本発明の感知器の実施の形態について、以下に説明する。尚、以下の各実施形態では、本発明の感知器として、煙流又は熱気流を測定対象とする火災警報器に適用したものを例に挙げて説明する。
<第1の実施形態>
本発明における第1の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。
図1に示すように、本実施形態の感知器は、図1に示すように、筐体1外部の周辺環境(外環境)を流れる流体が流入することで環境値の測定を行う検知部3を備え、この検知部3が、筐体1内部の中心位置に設置された構成となる。この筐体1の外周を覆う側壁12には、図2及び図4の断面図で示す構成に対する説明で後述する第1開口部14が設けられることで、側壁12の外周側の外環境を流れる流体が、この第1開口部14より筐体1の内部に流入する。
このように、感知器の取付面に平行な面方向に対して、筐体1の中心位置に検知部3が設けられるとき、検知部3へ流体を誘導する誘導部材として、その両端それぞれが検知部3及び側壁12の近傍に設けられた複数の誘導壁17を備える。即ち、図1では、検知部3を中心として放射状に形成される4つの誘導壁17を、検知部3の外周側で且つ側壁12の内周側に周設される。
よって、これらの誘導壁17により、検知部3が内部に設けられた側壁12で囲まれた空間が分割され、この誘導壁17により分割された各空間が、側壁12に設けられた後述の第1開口部14から流入する流体を検知部3まで誘導する流路として機能する。即ち、誘導壁17により分割された各空間による流路は、筐体1の周方向に対する断面が、後述の第1開口部14から検知部3に向かって狭くなる。
これにより、後述の第1開口部14から流入される流体は、その流れる方向が検知部3に向かう方向に規制されるため、筐体1内部に設置される検知部3に供給される流体の量を、測定に十分な量とすることができる。そのため、筐体1内部に検知部3を設置したとしても、誘導壁17を設けることで、検知部3による流体に対する測定感度や応答速度の低下を抑制することができ、感知器としての性能を維持することができる。
尚、筐体1内部に流体を強制的に検知部3まで誘導する流路を構成するために、図1において、4つの誘導壁17によって設けられるものとしたが、検知部3まで誘導する機能を果たす流路を構成するものであれば、誘導壁17の個数は1つ以上であればよい。よって、例えば、測定対象を熱気流とする火災警報器として感知器を壁面に取り付けたとき、この熱気流は壁面に沿って床面から天井面に向かう1方向の流れとなる。このとき、この1方向となる熱気流が更に筐体1内部で検知部3の方向に集中して流れるように、1つ又は2つの誘導壁17が、検知部3の床面側だけに設けられるようにしてもよい。
このように構成されるとき、誘導壁17は、図1に示すように、その両端部が、検知部3の外周面及び側壁12の内周面それぞれの近傍に位置し、それぞれと接続されることなく、間隙を設けたものとしてもよい。又、図2(a)に示すように、誘導壁17の検知部3側の端部のみが、検知部3の外周面と接続される構成としてもよいし、図2(b)に示すように、誘導壁17の側壁12側の端部のみが、側壁12の内周面と接続される構成としてもよい。
この図2(a)又は図2(b)のように、誘導壁17の端部を検知部3の外周面又は側壁12の内周面に接続することで、誘導壁17によって形成される流路により誘導される流体が流路外部に漏れることを防ぐことができる。更に、この誘導壁17による流体の誘導をより確実なものとするために、図2(c)に示すように、誘導壁17の両端部が、検知部3の外周面及び側壁12の内周面のそれぞれに接続される構成としてもよい。
1.煙感知式の火災警報器への適用例
この図1に示す感知器を、検知部3として光学式の煙検知部を設けた煙感知式の火災警報器とした場合の詳細な構成を、図3及び図4を参照して、以下に説明する。尚、図3は、本例における火災警報器の構成を示す概略断面図であり、図4は、図3に示す火災警報器に搭載される煙検知部の構成を示す概略平面図である。
図3に示す火災警報器は、筐体1が、取付面に設置される基台11と、基台11の外周縁より取付面から離れる方向に突出させたリング状の側壁12と、側壁12における基台11に覆われる端部と逆側の端部を覆う略円盤状の天板13とを有する。そして、煙検知部30が搭載されるとともに発音体4と電気的に接続された回路基板2の外周端が側壁12の内周面に接続されることで、筐体1内部に第1空間10a及び第2空間10bが形成される。この回路基板2には、煙検知部30及び発音体4以外に、制御部などを含む回路素子部品が搭載され、火災警報器としての機能を制御するための回路が構成される。
又、第1空間10aに、煙検知部30が設置される一方で、第2空間10bに、発音体4が設置されることにより、煙検知部30と発音体4とが筐体1内部の分割された別の空間に設置される。このとき、第1空間10aは、煙検知部30で測定対象とする流体である煙流が流入する検知用の空間として構成される。そして、第1空間10a内に流入する煙流は、この第1空間10a内で煙検知部30に誘導される必要があるため、図1の構成で説明した誘導壁17が第1空間10a内に設置される。
更に、第1空間10aにおいて、煙検知部30が、取付面に対して平行な面方向における、基台11の中心位置に設置されるため、図2に示すように、第2空間10bにおいて、発音体4は、煙検知部30よりも側壁12よりに設置することが望ましい。即ち、取付面に平行な面方向に対して、煙検知部30と発音体4とが重ならない位置とすることで、発音体4の発報動作時における振動が与える煙検知部30に与える影響を抑制することができる。
