JP5120802B2 - 温間圧延装置及び温間圧延方法並びに温間・冷間連続加工装置 - Google Patents

温間圧延装置及び温間圧延方法並びに温間・冷間連続加工装置 Download PDF

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本発明は、超微細粒組織を有することにより高強度且つ高延性を備えた金属線を製造するための温間圧延装置及び温間圧延方法、並びに当該温間圧延装置とこの装置により調製された金属線を素線とする冷間塑性加工による縮径加工装置とを組み合わせた温間・冷間連続加工装置に関するものである。特に、本発明は、隣接設置されたカリバーロールを備えた圧延機で金属線材を連続的に温間圧延して、超微細粒組織を有する金属細線を製造する工程において、圧延中の金属線材に倒れ(被圧延材が正規の圧下方向又は所望する圧下方向に対して材料の断面が回転して、線が捻転する現象(捻転))を発生させず、更に孔型への材料の適切な充満度を得ることにより、表面品質が良好で、且つ所望する断面形状・寸法の金属細線を安定して製造するための装置及び方法に関するものである。
従来、線径の細い金属線の製造工程としては、所定の化学成分組成を有する金属インゴット又は金属ビレット等のスタート金属材料を熱間圧延等の熱間加工工程により、通常6〜9mmφ程度の金属線材に調製する。次いでこの熱間圧延加工された金属線材を冷間伸線工程により、所望線径の金属線まで縮径加工するという製造工程がとられている。
例えば、炭素鋼線又はステンレス鋼線の場合で、例えば3mmφ以下の細線、あるいは更に細い1mmφ以下といった細線を製造する工程は、一般には熱間圧延により製造された6〜9mmφ程度の熱間圧延線材を素線とし、これを冷間伸線により所望の線径まで縮径加工する。このような製造工程では、冷間伸線による縮径度合が大きくなるにしたがって加工硬化が大きくなり、材料の強度や硬さは上昇する反面、延性が低下する。そのため、それ以上の縮径加工が困難となり、断線する場合もある。そこで、冷間伸線加工の初期段階乃至中間以降の適切な段階で、適宜軟化熱処理を施すことにより延性を回復し、確保しつつ、最終的に所望の線径まで縮径して金属線を製造している。
しかしながら、冷間伸線加工工程における軟化熱処理を省略することができれば、その効果は大きい。そこで、冷間伸線工程においても、被加工線に一定値以上の延性を確保させつつ所望の線径まで縮径を可能とする方法として、例えば「特許文献1」によれば、先ず、熱間圧延炭素鋼線材に対して、適切な温間加工温度域における大ひずみ導入の温間圧延工程により、結晶粒の微細化を図り、これにより強度の上昇と共に縮径工程に必要な延性をも予め付与する。次いでこうして得られた温間圧延炭素鋼線を冷間伸線することにより、高強度で且つ延性も必要水準が確保された炭素鋼細線の製造方法が提案されている。
また、ステンレス鋼の細線製造において、冷間伸線による縮径時の材料加工性の改善技術として、例えば「特許文献2」によれば、次の技術が開示されている。ステンレス鋼の中でもSUS303などの難加工性のオーステナイト系ステンレス鋼は、冷間加工性に劣り、且つ加工に伴う延性低下が大きい。そこで、従来の連続伸線工程の代わりに、ロール圧延法による連続冷間圧延法であって、パスラインの回りに配設された4本の孔型ロールで略円形の孔型を構成した圧延機(4方ロール圧延機)を多数直列に近接させた、例えば27機の4方ロール圧延機を配設した圧延装置を用い、しかもこの連続した圧延機の出側における被圧延材(線)の温度を、Md点+50℃以上、Md点+150℃以下(Md点は冷間加工に伴ってマルテンサイト化が起こる変態温度で、SUS303の場合例えば40℃)となるように制御しつつ圧延するといった技術が開示されている。こうすることにより、圧延中の材料組織中のマルテンサイト化が抑制され、圧延に伴う加工性の低下を防止してより高いトータル減面率での縮径加工が可能となっている。
そして、特許文献1において提案されている温間圧延と冷間伸線との組合せ工程の内、温間圧延における鋼線製造工程の効率化を図るための技術として、例えば「特許文献3」には、温間温度域における圧延を連続的に行なうための温間制御圧延技術が提案されている。
一方、金属線を圧延機で連続的に縮径して効率よく製造するためには、その縮径工程において、一つの上手側圧延機から出てきた被圧延材が次の下手側圧延機のロールの孔型に噛み込まれて縮径されるときに、材料に倒れ(捻転)が発生せず、断面形状や表面性状の不良品が発生しないようにすることが重要である。これを達成する技術として、例えば「特許文献4」によれば、次の技術が開示されている。隣接し合う各圧延ロールの回転軸心を90°の角度で偏位して対向するよう順次配置した2台の圧延機を備え、 両圧延機における圧延ロールの軸心間距離を、ロール直径の1.2倍以下に近接設定した圧延装置を使用し、被圧延材のパスラインに沿って上記圧延装置を所定間隔で複数装置、例えば4台の圧延装置を直列に配設し、上手側から2番目の圧延装置と3番目の圧延装置との間、及び3番目の圧延装置と4番目の圧延装置との間に冷却装置をそれぞれ配設して、延伸圧延するガイドレス圧延方法が開示されている。その際、各圧延装置内での2パスの減面率としては25%〜40%の範囲内に設定している。このようなガイドレス熱間圧延により線径変更作業を容易にすると共に、冷却装置により加工発熱による温度上昇を抑制した適温での圧延を行なっている。
そして更に、「特許文献5」には、ロールの軸心間距離をロール直径の1.2倍以下の場合でも材料の捻転により圧延できないことがあり、逆に1.2倍以上でも圧延可能な条件が開示されている。即ち、圧延ロールの回転軸心を90°の角度で偏位して対向するよう順次配置した2〜3機の隣接する圧延機において、圧延ロールの軸心間距離Lと、出口側の被圧延材の直径dと、トータル減面率Rとの関係が、式:ln(R)≦−0.0433×(L/d)+4.122を満足するように設定する方法が開示されている。この方法によれば、例えば、圧延ロールの軸心間距離Lをある値に設定した場合には、圧延機からの出側における被圧延材の直径dの許容最小値としては、トータル減面率Rが上記式を満たす範囲内において、入側における被圧延材の直径に依存して決定することができることになる。
次に、上手側圧延機で圧延されて出てきた被圧延材が下手側圧延機のカリバーロールで圧延される際に、当該被圧延材にロールの孔型形状に応じて適切な幅広がりと充満度を与えることにより、対向するカリバー圧延ロールで形成される孔型への被圧延材料の充満不足により肉引け(プルダウン)が発生したり、逆に被圧延材料の充満過剰によりロール隙間(用語 「ロール隙間」 は、特開平10−137803号公報 住金 登録済み 「SUS303線材の縮径加工方法」 の[0031]を参照せよ)に過剰な噛出しが形成することがないようにするために、当該被圧延材にロールの孔型形状に応じて適切な幅広がりと充満度を与える圧延技術が開示されている。例えば、「特許文献6」には、コンクリートに埋めこまれる鉄筋等に使用される異形棒鋼の寸法精度を向上させる熱間圧延方法において、連続圧延機の少なくとも最終仕上圧延機に4方ロール圧延機(孔型を構成する4つのロールを備えた圧延機)を配し、この4方ロール圧延機とその直前の圧延機との間の被圧延材に0.2〜1.2kgf/mm2 の張力を付与する技術が開示されている。
そして、「特許文献7」には、4方ロール圧延機を複数並べた圧延機群を、パスライン方向に複数群並べ、被圧延材の張力が一定となるように制御することにより、直径2mm以下の細経線に高速で冷間圧延する方法として、1圧延機群の総減面率が70%以下となるように設定し、且つ1圧延機群における各圧延機での被圧延材の延伸比(圧延前の長さに対する圧延後の長さの比率L/Lの平均値と、当該1圧延機群内において相互に隣接する上手側圧延機のロール溝底部での周速度に対する下手側圧延機のロール溝底部での周速度の比率V/Vの平均値との比率(L/Lの平均値)/(V/Vの平均値)が、0.992〜0.999の範囲となるように、各圧延機群で設定して冷間圧延するという方法が開示されている。
特開2005−320629号公報 特開平10−137803号公報 特開2006−043754号公報 特開平7−60301号公報 特開平2002−137002号公報 特開平11−47804号公報 特開平11−267703号公報
本発明の主要目的である温間温度域における大ひずみ付与の圧延により超微細粒組織を形成させ、高強度で高延性を備えた金属線又は細線であって、圧延過程で被圧延材に倒れ(捻転)を発生させず、孔型への適切な材料充満度を図ることにより、表面品質が良好で、且つ所望する断面形状・寸法精度の金属細線を安定して製造する技術を開発するという観点から従来技術をみると、尚も下記問題点がある。
特許文献1によれば、超微細粒組織を有する鋼線を温間圧延法により製造することが可能であり、更に特許文献3により、温間圧延の連続化が可能である。しかしながら、特許文献3による温間圧延の連続化技術では、2機以上の圧延機が相互に近接していないので、上手側から2機目以後の各圧延機には入側ガイド及び出側ガイド並びに入側補助加熱装置が配設されており、効率的な連続温間圧延法という観点からは十分であるとはいえない。
これに対して特許文献2によれば、冷間圧延法ではあるが、多数の圧延機を直列に近接させた圧延装置を用い、適切な圧延温度範囲における圧延により、圧延に伴う加工性の低下を防止しつつ、より高いトータル減面率での縮径加工が連続圧延により可能となっている。しかしながら、1圧延機単位の減面率が例えば、9.5%程度であるため、直径4.95mmのステンレス鋼線材を2.58mmまで縮径する(トータル減面率で75.4%とする)ためには、14機の連続圧延機によるパスを要し、また1.41mmまで縮径する(トータル減面率で92.6%とする)ためには、26機の連続圧延機によるパスを要する。このように、かなり多数の4方ロール圧延機の連続配設を要するので、設備費及び操業費の面からコスト低減が望まれるという問題が残る。
特許文献4によれば、隣接する2機の圧延機の圧延ロールの軸心間距離Lをロール直径Dの1.2倍以下(L≦1.2×D)と極めて近接させることにより、圧延中の材料に倒れ(捻転)を発生させず、断面形状や表面性状の不良品が発生するのを防止することができる。しかしながら、2機の圧延機によるトータルの減面率を25%〜40%の範囲内に制限する必要があるので、大ひずみ付与の圧延による組織の超微細粒化を図るという観点からは、必ずしも十分とはいえない。
一方、特許文献5によれば、圧延ロールの軸心間距離が固定されている場合でも、近接する2〜3の圧延機の出側における被圧延材の直径d、又はトータル減面率Rを適切に設定することにより、望ましいガイドレス圧延をすることができる。しかしながら、各隣接圧延ロールの軸心間距離Lと2〜3の圧延機によるトータル減面率Rとの間に満たされるべき制約条件ある。これによると、例えば、ロールの軸心間距離L=100mmの場合に、圧延の出側における被圧延材の直径dとして、3.0mmの鋼線を用いた場合には、上記制約条件の関係式:ln(R)≦−0.0433×(L/d)+4.122により、ln(R)≦−0.0433×(100/3.0)+4.122=2.679であるから、R≦14.6%が得られる。これを真ひずみ:ε=−ln(1−R/100)に換算すると、ε≦0.16となる。ところが、当該特許文献の実施例に示されているように、近接する2圧延機による孔型が順次オーバル、ラウンドというパススケジュールによる熱間圧延法ではなく、仮に当該パススケジュールにより温間圧延法による結晶粒の超微細化を図るものとし、このために必要な真ひずみεとして、例えば、ε≧0.36と設定した場合(R≧30%に相当)にはかなり不十分である。
次に、特許文献6によれば、異形棒鋼のカリバーロール圧延における被圧延材の肉引け(プルダウン)やロール隙間への噛み出しの発生を防止し、寸法精度の向上が可能である。
しかしながら、この圧延方法は、最終仕上圧延機として4方ロール圧延機を配置し、これとその直前の圧延機との間で被圧延材に付与する張力を迅速且つ微細に制御する技術であるので、
鋼線材から鋼線を製造する場合のような線径が比較的細い金属線を製造する場合には、例えば、近接する圧延機間における被圧延材の張力を迅速に微細に制御することは困難な場合がある。
そして、特許文献7によれば、被圧延材の張力を一定に制御して、直径2mm以下の細経線を高速で冷間圧延する方法が記載されている。
しかしながら、この圧延方法は、4方ロール圧延機を複数並べた圧延機群が複数群配設された圧延装置において、各圧延機における被圧延材の延伸比と、隣接する各圧延機間におけるロール溝底部での周速度とを、各圧延機群毎に迅速且つ微細に制御する技術であるので、製品寸法の工程管理面及びこれに対応する設備対応の操業管理面の観点からの問題点が残る。
従来の技術は以上の通りであり、本願発明を完成するに当たって下記内容を解決すべき課題とする。即ち、超微細の結晶粒組織を有し、強度及び延性水準に優れていると共に、その両者のバランスにも優れている金属細線を、効率よく安価に製造するための温間圧延技術であって、近接した直列配置の複数のカリバー圧延機により、被圧延材の倒れ(捻転)を発生させることなく、孔型への被圧延材の適切な充満度により圧延ロール隙間への材料の噛出しや孔型での材料の肉引け(プルダウン)がなく、しかも超微細の結晶粒組織形成に必要な塑性歪みを付与する方法を、従来技術よりも簡単な設備により、簡単な操業技術により製造することが可能な圧延装置とその圧延方法を開発することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために試験・研究した結果、種々の知見が得られた。従来、超微細粒組織を有する金属線材料の製造技術として、温間温度領域における多方向からの大ひずみ導入技術が知られており、その際にパススケジュールとして、カリバーロール圧延においては、孔型形状をオーバル、次いでスクエア又はラウンドとすることが極めて有効である。
今回得られた知見の中で最も重要な知見は、次のとおりである。圧延パスラインの中心線の両側から向かい合った2本のカリバーロールで1対のカリバーロール対を構成し、この1対のカリバーロールを圧延ロールとして圧延機を構成する。こうして構成された圧延機を2機、直列に近接配置して、1基の圧延基(これを「2機近接圧延基」と呼ぶ)を構成する。かかる1基の2機近接圧延基内において直列に隣接する2対のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L)(後述する図2又は図3のLを指す)を所定値以下に近接させること、そして、
この2機の近接圧延機間にある被圧延金属線材が弛むことなく、且つ当該金属線材に対して実質的に張力がかからない状態となるように、当該2機それぞれの圧延機のカリバーロール回転速度を制御して、カリバーロール対同士間のそれぞれのカリバーロールの外径周速度の比を制御することにより、被圧延金属線材に倒れ(捻転)を発生させることなく、且つ孔型への適切な充満度が得られ、また、適切なカリバーロール圧延のスケジュール(カリバーロールの孔型形状、圧下方向、圧下回数、減面率等の組合せ)による温間圧延を行うことにより、線材C方向断面の中心部まで均一化された超微細粒が形成されることを知見した。その際、パススケジュールとして、特に2台のカリバーロール対の孔型を、オーバルに次いでスクエア又はラウンドとする組合せとし、この組合せで少なくとも2回以上圧延することにより、上記効果が一層向上することを知見した。
この出願の発明は、前述した課題を解決するために、下記の発明を提供する。
第1発明として、下記温間圧延装置を提供する。圧延パスラインの中心線をX軸としたとき、X軸の両側から対向して被圧延金属線材を圧下する2本のカリバーロールが1対として配置され、当該カリバーロール1対を圧延ロールとして1機の圧延機を構成し、4機以上の偶数機の当該圧延機が前記X軸方向に直列に近接して配置されて構成された圧延基(これを「4機以上偶数機近接圧延基」という)が1基以上と、2機の当該圧延機が前記X軸方向に直列に近接して配置されて構成された2機近接圧延基が1基以上とが、前記X軸方向に直列に配置され、そして、このように配列された圧延基群よりも上手側に被圧延金属線材を加熱する加熱装置が配置された温間圧延装置であって、下記構成要件を具備したものである。
前記4機以上偶数機近接圧延基内及び前記2機近接圧延基内のそれぞれにおいて隣接する2機の圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(1)で表記する)は、当該隣接する2機の圧延機の内、上手側の圧延機のカリバーロールの直径(Dで表記する)と、下手側の圧延機のカリバーロールの直径(Dで表記する)との間において、下記(1)式:
(1)≦1.5(D/2+D/2) ・・・・・・・・・(1)
を満たし、
前記4機以上偶数機近接圧延基内の奇数番目圧延機とこれに次ぐ偶数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が90°をなしており、前記2機近接圧延基内の第1番目圧延機と第2番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が90°をなしており、
前記4機以上偶数機近接圧延基内の偶数番目圧延機とこれに次ぐ奇数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が45°をなしており、
更に、全ての前記圧延機のそれぞれのカリバーロール対は、相互に独立した駆動方式であり、そして、
前記圧延基群内の相隣る圧延基間の内、少なくとも一カ所に、ダンサーロール・タイトナー及び補助加熱装置の内、少なくとも何れかが配置されていることを特徴とする温間圧延装置を提供する。
第2発明として、請求項1に記載の温間圧延装置において、カリバーロールの孔型形状が、前記各圧延基内の奇数番目圧延機ではオーバル形状であり、偶数番目圧延機ではスクエア形状又はラウンド形状であることを特徴とする温間圧延装置を提供する。
第3発明として、請求項1又は2に記載の温間圧延装置において、前記ダンサーロール・タイトナーが配置された圧延基間で、被圧延金属線材を加熱する補助加熱装置が配設されているときは、当該補助加熱装置は当該ダンサーロール・タイトナーの下手側に配設されていることを特徴とする温間圧延装置を提供する。
第4発明として、請求項1又は2に記載の温間圧延装置において、 前記ダンサーロール・タイトナーが配置されていない圧延基間の全てに、被圧延金属線材を加熱する補助加熱装置が配設されていることを特徴とする温間圧延装置を提供する。
第5発明として、請求項1から4のいずれかに記載の温間圧延装置において、第1番目の圧延基のみが前記4機近接圧延基で構成されており、その他の圧延基は2機近接圧延基で構成されていることを特徴とする温間圧延装置を提供する。
第6発明として、下記の温間圧延装置を提供する。
圧延パスラインの中心線をX軸としたとき、X軸の両側から対向して被圧延金属線材を圧下する2本のカリバーロールが1対として配置され、当該カリバーロール1対を圧延ロールとして1機の圧延機を構成し、2機以上の偶数機の当該圧延機が前記X軸方向に直列に近接して配置されて構成された圧延基(これを「偶数機近接圧延基」という)が、前記X軸方向に2基以上直列に配置するものとする。そして、このように配列された偶数機近接圧延基群よりも上手側に被圧延金属線材を加熱する加熱装置が配置された温間圧延装置であって、下記構成要件を具備したものである。
前記偶数機近接圧延基の内、最上手側の偶数機近接圧延基は4機近接圧延機であり、その他の偶数機近接圧延基は、2機近接圧延基であり、
前記偶数機近接圧延基内において隣接する2機の圧延機は、それぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(2)で表記する)が、当該隣接する2機の圧延機の内、上手側の圧延機のカリバーロールの直径(D’ で表記する)と、下手側の圧延機のカリバーロールの直径(D’ で表記する)との間において、下記(2)式:
(2)≦1.5(D’/2+D’/2) ・・・・・・(2)
を満たすと共に、前記被圧延金属線材における結晶粒の超微細化に寄与する程度の温間圧延温度範囲内での圧延加工を行うように構成し、また、
前記偶数機近接圧延基内の上手側から奇数番目圧延機とこれに次ぐ偶数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が90°をなしており、
前記偶数機近接圧延基の中に、4機以上の偶数機近接圧延基が配置されているときは、この4機以上偶数機近接圧延基内の偶数番目圧延機とこれに次ぐ奇数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が45°をなしており、 更に、全ての前記圧延機のそれぞれのカリバーロール対は、相互に独立した駆動方式であり、
そして、隣接する前記偶数機近接圧延基間において、上手側の偶数機近接圧延基内の最下手側圧延機と、下手側の偶数機近接圧延基内の最上手側圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3)で表す)が調節可能な設備構成を有することを特徴とする温間圧延装置である。

