーションを得た。
得られた油性ファンデーションは、肌へののびが良好で肌の凹凸が目立たずきれいな化粧膜を形成し、油性感が少なく、更には化粧が皮脂や汗ににじむことなく、エモリエント効果、化粧持続性に優れた品質を有するものであった。
実施例5 : リップ下地(固形状)
下記組成及び製法にてリップ下地を調製した。
(組成)
(成分) (%)
1.トリイソステアリン酸ジグリセリル(注14) 10
2.フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル3(合成例3) 10
3.ロジン酸ペンタエリトリット(注15) 5
4.ワセリン 10
5.(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー・
トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル混合物(注16) 40
6.精製ホホバ油 10
7.ジカプリン酸プロピレングリコール 残量
8.シリル化煙霧状シリカ(注8) 2
9.香料 適量
注14:コスモール43N(日清オイリオグループ社製)
注15:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
注16:KSG−330(信越化学工業社製)
(製法)
A:成分1〜4及び成分6〜7を加温溶解する。
B:Aに成分5及び成分8〜9を加えローラーで均一に混合分散する。
C:Bを容器に充填後してリップ下地を得た。
得られたリップ下地は、口唇へ塗布した時ののび広がりが良好で、油性感やべたつきがなく、エモリエント効果に優れたものであった。また、口唇のたてジワが目立たず上に塗付した口紅の発色に優れ、また化粧持続性にも優れた品質を有するものであった。
実施例6 : アイカラー(半固形状)
下記組成及び製法にてアイカラーを調製した。
(組成)
(成分) (%)
1.2−エチルヘキサン酸セチル 10
2.イソノナン酸イソノニル 2
3.(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー・
ミネラルオイル混合物(注5) 5
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
5.N−アシル−L−グルタミン酸エステル(注17) 1
6.セレシンワックス 2
7.フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル4(合成例4) 5
8.フェニルトリメチコン(注18) 5
9.トリイソステアリン酸ジグリセリル(注3) 10
10.パーフルオロポリエーテル(注19) 0.01
11.シリコーン分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注20) 2
12.雲母チタン 10
13.ベンガラ被覆雲母チタン 5
14.赤色226号 0.1
15.赤色202号 0.1
16.ウレタンパウダー(注21) 12
17.ジメチルポリシロキサン(注22) 25
18.防腐剤 適量
19.香料 適量
注17:エルデュウCL−301(味の素社製)
注18:KF−56(信越化学工業社製)
注19:フォンブリンHC/04(アウシモント社製)
注20:KF−6028P(信越化学工業社製)
注21:プラスチックパウダーD400(根上工業社製)
注22:KF−96A−6cs(信越化学工業社製)
(製法)
A:成分1〜18を加温して均一混合する。
B:Aに成分19を加えて均一に混合後、容器に充填してアイカラーを得た。
得られたアイカラーは、滑らかに付着し、まぶたの凹凸が目立たず均一できれいな化粧膜に仕上がり、油性感や乾燥がないものであった。また、化粧後も皮脂や汗、涙ににじむことなく化粧持ちに優れると共に、色にじみや色移りが見られず極めて優れた品質を有するものであった。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)〜(C):
    (A)糖平均重合度が10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル0.1〜30質量%
    (B)炭素数8〜30の長鎖アルキル基含有部分架橋型オルガノポリシロキサン0.001〜15質量%
    (C)シリコーン油以外の液状油1〜90質量%
    を含有することを特徴とする油性化粧料。
  2. 成分(A)の糖平均重合度の10以上60以下で一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、その総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基又はドコサノイル基から選ばれる1種又は2種以上であるフラクトオリゴ脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の油性化粧料。
  3. 成分(C)のシリコーン油以外の液状油が、分子内に少なくとも一個以上のエステル結合を含有する液状油であることを特徴とする請求項1又は2に記載の油性化粧料。
  4. 成分(C)のシリコーン油以外の液状油が、分子内に水酸基を有する分子量300〜1000の常温で液体のエステル油であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性化粧料。
  5. 更に成分(D)として、固形油を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性化粧料。
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