側壁12は、第1空間10aを覆う領域に第1開口部14を有し、第2空間10bを覆う領域に第2開口部15を有する。更に、天板13には、発音体4の設置位置に相対する領域に、複数の音孔16が設けられる。即ち、第1開口部14によって、第1空間10aが筐体1の外部の外環境に開放される一方で、第2開口部15及び音孔16によって、第2空間10bが筐体1の外部の外環境に開放される。
これにより、第1開口部14を通じて、外環境からの流体を筐体1内部に導入して、煙検知部30に供給することができる。このとき、第1開口部14と煙検知部30との間には、誘導壁17が設けられるため、上述したように、第1空間10a内は、煙検知部30と側壁12との間の領域に、複数の流路が形成される。よって、第1開口部14より第1空間10内に流入した煙流は、誘導壁17によって構成される流路を流れて煙検知部30まで誘導される。
一方、第2開口部15及び音孔16により、発音体4を備える後気室における空気抵抗を低減することができる。即ち、音孔16により、発音体4の前面(天板13との対向面)に対する抵抗が低くする一方で、第2開口部15により、第2空間10b内の発音体4の前面以外の空気を振動させたとき第2空間10b内の空気抵抗を低減することができる。そのため、発音体4により発報音の音量の低下を防ぐことができる。
この第1及び第2開口部14,15はそれぞれ、側壁12のほぼ全周に設けられるものとしてもよいし、側壁12の周方向の一部に設けられるものとしてもよい。尚、側壁12の周方向の一部に設けられる場合、第1開口部14は、側壁12が外環境を流れる流体の流れを妨げるような位置に設けるようにすることで、外環境を流れる流体の流れを妨げることなく、筐体1内部に流体を供給できる。
又、第2開口部15については、第2空間10bが十分の体積を備える場合には、側壁12に形成する必要がなく、側壁12は第1開口部14のみが形成された構成としてもよい。更に、図5のように構成する熱感知式の火災警報器の例で説明するが、側壁12を第1開口部14のみが形成された構成とし、回路基板2と側壁12との間に隙間を設けて、この隙間と第1開口部14とによって、第2空間10bを外環境に開放するものとしてもよい。
又、この図3のように構成される煙感知式の火災警報器に内蔵される煙検知部30の構成を、図4を参照して以下に簡単に説明する。図4に示すように、煙検知部30は、光学基台となる底板301の外周側に周設された複数のラビリンス壁302によって光学室が構成される。そして、このラビリンス壁302で構成された光学室内には、回路基板2に電気的に接続された発光ダイオードL及びフォトダイオードPDを収容する収容部303,304と、発光ダイオードLからの放射光が直接フォトダイオードPDに入射されることを防ぐ遮光壁305とが、設けられる。
ラビリンス壁302は、図4の平面図のように、「く」の字形状に屈曲させた底板301と平行な断面を底板301に対して垂直な方向に連続に延ばした構造とされる。これにより、ラビリンス壁302の基端部外側からの外光の入光を妨げることができ、複数のラビリンス壁302の内側の先端部が断続的に配置されて形成される空間を、煙検知用の光学室として構成することができる。このラビリンス壁302は、周方向に隣接したもの同士に間隙が設けられて設置されるため、外部から流入する煙は、ラビリンス壁302間にできる間隙による通路を通過して、ラビリンス壁302の先端部側の光学室内に誘導される。
このラビリンス壁302と略同心円状となる位置に配置される収容部303,304はそれぞれ、内側の光学室側に向かって開口されて、その底板302と平行な断面が「コ」の字形状に構成される。即ち、その発光部を内側の光学室側に向けて、発光ダイオードLが配置されるとともに、この発光ダイオードLの発光部よりも内側に対応する位置に、収容部303の開口部が設けられることで、発光ダイオードLからの光が光学室内に出射される。同様に、その受光部を内側の光学室側に向けて、フォトダイオードPDが配置されるとともに、このフォトダイオードPDの受光部よりも内側に対応する位置に、収容部304の開口部が設けられることで、光学室内の散乱光による入射光がフォトダイオードPDに入射される。
又、発光ダイオードLとフォトダイオードPDとが、それぞれの光軸が底板302と平行な面で平行とならずに交差する位置に設置される。そして、発光ダイオードL及びフォトダイオードPDそれぞれは、その発光部及び受光部以外が収容部303,304により覆われるとともに、発光ダイオードLとフォトダイオードPDとを結ぶ直線上に、内側の光学室側に向かって分岐させた「Y」の字形状となる遮光壁305が設置される。
このように煙検知部30が構成されることで、上述のように、誘導壁17により形成された流路を流れる煙流が、煙検知部30の外周に到達すると、ラビリンス壁302の間隙に流れ込む。よって、ラビリンス壁302の間に形成される流路を通じて、煙検知部30の内部に煙流が誘導されることで、ラビリンス壁13の内側端部によって囲まれた光学室内に煙流が充満する。尚、この煙検知部30は、ラビリンス壁302に囲まれた光学室内に虫や埃が入り込むことを防ぐために、環状の多孔板で構成される防虫網によりその外周面が覆われるものとしてもよい。
この光学室内に充満する煙流に対して、発光ダイオードLからの光が照射されることによって、測定対象となる煙流による散乱光が発生する。このようにして発生した散乱光をフォトダイオードPDが受光すると、フォトダイオードPDにおいて、散乱光に対する受光量に応じた電気信号を生成する。これにより、煙検知部30内に流入した煙量に応じた電気信号が出力され、外環境で発生した煙量の測定がなされる。この電気信号が、回路基板2に搭載される不図示の制御部に与えられて、煙量が所定値より多くなったものと判定されると、火災が発生したものとして、発音体4による警報の発報が開始される。
2.熱感知式の火災警報器への適用例