発明として、請求項に記載の温間圧延装置において、カリバーロールの孔型形状が、4機以上偶数機近接圧延基においては、上手側から奇数番目の圧延機ではオーバル形状であって、これに次ぐ偶数番目の圧延機ではスクエア形状又はラウンド形状であり、そして、2機近接圧延基においては、第1番目圧延機ではオーバル形状であって、第2番目圧延機ではスクエア形状又はラウンド形状であることを特徴とする温間圧延装置を提供する。
発明として、請求項1からのいずれかに記載の温間圧延装置において、前記各圧延基内の前記隣接する2機の圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(1))又は(L(2))はそれぞれ、下記(1’)式又は(2’)式:
(1)≦D/2+D/2 ・・・・・・・・・(1’)
(2)≦D’/2+D’/2 ・・・・・・・・・(2’)
を満たすことを特徴とする温間圧延装置を提供する。
発明として、下記の温間圧延方法を提供する。
請求項1からのいずれかに記載の温間圧延装置を使用した温間圧延方法であって、前記各圧延基による被圧延金属線材に対する圧延基単位の総減面率(Rで表記する)を30%以上50%以下の範囲内に設定すると共に、前記各圧延基内における第n番目圧延機と第n+1番目圧延機(但し、nは1から始まる奇数とし、更に、2機近接圧延基においては、n=1に限定する)のそれぞれのカリバーロール対同士間のカリバーロール回転速度比を、被圧延中の金属線材が前記第n番目圧延機と第n+1番目圧延機の間において伸長せず、且つ弛緩しないように設定することを特徴とする温間圧延方法を提供する。
第1発明として、下記の温間圧延方法を提供する。請求項に記載の温間圧延方法において、前記各圧延基内における第n番目圧延機(但し、nは1から始まる奇数とし、更に、2機近接圧延基においては、n=1に限定する)のカリバーロール外径周速度(V(1))に対する第n+1番目圧延機のカリバーロール外径周速度(V(2))の比(V(2)/V(1))は、前記各圧延基による圧延基単位の総減面率(R)との間に、下記(3)式:

(2)/V(1)=A・R+B ・・・・・・・・・・・・(3)

A=0.017〜0.019

B=0.66〜0.68
を満たすように設定することを特徴とする温間圧延方法を提供する。
第1発明として、下記の温間圧延方法を提供する。請求項に記載の温間圧延方法において、前記各圧延基内における第n’+1番目圧延機(但し、n’は1から始まる奇数とし、更に、2機近接圧延基においては、n’=1に限定する)のカリバーロール対で形成される孔型面積(S2−CALで表記する)と、当該第n’+1番目圧延機のカリバーロールの出側における被圧延金属線材の速度(V2−outMATで表記する)との積(S2−CAL×V2−outMAT)は、下記(4)式:

2−CAL×V2−outMAT=A’×S1−CAL×V1−outMAT ・・・(4)

但し、A’=1.01〜1.08

1−CAL:前記第n’番目圧延機のカリバーロール対で形成される孔型面積

1−outMAT:前記第n’番目圧延機のカリバーロール出側における被圧延金属線材の速度

を満たすように設定することを特徴とする温間圧延方法を提供する。
第1発明として、請求項から11のいずれかに記載の温間圧延方法において、圧延開始から圧延終了までの全圧延工程における前記被圧延金属線材に導入される下記(5)式:

e=ln(S/S) ・・・・・・・・・・・・(5)