又、図1に示す感知器を、検知部3としてサーミスタや熱電対などの感熱素子を設けた熱感知式の火災警報器とした場合の詳細な構成を、図5を参照して、以下に説明する。尚、図5は、本例における火災警報器の構成を示す概略断面図である。又、図5の構成において、図3の構成と同一の部分については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図5に示す火災警報器は、図3の構成の煙感知式の火災警報器と同様、基台11と側壁12と天板13とによって構成される筐体1内の空間が、取付面と平行になるように配置された回路基板2によって分割される。即ち、基台11側には、検知部3として働く熱感知素子であるサーミスタ31が設置される第1空間10aが形成されるとともに、天板13側には、発音体4が設置される第2空間10bが形成される。又、第1空間10aには、誘導壁17が、サーミスタ31の外周側に周設されることにより、第1開口部14からサーミスタ31周辺までの流路が形成される。
そして、図3の構成例と異なり、側壁12には、第1開口部14のみが形成され、側壁12の内周面と回路基板2の外周縁との間に隙間が設けられることによって、この側壁12と回路基板2とによる隙間と、第1開口部14とによって、第2空間10bが外環境に開放される。これにより、発音体4の発報動作時における第2空間10b内の空気抵抗を低減することができる。
尚、サーミスタ31の測定に対する影響が少ない場合は、回路基板2と側壁12との間における隙間の代わりに回路基板2の別の位置に開口部を設けて、第2空間10bを開放してもよい。又、図3の構成例と同様、この回路基板2と側壁12との間における隙間について、側壁12のほぼ全周に設けられるものとしてもよいし、側壁12の周方向の一部に設けられるものとしてもよい。
更に、図3の構成例のように、回路基板2と側壁12とを接続して、その間に隙間がないものとしてもよい。このとき、第2空間10bが十分の体積を備える場合には、側壁12には第1開口部14のみが設けられた構成とできる。又、図3の構成例のように、側壁12における第2空間10bに対応した領域に、第2開口部15を設けることで、第2空間10bを外環境に対して開放し、その空気抵抗が更に低減できるようにしてもよい。
天板13は、取付面に対して平行な面方向における中心位置に、取付面に対して垂直な方向から流れる熱気流を流入するための開口部18が設けられる。この開口部18は、サーミスタ31の先端に向かって取付面に対して垂直な方向に延びた流路を形成し、この流路を形成する側壁が、回路基板2の中心位置に形成された穴を貫通する。このような構造とすることで、第2空間10bが、開口部18による第1空間10a及び外環境への開放が防がれる。
又、天板13は、この開口部18の外周側の発音体4に対向する位置に音孔16が設けられる。即ち、発音体4は、第2空間10bにおいて、開口部18の流路を形成する側壁の外周側に設置される。これにより、発音体4をサーミスタ31から離れた位置に設置することができるため、第1空間10aに設けられるサーミスタ31に対して、発報動作時における発音体4の振動による影響を抑制することができる。
サーミスタ31は、回路基板2における開口部18の外側の領域で端子が半田付けなどにより電気的に接続されるとともに、回路基板2から取付面に向かって延びた後に開口部18に向かって屈曲させたL字形状となる。このように構成するとき、取付面に対して垂直な方向における第1開口部14の中心位置に、サーミスタ31の屈曲部分が設けられるとともに、開口部18の中心位置にサーミスタ31の先端を位置させる。
これにより、温度測定を行うセンサ部分となるサーミスタ31の先端が、第1開口部14及び開口部18のそれぞれから流入される熱気流に対して、直接曝される位置に配置される。尚、開口部18の流路を構成する側壁は、取付面に対して垂直な方向に対して、回路基板2より突出させた端部が、第1開口部14の天板13側における開口位置の高さよりも天板13側に位置するように構成される。即ち、第2開口部15の流路を構成する側壁は、第1開口部14よりサーミスタ31へ流れる熱気流の障害とならない位置まで形成される。
この図5のように構成される火災警報器は、熱気流が上昇気流となるため、その取付面を天井面としたとき、床面側から天井面に向かって流れる熱気流が、開口部18から火災警報器の筐体1内に流入する。そして、開口部18によって構成される流路を通じて、第1空間10a内に供給されて、開口部18の中心位置に配置されるサーミスタ31の先端部分が、開口部18を通じて流れる熱気流に曝される。これにより、サーミスタ31の電気信号に基づいて、制御回路が熱気流の温度を検出し、その温度が所定値より高くなったときに火災の発生を検知して、発音体4による発報動作を開始させる。
又、火災警報器の取付面を壁面としたとき、熱気流が、床面側から天井面に向かって取付面である壁面に沿って流れる。そのため、この熱気流は、第1開口部14から火災警報器の筐体1内における第1空間10aに、直接流入する。そして、第1空間10a内に流入した熱気流は、誘導壁17により構成される流路により、サーミスタ31の先端まで誘導されることにより、サーミスタ31による熱気流の温度測定が成される。
尚、上述のように、煙感知式の火災警報器及び熱感知式の火災警報器それぞれを構成した感知器について例示したが、これらの火災警報器に限るものではなく、外環境に充満したガス量を測定するためのガス警報器に対しても適用することができる。又、上述の各例の構成のように、検知部となる煙感知器30又はサーミスタ31が設けられる第1空間10aが取付面側に設けられるのではなく、発音体4が設けられる第2空間10bが取付面側に設けられるものとしてもよい。
このとき、発音体4からの発報音の音量が弱まらないように、基台11が取付面から離れた位置に配置されるように、基台11の取付面側の端面に取付面と接続される支持部材が設けられる。この支持部材は、音孔16よりも外周側に、間隔をあけて設けられるようにすることで、取付面と基台11との間で反射された発報音が外環境に出力することができるような構成とされる。
<第2の実施形態>
本発明における第2の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図6は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図6において、図1に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態の感知器は、検知部3を側壁12側に設置することで、取付面に平行な面方向において、筐体1の中心に対して偏心した位置に検知部3を配置した構成とする。よって、筐体1の中心側に設けられる誘導壁17aの側壁12まで延びた長さが、筐体1の中心よりも反対側に設けられる誘導壁17bよりも長くなるように形成される。その他の構成については、第1の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
よって、以下では、本実施形態で特徴となる誘導壁17a,17bにおける、その構成と作用について説明する。尚、取付面に平行な面方向における、筐体1及び検知部3それぞれの中心を結ぶ直線を、以下における説明を簡単にするために、図6を含む各図において一点鎖線Lで示すとともに、以下では「中心線L」と呼ぶ。又、取付面に平行な面方向における、筐体1及び検知部3それぞれの中心を、「O1」「O2」とする。
図6に示すように、検知部3が、筐体1の中心O1に対して偏心した位置に設置されるため、この検知部3が設けられる筐体1内部の空間には、検知部3よりも筐体1の中心O1側に広い領域が形成される。よって、検知部3よりも筐体1の中心O1側に設けられる側壁12の第1開口部14(図3及び図5)の開口面積が広くなり、筐体1内部への流体の流入量が多くなる。
そして、筐体1に流入する流体が筐体1の中心O1から検知部3の中心O2に向かって流れる場合、中心線Lより離れた位置となる第1開口部14から流入する流体は、検知部3を逸れて流れようとする。このとき、検知部3よりも筐体1の中心O1側に設けられる誘導壁17aを、その長手方向による中心線Lとの交差角度θが90°より小さい鋭角となるように設置することで、検知部3を逸れて流れようとする流体を誘導壁17aに衝突させることができる。
よって、誘導壁17aに衝突した流体が、この誘導壁17aの設置された方向に沿って流れるため、検知部3よりも筐体1の中心O1側に設けられる誘導壁17aで形成される流路により、筐体1の中心O1から検知部3の中心O2に向かって流れる流体を検知部3まで誘導することができる。このような誘導壁17aが設置されることで、検知部3よりも筐体1の中心O1側に設けられる側壁12の第1開口部14による、広い開口領域より流入する流体の多くを、誘導壁17aによって形成される流路により検知部3まで積極的に誘導することができる。
一方、筐体1に流入する流体が検知部3の中心O2から筐体1の中心O1に向かって流れる場合、検知部3が側壁12の近傍に設置されるため、側壁12の第1開口部14から流入される流体が検知部3に流入する。尚、検知部3に対して筐体1の中心O1と逆側の領域に設けられる誘導壁17bは、誘導壁17aと同様、図6に示すように、中心線Lを中心に開いた方向に設置される複数の誘導壁17bとしてもよいし、その長手方向が中心線Lに沿って形成される誘導壁17bを設置するものとしてもよい。
又、流体が中心線Lに対して垂直な方向に流れる場合、側壁12の第1開口部14より流入する流体のうち、誘導壁17aに衝突した後に誘導壁17aに沿って流れようとする流体が、検知部3を逸れて、側壁12の第1開口部14より筐体1外部に流出しようとする。それに対して、検知部3に対して筐体1の中心O1と逆側の領域に、誘導壁17bを設けることで、誘導壁17aに沿って流れる流体による側壁12の第1開口部14へ向かう流れを遮断できる。
このとき、図6に示すように、誘導壁17bが、誘導壁17aと同様、中心線Lを中心に開いた方向に設置されることにより、誘導壁17bに衝突した流体の流れを、誘導壁17bに沿った流れとすることができる。これにより、中心線Lに対して垂直な方向に流れる流体についても、誘導壁17aと誘導壁17bとによって形成される流路によって、検知部3に積極的に誘導することができる。
尚、中心線Lに対して平行な方向に流れる流体、及び中心線Lに対して垂直な方向に流れる流体を例示して説明したが、中心線Lに対して垂直以外の角度を備えた方向に流れる流体についても、誘導壁17a及び誘導壁17bのそれぞれが有効に働き、検知部3に積極的に流体を誘導することができる。特に、誘導壁17bが図6のように設けられることで、誘導壁17aの設置方向と平行な方向に流入された流体に対しても、2つの誘導壁17aによる流路だけでなく、誘導壁17aと誘導壁17bとによって構成される流路によっても、流体を検知部3に積極的に誘導できる。
このように形成される本実施形態の感知器についても、第1の実施形態と同様、検知部3を煙検知部又は熱感知素子とした、煙感知式又は熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器として構成することができる。尚、図3又は図5のような火災警報器とした場合、第1空間10a(図3及び図5参照)において、煙検知部30(図3参照)又はサーミスタ31(図5参照)が、誘導壁17a,17bと共に設置される。そして、本実施形態では、第1の実施形態と異なり、煙検知部30(図3参照)又はサーミスタ31(図5参照)が、取付面に平行な面方向における基台11(図3及び図5参照)の中心に対して偏心した位置に設置される。