但し、S:圧延開始前の被圧延金属線材のC断面の面積

:圧延終了後の被圧延金属線材のC断面の面積

で求めた真ひずみeが、0.90以上となるように圧延することを特徴とする温間圧延方法を提供する。
第1発明として、請求項からのいずれかに記載の温間圧延装置の圧延ライン下流側に、金属線ないし金属細線を冷間圧延、伸線、又は、冷間圧延及び伸線をするための冷間加工装置が配設されていることを特徴とする、温間・冷間連続加工装置を提供する。
この発明により得られる効果は次の通りである。
第1発明の温間圧延装置によれば、2本のカリバーロールで1対のカリバーロール対を構成し、1対のカリバーロール対により1機のカリバーロール「圧延機」を構成しており、圧延パスライン方向に直列に、4機以上の偶数機又は2機のカリバーロール「圧延機」が近接して配置されて構成された「圧延基」が配設されている。そして、先ず全ての圧延基内においては、全ての隣接するカリバーロール「圧延機」のカリバーロール対同士間の圧延パスライン方向の軸心間距離が、前記(1)式:L(1)≦1.5(D/2+D/2)を満たすように近接しているので、この隣接するカリバーロール「圧延機」間における被圧延材からの放熱量が小さく抑制されて温度低下が小さいこと、またこの隣接するカリバーロール「圧延機」の圧下方向は、4基以上偶数機近接圧延基においては奇数番目の圧延機とこれに次ぐ偶数番目の圧延機との間で圧延パスラインを中心線として90°をなして向かい合っており、また2機近接圧延基においては第1番目圧延機と第2番目圧延機との間で圧延パスラインを中心線として90°をなして向かい合っているので、同一減面率でも被圧延材に大きな塑性ひずみが導入されて結晶粒の微細化に大きな効果があること、更に4機以上偶数機近接圧延基内においては、上手側から偶数番目の圧延機とこれの下手側に隣接する奇数番目の圧延機の圧下方向は45°の傾きをなしているので、カリバーロール孔型が第2発明の要件の中にある4機以上偶数機近接圧延基においては、上手側から奇数番目の圧延機ではオーバル形状であって、これに次ぐ偶数番目の圧延機ではスクエア形状であることを満たす場合には、上手側の偶数番目圧延機(孔型はスクエアである)から出てくる材料の断面が角形状で、その下手側圧延機のカリバー孔型がオーバルであるから、角形状材料の対辺面がオーバル孔型の湾曲面によって圧下される姿勢になるので、材料の倒れ・捻転が発生せず、オーバル孔型の圧延による材料の充満度が過不足なく適正となり、断面形状が良好となり、またラップ疵のような表面疵発生の防止効果も得られる。
また、全ての圧延機のカリバーロール対は、相互に独立した駆動方式としてあるので、カリバーロール対同士間でのカリバーロールの回転速度比を制御することができる。従って、前述した第11、第12又は第13発明に係る温間圧延方法にいては、カリバーロール対同士間でのカリバーロールの回転速度比を制御することができるし、またカリバーロールの外径周速度比(V(2)/V(1))も制御することができるので、近接する圧延機間の被圧延金属線材にかかる張力を実質的に0にすることができ、上記の材料の充満度を適正化することができ、これにより上記の良好な効果(断面形状良好、表面性状良好)が発揮される。
一方、相隣る圧延基間に、ダンサーロール・タイトナーが配設されている装置においては、圧延基間の材料に負荷する張力を調整して、大きな弛みを防止することができるので、圧延パスライン近傍の設備への巻き付き事故が防止される。
また、相隣る圧延基間に補助加熱装置が配設されている場合には、素材の被圧延金属線材の化学成分組成や線径、圧延後の目標線径及び圧延パススケジュールその他の各種圧延条件に応じて、圧延基間において被圧延材の温度を管理範囲内に制御することができるので、温間圧延条件が確保される。その結果、特に、得られる金属線材の結晶粒微細化の前提条件が安定して確保されるという効果が発揮される。
第2発明の温間圧延装置にる上記の効果の他に、第1発明の装置において、孔型形状が上手側の圧延機ではオーバル、下手側の圧延機ではスクエア又はラウンドとした組合せにしているので、この圧延装置によればオーバル孔型とスクエア孔型との組合せカリバー圧延を少なくとも2回以上行うことになるので、圧延による被圧延金属線材への大塑性ひずみ導入に一層効果が発揮される。
第3発明の温間圧延装置によれば、第1又は第2発明の装置において、ダンサーロール・タイトナーの下手側に補助加熱構造が配設されている圧延基間を構成しているので、圧延基間の材料にかかる張力を調整して、大きな弛みを防止することができ、圧延パスライン近傍の設備への巻き付き事故が防止と同時に、素材の被圧延金属線材の化学成分組成や線径、圧延後の目標線径及び圧延パススケジュールその他の各種圧延条件に応じて、圧延基間において被圧延材の温度を一層良好に温間圧延範囲に制御することができる。その結果、特に、得られる金属線材の結晶粒微細化に効果が発揮される。
第4発明の温間圧延装置によれば、第1又は第2発明において、ダンサーロール・タイトナーが配置されていない圧延基間には、被圧延金属線材を加熱する補助加熱装置が配設されているので、第3発明における金属線材の圧延温度制御効果が一層向上する。
第5発明の温間圧延装置によれば、最上手側の圧延基のみが4機以上の偶数機が近接した圧延機で構成され、その他の圧延基は2機の近接した圧延機で構成されているので、受け入れた素材の線径と出荷材の線径に応じて、2機近接圧延基の基数を適宜選定すると共に、カリバーロールの孔型の形状・寸法の選定及び各圧延機における減面率の選定により、広範囲の受け入れ素材線径に対して広範囲の出荷材線径の生産工程計画に対処することができ、効率的な操業と工程管理が向上する。
第6発明の温間圧延装置によれば、第1発明における圧延機と同じ要件を備えたカリバーロール圧延機が、前記(2)式:L(2)≦1.5(D’/2+D’/2)を満たすように近接して構成された2機以上の偶数機近接圧延基が、2基以上配設されて圧延基群をなしている。この圧延基群の中には、4機以上偶数機近接圧延基が配設されていることもある。この場合、4機以上偶数機近接圧延基においては、第1発明におけると同じように、上手側から偶数番目の圧延機とこれの下手側に隣接する圧延機の圧下方向は45°の傾きをなしているので、第9発明の要件の中にあるカリバーロールの孔型条件である上手側から奇数番目の圧延機ではオーバル形状であって、これに次ぐ偶数番目の圧延機ではスクエア形状であることを満たす場合には、上手側の偶数番目圧延機(孔型はスクエアである)から出てくる材料の断面が角形状で、その下手側圧延機のカリバー孔型がオーバルであるから、角形状材料の対辺面がオーバル孔型の湾曲面によって圧下される姿勢になるので、材料の倒れ・捻転が発生せず、オーバル孔型の圧延による材料の充満度が過不足なく適正となり、断面形状が良好となり、またラップ疵のような表面疵発生の防止効果も得られる。
また、第1発明に類似して、各圧延基内の奇数番目の圧延機とこれに次ぐ偶数番目の圧延機は、圧延パスラインを中心線としてそれぞれの圧延機の圧下方向は90°をなしているので、同一減面率でも被圧延材に大きな塑性ひずみが導入されて結晶粒の微細化に大きな効果がある。
更に、偶数機近接圧延基群の中において隣接する偶数機近接圧延基間において、上手側の偶数機近接圧延基内の最下手側圧延機と、下手側の偶数機近接圧延基内の最上手側圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3))が調節可能な設備構成をなしているので、この軸心間距離を所要距離だけ確保することにより、上記最下手側圧延機(孔型はスクエアである)と上記最上手側圧延機(孔型はオーバルである)のそれぞれの圧下方向を45°の傾きをもたせなくても、例えば90°となっていても、上記最下手側圧延機から出てきた断面形状が角形の材料を、上記最上手側の圧延機のオーバル孔型に対して安定して容易に適正な姿勢で噛み込ませることができるようにするために、被圧延材料を圧延パスラインの中心線の回りで捻ることができる。
本願発明に係る偶数機近接圧延基は、圧延基内の最上手側圧延機の圧下方向を水平面に対して45°傾斜させて設置すると、圧延機の圧下方向についての本願発明の要件から、当該圧延基内の最下手側圧延機の水平面に対する傾斜角度は、
(1)偶数機が4の倍数機である場合は、90°となるが、
(2)偶数機が4の倍数機ではない場合は、45°となる。
一方、当該圧延基の下手側に隣接する圧延基内の最上手側圧延機(孔型はオーバルである)の圧下方向は、上記の通り水平面に対して45°傾斜させて設置してあるので、ここでの隣接する圧延機間における圧下方向に関して、上記(1)の条件の場合は両圧延機の圧下方向は45°をなすことになる。従って、上記のように、被圧延材料(断面は角形状)を圧延パスラインの中心線の回りで捻って、下手側に隣接する圧延基内の最上手側圧延機(孔型はオーバルである)に噛み込ませることなく、そのまま噛み込ませれば、断面角形状の対辺面がオーバル孔型の湾曲面の中央部によって圧下されるので、捻転や倒れは発生しない。しかし、上記(2)の条件の場合は、隣接する圧延機間における圧下方向が90°をなすことになるので、被圧延材料(断面は角形状)を圧延パスラインの中心線の回りに45°捻って下手側に隣接する圧延基内の最上手側圧延機(孔型はオーバルである)に噛み込ませる必要がある。
このように、被圧延金属線材を45°捻って圧延機に噛み込ませるためには、両圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3))として、所要の距離が必要である。この所要の距離はスタートの線径と仕上げ目標線径との関係、被圧延金属線材の化学成分組成、圧延速度、圧延中の温度低下量及び仕上げ金属線の材質特性仕様等により、試験を行なうことにより定まる。
以上より、隣接する偶数機近接圧延基間において、上手側の偶数機近接圧延基内の最下手側圧延機と、下手側の偶数機近接圧延基内の最上手側圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3))が調節可能な設備構成を有することが必要であり、例えば、圧延基群の中のいくつかの圧延基、できれば全ての圧延基が、例えばスライド可能なベース上に配設されており、各圧延基は、このスライドベース上を移動調節できるようにスライド装置を装備していればよい。
45°の傾きを持たせなくてもよい場合には、上記両方の圧延基とも、水平面に対して45°傾斜させて圧延基を設置させてもよいから、圧延基の設置及び保全ともに容易となり、実操業上、極めて効果的である。
なお、上記において、被圧延金属線材を45°捻って圧延機に噛み込ませる代わりに、下手側の偶数機近接圧延基内の最上手側圧延機の圧下方向が、水平面に対して90°となるように、圧延パスラインの中心線を中心軸として圧延基全体を45°傾動させる装置を付帯させてもよい。
第6発明の温間圧延装置において、さらに、前記偶数機近接圧延基の内、最上手側の偶数機近接圧延基のみが4機近接圧延機であり、その他の偶数機近接圧延基は2機近接圧延基であり、特に2機近接圧延基が3基又は4基配列されている装置であるため、各種断面形状・寸法の受け入れ素材から自由度が広い所望の仕上げ形状・寸法の製造が可能となり、極めて望ましい形態となる。

発明の温間圧延装置によれば、第発明温間圧延装置において、全ての圧延基内のカリバーが常に、最初にオーバル孔型で次がスクエア孔型であるから、圧延被圧延金属線材への直角方向からの圧下に加えて大ひずみ導入に極めて有利である。

発明の温間圧延装置によれば、第1から第発明のいずれかの温間圧延装置において、各圧延基内のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(1))又は(L(2))を一層短くしているので、この隣接するカリバーロール「圧延機」間における被圧延材からの放熱量が一層小さく抑制されて温度低下が小さくなり、圧延温度管理を一層良好にすることができ、超微細粒鋼を安定して製造することに寄与する。
第13から第16発明までの温間圧延方法は、本願発明に係る上記温間圧延装置を適切に使用するものであり、次の効果が発揮される。

発明の温間圧延方法によれば、第1発明から第発明のいずれかの温間圧延装置を用いて、総減面率Rを30%以上50%以下の範囲内とし、且つ相隣る圧延機(但し、各圧延基内の奇数番目圧延機とこれに次ぐ偶数番目圧延機を指す)のカリバーロール対同士間の回転速度比を、圧延基間での材料が伸張したり、弛んだりすることのないように制御するので、孔型への材料充満度を適正に確保することができ、圧延中の材料の倒れや捻転を発生させずに圧延ができる。
第1発明の温間圧延方法によれば、上記圧延基間の材料の伸張・弛緩状況の制御を、カリバーロール対同士間の回転速度比(V(2)/V(1))が、両方の圧延機による材料の総減面率(%)Rとの間に、(3)式:V(2)/V(1)=A・R+B、但し、A=0.017〜0.019、B=0.66〜0.68の関係を満たすことという定量化した制御を行なうものであるから、孔型への材料充満度を一層安定且つ迅速に確保することができ、圧延中の材料の倒れや捻転を発生させずに圧延ができる。その結果、表面性状及び内部性状並びに断面形状の良好な金属線が得られる。更に、圧延中の張力が実質的に0であるため、被圧延金属線材の断面中心部まで加工ひずみが均一に導入される。従って、中心部まで微細粒化された金属線が得られる。

第1発明の温間圧延方法によれば、上記圧延基間の材料の伸張・弛緩状況の制御を、カリバーロール対で形成される孔型面積とそれぞれのカリバーロールを出た位置における被圧延材料の速度とを前記(4)式:S2−CAL×V2−outMAT=A’×S1−CAL×V1−outMAT 、但し、A’=1.01〜1.08 を満たすことという定量化した制御を行なうものであるから、上記第12発明の場合と同様の効果が発揮される。

第1発明の温間圧延方法によれば、第から第1発明のいずれかの温間圧延方法において、全工程における圧延開始から圧延終了までの間に前記被圧延金属線材に導入される前記(5)式:e=ln(S0/S)で求めた真ひずみeが、0.90以上(総減面率R換算で、50.5%以上に相当する)となるよう圧延するので、十分な塑性ひずみが材料内に導入され残留する。従って、一層微細な微細粒組織を有する金属線材が得られる。なお、材料中へ導入されて残留する塑性ひずみは、公知の方法による3次元有限要素法で計算される。