又、第2空間10b(図3及び図5参照)に設置される発音体4(図3及び図5参照)は、煙検知部30(図3参照)又はサーミスタ31(図5参照)と、取付面に平行な面方向において重ならない位置に設置される。このとき、この発音体4(図3及び図5参照)が、取付面に平行な面方向における天板13(図3及び図5参照)の中心位置に設置されるものとしてもよいし、天板13(図3及び図5参照)の中心位置に対して偏心した位置に設置されるものとしてもよい。
<第3の実施形態>
本発明における第3の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図7は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図7において、図6に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態の感知器は、第2の実施形態(図6参照)の感知器に対して、更に、その長手方向が中心線Lに沿った形状となる誘導壁17cを、誘導壁17aの間に設置した構造となる。即ち、その長手方向の延長線による誘導壁17aの長手方向の延長線との交差角が角度θとなる誘導壁17cが、検知部3よりも筐体1の中心O1側の領域に設けられる。その他の構成については、第2の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1及び第2の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
第2の実施形態で説明したように、誘導壁17aが設けられることで、検知部3よりも筐体1の中心O1側の領域に流入する流体を検知部3に誘導することができるが、誘導壁17cが設けられることで、検知部3への流体を誘導する効果が高まる。即ち、誘導壁17cによって、検知部3よりも筐体1の中心O1側の領域において、誘導壁17aによる影響のない領域に対しても、検知部3へ流体を誘導する効果を与えることができる。この誘導壁17cによる、筐体1内部に流入された流体に機能する作用について、誘導壁17aとの関係を含めて以下に説明する。
流体が中心線Lに対して角度を備えた方向に流れているとき、検知部3よりも筐体1の中心O1側の領域が広い領域となるため、この領域に構成される側壁12の第1開口部14(図3及び図5参照)より流入した場合、誘導壁17aを逸れて流れる流体が存在する。代表的な例として、流体が中心線Lに対して垂直な方向に流れる場合、誘導壁17aの側壁12との接続部分を結ぶ直線L1から検知部3と逆側となる領域では、側壁12の第1開口部14より流入したとしても、誘導壁17aに衝突しない。
そのため、第2の実施形態における構成(図6参照)としたとき、直線L1から検知部3と逆側となる領域に中心線Lに対して垂直な方向から流入した流体は、誘導壁17aにより検知部3への誘導が成されることがない。よって、このような流体は、再び、側壁12の第1開口部14より外環境に流出される。
それに対して、本実施形態では、誘導壁17cが設けられるため、このように誘導壁17aを逸れて流れようとする流体が誘導壁17cに衝突する。そのため、この誘導壁17cが、誘導壁17aを逸れて側壁12の第1開口部14より外環境に流出しようとする流体の流れを遮断するように機能し、結果、この流れが遮断された流体が、誘導壁17cに沿って検知部3に向かって流れることとなる。
尚、検知部3に対して筐体1の中心O1と逆側の領域については、検知部3に対して筐体1の中心O1側の領域に比べて狭い領域となるため、第2の実施形態における誘導壁17bのみで形成するものでもよいし、本実施形態の誘導壁17a,17cのような関係となる誘導壁17bを設けてもよい。
又、本実施形態についても、第1の実施形態と同様、検知部3を煙検知部又は熱感知素子とした、煙感知式又は熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器として構成することができる。よって、図3又は図5に示す火災警報器に適用される場合は、誘導壁17a〜17cが第1空間10a(図3及び図5参照)内に設置される。
<第4の実施形態>
本発明における第4の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図8は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図8において、図6に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態の感知器は、第2の実施形態(図6参照)の感知器に対して、更に、筐体1内部で流体の流れを遮断する障害物となる構造物5が、誘導壁17aの間に設置された構造となる。その他の構成については、第2の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1及び第2の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
電池や交流電源回路などによる構造物5は、筐体1の高さ方向に対する大きさも大きくなるため、検知部3の設置される空間(図3及び図5における第1空間10a)に設置される。このとき、この障害物となる構造物5による影響を低減させるために、取付面に平行な面方向に対して、構造物5の中心が中心線L上に位置するように、筐体1内部に構造物5を設置する。
本実施形態では、検知部3よりも筐体1の中心O1側の領域において、検知部3及び構造物5のそれぞれの中心O2,O3を結ぶ直線(図8中の例では中心線Lと一致しているが、一致するものに限らない。)と誘導壁17aの長手方向の延長線との交差角が角度θとなるように、構造物5及び誘導壁17aの設置位置が決定される。又、その長手方向が中心線Lに対して垂直となるように、この構造物5が設置される。これにより、誘導壁17aの側壁12との接続部分を結ぶ直線L1から検知部3と逆側となる領域側に、構造物5を設置することができる。換言すると、誘導壁17aによる効果が有効に機能していない領域に、構造物5が設置されることとなる。
即ち、第3の実施形態で説明したように、流体が中心線Lに対して角度を備えた方向に流れているとき、検知部3よりも筐体1の中心側の領域が広い領域となるため、この領域に構成される側壁12の第1開口部14(図3及び図5参照)より流入した場合、誘導壁17aを逸れて流れる流体が存在する。そのため、直線L1から検知部3と逆側となる領域は、第2の実施形態のような構成(図6参照)において、検知部3への流体の流入効率に与える影響が低い領域となる。よって、このような領域に構造物5を配置しても、検知部3へ流れる流体を遮断する量を比較的少量に抑えることができる。
又、構造物5に対して検知部3の逆側となる位置の側壁12に設けられた第1開口部14(図3及び図5参照)から流入する流体は、検知部3に向かう流体の流れに対して、構造物5が障害物として働く。しかしながら、構造物5が検知部3への方向の流れに対して障害物となる場合は、この構造物5に衝突した流体は、構造物5を迂回して流れようとするため、構造物5の外周に沿った流体の流れが形成される。
よって、この構造物5の外周に沿って流れる流体は、構造物5を迂回すると、誘導壁17aに向かって流れる。その結果、検知部3へ流れる方向で構造物5が障害物となる流体は、構造物5を迂回した後に、誘導壁17aに衝突することで、誘導壁17aに沿って検知部3に誘導されるように流れることとなる。このように、本実施形態では、構造物5が設置されたとしても、誘導壁17aによって検知部3まで流体を誘導することができる。
尚、本実施形態についても、第1の実施形態と同様、検知部3を煙検知部又は熱感知素子とした、煙感知式又は熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器として構成することができる。以下では、本実施形態の感知器を煙感知式又は熱感知式の火災警報器に適用した場合の例を、図面を参照して簡単に説明する。
1.煙感知式の火災警報器への適用例
図9は、本適用例における火災警報器の構成を示す図であり、(a)が、火災警報器の内部の構成を表す天板側から見た概略平面図であり、(b)が、(a)の概略平面図におけるX−X位置での矢印方向から見た概略断面図である。尚、図9のように構成される火災警報器において、第1の実施形態における図3に示す火災警報器と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図9(a)に示すように、上述の構成部品5に相当する電池50と、煙検知部30と、発音体4とを、互いに干渉しない位置に設置する。即ち、第2空間10bにおいて、取付面に平行な面方向で、煙検知部30及び電池50と重ならない位置であって、煙検知部30への影響が少なくなる離れた位置に、発音体4が設置される。そして、第1空間10aには、電池50と、煙検知部30と、誘導壁17a,17bとが、図8のような配置関係となるように、設置される。
このように構成される火災警報器は、回路基板2には、電池50が挿入される部分に穴が設けられ、この穴に電池50が嵌合されることで、図9(b)に示すように、筐体1の高さ方向に対して分離された第1空間10aと第2空間10bとが形成される。即ち、筐体1の高さとほぼ同等の高さとなる電池50が設置されたときに、電池50の周辺が開口されないような構成とされる。
この図9(b)に示すように、第1空間10a及び第2空間10bのいずれにも、電池50による占有領域が存在するが、図9(a)に示すように、発音体4及び煙検知部30それぞれの設置位置を決定することで、電池50の占有領域と重ならない位置に、発音体4及び煙検知部30それぞれを設置できる。これにより、筐体1の高さ方向の大きさについては、煙検知部30と発音体4の高さとによって決定することができるため、火災警報器の薄型化及び小型化を図ることができる。
又、図9(b)の概略断面図に示されるように、中心線Lから図の矢印の方向に筐体1の内部を見たとき、誘導壁17aは、電池50と煙検知部30との間に設置されることとなる。これにより、中心線Lに対して角度を有する方向から流れる煙流は、煙検知部30より中心O1側の領域においては、誘導壁17a又は電池50に衝突する。このとき、誘導壁17aに衝突した煙流は、この誘導壁17aに沿って流れることで、煙検知部30に誘導される。一方、電池50に衝突した煙流は、電池50を迂回するため、煙検知部30と電池50との間に流れ込み、その結果、煙検知部30に流入する。
又、図9(a)の概略平面図に示されるように、その長手方向の延長線による中心線Lとの交差角が鋭角となる誘導壁17aの間に、電池50が配置される。これにより、上述のように、電池50側から煙検知部30を流れる煙流が、誘導壁17aにより煙検知部30に誘導される。
2.熱感知式の火災警報器への適用例
図10は、本適用例における火災警報器の構成を示す概略断面図である。尚、図10のように構成される火災警報器において、第1の実施形態における図5に示す火災警報器と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。又、本例においても、上述の煙感知式の火災警報器への適用例と同様、構造物5として、電池50を設置した構成とする。
図10に示す火災警報器は、図9の構成の煙感知式の火災警報器と同様、回路基板2によって分離される第1空間10a及び第2空間10bそれぞれに、電池50による占有領域が存在する。そのため、第1空間10aにおいては、サーミスタ31と電池50とが重ならないように、第2空間10bにおいては、発音体4と開口部18と電池50とが重ならないように、サーミスタ31、発音体4、及び電池50の設置位置が決定される。