以上の通り、本発明の著しい効果は、カリバーロール対同士間における材料の負荷張力を実質的に0に制御する技術の実現と、上手側のカリバーロール対から出てきた材料がその下手側カリバーロール対へ噛み込まれる間における当該材料の弱い剛性をも利用することにより、この下手側圧延基内の上手側に配設された圧延機による圧延において、そのカリバーロール圧延中における被圧延材料の孔型における幅広がり率と充満度の最適化がなされることとにより、圧延後材料の断面形状を所望の形状にすることができると共に、表面皺疵やラップ状疵の無い表面の高品質化が効率よく達成された。
これは、隣接する圧延機のカリバーロール対同士間のカリバーロールの回転速度を独立に制御でき、且つカリバーロール対同士間の軸心間の距離(L)が至近距離にある偶数機で1機を構成する近接圧延基を複数基、圧延パスライン方向に直列に配置し、近接させた圧延機のカリバーロール対同士間の回転数比至外径周速度比を制御することにより達成された。
第1発明の温間・冷間連続圧延装置によれば、第1から第発明のいずれかの温間圧装置の圧延ライン下流側に金属線ないし金属細線を冷間圧延、伸線、又は冷間圧延及び伸線をするための冷間加工装置が配設されているので、生産工程管理の一元化、生産効率の向上、製品納期の短縮化等の効果が発揮される。
<1> はじめに、本願発明の温間圧延装置の構成要素の基本をなしている2機近接圧延基についてその構成の特徴を、図1〜図3で説明する。
図1は、本願発明に係る温間圧延装置において、2機近接圧延基におけるカリバーロール対の配設状態の特徴を説明する概略斜視図である。圧延パスラインの中心線(X軸)(J)を中心に相対向する両側から圧下する2本のカリバーロール(2aと2b)又は(4aと4b)が1対となって、1機の圧延機(1)又は(3)のカリバーロール対を構成する。その際、2機の圧延機(1)及び(3)は、近接して直列に、それぞれの圧延機の圧下方向が90°をなすように配設されている。そして、圧延パスライン(J)の上手側の第1番目圧延機(1)と、これに隣接して圧延パスラインの下手側に配設された第2番目圧延機(3)とにより、2機近接圧延基(M)を構成する。
上記2機近接圧延基は、更に下記構成要件を具備する。
図2は、図1の第1番目圧延機(1)のカリバーロール(2a)及び(2b)のそれぞれの軸心(j)及び(j)が鉛直方向に投影された場合に、両軸心が上下で重なるように、2機近接圧延基(M)を仮想的に起こした姿勢の状態で、当該軸心j、jに対する直角面を見た側面図であり、図3は同じく、上記の仮想的姿勢において上方から見た平面図である。なお、図1〜図3では説明を簡単にするためにカリバーロールの表面は平滑に示されているが、図1〜図3におけるカリバーロールの表面は、第1番目圧延機(1)のカリバーロール(2a)(2b)には、例えばオーバル形状の孔型が、そして第2番目圧延機(3)のカリバーロール(4a)(4b)には、例えばスクエア形状の孔型が形成されている。
また、図1〜図3に記載されているように、第1番目圧延機(1)のカリバーロール軸心jとjとは平行であり、同様に第2番目圧延機(3)のそれぞれのカリバーロール軸心(図示省略)も互いに平行であり、第1番目圧延機(1)第2番目圧延機(3)の軸心同士は直角をなしている。一方、各圧延機(1,3)による圧下方向は、カリバーロール軸心方向に対して直角である。従って、第1番目圧延機(1)による圧下方向と第2番目圧延機(3)による圧下方向とは、X軸を中心にして直角となっている。
次に、図2、図3は本願発明の温間圧延装置における第1番目圧延機(1)のカリバーロールの軸心と第2番目圧延機(3)のカリバーロール軸心間のX軸方向の距離(L)が、L≦D/2+D/2(但し、D、Dは、それぞれ第1番目圧延機(1)及び第2番目圧延機(3)のカリバーロールの直径である)を満たしている態様を説明している。
例えば、第1番目圧延機(1)のカリバーロールの軸心と第2番目圧延機(3)のカリバーロール軸心間の距離(L)の関係が最も好適に示されている図2を用いてこの関係を具体的に説明すると、第1番目圧延機(1)のカリバーロール(2a)及び(2b)の直径(D)、並びに第2番目圧延機(3)のカリバーロール(4a)及び(4b)の直径(D)は、例えば、いずれも100mmとする。
こうすると、D/2=D/2=50mmであり、D/2+D/2=100mmとなる。第1番目圧延機(1)のカリバーロール(2a)及び(2b)の各軸心が、被圧延金属線材(5)の圧延パスラインの中心線(J)上へ投影された交点位置(P)と、第2番目圧延機(3)のカリバーロール(4a)及び(4b)の各軸心が被圧延金属線材(5)の圧延パスラインの中心線(J)上へ投影された交点位置(P)との間の距離(L)を、L=98mmとすると、第1番目圧延機(1)のカリバーロールの軸心と第2番目圧延機(3)のカリバーロール軸心間の距離(L)は、下記の式:
L≦D/2+D/2
が満たされていることになる。この式は、第12発明の構成要件の一つである前記(1’)式に相当する。
この具体的な例で示されるように、本願発明においては第1番目圧延機(1)と第2番目圧延機(3)のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L)は、L≦1.5(D/2+D/2)で示される関係とするが、さらに好ましくは、上記のように、L≦D/2+D/2で示される関係とする。
なお、上記においては、2機近接圧延基の場合における第1番目圧延機と第2番目圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L)について述べたが、4機以上偶数機近接圧延基の場合についても、当該圧延基内の奇数番目圧延機とこれに次ぐ偶数番目圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離についても、第1発明における(1)式、第7発明における(2)式、及び第12発明における(2’)式の通り、準用される。
上述したL≦D/2+D/2で示されるように、カリバーロール対同士間のX軸方向での間隔(L)が至近距離となるようにするためには、第2番目圧延機(3)のカリバーロール(4a)、(4b)を第1番目圧延機(1)のカリバーロール(2a)(2b)の間にまで食い込んだ位置まで接近させればよく、第2番目圧延機(3)の胴長(Q)を、式:Q≦Dを満たすように設計すればよい。
また、式:Q≦Dを満たすためには圧延機のハウジングをなくす設計にすべきである。こうしてあるので本願発明においては、圧延機間距離を狭めて上記間隔(L)を至近距離とするためには、第2番目圧延機(3)のカリバーロール(4a)(4b)の胴長(Q)を極めて短くできる(例えば、40mm程度)。これも大きな特徴である。以上のような本願発明の温間圧延装置では圧延中の線径が細い場合であっても被圧延金属線材の温度低下を極力抑制することができ、圧延温度を目標とする温間圧延温度範囲内に制御することができる。
なお、本願発明において、温間圧延温度範囲内において圧延加工を行なう理由は、これよりも高温における圧延パス間での被圧延材料における金相学上の回復、再結晶、粒成長の促進を抑制することにより、結晶粒の超微細化に寄与させるためである。
<2> 直列に配置された圧延基群内において、近接して隣接する2基以上の圧延基群内の上手側圧延基内の最下手側圧延機と、その圧延基の下手側に隣接する圧延基内の最上手側圧延機との間の配設条件
上記配設条件を具体的に説明するために、2機近接圧延基が近接・隣接して2基配設された場合を例として説明する。先ず、この場合も、いずれの2機近接圧延基内においても、上手側圧延機(第1番目圧延機)と下手側圧延機(第2番目圧延機)との傾斜角度は、前項<1>において図1〜図3で説明した通り、第1番目圧延機(1)による圧下方向と第2番目圧延機(3)による圧下方向とは、X軸を中心にして直角となっている。一方、被圧延材に大ひずみを導入するためには、カリバーロールの孔型をオーバルに次ぐスクエア又はラウンドとするのが望ましいので、2圧延基共にこの孔型の組合せであるとする。
図4は、スクエア孔型のカリバーロール(4a’)及び(4b’)を備えた第1番目圧延基内の第2番目圧延機(4’)に対して、第2番目圧延基内の第1番目圧延機(7’)がオーバル孔型のカリバーロール(7a)及び(7b)を備えた場合の配設条件を説明するための模式図であって、圧延パスラインの下手側から上手側に向かって見た模式図である。同図において、矢印方向(8)及び(8’)は、スクエア孔型(B)のカリバーロール(4a’)及び(4b’)を備えた上手側圧延機(4’)による圧下方向を示し、この上手側圧延機(4’)により圧延されて出てきた断面が角形状の被圧延材は、下手側圧延機(7’)で圧延される。この下手側圧延機(7’)の配設条件としては、そのオーバル孔型(A)のカリバーロールの湾曲面により、上手側圧延機(4’)から出てきた被圧延材の断面が角形状の対辺面を圧下するように設定されていることが重要である。そのために、下手側圧延機(7’)の圧下方向(7’DR)及び(7 DR)が、上手側圧延機(4’)の圧下方向(8)及び(8’)に対して45°の傾きをなすようにする。そのために、スクエア孔型のカリバーロールの軸心方向とオーバル孔型のカリバーロールの軸心(7Ja)及び(7Jb)が、45°をなすようにすればよい。
このように、スクエア孔型の圧延機(4’)の圧下方向に対してオーバル形状の圧延機(7’)の圧下方向を45°傾斜させて設置することにより、オーバル形状の圧延機(7’)に噛み込まれる被圧延材の角形状(B)断面の対辺面を、オーバル形状(A)孔型の湾曲面で圧下することができるので、圧延中に材料の倒れが発生しない。その結果、被圧延材の断面形状が優れると共に、折れ込みによる表面疵の発生を防止することができる。角形状被圧延材のコーナー部が圧下されると被圧延材に倒れや捻転が発生し、断面の形状不良や折れ込み疵が発生し易い。
<3>4機以上偶数機近接圧延基内に含まれる偶数番目圧延機とこれに次ぐ奇数番目圧延機との配設条件
4機以上の偶数機の圧延機が全て近接して直列に配置されている4機以上偶数機近接圧延基においては、この圧延基に含まれる偶数番目圧延機とこれに次ぐ奇数番目圧延機、例えば第2番目圧延機(孔型がスクエアの場合とする)と第3番目圧延機(孔型がオーバルの場合とする)との間の配設条件については、被圧延材の倒れ・捻転防止の観点から、上記<2>項における上手側圧延基内の最下手側圧延機と、その圧延基の下手側に隣接する圧延基内の最上手側圧延機との間の配設条件と同等の条件、即ち、上記第2番目圧延機と第3番目圧延機による圧下方向が、45°傾斜するように配設されたものとする。
なお、上記<2>及び<3>においてはスクエア形状を有するカリバーロールの次にオーバル形状を有するカリバーロールを用いた場合について説明をしたが、スクエア形状の代わりに、ダイヤ形状をしたカリバーロールを用いた場合でも、材料の倒れ・捻転防止のために、圧延されるダイヤ形状の被圧延材の対辺面が次のオーバル形状の対向する湾曲面で圧延されるような角度に傾斜させることが必要である。この場合は、上手側圧延機(オーバル孔型)とこれに近接して隣接する下手側圧延機(ダイヤ孔型)の圧下方向は、45°ではなく、ダイヤ孔型の形状諸元(隣接する辺の交角)により45°より若干小さくするか、大きくすることにより、材料の倒れ・捻転の防止に寄与する。このように、圧下方向を調節する機能を有する装置を付帯させると、一層望ましい。
<4>カリバー形状
圧延ロールのカリバー形状は、オーバル形状の次にはスクエア形状又はラウンド形状を配設することにより、同一減面率Rであっても、塑性ひずみを大きくすることができ、結晶粒の超微細化に重要である。また、オーバル形状の次にスクエア形状を配置する孔型の組み合わせを連続して2回以上設定すると、材料に一層大きな塑性ひずみを導入することができるので、結晶粒の微細化に一層寄与する。
<5>各圧延機のカリバーロール駆動を圧延機間での独立駆動方式
各圧延機のカリバーロール駆動用モーターはいずれの圧延機にあっても、各カリバーロール毎に配設することにより、各圧延機のカリバーロール回転速度を相互に独立に制御することができるようにする。隣接する圧延機間のカリバーロールの外径周速度比を適切に設定することができるようにするためにも必須である。
<6>4機以上偶数機近接圧延基と2機近接圧延基とをそれぞれ1基以上配設した場合の圧延基間にダンサーロール・タイトナーを設置
4機以上偶数機近接圧延基を配置する場合には、当該4機以上偶数機近接圧延基の間にダンサーロール・タイトナーを適宜設置するとよい。ダンサーロール・タイトナーは、4機以上偶数機近接圧延基とその下手に隣接する圧延基の間の被圧延金属材に、極僅か乃至ゼロの張力をかけることにより弛みの発生を防止して、被圧延金属材が付属設備に巻きついたりして圧延操業のトラブル発生を防止することの他、被圧延金属材が下手側の各複数機近接圧延基に含まれる上手側圧延機へ正規の姿勢状態で噛み込ませるために設置することが望ましい。また、ダンサーロール・タイトナーを圧延基間に設けることにより、圧延基内の隣接する圧延機間のカリバーロール同士の外径周速度比の制御が一層し易くなる。
<7>4機以上偶数機近接圧延基の下手側に補助加熱装置を設置
4機以上偶数機近接圧延基を配設する場合には、この4機以上偶数機近接圧延基の下手側には、補助加熱装置を適宜設置するとよい。圧延速度が遅いときや線径が細いときのように、放熱速度が大きいために材料の温度低下をきたすことがあるので、下手側圧延基による被圧延材を温間圧延温度域に制御困難な場合に役立つ。なお、圧延基間に、上記ダンサーロール・タイトナーを併設する場合は、補助加熱装置の上手側に配設する。これにより、温度低下を緩和できるからである。
<8>補助加熱装置、ダンサーロール・タイトナー及び複数機近接圧延基の付帯装置
本願発明における温間圧延装置においては、補助加熱装置及びダンサーロール・タイトナーは、4機以上偶数機近接圧延基同士の間、4機以上偶数機近接圧延基と2機近接圧延基との間、又は2機近接圧延基同士の間に配設するものとしているから、製造目標線径や製品の材質水準仕様等の生産工程計画等を考慮していずれかの圧延基を、空通しする必要がある場合には、当該圧延基と共に、補助加熱装置やダンサーロール・タイトナーも圧延パスラインからオフラインへ臨時的に移動させることが望ましい。また、生産工程計画によっては、温間圧延温度を確保するめに、補助加熱装置だけを残すこともあり、あるいはダンサーロール・タイトナーだけを残すこともある。この場合は空通し区間の距離を狭めることが必要となることもある。以上の配置変更をするための付帯装置が必要となる。
例えば4機近接圧延基に次いで、2機近接圧延基が3基配設されている場合であって、いずれの2機近接圧延基も第1番目圧延機の圧下方向と第2番目圧延機の圧下方向が直角をなし、しかも水平面に対して45°傾斜して配設されているおり、いずれの2機近接圧延基内のカリバーロールも、第1圧延機がオーバルで第2圧延機がスクエアの場合を考える。この場合、例えば、3基の2機近接圧延基の内、中央の2機近接圧延基をオフラインへ移動させた場合には、残留した 第2番目2機近接圧延基の第2番目圧延機(スクエア孔型)の圧下方向と、これに隣接することになった第4番目2機近接圧延基の第1番目圧延機(オーバル孔型)の圧下方向とは90°をなすことになるので、断面が角形状の被圧延材の対頂角のコーナー部がオーバル孔型の湾曲面中央に接する姿勢で、第4番目2機近接圧延基の第1番目圧延機(オーバル孔型)に噛み込まれることになる。