このように、取付面に平行な面方向に対して重ならない位置となるように、サーミスタ31、発音体4、及び電池50の設置位置を決定することによって、本適用例における火災警報器についても、火災警報器の薄型化及び小型化を図ることができる。又、第1空間10aにおいて、図8のような設置位置関係となるように、誘導壁17a、サーミスタ31、及び電池50を設置することで、サーミスタ31での感度を良好なものとすることができる。
<第5の実施形態>
本発明における第5の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図11は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図11において、図8に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態の感知器は、第4の実施形態(図8参照)の感知器に対して、筐体1内部を流れる流体の一部に対して障害物となる構造物5と検知部3との間に、更に、誘導壁17cを設置した構成となる。この誘導壁17cは、構造物5と検知部3との間を流れる流体の流れを遮断することで、この流れを遮断された流体を検知部3へ誘導する誘導部材として作用する。その他の構成については、第4の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1〜第4の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
第4の実施形態で説明したように、その方向が中心線Lと平行又は角度を有するもののいずれにおいても、検知部3への流れに対して構造物5が障害物となる流体は、構造物5に衝突すると、構造物5の外周に沿って流れる。このとき、構造物5と検知部3との間の領域に流体が流れ込むと、構造物5の外周に沿った流れを維持することにより、構造物5の長手方向に流れる場合がある。
その結果、第4の実施形態における構成(図8参照)のように、誘導壁17cが非設置である場合は、この構造物5と検知部3との間の領域に流れ込んだ流体が、側壁12に向かって流れ、側壁12の第1開口部14(図9及び図10参照)より筐体1の外部に流出されてしまう。それに対して、本実施形態では、誘導壁17cが設置されることにより、構造物5と検知部3との間の領域に流れ込んだ流体が、構造物5の長手方向に沿って流れる場合に、誘導壁17cに衝突させて、側壁12への流れを遮断することができる。
即ち、構造物5と検知部3との間の領域に流れ込んだ流体が、構造物5の長手方向に沿って流れると、誘導壁17cに衝突することにより、誘導壁17cに沿って流れる。このとき、誘導壁17cの周辺は、構造物5側よりも検知部3に広がった領域となるため、誘導壁17cに衝突した流体は、この誘導壁17cに沿って検知部3に向かって流れる。これにより、構造物5と検知部3との間の領域に流れ込んだ流体を、誘導壁17cによって検知部3に誘導することができるため、検知部3への流体の流入効果を高めることができる。
尚、本実施形態において、この誘導壁17cの代わりに、構造物5と異なる別の構造物を、構造物5と検知部3との間に設置することによって、誘導壁17cによる効果と同等の効果を取得するものとしてもよい。このとき、この誘導壁17cの代わりに設置される構造物は、中心線Lと垂直な方向に対する幅が、構造物5の幅よりも短いものとすることで、誘導壁17cと同様の効果を得ることができる。
この誘導壁17cの代わりに設置される構造物として、例えば、本実施形態の感知器を煙感知式の火災警報器に適用した場合に、発光ダイオードL又はフォトダイオードPDを収納する収納部303,304などが利用できる。即ち、煙検知部30では、この収納部303,304が設けられる位置からの煙流の流入がないため、この収納部303,304を誘導壁17cとして代用することができる。
よって、図12に示すように、構造物5となる電池50と煙検知部30との間に、その中心位置が中心線L上となるように、収納部303,304のいずれかに相当する収納部51を設置する。このように構成することで、収納部51が、電池50と煙検知部30との間の領域に流入した煙流に対して、図11における誘導壁17cと同様の効果を与えるため、これらの煙流を煙検知部30に誘導することができる。
尚、本実施形態の感知器についても、このような煙感知式の火災警報器に限らず、第4の実施形態と同様、検知部3を熱感知素子とした熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器として構成することができる。
<第6の実施形態>
本発明における第6の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図13は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図13において、図8に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態の感知器は、第4の実施形態(図8参照)の感知器に対して、筐体1内部を流れる流体の一部に対して障害物となる構造物5について、その長手方向が側壁12から検知部3に向かう方向となるように設置した構成となる。即ち、この構造物5自体を、その長手方向に流体を誘導する誘導部材として作用させる。その他の構成については、第4の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1〜第4の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