その結果、材料に滑りや倒れが発生し、表面疵発生が起こる。また、断面形状も異常となる。そこで対策として、角形状の被圧延材の対辺面をオーバル孔型の湾曲面で圧下する姿勢で噛み込ませるために、下手側圧延基のオーバル孔型の圧延機を圧延パスライン中心線を軸として45°傾転させ、更にダンサーロール・タイトナーが配置されているときはこれも、そのオーバル孔型の圧延機と同じように傾転することにより、この問題は解決される。その際、下手側圧延基の最上手側圧延機であるオーバル孔型を有する圧延機のみを45°傾転させると、その下手側に隣接する圧延機の圧下方向が直角であったものが45°に変化してしまうので、そうならないようにするために、下手側圧延基上の圧延機を全て、45°傾転させる必要がある。
なお、圧延機の圧下方向を上記のように傾転させるに当たっては、各圧延機のカリバーロールの駆動用モーターが圧延機毎に独立に設置されていることにより可能となる。
また一方、最上手側の複数機近接圧延基内の第1番目圧延機と第2番目圧延機の圧下方向は90°をなしているが、いずれの圧延機の圧下方向も水平面に対して45°の傾斜をなすようにその圧延基全体を配設することにより、圧延機の運転操作がやり易くロール組替え作業も楽になり、操業管理上、特に設備の保守・管理上望ましい。この配設状態は、例えば、前記の図1において、第1番圧延機(1)及び第2番圧延機(3)共に、カリバーロールの軸心を水平面に対して45°傾斜させる配設により得られる。
<9>圧延基間にダンサーロール・タイトナー及び補助加熱装置の両方共、設置せず、圧延基間の間隔を調整可能とする圧延基の圧延パスライン方向への移動調節機能の付与
複数機近接圧延基の間にダンサーロール・タイトナーも補助加熱装置も設置しなければ、設備関係のコストにおいて極めて有利である。しかし、この場合であっても、超微細粒組織を有し、断面形状・寸法及び表面品質が良好であって、機械的性質が良好な鋼線等の金属線を効率的に製造するために、被圧延材の温度管理とカリバーロール孔型への適正な充満度が得られ、捻転が発生しないことが必須条件となる。この内、温度管理については、圧延速度を速くし、目標線径が適度に大きい場合を条件とすることによりある程度対処が可能となる。
今、温間圧延装置の圧延基群の中の隣接する圧延基間において、上手側の圧延基内の最下手側圧延機の圧下方向と、下手側の圧延基内の最上手側の圧延機の圧下方向が90°をなして配設されている場合を考える。この場合には全ての圧延機はその圧下方向が水平面に対して45°の傾斜をなすように(従って、カリバーロールの軸心を水平面に対して45°傾斜させて)配設することが多い。このように圧延基全体を配設することにより、圧延機の運転操作がやり易くロール組替え作業も楽になり、操業管理上、特に設備の保守・管理上望ましいからである。
この場合の例として、第7発明のように2機近接圧延基が2基以上、例えば、3基配設されているときが該当し、更に、孔型形状の組み合わせとして大ひずみ導入の観点から望ましい、各圧延基内の孔型を、オーバル孔型に次いでスクエア孔型(又は3基目のみラウンド孔型)とする場合を例示する。そして、被圧延材のスタート線径と仕上げ線径の関係、被圧延材の化学成分組成、及び仕上げ材の目標とする機械的性質等を考慮して、最も効率的な操業をする場合に、隣接する圧延基間の間隔(上手側圧延基の第2番目圧延機と下手側圧延基の第1番目圧延機のそれぞれの圧延機のカリバーロール対同士間の軸心間距離)を所要の距離に調節する必要がある。それは、上手側圧延機の第2番目圧延機の圧下方向と、下手側圧延機の第1番目圧延機の圧下方向が90°をなしているので、下手側圧延基の第1番目圧延機のオーバル孔型の湾曲面の中央部によって、上手側圧延基の第2番目圧延機から出てくる断面が角形状の材料の対頂角部(コーナー部)が圧延される姿勢で噛み込まれるのを避け、被圧延材の角形状断面の対辺面が噛み込まれる姿勢とすることが容易に安定してなされ得るためである。
上記のように望ましい姿勢で被圧延材が下手側圧延基の第1番目圧延機に噛み込まれることを実現するために、2機近接圧延基は、3基の内、少なくとも下手側の2基は、例えばスライド可能なベース上に配設されていることが望ましい。
かくして、圧延基間にダンサーロール・タイトナー及び補助加熱装置の両方共、設置しない場合であって、上手側圧延基の最下手側の圧延機と、その圧延基の下手側に隣接する圧延基の最上手側の圧延機の圧下方向を45°傾斜させなくても、例えば、90°であっても、被圧延材の噛み込み・圧延時における倒れ・捻転が発生せず、正常な圧延が行なわれ、充満度が良好で断面形状及び表面性状の良好な線材が得られる。
更に、圧延基の圧延パスライン方向への移動調節装置には、圧延パスライン上から圧延基を退避させるための、圧延基退避装置が付帯して備えられていれば、購入した被圧延材の線径と製造目標線径との関係に応じて、圧延パススケジュールを見直し、一部の圧延基を退避させ、長くなった圧延基間の間隔を適切な間隔に狭めることができ、極めて有効である。
上記被圧延材の45°捻りが極めて安定且つ正確に行なわれるために必要な、圧延基間の上手側圧延機と下手側圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3))は、材料の線径、孔型の形状緒元、圧延速度、パススケジュール等の圧延工程の設定条件により、適切な値が決まる。この適切な値は、上記各種の設定条件につき試験を行ない、決定すればよい。
<10>温間圧延装置のその他の特徴
本願発明は上記の構造にするに当たり、従来一般的に設けられている圧延機のハウジングを設けず、ハウジングレス構造とすることにより、特に、各圧延基内の偶数番目圧延機のカリバーロールの胴長(図2の符号Qを参照)を短くすることが可能となり、これにより圧延基内の各圧延機のロール軸心間距離(L)を至近距離にすることに寄与している。また、カリバーロールの駆動を圧延機単位の独立駆動方式を容易にしている。
<11>温間圧延装置と冷間加工装置とを連続一体化する
同一製造ラインの温間圧延装置の下手側に冷間加工装置を連続して配設し、一体化された金属線乃至金属細線の製造ラインとシステムを構成する。このような設備例は見当たらないが、この製造ライン及びシステムにより、生産工程管理の一元化、生産効率の向上、製品納期の短縮化、製造コスト及び設備コスト等の低減上、多くの場合に有利となる。
<12> 望ましい温間圧延装置のレイアウト
本願発明の温間圧延装置の構造とその特徴を生かした望ましい温間圧延装置のレイアウト概要の例を説明する。
(1)図5は、圧延基として最上手側に4機近接圧延基(14)が配設され、その他に2機近接圧延基が2基(30及び16)配設された温間圧延装置のレイアウトを説明する概略図である。また、図6は、図5に含まれる4機近接圧延基(14)の外観図であり、圧延パスラインに沿って4機近接圧延基の側面図を中央に、正面図を左側に、背面図を右側に示す。第1番目圧延機と第2番目圧延機の圧下方向は直角、第2番目圧延機と第3番目圧延機の圧下方向は45°、そして第3番目圧延機と第4番目圧延機の圧下方向は直角をなしている。
図5に示すように、線材供給装置(9)から巻き戻された鋼線材等の被圧延金属線材(5)が、ストレートナー(10)及びピンチロール(11)を経由して大容量の急速加熱装置(12)に入り、所定の温間圧延温度域まで急速に昇温される。次いでサポートロール(13)で支持されつつ4機近接圧延基(14)に入る。4機近接圧延基(14)は、本願発明に係る温間圧延装置の各種要件を満たしており、これに含まれる第1番目圧延機から第4番目圧延機(順に、14a、14b、14c、14d)のカリバーロールの孔型は順に、オーバル→スクエア→オーバル→スクエアとなっている。
これから出てきた金属線は、ダンサーロール・タイトナー(15)で弛みが調整された状態で、急速補助加熱装置(24)に入り、適切に昇温後、第1番目2機近接圧延基(30)に入る。この圧延基(30)に含まれるカリバーロールの孔型も順に、オーバル次いでスクエアとなっている。これから出てきた金属線は、引き続き第2番目2機近接圧延基(16)に入る。この第2番目2機近接圧延基(16)に含まれるカリバーロールの孔型は、順にオーバル次いでラウンドとなっている。ここで、第2番目圧延機(16b)の孔型がラウンドとしてあるのは、第2番目2機近接圧延基(16)をサイジング圧延機として機能させるためである。但し、サイジング圧延機とせず、この温間圧延装置のラインで製造された鋼線を、更に別の温間圧延装置のラインで縮径する場合には、上記ラウンド孔型の代わりにスクエア孔型とするのがよい。次いで、サポートロール(17)を経由して線材巻取装置(18)に巻き取られる。第1番目から第3番目の圧延基の上記孔型カリバー配置は、非圧延材に大塑性ひずみを導入するのに適している。
(2)図7は、2機近接圧延基が3基配設された温間圧延装置のレイアウトを説明する外観図である。また、図8は、図7に含まれる2機近接圧延基(19、20、21)に共通の外観図であり、圧延パスラインに沿ってこの2機近接圧延基の側面図を左側に、正面図を右側に示す。
図7に示すように線材供給装置(9)から巻き戻された鋼線材等の被圧延金属線材(5)が、ピンチロール(10)及びストレートナー(11)を経由して大容量の急速加熱装置(12)に入り、所定の温間圧延温度域まで急速に昇温される。次いで第1番目2機近接圧延基(19)に入って圧延が行なわれ、次の第2番目2機近接圧延基(20)に入って圧延が行なわれ後、第3番目2機近接圧延基(21)に入って圧延が終り、次いで線材巻取装置(18)に巻き取られる。なお、補助加熱装置(24)を、圧延速度とパススケジュールによっては、第2番目2機近接圧延基(20)と第3番目2機近接圧延基(21)との間に配設してもよい。
2機近接圧延基(19、20、21)はいずれも、本願発明に係る温間圧延装置の各種要件を満たしており、いずれの2機近接圧延基内においても、第1番目圧延機の孔型はオーバルであり、第2番目圧延機の孔型はスクエアである。そして、第1番目から第3番目の全ての2機近接圧延基内の圧延機は全て、その圧下方向が水平面に対して45°の傾きをなすように配設されている。従って、各2機近接圧延基間において隣接する圧延機間(即ち、19bと20aの間、及び20bと21aの間、但し、20bと21aの間には適宜、補助加熱装置24が介在してもよい)での圧下方向は、直角をなしていることになる。
なお、このように直角をなしていても、各2機近接圧延基間において隣接する圧延機(19bと20a、20bと21a)のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3))を調節可能とする装置(図示せず)により、軸心間距離(L(3))は適切な間隔に調整される。
なお、上記において、第1番目から第3番目の圧延基の上記の孔型カリバー配置は、被圧延材に大塑性ひずみを導入するのに適している。
更に、図7の温間圧延装置において、補助加熱装置24は設けないが、設けた場合には必要に応じて圧延パスライン上から退避させ、且つ第3番目2機近接圧延基(21)を、軸心間距離(L(3))が適切な間隔に調整される。
例えば、第2番目及び第3番目の2機近接圧延基(20及び21)と、補助加熱装置(24)をスライドベース(25)上に配設すると共に、第2番目と第3番目の2機近接圧延基(20と21)との間隔を調節するための付帯装置を設ける。2機近接圧延基の全て(19、20、21)をスライドベース(25)上に配設してもよい。スライドベース(25)上の補助加熱装置(24)は圧延パスライン方向に直角方向に移動してラインオフさせることが可能なように、昇降及びスライド装置(26)を付帯させる。 また、第2番目と第3番目の2機近接圧延基(20と21)との間隔を調整するための付帯装置を設けて、L(3)に相当する距離を制御又は調節できるようにしてもい。
更に、2機近接圧延基(19、20、21)は、圧延パスライン方向及び直角方向にも移動可能で、且つ圧延パスラインの中心線を回転軸とする傾転可能な昇降及びスライド並びに傾転装置(27)を付帯させてもよい。これは、生産計画に基づく線経に応じたパススケジュールの設定により、L(3)に相当する距離を極めて近接させることも可能な装置とする方が望ましい場合にも対応できる。
なお、所望の線径や用途に応じて、図7のレイアウトの場合にも、図5における第2番目の2機近接圧延基(16)をサイジング圧延機として機能させることに言及したが、ここにおいても、第3番目圧延機(21)をサイジング圧延機として設定してもよい。
また、更に、補助加熱装置(24)の直前に、昇降及びスライド装置(26)を付帯させた冷却装置(図示していない)を配設してもよい。これは、ここで一旦冷却した後で、あらためて急速加熱する補助加熱装置(24)で再加熱することにより、圧延温度管理を一層精度よく行なえる場合に対処するものである。
(3)圧延開始時の熱間圧延鋼線材から本願発明に係る温間圧延装置及び方法により得られる鋼線までの総減面率を75〜80%とした場合、例えば、6mmφの熱間圧延鋼線材から3mmΦの温間圧延鋼線を製造する場合の圧延機配列として、次の形態が望ましい。
2機近接圧延基を基本とし、圧延機の孔型をオーバルに次いでスクエアとすることが望ましく、1基の2機近接圧延基による減面率は35〜50%程度が望ましい。従って、6パスによる圧延形態が望ましく、次の4種の配置を望ましい形態としてあげることができる。
(a)第1配置
a−1:6機の圧延機からなる6機近接圧延基を構成し、
a−2:隣接する圧延機のカリバーロール軸心間の角度を順次、
90°→45°→90°→45°→90°とする。
(b)第2配置
b−1:2機近接圧延基を3基、直列に配置し、
b−2:隣接する圧延機のカリバーロール軸心間の角度を順次、
90°→90°→90°→90°→90°とし、隣接する2機近接
圧延基間の上手側圧延機と下手側圧延機のカリバーロール軸心間の
距離を前記(3)式:L(3)≧3L(2) を満たすようにする。
(c)第3配置
c−1:2機近接圧延基が1基で1ラインを構成し、
c−2:3ラインを並列に相互に独立して配置する。
(d)第4配置
d−1:2機近接圧延基が1基のみで1ラインを構成し、
d−2:上記1ラインの2機近接圧延基のカリバーロールを組み替えて、
3工程の圧延をする。
但し、(a)から(d)のいずれにおいても、1基の圧延基内の隣接する圧延機のカリバーロール軸心間の距離は、所望の距離に調節可能な装置を配設することが極めて望ましい。
また、少なくとも線材供給装置(図7の符号9参照)、急速加熱装置(図7の符号12参照)及び線材巻取装置(図7の符号18参照)を配設する。
<13>ハウジングレス構造
本願発明はこのような構造にするに際して、従来の近接圧延機においてハウジングを設けない構造とし(ハウジングレス構造)、更に例えば、第1番目2機近接圧延基内の第1番目及び第2番目圧延機のカリバーロール、並びに第2番目2機近接圧延基内の第1番目及び第2番目圧延機のカリバーロールは全て、カリバーロール対単位の単独駆動モーター方式としてあり、各圧延基内の第1番目と第2番目圧延機のカリバーロール回転速度を独立に制御する速度比例制御をしている。
従って、ハウジングレス構造とすることにより、両2機近接圧延基内の第2番目圧延機のカリバーロールの胴長を短くすることと相俟って、両圧延機のカリバーロールの軸心同士間の距離(L)を至近距離にすることに寄与している。さらに、本願発明では両圧延機とも、カリバーロールの組替えを容易に行なうことができる構造とするとともに、第2番目圧延基以後の上手側に、高周波誘導加熱式の連続急速の温間補助加熱装置(図示省略)を設けてもよく、高周波誘導電流による被圧延鋼線材の加熱温度を容易に制御することを可能としている。

次に、上述した特徴を有する本願発明に係る温間圧延装置を用いた金属線乃至金属細線の製造方法について述べる。
<14>偶数の圧延機が近接して構成された圧延基内の偶数番目の圧延機による被圧延金属材の孔型充満度の制御方法
孔型充満度を左右する基本条件は、材料の幅広がりと伸びにあるが、これに対する影響因子としては、幾何学的要因をはじめ、材料の加工温度、加工開始速度、パススケジュール(近接した圧延機同士の孔型の形状・寸法)、ロール径、ロール軸心間距離、材料とロール接触面との摩擦条件等、多数あるが、本願発明においては、前提条件として、被圧延材に倒れ(捻転)を発生させず、微細粒組織を得るために、金属種の化学成分組成に応じた適正な温間加工温度域において、ロール軸心間距離を極めて近接させており、孔型としてオーバル→スクエア、又はオーバル→スクエアの組合せを基本として多方向加工であって、1パス当たり減面率を大きくとることとしている。
そこで、上記前提条件下において、孔型充満度に対する上記多数の影響因子を個別に設定し制御するのではなく、偶数の圧延機が近接している「圧延基」 (本願明細書においては、カリバーロール対を有する圧延機が直列に配設され、且つ前記の本願発明の配設条件が満たされている圧延機群を総称する)で圧延される金属線材の総減面率R(%)に応じて、第1番目圧延機(例えば、図1に示した符号1)のカリバーロール(2a、2b)の外径周速度V(1)に対する、第2番目圧延機(例えば、図1に示した符号3)のカリバーロール(4a、4b)の外径周速度V(2)の比(「カリバーロール外径周速度比V(2)/V(1)」と表記する)を適切に設定することにより、適正な材料充満度を得るのである。
図9は、C含有量が0.004〜0.45質量%の各種炭素鋼であって、初期線径が6.0mmφの丸、対辺間距離が3.9mmの角、又は対辺間距離が3.1mmの角である炭素鋼線材を、本願発明の上記前提条件下において2機の圧延機が近接する2機近接圧延基により温間圧延加工を施したときに、総減面率R(%)の変化に対して、適正な材料充満度が得られたときのロール外径周速度比V(2)/V(1)を○印で示すグラフである。なお、ロール外径周速度比V(2)/V(1)が適正値よりも小さ過ぎると、過充満(×印)となり、大き過ぎる充満不足(△印)となる。総減面率R(%)が30〜50%の範囲内の場合は、下記(4a)式と(4b)式とで囲まれる範囲が望ましい。
(2)/V(1)=0.019・R+0.68 …………(4a)
(2)/V(1)=0.017・R+0.66 …………(4b)
また、図9と同じ実験条件下において、下手側圧延機(第2番目圧延機)のスクエア又はラウンド孔型カリバーロールの孔型面積S2−CAL及び上手側圧延機(第1番目圧延機)のオーバル孔型カリバーロールの孔型面積S1−CAL を生産工程計画に従って設定し、このS2−CALとS1−CALとの組合せに応じて、それぞれのカリバーロールの出側における鋼線材の速度V2−outMAT及びV1−outMATを下記(4)式が満たされるように調整しても、適正な材料充満度を得ることができる。
2−CAL×V2−outMAT=A’×S1−CAL×V1−outMAT …………(4)
但し、A’=1.01〜1.08
更に、カリバーロールの出側における鋼線材の速度V2−outMAT及びV1−outMATの代わりに、中立点速度又は入側速度を算定し、それぞれに対応する中立点面積又は入側面積を算定して、これらを用いて(4)式が満たされるように調整しても、適正な材料充満度を得ることができる。
なお、上記における出側速度、中立点における孔型面積及び鋼線材の速度、並びに入側における孔型面積及び鋼線材の速度の算定は、例えば、次の方法により行うものとする。
「算定方法の概要」:
オーバルの断面積は、まずその長径、短径から楕円の面積を計算し、その85%を面積とする。スクエアの場合は、対辺長さから正方形として計算する。また、画像処理等を利用して、直接求めてもよい。中立点は断面積が入側、出側の半分になった地点とする。ロール周速度と中立点での材料速度は一致する。しかし、溝ロールの場合、ロール外周速度(外径100mm)とするか溝谷径速度(たとえば97.46mm)とするかで、異なるので、表1に示すように、両方の場合を計算した。中立点の面積×周速度の値が中立点、入側、出側で一定とすれば、オーバル、スクエアにおける入側、出側のそれぞれの周速度を出すことができる。ロール周速度として、溝谷部分の速度を採用した場合、
(素材断面積+S(1))/2×V×溝谷径/100=V1in×素材断面積
(素材断面積+S(1))/2×V×溝谷径/100=V1out×S(1)
(S(1)+S(2))/2×V×溝谷径/100=V2in×S(1)
(S(1)+S(2))/2×V×溝谷径/100=V2out×S(2)
表1に上記計算結果を示す。但し、表1中、第1、第2及び第3工程の出側における面積は、全て孔型面積である。
<15>被圧延金属線の金属種に応じて適正な温間圧延温度に設定
圧延温度の設定は、被圧延金属線の金属種に応じて適正な温度を選定する。選定基準は、製造される金属細線の結晶粒の微細化が行なわれる加工温度を基準とする。圧延加工開始から終了までの温度を、C含有量が0.45質量%以下の炭素鋼の場合は、200〜850℃の範囲内で、望ましくは350〜850℃の範囲内で、Mg合金の場合は例えば、250〜360℃の範囲内で(特開2003−155547を参照)、またZn−Al合金の場合は例えば、100〜275℃の範囲内とする。更に、金属種がTi合金やMg合金等のように、変形抵抗が小さく、そのため加工発熱量が小さい場合には、圧延中の被圧延材の温度低下が大きいので、圧延機間隔が本願発明の装置の中でも、至近距離で接近して温間圧延装置を用いることが望ましい。
<16>温間圧延における材料ひずみの確保
本願発明の温間圧延方法においては、偶数機の近接した圧延機で構成された圧延基 による被圧延材の真ひずみ:e=ln(S/S)が0.90以上(総減面率R換算で、50.5%以上)となるように設定することが望ましいが、更に望ましくはe≧1.4(総減面率R換算で、75%以上)とする。