第5の実施形態でも説明したように、構造物5の長手方向を中心線Lに対して垂直となるように設置した場合、構造物5と検知部3との間の領域に流体が流れ込んだとき、構造物5の長手方向に流れて、側壁12の第1開口部14(図9及び図10参照)より筐体1の外部に流出されてしまう。又、この構造物5の長手方向に対して垂直に流れる流体に対しては、構造物5の長手方向の幅による領域が、その流れを遮断する領域となるため、流体を検知部3まで誘導する効率を低下させる原因となる。
それに対して、図13に示す構成では、構造物5の長手方向を中心線Lに沿った方向とすることで、第3の実施形態の構成(図7参照)における誘導壁17cと同様の作用を行う。即ち、中心線Lに沿った流れに対しては、構造物5の幅を狭くすることができるため、その流れを遮る領域を狭めることができ、筐体1内部への流体の流入効率を高めることができる。又、構造物5の長手方向を、検知部3から側壁12に向かう方向とすることにより、この構造物5の長手方向となる外周面に衝突した流体は、この外周面に沿って検知部3に流れる。
尚、本実施形態においては、誘導壁17a,17bと共に、誘導壁17cと同様の作用を行うように配置させた構造物5を備えるものとしたが、この構造物5に加えて他の構造物によって、誘導壁17a,17bを代用させることも可能である。又、第5の実施形態の構成のように、複数の構造物を側壁12と検知部3との間に並べて配置することで、上述の誘導壁17a〜17cを代用させるものとしてもよい。
又、本実施形態についても、第4の実施形態と同様、検知部3を煙検知部又は熱感知素子とした、煙感知式又は熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器として構成することができる。即ち、図9又は図10に示す火災警報器に適用される場合は、誘導壁17a〜17cの代わりとなる構造物が第1空間10a(図9及び図10参照)内に設置される。
<第7の実施形態>
本発明における第7の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図14は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図14において、図6に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図14に示すように、本実施形態の感知器は、第2の実施形態(図6参照)の感知器に対して、誘導壁17aの検知部3側の端部に溝部材19を設けた構成となる。この溝部材19は、その凹溝が取付面に対して垂直な方向に連続して形成される構造を備える。その他の構成については、第1の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
このように構成される感知器は、誘導壁17aに沿って流れる流体とともに流入する埃などを、溝部材19の凹溝でせき止めることができる。よって、検知部3内部に、埃が流入することを防ぐことができるため、例えば、検知部3を光学式の煙検知部30(図3参照)によって構成したとき、埃による迷光を防ぐことができる。又、この感知器を、その取付面を壁面とするとともに、溝部材19の凹溝の底が床面側に配置されるように設置した場合は、溝部材19の凹溝に埃をせき止めやすくなる。
尚、本実施形態において、第2の実施形態の感知器における誘導壁17aに溝部材19が設けられるものとしたが、第1〜第6の実施形態の感知器に対しても組み合わせて構成することができる。即ち、第1〜第6の実施形態の感知器に設けられる誘導壁17,17a〜17cに対して、その検知部3側の端部に溝部材19を設けることで、上述のものと同等の効果を得ることができる。又、本実施形態についても、第2の実施形態と同様、検知部3を煙検知部又は熱感知素子とした、煙感知式又は熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器として構成することができる。
<第8の実施形態>
本発明における第8の実施形態の感知器について、図面を参照して説明する。図15は、本実施形態の本実施形態の感知器の構成を示す、筐体内部における検知部が設けられた空間の概略平面図である。尚、図15において、図1に示す構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態の感知器は、第1の実施形態(図1参照)の感知器における誘導壁17を、取付面に平行な面方向において屈曲した断面を備えた形状とする。この誘導壁17の形状以外の構成ついては、第1の実施形態と同様となるため、その詳細な説明については、第1の実施形態を参照とするものとし、本実施形態では省略する。
図15に示す感知器においては、検知部3を中心として外周側となる側壁12に向かってスパイラル形状を構成するように、誘導壁17それぞれの形状が設定されたものを例示する。このように誘導壁17をスパイラル状に配置することで、側壁12の接線方向に流れようとする流体についても、検知部3まで誘導することができる。
又、この図15に示す感知器における誘導壁17の構成は、図4に示すようなラビリンス壁302を備えた煙検知部30を備えた火災警報器に対して特に有効である。即ち、図16に示すように、誘導壁17を、ラビリンス壁302の屈曲部から基端部に対する延長方向となる形状とすることで、誘導壁17に沿って流れる流体が、ラビリンス壁302の間隙に流入しやすくなる。そして、この誘導壁17を、ラビリンス壁302の基端部から側壁12に向かうように形成することで、ラビリンス壁302の間隙による流路に煙流を積極的に誘導できる。
尚、本実施形態について、第1の実施形態の誘導壁17に対して適用したものを例に挙げて説明したが、第2〜第7の実施形態の誘導壁17,17a〜17cについても適用することは可能である。又、本実施形態について、上述のように煙感知式の火災警報器に適用した構成を説明したが、第1の実施形態と同様、検知部3を熱感知素子とした熱感知器の火災警報器や、ガス量を測定するためのガス警報器としても構成することができる。