次に、この出願の発明を実施例により更に詳しく説明する。
本発明の範囲内にある実施例及び本発明の範囲外にある比較例について述べる。

〔I〕はじめに、図10に示す試験用の温間圧延装置を製作し、この装置の中に符号19’で示す2機近接圧延基を配置した。この2機近接圧延基 (a)は、前述した図5に示した第1発明、又は図7に示した第7発明のそれぞれに係る温間圧延装置内の2機近接圧延基(図7中の符号19、20、21、図7中の符号30)に相当するものである。
〔I−1〕実施例1、2 比較例1〜4
(1)はじめに、本発明の範囲内にある実施例1、2について述べる。
第1番目圧延機と第2番目圧延機とからなる2機近接圧延基を用い、第1番目圧延機のカリバーロール外径周速度(V(1)’又はV(1))に対する第2番目圧延機のカリバーロール外径周速度(V(2)’又はV(2))の比(V(2)’/V(1)’又はV(2)/V(1))が、第2番目圧延機のカリバーロールの孔型に対する被圧延鋼線材の適正充満及び捻転防止に対してどのように影響するかを主体に確認する試験を行なった。
例えば、図7に示した3基の2機近接圧延基(19,20,21)が直列に配設された本願の第9発明に係る温間圧延装置による試験を想定した試験を行なった。同図中の第1番目2機近接圧延基(19)から第3番目2機近接圧延基(21)までのいずれの2機近接圧延基(19、20、21)を取り上げても、1機ずつ独立したものとしてみなすことができる圧延基として、図1〜図3に示した説明図に相当する試験用の2機近接圧延基を1基製作して試験に供した。
この試験用の2機近接圧延基の使用方法は、この2機近接圧延基を構成する2機の圧延機の両カリバーロール対を目的とする孔型形状のものに組替えることにより、第1番目から第3番目までのそれぞれの2機近接圧延基に相当する装置を組み立てた。そして、ここでは図7の第1番目2機近接圧延基(19)で行なわれる温間圧延に相当する試験を「第1工程」圧延試験と呼び、第2番目圧延基(20)及び第3番目圧延基(21)で行なわれる温間圧延に相当する試験をそれぞれ、「第2工程」圧延試験及び「第3工程」圧延試験と呼ぶことにする。
表2に、第1〜第3工程の圧延試験において、上記試験用の2機近接圧延基の第1番目圧延機及び第2番目圧延機に組み込んだカリバーロール対の試験条件を示す。
第1工程圧延試験では、第1番目圧延機のカリバーロール対として孔型形状がオーバルであってロール径が100mmのものを、第2番目圧延機のカリバーロール対としては孔型形状がスクエアであってロール径が100mmでロール胴長が40mmという極めて短いカリバーロールを組み込んだ。そして、この第1番目圧延機と第2番目圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(2))は110mmと近接しており、本願第7発明の(2)式の関係を満たしている。
なお、表2に記載のBはオーバル孔型の長径、Hはその短径であり、Cはスクエア孔型の対辺間距離であり、Dはラウンド孔型の直径である。
上記試験用の2機近接圧延基を用いて、熱間圧延により製造された表3に示す成分A(0.005%C鋼)及び成分C(0.45%C鋼)の化学成分組成を有する線径6mmφの鋼線材のそれぞれを、温間圧延試験に供した。温間圧延試験方法の主な条件を、表4に示す。この鋼線材のC方向断面の平均結晶粒径は20μmであった。
第1工程圧延試験では、上記線径6mmφの熱間圧延鋼線材を所定の温間圧延温度に加熱し、加熱装置から排出走行する被圧延鋼線材を、表2に示した第1工程用にセットした2機近接圧延基の第1番目圧延機のカリバーロール(「第1番カリバーロール」と呼ぶ)でオーバル孔型圧延を行ない、次いで第2番目圧延機のカリバーロール(「第2番カリバーロール」と呼ぶ)でスクエア孔型圧延を行ない、その際、表4に示した第1工程用の圧延条件(パススケジュール、総減面率、第1番カリバーロールの外径周速度(V(1))に対する第2番カリバーロールの外径周速度(V(2))の比)で温間圧延を行ない、圧延終了後、大気放冷した。
次に、第2工程圧延試験として、第1工程で得られた約3.9mm角の鋼線材を、表2に示した第2工程用のカリバーロール対に組み替えた後、第1工程におけると同様、第1番カリバーロールでオーバル孔型圧延を行ない、次いで第2番カリバーロールでスクエア孔型圧延を行ない、その際、表4に示した第2工程用の圧延条件で温間圧延を行ない、圧延終了後、大気放冷した。
但し、第1番カリバーロールに上記3.9mm角の鋼線材を噛み込ませるに際しては、その角鋼線材の対辺面をオーバル孔型の湾曲面で圧下する方向となるようにカリバーロールに噛み込ませた。このような方向に断面が角形状の鋼線材を噛み込ませた理由は、本願の温間圧延装置の望ましい特徴の一つである、圧延パスライン上に2機近接圧延基が複数基、直列に配設されている場合、下手側圧延基内の第1番カリバーロールと、その直ぐ上手側圧延基内の第2番カリバーロールとは、両者の圧下方向がX軸(圧延パスラインの中心線)を中心に45°傾斜している場合に相当させるためである。このように鋼線材を噛み込ませることにより、噛み込む瞬間及び圧延中において鋼線材に捻転・倒れを生じさせないこと、且つロールからの加工方向を大きく変化させることにより導入されるひずみ量が大きくなり、鋼線材の中心部までフェライト結晶粒の微細粒化に寄与させることができる。以後、第1工程に準じた方法で温間圧延し、圧延終了後、大気放冷した。
そして、第3工程圧延試験として、第2工程で得られた約3.1mm角の鋼線材を上記第2工程におけると同様に、対辺面をオーバル孔型の湾曲面で圧下する方向となるようにカリバーロールに噛み込ませて、以後、第1、第2工程に準じた方法で温間圧延し、圧延終了後、大気放冷した。第3工程により、線径約2.8mmφの鋼線を調製した。
第1〜第3工程の各工程の温間圧延試験では、第1番カリバーロールの外径周速度(V(1))に対する第2番カリバーロールの外径周速度(V(2))の比V(2)/V(1)を、表4に示した通りの2水準又は3水準に変化させて試験した。但し、いずれの工程でも第1番カリバーロールの外径周速度V(1)を一定値の4.0m/minに設定して試験した。
〔実施例1及び実施例2〕
以上の試験の結果、第1工程圧延試験では、V(2)/V(1)を1.50としたときに、鋼線材の捻転が発生せず、しかも孔型への充満度が適正であった。第2工程圧延試験では、V(2)/V(1)を1.30としたときに、そして第3工程圧延試験ではV(2)/V(1)を1.28としたときに、鋼線材に捻転が発生せず、しかも第2番目圧延機のカリバーロールの孔型に対する被圧延鋼線材の充満度が適正であった。表5に、実施例1及び2の試験結果を示す。
また、図11に、鋼線材に捻転が発生せず、しかも孔型への充満度が適正であったときの各鋼線のC方向断面のナイタール腐食組織の拡大写真を例示する。図11の(a)、(b)及び(c)は、実施例1の第1工程終了後、第2工程終了後及び第3工程終了後のC方向断面組織に対応する。
上記において、総減面率R(%)は、第1工程、第2工程及び第3工程における2機近接圧延基による各工程単位における被圧延鋼線材の総減面率であって、総減面率の設定値においては、圧延後の材料(鋼線材)の断面積の代わりに、カリバーロールの孔型面積(実測値)を用いている。
上記の鋼線材の捻転が発生せず、孔型への充満度も適正であった試験において得られた鋼線材又は鋼線のC方向断面における平均フェライト粒径、引張強さTS、絞りRA及びビッカース硬さHの値を、表5に併記した。
この場合には、カリバーロール外径周速度比V(2)/V(1)と総減面率Rとの間には、本願の第14明の構成要件にある(3)式が満たされている。
なお、圧延開始から終了までの材料の圧延温度範囲は、第1から第3のいずれの工程においても、また0.005%C鋼及び0.45%C鋼のいずれの被圧延鋼線材の場合も、入側温度が650〜440℃の範囲内であり、出側温度が490〜220℃の範囲内であった。
このように、温間温度域に圧延温度が保たれたのは、第1番カリバーロールと第2番カリバーロールとが近接して配置されていることに拠るところが大である。
上記試験結果より明らかなように、この温間圧延装置を用いて本願発明の温間圧延方法を行なったところによれば、線径6mmφの成分A(0.005%C)、成分C(0.45%C)の鋼線材から、第1工程においてオーバルカリバーに次ぐスクエアカリバーによる連続2パス圧延で総減面率R=46.2%の圧延をし、第2工程においてオーバルカリバーに次ぐスクエアカリバーによる連続2パス圧延で総減面率R=38.0%の圧延をし、そして第3工程においてオーバルカリバーに次ぐラウンドカリバーによる連続2パス圧延で総減面率R=35.1%の圧延を行ない、第1工程開始から第3工程終了までの圧延における材料の全減面率(ΣRで表記する)が78.2%の温間圧延加工により、第1工程から第3工程のいずれにおいても、材料の孔型充満度が適正であり、また、材料の倒れの発生はなく、鋼線材の捻転による表面疵の発生もなく良好な断面形状・寸法及び表面性状の鋼線であって、超微細フェライト粒径の高強度且つ高絞り特性を有するものが得られた。
なお、上記実施例1及び2では、第1工程から第3工程のそれぞれにおいて、パススケジュールが、オーバル→スクエア、オーバル→スクエア、及びオーバル→ラウンドであり、且つ孔型寸法も各工程毎で一定とした場合であるが、これら孔型の条件を変化させた場合でも、本願発明の基本的目的を達成することは可能である。その理由は、2機近接圧延基内の第1番カリバーロールと第2番カリバーロールのX軸方向におけるカリバーロール軸心間距離が近接しており、且つ両カリバーロールによる圧下方向が直角をなしており、しかも本願発明の温間圧延方法の他の要件を満たしているからである。
(2)次に、本発明の範囲外にある比較例1〜4について述べる。
比較例の試験は、実施例の試験で使用した試験用の2機近接圧延基 を用い、表3に示した成分A(0.005%C)、成分B(0.25%C)及び成分(0.45%C)の各化学成分組成の線径6mmφの熱間圧延で製造された鋼線材のそれぞれについて、実施例に準じる試験方法を実施したが、本願発明における大きな知見である、材料の充満度に影響を及ぼす因子の内、第1番カリバーロールの外径周速度V(1)に対する第2番カリバーロールの外径周速度V(2)の比V(2)/V(1)に注目し、これの影響を実証することを目的とした試験とした。そこで、表6に示す試験条件を設定した。
〔比較例1〜比較例4〕
上記試験目的を達成するために、比較例1及び2では、本願発明の要件を部分的にだけ満たす場合の温間圧延試験を行なった。
即ち、比較例1は、第1工程においては、本願第9発明を想定した場合の第1番目2機近接圧延基におけるカリバーロールの外径周速度比V(2’)/V(1’)の要件(第11発明の(3)式)及び総減面率の要件(30〜50%の範囲内であること)を満たすように設定したが、第2工程においては、カリバーロールの外径周速度比V(2’)/V(1’)の要件は満たさない場合の試験を行なった。
また、比較例2は、2機近接圧延基が3基直列配置された温間圧延装置を想定した場合の、第3工程のカリバーロールの外径周速度比V(2’)/V(1’)が適正でない場合の試験を行なった。
比較例3及び比較例4は、第1工程のみの試験により、第1番目の2機近接圧延基におけるロール周速度比V(2’)/V(1’)が適正でない場合の試験を行なった。
比較例1〜比較例4においても、実施例における鋼線の確性試験に準じた確性試験を行なった。その結果を、表6に併記した。また、図12に、比較例1における第2工程終了後に、孔型に対する材料の充満度の状態が、過剰となっている状態を例示する鋼線のC断面写真を示す。
上記試験結果より明らかなように、本願発明の温間圧延装置を用いた鋼線材の圧延を行なった場合でも、カリバーロール外径周速度比V(2)/V(1)のみが適正でない条件で行なわれた圧延では、材料の適正な孔型充満度を得ることができず、従って、材料の倒れ発生や表面疵が発生することが確認された。
〔I−2〕実施例3〜5、比較例5
(1)温間圧延試験材及び冷間伸線試験材の機械的性質
次に、前記図10に示した試験用の2機近接圧延基が1基配置された温間圧延装置を使用して、前述した実施例1、2に準じて、第1、第2、及び第3工程の各圧延試験を行ない、第3工程終了後に得られた温間圧延仕上がり鋼線(断面の寸法・形状は約2.8mmφである)の機械的性質として、引張強さTS、絞りRA、ビッカース硬さHを測定した。更にここで得られた温間仕上り鋼線を、熱処理することなく、従来法により冷間伸線して、得られた冷間伸線仕上りの鋼線(断面の寸法・形状は1.35mmφである)の機械的性質(引張強さTS、絞りRA、ビッカース硬さH)を測定した。
上記において、試験用温間圧延装置による第1工程に供給した鋼線材は、化学成分組成として、C含有量が、
(1)0.11質量%(→実施例3)
(2)0.46質量%(→実施例4)
(3)0.05質量%(→実施例5)
であって、JIS G3507−1「冷間圧造用炭素鋼−第1部:線材」の内、アルミキルド鋼の規定を満たすものである。当該鋼線材は熱間圧延により製造された線径6mmφの鋼線材であり、球状化焼なましが施されたものである。上記(1)〜(3)のC含有量を有する鋼線材を使用した試験を、それぞれ実施例3〜実施例5と呼ぶことにする。
表7に、実施例3〜実施例5で得られた温間圧延仕上がり鋼線、及び冷間伸線仕上がり鋼線の機械的性質の測定値を示す。
(2)上記冷間伸線材から得られたマイクロねじの特性
上記(1)で得られた冷間伸線仕上がりの1.35mmφ鋼線に熱処理を施すことなく、M1.7のマイクロねじに冷間圧造により成形加工した。実施例3〜実施例5のいずれの冷間伸線鋼線を使用した場合も、ねじのヘッダー加工におけるわれの発生はなく、またねじ部の転造加工においても問題はなく、成形性は優れていた。図13に、得られたマイクロねじの外観写真を例示する。
次いで、上記で得られたマイクロねじをJIS B1055に規定されているねじり強さ試験の方法により、マイクロねじが破壊するまでトルクを加えた。
表8に、その結果を例示する。なお、同図中には、C含有量が0.16%のSWCH16Aの化学成分を有し、熱間圧延により製造された鋼線材に球状化焼なましを施し、次いで冷間伸線と軟化熱処理を施して1.35mmφ鋼線を製造し、これからM1.7の浸炭焼入・焼戻しされたマイクロねじとして市販されている製品についての試験結果も併記した。これを比較例5と呼ぶことにする。
表8からわかるように、C含有量が0.11質量%以上である実施例3、4で製作されたマイクロねじの破壊トルクは、比較例5で製作されたC含有量が0.16質量%であって市販品の浸炭焼入・焼戻しされたマイクロねじの破壊トルクと同等乃至それよりも優れていることがわかる。このような結果が得られた理由は、実施例3、4では適切な温間加工により微細粒組織鋼が造られ、これを冷間伸線加工した鋼線の組織が望ましい微細粒組織を有するために、優れた強度と冷間塑性加工性を有するためである。
〔II〕次に、図14に示すように、2機近接圧延基(符号19’)を2基、直列に配置した試験用の温間圧延装置を製作し、試験に供した。この2機近接圧延基は、前述した図7に示した第7発明若しくは図5に示した第8発明、のそれぞれに係る温間圧延装置内の2機近接圧延基(図7中の符号19と20、又は20と21、図5中の符号30と16)に相当するものである。
特にこの温間圧延装置の特徴は、2基の2機近接圧延基(19’)間の間隔(第7発明に含まれる(3)式のL(3)であってこの距離を調節することができる圧延基移動調節装置(図示は省略してある)が、2基の2機近接圧延基(19’)を搭載配設しているスライドベース(19f)上に設けられていることである。なお、圧延基移動調節装置は、例えば、2基の2機近接圧延基(19’)が車輪を介してレール上に載っており、駆動装置により制御移動させる機能を有する装置であればよい。
〔II−1〕実施例6
本発明の範囲内にある実施例6について述べる。
(1)上記図14の温間圧延装置の2機近接圧延基の諸元は次の通りである。第1番目2機近接圧延基と第2番目2機近接圧延基は、それぞれ表2に示した第1工程と第2工程のカリバーロール対の孔型形状、寸法、カリバーロールの径、胴長と同一であり、第1番目圧延機と第2番目圧延機とのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間の距離は、第1番目圧延基(9’)では110mmであり、第2番目圧延基(9’)では90mmである。
一方、第1番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機と、第2番目の2機近接圧延基の第1番目圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間の距離(第7発明に含まれるL(3)に相当する距離)を、400mmとした。
更に、第1番目圧延機と第2番目圧延機の圧下方向は、第1番目及び第2番目圧延基共に、90°傾斜しており、また、全ての圧延機の圧下方向は水平に対して45°傾斜している。従って、第1番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機と第2番目の2機近接圧延基の第1番目圧延機の圧下方向は、直角である。
また、第1番目の2機近接圧延基と第2番目の2機近接圧延基とのパススケジュール、及び各圧延基による総減面率Rは、前記表4の中のそれぞれ第1工程及び第2工程と同一である。そして、カリバーロールの外径周速度比は、
第1番目の2機近接圧延基においては、4.0m/min:6.0m/min=1.50であり、第2番目の2機近接圧延基においては、7.9m/min:11.0m/min=1.39で行なった。
以上の温間圧延条件で、表9に示す化学成分組成を有し、熱間圧延により製造された線径6mmφの鋼線材であって、球状化焼きなましを施された鋼線材を圧延した。
圧延温度は、第1番目の2機近接圧延基の入側で550℃、出側で450℃であり、第2番目の2機近接圧延基の出側で400℃であった。圧延終了後、大気放冷した。
<試験材の採取>
上記試験において、下記の通り試験材を採取した。
上記6.0mmφの鋼線材をコイルからコイルへと連続圧延中に圧延を停止して、圧延開始前から圧延終了までの圧延過程における連続した鋼線材の試験材を採取した。
第1番目の圧延基の入側前方の未圧延鋼線材(6.0mmφ)の部分(「試験材領域0」という)から、
第1番目の2機近接圧延基の第1番目圧延機(オーバル孔型)で圧延開始から終了後までの部分(「試験材領域1−1」という)、
第1番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機(スクエア孔型)で圧延開始から終了後までの部分(「試験材領域1−2」という)、及び、
第2番目の2機近接圧延基の第1番目圧延機(オーバル孔型)で圧延開始から終了後までの部分(「試験材領域2−1」という)、
第2番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機(スクエア孔型)で圧延開始から終了後までの部分(「試験材領域2−2」という)
が含まれた試験材を採取した。
上記試験材につき、次の確性試験を行なった。
(1)外観写真と代表的位置における寸法測定
図15(a)、(b)に、試験材領域−0から試験材領域1−2までの外観写真と、試験材領域−0の直径寸法、及び試験材領域1−1におけるオーバル材料の長辺寸法と短辺寸法の測定値を記入し、図16(a)、(b)に、試験材領域1−2から試験材領域2−1を経て試験材領域2−2までの外観写真を示し、試験材領域2−1におけるオーバル材料の長辺寸法と短辺寸法の測定値を記入した。
図17(a)に、試験材領域−0のC断面、試験材領域1−1のオーバル圧延終了位置のC断面、及び試験材領域1−2のスクエア圧延終了位置のC断面写真を示し、図17(b)に、試験材領域1−2のスクエア圧延終了位置のC断面を再度、試験材領域2−1のオーバル圧延終了位置のC断面、及び試験材領域2−2のスクエア圧延終了位置のC断面写真を示す。
また、表10には、第1番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機(スクエア孔型)での圧延終了後のC断面(図15(a)の試験材領域1−2に対応する)における両方の対角寸法の測定値と両方の対辺寸法の測定値、及び、
第2番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機(スクエア孔型)での圧延終了後のC断面(図16(a)の試験材領域2−2に対応する)における両方の対角寸法の測定値と両方の対辺寸法の測定値を示す。これより、断面の形状、寸法が安定していることがわかる。
以上の実施例6の結果によれば、第1番目及び第2番目の2機近接圧延基(19’)による鋼線材の温間圧延において、4機のいずれの圧延機においても、圧延時におけるカリバーロールへの材料充満度は適切であること、圧延時における材料の捻転は発生しないこと、従って、C断面形状・寸法が優れていること及び表面疵の発生がなく良好であることがわかる。
(2)硬さ試験
圧延過程における各位置の断面ビッカース硬さHを測定した。
図18に「試験材領域−0」、「試験材領域1−1」、「試験材領域1−2」のにおける、また図19に、「試験材領域1−2」、「試験材領域2−1」、「試験材領域2−2」における各断面のビッカース硬さH分布を示す。これよりわかるとおり、断面内の硬さの分布もかなり均一であり、材料の中心部まで塑性ひずみが導入されていることがわかる。
以上の結果が得られたのは、2機近接圧延基間の間隔(L(3))=400mmが、第1番目の2機近接圧延基内における第1番目圧延機と第2番目圧延機のカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(2))=110mmの約3.6倍と十分な距離があったために、第1番目の2機近接圧延基の第2番目圧延機(スクエア孔型)により圧延終了後の材料を、圧延パスラインの中心線(X軸)を中心として無理なねじり負荷をかけることなく容易に45°捻って、第2番目の2機近接圧延基の第1番目圧延機のカリバーロールのオーバル孔型に噛み込ませることができたためである。
上記の通り、本願発明に係る温間圧延装置の優れた特徴と、従来見当たらないコンパクトな温間圧延装置を適切に使用することにより、高強度で且つ高延性を有し、そのバランスに優れた鋼線を製造することができる。
本願発明に係る温間圧延装置において、2機近接圧延基におけるカリバーロール対の配設状態の特徴を説明する概略斜視図である。 図1で示される温間圧延装置の側面図である。 図1で示される温間圧延装置の平面図である。 隣接する2機近接圧延基の上手側2機近接圧延基内の第2圧延機と、下手側2機近接圧延基内の第1圧延機との配設条件を説明するための概略模式図である。 本願発明に係る4機近接圧延基が配設された温間圧延装置のレイアウトを説明する概略図である。 図5に含まれる4機近接圧延基の外観詳細図である。 本願発明に係る2機近接圧延基が配設された温間圧延装置のレイアウトを説明する外観図である。 図7に含まれる2機近接圧延基に共通の外観図である。 本願発明に係る温間圧延装置を用いた場合に、適正な材料充満度が得られるときの、総減面率R(%)に対するカリバーロール外径周速度比V(2)/V(1)の設定値例を示すグラフである。 試験用の2機近接圧延基が1基配置された温間圧延装置の外観図である。 実施例1の第1から第3工程の各工程終了後における、孔型に対する材料の適正充満度の状態を例示する鋼線のC断面観察の写真例である。 比較例1の第2工程終了後における、孔型に対する材料の充満度の状態が、過剰となっている状態を例示する鋼線のC断面観察の写真例である。 実施例3及び4において、温間圧延方法で得られた鋼線を冷間伸線した細鋼線を用い、冷間圧造で成形したM1.7のマイクロねじの外観写真である。 実施例6で用いた2機近接圧延基を2基配置した試験用の温間圧延装置の外観図である。 実施例6の温間圧延試験で得られた6mmφ鋼線材から3.9mm角鋼線に至る被圧延材の外観写真である。 実施例6の温間圧延試験で得られた3.9mm角鋼線から3.1mm角鋼線に至る被圧延材の外観写真である。 実施例6の温間圧延試験で得られた6mmφ鋼線材から3.1mm角鋼線に至る被圧延材の断面の拡大写真である。 実施例6の温間圧延試験で得られた6mmφ鋼線材から3.9mm角鋼線に至る被圧延材の各位置の断面ビッカース硬さH分布である。 実施例6の温間圧延試験で得られた3.9mm角鋼線から3.1mm角鋼線に至る被圧延材の各位置の断面ビッカース硬さH分布である。
符号の説明
1 第1番目圧延機
1’ 第1番目圧延機
2 第2番目圧延機のカリバーロール対
2a 第2番目圧延機のカリバーロール
2b 第2番目圧延機のカリバーロール
3 第2番目圧延機
3’ 第2番目圧延機
4 第2番目圧延機のカリバーロール対
4a 第2番目圧延機のカリバーロール
4b 第2番目圧延機のカリバーロール
4’ カリバーロール4a’及び4b’を備えた圧延機
4a’上手側の圧延基内の第2番目圧延機のカリバーロール
4b’上手側の圧延基内の第2番目圧延機のカリバーロール
5 被圧延金属線材
6 圧延パスライン方向
7a 下手側圧延機対(圧延基)に含まれる上手側圧延機のカリバーロール
7b 下手側圧延機対(圧延基)に含まれる上手側圧延機のカリバーロール
7’オーバル形状のカリバーロール7a及び7bを備えた圧延機
7Ja オーバル形状のカリバーロール7aの軸心
7Jb オーバル形状のカリバーロール7bの軸心
7’DR 、7”DR 下手側圧延機(7’)の圧下方向
8、 8’上手側圧延機(4)’の圧下方向
9 線材供給装置
10 ストレートナー
11 ピンチロール
12 大容量の急速加熱装置
13 サポートロール
14 4機近接圧延基
14a 第1番目圧延機
14b 第2番目圧延
14c 第3番目圧延
14d 第4番目圧延
15 ダンサーロール・タイトナー
16 2機近接圧延基
16a 第1番目圧延機
16b 第2番目圧延機
17 サポートロール
18 線材巻取装置
19’ 2機近接圧延基
19f スライドベース
19 第1番目2機近接圧延基
20 第2番目2機近接圧延基
21 第3番目2機近接圧延基
22 第1ダンサーロール・タイトナー
23 第2ダンサーロール・タイトナー
24 急速補助加熱装置
25 スライドベース
26 昇降及びスライド装置
27 昇降及びスライド並びに傾転装置
28 第1番目圧延機
29 第2番目圧延機
30 2機近接圧延基
A オーバル形状
B スクエア形状(角形状)
L カリバーロール対同士間の軸心間距離
一番カリバーロール対のカリバーロールの直径
二番カリバーロール対のカリバーロールの直径
上方カリバーロールの軸心
下方カリバーロールの軸心
J 圧延パスライン軸心
M 2機近接圧延基
Q 第2番目圧延機又は偶数番目圧延機の胴長

Claims (13)

  1. 圧延パスラインの中心線をX軸としたとき、X軸の両側から対向して被圧延金属線材を圧下する2本のカリバーロールが1対として配置され、当該カリバーロール1対を圧延ロールとして1機の圧延機を構成し、4機以上の偶数機の当該圧延機が前記X軸方向に直列に近接して配置されて構成された4機以上偶数機近接圧延基が1基以上と、2機の当該圧延機が前記X軸方向に直列に近接して配置されて構成された2機近接圧延基が1基以上とが、前記X軸方向に直列に配置され、そして、このように配列された圧延基群よりも上手側に被圧延金属線材を加熱する加熱装置が配置された温間圧延装置であって、
    前記4機以上偶数機近接圧延基内及び前記2機近接圧延基内のそれぞれにおいて隣接する2機の圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(1)で表記する)は、当該隣接する2機の圧延機の内、上手側の圧延機のカリバーロールの直径(Dで表記する)と、下手側の圧延機のカリバーロールの直径(Dで表記する)との間において、下記(1)式:
    (1)≦1.5(D/2+D/2) ・・・・・・・・・(1)
    を満たし、
    前記4機以上偶数機近接圧延基内の奇数番目圧延機とこれに次ぐ偶数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が90°をなしており、前記2機近接圧延基内の第1番目圧延機と第2番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が90°をなしており、
    前記4機以上偶数機近接圧延基内の偶数番目圧延機とこれに次ぐ奇数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が45°をなしており、
    更に、全ての前記圧延機のそれぞれのカリバーロール対は、相互に独立した駆動方式であり、そして、
    前記圧延基群内の相隣る圧延基間の内、少なくとも一カ所に、ダンサーロール・タイトナー及び補助加熱装置の内、少なくとも何れかが配置されていることを特徴とする温間圧延装置。
  2. 請求項1に記載の温間圧延装置において、カリバーロールの孔型形状は、前記各圧延基内の奇数番目圧延機ではオーバル形状であり、偶数番目圧延機ではスクエア形状又はラウンド形状であることを特徴とする温間圧延装置。
  3. 請求項1又は2に記載の温間圧延装置において、前記ダンサーロール・タイトナーが配置された圧延基間で、被圧延金属線材を加熱する補助加熱装置が配設されているときは、当該補助加熱装置は当該ダンサーロール・タイトナーの下手側に配設されていることを特徴とする温間圧延装置。
  4. 請求項1又は2に記載の温間圧延装置において、前記ダンサーロール・タイトナーが配置されていない圧延基間の全てに、被圧延金属線材を加熱する補助加熱装置が配設されていることを特徴とする温間圧延装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の温間圧延装置において、第1番目の圧延基のみが前記4機近接圧延基で構成されており、その他の圧延基は2機近接圧延基で構成されていることを特徴とする温間圧延装置。
  6. 圧延パスラインの中心線をX軸としたとき、X軸の両側から対向して被圧延金属線材を圧下する2本のカリバーロールが1対として配置され、当該カリバーロール1対を圧延ロールとして1機の圧延機を構成し、2機以上の偶数機の当該圧延機が前記X軸方向に直列に近接して配置されて構成された偶数機近接圧延基が、前記X軸方向に2基以上直列に配置され、そして、このように配列された偶数機近接圧延基群よりも上手側に被圧延金属線材を加熱する加熱装置が配置された温間圧延装置であって、
    前記偶数機近接圧延基の内、最上手側の偶数機近接圧延基は4機近接圧延機であり、その他の偶数機近接圧延基は、2機近接圧延基であり、
    前記偶数機近接圧延基内において隣接する2機の圧延機は、それぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(2)で表記する)が、当該隣接する2機の圧延機の内、上手側の圧延機のカリバーロールの直径(D’ で表記する)と、下手側の圧延機のカリバーロールの直径(D’ で表記する)との間において、下記(2)式:

    (2)≦1.5(D’/2+D’/2) ・・・・・・(2)

    を満たすと共に、前記被圧延金属線材における結晶粒の超微細化に寄与する程度の温間圧延温度範囲内での圧延加工を行うように構成し、

    前記偶数機近接圧延基内の上手側から奇数番目圧延機とこれに次ぐ偶数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が90°をなしており、

    前記偶数機近接圧延基の中に、4機以上の偶数機近接圧延基が配置されているときは、この4機以上偶数機近接圧延基内の偶数番目圧延機とこれに次ぐ奇数番目圧延機のそれぞれの圧延機の圧下方向が45°をなしており、

    更に、全ての前記圧延機のそれぞれのカリバーロール対は、相互に独立した駆動方式であり、

    そして、隣接する前記偶数機近接圧延基間において、上手側の偶数機近接圧延基内の最下手側圧延機と、下手側の偶数機近接圧延基内の最上手側圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(3)で表す)が調節可能な設備構成を有することを特徴とする温間圧延装置。
  7. 請求項に記載の温間圧延装置において、カリバーロールの孔型形状が、4機以上偶数機近接圧延基においては、上手側から奇数番目の圧延機ではオーバル形状であって、これに次ぐ偶数番目の圧延機ではスクエア形状又はラウンド形状であり、そして、2機近接圧延基においては、第1番目圧延機ではオーバル形状であって、第2番目圧延機ではスクエア形状又はラウンド形状であることを特徴とする温間圧延装置。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の温間圧延装置において、前記各圧延基内の前記隣接する2機の圧延機のそれぞれのカリバーロール対同士間のX軸方向での軸心間距離(L(1))又は(L(2))はそれぞれ、下記(1’)式又は(2’)式:
    (1)≦D/2+D/2 ・・・・・・・・・(1’)
    (2)≦D’/2+D’/2 ・・・・・・・・・(2’)
    を満たすことを特徴とする温間圧延装置。
  9. 請求項1からのいずれかに記載の温間圧延装置を使用した温間圧延方法であって、前記各圧延基による被圧延金属線材に対する圧延基単位の総減面率(Rで表記する)を30%以上50%以下の範囲内に設定すると共に、前記各圧延基内における第n番目圧延機と第n+1番目圧延機(但し、nは1から始まる奇数とし、更に、2機近接圧延基においては、n=1に限定する)のそれぞれのカリバーロール対同士間のカリバーロール回転速度比を、被圧延中の金属線材が前記第n番目圧延機と第n+1番目圧延機の間において伸長せず、且つ弛緩しないように設定することを特徴とする温間圧延方法。
  10. 請求項に記載の温間圧延方法において、前記各圧延基内における第n番目圧延機(但し、nは1から始まる奇数とし、更に、2機近接圧延基においては、n=1に限定する)のカリバーロール外径周速度(V(1))に対する第n+1番目圧延機のカリバーロール外径周速度(V(2))の比(V(2)/V(1))は、前記各圧延基による圧延基単位の総減面率(R)との間に、下記(3)式:
    (2)/V(1)=A・R+B ・・・・・・・・・・・・(3)
    A=0.017〜0.019
    B=0.66〜0.68
    を満たすように設定することを特徴とする温間圧延方法。
  11. 請求項に記載の温間圧延方法において、前記各圧延基内における第n’+1番目圧延機(但し、n’は1から始まる奇数とし、更に、2機近接圧延基においては、n’=1に限定する)のカリバーロール対で形成される孔型面積(S2−CALで表記する)と、当該第n’+1番目圧延機のカリバーロールの出側における被圧延金属線材の速度(V2−outMATで表記する)との積(S2−CAL×V2−outMAT)は、下記(4)式:
    2−CAL×V2−outMAT=A’×S1−CAL×V1−outMAT ・・・(4)
    但し、A’=1.01〜1.08
    1−CAL :前記第n’番目圧延機のカリバーロール対で形成される孔型面積

    1−outMAT:前記第n’番目圧延機のカリバーロール出側における 被圧延金属線材の速度
    を満たすように設定することを特徴とする温間圧延方法。
  12. 請求項から11のいずれかに記載の温間圧延方法において、圧延開始から圧延終了までの全圧延工程における前記被圧延金属線材に導入される下記(5)式:
    e=ln(S/S) ・・・・・・・・・・・・(5)
    但し、S:圧延開始前の被圧延金属線材のC断面の面積
    :圧延終了後の被圧延金属線材のC断面の面積
    で求めた真ひずみeが、0.90以上となるように圧延することを特徴とする温間圧延方法。
  13. 請求項1からのいずれかに記載の温間圧延装置の圧延ライン下流側に、金属線ないし金属細線を冷間圧延、伸線、又は、冷間圧延及び伸線をするための冷間加工装置が配設されていることを特徴とする、温間・冷間連続加工装置。
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